説明

デジタル交差接続

【課題】信号を受信/出力するための複数のポートと、1つのポートに着信した信号を他の1つ又は複数のポートに選択的に交差接続するための切り換え手段とを備えたデジタル交差接続器を提供する。
【解決手段】交差接続器は、切り換え手段が、光学データユニット同士を切り換えることができるように構成されている単一の切り換えマトリクスを備えていることを特徴としている。切り換えマトリクスは、完全同期デジタル・ハイアラーキ同期伝送モジュールSTM−N同士を、又は光学キャリアOC−Nから導き出された完全SONET同期伝送信号STS−Nを、又はITU−T推奨規格G.707に規定のSDH仮想コンテナVC−3、VC−4又は連結された仮想コンテナVC−4−nc、又はTelcordiaGR253に規定のSONET同期伝送システムSTS−1s、STS−nc、を介在が意識されない状態で切り換えることができるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタル交差接続に関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明の第1の態様によれば、デジタル交差接続器が提供されており、この交差接続器は、各ポートが、複数の異なる型式(例えば、STM−N、OC−n、OTM)から選択された型式の光学トラフィック信号を受信/出力するよう構成されている、光学トラフィック信号を受信/出力するための複数のポートと、1つのポートで受信した信号を、1つ又は複数の他のポートへ選択的に交差接続するための切り換え手段とを備えており、この交差接続器は、各ポートが、各ポートで受信された光学トラフィック信号を、対応する電気信号に変換するための手段と、電気信号を、切り換えマトリクスによる1つ又は複数の他のポートへの選択的交差接続のために、内部フレーム構造に変換するための手段と、選択されたポートに交差接続された前記フレーム構造を、前記ポートから出力するために前記ポートに適した型式の信号に変換するための手段と、電気信号を、そのポートから出力するために、対応する光学トラフィック信号に変換するための手段を含んでおり、様々な異なる型式の光学トラフィック信号が、同じ切り換えマトリクスで交差接続されるようになっていることを特徴としている。切換のために全ての異なる型式のトラフィック信号がマップ(変換)される内部フレーム構造を使用すれば、単一の切り換えマトリクスで、どの様な複数の異なる型式のトラフィック信号でも交差接続することができるようになる。
【0003】
好都合なことに、ポートの内の1つ又はそれ以上は、光学データユニット(ODU)を備えた光学トラフィック信号を受信/出力するためのものであり、交差接続器はODU同士を切り換えることができる。ODU−kは、SDH、非同期転送モード(ATM)、インターネット・プロトコル(IP)又はイーサネット(登録商標)を、ITU−T G.709の規定に従って搬送することができる。従って、本発明のデジタル交差接続器(DXC)を使用すれば、ODUにマップされている全ての型式のトラフィックを、単一の切り換えマトリクスを使って交差接続することができる。例えば、ATMセルを、専用のATM切り換えマトリクス無しで切り換えることができる。ODU−kを交差接続する能力があれば、SDH/SONET、ATM、IP及びイーサネット(登録商標)信号を、同一の切り換えマトリクス内で、同じ装置内に異なる切り換えマトリクスを組み込む必要無しに、経路指定することができる。これによって、異なる型式の信号(SONET/SDH、ATM、IP、イーサネット(登録商標))をモニターするための同じ性能パラメータを有することもできる。本発明のDXCを使えば、新生の光学伝送ネットワーク(OTN)の基本的情報構造の切換を行うことができ、光学データユニット(ODU−k)は新生のITU−T推奨規格G.709に規定されているので、従って本発明のDXCは、ODU−1/2/3又は高位のDXCと等価であると考えることができる。
【0004】
好適なことに、ポートの内の1つ又はそれ以上は、同期デジタル・ハイアラーキ(SDH)同期伝送モジュールSTM−Nを備えた光学トラフィック信号を受信/出力するためのものであり、交差接続器は、完全なSTM−Nを介在が意識されない状態で切り換えることができる。
【0005】
更に、交差接続器は、好適にも、光学キャリアOC−Nから導き出されたSONET同期伝送信号STS−Nを備えた光学トラフィック信号を受信/出力するための1つ又は複数のポートを有しており、交差接続器は、完全なSTS−Nを介在が意識されない状態で切り換えることができる。
【0006】
介在が意識されない切換とは、完全STM−N及び/又はSTS−N信号を、オーバヘッド・バイトの何らの処理が無いままに、切り換える能力のことである(即ち、多重化区画(MS)及び再生区画(RS)の終端が無く、非侵襲的モニタリングのみが行われる)。
【0007】
好適なことに、この交差接続器は、更に、ITU−T推奨規格G.707に規定のSDH仮想コンテナVC−3、VC−4及び/又は連結された仮想コンテナVC−4−nc、但しn=4、16、64又は256、及び/又はTelcordiaGR253に規定のSONET同期伝送システムSTS−1s、STS−nc、但しn=3、12、48、192又は768、を切り換えることができることを特徴としている。
【0008】
好都合なことに、交差接続器は、更に、切換の完全性をチェックするための手段を備えている。好適なことに、交差接続器は、切り換え中のトラフィック信号を非侵襲的にモニターするための手段を備えている。
【0009】
交差接続器は、好都合にも、更に、切り換え中のトラフィック信号を同期化し位置調整するための手段を備えている。
好適にも、交差接続器は、更に、スイッチ保護手段を備えている。
好都合なことに、ポートの内の1つ又はそれ以上は、光学伝送モジュール(OTM)を備えた光学トラフィック信号を受信/出力するよう構成されており、前記ポートは、更に、OTM信号から光学データユニット(ODU−k)を抽出するための手段と、ODUを多重化及び多重分離するための手段を備えている。
【0010】
更に、交差接続器は、好適にも、一般多重プロトコル・ラベル切り換え(GMPLS)又は信号送信チャネルを使用する、自動経路設定を行うための手段を含んでいる。
【0011】
交差接続器は、VC−4/VC−3レベルの古典的なSNCP保護に加え、好都合にも、更に、ODUレベルで経路保護を実行することができる。ソース(受信)方向では、切り換えマトリクスは、1+1ODU SNCPに対してODUのブリッジ(交差接続)を実行し、一方、シンク(出力)方向では、選択は、ODUを「作動する」品質と「保護する」品質のモニタリングに基づいて実行される。「介在が意識されず」切り換えられたSTM−N/OC−Nの保護は、同様に同じコンセプトに基づいており、ブリッジングと選択は品質モニタリングに基づいている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を、添付図面を参照しながら例を挙げて説明するが、例は、説明のみを目的としており、本発明に制約を加える意図はない。
【0013】
図1は、本発明による、デジタル交差接続器(DXC)10の概略機能ブロック線図である。DXC10は、SDH/SONETとOTN光学通信ネットワークの間の光学トラフィックの交差接続を行うためのものである。DXC10は、切り替え機能を実行するための電気的切り換えマトリクス20と、切り換えマトリクス20に接続された5つのSDH/SONETトラフィック・インタフェース・ポート30−70と、切り換えマトリクス20に接続された3つのOTNトラフィック・インタフェース・ポート80−100と、DXCの同期化、制御及び管理を行うためのブロック110と、例えば、DXCを遠隔構成できるようにするための遠隔管理システムのような外部装置と通信できるようにするための通信サブシステム120を備えている。
【0014】
図示の実施形態では、トラフィック・インタフェース・ポート30−70は、それぞれ、光学SDH/SONET STM−1/OC−3、STM−4/OC−12、STM−16/OC48、STM−64/OC−192、STM−256/OC−768信号を受信/出力するためのものである。トラフィック・インタフェース・ポート80−100は、それぞれ、OTN OTM0.1(2.5Gbit/s)、OTM0.2(10Gbit/s)、OTM0.3(40Gbit/s)光学信号を受信/出力するためのものである。DXCは、1つのポートで受信したトラフィック信号を、1つ又は複数の他のポートに交差接続する。理解頂けるように、DXC10では、トラフィック・ポート間で双方向の交差接続が可能であるが、分かり易くするため、以後、トラフィック・ポート30−70を入力ポートと呼び、トラフィック・ポート80−100を出力ポートと呼ぶことにする。
【0015】
各ポート30−100は、受信した光学信号を対応する電気信号に変換するための光学対電気(O/E)変換手段を含んでおり、電気信号は、適切に処理した(例えば、OTM信号からODU−kを抽出した)後、切り換えマトリクスによって交差接続される。各ポート30−100は、加えて、インタフェース・ポートに交差接続された信号から構築された(例えば、ODU−kからOTMを構築する)電気信号を、出力に備えて対応する光学信号に変換するための手段を含んでいる。
【0016】
切り換えマトリクス20は、3ステージのClosアーキテクチャを備えており、これによって、初期容量8192STM−1等価の信号に対して交差接続を行うことができる。
【0017】
DXCの作用を、ある1つの入力ポートで受信され、他の1つの出力ポートに選択的に交差接続される光学信号を例にとって説明する。SDH VC−n、SONET STS−n又はOTN ODUkレベルの何れかで交差接続を、或いは、STM−n及び/又はOC−n信号の介在が意識されない切り換えを行うため、DXCは以下の動作を実行する。動作(a)−(c)は入力トラフィック・インタフェースで、(d)は切り換えマトリクスで、(e)−(g)は出力トラフィック・ポートで実行される。
【0018】
(a)ペイロード信号(PLD)は、O/E変換手段によって、入力ポートで受信された光学信号から復調され、対応する電気信号に変換される。
(b)電気信号は、入力ポートが電気信号内の各フレームの始まりを識別できるようにするフレーム整列ワードを使って整列される。
(c)電気信号は、適切に(即ち、ポートの型式、及び切り換えられているトラフィックの型式次第で)処理され、入力ポートにより生成される内部フレーム構造にマップ(変換)される。内部フレームは、切り換えマトリクスに亘る全ての可能なトラフィック・フォーマット、即ちITU−T推奨規格G.707に規定のSDH VC3、VC−4、VC−4−nc、但しn=4、16又は64、256、TelcordiaGR−253に規定のSONET STS−1s、STS−nc、但しn=3、12、48又は192、768、ITU−T G.709に規定のOTN ODUk、但しk=1、2又は3、STM−N、但しn=16、64又は256、及びOC−n、但しn=48、192又は768、の伝送が行えるように構築される。内部フレーム構造は、複数のタイムスロットを備えており、交差接続される各型式のトラフィック・フォーマットは、規定された数のタイムスロットを使用する。
(d)切り換えマトリクスは、トラフィック信号を、選択された出力ポートにタイムスロットを交差接続することによって、選択された出力ポートに交差接続する。
【0019】
(e)出力ポートは、内部フレームから交差接続されたトラフィックを抽出する。
(f)交差接続されているトラフィック(着信トラフィック)の型式と、出力ポートに適したトラフィック信号(発信トラフィック)の型式次第で、出力ポートは異なる動作を実行する。例えば、着信VC−n信号がSDH発信トラフィック信号に交差接続されている場合、出力ポートは、ITU−T G.783に規定されているように多重化区画(MS)と再生区画(RS)を生成し、一方、ODUk着信トラフィックが発信OTNトラフィック信号に交差接続されている場合、出力ポートは、ITU−T G.798に規定されているように光学伝送ユニット(OTU)を生成する。発信トラフィック信号の型式次第で、関係するフレーム整列ワードが挿入される。
(g)最後に、電気発信トラフィック信号は、電気対光学変換手段によって、対応する光学信号に変換される。
【0020】
内部フレームは、どの様な型式のトラフィック信号でも伝送できるように構成されているので、信号切り換え機構は、異なるトラフィック信号を交差接続することができる。異なる型式の信号を何らの外部処理無しで切り換えるこの能力によって、本発明のDXC10は、切り換えられた信号の品質に関しモニタリングを行うための付加的な能力を有する光学交差接続器(OXC)と等価になる。本発明のDXCは、電気/デジタル・コア/切り換えマトリクスの利点(例えば、容易な性能モニタリングと欠陥の特定、トラフィック整備、波長変換、信号の再生)と、OXCに特徴的なデータ転送速度の透明性というキーとなる利点を合体させている。
【0021】
SONET/SDH、ATM、IP、イーサネット(登録商標)を、ODUコンテナに対しマップ/デ・マップする能力によって、DXC10は、通信ネットワークの光学バックボーンと下位層の間の接続点として使われる有力な候補となる。図2及び3は、通信ネットワークの光学バックボーン200(全国層OTN)と下位地域210(SDH/SONET)層を接続するのに、DXC10をどの様に使うことができるかの例を示している。図示の例では、地域層210は、数多くのSDH/SONETリング・ネットワーク220を備えており、一方、全国層は、相互接続された光学交差接続器240(OXC)と光学ネットワーク・ノード260(ONN)のネットワークを備えている。これらの図から理解できるように、DXC10を使って、地域及び全国層内でリング/ONN間の交差接続、並びに層間の交差接続を行うことができる。STM−N及び/又はOC−NをODU−kに対しマップ/デ・マップするDXCの能力、それらを終結し、VC−4/VC−3レベルで交差接続する可能性によって、光学交差接続器及びDXC4/4/3によって実行される機能性を単一の切り替え装置に統合できるようになる。
【0022】
本発明のDXC10は、初期容量(帯域幅)8192STM−1等価のポート(即ち、1280Gbit/s512xSTM16)に基づいて、ラムダ・レベルの切り換えと下位細分性切り換えの両方を組み合わせるマルチサービスの光学−電気(O−E−O)交差接続器である。
【0023】
DXCは、直接波長(例えば、λを超えるデータ)とSDH/SONETの、介在を意識しない切り換えを行う。各波長は、OTM0.kオーバヘッドを取り扱い(デジタル・ラッパーとも言う)、帯域外前進型誤信号訂正(FEC)をITU−T G.709に従って取り扱うことができる。STM−16/STM−64/STM−256と等価OC−N信号の、介在を意識しない切り換えも行うことができる。
【0024】
SDH管理と新生の一般多重プロトコル・ラベル切り換え(GMPLS)の制御機構は、共に、SDH層との相互作業のための広範囲な他の光学系及び装置保護機構と一体に含まれている。
【0025】
DXCは、ITU−T推奨規格G.783、G.958、G.784の機能要件を実行するよう構成されている。
【0026】
STM−N信号は、ITU−T推奨規格G.707に従って構築されている。DXCは、STM−1からSTM−256までに多重化するため図5に表示されているように、ETSI ETS300147及びG.707に規定されている多重化経路指定を実行するよう設計されている。更に、DXCは、図6に示されているように、Telcordiaに従ってSONETマッピングをサポートすることができる。
【0027】
現在、G.709(2000年版)は、公称値2.5Gbit/sから出発して、様々なビット伝送速度に対して数多くのODU−kを規定している(図6参照)。例えば、ODU−1(k=1の場合)は、公称ビット伝送速度2.5Gbit/sの信号を伝送するよう定義されている。同様に、ODU−2は10Gbit/sの信号の伝送用に、ODU−3は40Gbit/sの信号の伝送用に定義されている。4つのODU−1を1つの光学ペイロードユニットOPU−2に多重化し、或いは16のODU−1を1つのOPU−3に多重化することもできる。同様に、4つのODU−2を1つのOPU−3に多重化することもできる。従って、ODUの内容を切り換えるためには、着信ODUを終結し、そのOPUに含まれている基本部分を多重分離する必要がある。例えば、4つのODU−1で構成されている着信ODU−2は、先ず4つのODU−1に多重分離され、それから切り換えられる。多重化及び多重分離の処理は、インタフェース80−100からスイッチ機構20で実行される。
【0028】
以下、4つのODU−1を1つのODU−2に多重化するために必要な動作を説明する。
1.4つの着信ODU−1は、内部フレームの位置調整機構によって共通時間に合わせられる。この処理では、ペイロードに対してデータ又はスタッフ・バイトを追加するか、削除するかの何れかを行う。
2.交差接続の後、4つのODU−1は、ODU−2のビット伝送速度に合わせられ、多重化される。
・発信信号は、共通時間に位置合わせされるが、その際データ又はスタッフ・バイトを追加するか、削除するかの何れかが行われる。
・位置合わせ処理は、ITU−T G.709に規定されている正/ゼロ/負の位置合わせを使用する。多重化処理では、ビット又はバイトのインタリーブが使用される。この処理では、多重化されるn個の信号からの各ビット又はバイトは、一度に1つインタリーブされ、集合体信号を生成する。この処理は、出力トラフィック・ポートで行われる。
【0029】
多重分離の場合、ODU−2は終結され、ODU−1は、OPU2内に含まれている情報を使って、多重分離され、抽出される。ODU−1は、位置調整機構によって内部フレームに合わせられている。
同じことを、全てのODU多重化に対して適用することができる。
【0030】
DXC装置内での欠陥特定は、制御、タイミング、切り換えの機能、及び内部接続に関わるオンライン診断テストに基づいている。DXC装置は、欠陥検出と性能モニタリングを実行することができる。
【0031】
内部及び外部ループは、伝送ネットワークと装置の間の欠陥特定目的に利用することができる。着信信号の品質は、装置のポートで継続的にモニターされ、関連データは、処理完了後、後続のネットワーク性能評価用に制御センターで利用できるようになる。トラフィック・ポート30−100では、内部フレームが、ODU又はSTM−N/OC−N信号等を包含して構築され、フラッグ・バイトと呼ばれる余分のバイトが、再構築されたフレームに挿入される。フラッグ・バイトは、交差接続の完全性をチェックするのに使用される。
【0032】
全ての構成可能なパラメータ及びシステムの状態は、LCT又は遠隔管理システム(NMS)を介して、専用のアクセス(Qインタフェース又はQECCチャネル)経由で、モニターされ、制御される。DXC10には、SONET/SDH又はITU−T G.709の何れかの信号の取り扱いを行う二重時計ユニットのセットを装備することができる。例を挙げると、以下のユニットである。
STM−256/OC−768/OTM−0.3
STM−64/OC−192/OTM−0.2
STM−16/OC−48/OTM−0.1
ギガビット・イーサネット(登録商標)及び他のデータ・インタフェースもサポートすることができる。
【0033】
DXC切り換えマトリクス20サブシステムの基本的機能要件は、以下の通りである。
非閉鎖性:特定の接続要求に対応できない可能性はゼロである。
完全な接続性:どの様な入力でも各利用可能な出力に接続可能である。
時間順序の完全性(連結されたペイロード):連結されたペイロードは、時間順序の完全性を壊すことなく切り換えられる。
交差接続の保証付の正しさ:正しいトラフィック・ポート間の正しい交差接続が保証されている。
【0034】
DXCは、スケーラブルなやり方で8192xSTM−1の切り換え容量に達し、稼働中にアップグレードして、例えば2500Gbit/s(1024xSTM−16)以上までサポートするように設計されている。
【0035】
本発明のDXCの主要な意図する用途は、ネットワークを通してのチャネルの自動再構成の準備である。半永久的な時間限定の接続は、事前プログラムされたコマンドの下で実現することができる。一般的に、これらの機能は、外部NMSの下、又は新生のGMPLS(一般多重プロトコル・ラベル切り換え)機構で提供されるよう意図されている。GMPLS高速復旧も提供することができる。DXCが上げる警告及びその関係する処理は、SDH信号に関してはITU−T G.783及びG.784要件に、OTM−N信号に関してはITU−T G.798に基づいている。
【0036】
各ユニットからの警告は、中央制御ユニット(図示せず)に集められ、処理されるが、中央制御ユニットは以下の機能を実行する。
警告抑制。
各警告への分類(例えば、緊急か非緊急か)の割り当て。
警告軽減(二次的警告の排除)。
警告の優先順位付け:各警告に、その型式とソースによって優先値を割り当てる。
警告の選別、記録、報告:上記優先度を通しての選択の能力、警告の宛先(NMS及び/又は地域警告ログ及び/又はLCT)。オペレータに警告が存在することが告知される。装置警告表示と接地が駆動される。
【0037】
警告処理機能は、全て、NMS又はLCTを介して構成することができる。巡回地域警告ログは、装置内で利用可能である。警告は、ランプ/接地で表示し、LCTに、そしてNMSに送信することができる。警告対象の装置と、内部欠陥の場合には関係ユニットの両方を表示するため、視認表示が行われる。LCTか又はNMSの何れかで、オペレータは、保守運転の間に、例えば欠陥特定とテスト機能によってサポートされることになる。
【0038】
DXCは、高レベルの可用性を保証できるよう構成されている。従って、装置の全ての共用部品、即ち、切り換えマトリクス20、20a、制御器110、110a、通信及び同期システム120、120aは、全て二重になっている(図1)。装置10の機能は、警告システムと、内蔵式テスト・パターンでモニターされており、ポート30−100間の交差接続経路を、稼働中に、トラフィックに何ら影響を与えることなくモニターできるようになっている。
【0039】
装置10内で保護されているユニットは、切り換えマトリクス・サブシステムに関しては1+1、制御器、通信及びタイミング110、120に関してはQ及びQECC管理、周辺サブラック及び電源に関しては1+1、ポート・サブラック、制御器用ユニット及びスイッチへの接続に関しては1+1となっている。更に、DXCは、各トラフィック・レベル(例えば、VC−n及びSTM−N)でネットワーク保護ができる機能を含んでいる。
【0040】
標準的SDH保護(即ち、MSP及びSNC−P)に加えて、STM−N信号全体を保護する機構が設けられている。本発明のDXCを光学伝送ネットワーク(OTN)に統合できるようにするため、GMPLS高速復旧を含め広範囲な光学的保護機構が設けられている。
【0041】
切り換えマトリクス20は20aに二重化されており、作動中の切り換えマトリクス上のあらゆる欠陥が検出され、保護機構が稼働する。保護切り換えマトリクスが起動している場合、ヒットしない切換が行われる。警告又は報告が生成され、地域又は遠隔管理システムに送信される。「ヒットしない」という用語は、保護切り換え処理が起動しているときはデータ内に何らのエラーも導入されないことを意味している。欠陥は、エラー率、誤接続、電力失陥等が高すぎる結果でもあり得る。
【0042】
本発明のDXCの主要な特徴の1つは、「光学通信」装置内に埋め込まれている、装備されている古典的なSDH/SONETに典型的な、性能モニタリングを実行する容量である。STM−N/OC−N信号に関する性能情報(詳細は、ITU−T推奨規格G.707、G.783参照)を提供するSDHフレーム内には、多数のバイトがある。DXCは、これらのバイト(例えば、B1、J0、B2、J1、B3等)を非侵襲的にモニターする手段を提供する。性能モニタリングと管理は、ITU−T推奨規格G.784、G.826、G.828、G.829に従っている。
【0043】
性能管理は、性能モニタリング処理を制御する能力を、性能データの生成、性能データの報告、閾値交差の報告で言及する。ODU/OTUバイト(G.709に規定されている)に基づく性能モニタリングも提供されている。
【0044】
DXCは、以下を介して制御し、モニターすることができる。
LCTへのFインタフェース(UNIX(登録商標)又はMSウィンドウNTオペレーティング・システム及びアプリケーション・ソフトウェアを装備したパーソナル・コンピュータ)か、
ITU−T推奨規格Q.811及びQ.812(以前はITU−T G.773内)に基づく、NMSへのQインタフェースか、
ITU−T推奨規格G.784に規定されている、QECC(STM−Nインタフェースから)か、又は
GMPLS(一般多重プロトコル・ラベル切り換え)機構。
更に、装置10はTCP/IPインタフェースをサポートする。
【0045】
ネットワークを横切り端から端までの経路を設定するプロセスを高速化するため、GMPLS技法又は信号送信チャネルに基づく自動的技法を採用することができる。接続を設定するコマンドは、通信カード(図示せず)を通して切り換えマトリクスに通信される。コマンド・メッセージは、GMPLS又は信号送信チャネルで伝送することができる。これは、ネットワーク管理システムによって、通信カード又はQインタフェースを通して、DXCに通信することもできる。
【0046】
理解頂けるように、本発明のDXCは、説明した特定の実施形態に制限されるものではなく、変更を施すこともでき、それらも全て本発明の範囲内にある。例えば、G.709に規定のOTM、STM/OC、又はその様なトラフィックの組合せを交差接続する意図の交差接続のような、DXCに対し意図する用途次第で、異なる型式の通信トラフィックに対するインタフェース・ポートを使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による、デジタル交差接続器(DXC)の機能ブロックを概略的に表示したものである。
【図2】本発明による、光学交差接続器(OXC)とDXC4/4/3及び4/1を用いたネットワーク層相互接続を示している。
【図3】本発明による、DXCを用いたネットワーク層相互接続を示している。
【図4】ETSIによる、SDH多重化構造を示している。
【図5】Telcordiaによる、SONET多重化構造を示している。
【図6】ITU−T G.709による、光学伝送ネットワーク(OTN)多重化構造を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を受信/出力するための複数のポート(30−100)と、1つのポートで受信した信号を他の1つ又は複数のポートに選択的に交差接続するための切り換え手段(20)とを備えているデジタル交差接続器(10)において、
前記切り換え手段は、光学データユニット(ODU)同士を切り換えることができるように構成されている切り換えマトリクスを備えていることを特徴とする交差接続器。
【請求項2】
信号を受信/出力するための複数のポート(30−100)と、1つのポートに着信した信号を他の1つ又は複数のポートに選択的に交差接続するための切り換え手段(20)とを備えているデジタル交差接続器(10)において、
前記切り換え手段は、完全同期デジタル・ハイアラーキ(SDH)同期伝送モジュールSTM−N同士を、介在が意識されない状態で切り換えることができるように構成されている切り換えマトリクスを備えていることを特徴とする交差接続器。
【請求項3】
信号を受信/出力するための複数のポート(30−100)と、1つのポートに着信した信号を他の1つ又は複数のポートに選択的に交差接続するための切り換え手段(20)とを備えているデジタル交差接続器(10)において、
前記切り換え手段は、光学キャリアOC−Nから導き出された完全SONET同期伝送信号STS−Nを、介在が意識されない状態で切り換えることができるように構成されている切り換えマトリクスを備えていることを特徴とする交差接続器。
【請求項4】
前記切り換えマトリクス(20)は、更に、完全同期デジタル・ハイアラーキ(SDH)同期伝送モジュールSTM−N及び/又は光学キャリアOC−Nから導き出された完全SONET同期伝送信号STS−Nを、介在が意識されない状態で切り換えることができることを特徴とする請求項1に記載の交差接続器。
【請求項5】
前記切り換えマトリクスは、更に、ITU−T推奨規格G.707に規定のSDH仮想コンテナVC−3、VC−4及び/又は連結された仮想コンテナVC−4−nc、但しn=4、16、64、又は256、及び/又はTelcordiaGR253に規定のSONET同期伝送システムSTS−1s、STS−nc、但しn=3、12、48、192、又は768、を切り換えることができるように構成されていることを特徴とする上記請求項の何れかに記載の交差接続器。
【請求項6】
前記各ポートは、選択された型式の信号を受信/出力するよう構成されており、前記各ポートは、更に、前記選択された型式の受信信号を、前記切り換えマトリクスによって他の1つ又は複数のポートに交差接続される内部フレーム構造に変換するための手段と、前記ポートに交差接続されたフレーム構造を、出力用の、前記ポートに適した型式の信号に変換するための手段とを備えていることを特徴とする上記請求項の何れかに記載の交差接続器。
【請求項7】
前記1つ又は複数のポートは、光学信号を受信/出力するためのものであり、前記1つ又は複数のポートは、更に、光学信号を、前記切り換えマトリクスによる交差接続に備え対応する電気信号に変換するための手段と、前記切り換えマトリクスによって前記ポートに交差接続された電気信号を、対応する光学信号に変換するための手段とを備えていることを特徴とする上記請求項の何れかに記載の交差接続器。
【請求項8】
切換の完全性をチェックするための手段を、更に備えていることを特徴とする上記請求項の何れかに記載の交差接続器。
【請求項9】
切り換え中の信号を非侵襲的にモニターするための手段を、更に備えていることを特徴とする上記請求項の何れかに記載の交差接続器。
【請求項10】
切り換え中の信号を同期化し位置調整するための手段を、更に備えていることを特徴とする上記請求項の何れかに記載の交差接続器。
【請求項11】
スイッチ保護手段(20a)を、更に備えていることを特徴とする上記請求項の何れかに記載の交差接続器。
【請求項12】
前記ポートの内の1つ又はそれ以上は、OTM信号を受信/出力するためのものであり、前記ポートは、OTM信号からODU−kを抽出するための手段と、ODUを多重化及び多重分離するための手段を更に備えていることを特徴とする上記請求項1又は4から11の何れかに記載の交差接続器。
【請求項13】
一般多重プロトコル・ラベル切り換え、又は信号送信チャネルを使用する、自動経路設定を行うための手段を、更に備えていることを特徴とする上記請求項の何れかに記載の交差接続器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−228350(P2008−228350A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149656(P2008−149656)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【分割の表示】特願2002−555578(P2002−555578)の分割
【原出願日】平成13年12月21日(2001.12.21)
【出願人】(306045626)エリクソン アクチボラゲット (6)
【氏名又は名称原語表記】Ericsson AB
【住所又は居所原語表記】Torshamngaten 23,SE−164 80 Stockholm,Sweden
【Fターム(参考)】