説明

デュアル冷凍機

【課題】独立した2台の冷凍機の構成要素のうち圧縮機の揚程を下げ、圧縮機が同じ揚程で作動するように構成したデュアル冷凍機を提供する。
【解決手段】本発明のデュアル冷凍機は、冷水が第1の蒸発器と第2の蒸発器を順に通り、冷却水が第1の凝縮器と第2の凝縮器を順に通り、冷媒が収容された第1の圧縮機を介して上記第1の蒸発器と上記第2の凝縮器とが連結され、冷媒が収容された第2の圧縮機を介して上記第2の蒸発器と上記第1の凝縮器とが連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デュアル冷凍機に係り、特に、独立した2台の冷凍機の構成要素のうち圧縮機の揚程を下げ、圧縮機が同じ揚程で作動するように構成したデュアル冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な冷凍機は、圧縮機と、蒸発器と、凝縮器、及び膨張弁を具備し、冷媒を循環させながら圧縮機を介して蒸発器か凝縮器へと熱を移動させる。
【0003】
このように構成された冷凍機の容量を増加させるための方法としては、各構成要素の容量を増加させて冷凍機自体の容量を増加させる方法があるが、別の方法として、2台の冷凍機を連結して冷凍機の容量を増加させる方法がある。このように2台の冷凍機を連結した冷凍機を「デュアル冷凍機」という。
【0004】
従来のデュアル冷凍機は直列方式で連結する。
【0005】
図1は、一般的な直列方式のデュアル冷凍機を示す概路図である。
【0006】
図1に示すように、並列方式のデュアル冷凍機10は、2つの蒸発器11、12と、2つの凝縮器21、22、及び2つの圧縮機31、32と、を含む。蒸発器の冷水は、第1の蒸発器11と第2の蒸発器12を順に通ってから、再び第2の蒸発器12と第1の蒸発器11を順に通るといった経路で流動する。また凝縮器の冷却水は、第1の凝縮器21と第2の凝縮器22を順に通ってから、再び第2の凝縮器22と第1の凝縮器21を順に通るといった経路で流動する。
【0007】
一方、冷媒が循環する第1の圧縮機31を介して第1の蒸発器11と第1の凝縮器21とを連結し、冷媒が循環する第2の圧縮機32を介して第2の蒸発器12と第2の凝縮器22とを連結する。
【0008】
KS(Korean Standard) 標準を例に挙げると、第1の蒸発器11に流入された冷水の温度は12℃で、第1の蒸発器11から排出される冷水の温度は7℃である。そして、第1の凝縮器21に流入される冷却水の温度は32℃で、第1の凝縮器21から排出される冷却水の温度は37℃である。
【0009】
このとき、第1の圧縮機31の揚程は32℃(38℃−6℃)であり、第2の圧縮機32の揚程は29.5℃(36.75℃−7.25℃)である。図1に示した温度は、冷却水の温度であって、蒸発器のLTDは1℃で、凝縮器のLTDは1℃である。したがって、第1の蒸発器11から排出される冷却水の温度が7℃である場合における第1の圧縮機31の冷媒温度は6℃で、第1の凝縮器21から排出される冷却水の温度が37℃である場合における第1の圧縮機31の冷媒温度は38℃である。
【0010】
このように第1の圧縮機31の揚程が第2の圧縮機32の揚程よりも相対的に高い。
【0011】
したがって、同じ構造を有する独立した2台の冷凍機を利用するにあたって、いずれか一方の冷凍機の圧縮機が他方の圧縮機よりも相対的に高い様相を示し、このため、独立した圧縮機を設計・生産する必要がある。しかしながら、同じ構造を有するように当該圧縮機を作製すれば、設計、量産、メンテナンスが容易になるという長所があるが、従来のような配置では斯かる利点を活用しにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前述したような従来の技術の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、2つの圧縮機と、2つの蒸発器、及び2つの凝縮器を具備したターボ冷凍機が圧縮機の揚程を下げ、圧縮機が同じ揚程で作動するように構成したデュアル冷凍機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明のデュアル冷凍機は、冷水が第1の蒸発器と第2の蒸発器を順に通り、冷却水が第1の凝縮器と第2の凝縮器を順に通り、冷媒が収容された第1の圧縮機を介して上記第1の蒸発器と上記第2の凝縮器とが連結され、冷媒が収容された第2の圧縮機を介して上記第2の蒸発器と上記第1の凝縮器とが連結される。
【0014】
また、本発明の一実施形態によれば、上記第1の蒸発器と上記第2の蒸発器とが並列に連結され、上記第1の凝縮器と上記第2の凝縮器とが直列に連結されていてよい。
【0015】
また、本発明の他の実施形態によれば、上記第1の蒸発器と上記第2の蒸発器とが直列に連結され、上記第1の凝縮器と上記第2の凝縮器とが並列に連結されていてよい。
【0016】
また、本発明のまた他の実施形態によれば、上記第1の蒸発器と上記第2の蒸発器とが並列に連結され、上記第1の凝縮器と上記第2の凝縮器とが並列に連結されていてよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるデュアル冷凍機では、2つの蒸発器と、2つの圧縮機、及び2つの凝縮器を具備するにあたって、各圧縮機の揚程を下げつつ同じ楊程を保持することができ、圧縮機の最適な性能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一般的な直列方式のデュアル冷凍機を示す概路図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるデュアル冷凍機を示す図であって、2つの蒸発器が並列に連結され、2つの凝縮器が直列に連結された構造を示す概路図である。
【図3】本発明の第2の実施形態によるデュアル冷凍機を示す図であって、2つの蒸発器が直列に連結され、2つの凝縮器が並列に連結された構造を示す概路図である。
【図4】本発明の第3の実施形態によるデュアル冷凍機を示す図であって、2つの蒸発器と2つの凝縮器ともに並列に配置された構造を示す概路図である。
【図5】図4に示したデュアル冷凍機の比較例を示す概路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明によるデュアル冷凍機の好適な実施形態について、添付の図面を参照して詳しく説明する。なお、これら実施形態は、本発明の一実施形態として説明されるものであって、これらによって本発明の技術的思想やその核心構成及び作用が制限されるものではない。
【0020】
図2は、本発明の第1の実施形態によるデュアル冷凍機を示す図であって、2つの蒸発器が並列に連結され、2つの凝縮器が直列に連結された構造を示す概路図である。図3は、本発明の第2の実施形態によるデュアル冷凍機を示す図であって、2つの蒸発器が直列に連結され、2つの凝縮器が並列に連結された構造を示す概路図である。図4は、本発明の第3の実施形態によるデュアル冷凍機を示す図であって、2つの蒸発器と2つの凝縮器ともに並列に配置された構造を示す概路図である。そして、図5は、図4に示したデュアル冷凍機の比較例を示す概路図である。
[第1の実施形態]
図2に示すように、第1の実施形態によるデュアル冷凍機101では、第1の蒸発器111と第2の蒸発器112とが並列に連結され、該第1の蒸発器111の一端から冷水が流入されると、該冷水は、第1の蒸発器111を通ってその他端から排出されてから、再び第2の蒸発器112の一端から流入され、第2の蒸発器112を通ってその他端から排出される。
【0021】
そして、第1の凝縮器121と第2の凝縮器122とが直列に連結され、冷却水が第1の凝縮器121を通って第2の凝縮器122に流入されてから、第2の凝縮器122を通って外へ排出される。
【0022】
一方、第1の圧縮機131を介して第1の蒸発器111と第2の凝縮器122とが連結され、第1の圧縮機131の冷媒が第1の蒸発器111の冷水と第2の凝縮器122の冷却水の熱を相互伝達しながら循環する。そして、第2の圧縮機132を介して第2の蒸発器112と第1の凝縮器121とが連結され、第2の圧縮機132の冷媒が第2の蒸発器112の冷水と第1の凝縮器121の冷却水の熱を相互伝達しながら循環する。
【0023】
このとき、第1の蒸発器111に流入される冷水の温度は12℃で、第2の蒸発器112から排出される冷水の温度は7℃であり、第1の凝縮器121に流入される冷却水の温度は32℃で、第2の凝縮器122から排出される冷却水の温度は37℃である。
【0024】
したがって、蒸発器のLTDの1℃と凝縮器のLTDの1℃を考慮すると、第1の圧縮機131の揚程は29.5℃(38℃−8.5℃)であり、第2の圧縮機132の揚程は29.5℃(35.5℃−6℃)である。
[第2の実施形態]
図3に示すように、第2の実施形態によるデュアル冷凍機102では、第1の蒸発器211と第2の蒸発器212とが直列に連結され、冷水が第1の蒸発器211を通って第2の蒸発器212に流入されてから、第2の蒸発器212を通って外へ排出される。
【0025】
そして、第1の凝縮器221と第2の凝縮器222とが並列に連結され、該第1の凝縮器221の一端から冷却水が流入されると、該冷却水は、第1の凝縮器221を通ってその他端から排出されてから、再び第2の凝縮器222の一端から流入され、第2の凝縮器222を通ってその他端から排出される。
【0026】
一方、第1の圧縮機231を第1の蒸発器211と第2の凝縮器222とが連結され、第1の圧縮機231の冷媒が第1の蒸発器211の冷水と第2の凝縮器222の冷却水の熱を相互伝達しながら循環する。そして、第2の圧縮機232を介して第2の蒸発器212と第1の凝縮器221とが連結され、第2の圧縮機232の冷媒が第2の蒸発器212の冷水と第1の凝縮器221の冷却水の熱を相互伝達しながら循環する。
【0027】
このとき、第1の蒸発器211に流入される冷水の温度は12℃で、第2の蒸発器212から排出される冷水の温度は7℃であり、第1の凝縮器221に流入される冷却水の温度は32℃で、第2の凝縮器222から排出される冷却水の温度は37℃である。
【0028】
したがって、蒸発器のLTDの1℃と凝縮器のLTDの1℃を考慮すると、第1の圧縮機231の揚程は29.5℃(35.5℃−6℃)であり、第2の圧縮機232の揚程は29.5℃(38℃−8.5℃)である。
[第3の実施形態]
図4に示すように、第3の実施形態によるデュアル冷凍機103では、第1の蒸発器311と第2の蒸発器312とが並列に連結される。該第1の蒸発器311の一端から冷水が流入されると、該冷水は、第1の蒸発器311を通ってその他端から排出されてから、再び第2の蒸発器312の一端から流入され、第2の蒸発器312を通ってその他端から排出される。
【0029】
そして、第1の凝縮器321と第2の凝縮器322とが並列に連結され、該第1の凝縮器321の一端から冷却水が流入されると、該冷却水は、第1の凝縮器321を通ってその他端から排出されてから、再び第2の凝縮器322の一端から流入され、第2の凝縮器322を通ってその他端から排出される。
【0030】
一方、第1の圧縮機331を介して第1の蒸発器311と第2の凝縮器322とが連結され、第1の圧縮機331の冷媒が第1の蒸発器311の冷水と第2の凝縮器322の冷却水の熱を相互伝達しながら循環する。そして、第2の圧縮機332を介して第2の蒸発器312と第1の凝縮器321とが連結され、第2の圧縮機332の冷媒が第2の蒸発器312の冷水と第1の凝縮器321の冷却水の熱を相互伝達しながら循環する。
【0031】
このとき、第1の蒸発器311に流入される冷水の温度は12℃で、第2の蒸発器312から排出される冷水の温度は7℃であり、第1の凝縮器321に流入される冷却水の温度は32℃で、第2の凝縮器322から排出される冷却水の温度は37℃である。
【0032】
したがって、蒸発器のLTDの1℃と凝縮器のLTDの1℃を考慮すると、第1の圧縮機331の揚程は29.5℃(38℃−8.5℃)であり、第2の圧縮機332の揚程は29.5℃(35.5℃−6℃)である。
[比較例]
一方、図5に示すデュアル冷凍機104では、蒸発器の冷水が第1の蒸発器411と第2の蒸発器412を順に通り、凝縮器の冷却水が第1の凝縮器421と第2の凝縮器422を順に通る。そして、第1の圧縮機431を介して第1の蒸発器411と第1の凝縮器421とが連結され、第2の圧縮機432を介して第2の蒸発器412と第2の凝縮器422とが連結される。
【0033】
このとき、第1の蒸発器411に流入される冷水の温度は12℃で、第2の蒸発器412から排出される冷水の温度は7℃であり、第1の凝縮器421に流入される冷却水の温度は32℃で、第2の凝縮器422から排出される冷却水の温度は37℃である。
【0034】
したがって、蒸発器のLTDの1℃と凝縮器のLTDの1℃を考慮すると、第1の圧縮機431の揚程は27℃(35.5℃−8.5℃)であり、第2の圧縮機432の揚程は32℃(38℃−6℃)である。
【0035】
このように、第1のないし第3の実施形態による第1、第2の圧縮機131、132、231、232、331、332は、その揚程がいずれも29.5℃であるのに対し、比較例として説明した図5に示す比較デュアル冷凍機104の第1の圧縮機431は、その揚程が27℃で、第2の圧縮機432の揚程は32℃である。
【0036】
このことから、2つの蒸発器と、2つの凝縮器、及び2つの圧縮機を具備したデュアル冷凍機において、それらの配置構造によって圧縮機の揚程が変わり得ることが分かる。
【0037】
また、本発明によれば、図面には図示していないが、第1の蒸発器と第2の蒸発器とが直列に連結され、第1の凝縮器と第2の凝縮器とが直列に連結された状態で、第1の圧縮機を介して第1の蒸発器と第2の凝縮器とが連結され、第2の圧縮機を介して第2の蒸発器と第1の凝縮器とが連結されていてもよい。このような場合、第1の蒸発器と第2の凝縮器とを連結する第1の圧縮機、そして、第2の蒸発器と第1の凝縮器とを連結する第2の圧縮機の長さを長くした状態で交差するように連結することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷水が第1の蒸発器(111、211、311)と第2の蒸発器(112、212、312)を順に通り、冷却水が第1の凝縮器(121、221、321)と第2の凝縮器(122、222、322)を順に通り、冷媒が収容された第1の圧縮機(131、231、331)を介して前記第1の蒸発器(111、211、311)と前記第2の凝縮器(122、222、322)とが連結され、冷媒が収容された第2の圧縮機(132、232、332)を介して前記第2の蒸発器(112、212、312)と前記第1の凝縮器(121、221、321)とが連結されたことを特徴とするデュアル冷凍機。
【請求項2】
前記第1の蒸発器(111)と前記第2の蒸発器(112)とが並列に連結され、
前記第1の凝縮器(121)と前記第2の凝縮器(122)とが直列に連結されたことを特徴とする請求項1に記載のデュアル冷凍機。
【請求項3】
前記第1の蒸発器(211)と前記第2の蒸発器(212)とが直列に連結され、
前記第1の凝縮器(221)と前記第2の凝縮器(222)とが並列に連結されたことを特徴とする請求項1に記載のデュアル冷凍機。
【請求項4】
前記第1の蒸発器(311)と前記第2の蒸発器(312)とが並列に連結され、
前記第1の凝縮器(321)と前記第2の凝縮器(322)とが並列に連結されたことを特徴とする請求項1に記載のデュアル冷凍機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−518308(P2011−518308A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506177(P2011−506177)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【国際出願番号】PCT/KR2009/000588
【国際公開番号】WO2009/131300
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(508303139)エルエス エムトロン リミテッド (16)