説明

ディスク装置

【課題】消費電力の低減を図るディスク装置を提供する。
【解決手段】電池11により駆動され、電池11の残量を検出する残量検出手段と、ディスクに記録された情報を読み出す読み出し手段と、該読み出し手段がディスクから読み出した情報を記録する記録手段と、該記録手段が記録した情報を読み出す記録情報読み出し手段とを備えるディスク装置1において、前記残量検出手段が検出した電池11の残量が第一閾値以上か否か判定する第一判定手段を備え、前記読み出し手段は、前記第一判定手段が第一閾値以上であると判定した場合、前記情報を倍速以上で読み出すようにしてあり、前記第一判定手段が第一閾値以上でないと判定し、かつ前記記録情報読み出し手段が前記記録手段に記録された全ての情報を読み出した場合、前記情報を1倍速で読み出すようにしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクに記録された情報を再生するディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池により駆動されるディスク装置の場合、電池容量が限られているため、消費電力を抑え、連続動作時間を延ばすことが要望される。特許文献1には、ディスクを回転させるスピンドルモータを通常より高速で回転させ、ディスクから読み出した情報をメモリに間欠的に記録することにより、システム全体の消費電力を削減するディスク装置が開示されている。特許文献1に係るディスク装置は、電池電圧が所定値以下になった場合、良好な再生動作を維持するために、スピンドルモータの回転速度を通常速度に戻す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−149716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係るディスク装置は、スピンドルモータの回転と停止とを間欠的に繰り返すため、回転再開時に回転数を元の回転数に戻すまでの電力消費は無駄である。そもそも、メモリの大容量化に伴い、ディスクに記録された情報の読み出し及びメモリへの記録を間欠的に繰り返す利点はない。また、電池電圧が所定値以下になったとしても、メモリに未読の情報が残っている場合、ディスクドライブへの給電を停止することができ、ましてやスピンドルモータの回転速度を通常速度に戻す必要もない。
【0005】
本願に係るディスク装置は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、消費電力の低減を図るディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係るディスク装置は、電池により駆動され、前記電池の残量を検出する残量検出手段と、ディスクに記録された情報を読み出す読み出し手段と、該読み出し手段がディスクから読み出した情報を記録する記録手段と、該記録手段が記録した情報を読み出す記録情報読み出し手段とを備えるディスク装置において、前記残量検出手段が検出した電池の残量が第一閾値以上か否か判定する第一判定手段を備え、前記読み出し手段は、前記第一判定手段が第一閾値以上であると判定した場合、前記情報を倍速以上で読み出すようにしてあり、前記第一判定手段が第一閾値以上でないと判定し、かつ前記記録情報読み出し手段が前記記録手段に記録された全ての情報を読み出した場合、前記情報を1倍速で読み出すようにしてあることを特徴とする。
【0007】
本願に係るディスク装置は、前記読み出し手段又は前記記録情報読み出し手段が読み出した情報を選択する選択手段を備え、該選択手段は、前記記録情報読み出し手段が前記記録手段に記録された全ての情報を読み出していない場合、前記記録情報読み出し手段が読み出した情報を選択するようにしてあり、前記記録情報読み出し手段が前記記録手段に記録された全ての情報を読み出した場合、前記読み出し手段が読み出した情報を選択するようにしてあることを特徴とする。
【0008】
本願に係るディスク装置は、前記残量検出手段が検出した電池の残量が前記第一閾値より小さい第二閾値以下か否か判定する第二判定手段と、前記選択手段が選択した情報に基づき、前記ディスクに記録された情報を表示する表示手段と、前記第二判定手段が第二閾値以下であると判定した場合、前記表示手段への給電を停止する手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本願に係るディスク装置は、前記読み出し手段又は前記記録情報読み出し手段が読み出した情報を、前記表示手段が表示可能な電気信号に変換する変換手段と、前記第二判定手段が第二閾値以下であると判定した場合、前記変換手段への給電を停止する手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本願に係るディスク装置は、前記残量検出手段は、電池の残量を随時検出するようにしてあり、前記残量検出手段が随時検出した電池の残量の経時的変化を記録する残量記録手段と、前記電池の残量の経時的変化パターンを複数記録したパターン記録手段と、該パターン記録手段が複数記録した残量の経時的変化パターンの内、前記残量記録手段が記録した残量の経時的変化により近い残量の経時的変化パターンを抽出する抽出手段と、該抽出手段が抽出した残量の経時的変化パターンに基づいて、前記電池の残量の第一閾値又は第二閾値を設定する手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本願に係るディスク装置は、前記ディスクを挿入及び排出する挿排口を有する筐体と、前記挿排口を開閉する扉体と、前記第二判定手段が第二閾値以下であると判定した場合、前記扉体をロックするロック手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
本願に係るディスク装置は、前記残量検出手段が検出した電池の残量が前記第一閾値より小さい第二閾値以下か否か判定する第二判定手段と、前記ディスクを挿入及び排出する挿排口を有する筐体と、前記挿排口を開閉する扉体と、前記第二判定手段が第二閾値以下であると判定した場合、前記扉体をロックするロック手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
本願に係るディスク装置は、前記扉体が閉じたことを検出する検出手段を備え、前記ロック手段は、前記第二判定手段が第二閾値以下であると判定し、かつ前記検出手段が扉体が閉じたことを検出した場合、該扉体をロックするようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本願に係るディスク装置では、ディスクに記録された情報を読み出す読み出し手段、読み出し手段がディスクから読み出した情報を記録する記録手段、及び記録手段が記録した情報を読み出す記録情報読み出し手段を備えている。また、本願に係るディスク装置は、電池の残量が第一閾値以上か否か判定する第一判定手段を備えている。第一判定手段により電池の残量が第一閾値以上と判定された場合、読み出し手段はディスクに記録された情報を倍速以上で読み出す。第一判定手段により電池の残量が第一閾値以上ではないと判定され、かつ記録情報読み出し手段が記録手段に記録された全ての情報を読み出した場合、読み出し手段はディスクに記録された情報を1倍速で読み出す。
【0015】
本願に係るディスク装置では、記録情報読み出し手段が記録手段に記録された全ての情報を読み出していない場合、選択手段は記録情報読み出し手段が読み出した情報を選択する。記録情報読み出し手段が記録手段に記録された全ての情報を読み出した場合、選択手段は読み出し手段が読み出した情報を選択する。
【0016】
本願に係るディスク装置では、電池の残量が第一閾値より小さい第二閾値以下か否か判定する第二判定手段、及び選択手段が選択した情報に基づいて、ディスクに記録された情報を表示する表示手段を備えている。第二判定手段により電池の残量が第二閾値以下であると判定された場合、表示手段への給電は停止される。
【0017】
本願に係るディスク装置では、変換手段は、読み出し手段又は記録情報読み出し手段が読み出した情報を、表示手段が表示可能な電気信号に変換する。第二判定手段により電池の残量が第二閾値以下と判定された場合、変換手段への給電は停止される。
【0018】
本願に係るディスク装置では、随時検出した電池の残量の経時的変化を記録する残量記録手段と、電池の残量の経時的変化パターンを複数記録したパターン記録手段とを備えている。パターン記録手段が記録する残量の経時的変化パターンの内、残量記録手段が記録した残量の経時的変化により近い残量の経時的変化パターンを抽出する。抽出した残量の経時的変化パターンに基づいて、第一閾値又は第二閾値が設定される。電池の残量の経時的変化パターンは、電池の劣化の程度によって異なるため、第一閾値又は第二閾値は電池の劣化の程度によって異なる。
【0019】
本願に係るディスク装置では、筐体はディスクを挿入及び排出する挿排口を有する。ディスク装置は、挿排口を開閉する扉体を備えている。第二判定手段により電池の残量が第二閾値以下と判定された場合、扉体をロックし、扉体が開かないようにする。
【0020】
本願に係るディスク装置では、電池の残量が第一閾値より小さい第二閾値以下か否か判定する第二判定手段を備えている。筐体はディスクを挿入及び排出する挿排口を有する。ディスク装置は、挿排口を開閉する扉体を備えている。第二判定手段により電池の残量が第二閾値以下と判定された場合、扉体をロックし、扉体が開かないようにする。
【0021】
本願に係るディスク装置では、扉体が閉じたことを検出する検出手段を備えている。第二判定手段により電池の残量が第二閾値以下と判定され、かつ検出手段により扉体が閉じたことが検出された場合、扉体をロックし、扉体が開かないようにする。
【発明の効果】
【0022】
本願に係るディスク装置によれば、消費電力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ディスク装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】電池の電圧特性曲線の一例を示す説明図である。
【図3】制御部が実行する処理の手順を示したフローチャートである。
【図4】制御部が実行する処理の手順を示したフローチャートである。
【図5】制御部が実行する処理の手順を示したフローチャートである。
【図6】ディスクドライブの構造を示す説明図である。
【図7】シャッタを閉じた状態にロックするロックピンの周囲の構造を示す説明図である。
【図8】制御部が実行する処理の手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施例におけるディスク装置を、実施の形態を示す図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0025】
実施の形態1
実施の形態1は、電池残量に応じた省電力制御を実行するディスク装置に関する。
【0026】
図1は、ディスク装置1の構成の一例を示すブロック図である。ディスク装置1は、例えばポータブルタイプのBD(Blu-ray Disc、登録商標)プレーヤ、DVD(Digital Versatile Disk)プレーヤ等である。
ディスク装置1は、電池11、電源回路12、ドライブコントローラ13、信号処理回路(変換手段)14、記録部15、制御部16、操作部17、ディスクドライブ(読み出し手段)2及び表示部(表示手段)3を含む。図1における各構成部を接続する実線は電源線を示し、破線は信号線を示している。
【0027】
電池11は、充電可能な二次電池であり、例えばリチウムイオン電池、ニッケル水素電池等である。
電源回路12は、電池11から入力された電力を各構成部に供給する。電源回路12は、電池11の電圧を検出する電圧検出部(残量検出手段)12aを含む。
【0028】
ドライブコントローラ13は、例えばATAインタフェース規格に従うATAコントローラであり、ディスクドライブ2と信号処理回路14及び記録部15との間のデータ転送を行う。
また、ドライブコントローラ13は、制御部16がディスクドライブ2を制御するためのインタフェースでもある。例えば、制御部16は、ディスクの搬出に係る信号を、ドライブコントローラ13を介して、ディスクドライブ2に送信する。
【0029】
信号処理回路14は、ドライブコントローラ13を介して受け付けたディスクドライブ2からの情報を、表示部3で表示可能な形式の電気信号に変換する。また、信号処理回路14は、記録部15からの情報を、表示部3で表示可能な形式の電気信号に変換する。
信号処理回路14は、変換した電気信号を表示部3に送信する。
【0030】
記録部15は、例えばフラッシュメモリ、メモリカード等であり、制御部16が実行するプログラムを記録している。記録部15は、制御部16による処理の過程で必要な作業変数、データ等を一時的に記録する。記録部15は、ディスクドライブ2がディスクから読み出した情報を、ドライブコントローラ13を介して記録する。
また、記録部15は、様々な劣化状態の電池11に対応した電圧特性(電圧の経時的変化)パターンを記録している。
【0031】
制御部16は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)等であり、ディスク装置1の各構成部を制御する。例えば、制御部16は、電圧検出部12aを介して、電池11の電圧を一定時間毎に測定し、記録部15に記録する。制御部16は、電池11の電圧が所定の閾値よりも低くなった場合、電源回路12から各構成部への給電を停止する。
信号処理回路14が表示部3で表示可能な形式の電気信号に変換する情報は、ディスクドライブ2からの情報と、記録部15からの情報とがある。信号処理回路14に入力される情報の選択は、制御部16により制御される。
【0032】
操作部17は、例えばボタン群からなり、ディスクの再生、ディスクの搬出等の信号を制御部16に送信する。
【0033】
ディスクドライブ2は、ディスクに記録された映像情報又は音声情報を信号として再生し、その信号をドライブコントローラ13に出力する。
ディスクドライブ2のディスク挿入方式は、ディスクを挿排口から直接筐体に入れるスロットイン方式である。
【0034】
ディスクドライブ2は、制御部16からの制御により、ディスクの読み出し速度を倍速又は倍速以上に変更することができる。ここでの倍速は、2倍速、4倍速、8倍速等の内、1倍速より速ければよく、特定の速度に限定されない。なお、1倍速は、DVD系のディスクの場合、例えば1.35MB/秒の速さでデータを転送する回転速度であり、BD系のディスクの場合、例えば4.5MB/秒の速さでデータを転送する回転速度である。
【0035】
表示部3は、信号処理回路14からの電気信号を受け付け、ディスクに記録された映像情報を表示する。表示部3の画面は、例えば、液晶パネルディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。また、表示部3は、スピーカを含み、ディスクに記録された音声情報をスピーカから出力する。
なお、表示部3は、ディスク装置1に含まれず、ディスク装置1に接続された外部の表示装置であってもよい。
【0036】
次に、ディスク装置1の動作について説明する。
電池11を満充電状態にして、ディスク装置1に装着する。例えば、映画が記録されたディスクをディスクドライブ2の筐体に挿排口から差し込む。ディスクがディスク装置1内部の再生位置に配置され、操作部17の再生ボタンが押下された場合、操作部17は制御部16に所定の信号を送信する。制御部16は、操作部17からの所定の信号に基づき、ディスクドライブ2にディスクの情報の倍速再生を指示する。
なお、制御部16は、ディスクドライブ2に倍速以上の速度による再生を指示してもよい。
【0037】
ディスクドライブ2は、ディスクに記録されている映像情報及び音声情報を倍速で読み出す。制御部16は、ディスクドライブ2に、倍速で読み出した映像情報及び音声情報を、ドライブコントローラ13を介して記録部15に出力させる。記録部15は、受け付けたディスクの情報を記録する。制御部16は、記録部15が記録したディスクの情報をディスクドライブ2の1倍速に相当する速度で読み出し、信号処理回路14に出力する。
なお、制御部16は、記録部15から情報を読み出した後、読み出した情報を記録部15から削除してもよいし、削除しなくてもよい。
【0038】
信号処理回路14は、制御部16を介して記録部15から受け付けた情報を、表示部3で表示可能な形式の電気信号に変換する。信号処理回路14は、変換した電気信号を表示部3に送信する。
表示部3は、信号処理回路14から送信された電気信号に応じた映像を表示すると共に、信号処理回路14から送信された電気信号に応じた音声を出力する。
【0039】
制御部16は、電池11の残量が第一閾値以上か否か一定時間毎に判定する。ここでの第一閾値は、例えばディスクの全情報を1倍速で再生するのに要する電力と、ディスクの搬出に要する電力との合計電力に対応する電圧である。
制御部16は、電池11の残量が第一閾値以上であると判定した場合、ディスクドライブ2にディスクの情報を継続して倍速で読み出すよう指令する。指令を受け付けたディスクドライブ2は、ディスクの情報を継続して倍速で読み出し、読み出した情報を、ドライブコントローラ13を介して記録部15に出力する。記録部15は、受け付けたディスクの情報を記録する。制御部16は、上記と同様に、記録部15が記録したディスクの情報に基づき、1倍速再生を継続する。
こうして、ディスク装置1は、記録部15にディスクの情報を倍速で記録すると共に、ディスクの情報を1倍速で再生する。
【0040】
制御部16は、ディスクドライブ2が倍速によるディスクの読み出しを終了した場合、ドライブコントローラ13及びディスクドライブ2への給電を停止する。これにより、消費電力の削減を図ることができる。
制御部16は、記録部15に記録したディスクの情報に基づいて、ディスクの情報の1倍速再生を継続する。
【0041】
制御部16は、ディスクドライブ2が倍速によるディスクの読み出しを終了しておらず、電池11の残量が第一閾値以上でないと判定した場合、ディスクドライブ2にディスクの倍速読み出しを停止させる。制御部16は、ドライブコントローラ13及びディスクドライブ2への給電を停止する。これにより、電力の消費を少なくすることができる。一方、制御部16は、記録部15に記録したディスクの情報に基づく1倍速再生を継続する。これにより、ユーザは映画の鑑賞を継続することができる。
【0042】
制御部16は、記録部15の情報を全て再生し尽くした場合、ドライブコントローラ13及びディスクドライブ2に電池11の電力を供給する。制御部16は、ディスクドライブ2にディスクの情報を1倍速で読み出させ、ディスク装置1にディスクの情報を1倍速再生させる。ディスクドライブ2に倍速よりも遅い1倍速でディスクの情報を読み出させることにより、単位時間当たりの消費電力を少なくすることができる。また、ユーザは映画の鑑賞を継続することができる。
【0043】
なお、制御部16は、記録部15に未読の情報が所定量記録された状態で、ドライブコントローラ13及びディスクドライブ2に電池11の電力を供給してもよい。すなわち、記録部15の情報を全て再生し尽くした次の瞬間から、ディスクドライブ2にディスクの情報を1倍速で読み出させるのではなく、記録部15に未読の情報が所定量残っている状態から、ディスクドライブ2による読み出しの準備を始めてもよい。
【0044】
制御部16は、電池11の残量が第二閾値以下か否か一定時間毎に判定し、電池11の残量が第二閾値以下と判定した場合、表示部3に電池残量が無いことを所定時間表示した後、制御部16以外の各構成部への給電を停止する。この電源のシャットオフに係る第二閾値は、例えばディスクの搬出に要する電力に対応する電圧である。第二閾値は上記の第一閾値より小さい。
制御部16以外の各構成部への給電を停止することにより、電池11の残量の減少速度を急減させ、ディスクをディスク装置1の筐体から搬出するための電池残量を確保することができる。
【0045】
上記の場合、電池11には、ディスクを搬出する電力が残されているため、ディスクをディスクドライブ2の筐体から取り出すことができないという状況は生じない。
なお、制御部16により電池11の残量が第二閾値以下と判定された場合、ドライブコントローラ13及びディスクドライブ2への給電は停止しない形態であってもよい。消費電力が大きい構成部は、信号処理回路14及び表示部3であるため、少なくともこれらの構成部への給電を停止する。
【0046】
次に、電池11の残量を判定するための第一閾値及び第二閾値の設定について説明する。
図2は、電池11の電圧特性曲線の一例を示す説明図である。図2の縦軸は電池11の電圧であり、横軸は電池11の放電時間である。図2は、電池11の満充電状態から電池切れに至るまでの放電時間経過に伴う電圧変化を示している。電圧特性曲線31は新品の電池11の電圧特性曲線を、電圧特性曲線32は劣化した電池11の電圧特性曲線である。
【0047】
電池11は放電時間の経過につれて異なる状態を経過する。電池11の使用を開始する場合、急激な電圧降下が起こる。その後、長い時間に渡り、電圧は安定する。しかし、安定状態の末期に急激な電圧降下が起こる。
電池11の電圧特性曲線は、電池11の劣化の程度によって異なる。電池11の劣化が進行しているほど、安定状態の電圧は低く、安定状態は短い。そのため、劣化した電池11はより早期に切れる。
従って、電池11の電圧に対応する第一閾値及び第二閾値は、電池11の劣化の程度によって異なる。
【0048】
記録部15には、劣化の程度が様々な電池11について、複数の電圧特性曲線パターンが記録されている。
制御部16は、電圧検出部12aを介して、電池11の電圧を一定時間毎に測定し、記録部15に記録する。制御部16は、記録した電池11の電圧変化により近い電圧特性曲線パターンを抽出する。制御部16は、抽出した電圧特性曲線パターンに基づいて、第一閾値及び第二閾値を夫々設定する。
ここで設定する第一閾値は、例えば電圧特性曲線において、電圧の安定時期から急激に電圧が低下する時期へ移行する変化点付近の電圧である。第二閾値は、例えば電圧特性曲線において、電圧の安定時期から急激に電圧が低下する時期へ移行する変化点より低い電圧である。
【0049】
図3、図4及び図5は、制御部16が実行する処理の手順を示したフローチャートである。図3、図4及び図5には、ディスクドライブ2による倍速読み出しから、第一閾値に基づくディスクドライブ2の1倍速読み出しを経て、第二閾値に基づくディスク装置1のシャットオフまでの処理を示す。
制御部16は、ディスクドライブ2によるディスクの情報の倍速読み出し及び記録部15への記録を開始する(ステップS101)。なお、ステップS101の処理は、ステップS112まで継続される。
制御部16は、記録部15に記録したディスクの情報を1倍速で読み出し、読み出した情報の再生を開始する(ステップS102)。なお、ステップS102の処理は、ステップS118又はステップS121まで継続される。
【0050】
制御部16は、一定時間毎に電池11の電圧測定及び記録部15への記録を開始する(ステップS103)。制御部16は、記録部15から記録した電池11の電圧変化を読み出す(ステップS104)。制御部16は、記録部15から電池11の電圧特性曲線パターンを読み出す(ステップS105)。制御部16は、記録部15から読み出した電圧変化により近い電圧特性曲線パターンを抽出する(ステップS106)。制御部16は、抽出した電圧特性パターンに基づいて、第一閾値を設定する(ステップS107)。制御部16は、抽出した電圧特性パターンに基づいて、第二閾値を設定する(ステップS108)。
【0051】
制御部16は、電池11の電圧を測定する(ステップS109)。制御部16は、ステップS109で測定した電圧測定値が、設定した第一閾値以上であるか否か判定する(ステップS110)。制御部16は、ステップS109で測定した電圧測定値が、設定した第一閾値以上であると判定した場合(ステップS110:YES)、ディスクドライブ2による倍速読み出し及び記録部15への記録が完了したか否か判定する(ステップS111)。制御部16は、ディスクドライブ2による倍速読み出し及び記録部15への記録が完了していないと判定した場合(ステップS111:NO)、ステップS109に処理を戻す。制御部16は、ディスクドライブ2による倍速読み出し及び記録部15への記録が完了したと判定した場合(ステップS111:YES)、ステップS112に処理を移す。
【0052】
制御部16は、ステップS109で測定した電圧測定値が、設定した第一閾値以上でないと判定した場合(ステップS110:NO)、ディスクドライブ2による倍速読み出し及び記録部15への記録を停止する(ステップS112)。制御部16は、ドライブコントローラ13及びディスクドライブ2への給電を停止する(ステップS113)。制御部16は、記録部15に記録したディスクの情報の読み出しを完了したか否か判定する(ステップS114)。制御部16は、記録部15に記録したディスクの情報の読み出しを完了していないと判定した場合(ステップS114:NO)、電池11の電圧を測定する(ステップS115)。制御部16は、ステップS115で測定した電圧測定値が、設定した第二閾値以下であるか否か判定する(ステップS116)。制御部16は、ステップS115で測定した電圧測定値が、設定した第二閾値以下でないと判定した場合(ステップS116:NO)、ステップS114に処理を戻す。制御部16は、ステップS115で測定した電圧測定値が、設定した第二閾値以下であると判定した場合(ステップS116:YES)、ステップS121に処理を移す。
【0053】
制御部16は、記録部15に記録したディスクの情報の読み出しを完了したと判定した場合(ステップS114:YES)、ドライブコントローラ13及びディスクドライブ2への給電を再開する(ステップS117)。制御部16は、ディスクドライブ2によるディスクの情報の1倍速読み出し及び再生を開始する(ステップS118)。制御部16は、電池11の電圧を測定する(ステップS119)。制御部16は、ステップS119で測定した電圧測定値が、設定した第二閾値以下であるか否か判定する(ステップS120)。制御部16は、ステップS119で測定した電圧測定値が、設定した第二閾値以下でないと判定した場合(ステップS120:NO)、ステップS119に処理を戻す。制御部16は、ステップS119で測定した電圧測定値が、設定した第二閾値以下であると判定した場合(ステップS120:YES)、表示部3に電池11の残量が無いことを表示し、制御部16以外の各構成部への給電を停止し(ステップS121)、処理を終了する。ステップS121において、制御部16は待機状態に入る。
【0054】
ディスク装置1によれば、電池11の残量が第一閾値を下回るまで(ステップS110:YES)、ディスクドライブ2によるディスクの読み出し速度を倍速にする。そのため、ディスクドライブ2は、1倍速でディスクを回転させて情報を読み出す場合よりも、より短時間で情報の読み出しを終了する。
ディスク装置1は、ディスクドライブ2により倍速で読み出したディスクの情報を記録部15に記録する(ステップS101)。また、ディスク装置1は、ディスクドライブ2による倍速読み出し及び情報の記録と同時並行で、記録部15に記録した情報の1倍速再生をする(ステップS102)。これにより、ユーザはディスクドライブ2への給電を停止した後も、ディスクの情報を利用することができる。
【0055】
制御部16は、電池11の残量が第一閾値より少なくなった場合(ステップS110:NO)、又はディスクドライブ2によるディスクの倍速読み出し及び情報の記録が終了した場合(ステップS111:YES)、ドライブコントローラ13及びディスクドライブ2への給電を停止する。
これにより、ディスク装置1は、電池11の消費速度を低減することができる。電池11の消費速度の低減は、再生時間の延長に資する。また、ドライブコントローラ13及びディスクドライブ2への給電を停止した場合、電池11からドライブコントローラ13及びディスクドライブ2までの消費電流が少なくなるため、電圧ロスが減少し、電池11の消費速度を更に低減する効果がある。
なお、第一閾値は、ディスクの情報の全てではなく、ディスクの情報の一部を1倍速で再生するのに要する電力と、ディスクの搬出に要する電力との合計電力に対応する電圧としてもよい。
【0056】
ディスク装置1によれば、記録部15に記録した情報の読み出しを完了していない場合(ステップS114:NO)、電池11の残量が第二閾値より少なくなるまで(ステップS116:NO)、記録部15に記録した情報に基づいて、ディスクの情報を再生する。これらの処理の間、ディスク装置1は、ドライブコントローラ13及びディスクドライブ2への給電を停止することで、消費電力を削減することができる。削減した電力を記録部15に記録した情報に基づく再生に充てることにより、ディスクに記録された情報の再生時間を延ばすことができる。
【0057】
ディスク装置1によれば、記録部15に記録した情報を再生し尽くした場合(ステップS114:YES)、電池11の残量が第二閾値より少なくなるまで(ステップS120:YES)、ディスクドライブ2によるディスクの1倍速読み出し及び情報の再生を行う。
ディスクドライブ2の単位時間当たりの消費電力は、倍速再生時より1倍速再生時の方が小さいため、ディスク装置1は、ディスクに記録された情報の再生時間を更に延ばすことができる。また、記録部15に記録した情報の読み出しが終了する前後で、記録部15に記録した情報の再生から、ディスクドライブ2が1倍速で読み出した情報の再生へ切り替えることにより、1倍速の再生速度を保ちつつ、情報を切れ目なしに再生することができる。
【0058】
電池を電源として動作するディスク装置は、電池の残量が無くなるまで、ディスク装置の各構成部へ給電を継続する。しかし、ディスクがディスク装置本体の内部に搬入された状態で、電池の残量が無くなった場合、ディスクを取り出せなくなる。特に、ディスク装置内部に残されたディスクが知人、レンタルショップ等から借りたディスクである場合、大きな不都合が生じる。
【0059】
ディスク装置1によれば、電池11の残量が第二閾値より少なくなった場合(ステップS116:YES、ステップS120:YES)、消費電力が大きい信号処理回路14及び表示部3への給電を停止する。これにより、電池11の残量が少ない又は無いために、筐体内にディスクが残る状況を発生させることがなくなる。ディスクを搬出する電池残量を温存した状態で、シャットオフ後の電力消費を極力抑え、筐体からの安定したディスクの取り出しが可能となる。
従って、ディスク装置1によれば、電源アダプタを介した給電が無い状況でも、筐体内にディスクが残る状況を発生させることがなくなる。
【0060】
ディスク装置1によれば、電池11の劣化を考慮し、第一閾値及び第二閾値(シャットオフ電圧)を設定する。
電池11の劣化を考慮した第一閾値の設定により、ディスクドライブ2による倍速読み出し停止、並びにドライブコントローラ13及びディスクドライブ2への給電停止を行う場合、電池11の残量が多すぎたり、少なすぎたりすることはない。これにより、電池11の電力を無駄なく使用することができる。
また、電池11の劣化を考慮した第二閾値の設定により、シャットオフ時の電池11の残量が多すぎたり、少なすぎたりすることはない。これにより、電池11の残量が第一閾値と第二閾値との間にある場合の再生時間が短くなりすぎることはなく、ディスクを筐体から確実に取り出すことができる。
【0061】
ディスクを筐体から取り出した後、電池切れとなった電池11は再充電される。充電深度が深い状態で電池11を充電した場合、電池11の劣化が加速する。従って、電池11の劣化を考慮した第二閾値の設定は、電池11の劣化を抑え、電池11のリサイクル寿命の延長に寄与する。
【0062】
電池11の電圧が第一閾値以下又は第二閾値以下に低下した場合、夫々ドライブコントローラ13及びディスクドライブ2、又は制御部16以外の各構成部への給電を停止することにより、負荷電流が下がる。これにより、電池11の電圧は上昇し、電池11の電圧特性曲線は電池切れまでの放電時間が延びる方向、すなわち電池切れまでの時間が延びる方向にシフトする。ディスク装置1が、例えば戸外に持ち出し可能なポータブルタイプである場合、電池切れまでの時間が延びることは利便性の向上に貢献する。
【0063】
電池11の電圧特性曲線は、温度によっても異なる。温度が低い場合、電池11が劣化した場合の電圧特性曲線と類似のものになる。従って、ディスク装置1は、温度の違いによる電池特性の違いも反映して第一閾値及び第二閾値を設定することができる。
【0064】
制御部16は電池11の残量を電池11の電圧から検出するが、電池11の残量を電池11の電流から検出してもよい。
【0065】
電池11の電圧の測定及び記録は、一定時間毎に限るものではなく、ランダムな時間間隔で行ってもよい。
第一及び第二閾値に対する電池11の残量の判定は、一定時間毎に限るものではなく、ランダムな時間間隔で行ってもよい。
【0066】
制御部16は、劣化の程度が様々な電池11に関する電圧特性曲線パターンから、第一閾値及び第二閾値を夫々設定する。しかし、電池11の劣化を考慮せず、満充電状態の電池11の電圧に対して、各所定の割合だけ低い電圧を第一閾値及び第二閾値に夫々設定する形態であってもよい。あるいは、各所定の電圧を第一閾値及び第二閾値に夫々設定する形態であってもよい。
【0067】
制御部16は、ステップS109、ステップS115及びステップS119において電池11の電圧を測定し、各測定値を夫々ステップS110、ステップS116及びステップS120の判定で使用する。しかし、ステップS103で開始する電池11の電圧測定と記録とを第一及び第二閾値を設定した後も継続し、ステップS109、ステップS115及びステップS119において最新の測定値を記録部15から読み出してもよい。かかる場合、読み出した最新の各測定値を夫々ステップS110、ステップS116及びステップS120の判定で使用する。
【0068】
実施の形態2
実施の形態2は、ディスク装置の筐体の挿排口を開閉するシャッタをロックする形態に関する。
実施の形態2に係るディスク装置の構成は、図1のディスク装置1の構成と同じである。
【0069】
図6は、ディスクドライブ2の構造を示す説明図である。ディスクドライブ2は、図6の例では横置き型であるが、縦置き型であってもよい。図6Aは、筐体21の天板を取り除いたディスクドライブ2の平面視の説明図である。図6Bは、筐体21の側板を取り除いたディスクドライブ2の側面視の説明図である。
図7は、シャッタ23を閉じた状態にロックするロックピン26の周囲の構造を示す説明図である。図7Aは、ロックピン26の周囲における図6Aの部分拡大図である。図7Bは、ロックピン26の周囲における図6Bの部分拡大図である。
【0070】
ディスクドライブ2は、略直方体の筐体21を有し、筐体21の短手方向の一側面には、ディスクDを出し入れする略矩形の挿排口22が開設されている。以下、挿排口22を有する側面を筐体21の正面とする。
挿排口22の横幅は、挿入されるディスクDの直径と略同一である。挿排口22の縦幅は、挿入されるディスクDの厚さと略同一である。挿排口22の長手方向は、筐体21正面の側面の長手方向と略同一である。
【0071】
挿排口22の筐体21奥側隣部には、挿排口22を開閉するシャッタ(扉体)23が設けられている。シャッタ23は、挿排口22より大きな矩形板状をなし、その長手方向は挿排口22の長手方向と略同一である。シャッタ23の長手方向の一側辺の両端には、夫々長手方向と略同一方向の軸部23aが、互いに遠ざかる方向に向かって突設されている。シャッタ23は、筐体21の左右側面であって、挿排口22及び天板に近い角部に、2つの軸部23aを介して軸着されている。シャッタ23は、軸部23aを中心に回転することにより、挿排口22を開閉する。図6B及び図7Bでは、挿排口22を開いた状態のシャッタ23を実線で、挿排口22を閉じた状態のシャッタ23を二点鎖線で示している。
【0072】
シャッタ23が有する2つの軸部23aには、夫々1つずつ捻りばね23bが装着されている。シャッタ23は、捻りばね23bにより挿排口22を閉じる状態に付勢されている。
ディスクDを搬出するために、シャッタ23が挿排口22を開く場合、シャッタ23は図示しないモータの駆動により回転する。
【0073】
ディスクDを挿排口22から筐体21内部に挿入する場合、ディスクDの先端はシャッタ23を押し開け、ディスクDの一部が筐体21内部に押し込まれる。ディスクDを挿排口22から筐体21内部の所定位置まで差し込んだ場合、ディスクDは後述する搬送機構により再生位置まで搬入される。
【0074】
制御部16は、操作部17を介してディスクDを搬出する指示を受け付けた場合、シャッタ23を開き、搬送機構によりディスクDの一部が挿排口22から筐体21外部へ突出した状態になるまで、ディスクDを搬出する。さらにユーザがディスクD全体を筐体21外部に引き出した場合、シャッタ23は捻りばね23bの付勢力により挿排口22を閉じる。
【0075】
筐体21の底部24の左縁であって、挿排口22を閉じた状態のシャッタ23の内側面と当接する位置に、開閉スイッチ25が設けられている。開閉スイッチ25は、シャッタ23が挿排口22を閉じたことを検出し、そのことを示す信号を制御部16へ送信する。
【0076】
筐体21の底部24の右縁であって、挿排口22を閉じた状態のシャッタ23の内側面と当接する位置に、筐体21の左右側面と略平行な方向に伸びた略矩形の開口が開設されている。この開口には、開口面から筐体21の天板方向に突出した直方体状をなすロックピン26が設けられている。ロックピン26は、図示しないモータの駆動により、開口に沿ってディスクDの挿入及び排出方向と略平行に、筐体21の左右側面に沿ってスライド移動する。
【0077】
ディスクDが筐体21内部にない場合、ロックピン26は、シャッタ23の回転の邪魔にならないように、上記開口の筐体21奥側端であって、シャッタ23が回転する範囲外の位置にある。ディスクDが筐体21内部に挿入され、シャッタ23が挿排口22を閉じた場合、制御部16はロックピン26をシャッタ23に近づく方向にスライド移動させる。シャッタ23と当接する位置まで移動したロックピン26は、閉じた状態のシャッタ23を係止する。シャッタ23は、ロックピン26により係止された場合、回転が禁止される。
【0078】
制御部16により電池11の電圧が第二閾値以下に低下したと判定され、かつ制御部16が開閉スイッチ25からシャッタ23が閉じたことを示す信号を受け付けた場合、制御部16はロックピン26をシャッタ23に近づく方向にスライド移動させ、シャッタ23をロックピン26で係止する。シャッタ23は、ロックピン26により係止された場合、回転が禁止される。
なお、ロックピン26によりシャッタ23をロックする場合、ディスクDを搬出するためのモータ駆動に必要な電力には、ロックピン26のスライド移動に要する電力が含まれる。
【0079】
制御部16は、ディスク装置1にアダプタから電力が供給された場合、ロックピン26を開口の筐体21奥側端までスライド移動させ、シャッタ23のロックを解除する。また、制御部16は、ディスク装置1に充電された電池11が接続された場合も、同様にロックピン26によるシャッタ23のロックを解除する。
【0080】
筐体21の底部24の略中央には、ディスクDを回転する円柱状のターンテーブル27が底部24から筐体21の天板方向に向かって突設されている。ディスクDが筐体21内部に搬入され、ディスクDの略中心がターンテーブル27の略中心まで移動した場合、ディスクDはターンテーブル27の上面と図示しないクランパとの間で挟持される。
【0081】
ディスクDを搬送する搬送機構は、フロントアーム28、29、第1搬出アーム201及び第2搬出アーム202を含む。
シャッタ23とターンテーブル27との間であって、シャッタ23により近い底部24には、長手板状の2つのフロントアーム28、29が設けられている。フロントアーム28、29の回転中心軸は、夫々開閉スイッチ25及びロックピン26近傍の底部24であって、開閉スイッチ25及びロックピン26よりも筐体21奥側に設けられている。フロントアーム28、29は、回転中心軸から互いに近づく方向に長手に形成されている。
【0082】
フロントアーム28、29の回転中心軸と反対側の端には、ディスクDの搬入及び搬出を行うローラが夫々形成されている。フロントアーム28、29のローラは、ディスクDが挿排口22から筐体21奥側に所定位置まで差し込まれた場合、図示しないモータの駆動により回転を開始し、ディスクDの外周縁部を保持及び回転して、ディスクDを筐体21内部に引き込む。ディスクDの搬入時、平面視でフロントアーム28は反時計回りに、フロントアーム29は時計回りに夫々回転中心軸を中心に回転し、フロントアーム28、29のローラは互いに遠ざかる方向であって、かつ筐体21の奥側に移動する。ディスクDがターンテーブル27に載置された場合、フロントアーム28、29のローラは、ディスクDから離反する。
【0083】
ディスクDを搬出する場合、フロントアーム28、29のローラは、夫々搬入時と逆に回転し、互いに近づく方向であって、かつ挿排口22に近づく方向に移動する。ディスクDを搬出する場合、フロントアーム28、29は、ディスクDをガイドし、夫々搬入時と逆方向に回転する。ディスクDの一部が挿排口22から筐体21外部へ所定量突出した状態になり、ディスクDの搬出が完了した場合、フロントアーム28、29のローラは回転を停止する。
【0084】
ターンテーブル27よりも筐体21奥側の底部24には、長手板状の第1搬出アーム201及び第2搬出アーム202が設けられている。
第1搬出アーム201の回転中心軸は、ターンテーブル27を通過する筐体21のセンターラインと筐体21の右側面との間であって、筐体21の背面中央寄りに設けられている。第1搬出アーム201は、回転中心軸から筐体21の左側面中央付近へ向かって長手に形成されている。
第2搬出アーム202の回転中心軸は、第1搬出アーム201の略中央に設けられており、第2搬出アーム202は第1搬出アーム201に対して軸止されている。このため、第2搬出アーム202は、第1搬出アーム201に連動して回転する。第2搬出アーム202は、回転中心軸から筐体21の右側面中央付近へ向かって長手に形成されている。
【0085】
第1及び第2搬出アーム201、202の回転中心軸に対する反対側の各端には、ディスクDの外周縁部を保持可能なローラが夫々形成されている。第1及び第2搬出アーム201、202が連動して回転する場合、第1及び第2搬出アーム201、202の各ローラは、ターンテーブル27を通過する筐体21のセンターラインに対して常に線対称となる位置関係を保ち、移動する。
【0086】
ディスクDが筐体21内部に搬入され、ディスクDの外周縁部が第1及び第2搬出アーム201、202の各ローラに当接した場合、平面視で第1及び第2搬出アーム201、202は、夫々時計回り、反時計回りに回転する。第1及び第2搬出アーム201、202の回転に伴い、ディスクDの略中心がターンテーブル27の略中心まで移動する間、各ローラは筐体21の奥側へ移動しつつ、互いに離れる方向に移動する。ディスクDがターンテーブル27に載置された場合、第1及び第2搬出アーム201、202の各ローラは、ディスクDから離反している。
【0087】
ディスクDの搬出時には、第1及び第2搬出アーム201、202は、図示しないモータの駆動により搬入時と逆方向に回転する。各ローラは、ディスクDの一部が挿排口22から筐体21外部へ所定量突出した状態になるまで、ディスクDを筐体21から押し出す。
【0088】
次に、ディスク装置1の動作について説明する。
シャットオフ後、制御部16はディスクDの搬出指示(イジェクト指示)以外の指示を受け付けない。
制御部16は、操作部17からディスクDを搬出する指示を受け付けた場合、ドライブコントローラ13及びディスクドライブ2に電池11の電力を供給する。制御部16は、ディスクドライブ2にディスクDを搬出する信号を送信する。信号を受け付けたディスクドライブ2は、モータを駆動し、フロントアーム28、29のローラ並びに第1及び第2搬出アーム201、202を回転させる。ディスクドライブ2は、ディスクDの一部が挿排口22から筐体21外部に突出した状態まで、ディスクDを搬出する。
【0089】
ユーザがディスクD全体を筐体21外部に引き出した場合、シャッタ23は捻りばね23bの付勢力により挿排口22を閉じる。開閉スイッチ25は、シャッタ23が挿排口22を閉じたことを検出し、そのことを示す信号を制御部16へ送信する。
制御部16は、開閉スイッチ25からシャッタ23が閉じたことを示す信号を受け付けた場合、ロックピン26をシャッタ23と当接する位置までスライド移動させる。シャッタ23は、ロックピン26により係止され、開かなくなる。
制御部16は、ドライブコントローラ13及びディスクドライブ2への給電を停止する。
【0090】
制御部16は、ディスク装置1にアダプタから電力が供給され始めたことを検出した場合、又はディスク装置1に充電された電池11が接続されたことを検出した場合、ドライブコントローラ13及びディスクドライブ2への給電を開始する。制御部16は、ロックピン26を筐体21奥側へスライド移動させ、シャッタ23のロックを解除する。
【0091】
図8は、制御部16が実行する処理の手順を示したフローチャートである。図8では、電池11の残量が第二閾値以下になり、制御部16以外の各構成部への給電が停止されたシャットオフ以降の処理を示す。
制御部16は、操作部17からディスクDの搬出指示を受け付けたか否か判定する(ステップS201)。制御部16は、操作部17からディスクDの搬出指示を受け付けていないと判定した場合(ステップS201:NO)、処理をステップS201に戻す。制御部16は、操作部17からディスクDの搬出指示を受け付けたと判定した場合(ステップS201:YES)、ドライブコントローラ13及びディスクドライブ2へ給電を開始する(ステップS202)。制御部16は、ディスクドライブ2にディスクDを搬出する信号を送信する(ステップS203)。
【0092】
制御部16は、開閉スイッチ25からシャッタ23が閉じたことを示す信号を受け付けたか否か判定する(ステップS204)。制御部16は、開閉スイッチ25からシャッタ23が閉じたことを示す信号を受け付けていないと判定した場合(ステップS204:NO)、ステップS204に処理を戻す。制御部16は、開閉スイッチ25からシャッタ23が閉じたことを示す信号を受け付けたと判定した場合(ステップS204:YES)、ロックピン26をスライド移動させ、ロックピン26によりシャッタ23を係止する(ステップS205)。制御部16は、ドライブコントローラ13及びディスクドライブ2への給電を停止し(ステップS206)、処理を終了する。
【0093】
制御部16は、ディスクDが筐体21内部にある場合、及びシャットオフ後にディスクDが筐体21から取り出された場合、シャッタ23が開かないように、ロックピン26によりシャッタ23をロックする。これにより、すでに筐体21内部にディスクDが入っている状態で、ユーザが誤ってもう1枚のディスクDをさらに筐体21に差し込むことを防ぐことができる。また、シャットオフ後のディスクDの誤挿入を防止することにより、ディスクDの搬入に電池11の電力が使用され、ディスクDを搬出するための電池11の電力が足りなくなる、又は無くなるという状況が発生しないようにすることができる。
【0094】
ディスクドライブ2のディスク挿入方式は、ディスクDを挿排口22から直接筐体21に入れるスロットイン方式である。しかし、ディスクドライブ2のディスク挿入方式は、内蔵するトレイにディスクDを搭載し、トレイごとディスクDを筐体21に挿入するトレイ式であってもよい。
【0095】
電池11の残量が第二閾値以下になり、ディスクDの一部が筐体21外部に突出した状態になるまで搬出された後に、ユーザがディスクDを筐体21内部に押し入れた場合、ディスクドライブ2はディスクDを筐体21内部の再生位置に搬入する。そして、制御部16は、ディスクドライブ2からローディング完了の信号を受け取る。かかる場合、制御部16は、ディスクドライブ2にディスクDを強制的に搬出させてもよい。
【0096】
シャッタ23は、回転して挿排口22を開閉するものに限らない。例えば、挿排口22と略平行な板状のシャッタが、上下又は左右にスライド移動することにより、挿排口22の一部を開閉する形態であってもよい。
シャッタ23のサイズは、挿排口22より大きいものに限らない。挿排口22を介した筐体21に対するディスクDの出し入れを遮断することができるのであれば、シャッタ23のサイズは、挿排口22より小さくてもよい。
シャッタ23を閉じる手段は、捻りばね23bに限らない。ディスクドライブ2が横置き型である場合、軸部23aを中心に回転自在なシャッタ23は、自重により挿排口22を閉じてもよい。
シャッタ23の開放を阻止する手段は、ロックピン26に限らない。シャッタを電磁シャッタとし、シャットオフ後にディスクDが筐体21から取り出された場合、シャッタが開かないようにしてもよい。
【0097】
実施の形態2は以上の如きであり、その他は実施の形態1と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0098】
1 ディスク装置
2 ディスクドライブ
11 電池
12 電源回路
12a 電圧検出部
15 記録部
16 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池により駆動され、
前記電池の残量を検出する残量検出手段と、
ディスクに記録された情報を読み出す読み出し手段と、
該読み出し手段がディスクから読み出した情報を記録する記録手段と、
該記録手段が記録した情報を読み出す記録情報読み出し手段と
を備えるディスク装置において、
前記残量検出手段が検出した電池の残量が第一閾値以上か否か判定する第一判定手段
を備え、
前記読み出し手段は、
前記第一判定手段が第一閾値以上であると判定した場合、前記情報を倍速以上で読み出すようにしてあり、前記第一判定手段が第一閾値以上でないと判定し、かつ前記記録情報読み出し手段が前記記録手段に記録された全ての情報を読み出した場合、前記情報を1倍速で読み出すようにしてある
ことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記読み出し手段又は前記記録情報読み出し手段が読み出した情報を選択する選択手段
を備え、
該選択手段は、
前記記録情報読み出し手段が前記記録手段に記録された全ての情報を読み出していない場合、前記記録情報読み出し手段が読み出した情報を選択するようにしてあり、前記記録情報読み出し手段が前記記録手段に記録された全ての情報を読み出した場合、前記読み出し手段が読み出した情報を選択するようにしてある
ことを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記残量検出手段が検出した電池の残量が前記第一閾値より小さい第二閾値以下か否か判定する第二判定手段と、
前記選択手段が選択した情報に基づき、前記ディスクに記録された情報を表示する表示手段と、
前記第二判定手段が第二閾値以下であると判定した場合、前記表示手段への給電を停止する手段と
を備える
ことを特徴とする請求項2に記載のディスク装置。
【請求項4】
前記読み出し手段又は前記記録情報読み出し手段が読み出した情報を、前記表示手段が表示可能な電気信号に変換する変換手段と、
前記第二判定手段が第二閾値以下であると判定した場合、前記変換手段への給電を停止する手段と
を備える
ことを特徴とする請求項3に記載のディスク装置。
【請求項5】
前記残量検出手段は、電池の残量を随時検出するようにしてあり、
前記残量検出手段が随時検出した電池の残量の経時的変化を記録する残量記録手段と、
前記電池の残量の経時的変化パターンを複数記録したパターン記録手段と、
該パターン記録手段が複数記録した残量の経時的変化パターンの内、前記残量記録手段が記録した残量の経時的変化により近い残量の経時的変化パターンを抽出する抽出手段と、
該抽出手段が抽出した残量の経時的変化パターンに基づいて、前記電池の残量の第一閾値又は第二閾値を設定する手段と
を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のディスク装置。
【請求項6】
前記ディスクを挿入及び排出する挿排口を有する筐体と、
前記挿排口を開閉する扉体と、
前記第二判定手段が第二閾値以下であると判定した場合、前記扉体をロックするロック手段と
を備える
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のディスク装置。
【請求項7】
前記残量検出手段が検出した電池の残量が前記第一閾値より小さい第二閾値以下か否か判定する第二判定手段と、
前記ディスクを挿入及び排出する挿排口を有する筐体と、
前記挿排口を開閉する扉体と、
前記第二判定手段が第二閾値以下であると判定した場合、前記扉体をロックするロック手段と
を備える
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項5に記載のディスク装置。
【請求項8】
前記扉体が閉じたことを検出する検出手段
を備え、
前記ロック手段は、
前記第二判定手段が第二閾値以下であると判定し、かつ前記検出手段が扉体が閉じたことを検出した場合、該扉体をロックするようにしてある
ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−18735(P2012−18735A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156051(P2010−156051)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)