説明

ディスプレイ基板の製造方法、及び該ディスプレイ基板を用いた画像表示装置の製造方法

【課題】 隔壁頂部に付着した不要な付着物を高精度且つ簡便に除去することができるディスプレイ基板の製造方法を提供する。
【解決手段】基板1の上に該基板表面を複数の領域に分割する隔壁3を形成し、該領域にカラーフィルタ層4と発光層5を形成した後、隔壁3の頂部に水溶性ポリマー層6を塗布し、発光層5の上に平坦化層7を形成した後、隔壁3の頂部に形成した水溶性ポリマー層6を水洗により除去し、隔壁3の頂部に付着していた不要な付着物を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隔壁によって分割された複数の領域に電子照射により発光する発光層等の機能層を備えたディスプレイ基板の製造方法、及び該ディスプレイ基板を用いた画像表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイとして知られている、プラズマディスプレイ(PDP)や電界放出ディスプレイ(FED)は、隔壁を内部構造に有し、該隔壁によって複数に分割された領域に機能層が形成されている。例えば、PDPは、隔壁によって分割された領域に、電極層や絶縁層、蛍光体層が、FEDは隔壁によって分割された領域に、顔料層や蛍光体層、平坦化層がそれぞれ構成されている。これらの機能層を形成する場合、一般的にはスクリーン印刷法により機能層の構成材料からなるペーストを落し込む方法が多く用いられている。
【0003】
しかしながら、スクリーン版の形状が経時変化するため、隔壁の頂部にペーストが付着することがある。このペースト付着が生じると、隔壁頂部へ積層するメタルバック等の形成材料の隔壁に対する密着力が低下し、その剥がれやパターン不良が発生していた。また、隔壁の頂部へ顔料や蛍光体が付着した場合に、付着した顔料や蛍光体が剥離して隣の領域に落下すると、発光時における混色を誘発していた。
【0004】
このような隔壁頂部に付着した不要な付着物を除去する方法として、例えば、隔壁頂部への付着物を粘着体に付着させて除去する方法が提案されている(特許文献1参照)。また、隔壁頂部にレジスト膜を形成し、リフトオフによりレジスト膜ごと付着物を除去する方法が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−319460号公報
【特許文献2】特開平6−96673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、粘着体の粘着力を利用して隔壁頂部への付着物を除去する方法は、隔壁頂部へ粘着体を確実に接着させ、さらに確実に剥離させる必要がある。しかし、粘着体の粘着力が足りないと付着物の除去効率が低下し、粘着力が過大であると粘着剤が隔壁頂部へ転着して残留してしまうなど、付着物を除去する効果として十分であるとはいえない。
【0007】
また、特許文献2のように、隔壁頂部をレジスト膜で被覆する方法は、均一なレジスト膜を形成しようとすると、隔壁の高さが制限される。また、レジスト膜を用いたリフトオフの際には、アセトン等のレジスト剥離液を用いるため、隔壁間に形成した機能層の樹脂成分が溶解し、パターン剥がれや膜減りによる表面荒れ、膜厚の不均一が発生することがあった。
【0008】
本発明の課題は、上記の課題に鑑み、隔壁を有するディスプレイ基板の製造工程中に、該隔壁頂部に付着する不要な付着物を簡便且つ効率的に除去して、高精度且つ簡便にディスプレイ基板を提供することにある。また、係るディスプレイ基板を用いて表示特性の高い画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1は、少なくとも、基板上に、前記基板表面を複数の領域に分割する隔壁を形成する工程と、前記領域にペーストを塗布して機能層を形成する工程とを備えたディスプレイ基板の製造方法であって、
前記機能層を形成する工程に先立って、前記隔壁の頂部に水溶性ポリマー層を塗布する工程と、
前記機能層の形成工程の後に、前記隔壁の頂部に形成した前記水溶性ポリマー層を水洗により除去し、前記隔壁の頂部に付着した不要な付着物を前記水溶性ポリマー層と共に除去する工程と、
を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の第2は、少なくとも、基板と、前記基板上に配置された複数の電子放出素子と、前記電子放出素子に電圧を印加するための配線を備えた電子源基板と、
少なくとも、基板と、前記基板表面を複数の領域に分割する隔壁と、前記領域に位置する、前記電子放出素子から放出される電子の照射によって発光する発光層とを備え、前記電子源基板に対向配置するディスプレイ基板と、
前記ディスプレイ基板と電子源基板の外周部において、これら基板間に介在する枠と、
を有する画像表示装置の製造方法であって、
前記ディスプレイ基板を、前記本発明のディスプレイ基板の製造方法により製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、隔壁頂部に水溶性ポリマー層を形成した後に機能層を形成し、隔壁頂部に付着した不要な付着物を水溶性ポリマー層と共に水洗により除去する。これにより、隔壁間に形成した機能層へ影響を及ぼすことなく隔壁頂部の不要な付着物を除去することができ、後工程での隔壁頂部に形成される配線等の部材の付着力低下といった悪影響を防止することができる。よって、精度良く且つ簡便に、信頼性の高いディスプレイ基板、及び、表示特性に優れた画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のディスプレイ基板の製造方法の一例の工程を示す断面模式図である。
【図2】本発明の画像表示装置と該画像表示装置に用いる電子源基板の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、特に図示または記載していない部分については、当該技術分野の周知又は公知技術を適用することができる。
【0014】
図1は、本発明のディスプレイ基板の製造方法の好ましい一例の工程図であり、電界放出ディスプレイ(FED)のフェースプレートの製造例である。本例のディスプレイ基板は、図1(h)に示すように、基板1上に形成された隔壁3によって、基板表面が複数の領域に分割されており、各領域に、機能層として、カラーフィルタ層4、発光層5、メタルバック8を備えている。また、メタルバック8は隔壁3上にも形成されており、隔壁3と基板1との間には遮光層2が形成されている。
【0015】
本発明において、機能層とは、基板上の隔壁によって分割された領域に形成される所定の機能を有する層であって、最終的なディスプレイ基板の構成部材のみならず、製造工程中に、該領域に形成された後、除去される層も含む。本例においては、発光層5形成後、メタルバック8形成前に、発光層5の表面を平坦化する平坦化層7を機能層として形成する。係る平坦化層7は、後述するようにメタルバック8形成後に焼成によって除去されるが、該平坦化層7の形成材料が隔壁3の頂部に付着した場合、メタルバック8と隔壁3との密着性が低下してしまうため、除去しておくことが望ましい。以下、本例では、平坦化層7をペーストを用いて形成する工程に先立ち、水溶性ポリマー層6を隔壁3の頂部に形成する場合を例に説明する。
【0016】
先ず、図1(a)に示すように、基板1上に、例えば、スクリーン印刷等を用いて遮光層2を形成する。基板1としては、特に限定されないが、例えば、一般的なソーダライムガラスやソーダライムガラスをアニール処理したガラス基板、又は高歪み点ガラス基板等を用いることができる。遮光層2としては、例えば、CRT等で公知のブラックマトリクス構造を採用するが、これに限定されない。ブラックマトリクスは、一般には、黒色の金属、黒色の金属酸化物、またはカーボンなどで構成される。黒色の金属酸化物としては、例えば、酸化ルテニウム、酸化クロム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化モリブデン、酸化コバルトまたは酸化銅などが挙げられる。
【0017】
次に、図1(b)に示すように、上記遮光層2を備えた基板1上に、例えば、スリットコート法等を用いて、隔壁3を形成する材料3’を塗布する。隔壁材料3’は、例えば、酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化アルミ、酸化ケイ素、酸化チタンなどの金属酸化物を含むガラス材料のように、絶縁に近い抵抗を有する無機混合物から成る材料を採用することが好ましい。隔壁材料3’を塗布して乾燥処理した後、図1(c)に示すように、隔壁材料をパターニングして、遮光層2の上に隔壁3を形成する。隔壁3のパターニングには、例えば、サンドブラスト法、感光性フォトペースト法、エッチング法などが使用可能であるが、これらの方法に限定されない。尚、隔壁3の高さは、画像表示装置の仕様に応じて、適宜設定される。本例において、隔壁3は、Y方向に沿ったストライプ状に形成されている。
【0018】
次に、図1(d)に示すように、隔壁間に光透過率調整用のカラーフィルタ層4を形成する。カラーフィルタ層4の材料には、例えば、赤としてFe23、緑としてCo(Al・Cr)24と(Co,Ni,Zn)2TiO4、青としてAl23・CoOの微粒子を分散させたペーストを用いることができる。それぞれのペーストは所定の領域に塗布、乾燥、焼成されカラーフィルタ層4が形成される。尚、本例では、隔壁間の領域にカラーフィルタ層4を配置しているが、カラー表示するためには少なくともR,G,Bの各色に対応した発光層5が存在すればよく、カラーフィルタ層4を配置しない構造を採用してもよい。
【0019】
カラーフィルタ層4を形成後、図1(e)に示すように、カラーフィルタ層4の上に発光層5を形成する。発光層5としては、例えば、電子線励起により発光する蛍光体結晶を使用することができる。蛍光体の具体的な材料は、例えば「蛍光体ハンドブック」蛍光体同学会編(オーム社発行)に記載されたCRTの分野で公知の蛍光体材料からR,G,Bの各色に対応させて選択することができる。発光層5は、カラーフィルタ層4の形成と同様に、蛍光体材料を分散させたペーストを塗布、乾燥、焼成することにより形成可能である。その後、結着材として、例えば、ケイ酸アルカリ、いわゆる水ガラスの入った溶液を基板面に均一にスプレー塗布して乾燥させ、発光層5を基板に接着させる。
【0020】
次に、図1(f)に示すように、例えば、スクリーン印刷法またディスペンサー法等を用いて隔壁3の頂部に水溶性樹脂溶液を塗布し、乾燥させて水溶性ポリマー層6を形成する。隔壁3の頂部に形成する水溶性ポリマー層6の膜厚は、乾燥膜厚で5乃至15μmの範囲が好ましい。水溶性ポリマー層6を形成する水溶性樹脂としては、基本的に耐溶剤性を有する樹脂膜を形成できるものであれば、特に限定されることなく使用可能である。具体的には、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース系、ポリビニルアルコールなどのビニル系の水溶性樹脂を挙げることができる。その他に、ポリアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどを単量体とするアクリル系の水溶性樹脂などを挙げることができる。
【0021】
特に、ポリビニルアルコールを使用することが好ましい。これらの水溶性樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。ポリビニルアルコールとしては、重合度300乃至2700、けん化度80乃至95モル%の範囲のものが好ましい。水溶性樹脂溶液は5乃至20質量%の範囲の水溶液が好ましい。また、水溶性ポリマー層6を形成する際の乾燥温度としては80乃至100℃の範囲が好ましく、100℃を超えると水溶性ポリマー層6が変質する可能性があるので好ましくない。
【0022】
次に、図1(g)に示すように、メタルバック8を平坦に形成するために、発光層5の上に平坦化層7を塗布する。平坦化層7の形成材料としては、例えば、アクリルやエチルセルロース等の樹脂をターピネオール、ブチルカルビトールアセテート等の有機溶剤で希釈した樹脂ペーストを用いることができる。このようなペーストを塗布して乾燥させることにより、発光層5の隙間を平坦化層7で埋め、表面を平坦化する。
【0023】
次に、例えば、水洗により、隔壁3の頂部に形成した水溶性ポリマー層6を除去する。具体的には、25乃至60℃の温水をシャワー状に吹きかけることで水溶性ポリマー層6を除去することが好ましい。その際、水溶性ポリマー層6上に付着した不要な付着物(平坦化層7の形成材料ペースト)を水溶性ポリマー層6と共に除去する。
【0024】
次に、図1(h)に示すように、CRTの分野で公知のフィルミング法を用いて、メタルバック8を形成した後、大気中で焼成して平坦化層7を焼失させる。尚、本例では、隔壁3及び発光層5の上にメタルバック8が形成されているが、発光層5である蛍光体に対応した部分にドライフィルムレジストをラミネートしてパターニングし、発光層5の上にのみメタルバック8を形成してもよい。本例においては、隔壁3の頂部に付着していた平坦化層7の形成材料が水溶性ポリマー層6と共に除去されているので、該頂部が接する部材との間で良好な接触が実現する。図1(h)に示すように、隔壁3の頂部にもメタルバック8を形成する場合には、該メタルバック8の頂部への付着力が高く、剥がれなどの問題が防止される。
【0025】
以上説明したように、本例では、隔壁3の頂部に水溶性ポリマー層6を形成して、平坦化層7をペーストを用いて形成した後、水溶性ポリマー層6を水洗により除去して、隔壁頂部の不要な付着物を水溶性ポリマー層6と共に除去する。これにより、隔壁3の間に形成した機能層への影響がなく、簡便に効率よく隔壁頂部に付着した不要な付着物を除去でき、後工程において隔壁頂部に付着した不要な付着物による影響がなくなり、高精度且つ簡便にディスプレイ基板を製造することができる。
【0026】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施することができる。例えば、上記実施形態では、機能層の一つである平坦化層7の形成前に、隔壁3の頂部に水溶性ポリマー層6を形成しているが、本発明はこれに限定されない。本発明において、水溶性ポリマー層の形成工程は、ペーストを用いた形成工程の前であれば、いずれの機能層の形成工程前であっても良い。例えば、カラーフィルタ層4の形成前や、発光層5の形成前に、隔壁3の頂部に水溶性ポリマー層6を形成してもよい。この場合、水溶性ポリマー層6の水洗による除去は、カラーフィルタ層4の形成後、発光層5の形成後、または平坦化層7の形成後のいずれでも良いが、平坦化層7の形成後に除去することが最も好ましい。
【0027】
また、上記実施形態では、隔壁4はY方向に沿ってストライプ状に形成しているが、Y方向のみならず、X方向のみ、もしくはX方向及びY方向の双方に格子状に形成しても構わない。
【0028】
次に、図2を参照し、以上のように作製した本発明のディスプレイ基板17を用いてなる画像表示装置16について説明する。図2(a)は、本発明の画像表示装置に用いる電子源基板を示す平面図である。また図2(b)は、本発明の画像表示装置の一例の断面構造を示す模式図である。
【0029】
本発明で用いられる電子源基板13は、図2(a)に示されるように、基板9上に電子放出素子12を複数備えている。該素子12は、信号線10、走査線11からなるマトリクス配線に接続され、不図示の駆動回路によって所定のアドレスからの電子放出が制御されるようになっている。電子放出素子12としては、特に限定されないが、例えば表面伝導型電子放出素子が好ましく用いられる。
【0030】
本例の表示装置16は、図2(b)に示すように、電子放出素子12を有する電子源基板13と、ディスプレイ基板17とを対向配置させ、基板間の外周部に枠14を介在させた真空容器を形成することで作製される。ディスプレイ基板17としては、前記した製造方法で得られる、基板と、該基板表面を複数の領域に分割する隔壁と、該隔壁で分割された領域に位置する発光層とを少なくとも有する本発明のディスプレイ基板が用いられる。尚、図2(b)においては、係るディスプレイ基板の特徴的な構造である隔壁3のみを図示し、他の部材については便宜上省略している。ここで、耐大気圧保持のために真空容器として形成した表示装置内にスペーサー15を設けて、上記ディスプレイ基板17の隔壁3の頂部へ当接させている。ディスプレイ基板17には不図示の高圧電源から高圧電圧が印加され、電子源基板13から放出される電子をディスプレイ基板17の発光層に照射して発光させることになる。
【0031】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施することができる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例を挙げて、本発明に係るディスプレイ基板の製造方法をさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【0033】
〔実施例1〕
図1で例示したディスプレイ基板の製造方法に基づいて、ディスプレイ基板を以下の工程で製造した。
【0034】
(工程1:遮光層2形成)
洗浄したガラス基板1の表面に、黒色ペースト(ノリタケ社製:NP−7811M1)を全面に印刷した。この基板1を150℃で乾燥後、1000mJ/cm2で露光、現像し、580℃で焼成して、開口部の横ピッチ210μm、縦ピッチ630μm、開口部サイズ150×200μm、厚さ5μmの遮光層2を形成した。
【0035】
(工程2:隔壁3形成)
遮光層2の画素210μmピッチ間の中心線上に、ホウケイ酸ガラスに平均粒径5μm程度のアルミナを添加した絶縁ペーストを、スリットコーターにて塗布した。この基板を95℃で乾燥後、300mJ/cm2で露光、現像し、580℃で焼成して厚さ200μm、幅55μmのストライプ状の隔壁3を形成した。
【0036】
(工程3:カラーフィルタ層4形成)
次に、カラーフィルタ材料として顔料を分散したペーストを、ストライプ形状の隔壁3の間隙に合わせて、スクリーン印刷法により落し込み印刷し、110℃で乾燥処理を施した後、500℃で焼成してカラーフィルタ層4を形成した。本例では、カラーディスプレイとなるようにR,G,Bの3色のストライプ状に塗り分け、膜厚は2μmとした。尚、カラーフィルタ層4の乾燥処理は、各色毎でも3色一括でも構わない。
【0037】
(工程4:発光層5形成)
次に発光層5の形成材料として、CRTの分野で用いられているP22蛍光体を分散したペーストを、ストライプ形状の隔壁3の間隙に合わせて、スクリーン印刷法により落し込み印刷した。次いで、110℃で3色の蛍光体に乾燥処理を施し、さらに、500℃で焼成後に結着材として作用するケイ酸アルカリ、いわゆる水ガラスを含む水溶液を、スプレー塗布した。本例では、カラーディスプレイとなるようにR,G,Bの3色の蛍光体をストライプ状に塗り分け、膜厚は10μmとした。尚、蛍光体の乾燥処理は各色毎でも3色一括でも構わない。
【0038】
(工程5:水溶性ポリマー層6形成)
隔壁3の頂部に、水溶性ポリマー層6としてカルボキシメチルセルロースをパターン印刷版を用いて印刷し、90℃で乾燥処理を施した。乾燥後の水溶性ポリマー層6の膜厚は10.3μmである。
【0039】
(工程6:平坦化層7形成)
次に隔壁3の間の発光層5の上に、平坦化層7の形成材料としてエチルセルロースを印刷法にて落し込み印刷し、110℃で乾燥し、発光層5を構成する蛍光体粉体の隙間をエチルセルロース樹脂で埋めた。その後、水洗処理を施して隔壁3の頂部に形成した水溶性ポリマー層6を除去した。その際、水溶性ポリマー層6上に付着した不要な付着物であるエチルセルロースを水溶性ポリマー層6と共に除去した。
【0040】
(工程7:メタルバック8形成)
次にメタルバック8として、アルミニウム膜を平坦化層7の上に真空蒸着法で形成した。その際、ドライフィルムレジストをラミネートしてパターニングし、発光層5である蛍光体に対応した部分のみにメタルバック8を形成した。尚、メタルバック8であるアルミニウム膜の厚さは100nmとした。さらに、この基板を500℃で焼成して、平坦化層7を除去した。
【0041】
本例では、隔壁3の頂部に付着した平坦化層7の形成材料が水溶性ポリマー層6と共に除去されており、当該ディスプレイ基板を用いたディスプレイにおいて、該隔壁3の頂部と、該頂部が接する部材とが良好に接触し、信頼性の高いディスプレイが構成される。
【符号の説明】
【0042】
1:基板、3:隔壁、5:発光層、6:水溶性ポリマー層、12:電子放出素子、13:電子源基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、基板上に、前記基板表面を複数の領域に分割する隔壁を形成する工程と、前記領域にペーストを塗布して機能層を形成する工程とを備えたディスプレイ基板の製造方法であって、
前記機能層を形成する工程に先立って、前記隔壁の頂部に水溶性ポリマー層を塗布する工程と、
前記機能層の形成工程の後に、前記隔壁の頂部に形成した前記水溶性ポリマー層を水洗により除去し、前記隔壁の頂部に付着した不要な付着物を前記水溶性ポリマー層と共に除去する工程と、
を有することを特徴とするディスプレイ基板の製造方法。
【請求項2】
少なくとも、基板と、前記基板上に配置された複数の電子放出素子と、前記電子放出素子に電圧を印加するための配線を備えた電子源基板と、
少なくとも、基板と、前記基板表面を複数の領域に分割する隔壁と、前記領域に位置する、前記電子放出素子から放出される電子の照射によって発光する発光層とを備え、前記電子源基板に対向配置するディスプレイ基板と、
前記ディスプレイ基板と電子源基板の外周部において、これら基板間に介在する枠と、
を有する画像表示装置の製造方法であって、
前記ディスプレイ基板を、請求項1に記載のディスプレイ基板の製造方法により製造することを特徴とする画像表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−187279(P2011−187279A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50443(P2010−50443)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】