説明

ディスク装置、光記録媒体、ラベル印刷システム及びラベル印刷方法

【課題】プリンタヘッド内蔵のディスク装置に挿入された光記録媒体のラベル面に、そのプリンタヘッドで印刷可能であるか否かを、より簡易な構成でより確実に判別する。
【解決手段】ディスク装置30を、プリンタヘッド31と、検出部33と、判別部36とを備える構成とする。検出部33は、装着された光記録媒体10の媒体フォーマット内の媒体メーカーが自由に使用可能な領域に記録されたプリンタヘッド31でラベル印刷が可能であるか否かを示す第1情報を検出する。また、検出部33は、媒体フォーマット内の所定領域に記録された媒体メーカーに関する第2情報を検出する。そして、判別部36は、検出部33で検出した第1及び第2情報に基づいて、装着された光記録媒体10にプリンタヘッド31でラベル印刷が可能であるか否かを判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル印刷が可能な光記録媒体、それにラベル印刷を行うディスク装置、及びラベル印刷システム、並びに、ラベル印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)等の種々の光ディスクが開発されている。これらの光ディスクの多くは、光ディスクに記録されている情報の内容に関するタイトルや記録の日付等が印刷可能なラベル(レーベル)面を備えている。このようなラベル面への印刷及びラベル面の構成等に関して、従来、様々な技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
【0003】
特許文献1には、光記録媒体の例えばリードイン領域に、該光記録媒体が印刷可能であるか否かの情報を記録し、その情報に基づいて、光記録媒体が印刷可能であるか否かを判別する技術が提案されている。
【0004】
特許文献2には、共通デザインと個別タイトルの両方を効率的にラベル面に表示するための技術が提案されている。具体的には、光ディスクのラベル面において、インクジェットプリンタで印刷可能な領域に対して所定の位置にセンサで検知可能なマーク部分を設ける。そして、このマーク部分を検知することにより光ディスクに描かれた任意のデザインの方向を認識し、任意のデザインに対して特定の位置(インクジェットプリンタで印刷可能な領域)に印字を行う。
【0005】
また、特許文献3には、ラベル面に磁性体を含有させ、ラベル面を使って所望のデータの磁気記録または磁気再生を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−305190号公報
【特許文献2】特開2000−40264号公報
【特許文献3】特許第3566121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したインクジェットプリンタを用いて光ディスクのラベル面に印刷を行う場合、一般には、インクジェット印刷に適した材料がラベル面に塗布された光ディスクに、別途準備したインクジェットプリンタを使ってラベル印刷を行う。この際、ラベル柄はコンピュータ装置等で編集し、その編集したラベル柄をコンピュータ装置等とプリンタとを接続して印刷する方法が一般的である。しかしながら、この方法では、別途プリンタを準備する必要があり、また、光ディスクの内容を別途、プレーヤーやレコーダ等のディスク装置で再生して確認しなければならない。
【0008】
それに対し、従来、サーマルプリンタヘッドが内蔵されたレコーダやプレーヤー等のディスク装置を用いて、光ディスクにラベル印刷を行うシステムが開発されている。図6に、そのシステムの一例の概略構成図を示し、図7(a)及び(b)に、そのシステムの動作の様子を示す。なお、図7(a)及び(b)中には、主に、ラベル印刷に必要な構成を示し、レコーダやプレーヤー等の機能を果たす構成は図示していない。また、このようなシステムで用いられる光ディスク200には、加熱することにより発色する発色層が光ディスク200のラベル面に設けられる(貼りつけられる)。このようなシステムの具体的な動作は次の通りである。
【0009】
まず、光ディスク200をディスク挿入口101を介してディスク装置100に挿入する(図6の状態)。そして、ラベル印刷時には、光ディスク200をディスク装置100から排出する方向に移動させながら、サーマルプリンタヘッド102により、光ディスク200のラベル層201に所定のラベル柄209(画像、文字等)を印刷する(図7の状態)。なお、この際、光ディスク200は、ディスク装置100内のローラー(不図示)等により搬送される。
【0010】
上述のラベル印刷システムでは、レコーダあるいはプレーヤー等の機能を有するディスク装置100にサーマルプリンタヘッド102が内蔵されているので、光ディスク200をディスク装置100から取り出さずにラベル印刷を行うことができる。また、このシステムでは、ディスク装置100でコンテンツを確認しながら印刷ができるなど多くの長所がある。
【0011】
しかしながら、上述のラベル印刷システムにおいて、ディスク装置100に例えばインクジェット印画用の光ディスクを挿入した場合、誤ってその光ディスクにサーマルプリンタヘッド102でラベル印刷を行う可能性がある。インクジェット印画用の光ディスクをサーマルプリンタヘッド102で加熱した場合、ラベル印刷ができないだけでなく、加熱したことにより光ディスクのインクジェット印刷面が破壊されてしまうという問題が生じる。このようなラベル印刷時の誤動作の問題を解消するためには、プリンタヘッド内蔵のディスク装置に挿入された光記録媒体のラベル面に、そのプリンタヘッドで印刷可能であるか否かをより確実に判別できる技術が必要となる。
【0012】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、次の通りである。プリンタヘッド内蔵のディスク装置に挿入された光記録媒体のラベル面に、そのプリンタヘッドで印刷可能であるか否かをより簡易な構成でより確実に判別することのできるディスク装置、光記録媒体、ラベル印刷システム及びラベル印刷方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記問題を解決するために、本発明のディスク装置は、プリンタヘッドと、検出部と、判別部とを備える構成とし、各部の機能は次の通りとする。検出部は、装着された光記録媒体の媒体フォーマット内の媒体メーカーが自由に使用可能な領域に記録されたプリンタヘッドでラベル印刷が可能であるか否かを示す第1情報を検出する。また、検出部は、媒体フォーマット内の所定領域に記録された媒体メーカーに関する第2情報を検出する。また、判別部は、検出部で検出した第1及び第2情報に基づいて、装着された光記録媒体にプリンタヘッドでラベル印刷が可能であるか否かを判別する。
【0014】
本発明の光記録媒体は、光記録媒体本体と、光記録媒体本体の一方の表面上に形成され、所定のプリンタヘッドでラベル印刷が可能であるラベル印刷層とを備える構成とする。光記録媒体本体は、媒体メーカーが自由に使用可能であり且つ所定のプリンタヘッドでラベル印刷が可能であることを示す情報が記録されている第1領域と、媒体メーカーに関する情報が記録されている第2領域とを含む媒体フォーマットを有する。そして、本発明では、所定のプリンタヘッドでラベル印刷が可能であるか否かの判別に第1及び第2領域に記録されている情報を用いる。
【0015】
また、本発明のラベル印刷システムは、光記録媒体と、ディスク装置とを備える構成とする。光記録媒体は、媒体メーカーが自由に使用可能であり且つ所定のプリンタヘッドでラベル印刷が可能であるか否かを示す情報が記録されている第1領域、及び、媒体メーカーに関する情報が記録されている第2領域を含む媒体フォーマットを有する。一方、ディスク装置は、所定のプリンタヘッド、第1及び第2領域に記録された情報を検出する検出部、並びに、判別部を有する。そして。判別部は、検出部で検出した第1及び第2領域に記録された情報に基づいて光記録媒体に所定のプリンタヘッドでラベル印刷が可能であるか否かを判別する。
【0016】
さらに、本発明のラベル印刷方法では、次の手順で光記録媒体にラベル印刷を行う。まず、光記録媒体を所定のプリンタヘッドを備えるディスク装置に装着する。なお、装着する光記録媒体は、媒体メーカーが自由に使用可能であり且つ所定のプリンタヘッドでラベル印刷が可能であるか否かを示す情報が記録されている第1領域、及び、媒体メーカーに関する情報が記録されている第2領域を含む媒体フォーマットを有する。次いで、装着された光記録媒体の第1及び第2領域に記録されている情報を読み出す。次いで、読み出した第1及び第2領域の情報に基づいて、装着された光記録媒体に対して所定のプリンタヘッドでラベル印刷が可能であるか否かを判定する。そして、この判定するステップで、光記録媒体に対して所定のプリンタヘッドでラベル印刷が可能であると判定された場合に、光記録媒体に所定のラベル柄を印刷する。
【発明の効果】
【0017】
上述のように、本発明では、光記録媒体がディスク装置に内蔵されたプリンタヘッドでラベル印刷が可能であるか否かを判別する際、そのプリンタヘッドでラベル印刷が可能であるか否かを示す第1情報だけでなく、媒体メーカーに関する第2情報も用いる。それゆえ、本発明によれば、ディスク装置に挿入された光記録媒体のラベル面に、ディスク装置に内蔵されたプリンタヘッドで印刷可能であるか否かを、より簡易な構成でより確実に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1(a)は、本発明の一実施形態に係る光記録媒体の概略上面図であり、図1(b)は、図1(a)中のA−A断面図である。
【図2】光記録媒体のディスクインフォメーション領域のフォーマット構成例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るディスク装置及びラベル印刷システムのブロック構成図である。
【図4】判別部の構成例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るラベル印刷方法の手順を示すフローチャートである。
【図6】従来のラベル印刷システムの概略構成図である。
【図7】図7(a)及び(b)は、従来のラベル印刷システムの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態に係る光記録媒体、ディスク装置、ラベル印刷システム及びラベル印刷方法の一例を、図面を参照しながら以下の順で説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。
1.光記録媒体の構成
2.ディスク装置及びラベル印刷システムの構成
3.ラベル印刷時の動作
【0020】
<1.光記録媒体の構成>
図1(a)及び(b)に、本発明の一実施形態に係る光記録媒体の概略構成を示す。図1(a)は、本実施形態の光記録媒体の概略上面図である。なお、図1(a)には、光記録媒体のフォーマットの概略構成も示す。また、図1(b)は、図1(a)中のA−A断面図であり、光記録媒体の膜構成を示す。
【0021】
光記録媒体10は、例えば、再生専用、追記型または書き換え型の光ディスク等であり、媒体本体1と、媒体本体1の記録再生面1a上に形成されたカバー層2と、媒体本体1の記録再生面1aとは反対側の面上に形成されたラベル層3とを備える。
【0022】
媒体本体1(光記録媒体本体)は、図示していないが、基板上に情報の記録再生に必要な所定の層(例えば、記録層、反射層など)を所定の順序で積層して構成される。なお、情報の記録再生に必要な層(以下では情報記録層という)の構成は、例えば光記録媒体の種類等に応じて適宜変更され、それらの層は、例えば、スパッタリング、蒸着等の手法を用いて形成される。
【0023】
カバー層2は、媒体本体1の情報記録層上に形成され、信号の記録再生面1aを保護する。
【0024】
また、ラベル層3(ラベル印刷層)は、所定のプリンタヘッド(例えば、サーマルプリンタヘッド、インクジェットプリンタヘッド等)でラベル印刷可能な層である。なお、ラベル層3の構成は、印刷可能なプリンタヘッドの種類に応じて適宜変更できる。
【0025】
例えば、ラベル層3がサーマルプリンタヘッドで印刷可能な層である場合、ラベル層3は、加熱されることにより発色する発色層等で構成される。なお、発色層の構成及び形成材料は、印刷柄がカラーであるか、モノクロであるかにより異なり、それらの種類に応じて適宜変更できる。
【0026】
次に、本実施形態の光記録媒体10のフォーマット構成について説明する。光記録媒体10は、図1(a)に示すように、内周側から、主に、リードイン領域11、データ領域12及びリードアウト領域13を有する。なお、図示していないが、リードイン領域11のさらに内周側には、例えば、BCA(Burst Cutting Area)等が形成される。
【0027】
リードイン領域11は、光記録媒体10に関する一般情報(例えば、媒体メーカーID、製品情報等)や管理情報等が記録されており、この領域は例えば半径約21〜23mmの領域に設けられる。
【0028】
データ領域12は、ユーザにより所望のデータか記録される領域であり、リードイン領域11の外周側に配置される。
【0029】
また、リードアウト領域13は、リードイン領域11と同様に光記録媒体10に関する一般情報、管理情報等が記録されており、データ領域12の外周側に配置される。
【0030】
上述のようなフォーマット構成において、例えば、リードイン領域11やリードアウト領域13等には、媒体メーカーが自由(任意)に情報記録可能(使用可能)なバイト領域(第1領域:以下、バイトアサイン領域という)が設けられている。本実施形態では、光記録媒体10が所定のプリンタヘッドでラベル印刷が可能であることを示す情報(以下、ラベル印刷可能情報という)を、このバイトアサイン領域に記録する。
【0031】
なお、媒体フォーマット内におけるバイトアサイン領域の形成位置(領域)は、光記録媒体10の種類や規格等に応じてより決まっている。ここで、一例として、光記録媒体10が追記型のBD(登録商標:BD−R)または書き換え型のBD(登録商標:BD−RE)である場合におけるバイトアサイン領域を含む媒体フォーマットの構成を具体的に説明する。
【0032】
BD−RまたはBD−REでは、リードイン領域11内に、PIC(Permanent Information & Control)データが記録される領域が設けられる。このPICデータの中に記録されるデータの一つに、ディスクインフォメーション(DI)がある。ディスクインフォメーションの記録領域には、光記録媒体10の例えば、媒体メーカー、ディスクサイズ、バージョン、膜構造(単層または多層)、記録方式(ハイブリッド)、記録パワー、再生パワー等に関する基本情報が記録される。また、ディスクインフォメーションの記録領域にはバイトアサイン領域も割り当てられている。
【0033】
図2に、BD−RまたはBD−REにおけるディスクインフォメーション領域のフォーマット(媒体フォーマット)構成の一例を示す。なお、BD−RまたはBD−REでは、ディスクインフォメーション領域20は、例えば、半径約22.5〜23.2mm付近に設けられる。また、BD−RまたはBD−REでは、ディスクインフォメーション領域20は、トータルで112バイトの領域で構成されており、上述した基本情報のそれぞれが所定のバイト領域に記録される。
【0034】
BD−RまたはBD−REでは、ディスクインフォメーション領域20の第100バイト目から第105バイト目までの領域21(第2領域)が、光記録媒体10の媒体メーカーID(媒体メーカーに関する情報:第2情報)の記録領域として割り当てられる。また、ディスクインフォメーション領域20の第111バイト目の領域22(第1領域)が、媒体メーカーが自由に使用可能なバイト領域(以下、バイトアサイン領域という)として割り当てられる。
【0035】
それゆえ、本実施形態の光記録媒体10がBD−RまたはBD−REである場合には、ラベル印刷可能情報は、ディスクインフォメーション領域20の第111バイト目のバイトアサイン領域22に記録される。より具体的には、例えば、第111バイト目のバイトアサイン領域22のProduct Revision number(製品改訂番号)に認識フラグを立てることにより、ラベル印刷可能情報を記録する。
【0036】
本実施形態では、光記録媒体10が所定のプリンタヘッドでラベル印刷が可能であるか否かの判別を、媒体メーカーIDと、バイトアサイン領域に記録されたラベル印刷可能情報とを用いて判別する。このような判別手法を用いると、より確実にラベル印刷が可能であるか否かを判別することができる。このことを、以下により具体的に説明する。
【0037】
ディスク装置内のプリンタヘッドでラベル印刷が不可の光記録媒体が装着された場合、通常、バイトアサイン領域にラベル印刷可能情報が記録されていないので、バイトアサイン領域の情報のみでも、光記録媒体にラベル印刷が不可である判別結果が得られる。しかしながら、何らかの理由でバイトアサイン領域に誤ってラベル印刷可能情報が記録されている場合には、バイトアサイン領域の情報のみで判別した場合には誤動作が発生する。
【0038】
それに対して、本実施形態では、光記録媒体10にラベル印刷可能か否かの判別に、光記録媒体10のバイトアサイン領域の情報だけでなく、媒体メーカーIDも用いる。現状では、例えば、サーマルプリンタヘッドで印刷可能な光記録媒体を製造するメーカーは限られている。それゆえ、本実施形態では、何らかの理由でバイトアサイン領域に誤ってラベル印刷可能情報が記録されている場合であっても、さらに媒体メーカーIDを判別情報に用いるので、より確実に誤動作を防止することができる。
【0039】
<2.ディスク装置及びラベル印刷システムの構成>
図3に、本発明のディスク装置及びラベル印刷システムの一実施形態例の概略ブロック構成図を示す。なお、図3は、図1で説明した光記録媒体10をディスク装置30内に装着して駆動している状態を示す。また、図3には、主に、ラベル印刷に必要な構成部を示す。
【0040】
ラベル印刷システム40は、主に、ディスク装置30と、ディスク装置30に装着される光記録媒体10とで構成される。なお、光記録媒体10の構成は、図1で説明した構成と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0041】
ディスク装置30は、プリンタヘッド31、プリンタドライバ32、検出系33(検出部)、判別部36、制御部37、回転駆動部38及びディスクトレー39を備える。各部の機能及び構成は、次の通りである。
【0042】
プリンタヘッド31は、例えば、サーマルプリンタヘッド、インクジェットプリンタヘッド等で構成され、装着された光記録媒体10のラベル層3側に配置される。プリンタヘッド31は、プリンタドライバ32に接続されており、プリンタドライバ32により駆動制御され、光記録媒体10のラベル層3に所定のラベル柄を印刷する。
【0043】
また、プリンタヘッド31は、例えば図7(b)に示すプリンタヘッド102と同様に、光記録媒体10の搬送方向と直交する方向には、同時に印刷可能となるような構成にすることができる。なお、プリンタヘッド31の構成はこれに限定されない。例えば、プリンタヘッド31を光記録媒体10の搬送方向と直交する方向に移動可能な構成にしてもよい。この場合、ラベル印刷時には、光記録媒体10を搬送するとともに、プリンタヘッド31をその搬送方向に直交する方向に移動させながらラベル印刷が行われる。
【0044】
検出系33は、光ピックアップ34と、ラベル印刷情報取得部35とで構成される。光ピックアップ34は、所定波長の光を光記録媒体10の記録再生面に照射し、情報の記録及び/又は再生を行う。光ピックアップ34は、装着された光記録媒体10のカバー層2側に配置される。
【0045】
また、光ピックアップ34は、光検出器34a、光学系34b及び光源(不図示)を有する。光ピックアップ34では、光源から出射された所定波長の光は光学系34bを介して光記録媒体10に照射され、光記録媒体10からの反射光は光学系34bを介して光検出器34aに入射される。
【0046】
ラベル印刷情報取得部35は、光ピックアップ34により検出される光記録媒体10のディスクインフォメーション領域20の情報から、媒体メーカーID(第2情報)と、バイトアサイン領域に記録された情報(第1情報)とを取得する。
【0047】
判別部36は、ラベル印刷情報取得部35で取得した光記録媒体10の媒体メーカーID及びバイトアサイン領域に記録された情報に基づいて、光記録媒体10がディスク装置30内のプリンタヘッド31でラベル印刷が可能であるか否かを判別する。
【0048】
図4に、判別部36の一構成例を示す。判別部36は、例えば、2入力のAND回路で構成することができる。AND回路の一方の入力端子36aには、ラベル印刷情報取得部35で取得したバイトアサイン領域に記録された情報が入力される。そして、他方の入力端子36bには、ラベル印刷情報取得部35で取得した光記録媒体10の媒体メーカーIDが入力される。
【0049】
判別部36は、媒体メーカーIDがプリンタヘッド31で印刷可能な媒体を製造しているメーカーのものであり、且つ、バイトアサイン領域の情報がラベル印刷可能情報である場合にのみ、ラベル印刷が可能であるという判別結果を出力する。それ以外の場合には、判別部36は、制御部37に信号を出力しない、または、プリンタヘッド31でラベル印刷が不可であるという判別結果を出力する。
【0050】
制御部37は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算制御装置からなり、ディスク装置30を構成する各部の動作を制御する。また、制御部37には、例えばディスク装置30に設けられたデータ入力手段や外部装置等を介して、ユーザのラベル印刷司令及び光記録媒体10に印刷する所定のラベル柄のデータが入力される(図3中の破線矢印)。
【0051】
回転駆動部38は、例えばスピンドルモータ及びディスククランプ等から構成され、ディスク装置30内に挿入された光記録媒体10を固定し、所定の回転数で光記録媒体10を回転駆動する。
【0052】
ディスクトレー39は、光記録媒体10をディスク装置30から脱着する際に光記録媒体10を搬送する。なお、ディスクトレー39は、図示しないローディング機構部(例えば、ローラなど)により駆動される。
【0053】
<3.ラベル印刷の動作>
次に、本実施形態のラベル印刷システム40の動作を図3及び5を参照しながら説明する。なお、図5は、本実施形態のラベル印刷システム40におけるラベル印刷の手順を示すフローチャートである。
【0054】
まず、ユーザは、ディスクトレー39上に光記録媒体10を載置し、光記録媒体10をディスク装置30内に挿入する。光記録媒体10がディスク装置30内に挿入されると、ローディング機構部(不図示)がディスクトレー39を駆動して光記録媒体10を搬送し、光記録媒体10を回転駆動部38のターンテーブル(不図示)上に載置する。次いで、回転駆動部38は、光記録媒体10をターンテーブルにチャッキング及びクランプして固定する(ステップS1)。そして、回転駆動部38は、光記録媒体10を所定の回転数で回転駆動する(ステップS2)。
【0055】
次に、ディスク装置30は、光ピックアップ34を光記録媒体10の内周部に移動させ、リードイン領域11で停止する。次いで、光ピックアップ34は、光記録媒体10のリードイン領域11に光照射して、フォーカスサーチを行う。この際、ディスク装置30は、フォーカスサーチで得られる信号(フォーカスエラー信号)から、いわゆるS字カーブと呼ばれる光記録媒体10の種類(例えば、CD、DVD、BD(登録商標)等)を判別するための信号を検出する。そして、ディスク装置30は、そのS字カーブの出現位置及び出方(S字カーブの出現個数)に基づいて、装着された光記録媒体10の種類を判別する(ステップS3)。
【0056】
なお、ステップS3において、光記録媒体10がBD(登録商標)であると判別された場合には、さらに、光記録媒体10が記録可能な光ディスク(BD−RまたはBD−RE)であるか、再生専用の光ディスク(BD−ROM)であるかを判別する。これは、両者の間でトラッキングエラー信号の検出手法が異なるためである。BD−RまたはBD−REでは、トラッキングエラー信号をプッシュプル信号から得る。それに対して、BD−ROMでは、トラッキングエラー信号をDPD(Differential Phase Detection:回折パターンずれ)信号から得る。それゆえ、ステップS3において光記録媒体10がBD(登録商標)であると判別された場合には、トラッキング動作を特定するために、上述のような判別を行う。
【0057】
次いで、ディスク装置30は、判別された光記録媒体10の種類に対応して回転数を再設定する。そして、ディスク装置30は、光ピックアップ34をディスクインフォメーション領域20に移動させ、ディスクインフォメーション(DI)を読み出す(ステップS4)。
【0058】
ここで、光記録媒体10が例えばBD−Rである場合におけるステップS4の動作をより具体的に説明する。この場合には、回転駆動部38は、光記録媒体10を回転数2400rpmで回転させる。次いで、ディスク装置30は、光ピックアップ34をディスクインフォメーション領域20(例えば、半径約22.5〜23.2mmの領域)に移動させ、フォーカス及びトラッキング制御を行う。これにより、ディスク装置30内の位相同期回路(PLL:不図示)が作動し、ディスクインフォメーションに記録された情報を再生することができる。
【0059】
次いで、ラベル印刷情報取得部35は、光ピックアップ34で検出したディスクインフォメーション領域20の情報から、光記録媒体10の媒体メーカーIDと、バイトアサイン領域に記録された情報とを取得し、その情報を判別部36に出力する。
【0060】
次いで、判別部36は、入力された光記録媒体10の媒体メーカーIDと、バイトアサイン領域に記録された情報とに基づいて、装着された光記録媒体10が、ディスク装置30内のプリンタヘッド31でラベル印刷可能か否かを判別する(ステップS5)。
【0061】
判別部36に入力された媒体メーカーIDがプリンタヘッド31で印刷可能な媒体を製造しているメーカーのものであり、且つ、バイトアサイン領域の情報がラベル印刷可能情報である場合、ステップS5はYES判定となる。それ以外の場合、ステップS5はNO判定となる。
【0062】
ステップS5でYES判定となった場合、判別部36は、プリンタヘッド31で光記録媒体10にラベル印刷が可能であるという情報(以下、印刷許可情報という)を制御部37に出力する。そして、制御部37は、その印刷許可情報を登録する(ステップS6)。一方、ステップS5でNO判定となった場合、ステップS6の処理を行わず後述のステップS7に進む。
【0063】
次いで、制御部37は、ユーザからラベル印刷司令が入力されたか否かを判定する(ステップS7)。ラベル印刷司令が入力されていない場合、すなわち、ステップS7がNO判定の場合には、ラベル印刷司令が入力されるまでステップS7を繰り返す。
【0064】
一方、ラベル印刷司令が入力された場合、すなわち、ステップS7がYES判定の場合には、制御部37は、印刷許可情報が登録されているか否かを判定する(ステップS8)。
【0065】
制御部37に印刷許可情報が登録されていない場合、すなわち、ステップS8がNO判定の場合には、ラベル印刷を行わず、ラベル印刷動作を終了する。
【0066】
一方、制御部37に印刷許可情報が登録されている場合、すなわち、ステップS8がYES判定の場合には、制御部37は、ラベル印刷の司令コマンド及びラベルの印刷柄データをプリンタドライバ32に出力する。なお、この際、制御部37は、回転駆動部38に光記録媒体10の回転停止のコマンドを出力する。
【0067】
次いで、光記録媒体10の回転が停止した後、プリンタヘッド31は、プリンタドライバ32により制御され、所定のラベル柄を、光記録媒体10のラベル層3に印刷する(ステップS9)。この際、ディスク装置30内のローディング機構部(不図示)が、例えば、ディスクトレー39を駆動して光記録媒体10を装置の外側に排出しながらラベル印刷する(図7参照)。
【0068】
そして、所定のラベル柄が光記録媒体10に印刷されれば、ディスク装置30は、ラベル印刷動作を終了する。本実施形態では、このようにして、ディスク装置30に装着された光記録媒体10に対してラベル印刷を行う。
【0069】
上述のように、本実施形態では、光記録媒体10にラベル印刷可能か否かの判別に、光記録媒体10のバイトアサイン領域の情報だけでなく、媒体メーカーIDも用いる。それゆえ、本実施形態では、ディスク装置30に挿入された光記録媒体10のラベル面に、ディスク装置30に内蔵されたプリンタヘッド31で印刷可能であるか否かを、より簡易な構成でより確実に判別することができる。その結果、より確実にラベル印刷時の誤動作を防止することができる。
【0070】
上記実施形態では、所定のプリンタヘッドで光記録媒体にラベル印刷可能であることを示す情報(ラベル印刷可能情報)を、例えばディスクインフォメーション領域内のバイトアサイン領域に記録する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。媒体メーカーが自由に情報を書き込み可能な領域であれば、任意の領域にラベル印刷可能情報を記録することができる。
【0071】
上記実施形態では、ラベル印刷時に、光記録媒体10の回転を停止し、プリンタヘッド31を光記録媒体10の搬送方向にスキャンしながらラベル印刷する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、プリンタヘッド31を光記録媒体10の回転方向にスキャンさせてラベル印刷を行ってもよい。この場合、光記録媒体10を回転させながらラベル印刷を行うことが可能になるので、ラベル印刷時に光記録媒体10を搬出する必要がなくなる。
【0072】
また、上記実施形態では、ディスク装置が、光記録媒体に対して情報の記録再生が可能なレコーダまたはプレーヤー等である場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。光記録媒体のバイトアサイン領域の情報及び媒体メーカーIDを読み出す機構を備えるディスク装置であれば、任意の装置に本発明は適用可能であり、同様の効果が得られる。例えば、ディスク装置は、バイトアサイン領域の情報及び媒体メーカーIDを読み出す機構を備えるプリンタであってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…媒体本体(光記録媒体本体)、2…カバー層、3…ラベル層(ラベル印刷層)、10…光記録媒体、11…リードイン領域、12…データ領域、13…リードアウト領域、20…ディスクインフォメーション領域、21…媒体メーカーID領域(第2領域)、22…バイトアサイン領域(第1領域)、30…ディスク装置、31…プリンタヘッド、32…プリンタドライバ、33…検出系(検出部)、34…光ピックアップ、35…ラベル印刷情報取得部、36…判別部、37…制御部、38…回転駆動部、39…ディスクトレー、40…ラベル印刷システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタヘッドと、
装着された光記録媒体の媒体フォーマット内の媒体メーカーが自由に使用可能な領域に記録された前記プリンタヘッドでラベル印刷が可能であるか否かを示す第1情報、及び、前記媒体フォーマット内の所定領域に記録された前記媒体メーカーに関する第2情報を検出する検出部と、
前記検出部で検出した前記第1及び第2情報に基づいて、前記装着された光記録媒体に前記プリンタヘッドでラベル印刷が可能であるか否かを判別する判別部と
を備えるディスク装置。
【請求項2】
前記プリンタヘッドが、サーマルプリンタヘッドである
請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
さらに、前記光記録媒体を回転駆動する回転駆動部を備え、
前記検出部が、回転駆動された前記光記録媒体に光照射して情報の記録及び再生の少なく一方を行う光ピックアップを有し、前記光ピックアップにより前記第1及び第2情報を検出する
請求項1に記載のディスク装置。
【請求項4】
媒体メーカーが自由に使用可能であり且つ所定のプリンタヘッドでラベル印刷が可能であることを示す情報が記録されている第1領域と、前記媒体メーカーに関する情報が記録されている第2領域とを含み、前記所定のプリンタヘッドでラベル印刷が可能であるか否かの判別に前記第1及び第2領域に記録されている情報が用いられる媒体フォーマットを有する光記録媒体本体と、
前記光記録媒体本体の一方の表面上に形成され、前記所定のプリンタヘッドでラベル印刷が可能であるラベル印刷層と、
を備える光記録媒体。
【請求項5】
前記光記録媒体が青色光により追記可能または書き換え可能な媒体であり、前記第1領域が、前記媒体フォーマット内のディスクインフォメーション領域の第111バイト目の領域であり、第2領域が、前記ディスクインフォメーション領域の第100バイト目から第105バイト目の領域である
請求項4に記載の光記録媒体。
【請求項6】
媒体メーカーが自由に使用可能であり且つ所定のプリンタヘッドでラベル印刷が可能であるか否かを示す情報が記録されている第1領域、及び、前記媒体メーカーに関する情報が記録されている第2領域を含む媒体フォーマットを有する光記録媒体と、
前記所定のプリンタヘッド、前記第1及び第2領域に記録された情報を検出する検出部、並びに、前記検出部で検出した前記第1及び第2領域に記録された情報に基づいて前記光記録媒体に前記所定のプリンタヘッドでラベル印刷が可能であるか否かを判別する判別部を有するディスク装置と
を備えるラベル印刷システム。
【請求項7】
媒体メーカーが自由に使用可能であり且つ所定のプリンタヘッドでラベル印刷が可能であるか否かを示す情報が記録されている第1領域、及び、前記媒体メーカーに関する情報が記録されている第2領域を含む媒体フォーマットを有する光記録媒体を前記所定のプリンタヘッドを備えるディスク装置に装着するステップと、
装着された前記光記録媒体の前記第1及び第2領域に記録されている情報を読み出すステップと、
読み出した前記第1及び第2領域の情報に基づいて、装着された前記光記録媒体に対して前記所定のプリンタヘッドでラベル印刷が可能であるか否かを判定するステップと、
前記判定するステップで、前記光記録媒体に対して前記所定のプリンタヘッドでラベル印刷が可能であると判定された場合に、前記光記録媒体に所定のラベル柄を印刷するステップと
を含むラベル印刷方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−277622(P2010−277622A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126851(P2009−126851)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(306025075)ソニーオプティアーク株式会社 (46)