デッキ床の幕板固定具及び幕板取付構造
【課題】 幕板固定具及び幕板取付構造に関し、デッキ材の形状及び配置方向に係わりなく幕板を取り付けることができ、かつ施工性にも優れたデッキ床の幕板固定具及び幕板取付構造を提供することを課題とする。
【解決手段】 デッキ床1に幕板10を取り付ける際に用いられる幕板固定具8であって、幕板10が固定される基板部34と、木端面部54に幕板10を取り付ける際に用いられ、基板部34から後方に屈曲形成され、根太材4の端部の両側面部に固定される上部固定板36,36と、木口面部56に幕板10を取り付ける際に用いられ、各上部固定板36,36から翼状に形成され、根太材4の側面部に固定される固定翼片38,38と、幕板10の下部側に他の幕板10を配置する際に用いられ、基板部34から後方に屈曲形成され、他の幕板10を固定するための縦材62を固定する下部固定板42,42と、を有する構成である。
【解決手段】 デッキ床1に幕板10を取り付ける際に用いられる幕板固定具8であって、幕板10が固定される基板部34と、木端面部54に幕板10を取り付ける際に用いられ、基板部34から後方に屈曲形成され、根太材4の端部の両側面部に固定される上部固定板36,36と、木口面部56に幕板10を取り付ける際に用いられ、各上部固定板36,36から翼状に形成され、根太材4の側面部に固定される固定翼片38,38と、幕板10の下部側に他の幕板10を配置する際に用いられ、基板部34から後方に屈曲形成され、他の幕板10を固定するための縦材62を固定する下部固定板42,42と、を有する構成である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デッキ床に幕板を取り付けるための幕板固定具及び幕板取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
テラス、バルコニー等に設置されるデッキ床は、建物に対して平行にデッキ材が敷設される形態、或いは建物に対して直角方向にデッキ材が敷設される形態があり、またデッキ床の周りには、デッキ材の木端面による側部及びこれと直交する側面には木口面による側部が形成される。上記デッキ床の側部には幕板を取り付けて木端面或いは木口面を覆い、美感の向上を図っている。
【0003】
例えば、特許文献1の屋外の床形成用デッキは、図11に示すように、端部固定金具70の固定片によって床梁71端部を抱持してネジ72で床梁71に固定し、L字状に突設したL字状引掛片73を端部デッキ材74の下端突条75に引掛け係止して端部デッキ材74を床梁71に固定する。そして、上記端部固定金具70は幕板載置片76を備え、この幕板載置片76に幕板77の下端を載置して幕板77を垂直基板78にネジ79固定し、床梁長手方向端部と端部デッキ材74を幕板77で被覆する。
【0004】
また特許文献2に記載のデッキは、上部側縁材と下部側縁材とからなる側縁材(幕板に相当)を用い、ねじにより下部側縁材を桁材に取り付け、この下部側縁材の上部に上部側縁材を嵌合し、この上部側縁材の先端部が長尺床材の側縁部の表面に係合して、デッキが組み立てられるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4119856号
【特許文献2】特許第3934998号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の床形成用デッキは、木口面に幕板を取り付ける場合と、木端面に幕板を取り付ける場合には、取付け金具を別形状のものと交換しなければならず、また取付け金具がデッキ材の形状に依存するため、デッキ材の形状が異なれば取り付け金具の形状を変える必要がある等、部品点数が増えまた施工にも手間取るという問題がある。
また、特許文献2のデッキについても、幕板としての側縁材の取り付けがデッキ材の形状に依存するため、デッキ材の形状が異なれば側縁材の形状を変える必要があるという問題がある。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、デッキ材の形状及び配置方向に係わりなく幕板を取り付けることができ、かつ施工性にも優れたデッキ床の幕板固定具及び幕板取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の技術的課題を解決するため、本発明に係るデッキ床の幕板固定具は、図1,3,7等に示すように、断面ハット状の根太材4上に並設されたデッキ材2の木端が位置する木端面部54、又はこれと直交しデッキ材の木口が位置する木口面部56に幕板10を取り付ける際に用いられるデッキ床の幕板固定具8であって、上記幕板10が前面部に固定される矩形状の基板部34と、上記木端面部54に上記幕板10を取り付ける際に用いられ、上記基板部34の上部の左右の端部からそれぞれ後方に屈曲形成され、この木端面部に位置する上記根太材4の端部の両側面部22,22にそれぞれ固定される上部固定板36,36と、上記木口面部56に上記幕板10を取り付ける際に用いられ、上記各上部固定板36,36の端部からそれぞれ外向きに翼状に形成され、この木口面部に位置する上記根太材4の側面部22に固定される固定翼片38,38と、上記基板部34に固定される幕板10の下部側に他の幕板10を配置する際に用いられ、上記基板部34の下部の左右の端部からそれぞれ後方に屈曲形成され、上記他の幕板10を固定するための縦材62の上部を固定する下部固定板42,42と、を有する構成である。
【0009】
本発明に係る幕板取付構造は、図1に示すように、上記幕板固定具8を用い、上記デッキ床1の木端面部54に上記幕板10を取り付ける幕板取付構造であって、上記木端面部54に位置する上記各根太材4の端部にそれぞれ上記幕板固定具8を設け、上記幕板固定具8の両上部固定板36,36を、上記根太材4の両側面部22,22に外側から挟む状態で嵌め、止着具を用いて上記上部固定板36,36を上記根太材4の側面部に固定し、上記各幕板固定具8の基板部34の前面に横向きに上記幕板10を配置し、止着具を用いてこの幕板10を上記幕板固定具8の基板部34に固定した構成である。
【0010】
本発明に係る幕板取付構造は、図7に示すように、上記幕板固定具8を用い、上記デッキ床1の木口面部56に上記幕板10を取り付ける幕板取付構造であって、上記木口面部56に位置する上記根太材4の側面部の所定の間隔をおいた各位置に、それぞれ上記幕板固定具8を設け、上記幕板固定具8の左右の固定翼片38,38を、止着具を用いて上記根太材4の側面部22に固定し、上記各幕板固定具8の基板部34の前面に横向きに上記幕板10を配置し、止着具を用いてこの幕板10を上記幕板固定具8の基板部34に固定した構成である。
【0011】
本発明に係る幕板取付構造は、図5,9に示すように、上記幕板固定具8の両下部固定板42,42間に、ここから下方に向けて配置される断面ハット状の縦材62の両側面部を嵌め込み、止着具を用いて上記下部固定板42,42に上記縦材62の側面部を固定し、
上記幕板固定具8の基板部34に固定された幕板10の下側に新たな幕板10を配置し、止着具を用いてこの新たな幕板10を上記縦材62の前面部に固定した構成である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るデッキ床の幕板取付具によれば、木端面部又は木口面部を有するデッキ床に幕板を取り付ける際に用いられる幕板取付具であって、幕板が固定される基板部と、木端面部に幕板を取り付ける際に用いられ、根太材の端部の両側面部にそれぞれ固定される上部固定板と、木口面部に幕板を取り付ける際に用いられ、根太材の側面部に固定される固定翼片と、基板部に固定した幕板の下部側に他の幕板を配置する際に用いられ、他の幕板を固定するための縦材の上部を固定する下部固定板と、を有する構成を採用したから、一種類の幕板取付具でデッキ床の木端面部及び木口面部の何れにも幕板を取り付けることができて使い勝手が良く施工性に優れるとともに部品点数の削減にも寄与し、またデッキ材の形状に関係なく幕板を取り付けることができて利便性がよく、加えて複数の幕板を取り付けることが可能であり拡張性にも優れるという効果がある。
【0013】
本発明に係る幕板取付構造によれば、木端面部に位置する各根太材の端部に幕板固定具を設け、幕板固定具の両上部固定板を根太材の側面部に固定し、幕板を幕板固定具の基板部に固定した構成を採用したから、デッキ床の木端面部に容易にかつデッキ材の形状に関係なく幕板を取り付けることができて利便性がよく、また施工性にも優れるという効果がある。
【0014】
本発明に係る幕板取付構造によれば、木口面部に位置する根太材の側面部に幕板固定具を設け、幕板固定具の固定翼片を止着具を用いて根太材の側面部に固定し、幕板を幕板固定具の基板部に固定した構成を採用したから、デッキ床の木口面部に容易にかつデッキ材の形状に関係なく幕板を取り付けることができて利便性がよく、また施工性にも優れるという効果がある。
【0015】
本発明に係る幕板取付構造によれば、幕板固定具の両下部固定板に縦材の側面部を固定し、幕板の下側に配置した新たな幕板を縦材の前面部に固定した構成を採用したから、幕板の敷設を容易に複数段に増設することができて拡張性及び施工性に優れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係り、デッキ床の木端面部に幕板を取り付けた幕板取付構造を示す図である。
【図2】実施の形態に係る幕板取付具の斜視図(a)(b)である。
【図3】幕板を取り付けたデッキ床を示す図である。
【図4】実施の形態に係り幕板取付具を根太材の端部に取り付けた状態を示す図である。
【図5】実施の形態に係り、木端面部に幕板を二段取り付けた幕板取付構造を示す図である。
【図6】実施の形態に係り、根太材の端部に固定した幕板取付具に縦材を取り付けた状態を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係り、デッキ床の木口面部に幕板を取り付けた幕板取付構造を示す図である。
【図8】実施の形態に係り幕板取付具を根太材の側面部に取り付けた状態を示す図である。
【図9】実施の形態に係り、木口面部に幕板を二段取り付けた幕板取付構造を示す図である。
【図10】実施の形態に係り、根太材の側面部に固定した幕板取付具に縦材を取り付けた状態を示す図である。
【図11】従来例に係る屋外の床形成用デッキを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1,3は、テラス、バルコニー等に設置されるデッキ床に幕板を取り付けた幕板取付構造を示したものである。
【0018】
このデッキ床1は、デッキ材2、根太材4、支持脚6、幕板10及びデッキ材の固定具12を有し、さらにデッキ床1に幕板10を取付けるための幕板固定具8を有する。また上記デッキ床1の周りには、デッキ材2の木端面による側部(木端面部54)及びこれと直交する側面に木口面による側部(木口面部56)が形成される。上記幕板固定具8は、デッキ床1の木端面部54に幕板10を取り付ける場合、及び木口面部56に幕板10を取り付ける場合の何れについても使用することができる。
【0019】
上記デッキ材2は、長尺状の板材からなり長手側(木端)の両側部の中央部には、それぞれ長手方向に溝部14が形成され、この溝部14の上下側にはそれぞれ突出部16,17が突条に形成されている。このデッキ材2は、断面が左右対称な形状である。
上記デッキ材2は耐候性を考慮して再生木を使用しているが、他には硬質の天然木材を用いることもできる。
【0020】
上記硬質の木材としては、マニルカラ、ジャラ、イペ、セランガンバツ等があり何れも耐候性に優れた材料である。上記再生木は、木粉、顔料にポリエチレン樹脂(又はポリプロピレン樹脂)などの合成樹脂を混ぜて板状に加工した人工木材であり、耐久性に優れ素足歩行にも馴染む材料である。これら硬質木材、再生木は、屋外での長期使用に耐える。
【0021】
上記根太材4は、上面部20、側面部22,22及びフランジ部24,24を有する断面ハット形の鋼製の長尺材である。
上記支持脚6は、下部近傍に座金が螺着された鋼製の支持ボルト26、この支持ボルト26の上部に螺着され高さ調整可能な鋼製円板状の受け具28、及びこの受け具28の上部に設けられる防振ゴム29等を有する。上記受け具28は、中央の孔部の下部にナット30が固定されている。この受け具28は支持ボルト26に螺着され、上部からナット31を締結して固定されている。
【0022】
上記幕板固定具8は図2に示すように、上下に長い長方形状の基板部34、この基板部34の上部側の左右の端部からそれぞれ後方に向けて直角に屈曲形成された矩形状の上部固定板36,36、及び各上部固定板36,36の端部からそれぞれ外側に向けて直角に屈曲形成された翼状の固定翼片38,38を有している。上記上部固定板36,36及び固定翼片38,38にはそれぞれ中央部にネジ用の孔部40が設けられている。
【0023】
また幕板固定具8には、基板部34の下部側にも左右の端部からそれぞれ後方に向けて直角に屈曲形成された矩形状の下部固定板42,42が設けられている。これら下部固定板42,42には、それぞれ中央部にネジ用の孔部40が形成されている。
上記幕板固定具8の基板部34には、上部固定板36,36と下部固定板42,42との間に、これら固定板と同方向に僅かに屈曲された屈曲部43,43が形成され、また上部固定板36,36の上部にも屈曲部44,44が形成され、基板部34の強度を確保している。この幕板固定具8は、SUS(ステンレス材)或いは鋼材からなる。
【0024】
上記幕板10は、板状の長尺材であり材質は上記デッキ材2と同様、天然木材、再生木等を使用している。
デッキ材2の端部間を固定する上記固定具12は、台座部46の上端部から左右にそれぞれ第一の翼片48及び第二の翼片50が突設形成された形状である。上記台座部46には、上下に貫通するビス孔が設けられている。
【0025】
ここで、図1,3等に示す上記デッキ床1について説明する。
このデッキ床1の施工に際しては、コンクリートなどのスラブ面の所定位置に工具を用いて穴をあけ、各穴内にエポキシ系接着剤を注入し支持脚6の支持ボルト26を埋設する。そして、支持ボルト26に螺設した座金をスラブ面の位置に調節して支持ボルト26を固定し、ナット30,31を回転操作して受け具28の高さ調整を行なう。
【0026】
上記支持脚6の立設後は、各支持脚6間に根太材4を架設し、支持脚6の受け具28の上部に設けられた防振ゴム29の上部に根太材4のフランジ部24,24を載置する。そして、根太材4のフランジ部24,24をビスなどの止着具を用いて受け具28に固定する。各根太材4は、所定の間隔をおいて互いに平行に配置する。
【0027】
次に、デッキ材2を上記根太材4の上部に配置し、根太材4と直交する方向に向け固定具12を用いてデッキ材2を根太材4の端から順に取り付ける。このとき、固定具12の第一の翼片48及び第二の翼片50をデッキ材2の溝部14に介在させ、ビス13を用いて台座部46を根太材4の上面部に固定する。同様にして、各デッキ材2を順に根太材4の上部に並べて固定する。
【0028】
上記並設したデッキ材2の内、最も外側のデッキ材2の側部(木端)はこれと直交する根太材4の端部と略同位置になるように配置する。
上記デッキ床1では、デッキ材2の木端面が床の端部となる木端面部54と、デッキ材2の木口面が床の端部となる木口面部56とが形成され、上記木端面部54には各根太材4の端部が位置し又上記木口面部56には根太材4の側面部22が位置する。
上記幕板固定具8は、デッキ床1の木端面部54及び木口面部56のそれぞれに幕板10を取り付ける際に用いる。
【0029】
先ず、図1に示すようにデッキ床1の木端面部54に幕板10を取り付ける場合について説明する。この場合は、木端面部54に位置する各根太材4の端部に幕板固定具8を取り付ける。図4に示すように、幕板固定具8は、左右の上部固定板36,36により、根太材4の側面部22,22を外側から挟む状態で嵌める。このとき上部固定板36,36の下部は、それぞれ根太材4のフランジ部24,24の上部に接するように配置する。
【0030】
そして、ビス49を上部固定板36,36の孔部40を介して根太材4の側面部22,22に螺設し、幕板固定具8を根太材4の端部を被う状態で固定する。このビス49は、セルフドリリング可能なものを用いる。同様にして、各根太材4の端部に幕板固定具8を取り付ける。
【0031】
最後に、上記各幕板固定具8の基板部34の前面に横向きに幕板10を配置し、この幕板10の前面部から幕板固定具8の基板部34を貫通する状態でビス60を締結する。このビス60はセルフドリリング可能であり、工具を用いて螺設する。幕板10の取り付けでは、ビス60を幕板10の上下部の2箇所に螺設し、幕板10を幕板固定具8の基板部34に固定する。この幕板10により、デッキ材2及び根太材4の近傍を被覆する。
【0032】
図5は、幕板10を上下二段に取り付ける場合の取り付け形態を示したものである。
この場合は上記と同様に、根太材4の端部に幕板固定具8を嵌め、ビス49を用いて上部固定板36,36を根太材4の側面部22,22に固定し、幕板固定具8を根太材4に取り付ける。
【0033】
さらにここでは、幕板10を固定するための縦材62を用いる。この縦材62は断面ハット状の鋼材からなり、前面部64、側面部66,66及びフランジ部68,68を有する。この縦材62は図6に示すように、根太材4の端部に固定した幕板固定具8の下部固定板42,42に下向きに取り付ける。
【0034】
上記縦材62を取り付ける場合、幕板固定具8の下部固定板42,42により縦材62の上部の側面部66,66を外側から挟む状態で嵌め込み、縦材62の前面部64を幕板固定具8の基板部34に当てた状態とする。そして、ビス49を下部固定板42,42の孔部40を介して縦材62の側面部66,66に螺設し、縦材62の上部側を幕板固定具8に固定する。この縦材62は、吊り下げた状態で使用してもよく、また下端部をスラブ面に固定してもよい。
【0035】
幕板10の取り付けに際しては、まず上記と同様にして、各幕板固定具8の基板部34の前面に幕板10を配置し、ビス60を用いて幕板10を幕板固定具8の基板部34に固定する。つぎに、上記幕板10の下側に二段目の幕板10を配置し、この幕板10の前面部から上記縦材62の前面部64を貫通する状態でビス60を締結し、二段目の幕板10を縦材62に固定する。上記二段の幕板10により、デッキ材2、根太材4及び支持脚6の前部を被覆する。
【0036】
なお、上記幕板10は二段以上の複数段に取り付けることができ、特にデッキ床1が高い場合などでは、上記縦材62を長い形状とし、上記と同様にしてこの縦材62に三段目或いはそれ以上の段に幕板10を取り付けることが可能である。
【0037】
次に、図7に示すようにデッキ床1の木口面部56に幕板10を取り付ける場合について説明する。この場合は、木口面部56に位置する根太材4の側面部22に上記幕板固定具8を取り付ける。図8に示すように、幕板固定具8の上部固定板36,36の下部を根太材4のフランジ部24の上部に接するように配置した状態で、左右の固定翼片38,38を根太材4の側面部22に押し当て、ビス49を用いて固定翼片38,38を根太材4の側面部22に固定する。同様にして、幕板固定具8を所定の間隔をおいて根太材4の側面部22に複数取り付ける。
【0038】
次に、各幕板固定具8の基板部34の前面に横向きに幕板10を配置し、この幕板10の前面部から幕板固定具8の基板部34を貫通する状態でビス60を締結する。上記ビス60は、幕板10の上下部の2箇所に取り付けて幕板10を幕板固定具8の基板部34に固定する。この幕板10により、デッキ材2及び根太材4の近傍を被覆する。
【0039】
図9は、幕板10を上下二段に取り付ける場合の取り付け形態を示したものである。
この場合は上記と同様に、根太材4の側面部22に幕板固定具8を当て、ビス49を用いて固定翼片38,38を根太材4の側面部22,22に固定する。
【0040】
さらにここでは、幕板10を固定するための縦材62を用いる。この縦材62は図10に示すように、根太材4の側面部22に固定した幕板固定具8の下部固定板42,42に下向きに取り付ける。
このとき、幕板固定具8の下部固定板42,42により縦材62の上部の側面部66,66を外側から挟む状態で嵌め込み、縦材62の前面部64を幕板固定具8の基板部34に当てた状態とする。
【0041】
そして、ビス49を下部固定板42,42の孔部40を介して縦材62の側面部66,66に螺設し、縦材62の上部側を幕板固定具8に固定する。この縦材62は、吊り下げた状態で使用してもよく、また下端部をスラブ面に固定してもよい。
【0042】
幕板10の取り付けに際しては、上記と同様にして、各幕板固定具8の基板部34の前面に幕板10を配置し、ビス60を用いて幕板10を幕板固定具8の基板部34に固定する。つぎに、上記幕板10の下側に二段目の幕板10を配置し、この幕板10の前面部から上記縦材62の前面部64を貫通する状態でビス60を締結し、二段面の幕板10を縦材62に固定する。上記二段の幕板10により、デッキ材2、根太材4及び支持脚6の前部を被覆する。
【0043】
なお、デッキ床1が高い場合などでは、上記縦材62を長い形状とし、上記と同様にしてこの縦材62に、三段目或いはそれ以上の段に幕板10を取り付けることは可能である。
【0044】
従って、上記実施の形態によれば、一種類の幕板取付具でデッキ床の木端面部及び木口面部の何れにも幕板を取り付けることができて使い勝手が良く施工性に優れるとともに部品点数の削減にも寄与し、またデッキ材の形状に関係なく幕板を取り付けることができて利便性がよく施工性にも優れる。また、デッキ床の木端面部及び木口面部に容易に幕板を取り付けることができて施工性に優れ、さらに縦材を用いることで幕板の敷設を容易に複数段に増設することができて拡張性にも優れる。
【符号の説明】
【0045】
2 デッキ材
4 根太材
8 幕板固定具
10 幕板
22 側面部
34 基板部
36 上部固定板
38 固定翼片
42 下部固定板
62 縦材
54 木端面部
56 木口面部
【技術分野】
【0001】
本発明は、デッキ床に幕板を取り付けるための幕板固定具及び幕板取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
テラス、バルコニー等に設置されるデッキ床は、建物に対して平行にデッキ材が敷設される形態、或いは建物に対して直角方向にデッキ材が敷設される形態があり、またデッキ床の周りには、デッキ材の木端面による側部及びこれと直交する側面には木口面による側部が形成される。上記デッキ床の側部には幕板を取り付けて木端面或いは木口面を覆い、美感の向上を図っている。
【0003】
例えば、特許文献1の屋外の床形成用デッキは、図11に示すように、端部固定金具70の固定片によって床梁71端部を抱持してネジ72で床梁71に固定し、L字状に突設したL字状引掛片73を端部デッキ材74の下端突条75に引掛け係止して端部デッキ材74を床梁71に固定する。そして、上記端部固定金具70は幕板載置片76を備え、この幕板載置片76に幕板77の下端を載置して幕板77を垂直基板78にネジ79固定し、床梁長手方向端部と端部デッキ材74を幕板77で被覆する。
【0004】
また特許文献2に記載のデッキは、上部側縁材と下部側縁材とからなる側縁材(幕板に相当)を用い、ねじにより下部側縁材を桁材に取り付け、この下部側縁材の上部に上部側縁材を嵌合し、この上部側縁材の先端部が長尺床材の側縁部の表面に係合して、デッキが組み立てられるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4119856号
【特許文献2】特許第3934998号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の床形成用デッキは、木口面に幕板を取り付ける場合と、木端面に幕板を取り付ける場合には、取付け金具を別形状のものと交換しなければならず、また取付け金具がデッキ材の形状に依存するため、デッキ材の形状が異なれば取り付け金具の形状を変える必要がある等、部品点数が増えまた施工にも手間取るという問題がある。
また、特許文献2のデッキについても、幕板としての側縁材の取り付けがデッキ材の形状に依存するため、デッキ材の形状が異なれば側縁材の形状を変える必要があるという問題がある。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、デッキ材の形状及び配置方向に係わりなく幕板を取り付けることができ、かつ施工性にも優れたデッキ床の幕板固定具及び幕板取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の技術的課題を解決するため、本発明に係るデッキ床の幕板固定具は、図1,3,7等に示すように、断面ハット状の根太材4上に並設されたデッキ材2の木端が位置する木端面部54、又はこれと直交しデッキ材の木口が位置する木口面部56に幕板10を取り付ける際に用いられるデッキ床の幕板固定具8であって、上記幕板10が前面部に固定される矩形状の基板部34と、上記木端面部54に上記幕板10を取り付ける際に用いられ、上記基板部34の上部の左右の端部からそれぞれ後方に屈曲形成され、この木端面部に位置する上記根太材4の端部の両側面部22,22にそれぞれ固定される上部固定板36,36と、上記木口面部56に上記幕板10を取り付ける際に用いられ、上記各上部固定板36,36の端部からそれぞれ外向きに翼状に形成され、この木口面部に位置する上記根太材4の側面部22に固定される固定翼片38,38と、上記基板部34に固定される幕板10の下部側に他の幕板10を配置する際に用いられ、上記基板部34の下部の左右の端部からそれぞれ後方に屈曲形成され、上記他の幕板10を固定するための縦材62の上部を固定する下部固定板42,42と、を有する構成である。
【0009】
本発明に係る幕板取付構造は、図1に示すように、上記幕板固定具8を用い、上記デッキ床1の木端面部54に上記幕板10を取り付ける幕板取付構造であって、上記木端面部54に位置する上記各根太材4の端部にそれぞれ上記幕板固定具8を設け、上記幕板固定具8の両上部固定板36,36を、上記根太材4の両側面部22,22に外側から挟む状態で嵌め、止着具を用いて上記上部固定板36,36を上記根太材4の側面部に固定し、上記各幕板固定具8の基板部34の前面に横向きに上記幕板10を配置し、止着具を用いてこの幕板10を上記幕板固定具8の基板部34に固定した構成である。
【0010】
本発明に係る幕板取付構造は、図7に示すように、上記幕板固定具8を用い、上記デッキ床1の木口面部56に上記幕板10を取り付ける幕板取付構造であって、上記木口面部56に位置する上記根太材4の側面部の所定の間隔をおいた各位置に、それぞれ上記幕板固定具8を設け、上記幕板固定具8の左右の固定翼片38,38を、止着具を用いて上記根太材4の側面部22に固定し、上記各幕板固定具8の基板部34の前面に横向きに上記幕板10を配置し、止着具を用いてこの幕板10を上記幕板固定具8の基板部34に固定した構成である。
【0011】
本発明に係る幕板取付構造は、図5,9に示すように、上記幕板固定具8の両下部固定板42,42間に、ここから下方に向けて配置される断面ハット状の縦材62の両側面部を嵌め込み、止着具を用いて上記下部固定板42,42に上記縦材62の側面部を固定し、
上記幕板固定具8の基板部34に固定された幕板10の下側に新たな幕板10を配置し、止着具を用いてこの新たな幕板10を上記縦材62の前面部に固定した構成である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るデッキ床の幕板取付具によれば、木端面部又は木口面部を有するデッキ床に幕板を取り付ける際に用いられる幕板取付具であって、幕板が固定される基板部と、木端面部に幕板を取り付ける際に用いられ、根太材の端部の両側面部にそれぞれ固定される上部固定板と、木口面部に幕板を取り付ける際に用いられ、根太材の側面部に固定される固定翼片と、基板部に固定した幕板の下部側に他の幕板を配置する際に用いられ、他の幕板を固定するための縦材の上部を固定する下部固定板と、を有する構成を採用したから、一種類の幕板取付具でデッキ床の木端面部及び木口面部の何れにも幕板を取り付けることができて使い勝手が良く施工性に優れるとともに部品点数の削減にも寄与し、またデッキ材の形状に関係なく幕板を取り付けることができて利便性がよく、加えて複数の幕板を取り付けることが可能であり拡張性にも優れるという効果がある。
【0013】
本発明に係る幕板取付構造によれば、木端面部に位置する各根太材の端部に幕板固定具を設け、幕板固定具の両上部固定板を根太材の側面部に固定し、幕板を幕板固定具の基板部に固定した構成を採用したから、デッキ床の木端面部に容易にかつデッキ材の形状に関係なく幕板を取り付けることができて利便性がよく、また施工性にも優れるという効果がある。
【0014】
本発明に係る幕板取付構造によれば、木口面部に位置する根太材の側面部に幕板固定具を設け、幕板固定具の固定翼片を止着具を用いて根太材の側面部に固定し、幕板を幕板固定具の基板部に固定した構成を採用したから、デッキ床の木口面部に容易にかつデッキ材の形状に関係なく幕板を取り付けることができて利便性がよく、また施工性にも優れるという効果がある。
【0015】
本発明に係る幕板取付構造によれば、幕板固定具の両下部固定板に縦材の側面部を固定し、幕板の下側に配置した新たな幕板を縦材の前面部に固定した構成を採用したから、幕板の敷設を容易に複数段に増設することができて拡張性及び施工性に優れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係り、デッキ床の木端面部に幕板を取り付けた幕板取付構造を示す図である。
【図2】実施の形態に係る幕板取付具の斜視図(a)(b)である。
【図3】幕板を取り付けたデッキ床を示す図である。
【図4】実施の形態に係り幕板取付具を根太材の端部に取り付けた状態を示す図である。
【図5】実施の形態に係り、木端面部に幕板を二段取り付けた幕板取付構造を示す図である。
【図6】実施の形態に係り、根太材の端部に固定した幕板取付具に縦材を取り付けた状態を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係り、デッキ床の木口面部に幕板を取り付けた幕板取付構造を示す図である。
【図8】実施の形態に係り幕板取付具を根太材の側面部に取り付けた状態を示す図である。
【図9】実施の形態に係り、木口面部に幕板を二段取り付けた幕板取付構造を示す図である。
【図10】実施の形態に係り、根太材の側面部に固定した幕板取付具に縦材を取り付けた状態を示す図である。
【図11】従来例に係る屋外の床形成用デッキを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1,3は、テラス、バルコニー等に設置されるデッキ床に幕板を取り付けた幕板取付構造を示したものである。
【0018】
このデッキ床1は、デッキ材2、根太材4、支持脚6、幕板10及びデッキ材の固定具12を有し、さらにデッキ床1に幕板10を取付けるための幕板固定具8を有する。また上記デッキ床1の周りには、デッキ材2の木端面による側部(木端面部54)及びこれと直交する側面に木口面による側部(木口面部56)が形成される。上記幕板固定具8は、デッキ床1の木端面部54に幕板10を取り付ける場合、及び木口面部56に幕板10を取り付ける場合の何れについても使用することができる。
【0019】
上記デッキ材2は、長尺状の板材からなり長手側(木端)の両側部の中央部には、それぞれ長手方向に溝部14が形成され、この溝部14の上下側にはそれぞれ突出部16,17が突条に形成されている。このデッキ材2は、断面が左右対称な形状である。
上記デッキ材2は耐候性を考慮して再生木を使用しているが、他には硬質の天然木材を用いることもできる。
【0020】
上記硬質の木材としては、マニルカラ、ジャラ、イペ、セランガンバツ等があり何れも耐候性に優れた材料である。上記再生木は、木粉、顔料にポリエチレン樹脂(又はポリプロピレン樹脂)などの合成樹脂を混ぜて板状に加工した人工木材であり、耐久性に優れ素足歩行にも馴染む材料である。これら硬質木材、再生木は、屋外での長期使用に耐える。
【0021】
上記根太材4は、上面部20、側面部22,22及びフランジ部24,24を有する断面ハット形の鋼製の長尺材である。
上記支持脚6は、下部近傍に座金が螺着された鋼製の支持ボルト26、この支持ボルト26の上部に螺着され高さ調整可能な鋼製円板状の受け具28、及びこの受け具28の上部に設けられる防振ゴム29等を有する。上記受け具28は、中央の孔部の下部にナット30が固定されている。この受け具28は支持ボルト26に螺着され、上部からナット31を締結して固定されている。
【0022】
上記幕板固定具8は図2に示すように、上下に長い長方形状の基板部34、この基板部34の上部側の左右の端部からそれぞれ後方に向けて直角に屈曲形成された矩形状の上部固定板36,36、及び各上部固定板36,36の端部からそれぞれ外側に向けて直角に屈曲形成された翼状の固定翼片38,38を有している。上記上部固定板36,36及び固定翼片38,38にはそれぞれ中央部にネジ用の孔部40が設けられている。
【0023】
また幕板固定具8には、基板部34の下部側にも左右の端部からそれぞれ後方に向けて直角に屈曲形成された矩形状の下部固定板42,42が設けられている。これら下部固定板42,42には、それぞれ中央部にネジ用の孔部40が形成されている。
上記幕板固定具8の基板部34には、上部固定板36,36と下部固定板42,42との間に、これら固定板と同方向に僅かに屈曲された屈曲部43,43が形成され、また上部固定板36,36の上部にも屈曲部44,44が形成され、基板部34の強度を確保している。この幕板固定具8は、SUS(ステンレス材)或いは鋼材からなる。
【0024】
上記幕板10は、板状の長尺材であり材質は上記デッキ材2と同様、天然木材、再生木等を使用している。
デッキ材2の端部間を固定する上記固定具12は、台座部46の上端部から左右にそれぞれ第一の翼片48及び第二の翼片50が突設形成された形状である。上記台座部46には、上下に貫通するビス孔が設けられている。
【0025】
ここで、図1,3等に示す上記デッキ床1について説明する。
このデッキ床1の施工に際しては、コンクリートなどのスラブ面の所定位置に工具を用いて穴をあけ、各穴内にエポキシ系接着剤を注入し支持脚6の支持ボルト26を埋設する。そして、支持ボルト26に螺設した座金をスラブ面の位置に調節して支持ボルト26を固定し、ナット30,31を回転操作して受け具28の高さ調整を行なう。
【0026】
上記支持脚6の立設後は、各支持脚6間に根太材4を架設し、支持脚6の受け具28の上部に設けられた防振ゴム29の上部に根太材4のフランジ部24,24を載置する。そして、根太材4のフランジ部24,24をビスなどの止着具を用いて受け具28に固定する。各根太材4は、所定の間隔をおいて互いに平行に配置する。
【0027】
次に、デッキ材2を上記根太材4の上部に配置し、根太材4と直交する方向に向け固定具12を用いてデッキ材2を根太材4の端から順に取り付ける。このとき、固定具12の第一の翼片48及び第二の翼片50をデッキ材2の溝部14に介在させ、ビス13を用いて台座部46を根太材4の上面部に固定する。同様にして、各デッキ材2を順に根太材4の上部に並べて固定する。
【0028】
上記並設したデッキ材2の内、最も外側のデッキ材2の側部(木端)はこれと直交する根太材4の端部と略同位置になるように配置する。
上記デッキ床1では、デッキ材2の木端面が床の端部となる木端面部54と、デッキ材2の木口面が床の端部となる木口面部56とが形成され、上記木端面部54には各根太材4の端部が位置し又上記木口面部56には根太材4の側面部22が位置する。
上記幕板固定具8は、デッキ床1の木端面部54及び木口面部56のそれぞれに幕板10を取り付ける際に用いる。
【0029】
先ず、図1に示すようにデッキ床1の木端面部54に幕板10を取り付ける場合について説明する。この場合は、木端面部54に位置する各根太材4の端部に幕板固定具8を取り付ける。図4に示すように、幕板固定具8は、左右の上部固定板36,36により、根太材4の側面部22,22を外側から挟む状態で嵌める。このとき上部固定板36,36の下部は、それぞれ根太材4のフランジ部24,24の上部に接するように配置する。
【0030】
そして、ビス49を上部固定板36,36の孔部40を介して根太材4の側面部22,22に螺設し、幕板固定具8を根太材4の端部を被う状態で固定する。このビス49は、セルフドリリング可能なものを用いる。同様にして、各根太材4の端部に幕板固定具8を取り付ける。
【0031】
最後に、上記各幕板固定具8の基板部34の前面に横向きに幕板10を配置し、この幕板10の前面部から幕板固定具8の基板部34を貫通する状態でビス60を締結する。このビス60はセルフドリリング可能であり、工具を用いて螺設する。幕板10の取り付けでは、ビス60を幕板10の上下部の2箇所に螺設し、幕板10を幕板固定具8の基板部34に固定する。この幕板10により、デッキ材2及び根太材4の近傍を被覆する。
【0032】
図5は、幕板10を上下二段に取り付ける場合の取り付け形態を示したものである。
この場合は上記と同様に、根太材4の端部に幕板固定具8を嵌め、ビス49を用いて上部固定板36,36を根太材4の側面部22,22に固定し、幕板固定具8を根太材4に取り付ける。
【0033】
さらにここでは、幕板10を固定するための縦材62を用いる。この縦材62は断面ハット状の鋼材からなり、前面部64、側面部66,66及びフランジ部68,68を有する。この縦材62は図6に示すように、根太材4の端部に固定した幕板固定具8の下部固定板42,42に下向きに取り付ける。
【0034】
上記縦材62を取り付ける場合、幕板固定具8の下部固定板42,42により縦材62の上部の側面部66,66を外側から挟む状態で嵌め込み、縦材62の前面部64を幕板固定具8の基板部34に当てた状態とする。そして、ビス49を下部固定板42,42の孔部40を介して縦材62の側面部66,66に螺設し、縦材62の上部側を幕板固定具8に固定する。この縦材62は、吊り下げた状態で使用してもよく、また下端部をスラブ面に固定してもよい。
【0035】
幕板10の取り付けに際しては、まず上記と同様にして、各幕板固定具8の基板部34の前面に幕板10を配置し、ビス60を用いて幕板10を幕板固定具8の基板部34に固定する。つぎに、上記幕板10の下側に二段目の幕板10を配置し、この幕板10の前面部から上記縦材62の前面部64を貫通する状態でビス60を締結し、二段目の幕板10を縦材62に固定する。上記二段の幕板10により、デッキ材2、根太材4及び支持脚6の前部を被覆する。
【0036】
なお、上記幕板10は二段以上の複数段に取り付けることができ、特にデッキ床1が高い場合などでは、上記縦材62を長い形状とし、上記と同様にしてこの縦材62に三段目或いはそれ以上の段に幕板10を取り付けることが可能である。
【0037】
次に、図7に示すようにデッキ床1の木口面部56に幕板10を取り付ける場合について説明する。この場合は、木口面部56に位置する根太材4の側面部22に上記幕板固定具8を取り付ける。図8に示すように、幕板固定具8の上部固定板36,36の下部を根太材4のフランジ部24の上部に接するように配置した状態で、左右の固定翼片38,38を根太材4の側面部22に押し当て、ビス49を用いて固定翼片38,38を根太材4の側面部22に固定する。同様にして、幕板固定具8を所定の間隔をおいて根太材4の側面部22に複数取り付ける。
【0038】
次に、各幕板固定具8の基板部34の前面に横向きに幕板10を配置し、この幕板10の前面部から幕板固定具8の基板部34を貫通する状態でビス60を締結する。上記ビス60は、幕板10の上下部の2箇所に取り付けて幕板10を幕板固定具8の基板部34に固定する。この幕板10により、デッキ材2及び根太材4の近傍を被覆する。
【0039】
図9は、幕板10を上下二段に取り付ける場合の取り付け形態を示したものである。
この場合は上記と同様に、根太材4の側面部22に幕板固定具8を当て、ビス49を用いて固定翼片38,38を根太材4の側面部22,22に固定する。
【0040】
さらにここでは、幕板10を固定するための縦材62を用いる。この縦材62は図10に示すように、根太材4の側面部22に固定した幕板固定具8の下部固定板42,42に下向きに取り付ける。
このとき、幕板固定具8の下部固定板42,42により縦材62の上部の側面部66,66を外側から挟む状態で嵌め込み、縦材62の前面部64を幕板固定具8の基板部34に当てた状態とする。
【0041】
そして、ビス49を下部固定板42,42の孔部40を介して縦材62の側面部66,66に螺設し、縦材62の上部側を幕板固定具8に固定する。この縦材62は、吊り下げた状態で使用してもよく、また下端部をスラブ面に固定してもよい。
【0042】
幕板10の取り付けに際しては、上記と同様にして、各幕板固定具8の基板部34の前面に幕板10を配置し、ビス60を用いて幕板10を幕板固定具8の基板部34に固定する。つぎに、上記幕板10の下側に二段目の幕板10を配置し、この幕板10の前面部から上記縦材62の前面部64を貫通する状態でビス60を締結し、二段面の幕板10を縦材62に固定する。上記二段の幕板10により、デッキ材2、根太材4及び支持脚6の前部を被覆する。
【0043】
なお、デッキ床1が高い場合などでは、上記縦材62を長い形状とし、上記と同様にしてこの縦材62に、三段目或いはそれ以上の段に幕板10を取り付けることは可能である。
【0044】
従って、上記実施の形態によれば、一種類の幕板取付具でデッキ床の木端面部及び木口面部の何れにも幕板を取り付けることができて使い勝手が良く施工性に優れるとともに部品点数の削減にも寄与し、またデッキ材の形状に関係なく幕板を取り付けることができて利便性がよく施工性にも優れる。また、デッキ床の木端面部及び木口面部に容易に幕板を取り付けることができて施工性に優れ、さらに縦材を用いることで幕板の敷設を容易に複数段に増設することができて拡張性にも優れる。
【符号の説明】
【0045】
2 デッキ材
4 根太材
8 幕板固定具
10 幕板
22 側面部
34 基板部
36 上部固定板
38 固定翼片
42 下部固定板
62 縦材
54 木端面部
56 木口面部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面ハット状の根太材上に並設されたデッキ材の木端が位置する木端面部、又はこれと直交しデッキ材の木口が位置する木口面部に幕板を取り付ける際に用いられるデッキ床の幕板取付具であって、
上記幕板が前面部に固定される矩形状の基板部と、
上記木端面部に上記幕板を取り付ける際に用いられ、上記基板部の上部の左右の端部からそれぞれ後方に屈曲形成され、この木端面部に位置する上記根太材の端部の両側面部にそれぞれ固定される上部固定板と、
上記木口面部に上記幕板を取り付ける際に用いられ、上記各上部固定板の端部からそれぞれ外向きに翼状に形成され、この木口面部に位置する上記根太材の側面部に固定される固定翼片と、
上記基板部に固定される幕板の下部側に他の幕板を配置する際に用いられ、上記基板部の下部の左右の端部からそれぞれ後方に屈曲形成され、上記他の幕板を固定するための縦材の上部を固定する下部固定板と、を有することを特徴とするデッキ床の幕板固定具。
【請求項2】
請求項1記載の幕板固定具を用い、上記デッキ床の木端面部に上記幕板を取り付ける幕板取付構造であって、
上記木端面部に位置する上記各根太材の端部にそれぞれ上記幕板固定具を設け、
上記幕板固定具の両上部固定板を、上記根太材の両側面部に外側から挟む状態で嵌め、止着具を用いて上記上部固定板を上記根太材の側面部に固定し、
上記各幕板固定具の基板部の前面に横向きに上記幕板を配置し、止着具を用いてこの幕板を上記幕板固定具の基板部に固定したことを特徴とする幕板取付構造。
【請求項3】
請求項1記載の幕板固定具を用い、上記デッキ床の木口面部に上記幕板を取り付ける幕板取付構造であって、
上記木口面部に位置する上記根太材の側面部の所定の間隔をおいた各位置に、それぞれ上記幕板固定具を設け、
上記幕板固定具の左右の固定翼片を、止着具を用いて上記根太材の側面部に固定し、
上記各幕板固定具の基板部の前面に横向きに上記幕板を配置し、止着具を用いてこの幕板を上記幕板固定具の基板部に固定したことを特徴とする幕板取付構造。
【請求項4】
上記幕板固定具の両下部固定板間に、ここから下方に向けて配置される断面ハット状の縦材の両側面部を嵌め込み、止着具を用いて上記下部固定板に上記縦材の側面部を固定し、
上記幕板固定具の基板部に固定された幕板の下側に新たな幕板を配置し、止着具を用いてこの新たな幕板を上記縦材の前面部に固定したことを特徴とする請求項2又は3記載の幕板取付構造。
【請求項1】
断面ハット状の根太材上に並設されたデッキ材の木端が位置する木端面部、又はこれと直交しデッキ材の木口が位置する木口面部に幕板を取り付ける際に用いられるデッキ床の幕板取付具であって、
上記幕板が前面部に固定される矩形状の基板部と、
上記木端面部に上記幕板を取り付ける際に用いられ、上記基板部の上部の左右の端部からそれぞれ後方に屈曲形成され、この木端面部に位置する上記根太材の端部の両側面部にそれぞれ固定される上部固定板と、
上記木口面部に上記幕板を取り付ける際に用いられ、上記各上部固定板の端部からそれぞれ外向きに翼状に形成され、この木口面部に位置する上記根太材の側面部に固定される固定翼片と、
上記基板部に固定される幕板の下部側に他の幕板を配置する際に用いられ、上記基板部の下部の左右の端部からそれぞれ後方に屈曲形成され、上記他の幕板を固定するための縦材の上部を固定する下部固定板と、を有することを特徴とするデッキ床の幕板固定具。
【請求項2】
請求項1記載の幕板固定具を用い、上記デッキ床の木端面部に上記幕板を取り付ける幕板取付構造であって、
上記木端面部に位置する上記各根太材の端部にそれぞれ上記幕板固定具を設け、
上記幕板固定具の両上部固定板を、上記根太材の両側面部に外側から挟む状態で嵌め、止着具を用いて上記上部固定板を上記根太材の側面部に固定し、
上記各幕板固定具の基板部の前面に横向きに上記幕板を配置し、止着具を用いてこの幕板を上記幕板固定具の基板部に固定したことを特徴とする幕板取付構造。
【請求項3】
請求項1記載の幕板固定具を用い、上記デッキ床の木口面部に上記幕板を取り付ける幕板取付構造であって、
上記木口面部に位置する上記根太材の側面部の所定の間隔をおいた各位置に、それぞれ上記幕板固定具を設け、
上記幕板固定具の左右の固定翼片を、止着具を用いて上記根太材の側面部に固定し、
上記各幕板固定具の基板部の前面に横向きに上記幕板を配置し、止着具を用いてこの幕板を上記幕板固定具の基板部に固定したことを特徴とする幕板取付構造。
【請求項4】
上記幕板固定具の両下部固定板間に、ここから下方に向けて配置される断面ハット状の縦材の両側面部を嵌め込み、止着具を用いて上記下部固定板に上記縦材の側面部を固定し、
上記幕板固定具の基板部に固定された幕板の下側に新たな幕板を配置し、止着具を用いてこの新たな幕板を上記縦材の前面部に固定したことを特徴とする請求項2又は3記載の幕板取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−58220(P2011−58220A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207409(P2009−207409)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000177139)三洋工業株式会社 (46)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000177139)三洋工業株式会社 (46)
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