説明

ディスク装置及び電子機器

【課題】ディスクトレイを引き出したときのピックアップヘッドへの粉塵の付着を防止する。
【解決手段】ケース4内部には、ピックアップヘッド8を有するディスク再生メカ5、CPU16、排気ファン17が設けられている。ケース4には、ディスクトレイ21が格納位置と引出し位置との間で移動可能に取り付けられている。ケース4前面には、トレイ挿入孔4bが形成されている。ケース4内部には、ディスクトレイ21の位置を検出する位置検出スイッチ31が設けられている。ディスクトレイ21が格納位置に位置するときには、排気ファン17は駆動可能とされ、温度センサ32による検出温度が35℃を超えると、排気ファン17が駆動される。ディスクトレイ21が引出し位置に位置し、トレイ挿入孔4bが露呈しているときには、排気ファン17は停止され、ケース4外部の粉塵がトレイ挿入孔4bを通ってケース4内部に侵入することが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンを有するディスク装置及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスク装置は、ターンテーブルに装着されたディスクを回転させながら、ピックアップヘッドを移動して、ディスクにデータを高密度で記録したり、あるいはディスクからデータを読み出しする。ピックアップヘッドは、発光素子から照射されたレーザ光をディスクの記録面に集光する対物レンズが組み込まれている。このディスク装置は、電子機器、例えばパソコン本体等に内蔵されたり、あるいは外付けされる。外付けタイプのディスク装置は、ディスクが載せられるディスクトレイを有し、ディスクトレイは、ケース内部に格納される格納位置と、ケースから引き出された引出し位置との間で移動する。このため、ケースには、ディスクトレイを挿入するためのトレイ挿入孔が形成されている。
【0003】
外付けタイプのディスク装置は、ケース内部に、ピックアップヘッドの駆動を制御するCPU等の回路チップが実装された回路基板と、ケース内部の空気をケース外部に排気する排気ファンとが設けられている。排気ファンは、CPUから発せられた熱をケース外部に放出することにより、CPUの温度上昇を防止している。
【0004】
また、ディスク装置を内蔵したパソコン本体では、本体ケース内部に、ディスク装置と、ディスク装置の駆動を制御するCPUが実装された回路基板と、CPUから発せられた熱を外部に放出するための排気ファンとが設けられている。外付けタイプのディスク装置と同様に、本体ケースにはトレイ挿入孔が形成され、ディスクトレイが、本体ケース内部に格納される格納位置と、本体ケースから引き出された引出し位置との間で移動する。
【0005】
パソコン本体では、通常モードの他に、通常モードよりも消費電力を抑制した省電力モードを設けるのが一般的であり、特許文献1では、省電力モードとしてのパワーセーブモードでは、通常モードよりも低速で排気ファンを駆動している。また、特許文献2では、省電力モードとしてのスタンバイモードでは通常モードよりも低速で排気ファンを駆動し、省電力モードとしてのスリープモード及びサスペンドモードでは排気ファンを停止している。これにより、省電力モードでの消費電力を抑制している。
【特許文献1】特開平2−299009号公報
【特許文献1】特許第3722939号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2では、通常モードのときには、常に排気ファンを駆動している。ディスクトレイが引出し位置に位置するときには、トレイ挿入孔が露呈するため、排気ファンの駆動により、ケース外部の粉塵がトレイ挿入孔からケース内部に吸い込まれ、ピックアップヘッドに粉塵が付着することがあった。ピックアップヘッド、特に対物レンズに粉塵が付着すると、ディスクにデータを記録したり、ディスクからデータを読み出したりすることができなくなる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ディスクトレイを引き出したときのピックアップヘッドへの粉塵の付着を防止することができるディスク装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のディスク装置は、ディスクを装填し、ケースから引き出された引出し位置と、前記ケース内部に格納された格納位置との間でディスクトレイが移動するディスク装置において、前記ケース内部に設けられ、前記ディスクにデータの記録/再生を行うピックアップヘッドと、前記ディスクトレイの位置を検出する位置検出手段と、前記ケース内部に設けられ、前記ケース内部の空気を前記ケース外部に排気する排気ファンと、前記位置検出手段の検出結果に基づいて、前記排気ファンの駆動を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、前記制御手段は、前記位置検出手段で前記ディスクトレイが格納位置に位置することが検出されているときには前記排気ファンを駆動可能とし、前記位置検出手段で前記ディスクトレイが格納位置に位置することが検出されていないときには前記排気ファンを停止することが好ましい。
【0010】
さらに、前記本体ケース内部に設けられ、前記本体ケース内部の温度を検出する温度センサと、前記位置検出手段で前記ディスクトレイが格納位置に位置することが検出されていないときに、前記温度センサでの検出温度が第1所定温度を超えたことに応答して、それを報知する報知手段と、を備えることが好ましい。
【0011】
また、前記ディスクトレイを移動するトレイ移動機構を備え、前記トレイ移動機構は、前記位置検出手段で前記ディスクトレイが格納位置に位置することが検出されていないときに、前記温度センサでの検出温度が前記第1所定温度よりも高温の第2所定温度を超えたことに応答して、前記ディスクトレイを前記格納位置に移動することが好ましい。
【0012】
さらに、前記ディスクトレイを移動するトレイ移動機構を備え、前記トレイ移動機構は、前記位置検出手段で前記ディスクトレイが格納位置に位置することが検出されていないときに、前記温度センサでの検出温度が所定温度を超えたことに応答して、前記ディスクトレイを前記格納位置に移動することが好ましい。
【0013】
また、前記ケース内部に設けられ、前記ケース外部の空気を前記ケース内部に吸気する吸気ファンを備え、前記制御手段は、前記位置検出手段で前記ディスクトレイが格納位置に位置することが検出されているときには、前記排気ファンを駆動可能とするとともに前記吸気ファンを停止し、前記位置検出手段で前記ディスクトレイが格納位置に位置することが検出されていないときには、排気量と吸気量とがほぼ同じになるように前記排気ファン及び吸気ファンを駆動することが好ましい。
【0014】
さらに、本発明の電子機器は、ディスクを装填し、ケースから引き出された引出し位置と前記ケース内部に格納された格納位置との間で移動するディスクトレイと、前記ケース内部に設けられ、前記ディスクにデータの記録/再生を行うピックアップヘッドと、前記ディスクトレイの位置を検出する位置検出手段とを有するディスク装置と、前記ディスク装置を収納する本体ケースと、前記本体ケース内部に設けられ、前記本体ケース内部の空気を前記本体ケース外部に排気する排気ファンと、前記位置検出手段の検出結果に基づいて、前記排気ファンの駆動を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。なお、前記電子機器としては、コンピュータシステムの一部を構成するパソコン本体や、ハードディスク内蔵DVDレコーダ等が挙げられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ディスクトレイの位置を検出する位置検出手段の検出結果に基づいて、排気ファンの駆動を制御するから、ディスクトレイの開閉状態に応じた排気ファン制御を行うことができる。
【0016】
また、制御手段は、ディスクトレイが引出し位置に位置するときには、排気ファンを停止するから、ディスクトレイが引出し位置に位置するときに、排気ファンの駆動で、ケース外部の粉塵がケース内部に侵入することがない。これにより、ケース外部の粉塵が、ピックアップヘッドや対物レンズに付着するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[第1実施形態]
図1及び図2に示すように、ディスク装置2は、ディスク3にデータの記録及び再生を行うものであり、コンピュータシステムの一部を構成するパソコン本体等に外付けされて使用される。
【0018】
ディスク装置2は、ケース4の内部に、ディスク再生メカ5と、回路基板6とが組み込まれている。ディスク再生メカ5は、ディスク3を回転させるスピンドルモータ7と、ディスク3にデータの記録/再生を行うピックアップヘッド8と、ピックアップベース9とを備える。スピンドルモータ7の駆動軸には、ディスク3が装着されるターンテーブル10が固定されている。ディスク3は、中央にディスク孔3aが形成されている。ターンテーブル10には、チャッキングヘッド11が設けられ、ディスク3のディスク孔3aに挿入される。ディスク孔3aに挿入されたチャッキングヘッド11が、ケース4内部に設けられたクランパ(図示せず)に結合(吸着)することで、ディスク3はターンテーブル10とクランパとの間で挟持された状態となり、回転可能となる。
【0019】
ピックアップヘッド8は、発光素子から照射されたレーザ光をディスク3の記録面に集光する対物レンズ13が組み込まれている。ピックアップヘッド8は、ピックアップベース9に取り付けられた保持シャフト14に移動自在に保持されている。ピックアップヘッド8は、モータ及びギア等を有する周知の移動機構により、ディスク3の径方向であるA方向に移動される。
【0020】
回路基板6には、スピンドルモータ7及びピックアップヘッド8の駆動を制御するCPU16が設けられている。CPU16には、排気ファン17が取り付けられている。ケース4の後面には、排気ファン17に対面する位置に、複数の放熱孔4aが形成されている。排気ファン17は、CPU16により駆動が制御され、ケース4内部の空気を、放熱孔4aを通してケース4外部に排気することにより、CPU16から発せられた熱をケース4外部に放熱する。
【0021】
ケース4には、ディスクトレイ21が移動可能に取り付けられている。ディスクトレイ21は、図3に示すように、ディスク3の再生時にケース4内部に格納される格納位置と、図1及び図2に示すように、ケース4から引き出された引出し位置との間で移動する。ディスクトレイ21は、モータ及びギア等を有する周知のトレイ移動機構22により移動される。
【0022】
図1及び図2に示すように、ディスクトレイ21は、ディスク3が装填されるものであり、ディスク3の外径に対応した窪みが形成されている。ディスクトレイ21の中心部には、格納位置に位置するときにスピンドルモータ7及びターンテーブル10が挿通される挿通孔21aが形成され、この挿通孔21aに連続して、ピックアップヘッド8がディスク3にアクセスするためのアクセス開口21bが形成されている。
【0023】
ケース4の前面には、ディスクトレイ21が挿入されるトレイ挿入孔4bが形成されている。図3に示すように、ディスクトレイ21が格納位置に位置するときには、トレイ挿入孔4bはディスクトレイ21により遮蔽され、図1及び図2に示すように、ディスクトレイ21が引出し位置に位置するときには、トレイ挿入孔4bとディスクトレイ21との間に隙間がある。
【0024】
ケース4の前面には、ディスクトレイ21開閉(移動)用の開閉スイッチ26、LED27が設けられている。開閉スイッチ26及びLED27は、CPU16に接続されている。開閉スイッチ26は、押圧されると、CPU16に信号を出力する。LED27は、点灯状態、点滅状態、消灯状態に変化可能であり、CPU16により制御される。
【0025】
ケース4の内部には、位置検出スイッチ31と、温度センサ32とが設けられている。位置検出スイッチ31は、ディスクトレイ21の位置を検出するものであり、例えば、図2における左方に倒れた左倒位置と、右方に倒れた右倒位置とに回転可能なスイッチ片31aを有する回転スイッチから構成されている。位置検出スイッチ31は、ディスクトレイ21の下方に配されている。
【0026】
ディスクトレイ21が格納位置に移動すると、位置検出スイッチ31のスイッチ片31aは、ディスクトレイ21に当接して右倒位置に回転する。位置検出スイッチ31は、スイッチ片31aが右倒位置に回転しているときには、CPU16に格納信号を出力する。ディスクトレイ21が引出し位置に移動すると、スイッチ片31aは、ディスクトレイ21に当接して左倒位置に回転する。位置検出スイッチ31は、スイッチ片31aが左倒位置に回転しているときには、CPU16に引出信号を出力する。ディスクトレイ21が格納位置と引出し位置との間に位置するときには、スイッチ片31aは、左倒位置と右倒位置との間の中間位置に位置する。位置検出スイッチ31は、スイッチ片31aが中間位置に位置するときには、CPU16に信号を出力しない。温度センサ32は、CPU16の温度を検出する。なお、ディスクトレイ21の移動に応じてスライドするスライダを設け、このスライダにより位置検出センサ31のスイッチ片31aを回転させるようにしてもよい。
【0027】
次に、ディスク装置2の作用について説明する。図3に示すように、ディスクトレイ21が格納位置に位置するときには、位置検出スイッチ31からCPU16に格納信号が入力されている。CPU16は、格納信号が入力されているときには、排気ファン17を駆動可能にするとともに、LED27を消灯する。また、CPU16は、格納信号が入力されているときには、温度センサ32による検出温度が、35℃を超えているか否かを判定する。CPU16は、検出温度が35℃を超えたと判定すると、排気ファン17を駆動する。排気ファン17の駆動により、CPU16から発せられた熱は、放熱孔4aを通してケース4の外部に放熱される。また、CPU16は、検出温度が35℃を超えていない場合には、排気ファン17を停止する。なお、上記温度は、適宜変更可能である。また、CPU16は、格納信号が入力されているときには、常に排気ファン17を駆動するようにしてもよい。
【0028】
ディスクトレイ21にディスク3を装填するときには、開閉スイッチ26を押圧する。図1及び図2に示すように、CPU16は、開閉スイッチ26から信号が入力されたことに応答して、トレイ移動機構22を駆動し、ディスクトレイ21を引出し位置に移動する。ディスクトレイ21が引出し位置に移動すると、CPU16に引出信号が入力される。CPU16は、引出信号が入力されたことに応答して、排気ファン17が駆動中であればその駆動を停止する。これにより、ディスクトレイ21が引出し位置に位置しトレイ挿入孔4bが露呈しているときに、排気ファン17の駆動で、ケース4外部の粉塵がトレイ挿入孔4bを通ってケース4内部に侵入することがなく、ケース4外部の粉塵が、ピックアップヘッド8や対物レンズ13に付着するのを防止することができる。
【0029】
また、CPU16は、引出信号が入力されているときには、温度センサ32による検出温度が、40℃(第1所定温度)及び45℃(第2所定温度)を超えているか否かを判定する。CPU16は、その温度が45℃を超えると、温度上昇により壊れる可能性が高くなるため、検出温度が危険温度である45℃に近付いたときには、警告することが好ましい。そこで、CPU16は、検出温度が40℃を超えたと判定すると、LED27を点滅させることにより警告する。さらに、検出温度が危険温度である45℃を超えたときには、直ぐに排気ファン17を駆動してケース4内部の温度を下げる必要がある。そこで、CPU16は、検出温度が45℃を超えたと判定すると、LED27を点灯させることにより警告した後、トレイ移動機構22を駆動して、ディスクトレイ21を格納位置に移動する。なお、上記温度は、適宜変更可能である。
【0030】
引出し位置に位置するディスクトレイ21にディスク3を搭載した後、開閉スイッチ26を押圧すると、CPU16は、トレイ移動機構22を駆動して、ディスクトレイ21を格納位置に移動する。
【0031】
ディスクトレイ21が格納位置に移動すると、位置検出スイッチ31からCPU16に格納信号が入力される。CPU16は、格納信号が入力されたことに応答して、排気ファン17を駆動可能にし、温度センサ32による検出温度が35℃を超えたと判定すると、排気ファン17を駆動する。
【0032】
[第2実施形態]
図4の第2実施形態は、ファンを2個設けたディスク装置40を示す。なお、第1実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0033】
ケース4の前面(図4における左面)には前面通気孔4cが形成され、ケース4の後面(図4における右面)には後面通気孔4dが形成されている。ケース4の内部には、前面通気孔4cに対面する吸気ファン41と、後面通気孔4dに対面する排気ファン42とが設けられている。各ファン41,42は、ディスク再生メカ5の下方に設けられている。吸気ファン41は、前面通気孔4cを通してケース4外部の空気をケース4内部に吸気する。排気ファン42は、後面通気孔4dを通してケース4内部の空気をケース4外部に排気する。
【0034】
ディスクトレイ21が格納位置に位置するときには、CPU16は、排気ファン42のみを駆動可能とし、温度センサ32による検出温度が35℃を超えたと判定すると、排気ファン42を駆動する。また、ディスクトレイ21が引出し位置に位置するときには、CPU16は、吸気ファン41及び排気ファン42の両方を駆動可能とし、温度センサ32による検出温度が35℃を超えたと判定すると、吸気ファン41及び排気ファン42を駆動する。両方を駆動するときには、CPU16は、吸気ファン41の吸気量と排気ファン42の排気量とがほぼ同じになるように調整する。なお、ディスクトレイ21が格納位置に位置しないとき、すなわち、格納信号がCPU16に入力されていないときに、吸気ファン41及び排気ファン42を駆動するようにしてもよい。
【0035】
吸気ファン41の吸気量と排気ファン42の排気量とをほぼ同じにすると、吸気ファン41でケース4内部に吸気された空気が、そのまま排気ファン42でケース4外部に排気されるため、各ファン41,42が駆動しているときに、ピックアップヘッド8の周囲を通気しない。これにより、ディスクトレイ21が引出し位置に位置するときに、排気ファン42の駆動で、ケース4外部の粉塵がトレイ挿入孔4bを通ってケース4内部に侵入することがない。
【0036】
[第3実施形態]
図5及び図6の第3実施形態は、ディスク装置60を内蔵しコンピュータシステムの一部を構成するディスク装置内蔵パソコン本体(パソコン本体と称する)50を示す。なお、第1実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0037】
パソコン本体50は、本体ケース51の内部に、ディスク装置60と、回路基板52と、ハードディスクドライブ装置53とが組み込まれている。ハードディスクドライブ装置53は、ハードディスクにデータの記録及び再生を行う。
【0038】
回路基板52には、CPU54と排気ファン55とが組み付けられている。CPU54は、ディスク装置60及びハードディスクドライブ装置53の駆動を制御するものであり、排気ファン55に近接した位置に組み付けられている。
【0039】
ディスク装置60は、ケース4内部にディスク再生メカ5が設けられおり、ディスクトレイ21は、ディスク3の再生時にケース4内部に格納される格納位置(図6参照)と、ケース4から引き出された引出し位置(図5参照)との間で移動する。ケース4は、その前面が本体ケース51の前面と略同一面となるように、本体ケース51に取り付けられている。ディスクトレイ21は、引出し位置に位置するときには、本体ケース51の前面から突出する。ディスクトレイ21は、ケース4内部に設けられたトレイ移動機構22により移動される。ディスクトレイ21には、ディスク3を保持するためのディスク保持リブ21cが形成されている。
【0040】
ケース4内部に設けられた位置検出スイッチ31は、ディスクトレイ21が格納位置に位置することを検出しているときには、CPU16に格納信号を出力し、ディスクトレイ21が引出し位置に位置することを検出しているときには、CPU54に引出信号を出力する。本体ケース51の内部には、CPU16の温度を検出する温度センサ57が設けられている。ディスク装置60とCPU54とは、IDEインターフェイスなどで接続されており、格納信号及び引出信号は、IDEインターフェイスを介してCPU16からCPU54に出力される。
【0041】
ケース4の前面には、ディスクトレイ21開閉(移動)用の開閉スイッチ26と、LED27とが設けられている。本体ケース51の後面には、排気ファン55に対面する位置に、複数の放熱孔51aが形成されている。排気ファン55は、CPU54により駆動が制御され、CPU54から発せられた熱を、放熱孔51aを通して本体ケース51外部に放熱する。また、排気ファン55が駆動すると、ケース4内部の空気は、ケース4に形成されたコネクタ接続用の開口等を通して本体ケース51内部に流れ込み、放熱孔51aを通して本体ケース51外部に排気される。これにより、ケース4内部のCPU16から発せられた熱を、本体ケース51外部に放熱することができる。
【0042】
ケース4の前面には、ディスクトレイ21が挿入されるトレイ挿入孔4bが形成されている。図6に示すように、ディスクトレイ21が格納位置に位置するときには、トレイ挿入孔4bはディスクトレイ21により遮蔽され、図5に示すように、ディスクトレイ21が引出し位置に位置するときには、トレイ挿入孔4bとディスクトレイ21との間に隙間がある。
【0043】
次に、パソコン本体50の作用について説明する。図6に示すように、ディスクトレイ21が格納位置に位置するときには、IDEインターフェイスを介して位置検出スイッチ31からCPU54に格納信号が入力され、CPU54は、排気ファン55を駆動可能とするとともに、IDEインターフェイス及びCPU16を介してLED27を消灯する。また、CPU54は、格納信号が入力されているときには、温度センサ57による検出温度が、35℃を超えているか否かを判定する。CPU54は、検出温度が35℃を超えたと判定すると、排気ファン55を駆動する。
【0044】
CPU16は、開閉スイッチ26から信号が入力されたことに応答して、トレイ移動機構22を駆動し、ディスクトレイ21を引出し位置に移動する。ディスクトレイ21が引出し位置に移動すると、IDEインターフェイスを介してCPU54に引出信号が入力される。CPU54は、引出信号が入力されたことに応答して、排気ファン55が駆動中であればその駆動を停止する。これにより、ディスクトレイ21が引出し位置に位置するときに、排気ファン55の駆動で、本体ケース51外部の粉塵がトレイ挿入孔4bを通ってケース4内部に侵入することがなく、さらには、ケース4に形成されたコネクタ接続用の開口等を通して、本体ケース51外部の粉塵が本体ケース51内部に侵入することがない。ケース4内部への粉塵の侵入を防止することにより、ピックアップヘッド8や対物レンズ13に粉塵が付着することを防止することができる。
【0045】
また、CPU54は、IDEインターフェイスを介して引出信号が入力されているときには、温度センサ57による検出温度が、40℃及び45℃を超えているか否かを判定する。CPU54は、その温度が45℃を超えると、温度上昇により壊れる可能性が高くなるため、検出温度が危険温度である45℃に近付いたときには、警告することが好ましい。そこで、CPU54は、検出温度が40℃を超えたと判定すると、CPU16を介してLED27を点滅させることにより警告する。さらに、検出温度が危険温度である45℃を超えたときには、直ぐに排気ファン55を駆動して本体ケース51内部の温度を下げる必要がある。そこで、CPU54は、検出温度が45℃を超えたと判定すると、IDEインターフェイス及びCPU16を介してLED27を点灯させることにより警告した後、トレイ移動機構22をCPU16により駆動して、ディスクトレイ21を格納位置に移動する。
【0046】
引出し位置に位置するディスクトレイ21にディスク3を搭載した後、開閉スイッチ26を押圧すると、CPU16は、トレイ移動機構22を駆動して、ディスクトレイ21を格納位置に移動する。
【0047】
ディスクトレイ21が格納位置に移動すると、位置検出スイッチ31からIDEインターフェイスを介してCPU54に格納信号が入力される。CPU54は、格納信号が入力されたことに応答して、排気ファン55を駆動可能にし、温度センサ57による検出温度が35℃を超えたと判定すると、排気ファン55を駆動する。
【0048】
なお、上記第1,第3実施形態では、CPU16,54は、検出温度が45℃を超えたと判定すると、LED27を点灯させた後、ディスクトレイ21を格納位置に移動したが、ディスクトレイ21を格納位置に移動する代わりに、排気ファン17,55を駆動してもよい。また、検出温度が40℃を超えたと判定すると、LED27を点滅させることにより、先ずは警告のみを行うようにしたが、検出温度が40℃(所定温度)を超えたと判定すると、ディスクトレイ21を格納位置に移動するようにしてもよい。なお、上記温度は、適宜変更可能である。
【0049】
また、上記第1,第3実施形態では、ディスクトレイ21が引出し位置に位置するときには、排気ファン17,55を停止したが、停止せずに、ディスクトレイ21が格納位置に位置するときに比べて排気ファン17,55を低速で駆動するようにしてもよい。
【0050】
さらに、上記第1,第3実施形態では、ディスクトレイ21が引出し位置に位置し、引出信号がCPU16,54に入力されているときに、排気ファン17,55を停止したが、ディスクトレイ21が格納位置に位置しないとき、すなわち、格納信号がCPU16,54に入力されていないときに、排気ファン17,55を停止するようにしてもよい。もちろん、格納位置に位置するときに比べて排気ファン17,55を低速で駆動するようにしてもよい。これにより、ディスクトレイ21の引出しが途中で妨げられ、ディスクトレイ21が格納位置と引出し位置との間に位置するときであっても、排気ファン17,55を停止させることができる。
【0051】
さらに、各ファン17,55を、排気状態と吸気状態とに変化可能な排気・吸気ファンから構成し、ディスクトレイ21が格納位置に位置するときには、排気・吸気ファンを排気状態にし、ディスクトレイ21が引出し位置に位置するときには、排気・吸気ファンを吸気状態にしてもよい。もちろん、ディスクトレイ21が格納位置に位置しないときに、排気・吸気ファンを吸気状態にするようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、温度センサ32,57でCPU16,54の温度を検出したが、温度を検出する対象物は、適宜変更可能であり、例えば、ピックアップヘッド8の温度を検出してもよい。
【0053】
さらに、上記実施形態では、位置検出スイッチ31でディスクトレイ21の位置を検出したが、その検出方法は適宜変更可能であり、例えば、光を発光する発光部と光を受光する受光部とを有する光センサにより検出してもよい。この場合には、ディスクトレイ21の側面の先端部(図2における下端部)に、光を反射する反射板を取り付け、ケース4内部の先端側(図2における下端側)に光センサを設ける。発光部は、ディスクトレイ21の側面に向けて光を発光し、ディスクトレイ21の側面で反射した光を受光部で受光する。ディスクトレイ21が格納位置に位置するときには、発光部から発光された光は、反射板で反射されて受光部で受光される。ディスクトレイ21が引出し位置に移動すると、発光部から発光された光はディスクトレイ21の側面で反射されなくなるため、受光部での受光量が減少する。光センサは、受光量に基づいて、ディスクトレイ21の位置を検出する。
【0054】
また、上記第1,第3実施形態では、ディスクトレイ21が自動で移動するディスク装置2及びディスク装置60を内蔵したパソコン本体50に本発明を実施したが、ディスクトレイ21を手動で移動させるディスク装置及びパソコン本体に実施してもよい。この場合には、CPU16,54は、検出温度が45℃を超えたと判定すると、LED27を点灯させた後、排気ファン17,55を駆動する。
【0055】
さらに、上記実施形態では、LED27の点滅及び点灯により、検出温度が40℃及び45℃を超えたことを報知したが、報知方法は適宜変更可能であり、例えば、音により報知してもよい。また、第3実施形態のように、パソコン本体50に本発明を実施する場合は、パソコン本体50の本体ケース51に別途LEDを設けて報知してもよい。さらには、パソコン本体50に接続されたディスプレイ画面上に、ディスクトレイ21を閉めるように促すメッセージを表示させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明を実施したディスク装置を示す斜視図である。
【図2】ディスクトレイが引出し位置に位置する状態のディスク装置の上面断面図である。
【図3】ディスクトレイが格納位置に位置する状態のディスク装置の斜視図である。
【図4】吸気ファンと排気ファンとを設けた実施形態のディスク装置の側面断面図である。
【図5】ディスク装置を内蔵したパソコン本体を示す斜視図である。
【図6】パソコン本体の側面断面図である。
【符号の説明】
【0057】
2,40,60 ディスク装置
3 ディスク
4 ケース
4a,51a 放熱孔
4b トレイ挿入孔
5 ディスク再生メカ
8 ピックアップヘッド
16,54 CPU(制御手段)
17,42,55 排気ファン
21 ディスクトレイ
22 トレイ移動機構
27 LED(報知手段)
31 位置検出スイッチ(位置検出手段)
32,57 温度センサ
41 吸気ファン
50 パソコン本体(電子機器)
51 本体ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを装填し、ケースから引き出された引出し位置と、前記ケース内部に格納された格納位置との間でディスクトレイが移動するディスク装置において、
前記ケース内部に設けられ、前記ディスクにデータの記録/再生を行うピックアップヘッドと、
前記ディスクトレイの位置を検出する位置検出手段と、
前記ケース内部に設けられ、前記ケース内部の空気を前記ケース外部に排気する排気ファンと、
前記位置検出手段の検出結果に基づいて、前記排気ファンの駆動を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記位置検出手段で前記ディスクトレイが格納位置に位置することが検出されているときには前記排気ファンを駆動可能とし、前記位置検出手段で前記ディスクトレイが格納位置に位置することが検出されていないときには前記排気ファンを停止することを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記本体ケース内部に設けられ、前記本体ケース内部の温度を検出する温度センサと、
前記位置検出手段で前記ディスクトレイが格納位置に位置することが検出されていないときに、前記温度センサでの検出温度が第1所定温度を超えたことに応答して、それを報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする請求項1または2記載のディスク装置。
【請求項4】
前記ディスクトレイを移動するトレイ移動機構を備え、
前記トレイ移動機構は、前記位置検出手段で前記ディスクトレイが格納位置に位置することが検出されていないときに、前記温度センサでの検出温度が前記第1所定温度よりも高温の第2所定温度を超えたことに応答して、前記ディスクトレイを前記格納位置に移動することを特徴とする請求項3記載のディスク装置。
【請求項5】
前記ディスクトレイを移動するトレイ移動機構を備え、
前記トレイ移動機構は、前記位置検出手段で前記ディスクトレイが格納位置に位置することが検出されていないときに、前記温度センサでの検出温度が所定温度を超えたことに応答して、前記ディスクトレイを前記格納位置に移動することを特徴とする請求項1または2記載のディスク装置。
【請求項6】
前記ケース内部に設けられ、前記ケース外部の空気を前記ケース内部に吸気する吸気ファンを備え、
前記制御手段は、前記位置検出手段で前記ディスクトレイが格納位置に位置することが検出されているときには、前記排気ファンを駆動可能とするとともに前記吸気ファンを停止し、前記位置検出手段で前記ディスクトレイが格納位置に位置することが検出されていないときには、排気量と吸気量とがほぼ同じになるように前記排気ファン及び吸気ファンを駆動することを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項7】
ディスクを装填し、ケースから引き出された引出し位置と前記ケース内部に格納された格納位置との間で移動するディスクトレイと、前記ケース内部に設けられ、前記ディスクにデータの記録/再生を行うピックアップヘッドと、前記ディスクトレイの位置を検出する位置検出手段とを有するディスク装置と、
前記ディスク装置を収納する本体ケースと、
前記本体ケース内部に設けられ、前記本体ケース内部の空気を前記本体ケース外部に排気する排気ファンと、
前記位置検出手段の検出結果に基づいて、前記排気ファンの駆動を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−211786(P2009−211786A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56075(P2008−56075)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)