説明

データシートを生成する方法、及び、データシート

本発明は、データシート(1)のうちの少なくともいくつかのデータがレーザインスクリプション技術を利用して記録されたデータ領域(4)を含むデータ部分(3')と、データシート(1)をセキュリティドキュメントに固定するために可撓性で曲げ抵抗があるアタッチメント部分(2)とを含むセキュリティドキュメントのデータシート(1)に関する。安全で、可撓性で曲げ抵抗があるデータシートを達成するために、データ部分(3")は、アタッチメント部分(2)が、データ部分のプラスチック材料内に突出する端から、均一な部分のプラスチック材料を形成し、アタッチメント部分(2)は、データ部分のプラスチック材料内に突き出た部分(10)によりデータ部分(3')に固定され、アタッチメント部分(2)のデータ部分(3')内に突き出た部分が、データシートのデータが記録されているデータ部分のデータ領域(4)に全く拡張していないか、又は、部分的にのみ拡張している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パスポートのようなセキュリティドキュメントにおける可撓性データシートの製造に関する。可撓性データシートが要求される他のセキュリティドキュメントにおいても有用であるけれども、本発明は、主にパスポートを参照して説明する。
【背景技術】
【0002】
可撓性データシートの要求される特性は、部分的に矛盾する。最初に、データシートに含まれるデータが記録される、データシートのデータ部分のデータ領域は、偽造者がそれを分解することができない構造にすべきである。データシートに包含されたデータが記録されたデータ領域に接着することにより他の層を別の層に接合させることに基づく別の解決策は、接着層が、そのセキュリティに関する最も重要な領域でデータシートを分解するチャンスを偽造者に提供する点で不利である。いかなる視認できる跡を残さずに分解することはできないので、実際問題として、ラミネーションによるプラスチック材料からなる均一なデータ部分がセキュリティの観点からより好ましい。
【0003】
しかしながら、実際問題として、プラスチック材料をラミネートすることにより作られたデータシートは、可撓性の特性及び曲げ強度が乏しい材料で作られる。かくして、データシートがセキュリティドキュメントに取り付けられるために、可撓性及び曲げ抵抗アタッチメント部分を備えたデータシートを提供するための必要性が生じた。適切なセキュリティレベルを達成するために、データシートのデータ部分は、これらの2つが、視認できる痕跡を残すことなく一方から引き離されることができない仕方で、アタッチメント部分に取り付けられるべきである。
【0004】
均一な部分を形成するためにプラスチック材料をラミネートすることにより作り出されるデータ部分が、突出物を伴ったストリップを利用してアタッチメント部分に取り付けられることは従来から知られた解決手段である。次いで、アタッチメント部分を介してアパーチャが最初に設けられる。この後、アタッチメント部分の穴が開けられた領域は、データ部分に対向して配置される。プラスチック材料で作られたストリップは、アタッチメント部分にわたって配置され、その突出物はアタッチメント部分のアパーチャを介してデータ部分の表面に挿入される。最後に、突出物は、接着剤を使用して、又は、それらを一緒にラミネートすることにより、データ部分の表面に取り付けられる。
【0005】
しかしながら、上記従来技術の解決策は、アタッチメント部分とデータ部分との間のボンドが、プラスチック材料からまるストリップの耐久性に全体的に依存するという問題に関連する。著しく視認できる痕跡を残すことなく偽造者がプラスチックストリップのように破壊できる可能性がある。従って、偽造者は、いかなる痕跡を残すことなくセキュリティドキュメントからデータシートのデータ部分を引き離すことができ、セキュリティに関して受け入れることはできない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために本発明の目的は、偽造の企てに関して従来のものよりもより安全なセキュリティドキュメントの可撓性データシートを提供することである。この目的は、独立形式の請求項1に伴う方法と、独立形式の請求項5に伴うデータシートにより達成される。
【0007】
本発明は、アタッチメント部分がデータ部分のプラスチック材料内に突出する端から、均一な部分を形成するために、データシートのデータ部分が、プラスチック材料からなり、前記アタッチメント部分が、突出部分によりデータ部分に取り付けられたとき、前記問題は達成され、アタッチメント部分は、データ部分のプラスチック材料にどんな視認できる痕跡を残すことなくデータ部分から外すことはできない。更に、アタッチメント部分のデータ部分内に突出した部分が、データシートのデータが記録されているデータ部分のデータ領域に全く拡張しておらず、又は、わずかにだけ拡張している大きさであるので、データ領域のデータシートを分解することができ得る層構造を伴ったデータ領域を設けるリスクは排除される。
【0008】
本発明の方法及びデータシートの好ましい実施形態は、従属形式の請求項2乃至4及び6乃至7に伴って開示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本件発明を、添付の図面を参照して例示の手段によりより詳細に説明する。
【0010】
図1は、セキュリティドキュメントに取り付けられた発明に関するデータシート1を示す。図1に示した例では、セキュリティドキュメントはパスポートのことを言い、データシート1は、アタッチメント部分2の手段により取り付けられる。データシート1は、例えば、セキュリティドキュメントに包含された他のシートのように、ステッチ5によってセキュリティドキュメントに取り付けられ得る。
【0011】
パスポートの所有者の名前、誕生日、及び、写真などのようなデータは、データシートのデータ部分3のデータ領域4に含まれる。
【0012】
図2及び3は、本発明の第1の好ましい実施形態を図示する。図2は、データシートを製造する方法を示し、図3は、完全なデータシートの構造を示す。
【0013】
図2に示した実施形態では、データシートのデータ部分は、ラミネートされてオーバーラップした少なくとも2つのシート6及び7を作ることにより製造され、少なくとも1つはレーザインスクリプションに適用可能である。シート6及び7は、例えば透明なポリカーボネート(PC)から作られて良い。レーザインスクリプションを可能にするために、少なくとも1つの層は透明な炭化ポリカーボネートであるのが好ましい。
【0014】
アタッチメント部分2は、可撓性及び曲げ抵抗材料からなる。別の実施形態では、層構造アタッチメント部分を採用し、その表面層はポリエチレン(PE)からなり、その中間層はポリエステル(PET)からなる。データシートを製造するために、可撓性及び曲げていこう材料からなるアタッチメント部分2は、シート6及び7を一方から部分的に分離するようにラミネートされたオーバーラッピングシート6及び7の間に配置される。この後、シート6及び7は、高温で一緒にラミネートされ、その結果、図3に示すようなデータシートとなる。アタッチメント部分が上述したような層に構成されるとき、アタッチメント部分の表面のポリエチレンは、接着層を形成し、その接着層は、高温で起こるラミネーション中の位置でアタッチメント部分を接着する。しかるに、更なる接着層は要求されない。
【0015】
データシートは、シート2、6及び7がその正しい形状で正確に切断され、ラミネーション前に互いに関して所定の位置で正確に配置されるような仕方で製造されうる。別の実施形態では、準備は、より大きなシートが一緒にラミネートされるように実行され、その場合、準備の方法は、シートの不要な部分を切断するためラミネーションの後に、切断ステージを含む。
【0016】
図2並びに他の図面を検討する際に、層の大きさを明確にするために、実際の大きさから外れていることに注意すべきである。データシートの総厚さは、例えば0.8と0.9mmの間の範囲であり、データシートのアタッチメント部分は、例えば0.1乃至0.2mmの範囲である。
【0017】
図3に示したデータシートは、図2で記載したように製造される。かくして、データシートは、均一な降らすチック材料からなるデータ部分3を含む。データシート6及び7は、それらは実際には均一な部分を形成するようにきつく一体化するようにラミネートされ、それにより偽造者は、データシートを製造するように用いられたシートを、いかなる痕跡を残すことなく、お互いから剥がすことはできない。アタッチメント部分2は、データ部分3のプラスチック材料の中に突出した部分10によりデータ部分に取り付けられる。しかしながら、アタッチメント部分2のデータ部分3内に突出した部分は、データシートに包含されたデータが記録されたデータ部分のデータ領域4にこの例では延びていない。従って、かかる層構造の形態は、偽造者が、データ領域4における最も重大な領域でデータシートを破壊することができるデータ領域4を避ける。
【0018】
本発明によれば、アタッチメント部分2は、接着剤を使用してデータ部分に取り付けることができる。これにより例えば、ラミネートされるシート6と7との間にアタッチメント部分2を形成する可撓性及び曲げ抵抗シートを配置する前に、アタッチメント部分2のシート6と7との間に挿入された部分10の表面が接着剤の層に設けられる。アタッチメント部分2で、より高い温度で活性化する接着剤を採用することにより、温度が上昇しているとき、ラミネート段階中に、その位置で接着することができる。別の実施形態では、別のタイプの接着剤を採用することができ、接着ステージ中に、より高い温度が要求されない。
【0019】
図4は、本発明の第2の好ましい実施形態を図示する。図4に示した実施形態は、図2及び3で記載した実施形態を拡張したものに対応する。従って、図4に示した実施形態は、先の実施形態と比較して、図4に示した実施形態の相違点を指摘することを主として以下に説明する。
【0020】
図4に示した実施形態では、データシートのデータ部分3’は、ラミネートされた充填層8を備える。この層の厚さは、アタッチメント部分2の厚さに対応し、ラミネートする前に互いからシート6と7とを離すために、シート6と7との間にアタッチメント部分2の拡張として配置される。充填層は、シート6及び7と同じ材料からなってよい。
【0021】
かくして、ラミネート中、シート6及び7と同様に充填層8は、一緒にラミネートされ、均一なプラスチック材料から作られるデータ部分3’を形成する。充填層は、データ部分端に挿入されたアタッチメント部分2の部分で図3に示したような実施形態で形成される、対応する不連続なポイント又は境界がデータ部分3’の外側表面に形成されないという利点を提供する。図4に示した実施形態では、かくして、データシートのデータ部分3’の外側表面はより滑らかになる。
【0022】
図5及び6は、本発明の第3の好ましい実施形態を図示する。図6では、データシートは、アパーチャ9での部分断面図を示す。図5及び6に示した実施形態は、図2及び3で記載した実施形態を拡張したものに対応する。従って、図5及び6に示した実施形態は、左記の実施形態と比較して図5及び6に示した実施形態の相違点を指摘することを主として以下に説明する。
【0023】
図5及び6では、アタッチメント部分2”に貫通したアパーチャ9が、データ部分につきだした部分10”における可撓性及び曲げ抵抗アタッチメント部分2”に形成されることに注意する。シート6及び7並びに充填層8が一緒にラミネートされるとき、シート6及び7はまたアパーチャ9で一緒にラミネートされる。アパーチャ9で起こるラミネーションは、アタッチメント部分2”のデータ部分3”内に突き出た部分10”を接着し、同時に、アタッチメント部分2”の全体をデータ部分にとりつける。
【0024】
アパーチャ9の寸法決めを適切にすることにより、アパーチャ9を介して起こるラミネーションだけにより、アタッチメント部分2”とデータ部分3”を互いに固定することができる。別の実施形態では、かかる固定は接着剤を更に改良することによってなすことができ、かかる場合には、データ部分3”内に挿入された部分10”はまた、データ部分3”と接触する表面に接着層を備えることができる。
【0025】
ここに開示した上記記載及び図面は単に本発明を例示するためのものであることを理解すべきである。添付の特許請求の範囲に示した発明の範囲を逸脱することなく本発明の異なる変形及び修正が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】セキュリティドキュメントに関するデータシートを示す。
【図2】本発明の第1の好ましい実施形態を図示する。
【図3】本発明の第1の好ましい実施形態を図示する。
【図4】本発明の第2の好ましい実施形態を図示する。
【図5】本発明の第3の好ましい実施形態を図示する。
【図6】本発明の第3の好ましい実施形態を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュリティドキュメントにおけるデータシートを製造するための方法であって、前記データシートは、少なくともデータ部分とアタッチメント部分とを含み、該方法が、
互いにオーバーラップしてラミネートされる少なくとも2つのシートを作ることによりデータ部分を製造するステップを有し、前記シートの少なくとも1つがレーザインスクリプションに適用可能であり、ラミネートされるオーバーラップシートが、均一なデータ部分を達成するために一緒にラミネートされ、
前記アタッチメント部分を製造するステップが、
ラミネートの前に、ラミネートされる2つのシートがお互いに分離されるようにラミネートされるオーバーラップシートの間に可撓性で曲げ抵抗があるシートを配置し、
ラミネートを実行する、ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
可撓性で曲げ抵抗があるシートのラミネートされたシートを分離する部分がまた、ラミネートされるシートに接着されたことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
可撓性で曲げ抵抗があるシートを貫通するアパーチャを形成し、
前記アパーチャが、ラミネートされる前記2つのシートの間に配置されるように、ラミネートされる2つのシートの一部を互いから離すようにラミネートされるオーバーラップシートの間に可撓性で曲げ抵抗があるシートを配置し、
前記可撓性で曲げ抵抗があるシートの対向する側でラミネートされたシートが、前記アパーチャを介しても一緒にラミネートされ、その位置で可撓性があり曲げ抵抗があるシートを固定するように、ラミネートを実行する、
ステップを更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記オーバーラップシートを互いに分離するようにラミネートされたオーバーラップシートの間に可撓性で曲げ抵抗があるシートの拡張としてラミネートする前に、ラミネートされるオーバーラップシートの間にラミネートされる充填シートを配置し、
前記ラミネートされるオーバーラップシートを、データ部分を形成するために充填シートと一緒にラミネートする、
ステップを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
データシート(1)の少なくともいくつかのデータがレーザインスクリプション技術を利用して記録されうる、データ領域(4)を含むデータ部分(3、3’、3”)と、
前記データシート(1)をセキュリティドキュメントに取り付けるため、可撓性で曲げ抵抗があるアタッチメント部分(2、2”)とを有し、
前記データ部分(3、3’、3”)は、アタッチメント部分(2、2”)がデータ部分のプラスチック材料内に突き出す端から、プラスチック材料からなる均一の部分が形成され、
前記アタッチメント部分(2、2”)は、データ部分のプラスチック材料内に突き出た部分(10、10”)によってデータ部分(3、3’、3”)に取り付けられ、
前記アタッチメント部分(2、2”)のデータ部分(3、3’、3”)内に突き出た部分(10)が、データシートに含まれたデータが記録されたデータ部分のデータ領域(4)には全く拡張していないか、又は、部分的にのみ拡張している、
ことを特徴とするセキュリティドキュメントにおけるデータシート(1)。
【請求項6】
前記アタッチメント部分(2)のデータ部分(3、3’)内に突き出た部分(10)が、データ部分のプラスチック材料に接着剤で取り付けられた、ことを特徴とする請求項5に記載のデータシート。
【請求項7】
アパーチャ(9)が、前記アタッチメント部分(2”)のデータ部分(3”)内に突き出た部分を貫通し、
前記アタッチメント部分(2”)を前記データ部分(3”)に固定するために、前記データ部分(3”)のプラスチック材料が、前記アパーチャ(9)を介して突出する、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載のデータシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−527670(P2006−527670A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516224(P2006−516224)
【出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際出願番号】PCT/FI2004/000359
【国際公開番号】WO2004/110780
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(502140802)
【Fターム(参考)】