説明

ディフレクタ

【課題】走行風により生じる抵抗を低減しつつ、走行風の乱流を従来よりも抑制し、走行風の向きをスムーズに変え得るディフレクタを提供する。
【解決手段】ディフレクタ2aでは、走行時に生じる走行風が塞き止められることなく、ディフレクタ取付部18の裏面20d及び筐体上面9b間の隙間G1を流れ、車両前方から車両後方へとそのまま流すことができ、かくして走行風により生じる抵抗を低減し得る。また、このディフレクタ2aでは、ディフレクタ取付部18の表面20cに沿って流れた走行風が、隙間G1を通過し整流された走行風によっても車両後方に導かれる。これにより、ディフレクタ2aでは、ディフレクタ取付部18の表面20cに沿って流れた走行風が、隙間G1を通過した走行風により車体下方へ落ち込み難くなり、かくして、走行風の乱流を従来よりも抑制し、走行風の向きをスムーズに変え得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディフレクタに関し、例えば鞍乗り型の自動二輪車に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動二輪車において、走行風が直接あたることによる乗員の疲労や乱流による不快感、走行時の騒音等を防止し、乗員の居住性を改善するものとしてディフレクタが知られている。実際上、このようなディフレクタとしては、例えば板状部材からなり、車体側面におけるバックミラーの下部に回転自在に設けられたディフレクタが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなディフレクタは、使用時、バックミラー下部において、車体側面に立設するように回転保持され、車体側面から突出した壁状に配置させることで、走行時に車体前方から車体後方に向けて流れる走行風を塞き止め、乗員に直接あたる走行風を抑制し得ることが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第EP0911250号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる構成でなるディフレクタでは、使用時、車体前方から車体後方に向けて流れる走行風を塞き止めることから、その分だけ抵抗が大きくなるという問題があった。また、このようなディフレクタでは、走行時に車体前方から車体後方に向けて流れる走行風を塞き止めてしまうと、かえって走行風が乱流となり、予測した通りの整流が行い難く、走行風の向きをスムーズに変え難いという問題があった。
【0006】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたもので、走行風により生じる抵抗を低減しつつ、走行風の乱流を従来よりも抑制し、走行風の向きをスムーズに変え得るディフレクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明において、請求項1記載の発明では、鞍乗り型車両に取り付けて車両前方から車両後方へ流れる走行風の向きを変え、乗員にあたる前記走行風を抑制するディフレクタにおいて、前記鞍乗り型車両の取付部位に対し裏面が隙間を設けて配置される板状のディフレクタ本体を備え、前記ディフレクタ本体は、前記隙間に前記走行風が流れるとともに、該裏面と対向した表面にも前記走行風が流れることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2記載の発明では、前記ディフレクタ本体は、前記鞍乗り型車両の車体側面から突出したバックミラーの上面に対して取り付けられるディフレクタ取付部と、前記ディフレクタ取付部に一体成形された延長部とを備え、前記延長部は、車体前面を覆うカウリング側へ延びるように形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、走行時に生じる走行風が塞き止められることなく、取付部位及びディフレクタ本体の裏面間の隙間を流れ、走行風により生じる抵抗を低減し得、また、ディフレクタ本体の表面に沿って流れた走行風が、当該隙間を通過した走行風により車体下方へ落ち込むことを抑制し得、かくして、走行風の乱流を従来よりも抑制し、走行風の向きをスムーズに変え得る。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、車種によりカウリングの形状が異なる鞍乗り型車両であっても簡単に取り付けることができ、また、延長部により、バックミラー及びカウリング間に走行風が通過し難くなり、その分だけ乗員へ直接あたる走行風を抑制し得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によるディフレクタを取り付けた自動二輪車の車体前方から見た全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明によるディフレクタを取り付けた自動二輪車の車体後方から見た全体構成を示す概略図である
【図3】ディフレクタをバックミラーに取り付けた際の構成(1)を示す概略図である。
【図4】ディフレクタをバックミラーに取り付けた際の構成(2)を示す概略図である。
【図5】ディフレクタの脚部の説明に供する概略図である。
【図6】ディフレクタをバックミラーに取り付ける際の説明に供する分解図である。
【図7】ディフレクタをバックミラーに取り付けた際の断面構成を示す断面図である。
【図8】自動二輪車のバックミラー及びシールド間の構成を示す概略図である。
【図9】ディフレクタを取り付けた際の正面構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面に基づいて、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0013】
図1及び図2において、1は本発明によるディフレクタ2a,2bが取り付けられた自動二輪車を示し、このディフレクタ2a,2bは、車体側面から突出したバックミラー3a,3bにそれぞれ設けられており、車体側面にそれぞれ設けられたバックミラー3a,3bと同様に左右対称に形成されている。これらディフレクタ2a,2bは、走行時に車体前方から車体後方へ流れる走行風を、バックミラー3a,3bの上部において整流し、図示しないフロントシート後方のリヤシートに着座したパッセンジャーに直接あたる走行風を低減し得るようになされている。
【0014】
因みに、この実施の形態の場合、本発明のディフレクタ2a,2bが設けられる自動二輪車1は、図1に示したように、前輪5aの上方にカウリング6が設けられ、透明な板状のシールド7がカウリング上部6aに設けられており、当該シールド7によって運転者及びパッセンジャー(以下、これらをまとめて単に乗員と呼ぶ)へ直接あたる走行風を抑制し得るようになされている。
【0015】
また、カウリング6には、車両上下方向yと直交する車両幅方向xに向けてカウリング側部6bから突出するようにしてバックミラー3a,3bがそれぞれ配置されている。ここで、バックミラー3a,3bは、図2に示すように、車体後方側に開口部9aが形成された断面コ字状の筐体9を有し、当該筐体9の開口部にミラー10が嵌め込まれるようにして配置され、フロントシートに着座した運転者がミラー10により車両後方を視認し得るようになされている。
【0016】
また、この自動二輪車1は、後輪5bの上方にトランク11が設けられており、当該トランク11の上部側にあるトランクカバー12がパッセンジャーの背もたれとして機能し、このトランクカバー12の高さ位置と近似した高さにバックミラー3a,3bが配置され、フロントシートに着座した運転者がミラー10を視認し易い高さに配置されている。
【0017】
本発明のディフレクタ2a,2bは、このような高さ位置に配置されたバックミラー3a,3bの上部に設けられており、走行時、車体前方から車体後方に向けて走行風が流れた際、トランクカバー12を背もたれとしてリヤシートに着座したパッセンジャーの腕部周りにおける乱流を抑制し、当該腕部付近に直接あたる走行風を低減し得るようになされている。
【0018】
なお、この実施の形態の場合、車体両側部にある各バックミラー3a,3bに設けられたディフレクタ2a,2bは、左右対称に形成され、同一構成を有することから、以下、一方のディフレクタ2aに着目して説明する。実際上、このディフレクタ2aは、バックミラー3aの上部を覆うとともに、当該バックミラー3aの上部からシールド7まで延びたディフレクタ本体15と、バックミラー3aの上部に当該ディフレクタ本体15を固定させるための複数の脚部16a,16b,16c(図2では、便宜上、ディフレクタ2b側に表記する)とで構成されている。
【0019】
ディフレクタ本体15は、例えばプラスチック材等の合成樹脂材からなり、全体が所定の厚みを有した板状部材により形成されている。このディフレクタ本体15は、バックミラー3aの筐体上面に取り付けられるディフレクタ取付部18と、当該ディフレクタ取付部18と一体成型され、バックミラー3aの筐体上面からカウリング6及びシールド7に沿って延びた延長部19とから構成されている。
【0020】
ディフレクタ取付部18は、図3に示すように、バックミラー3aの筐体上面の外郭形状に合わせてその外郭形状が形成されており、バックミラー3aの筐体上面をほぼ全面覆うように形成されている。実際上、ディフレクタ取付部18は、後方縁部20aがバックミラー3aの筐体9の形状に合わせてほぼ直線状に形成されているとともに、前方縁部20bが車体幅方向xの車体外方側にゆくに従って後方縁部20aに次第に近づくように滑らかに湾曲させた形状を有し、前方縁部20aと後方縁部20bとの連接する先端部が丸みを帯びた形状に形成されている。
【0021】
また、ディフレクタ取付部18の外部に露出した表面20cは、凹凸のない滑らかな形状を有しており、バックミラー3aの筐体上面の形状に沿うように僅かに丸みを持たせて形成されている。これに加えて、ディフレクタ取付部18は、図4に示すように、表面20cと対向する裏面20dが当該表面20cと同じように凹凸のない滑らかな形状を有し、当該表面20cの面形状と同一の面形状に形成されている。
【0022】
また、ディフレクタ取付部18は、裏面20dが筐体上面9bから所定距離だけ離して配置されており、走行時に車体前方から車体後方に向かって流れる走行風が、筐体上面9bと裏面20dの間に形成された隙間G1を通過し得るようになされている。実際上、ディフレクタ取付部18には、バックミラー3aの筐体上面9bと対向した裏面20dに複数(この場合、3つ)の脚部16a,16b,16cが設けられており、これら脚部16a,16b,16cによって裏面20dが筐体上面9bから所定距離遠ざけて配置されている。
【0023】
この実施の形態の場合、脚部16a,16b,16cは、図5に示すように、楕円状の支柱部材からなり、ディフレクタ取付部18の裏面20dに立設されている。また、これら脚部16a,16b,16cは、楕円状の長手方向が、車体幅方向x及び車体上下方向yと直交する車体前後方向zと平行になるように配置され、走行時に車体前方から車体後方に向かって流れる走行風が遮断されることなく、長手方向(車体前後方向z)に沿って流れるように形成されている。
【0024】
なお、この実施の形態の場合、脚部16a,16b,16cにおける車体前方側の前方端部22は、それぞれ丸みを帯びた湾曲状に形成されており、前方端部22から長手方向の側面に沿って走行風がスムーズに流れるようになされている。また、脚部16a,16b,16cは、前方端部22よりも車体後方側の後方端部23が細く形成されており、ディフレクタ取付部18及び筐体上面9a間の隙間G1において、脚部16a,16b,16c間を通過した走行風が車体後方側にて車体幅方向xに僅かに広がるように設計されている。
【0025】
また、これら脚部16a,16b,16cは、内部が中空状に形成されており、軽量化が図られているとともに、そのうち長手方向が長い2つの脚部16a,16cの内部には、中空領域に長手方向と直交する方向に複数のリブ24が形成されており、これらリブ24により機械的強度の向上が図られている。
【0026】
また、この実施の形態の場合、3つの脚部16a,16b,16cのうち、車体外方に配置された脚部16cと、中央に配置された脚部16bには、取り付けボス25が形成されており、タップネジ(後述する)がバックミラー3aの筺体上面9bを介在させてこれらボス25に螺着され得る。
【0027】
実際上、ディフレクタ2aをバックミラー3aの筺体上面9bに取り付ける場合には、図6に示すように、先ず初めに、バックミラー3aの筐体9からミラー10を取り外し、所定の位置に貫通孔30を孔設する。この貫通孔30から突出させたタップネジ29の先端を、ディフレクタ2aの脚部16b,16cのボス25に螺着させる。この際、脚部16a,16cのリブ24が設けられた領域に予め両面テープ28を接着させておき、タップネジ29にて接着位置の位置決めをする。このようにディフレクタ2aは、複数のタップネジ29がバックミラー3aの筐体上面9bを介在させて脚部16b,16cのボス25に螺着されることにより、バックミラー3aの筺体上面9bに固定され得る。
【0028】
なお、この実施の形態の場合、脚部16a,16cのリブ24が設けられた領域と、バックミラー3aの筺体上面9bとの間には、両面テープ28が設けられていることから、走行時に生じる振動を当該両面テープ28によって吸収し得るようになされている。
【0029】
また、図7に示すように、例えば脚部16cのリブ24は、当該脚部16cの枠部31よりも両面テープ28の厚み分だけ僅かに短く形成されており、両面テープ28を設けた際に枠部31が浮き上がることなく、リブ24とバックミラー3aの筐体上面9bとを確実に接着し得るようになされている。
【0030】
これに加えて、ディフレクタ取付部18における脚部16a,16b,16cは、前方縁部20b及び筐体上面9b間の隙間高さH1が、後方縁部20a及び筐体上面9b間の隙間高さH2よりも短くなるように、その長さが選定されている。かくして、ディフレクタ取付部18は、バックミラー3aの筺体上面9bに取り付けた際に、前方縁部20bから後方縁部20aにゆくに従って、ディフレクタ取付部18の裏面20dが筐体上面9bから次第に遠ざかるように配置され得る。
【0031】
このようにディフレクタ取付部18は、前方縁部20b側の隙間G1が狭く、後方縁部20a側の隙間G1が広いことから、走行時に車体前方から車体後方に向けて流れる走行風が隙間G1を流れる際に、後方縁部20a側の隙間G1から走行風が排出し易くしなり得る。これにより、ディフレクタ取付部18では、表面20cに沿って流れた走行風が隙間G1を通過した走行風によっても車両後方に流され、表面20cに沿って流れる走行風の車体下方への落ち込みを抑制し得る。
【0032】
ところで、この実施の形態の場合、ディフレクタ2aが取り付けられるバックミラー3aは、図8に示すように、カウリング側部6b上方に設けられていることから、カウリング6の側部斜め上方位置に突出するように筐体上面9bが配置され得る。これにより、バックミラー3aは、カウリング6と連接する筐体一側面9cが、カウリング6に向けて斜め下方に大きく傾斜し、カウリング上部6aのシールド7との間に車体下方側へ大きく凹んだ隙間G2が形成されている。
【0033】
ここで、本発明のディフレクタ2aは、図9に示すように、ディフレクタ取付部18が筐体上面9bに取り付けられると、バックミラー3a及びシールド7間に形成されている隙間G2(図8)に延長部19が配置されるように構成されており、走行時に車体前方から車体後方に向けて流れる走行風が隙間G2を通過することなく、延長部19により斜め後上方に導かれるように形成されている。
【0034】
実際上、この延長部19は、車体前方から車体後方にゆくに従って次第に車体上方側に向かい傾斜するように形成されており、走行時に車体前方から車体後方に向けて流れる走行風があたると、当該走行風を斜め後上方へと導くようになされている。
【0035】
また、この実施の形態の場合、延長部19における車体前方側の前方縁部33は、バックミラー3aの筐体上面9bから筐体一側面9cに沿うように斜め下方に向かってカウリング6近傍まで傾斜した後、当該カウリング6近傍からカウリング上部6aのシールド7に向かって折り曲げられるように形成されており、車体下方に大きく凹んだU字状の前方凹部34を有する。
【0036】
一方、延長部19における車体後方側の後方縁部35は、車体前方から見て、前方凹部34よりも車体外方側で、かつ車体上方側の位置にて僅かに凹んだ後方凹部36を有し、ディフレクタ取付部18の後方縁部20aから当該後方凹部36を介してシールド7まで延びるように形成されている。また、この延長部19の後方縁部35は、後方凹部36が設けられているものの、バックミラー3aの筐体上面9bの高さ位置と近い高さ位置に配置され、延長部19が車体前方から車体後方にゆくに従って次第に斜め後上方に傾斜するように形成されており、バックミラー3a及びシールド7間の隙間G2に当該延長部19が確実に配置され得るようになされている。
【0037】
また、延長部19は、車両前方から見て前方凹部34から後方凹部36までの僅かに凹んだ領域が、当該前方縁部34から後方縁部35側に向かうに従って次第に車体幅方向xの車体外方側に向かうように形成されており、かくして、走行時に車体前方から車体後方に向かって流れる走行風が、シールド7側に流れ難くなり車体外方側に流れ易くなっている。
【0038】
以上の構成において、ディフレクタ2aでは、バックミラー3aの筺体上面9bに対し裏面20dが隙間G1を設けて配置される板状のディフレクタ本体15を備え、当該ディフレクタ本体15におけるディフレクタ取付部18の隙間G1に走行風が流れるとともに、裏面20dと対向した表面20cにも走行風が流れるようにした。
【0039】
これにより、ディフレクタ2aでは、走行時に生じる走行風が塞き止められることなく、ディフレクタ取付部18の裏面20dと、筐体上面9bとの間の隙間G1を流れ、車両前方から車両後方へとそのまま流すことができ、かくして走行風により生じる抵抗を低減し得る。また、このディフレクタ2aでは、ディフレクタ取付部18の表面20cに沿って流れた走行風が、隙間G1を通過し整流された走行風によっても車両後方に導かれる。これにより、ディフレクタ2aでは、ディフレクタ取付部18の表面20cに沿って流れた走行風が、隙間G1を通過した走行風により車体下方へ落ち込み難くなり、かくして、走行風の乱流を従来よりも抑制し、走行風の向きをスムーズに変え得る。
【0040】
また、ディフレクタ2aでは、バックミラー3aの筐体上面9bに対しディフレクタ取付部18を取り付けるとともに、延長部19がカウリング6側に向けて延長するように形成したことにより、車種によりカウリング6の形状が異なる自動二輪車であっても簡単に取り付けることができ、また、当該筐体上面9bに取り付けるだけで、延長部19によりバックミラー3aとカウリング6間に走行風が通過し難くなり、その分だけ乗員へ直接あたる走行風を抑制し得る。
【0041】
さらに、この延長部19は、車体前方から車体後方にゆくに従って次第に車体から離れてゆくように斜め後上方に向けて傾斜していることから、走行風の向きを車体上方側へ変えつつ、当該走行風を妨げた際に生じる抵抗を低減し得る。
【0042】
また、この実施の形態の場合では、延長部19がカウリング6側だけでなく、シールド7側にも延びるように形成されていることから、バックミラー3aとシールド7間の隙間G2に走行風が通過し難くなり、その分だけ乗員へ直接あたる走行風を一段と抑制し得る。
【0043】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施の形態においては、カウリング6側だけでなく、バックミラー3aの筐体上面9bからシールド7にも延びるように延長部19を形成した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、バックミラー3aの筐体上面9aからカウリング6側にだけ延びるように延長部を形成するようにしてもよい。この場合、バックミラー3aの筐体上面9bとシールド7との間に隙間が僅かに生じるものの、バックミラー3aの筐体上面9b及びカウリング6間の隙間は延長部により遮蔽することができるので、その分だけ従来よりも走行風が通過し難くなり、乗員へ直接あたる走行風を抑制することができる。
【0044】
また、上述した実施の形態においては、鞍乗り型車両として、自動二輪車1を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、自動三輪車又は自動四輪車等その他種々の鞍乗り型車両を適用してもよい。
【0045】
さらに、上述した実施の形態においては、バックミラー3aの筐体上面9bにディフレクタ取付部18を取り付けてディフレクタ2aを自動二輪車1に装着するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、バックミラー3aの筐体一側面9cに延長部19を取り付けたり、或いは延長部19をカウリング6に取り付けて、ディフレクタ2aを自動二輪車1に装着するようにしてもよい。
【0046】
さらに、上述した実施の形態の場合、ディフレクタ2aをバックミラー3aに取り付けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、バックミラー3a以外の所定の取付部位に本発明のディフレクタを取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
2a,2b ディフレクタ
3a,3b バックミラー
6 カウリング
15 ディフレクタ本体
18 ディフレクタ取付部
19 延長部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗り型車両に取り付けて車両前方から車両後方へ流れる走行風の向きを変え、乗員にあたる前記走行風を抑制するディフレクタにおいて、
前記鞍乗り型車両の取付部位に対し裏面が隙間を設けて配置される板状のディフレクタ本体を備え、
前記ディフレクタ本体は、前記隙間に前記走行風が流れるとともに、該裏面と対向した表面にも前記走行風が流れる
ことを特徴とするディフレクタ。
【請求項2】
前記ディフレクタ本体は、
前記鞍乗り型車両の車体側面から突出したバックミラーの上部に対して取り付けられるディフレクタ取付部と、前記ディフレクタ取付部に一体成形された延長部とを備え、前記延長部は、車体前面を覆うカウリング側へ延びるように形成されている
ことを特徴とする請求項1記載のディフレクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−201288(P2012−201288A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69297(P2011−69297)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)