説明

デジタルカメラ用の減光フィルター

【課題】1枚のフィルターをデジタルカメラのレンズ鏡筒前面に装着して使用し、画像に色の濃さや明るさ(輝度)を連続的に変化させて表現できるグラデーション加工を施した新しい減光フィルターを提供する。
【解決手段】光軸を中心に寸法的に二等分した円形フィルターレンズ基板1、該フィルターレンズ基板の片側面に光軸方向に向かって黒色2aから灰色3a、中灰色4a、淡灰色5aへと連続的に濃度を変えた着色、または金属蒸着被膜の厚さを徐々に薄く付着させる手法にて光の透過量を調整可能なグラデーション加工を施し、前記二等分した円形フィルターレンズ基板の片側半分は光の素通し部分6として着色や蒸着被膜を施さない構成のデジタルカメラ用の減光フィルター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一眼レフデジタルカメラ用に開発された減光フィルターに関するものである。
【0002】
減光フィルターとは、ND(Neutral Density)フィルターとも云われ、あらゆる色彩に対して影響を与えず光の量だけを減少する光量フィルターである。従って、従来のフイルム式カメラにおいては、明るい場所や、高感度フイルムを使っているときも、絞りやシャッタースピードを思いの数値にセットして撮影可能なフィルターであり、NDフィルターは黒色の濃さと度合いにより、減光フィルターND2、減光フィルターND4、減光フィルターND8、そして、大光量を調整できる減光フィルターND400があった。
【0003】
また、1眼レフデジタルカメラが普及してきた最近でも、減光フィルターND2、減光フィルターND4、減光フィルターND8、そして、大光量を調整できる減光フィルターND400はデジタルカメラ用としても使用されてきている。
【0004】
而して、本発明は、一眼レフデジタルカメラにおいて使用して、画像に色の濃さや明るさ(輝度)を部分的に変化させて表現可能なグラデーション加工を施した新しい減光フィルターを提供するものである。
【背景技術】
【0005】
一眼レフデジタルカメラは、光学信号である画像を電気信号に変換する撮像素子(光学センサ)はCCDイメージセンサかCMOSイメージセンサが用いられており、該撮像素子で撮影した画像をデジタルデータとして記録するカメラであり、近時、特に撮像素子の進展は、微細な光信号までを高感度で正確にデジタルデータとして捉えられるようになってきた。
【0006】
従って、本発明においては、1枚のフィルターを一眼レフデジタルカメラのレンズ鏡筒前面に装着して使用し、画像に色の濃さや明るさ(輝度)を部分的に変化させて表現可能なグラデーション加工を施した新しい減光フィルターを提供する試みがなされた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、一眼レフデジタルカメラにおいて光学信号である画像を電気信号に変換する撮像素子(光学センサ)は、CCDイメージセンサかCMOSイメージセンサを搭載して高感度になり、微細な光信号までを正確にデジタルデータとして捉えられるようになってきた点に注目してなされたものであり、1枚のフィルターを一眼レフデジタルカメラのレンズ鏡筒前面に装着して使用し、画像に色の濃さや明るさ(輝度)を連続的に変化させて表現できるグラデーション加工を施した新しい減光フィルターを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光軸を中心に寸法的に二等分した円形フィルターレンズ基板、該フィルターレンズ基板の片側面に光軸方向に向かって黒色から灰色、中灰色、淡灰色へと連続的に濃度を変えた着色、または金属蒸着被膜の厚さを徐々に薄く付着させる手法にて光の透過量を調整可能なグラデーション加工を施し、前記二等分した円形フィルターレンズ基板の片側半分は光の素通し部分として着色や蒸着被膜を施さない構成となし、前記グラデーション加工を施した部分にて光の透過量を調整できるデジタルカメラ用の減光フィルターを提供するものである。
【0009】
また、本発明は、垂直または水平方向で略三等分した円形フィルターレンズ基板、該フィルターレンズ基板片側面の三分の一の基板には光軸方向に向かって黒色から灰色、中灰色、淡灰色へと連続的に濃度を変えた着色、または金属蒸着被膜の厚さを徐々に薄く付着させる手法にて光の透過量を調整可能なグラデーション加工を施し、前記三等分した円形フィルターレンズ基板の三分の二は光の素通し部分として着色や蒸着被膜を施さない構成となし、前記グラデーション加工を施した部分にて光の透過量を調整できるデジタルカメラ用の減光フィルターを提供するものである。
【0010】
更に、本発明は、垂直または水平方向で略三等分した円形フィルターレンズ基板、該フィルターレンズ基板片側面の三分の二の基板には片側方向に向かって黒色から灰色、中灰色、淡灰色へと連続的に濃度を変えた着色、または金属蒸着被膜の厚さを徐々に薄く付着させる手法にて光の透過量を調整可能なグラデーション加工を施し、前記三等分した円形フィルターレンズ基板の三分の一は光の素通し部分として着色や蒸着被膜を施さない構成となし、前記グラデーション加工を施した部分にて光の透過量を調整できるデジタルカメラ用の減光フィルターを提供するものである。
【0011】
斯して、本発明において、上記光の透過量を調整するグラデーション加工を施した円形フィルターレンズ基板は、デジタルカメラのレンズ鏡筒前面に着脱可能な二重枠タイプのフィルター枠内に装着され、該フィルター枠は円型フィルターレンズ基板を内蔵する前枠とレンズ鏡筒への装着用後枠からなり、該円形フィルターレンズ基板を内蔵する前枠はデジタルカメラのレンズ鏡筒前面に後枠を装着した後に前枠を回転させグラデーション加工位置の角度を変えて使用するデジタルカメラ用の減光フィルターを提供するものである。
【0012】
本発明において、円形フィルターレンズ基板に施される黒色から灰色、淡灰色へと連続的に濃度を変える着色は、円形フィルターレンズ基板上にインクジェット印刷を用いて行うことを特徴としている。
【0013】
また、本発明において、円形フィルターレンズ基板に施される金属蒸着被膜の厚さを徐々に薄く付着させる手法は真空蒸着法、スパッタリング法などの蒸着被膜形成法を用いて行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
而して、本発明は、一眼レフデジタルカメラにおいて光学信号である画像を電気信号に変換する撮像素子(光学センサ)はCCDイメージセンサかCMOSイメージセンサがより高感度になり、微細な光信号までを正確にデジタルデータとして捉えられるようになってきた点を最大限に利用したもので、1枚のフィルターを一眼レフデジタルカメラのレンズ鏡筒前面に装着して使用し、画像に色の濃さや明るさ(輝度)を連続的に変化させて表現できる新しい減光フィルターを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(A)本発明の実施例1を示す減光フィルターの正面図である。 (B)本発明の実施例2を示す減光フィルターの正面図である。 (C)本発明の実施例3を示す減光フィルターの正面図である。
【図2】(A)本発明に使用する二重枠タイプのフィルター枠の一例を示す組立図である。 (B)本発明に使用する二重枠タイプのフィルター枠の要部断面図である。
【図3】本発明に使用する真空蒸着装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の目的は、一眼レフデジタルカメラにおいて光学信号である画像を電気信号に変換する撮像素子(光学センサ)は、CCDイメージセンサかCMOSイメージセンサを搭載して高感度になり、微細な光信号までを正確にデジタルデータとして捉えられるようになってきた点に注目してなされたものであり、1枚のフィルターを一眼レフデジタルカメラのレンズ鏡筒前面に装着して使用し、画像に色の濃さや明るさ(輝度)を連続的に変化させて表現できるグラデーション加工を施した新しい減光フィルターを提供するものである。
【0017】
本発明は、光軸を中心に寸法的に二等分した円形フィルターレンズ基板、該フィルターレンズ基板の片側面に光軸方向に向かって黒色から灰色、中灰色、淡灰色へと連続的に濃度を変えた着色、または金属蒸着被膜の厚さを徐々に薄く付着させる手法にて光の透過量を調整可能なグラデーション加工を施し、前記二等分した円形フィルターレンズ基板の片側半分は光の素通し部分として着色や蒸着被膜を施さない構成となし、前記グラデーション加工を施した部分にて光の透過量を調整できるデジタルカメラ用の減光フィルターを提供するものである。
【0018】
上記、フィルターレンズ基板の片側面に光軸方向に向かって黒色から灰色、中灰色、淡灰色へと連続的に濃度を変えた着色をする方法は、最近大手印刷会社が夫々開発しているインクジェット印刷を用いて行えば表面が凹凸形状のフィルターレンズ面にも連軸的に濃度を変えた着色やカラー着色が容易におこなうことができ本発明が必要とするフィルターレンズ基板を得ることは可能である。
【0019】
また、フィルターレンズ基板の片側面に光軸方向に向かって、金属蒸着被膜の厚さを徐々に薄く付着させる手法は、真空蒸着法、スパッタリング法などの蒸着被膜形成法を用いて行うことができる。
【0020】
真空蒸着法は真空中で被覆したい材料を加熱蒸発させ、その蒸気をフィルターレンズ基板の表面に凝結させて金属被膜とするもので、同様の手法として原子、分子、或いはイオンを被覆材料に衝突させる現象を起こさせ、該衝突によって放出される粒子をフィルターレンズ基板の表面に付着させて金属皮膜を形成するスパッタリング法が利用できる。
【0021】
そして、本発明のフィルターレンズ基板に蒸着される金属材料は、光学特性を有する酸化珪素、二酸化チタン、酸化亜鉛、フッ化マグネシュムなどの酸化物やフッ化物を使用することができ、該金属材料を蒸着する際に蒸着被膜の厚さを徐々に薄く付着するように加工することは容易に行えることである。
【0022】
斯して、本発明の実施例においては、垂直または水平方向で略三等分した円形フィルターレンズ基板、該フィルターレンズ基板片側面の三分の一の基板には光軸方向に向かって黒色から灰色、中灰色、淡灰色へと連続的に濃度を変えた着色、または金属蒸着被膜の厚さを徐々に薄く付着させる手法にて光の透過量を調整可能なグラデーション加工を施し、前記三等分した円形フィルターレンズ基板の三分の二は光の素通し部分として着色や蒸着被膜を施さない構成となし、前記グラデーション加工を施した部分にて光の透過量を調整できるデジタルカメラ用の減光フィルターであることも好ましいものである。
【0023】
また、本発明の他の実施例では、垂直または水平方向で略三等分した円形フィルターレンズ基板、該フィルターレンズ基板片側面の三分の二の基板には片側方向に向かって黒色から灰色、中灰色、淡灰色へと連続的に濃度を変えた着色、または金属蒸着被膜の厚さを徐々に薄く付着させる手法にて光の透過量を調整可能なグラデーション加工を施し、前記三等分した円形フィルターレンズ基板の三分の一は光の素通し部分として着色や蒸着被膜を施さない構成となし、前記グラデーション加工を施した部分にて光の透過量を調整できるデジタルカメラ用の減光フィルターであることも好ましいものである。
【0024】
そして、本発明における光の透過量を調整するグラデーション加工を施した円形フィルターレンズ基板は、デジタルカメラのレンズ鏡筒前面に着脱可能な二重枠タイプのフィルター枠内に装着され、該フィルター枠は円型フィルターレンズ基板を内蔵する前枠とレンズ鏡筒への装着用後枠からなり、該円形フィルターレンズ基板を内蔵する前枠はデジタルカメラのレンズ鏡筒前面に後枠を装着した後に前枠を回転させグラデーション加工位置の角度を変えて使用することにより従来のNDフィルターではできなかったグラデーション画像が得られるデジタルカメラ用の減光フィルターを提供するものである。
【実施例1】
【0025】
図1(A)は本発明の実施例1を説明するものであり、図1(A)において、1は円形フィルターレンズ基板、2aは円形フィルターレンズ基板を例えば黒色に着色した部分、3aは灰色に着色した部分、4aは中灰色に着色した部分、5aは淡灰色に着色した部分であり、6はフィルターレンズ基板の素通し部分(加工なし部分)である。
【0026】
而して、実施例1は、円形フィルターレンズ基板1の中心部となる光軸Cを中心に垂直方向に寸法的に二等分した円形フィルターレンズ基板1を有し、該フィルターレンズ基板1の二等分した片側面に光軸C方向に向かって黒色から灰色、中灰色、淡灰色へと連続的に濃度を段階的に変えたり、或いは少しずつ濃度を連続的に変える着色をインクジェット印刷により行いデジタルカメラ用の減光フィルターにおける円型フィルターレンズ基板を形成する。
【0027】
上記黒色から灰色、中灰色、淡灰色へと連続的に濃度を変えた着色をする方法は、最近大手印刷会社が夫々開発しているインクジェット印刷を用いて行えば表面が凹レンズや、凸レンズ形状のフィルターレンズ基板1面にも連軸的に濃度を変えた着色やカラー着色が容易におこなうことができ、実施例1が必要とするフィルターレンズ基板1を得ることができるものであり、実施例1においては、円形フィルターレンズ基板1を黒色に着色した部分2a、灰色に着色した部分3a、中灰色に着色した部分4a、淡灰色に着色した部分5aを例に説明したが、カラーはいかような色でも可能であり、該カラーの濃淡で光の透過量を調整できることが重要である。
【0028】
また、図3は、実施例1におけるフィルターレンズ基板1に金属蒸着被膜を形成するための真空蒸着装置を説明するものであり、図3において、7は真空蒸着装置本体、8は真空蒸着装置本体内を高真空にするための真空ポンプ、9はバッフル、10は蒸着材料用のルツボ、11はスリットタイプのシャッター、12は円型フィルターレンズ基板1のホルダーで、該ホルダー12は円型フィルターレンズ基板1の速度を調整しながら矢印方向に移動することができる。
【0029】
斯くして、上述した真空蒸着装置は、真空中で被覆したい材料を蒸着材料用ルツボ10にて加熱蒸発させ、その蒸気を円型フィルターレンズ基板1の表面に凝結させて金属被膜とするもので、実施例1は、円形フィルターレンズ基板1の中心部となる光軸Cを中心に垂直方向に寸法的に二等分した円形フィルターレンズ基板1を有し、該フィルターレンズ基板1の二等分した片側面に光軸C方向に向かって金属蒸着被膜の厚さを2b蒸着被膜厚い部分、3b蒸着被膜少し薄い部分、4b蒸着被膜より少し薄い部分、5b蒸着被膜極めて薄い部分と徐々に薄く付着させて、片側半分はフィルターレンズ基板の素通し部分6(加工なし部分)を形成する手法にて光の透過量を調整可能なグラデーション加工を施すものである。
【0030】
そして、本発明の円型フィルターレンズ基板1に蒸着される金属材料は、光学特性を有する酸化珪素、二酸化チタン、酸化亜鉛、フッ化マグネシュムなどの酸化物やフッ化物を使用することができ、該金属材料を蒸着する際に蒸着被膜の厚さを徐々に薄く付着するように加工することはスリットタイプのシャッター11や円型フィルターレンズ基板1の可動速度調整にて容易に行えることであり、また、真空蒸着装置に替わってスパッタリング法などの蒸着被膜形成法を用いて行うことも可能である。
【実施例2】
【0031】
図1(B)は本発明の実施例2を説明するものであり、図1(B)において、1は円形フィルターレンズ基板、2aは円形フィルターレンズ基板を例えば黒色に着色した部分、3aは灰色に着色した部分、4aは中灰色に着色した部分、5aは淡灰色に着色した部分であり、6はフィルターレンズ基板の素通し部分(加工なし部分)である。
【0032】
而して、実施例2は、円形フィルターレンズ基板1を垂直方向や水平方向に略三等分した円形フィルターレンズ基板1を有し、該フィルターレンズ基板1の三分の一の片側面には光軸C方向に向かって黒色から灰色、中灰色、淡灰色へと連続的に濃度を段階的に変えたり、或いは少しずつ濃度を連続的に変える着色をインクジェット印刷により行いデジタルカメラ用の減光フィルターにおける円型フィルターレンズ基板を形成する。
【0033】
上記黒色から灰色、中灰色、淡灰色へと連続的に濃度を変えた着色をする方法は、最近大手印刷会社が夫々開発しているインクジェット印刷を用いて行えば表面が凹レンズや、凸レンズ形状のフィルターレンズ基板1面にも連軸的に濃度を変えた着色やカラー着色が容易におこなうことができ、実施例2が必要とするフィルターレンズ基板1を得ることができるものであり、実施例2においては、円形フィルターレンズ基板1を黒色に着色した部分2a、灰色に着色した部分3a、中灰色に着色した部分4a、淡灰色に着色した部分5aを例に説明したが、カラーは如何様な色でも可能であり、該カラーの濃淡で光の透過量を調整できることが重要である。
【0034】
また、図3は、実施例2におけるフィルターレンズ基板1に金属蒸着被膜を形成するための真空蒸着装置を説明するものであり、図3において、7は真空蒸着装置本体、8は真空蒸着装置本体内を高真空にするための真空ポンプ、9はバッフル、10は蒸着材料用のルツボ、11はスリットタイプのシャッター、12は円型フィルターレンズ基板1のホルダーで、該ホルダー12は円型フィルターレンズ基板1の速度を調整しながら矢印方向に移動することができる。
【0035】
斯くして、上述した真空蒸着装置は、真空中で被覆したい材料を蒸着材料用ルツボ10にて加熱蒸発させ、その蒸気を円型フィルターレンズ基板1の表面に凝結させて金属被膜とするもので、実施例2は、円形フィルターレンズ基板1の中心部となる光軸Cを中心に垂直方向に寸法的に三等分した円形フィルターレンズ基板1を有し、該フィルターレンズ基板1において三分の一の面に光軸C方向に向かって金属蒸着被膜の厚さを2b蒸着被膜厚い部分、3b蒸着被膜少し薄い部分、4b蒸着被膜より少し薄い部分、5b蒸着被膜極めて薄い部分と徐々に薄く付着させて、三分の二はフィルターレンズ基板の素通し部分6(加工なし部分)を形成する手法にて光の透過量を調整可能なグラデーション加工を施すものである。
【0036】
そして、本発明の円型フィルターレンズ基板1に蒸着される金属材料は、光学特性を有する酸化珪素、二酸化チタン、酸化亜鉛、フッ化マグネシュムなどの酸化物やフッ化物を使用することができ、該金属材料を蒸着する際に蒸着被膜の厚さを徐々に薄く付着するように加工することは、スリットタイプのシャッター11や円型フィルターレンズ基板1の可動速度調整にて容易に行えるものであり、また、真空蒸着装置に替わってスパッタリング法などの蒸着被膜形成法を用いて行うことも可能である。
【実施例3】
【0037】
図1(C)は本発明の実施例3を説明するものであり、図1(C)において、1は円形フィルターレンズ基板、2aは円形フィルターレンズ基板を例えば黒色に着色した部分、3aは灰色に着色した部分、4aは中灰色に着色した部分、5aは淡灰色に着色した部分であり、6はフィルターレンズ基板の素通し部分(加工なし部分)である。
【0038】
而して、実施例3は、円形フィルターレンズ基板1を垂直方向や水平方向に略三等分した円形フィルターレンズ基板1を有し、該フィルターレンズ基板1の三分の二の片側面には、該三分の一の方向に向かって黒色から灰色、中灰色、淡灰色へと連続的に濃度を段階的に変えたり、或いは少しずつ濃度を連続的に変える着色をインクジェット印刷により行いデジタルカメラ用の減光フィルターにおける円型フィルターレンズ基板を形成する。
【0039】
上記黒色から灰色、中灰色、淡灰色へと連続的に濃度を変えた着色をする方法は、最近大手印刷会社が夫々開発しているインクジェット印刷を用いて行えば表面が凹レンズや、凸レンズ形状のフィルターレンズ基板1面にも連軸的に濃度を変えた着色やカラー着色が容易におこなうことができ、実施例3が必要とするフィルターレンズ基板1を得ることができるものであり、実施例3においては、円形フィルターレンズ基板1を黒色に着色した部分2a、灰色に着色した部分3a、中灰色に着色した部分4a、淡灰色に着色した部分5aを例に説明したが、カラーは如何様な色でも可能であり、該カラーの濃淡で光の透過量を調整できることが重要である。
【0040】
また、図3は、実施例3におけるフィルターレンズ基板1に金属蒸着被膜を形成するための真空蒸着装置を説明するものであり、図3において、7は真空蒸着装置本体、8は真空蒸着装置本体内を高真空にするための真空ポンプ、9はバッフル、10は蒸着材料用のルツボ、11はスリットタイプのシャッター、12は円型フィルターレンズ基板1のホルダーで、該ホルダー12は円型フィルターレンズ基板1の速度を調整しながら矢印方向に移動することができる。
【0041】
斯くして、上述した真空蒸着装置は、真空中で被覆したい材料を蒸着材料用ルツボ10にて加熱蒸発させ、その蒸気を円型フィルターレンズ基板1の表面に凝結させて金属被膜とするもので、実施例3は、円形フィルターレンズ基板1を三等分した円形フィルターレンズ基板1を有し、該フィルターレンズ基板1において三分の二の部分に金属蒸着被膜の厚さを2b蒸着被膜厚い部分、3b蒸着被膜少し薄い部分、4b蒸着被膜より少し薄い部分、5b蒸着被膜極めて薄い部分と徐々に薄く付着させて、片側部分はフィルターレンズ基板の素通し部分6(加工なし部分)を形成する手法にて光の透過量を調整可能なグラデーション加工を施すものである。
【0042】
そして、本発明の円型フィルターレンズ基板1に蒸着される金属材料は、光学特性を有する酸化珪素、二酸化チタン、酸化亜鉛、フッ化マグネシュムなどの酸化物やフッ化物を使用することができ、該金属材料を蒸着する際に蒸着被膜の厚さを徐々に薄く付着するように加工することはスリットタイプのシャッター11や円型フィルターレンズ基板1の可動速度調整にて容易に行えるもので、真空蒸着装置に替わってスパッタリング法などの蒸着被膜形成法を用いて行うことも可能である。
【0043】
斯くして、上述した実施例1乃至実施例3において形成された円型フィルターレンズ基板1は図2(A)、図2(B)に示したフィルター枠に内蔵されデジタルカメラのレンズ鏡筒前面に装着されて利用されるものである。図2(A)はフィルター枠の組み立て図、図2(B)は組み立てたフィルター枠の要部断面図を示すものであり、13はフィルター枠、14は円型フィルターレンズ基板1を内蔵する前枠、15はレンズ鏡筒への装着用後枠、16は押さえバネであり、前記円型フィルターレンズ基板1を内蔵する前枠14の入射光側には他のアタッチメントを螺着可能な雌ネジ17が螺設してあり、該前枠14の外部側には、後枠15への装着用雄ネジ18が螺設されている。
【0044】
また、後枠15には、前記前枠14と嵌合用の雌ネジ19が螺設されており、該後枠14のカメラレンズ鏡等側にはフィルター枠13の装着用雄ネジ20が螺設されている。
【0045】
斯くして、本発明における光の透過量を調整するグラデーション加工を施した円形フィルターレンズ基板1は、デジタルカメラのレンズ鏡筒前面に着脱可能な二重枠タイプのフィルター枠13内に装着され、該フィルター枠13は円型フィルターレンズ基板1を内蔵する前枠14とレンズ鏡筒への装着用後枠15からなり、該円形フィルターレンズ基板1を内蔵する前枠14はデジタルカメラのレンズ鏡筒前面に後枠15を装着した後に前枠14を回転させすことでグラデーション加工位置の角度を変えることが可能となり、従来のNDフィルターではできなかったグラデーション画像が得られるデジタルカメラ用の減光フィルターを提供するものである。
【符号の説明】
【0046】
1 円型フィルターレンズ基板
2a 黒色に着色した部分
2b 蒸着被膜厚い部分
3a 灰色に着色した部分
3b 蒸着被膜少し薄い部分
4a 中灰色に着色した部分
4b 蒸着被膜より少し薄い部分
5a 淡灰色に着色した部分
5b 蒸着被膜極めて薄い部分
6 フィルターレンズ基板の素通し部分
7 真空蒸着装置本体
8 真空ポンプ
9 バッフル
10 蒸着材料用のルツボ
11 スリットタイプのシャッター
12 ホルダー
13 フィルター枠
14 前枠
15 後枠
16 押さえバネ
17 雌ネジ
18 雄ネジ
19 雌ネジ
20 フィルター枠装着用雄ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸を中心に寸法的に二等分した円形フィルターレンズ基板、該フィルターレンズ基板の片側面に光軸方向に向かって黒色から灰色、中灰色、淡灰色へと連続的に濃度を変えた着色、または金属蒸着被膜の厚さを徐々に薄く付着させる手法にて光の透過量を調整可能なグラデーション加工を施し、前記二等分した円形フィルターレンズ基板の片側半分は光の素通し部分として着色や蒸着被膜を施さないことを特徴とするデジタルカメラ用の減光フィルター。
【請求項2】
垂直または水平方向で略三等分した円形フィルターレンズ基板、該フィルターレンズ基板片側面の三分の一の基板には光軸方向に向かって黒色から灰色、中灰色、淡灰色へと連続的に濃度を変えた着色、または金属蒸着被膜の厚さを徐々に薄く付着させる手法にて光の透過量を調整可能なグラデーション加工を施し、前記三等分した円形フィルターレンズ基板の三分の二は光の素通し部分として着色や蒸着被膜を施さないことを特徴とするデジタルカメラ用の減光フィルター。
【請求項3】
垂直または水平方向で略三等分した円形フィルターレンズ基板、該フィルターレンズ基板片側面の三分の二の基板には片側方向に向かって黒色から灰色、中灰色、淡灰色へと連続的に濃度を変えた着色、または金属蒸着被膜の厚さを徐々に薄く付着させる手法にて光の透過量を調整可能なグラデーション加工を施し、前記三等分した円形フィルターレンズ基板の三分の一は光の素通し部分として着色や蒸着被膜を施さないことを特徴とするデジタルカメラ用の減光フィルター。
【請求項4】
上記光の透過量を調整するグラデーション加工を施した円形フィルターレンズ基板はデジタルカメラのレンズ鏡筒前面に着脱可能な二重枠タイプのフィルター枠内に装着され、該フィルター枠は円型フィルターレンズ基板を内蔵する前枠とレンズ鏡筒への装着用後枠からなり、該円形フィルターレンズ基板を内蔵する前枠はデジタルカメラのレンズ鏡筒前面に後枠を装着した後に前枠を回転させグラデーション加工位置の角度を変えて使用することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のデジタルカメラ用の減光フィルター。
【請求項5】
前記円形フィルターレンズに施される黒色から灰色、淡灰色へと連続的に濃度を変える着色は円形フィルターレンズ基板上にインクジェット印刷を用いて行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のデジタルカメラ用の減光フィルター。
【請求項6】
前記円形フィルターレンズに施される金属蒸着被膜の厚さ徐々に薄く付着させる手法は真空蒸着法、スパッタリング法などの蒸着被膜形成法を用いて行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のデジタルカメラ用の減光フィルター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−33075(P2013−33075A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168009(P2011−168009)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(502201826)マルミ光機株式会社 (11)
【Fターム(参考)】