説明

ディスプレイ装置

【課題】上昇流で浮遊体を空中に浮揚させながら独特な動きで浮遊体を浮遊移動させて、興趣性が高いディスプレイ効果を期待できるディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】噴出部21から空気を噴出させて上昇流Fを生起させる上昇流発生装置12と、上昇流発生装置12からの上昇流Fにより浮遊する浮遊体14と、浮遊体14の移動範囲を規制し、かつ該浮遊体14の概ねの動きを外部から目視できるような間隙28を有する規制枠16と、を備えたことを特徴とするディスプレイ装置10から構成される。上昇流発生装置12により浮遊体14を浮遊させながら、規制枠16内で独特の動きで浮遊する浮遊体14の動きを見て楽しむことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、室内、店舗、遊技場、展示場、パーティやイベント等の会場内等に設置されるディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、デパート等の店舗、パチンコ店等の遊技場、パーティやイベント会場内に装飾や雰囲気作り等を兼ねて、種々のディスプレイが設置されている。従来のディスプレイ装置としては、例えば、特許文献1に提案されているように、風力を利用して空中に浮上体を浮上させるものがある。特許文献1記載の空中浮上装置は、重力に逆らう向きに気流を発生させる気流発生装置1と前記気流によって浮上させる浮上体2とを有し、浮上体が気流から落下しないように安定させた状態で該浮上体を浮上させ続けるものであった。この浮上体2は、上昇気流内で安定して落下しないようにさせる点に着目して設計されており、水平方向の最大径部となる中周縁部3と、中周縁部より気流上流側に先細りに形成されたD部5と、下流側に切断面の周縁をなす上周縁部4を持つL部6と、を有している。そしてこの中周縁部3と上周縁部4との間隔は中周縁部3の直径の0.06倍から0.7倍の範囲に設定し、また中周縁部3から上周縁部4への仰角αを55度から89度の範囲に設定して設けられている。
【特許文献1】特開2003−29684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の空中浮上装置では、浮上体を空中で安定的に浮上させておくだけのものであるので、変化に乏しくて面白味が少なく、ディスプレイ用としては商品価値が低いという問題があった。さらに、浮上体が室内空調設備等の気流発生装置以外からの風の影響を受けて落下してしまうおそれもあるので、例えば、常時監視が必要であったり、使用場所が限定されたり、風の流れを複雑に計算して制御する必要がある等の問題があった。また、浮上体の形状が複雑で独特な形状で形成されているから、製造が煩雑で、高コストになるものであった。
【0004】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、上昇流で浮遊体を空中に浮揚させながら独特な動きで浮遊体を浮遊移動させて、興趣性が高いディスプレイ効果を期待できるディスプレイ装置を提供することである。さらに、他の目的は、簡単な構成でデザイン性が高くディスプレイ商品として優れたディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、噴出部21から空気を噴出させて上昇流Fを生起させる上昇流発生装置12と、上昇流発生装置12からの上昇流Fにより浮遊する浮遊体14と、浮遊体14を内部に収容し、かつその移動範囲を規制し、さらに該浮遊体14の概ねの動きを外部から目視できるような間隙28を有する規制枠16と、を備えたことを特徴とするディスプレイ装置10から構成される。また、上昇流発生装置12は、種々のブロワ(送風機)装置を用いてもよい。浮遊体14は、例えば、球体、楕円球体またはたまご形、その他任意の形状でも良い。浮遊体14は、例えば、紙風船、ゴム風船、ゴムボール、発泡性スチレン樹脂性の玉、その他軽量合成樹脂性の玉、その他任意のものでもよい。規制枠16は、物理的に浮遊体の動きを規制する部分と、浮遊体14を離脱させることなく浮遊体14の概ねの動きを目視できるような大きさの間隙と、を同時に有する構成であればよい。
【0006】
また、規制枠16は、上昇流Fが流れる範囲より横方向に広がった浮遊体14の移動空間Sを形成するように設けられたこととしてもよい。
【0007】
また、規制枠16は、上昇流Fから離脱して移動空間Sの下方側に落下する浮遊体14を上昇流発生装置12の噴出部21近傍に誘導させるような落下誘導部36を有することとしてもよい。
【0008】
また、規制枠16は、浮遊体14が該規制枠16の拘束から離脱して逃げないような大きさの間隙28を形成するように互いに離隔して配置された複数のリボン状の帯部材301〜307を有することとしてもよい。規制枠16は、例えば、透光性のあるもの素材で形成したり、光反射させうるアルミニウム等の金属箔等を貼り付けたて形成したり、無機粉末塗料或いは蛍光塗料等を一部または全体に塗布して形成してもよく、模様や柄を施してもよい。
【0009】
また、規制枠16は、アーチ状に湾曲した帯部材301〜307を組み付けて形成したアーチ状枠体32からなることとしてもよい。
【0010】
また、上昇流発生装置12は、送風ファン20と、送風ファン20により発生した風を略直流状の上昇流Fとして噴出させ浮遊体14を所要の規制枠内空中位置で停止保持させ得る直流筒部22と、を有することとしてもよい。なお、空気の噴出し方向は鉛直真上方向に限らず、斜め方向に傾けて設定してもよい。また、送風ファン20は、例えば、プロペラファン等の軸流送風機、シロッコファン、ターボファン等の遠心送風機等でもよい。
【0011】
また、直流筒部22は、送風ファン20に近接して配置されて送風ファン20からの風の流れを分割しつつそれぞれの噴出口24aを上向きに設けられた複数の小分割円筒部材24を含むこととしてもよい。
【0012】
また、規制枠16及び/又は浮遊体14に光を照射する照明装置26が設けられたこととしてもよい。照明装置26は、例えば、白色電球または任意の色の着色電球、発光ダイオード、蛍光灯、ハロゲンランプ、白熱電球等その他任意のものでもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、噴出部から空気を噴出させて上昇流を生起させる上昇流発生装置と、上昇流発生装置からの上昇流により浮遊する浮遊体と、浮遊体を内部に収容し、かつその移動範囲を規制し、さらに該浮遊体の概ねの動きを外部から目視できるような間隙を有する規制枠と、を備えたことから、浮遊体を独特な動きで浮遊させて、見る者が楽しめる興趣性の高いディスプレイ装置を実現できる。さらに、規制枠により浮遊体の移動範囲を規制するので、例えば、空調装置や外部からの風等の他の風が影響する場所でも用いることができる結果、使用場所が制限されず、実用性に優れる。同時に、空調等の他の風により浮遊体がより一層面白味のある動きをすることが期待でき、見る者が飽きずに楽しむことができる。また、簡単な構造で、低コストで製造できる。
【0014】
また、規制枠は、上昇流が流れる範囲より横方向に広がった浮遊体の移動空間を形成するように設けられた構成とすることにより、浮遊体の浮遊移動できる範囲が広く、より複雑で面白味のある浮遊体の動きを楽しむことができる。
【0015】
また、規制枠は、上昇流から離脱して移動空間の下方側に落下する浮遊体を上昇流発生装置の噴出部近傍に誘導させるような落下誘導部を有する構成とすることにより、監視や特所な制御等を必要としないで、上昇流から離脱して落下しても再び浮遊体を浮遊動作させて、連続的に動作させることができる。
【0016】
また、規制枠は、浮遊体が該規制枠の拘束から離脱して逃げないような大きさの間隙を形成するように互いに離隔して配置された複数のリボン状の帯部材を有する構成とすることにより、規制枠にデザイン性をもたせて装飾でき、ディスプレイ装置としての商品価値を向上させうる。さらに、簡単な構造で規制枠を構成することができ、低コストで装置を製造できる。
【0017】
また、規制枠は、アーチ状に湾曲した帯部材を組み付けて形成したアーチ状枠体からなる構成とすることにより、簡単な構成で意匠性の高い規制枠構造を具体的に実現できる。
【0018】
また、上昇流発生装置は、送風ファンと、送風ファンにより発生した風を略直流状の上昇流として噴出させ浮遊体を所要の規制枠内空中位置で停止保持させ得る直流筒部と、を有する構成とすることにより、上昇流の影響下で浮遊体を比較的長時間空中に浮遊させておくことができ、浮遊体の面白味のある動きを具体的に実現させ得る。
【0019】
また、直流筒部は、送風ファンに近接して配置されて送風ファンからの風の流れを分割しつつそれぞれの噴出口を上向きに設けられた複数の小分割円筒部材を含む構成とすることにより、簡単、低コスト構造で良好な直流状の上昇流を発生しうる上昇流発生装置を製造できる。また、流れの速い上昇流を広い範囲で形成することができる。
【0020】
また、規制枠及び/又は浮遊体に光を照射する照明装置が設けられた構成とすることにより、浮遊体の浮遊動作による視覚効果等に加えて照明効果によりディスプレイ効果を相乗的に向上させうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下添付図面を参照しつつ本発明のディスプレイ装置を説明する。本実施形態のディスプレイ装置は、例えば、デパート、飲食店、パチンコ店、その他の店舗や遊技場、パーティやイベント等の会場、その他種々の場所に設置され、装飾、雰囲気作り等で用いられるディスプレイ装置である。そして、上昇流発生装置により浮遊体を浮遊させながら、規制枠内で独特の動きで浮遊する浮遊体の動きを見て楽しむことができる面白味のあるディスプレイ装置である。図1ないし図5は本発明のディスプレイ装置の実施形態を示している。図1、図2に示すように、本実施形態において、ディスプレイ装置10は、上昇流発生装置12と、浮遊体14と、規制枠16と、を含む。
【0022】
本実施形態では、ディスプレイ装置10全体を支持する基台18を有している。基台18は、例えば、ある程度強度がある金属製の中空円筒管状の筒型部材からなり、軸方向を縦に向けて配置されている。基台18の円筒周面には、中空内部と外部とを連通させた複数の連通間隙19が設けられている。本実施形態では、基台18を介して、例えば、床面上、台面上、棚上等の平面上にディスプレイ装置10を安定的に載置させることができ、設置場所に自立させて設置させることができる。なお、基台18は、円筒形状のものに限らず、たとえば、角筒や多角形筒、その他任意形状の筒形、箱形、フレーム構成、その他任意の構成としてもよく、ディスプレイ装置を10自立させた状態で配置できる態様とすると好適である。本実施形態では、基台18に上昇流発生装置12と規制枠16が一体的に組み付けられている。
【0023】
本実施形態において、図1、図4、図6に示すように、上昇流発生装置12は、噴出部21より空気を上向きに噴出して上昇流Fを生起させる上昇流発生手段である。さらに、この上昇流発生手段としての上昇流発生装置12は、後述するように上昇流Fを発生させて浮遊体14を浮遊させるための浮遊手段である。本実施形態では、上昇流発生装置12は、送風ファン20と、直流筒部22と、を含む。送風ファン20は、例えば、回転軸周りにその径方向に取り付けられた複数のプロペラ羽根を軸回転させて主として回転軸方向に風を送るプロペラファンからなり、ファンモータが例えば図示しない電源コード等を介して100V電源に接続される。本実施形態では、送風ファン20は、円筒形状の基台18の上端側に回転軸を鉛直方向に向けた状態でフレームを基台18に固定させており、ファンの回転作動時には下から上方向へ向けて連続して略一定風量の風を送るようになっている。この際、送風ファン20は基台18の連通間隙19を介して外部から空気を給気される。
【0024】
直流筒部22は、送風ファン20により発生した風を略直流状の上昇流Fとして噴出させる。すなわち、本実施形態では、直流筒部22により上昇流は、横方向への分散を少なくし、略真っ直ぐに鉛直上方向に空気を噴出するようになっている。本実施形態では、直流筒部22は、図4、図5にも示すように、送風ファン20の直上に近接して配置されて、送風ファン20からの風の流れを分割しつつそれぞれの噴出口24aを上向きに設けられた複数の小分割円筒部材24を含む。本実施形態では、直流筒部22は、長さ、大きさが同一の7個の小分割円筒部材24を軸方向を鉛直方向に揃えて、平面視で1個の円筒部材を中心に配置させしながら他の円筒部材が軸対称状に配置されるように束ねた状態で設けられ、送風ファン20上に固定されている。複数の小分割円筒部材24の噴出口24aが集まって、上昇流の流れる範囲の水平断面が円形に近似した上昇流発生装置12の噴出部21を形成する。複数の小分割円筒部材24により送風ファン20で発生した風を小断面積の流路で分割することで、各小分割円筒部材24では風速が増加した状態で、しかも横方向への分散が低減した直流状の上昇流の発生を期待できる。したがって、直流筒部22の噴出部21から噴出される全体としての上昇流の流れる範囲は、略円筒状に収束した範囲となり、上昇流が略直流状に形成される。本実施形態では、小分割円筒部材24は、例えば、プラスチック等の合成樹脂製で両端開口した円筒形直管から形成されている。小分割円筒部材24は、軸方向にある程度長く設けられており、上端側開口を噴出口24aとし、下端側開口を吸込み口としている。図5にも示すように、平面視では、小分割円筒部材24を束ねた外形輪郭の大きさが、送風ファン20の羽根の大きさより若干大きく設けられており、送風ファン20の風はいずれかの小分割円筒部材24内に送られるようになっている。
【0025】
本実施形態では、略直流状の上昇流として噴出させることにより、浮遊体14を規制枠16内の空中のある高さ位置まで上に浮揚させる。上昇流のみで他の空気の流れがほとんど無視できる状態では、その空中位置近傍で浮遊する浮遊体14は横にそれて落下することなく、上昇流の流れる範囲内に留まるように浮遊状態を安定的に保持される。すなわち、直流筒部22は、浮遊体14を所要の規制枠16内空中位置で停止保持させ得るような略直流状の上昇流として噴出させるように設けられている。よって、本実施形態では、直流筒部22により直流状の速い流れで噴出させて上昇流を形成することにより、浮遊体14を所要の空中高さ位置で浮揚させ続けて、ふわふわと漂うような独特の浮遊動作を実現できる。さらに、上昇流が流れる速い流れの近傍では、上昇流の範囲から離脱している浮遊体14を上昇流の速い流れ内へ引き込むような力が作用する。なお、上昇流の流れの中に浮遊体が空中で保持される現象は、例えば、上昇流の風圧と浮遊体の重量とのバランスや、流れの速いところは圧力が小さくなる作用(ベルヌーイの定理)、流れが曲がると曲がりの内側の圧力が低く、外側が高くなる作用(流線曲率の定理)、流れが浮遊体の表面に沿って流れる作用(コアンダ効果)等が複合的に組み合わさって生じるものと推測される。なお、上昇流を例えば放射状に分散するように噴出させるようにしてもよいが、直流状の上昇流と比較して、浮遊体14の浮揚高さが減少するとともに、空中の浮遊時間が短くなると予想される。
【0026】
浮遊体14は、図1、図4、図6に示すように、上昇流発生装置12からの上昇流により空中に浮遊し、その浮遊動作による視覚効果を生じさせる。浮遊体14は、本実施形態では、例えば、内部に大気と同じ空気を封入した紙製やゴム製の風船玉からなる。浮遊体14は、略球体に形成されている。風船玉は、全体的に軽量であるから、浮遊体14は、上記のような上昇流Fの影響下で、空中を左右前後に緩やかにふわふわと浮遊しうる。また、上昇流や空調等その他の空気の流れの影響を受けて容易に動きやすい。本実施形態では、浮遊体14の径の大きさは、例えば、噴出部21の径よりも大きな径で設けられている。なお、浮遊体14の径は、噴出部21の径と略同じか小さくてもよく、浮遊体14の径と噴出部21の大きさや噴出力との関係で浮遊体の動き方や動くスピードに変化が生じると考えられる。浮遊体14の形状は、球体に限らず、上昇流を受ける面がなだらかな凸状の円弧状曲面であると好適であり、例えば、楕円球体、たまご型、外側に凸状の任意曲率の曲線の回転体等の形状でも良い。浮遊体14の表面全体には例えば、光を反射するアルミニウム等の金属箔等からなる光反射材が貼り付けられており、後述する照明装置26の照明を反射するようになっている。なお、浮遊体14は、表面に模様や絵を施したり、無色または着色透明の素材で形成したり、蛍光塗料を塗布したり、その他種々の形態で形成してもよい。
【0027】
規制枠16は、図1、図2、図4に示すように、浮遊体14を内部に収容し、かつその移動範囲を規制する規制手段であり、さらに該浮遊体14の概ねの動きを外部から目視できるような間隙28を有する。規制枠16は、内部に浮遊体14が自由に移動できる移動空間Sを形成するとともに移動空間S内に浮遊体14を拘束する。本実施形態では、規制枠16は、上昇流Fが流れる範囲よりも横方向に広がった浮遊体14の移動空間Sを形成するように設けられている。これにより、浮遊体が移動しうる範囲が広く、浮遊体14は上昇流Fから離脱して落下するような動きも可能とし、浮遊体14の複雑な動きを期待できる。本実施形態では、正面視で規制枠16の左右中央位置の下側に上昇流発生装置12が配置されるとともに、規制枠16内に上昇流発生装置12の噴出部21を臨ませており、規制枠16で形成される移動空間Sが左右両側に広がるように設けられている。間隙28は、例えば、外部から見た場合に、移動空間S内で浮遊している浮遊体14が、規制枠16で隠れる面積よりも大きな部分を目視できるように設けられており、浮遊体の概略の外形と動きを容易に把握できるようになっている。同時に、間隙28は、浮遊体が離脱しない程度の大きさに設けられる必要があり、本実施形態では、例えば、間隙28の大きさが、略球体径状の浮遊体14の直径よりも小さく設定されている。さらに、間隙28は、規制枠16の内外に自在に空気の流れを出入させうることができる。本実施形態では、間隙の連通方向が上昇流Fの流れに対して交差方向に設けられている。間隙28を介して、例えば、空調設備や風等が浮遊している浮遊体に作用させて、浮遊体14をより面白味のある独特な動きで浮遊させることができる。なお、上昇流Fは、一部が規制枠16の上部側に当たりながら間隙28から外部に排出される。
【0028】
本実施形態では、規制枠16は、浮遊体14が該規制枠16の拘束から離脱して逃げないような大きさの間隙28を形成するように互いに離隔して配置された複数のリボン状の帯部材301〜307を含む。図3にも示すように、規制枠16は、アーチ状に湾曲された7個の帯部材301〜307を組み付けて形成されたアーチ状枠体32からなる。これにより、規制枠16にリボン装飾のようなデザイン性を兼用させることができ、ディスプレイ装置としての商品価値を向上させうる。さらに、簡単な構造で規制枠16を構成でき、低コストでディスプレイ装置を製造できる。帯部材301〜307は、例えば、長手方向に一定の横幅で形成され、種々の色に着色された着色透明または無色透明で、アーチ湾曲形状を保持できるような可撓性のある塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で形成されている。なお、帯部材は、それぞれの色を異ならせても良い。帯部材301〜307は、側面視でアーチ状に形成されるように、前面側から斜め上方向又は真上方向に延長されて背面側に向かうようなアーチ状に湾曲して設けられており、その両端が基台18から上方向に突設された一対の支持片34を介して基台18に固定されている。支持片34は、基台18の上端に前後方向に対向して一体的に固定された略L字状の金属細帯板からなり、例えば、ボルト、ナット等の固定手段により帯部材301〜307の端部が固定される。
【0029】
本実施形態では、アーチ状枠体32は、アーチ状に湾曲された帯部材301〜307の湾曲内側で囲まれる空間を左右に連続させた空間により浮遊体14の移動空間Sを形成している。アーチ状枠体32は、図1の実施形態において、正面視で帯部材301〜307が支持片34を支点として扇の骨のように放射状に広がるように設けられている。即ち、アーチ状枠体32は、帯部材301〜307のそれぞれの両端部を支持片34に収束するとともに、中間の湾曲部分が互いに離隔するように設けられている。帯部材同士の離隔配置により形成される間隙28は、アーチ状に形成され、その間隙幅が規制枠16の下方側(帯部材の端部側)では小さく、規制枠の上方側(帯部材の中央部側)に向かうにしたがって徐々に大きくなるように形成されている。間隙28の最大幅となる帯部材の中央部分同士間の離隔大きさは浮遊体14の直径より小さく設定される。さらに、帯部材の長さは、規制枠16の下方側を形成している左右下部側に配置された帯部材301,307から、水平方向からの傾斜角度が高くなるものにしたがって長く形成されており、左右中央に配置される鉛直方向に向きの帯部材304の長さが最大になるように設けられている。よって、移動範囲Sは、上昇流が流れる範囲周辺、浮遊体14が浮遊移動する範囲が上下又は左右方向に比較的広く形成され、上昇流を受けながら浮遊動作している浮遊体14が帯部材に比較的衝突しにくいようになっている。
【0030】
左右下部側に配置された帯部材301、307は、それらのアーチ内側空隙が間隙28bとなり、浮遊体14が間隙28bから離脱しないようにその長さ及び間隙の広さが設定されている。さらに、左右下部側に配置された帯部材301、307が上昇流発生装置12側が低くなるように斜めに傾けて設けられているので、帯部材301、307上に落下してきた浮遊体(図6上、仮想線14f)は、該帯部材301,307に当たりながら、図6上、矢印D方向に転がるように上昇流発生装置12側に誘導される。すなわち、規制枠16は、上昇流から横に離脱して移動空間の下方側に落下する浮遊体14を上昇流発生装置の噴出部側近傍に誘導させる落下誘導部36を有しており、本実施形態では、規制枠の一部を構成する帯部材301,307が落下誘導部36となる。これにより、上昇流から横に離脱して移動空間Sの下方側に落下した浮遊体14を再び上昇流で浮遊させることができ、監視や複雑な制御等を必要とすることなく、浮遊体の動きによるディスプレイ効果を維持できる。なお、規制枠16は、上昇流が流れる範囲から浮遊体14が横に離脱しないように、すなわち浮遊体14が落下しないような大きさの移動空間Sを形成するように設けられてもよい。また、規制枠16を構成している帯部材301〜307の個数や長さ、横幅、離隔幅等は任意に設定できる。また、アーチ状に湾曲した帯部材を交差させることとしてもよい。規制枠16は、実施形態に限らず、細い枠部材によるフレーム構造や、格子枠構造、網目枠構造、箱型や筒型形状に孔を設けた構造、一本の長い帯部材や針金等の索条部材を内部に空間を形成しながら螺旋状等に形成した構造等その他任意の構成でもよい。また、規制枠16は、例えば、面ファスナやボタンのような雌雄一対の着脱部材を用いて、帯部材の端部側に設けられた係着部と、上昇流発生装置側に設けられて帯部材の係着部を受ける係着受部と、を有する着脱機構を構成し、枠体を形成している一部又は全部の帯部材301〜307を上昇流発生装置12や基台22に対して着脱自在に設けることとしてもよい。これにより、浮遊体の交換や装置のメンテナンスが簡単に行なえる。さらに、大きさ、形状、デザイン等の異なる複数種類の規制枠又は帯部材を用意しておくと、必要に応じてそれらを自由に交換できる。なお、着脱機構は、例えば、帯部材の端部自体を係着部とし、該帯部材を自在に差し込み離脱出来る受穴を係着受部とした構成や、帯部材の端部に切り欠きを形成して係着部とし、上昇流発生装置側にフック状に突設した突起部材を係着受部としてもよい。また、ボルト・ナット等の他の連結部材を用いた構成やその他任意の着脱構成でもよい。また、規制枠16は、帯部材301〜307同士の離隔幅を自在に変更できるように構成して、間隙28の大きさ又は移動空間Sの大きさを自在に変更できるようにしてもよい。この際、例えば、帯部材301〜307が、その端部が組みつけられている支持片34との接続部を支点として回動するように構成し、該帯部材301〜307同士が扇状に自在に収束、展開可能な構成としてもよい。これにより、持ち運びや収納等する際に、装置全体をコンパクト化でき、設置場所では簡単に浮遊体の規制手段を形成できる。また、帯部材301〜307の一端又は両端部側に長手方向に沿って互いに離隔した複数の孔や長手方向に沿って長く形成された長孔を予め穿孔しておき、それらを任意の孔の位置で支持片34と連結できるように構成して、アーチの円弧長さを変更できるようにしてもよい。また、規制枠16は、例えば、湾曲、折り曲げ、伸ばし自在に変形でき、かつその形状を自己的に保持できる素材、例えば、薄いアルミニウム等の軟金属製の帯部材や、布や薄い合成樹脂等の帯部材に針金等を心材としたもの、モール等の針金に色糸やビニル等をより合わせたもの等で構成してもよい。これにより、帯部材等に手で力を加えるだけの簡単な操作で、規制枠を所望の形状に自在に変形でき、装飾の変更等を図ることができる。また、帯部材301〜307は、上昇流や空調等の風の影響を受けて振動するように設けられていてもよい。また、規制枠16は、例えば、上昇縦軸又は横軸回りに回転できるように構成しても良い。この際、規制枠16の回転駆動としては、例えば、モータ駆動でもよく、上昇流等の風の流れを受けて回転するような構成等その他任意に設けてもよい。規制枠にも動作を与えることで、より趣向性のあるディスプレイ効果が期待できる。
【0031】
さらに本実施形態では、図1、図2、図3に示すように、ディスプレイ装置10には、浮遊体14と規制枠16に光を照射する照明装置26が設けられている。照明装置26により、浮遊体14の独特の動きが与える視覚効果とともに照明による効果も相俟って、より趣向性の高いディスプレイ効果を期待できる。本実施形態では、照明装置26は、図1において、基台18の左右に固定された白色電球からなり、光の照射方向を上方向に向けて設定され、末広がり状に光を照射する。照明装置26から照射された光は、浮遊体14の表面で反射すると同時に、着色透明(又は無色透明)の帯部材301〜307を通過、又は規制枠16の間隙28を通過して、外部で目視されることとなり、意匠感のある独特な照明効果をあらわすことができる。なお、照明装置26は、浮遊体14のみまたは規制枠16のみに照明が当たるように取付けられることとしてもよい。また、照明装置26の取り付け位置は上記位置に限定されず、例えば、基台18や規制枠自体の任意の場所に取り付けることとしてもよい。また、電球等の個数は1個又は2個以上の複数個でもよい。
【0032】
ディスプレイ装置10を使用する際には、例えば、室内の床面上に配置させる。上昇流発生装置12の送風ファンを稼働させて上昇流を発生させる。同時に照明装置26を点灯させて、浮遊体14や規制枠16を照らす。浮遊体14は、上昇流発生装置12からの略直流状の上昇流Fにより、規制枠16内である高さ位置まで空中に浮揚される。浮遊体14は、上昇流Fにより空中に浮かんだ状態で、該上昇流の流れの範囲内に留まるように左右前後上下あらゆる方向にふわふわと漂うように浮遊する。この際、例えば、規制枠16の間隙28を介して規制枠16内に入る空調装置からの風や外から風の影響や、上昇流Fが規制枠16に当たって発生する乱流や渦流等により、上昇流Fの他に複雑な空気の流れが浮遊体に作用すると考えられる。そして、浮遊体14には上昇流Fの中心軸に向かう方向(X1)へ移動させうる力と上昇流Fの中心軸から外側に向かう方向(X2)へ移動させる力が働くと考えられ、浮遊体14は面白味のある独特な動きで浮遊する。浮遊体14が左右に浮遊している際に上昇流Fの流れる範囲を超えて離脱した場合にも該浮遊体は規制枠16で移動を規制され移動空間内で浮遊する。また、上昇流Fの流れる範囲を超えて離脱した浮遊体14は移動空間内を緩やかに落下して、規制枠16下方側の帯部材301,307上に落下する。この際、該帯部材301、307が落下誘導部36として上昇流発生装置12の噴出部に浮遊体を誘導する。そして、浮遊体14は、再度、上昇流の流れの範囲内に引き込まれて空中位置に浮揚されて、空中を浮遊動する。このように、特殊な風の制御や監視を必要としなくても、規制枠16内で略連続的又は断続的に浮遊体を浮遊させて、その動きを楽しむことができる。
【0033】
なお、上記実施形態のようにディスプレイ装置10自体を床上等に動かない状態で配置させておく態様に限らず、ディスプレイ装置10全体を可動させる構成としてもよい。例えば、ディスプレイ装置自身が自走できるように基台18の下に駆動用車輪を設けた構成やレール等で動作させる構成としてもよい。或いは、ディスプレイ装置全体が縦軸周りに回転するような構成、前後または左右に揺動するような構成等その他任意の構成としてもよい。ディスプレイ装置自体をも可動させると、より独特のディスプレイ効果を期待できる。
【0034】
以上説明した本発明のディスプレイ装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のディスプレイ装置は、例えば、デパート、スーパーマーケット、小売店、飲食店、パチンコ店、ゲーム遊技場、遊園地、その他の店舗や遊技場、パーティやイベント、展示会、博覧会等の会場、その他種々の場所で、装飾、雰囲気づくり、販売促進等の種々の場面で適用される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係るディスプレイ装置の正面図である。
【図2】図1のディスプレイ装置の平面図である。
【図3】図1のディスプレイ装置の右側面図である。
【図4】図1のディスプレイ装置の一部切り欠いた状態の斜視説明図である。
【図5】図1のA−A線矢視図である。
【図6】図2のB−B線一部省略断面図であって、概略の作用を示す説明図である。
【符号の説明】
【0037】
10 ディスプレイ装置
12 上昇流発生装置
14 浮遊体
16 規制枠
20 送風ファン
22 直流筒部
24 小分割円筒部材
26 照明装置
28 間隙
301〜307 帯部材
32 アーチ状枠体
36 落下誘導部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴出部から空気を噴出させて上昇流を生起させる上昇流発生装置と、
上昇流発生装置からの上昇流により浮遊する浮遊体と、
浮遊体を内部に収容し、かつその移動範囲を規制し、さらに該浮遊体の概ねの動きを外部から目視できるような間隙を有する規制枠と、を備えたことを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項2】
規制枠は、上昇流が流れる範囲より横方向に広がった浮遊体の移動空間を形成するように設けられたことを特徴とする請求項1記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
規制枠は、上昇流から離脱して移動空間の下方側に落下する浮遊体を上昇流発生装置の噴出部近傍に誘導させるような落下誘導部を有することを特徴とする請求項2記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
規制枠は、浮遊体が該規制枠の拘束から離脱して逃げないような大きさの間隙を形成するように互いに離隔して配置された複数のリボン状の帯部材を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
規制枠は、アーチ状に湾曲した帯部材を組み付けて形成したアーチ状枠体からなることを特徴とする請求項4記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
上昇流発生装置は、
送風ファンと、
送風ファンにより発生した風を略直流状の上昇流として噴出させ浮遊体を所要の規制枠内空中位置で停止保持させ得る直流筒部と、を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
直流筒部は、送風ファンに近接して配置されて送風ファンからの風の流れを分割しつつそれぞれの噴出口を上向きに設けられた複数の小分割円筒部材を含むことを特徴とする請求項6記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
規制枠及び/又は浮遊体に光を照射する照明装置が設けられたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のディスプレイ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−3551(P2007−3551A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180030(P2005−180030)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(505233871)有限会社ミリオンプランニング (4)