説明

データ再生装置及び信号処理プログラム

【課題】フィードバックの応答性を高め、フィードバック制御による良好なインターポレータの内挿補間のタイミング調整を実現する。
【解決手段】再生ヘッド10で再生した信号は、アナログフィルタ12、A/D変換器14で順次処理された後、各フィルタ18〜24を経てインターポレータ16に入力される。インターポレータ16で制御信号に基づく内挿補間、再サンプリングが行われた後、可変FIRフィルタ26で目標特性との最終的な等化処理が行われる。また、タイミングエラー検出器30で、可変FIRフィルタ26からの出力信号のシンボル点と所望のシンボル点とのずれを検出すると、ループフィルタ32、NCO34を介して、インターポレータ16における処理の制御(フィードバック制御)を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばテープやディスク等の記録媒体に光学的、磁気的または光磁気的に記録されたデジタルデータを再生するデータ再生装置及び信号処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、磁気テープ等に記録されているデジタル画像信号やデジタル音声信号を再生する技術が知られている。この種の装置においては、再生された信号をイコライザにより等化処理することで、記録再生系における信号の劣化や磁気テープの種類による特性ばらつき、磁気ヘッドの特性ばらつき等を補償し、エラーを低減している。
【0003】
従来のデータ再生装置は、図7に示すように、再生ヘッド100、アナログフィルタ102、アナログ/デジタル(A/D)変換器104、インターポレータ106、デジタルイコライザ107、タイミングエラー検出器120、ループフィルタ122、及びNCO(Numerically Controlled Oscillator)124を含んで構成される。また、デジタルイコライザ107は、固定FIRフィルタ108、可変バンドパスフィルタ(可変BPF)110、可変ハイパスフィルタ(可変HPF)112、可変全域通過フィルタ(可変APF)114、可変FIRフィルタ116、及び適応制御器118を含んで構成される。
【0004】
再生ヘッド100は、磁気テープ等の記録媒体に記録されたデジタルデータを再生し、その再生アナログ信号をヘッドアンプ(図示せず)により増幅してアナログフィルタ102に出力する。アナログフィルタ102は、アンチエイリアスフィルタであり、再生ヘッド100からのアナログ信号について、fs/2(fs:サンプリング周波数)以上の周波数成分をカットしてA/D変換器104に出力する。そして、A/D変換器104は、アナログフィルタ102からのアナログ信号をデジタル信号に変換してインターポレータ106に出力する。具体的には、A/D変換器104は、PLL(図示せず)からのクロックに応じてアナログ信号をサンプリングし、1サンプル複数ビットで量子化してデジタル化する。
【0005】
インターポレータ106は、A/D変換器104からのデジタル信号に対し、そのサンプル点データからサンプル間にあるシンボル点のデータを推定補間する。これは、A/D変換器104では、PLLからのクロックに応じ、シンボルとは非同期のタイミングでサンプリング(非同期サンプリング)するため、インターポレータ106でシンボル点のデータを内挿補間する必要が生じるからである。インターポレータ106は、A/D変換器104のサンプルデータに対して推定補間したデータをリサンプル処理する。このとき、一種のローパスフィルタ(LPF)であるインターポレータ16は、fb/2(fb:ビットレート)以上の周波数成分をカットする。こうしてリサンプルされ且つfb/2以上の周波数成分をカットされたデジタル信号は、等化処理を行うデジタルイコライザ107に供給される。
【0006】
インターポレータ106は、基本的にはFIRフィルタで構成される。インターポレータ106は、互いに直列接続された複数のラッチ素子、複数の乗算器、及び加算器を含んで構成される。各ラッチ素子は、デジタル信号をサンプル期間だけ保持して出力する。各乗算器は、入力デジタル信号に対して所定の係数を乗じて加算器に出力する。加算器は、各乗算器の出力を加算し、後段のデジタルイコライザ107に出力する。各乗算器の係数は、予めセットとして設定されている。また、係数のセットは予め複数セット用意され、これらのセットのいずれかが選択される。すなわち、内挿補間すべき位置に応じて複数セットの中のいずれかのセットが選択的に用いられる。シンボル点のデータを内挿補間すべき位置、すなわち内挿補間のタイミングは、後述のようにタイミングエラー検出器120、ループフィルタ122、NCO124からなるフィードバックループにより調整される。
【0007】
デジタルイコライザ107は、固定FIRフィルタ108、可変BPF110、可変HPF112、可変APF114、可変FIRフィルタ116、及び適応制御器118を含んで構成され、デジタル信号を所望の目標特性に一致させるためにデジタル信号の振幅及び群遅延を制御するもので、デジタル信号に対して等化処理を行う。
【0008】
固定FIRフィルタ108は、インターポレータ106からのデジタル信号に対し、高域成分をブーストして高域成分の劣化を補償する。すなわち、再生ヘッド100、アナログフィルタ102及びインターポレータ106により原信号の高域成分が劣化しているため、この高域成分を所定量(固定値)だけブーストする。可変BPF110は、所定の周波数成分のみを通過させるフィルタであって、かつ、その周波数成分を適宜可変調整できるフィルタである。可変HPF112は、高域成分のみを通過させるフィルタであって、かつ、その透過率を適宜可変調整できるフィルタである。そして、可変BPF110、可変HPF112では、固定FIRフィルタ108からのデジタル信号の振幅を調整する。一方、可変APF114でデジタル信号の群遅延量を制御する。上記の可変BPF110、可変HPF112、及び可変APF114は、例えば複数のラッチ素子及び乗算器で構成した場合の乗算器の係数(タップ係数)を可変とするものであり、各フィルタのタップ係数は外部からの調整信号により可変調整され、これにより各フィルタのフィルタ特性が調整される。そして、上記各フィルタにより高域成分の劣化が補償され且つ振幅及び群遅延が補償されたデジタル信号は、可変FIRフィルタ116に供給される。
【0009】
可変FIRフィルタ116は、入力デジタル信号の特性を目標特性に一致させるためのFIRフィルタであり、乗算器の係数を可変とするフィルタである。乗算器の可変係数は、適応制御器118からの調整信号により調整設定される。適応制御器118は、目標特性(仮に定めた目標特性)と入力デジタル信号の特性との差分を演算し、この差分に応じて所定のアルゴリズムに従い可変FIRフィルタ116の可変係数を増減調整する。こうして、可変FIRフィルタ116においてデジタル信号が最終的に等化処理される。
【0010】
尚、可変FIRフィルタ116の出力は、タイミングエラー検出器120、ループフィルタ122、NCO124からなるフィードバックループにも供給され、このフィードバックループによるフィードバック制御により、インターポレータ106にて内挿補間すべき位置、すなわち内挿補間のタイミングが決められる。タイミングエラー検出器120は可変FIRフィルタ116の出力データからタイミングエラーを検出する。ループフィルタ122は、検出したタイミングエラーからノイズ成分を取り除き、積分処理及び微分処理等を行う。NCO124は、ループフィルタ122で処理されたタイミングエラーに応じた制御信号を生成してインターポレータ106に供給し、インターポレータ106における内挿補間タイミングを調整する。こうしてインターポレータ106は、NCO124からの制御信号に基づいて、上述のように乗算器の係数の複数セットの中から制御信号に応じたセットを用いて内挿補間することで、内挿タイミングが最適化(タイミングの同期確立)される。
【0011】
そして、以上のような構成のデータ再生装置により、図8のようにデジタル信号の周波数特性が変更される。まず、図8(a)のような周波数特性の入力信号が、アナログフィルタ102及びA/D変換器104を介してインターポレータ106に入力されると、インターポレータ106での処理により図8(b)のような周波数特性となる。続いて、次段の固定FIRフィルタ108により、図8(c)の矢印のようにデジタル信号の高域成分の劣化を補償され、図8(c)の実線のような周波数特性となる。そして固定FIRフィルタ108からのデジタル信号の周波数特性は、可変BPF110、可変HPF112、及び可変APF114により、図8(d)のような周波数特性に変更し、最終的に可変FIRフィルタ116で目標特性に等化処理される。
【0012】
【特許文献1】特開2001−209902号公報
【特許文献2】特開2002−216422号公報
【特許文献3】特開2003−7007号公報
【特許文献4】特開平11−213571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記構成を有するデータ再生装置では、インターポレータ106における内挿補間のタイミングは、等化手段(デジタルイコライザ)107の出力に基づくフィードバック制御により最適化される。ここで、上記構成のデータ再生装置において、記録媒体の早送りや早戻しを行ってからデータ再生する場合、この早送りや早戻しの際にデジタル信号のビットレートがずれる。このずれはタイミングエラーの増大としてタイミングエラー検出器120により検出される。タイミングエラーは、ループフィルタ122、NCO124を介してインターポレータ106の内挿補間タイミングの調整に反映される。ビットレートのずれは、タイミングエラーがループフィルタ122で積分処理により蓄積され、その値がNCO124に入力され続けることによりキャンセルされる。しかし、タイミングエラーは周期関数であり、大きなエラーは逆方向の大きなエラーとなる。従って、エラー検出からタイミング調整の反映までに時間がかかると、NCO124は、逆方向の制御信号をインターポレータ106に供給するため、デジタル信号のビット周波数オフセットが逆に大きくなる。その結果、インターポレータ106における内挿補間タイミングの調整に関し、フィードバックループによる良好な制御ができなくなるといった問題が生じる。
【0014】
本発明の目的は、等化手段の出力に基づくフィードバック制御によりインターポレータの内挿補間のタイミング調整を行うに際し、フィードバックの応答性が良好なデータ再生装置及び信号処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のデータ再生装置は、アナログ信号をデジタルサンプリングしたデジタル信号を、制御信号に基づいて内挿補間して再サンプリングし、得られたデジタル信号を出力するインターポレータと、前記インターポレータからの出力信号のシンボル点と所望のシンボル点とのずれを検出し、当該ずれに基づいて前記制御信号を生成し、この制御信号を前記インターポレータへ出力するフィードバック回路と、を有する。あるいは、アナログ信号をデジタルサンプリングしたデジタル信号を、制御信号に基づいて内挿補間して再サンプリングし、得られたデジタル信号を出力するインターポレータと、前記インターポレータからのデジタル信号における目標特性との相違を補償する可変FIRフィルタと、前記可変FIRフィルタからの出力信号のシンボル点と所望のシンボル点とのずれを検出し、当該ずれに基づいて前記制御信号を生成し、この制御信号を前記インターポレータへ出力するフィードバック回路と、を有する。
【0016】
また、上記構成のデータ再生装置において、前記インターポレータの前段に、アナログ信号をデジタルサンプリングしたデジタル信号の振幅を調整する可変フィルタと、前記可変フィルタからのデジタル信号の群遅延を調整する可変群遅延フィルタと、を有する構成とすることもできる。さらに、この構成のデータ再生装置において、前記可変フィルタが、デジタル信号の振幅を調整する可変バンドパスフィルタと、前記可変バンドパスフィルタからのデジタル信号の振幅をさらに調整する可変ハイパスフィルタと、を有するようにしても良く、あるいは、デジタル信号の高域振幅を調整する固定FIRフィルタと、前記固定FIRフィルタからのデジタル信号の所定帯域振幅を調整する可変バンドパスフィルタと、前記可変バンドパスフィルタからのデジタル信号の高域振幅をさらに調整する可変ハイパスフィルタと、を有するようにしても良い。
【0017】
また、本発明の信号処理プログラムは、アナログ信号をデジタルサンプリングしたデジタル信号を、制御信号に基づいて内挿補間して再サンプリングし、得られたデジタル信号を出力する補間ステップと、前記補間ステップにより得られた出力信号のシンボル点と所望のシンボル点とのずれを検出し、当該ずれに基づいて前記制御信号を生成し、この制御信号を前記補間ステップへフィードバックするフィードバックステップと、を処理装置に実行させるものである。あるいは、アナログ信号をデジタルサンプリングしたデジタル信号を、制御信号に基づいて内挿補間して再サンプリングし、得られたデジタル信号を出力する補間ステップと、前記補間ステップにより得られたデジタル信号における目標特性との相違を補償するフィルタリングステップと、前記フィルタリングステップにより得られた出力信号のシンボル点と所望のシンボル点とのずれを検出し、当該ずれに基づいて前記制御信号を生成し、この制御信号を前記補間ステップへフィードバックするフィードバックステップと、を処理装置に実行させるものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フィードバックループの短縮化によりフィードバックの応答性が高められ、フィードバック制御による良好なインターポレータの内挿補間のタイミング調整を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明について以下詳細に説明する。図1に本発明のデータ再生装置の構成の一例を示す。本発明の一実施形態に係るデータ再生装置は、再生ヘッド10、アナログフィルタ12、アナログ/デジタル(A/D)変換器14、固定FIRフィルタ18、可変バンドパスフィルタ(可変BPF)20、可変ハイパスフィルタ(可変HPF)22、可変全域通過フィルタ(可変APF)24、インターポレータ16、可変FIRフィルタ26、適応制御器28、タイミングエラー検出器30、ループフィルタ32、及びNCO(Numerically Controlled Oscillator)34を含んで構成される。すなわち、本実施形態では、インターポレータが一種のローパスフィルタ(LPF)である点、及び、各フィルタが線形フィルタである点に着目し、従来のデータ再生装置におけるデジタルイコライザ15の固定FIRフィルタ18、可変BPF18、可変HPF20、及び可変APF24を、インターポレータ16の前段に設けたものである。
【0020】
従来と同様、再生ヘッド10は、記録媒体に記録されたデジタルデータを再生し、その再生アナログ信号をヘッドアンプ(図示せず)により増幅して、アンチエイリアスフィルタであるアナログフィルタ12に出力する。アナログフィルタ12は、再生ヘッド10からのアナログ信号について、fs/2(fs:サンプリング周波数)以上の周波数成分をカットしてA/D変換器14に出力し、A/D変換器14は、アナログフィルタ12からのアナログ信号をデジタル信号に変換して固定FIRフィルタ18に出力する。
【0021】
固定FIRフィルタ18は、A/D変換器14からのデジタル信号に対し、高域成分をブーストして高域成分の劣化を補償する。続けて、固定FIRフィルタ18からのデジタル信号について、可変BPF20、可変HPF22でデジタル信号の振幅を調整し、可変APF24でデジタル信号の群遅延量を制御する。この可変BPF20、可変HPF22、及び可変APF24も、従来と同様、例えば複数のラッチ素子及び乗算器で構成した場合の乗算器の係数(タップ係数)を可変とするものであり、各フィルタのタップ係数は外部からの調整信号により可変調整され、これにより各フィルタのフィルタ特性が調整される。そして、固定FIRフィルタ18により高域成分の劣化が補償され、可変BPF20、可変HPF22、可変APF24により振幅及び群遅延が補償されたデジタル信号は、インターポレータ16に供給される。
【0022】
図2〜図4には、各フィルタの特性が示されている、図2は可変BPF20の特性、図3は可変HPF22の特性、図4は可変APF24の特性である。各図において、矢印は各フィルタにおける乗算器の係数(タップ係数)を変化させることにより得られる特性変化を示す。
【0023】
インターポレータ16は、可変APF24からのデジタル信号に対し、そのサンプル点データからサンプル間にあるシンボル点のデータを推定補間し、可変APF24のサンプルデータに対して推定補間したデータをリサンプル処理する。このとき、一種のローパスフィルタ(LPF)であるインターポレータ16は、fb/2(fb:ビットレート)以上の周波数成分をカットする。こうしてリサンプルされ且つfb/2以上の周波数成分をカットされたデジタル信号は、可変FIRフィルタ26に供給される。
【0024】
インターポレータ16は、基本的にはFIRフィルタで構成され、例えば図5のように、互いに直列接続された複数のラッチ素子16a、複数の乗算器16b、及び加算器16cを含んで構成される。各ラッチ素子16aは、デジタル信号をサンプル期間だけ保持して出力する。各乗算器16bは、入力デジタル信号に対して所定の係数を乗じて加算器16cに出力する。加算器16cは、各乗算器16bの出力を加算し、後段の可変FIRフィルタ26に出力する。各乗算器16bの係数は、予めセットとして設定されている。また、係数のセットは予め複数セット用意され、これらのセットのいずれかが選択される。すなわち、内挿補間すべき位置に応じて複数セットの中のいずれかのセットが選択的に用いられる。シンボル点のデータを内挿補間すべき位置、すなわち内挿補間のタイミングは、従来と同様、タイミングエラー検出器30、ループフィルタ32、NCO34からなるフィードバックループにより調整される。
【0025】
可変FIRフィルタ26は、入力デジタル信号の特性を目標特性に一致させるためのFIRフィルタであり、乗算器の係数を可変とするフィルタである。乗算器の可変係数は、適応制御器28からの調整信号により調整設定される。適応制御器28は、目標特性(仮に定めた目標特性)と入力デジタル信号の特性との差分を演算し、この差分に応じて所定のアルゴリズムに従い可変FIRフィルタ26の可変係数を増減調整する。こうして、可変FIRフィルタ26においてデジタル信号が最終的に等化処理される。
【0026】
そして、以上のような構成のデータ再生装置により、図6のようにデジタル信号の周波数特性を変更することができる。まず、図6(a)のような周波数特性の入力信号が、アナログフィルタ12でfs/2以上の周波数成分をカットされ、A/D変換器12を経て固定FIRフィルタ18に入力される。固定FIRフィルタ18では高域成分の劣化を補償され、図6(b)のような周波数特性に変更する。続いて、可変BPF20、可変HPF22でデジタル信号の振幅が調整され、可変APF24でデジタル信号の群遅延量が制御され、インターポレータ16に入力される。インターポレータ16では、図6(c)の点線で示すような特性の入力デジタル信号に対してリサンプル処理とfb/2以上の周波数成分のカット処理が行われ、図6(c)の実線に示すような周波数特性のデジタル信号が出力される。図6(c)の周波数特性は、従来のデータ再生装置において、可変FIRフィルタ26に入力されるデジタル信号の周波数特性(図8(d)参照)と同様のものである。そして、最終的には、従来と同様、可変FIRフィルタ26で目標特性に等化処理される。
【0027】
以上のように、本実施形態に係るデータ再生装置では、従来のデータ再生装置におけるデジタルイコライザ15の固定FIRフィルタ18、可変BPF20、可変HPF22、及び可変APF24を、インターポレータ16の前段に設けた構成としているが、このように構成を変更しても、従来の構成により得られたデジタル信号の周波数特性と同様の目標特性に等化処理することができる。
【0028】
さらに、本実施形態に係るデータ再生装置によれば、従来に比してフィードバックループを短縮したため、フィードバックの応答性が良好となり、その結果、インターポレータの内挿補間のタイミング調整に関し、良好なフィードバック制御を行うことができる。例えば記録媒体の早送りや早戻しを行ってからデータ再生するような場合にも、デジタル信号のビットレートのずれによる影響を受けることなく、良好なフィードバック制御を行うことが可能となる。尚、上記実施形態では、タイミングエラー検出器30へのフィードバックを可変FIRフィルタ26の後から行っているが、例えば図1に点線で示すように、これをインターポレータ16の後から行うようにしても良い。これによっても、上記実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0029】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。
【0030】
例えば、本実施形態では、可変BPF20、可変HPF22、可変APF24、可変FIRフィルタ26の各乗算器の係数(タップ係数)を外部の調整信号(ユーザが設定した信号)により変化させて特性を設定するように構成したが、各乗算器の係数を変化させるには、例えばレジスタに係数データ値を適宜書き込み、このレジスタから各フィルタの乗算器に係数データ値を供給すればよい。
【0031】
また、本実施形態において、可変BPF20、可変HPF22、可変APF24、可変FIRフィルタ26の全ての係数を調整してその特性を変化させる必要はなく、例えば可変BPF20についてはデフォルト特性に維持し、可変HPF22及び可変APF24の係数のみを調整してもよい。もちろん、可変BPF20の係数のみ、あるいは可変HPF22の係数のみ、あるいは可変APF24の係数のみを調整してもよい。
【0032】
さらに、本実施形態では、固定FIRフィルタ18を用いて再生ヘッド10、アナログフィルタ12、インターポレータ16の各構成要素での処理により劣化した高域成分をブーストして補償しているが、再生ヘッド10等の特性に応じて固定FIRフィルタ18を省略することも可能である。
【0033】
本実施形態のデータ再生装置は、DVC(デジタルビデオカメラ)やHDD(ハードディスクドライブ)、CDドライブやDVDドライブの再生装置に組み込むことができ、PR4等のデジタルデータを再生ヘッドでアナログ信号として再生し、このアナログ再生信号をデジタル化して再生処理する任意のデバイスに適用することができる。
【0034】
また、本実施形態のデータ再生装置におけるフィードバック制御は、タイミングエラー検出器30、ループフィルタ32、及びNCO34からなるフィードバックループにより実行されるが、これと同様のフィードバック制御を行うプラグラムを作成し、このプログラムに基づいてフィードバック制御を実行させるようにしても良い。具体的には、インターポレータ16への入力デジタル信号を、制御信号に基づいて内挿補間して再サンプリングし、得られたデジタル信号を出力するステップと、可変FIRフィルタ26において、インターポレータ16からのデジタル信号における目標特性との相違を補償するステップと、可変FIRフィルタ26からの出力信号のシンボル点と所望のシンボル点とのずれを検出し、当該ずれに基づいて前記制御信号を生成し、この制御信号を前記補間ステップへフィードバックするステップと、をDSP(Digital Signal Processor)等の処理装置にソフト的に処理させるようにすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係るデータ再生装置の構成図である。
【図2】図1における可変BPFの特性説明図である。
【図3】図1における可変HPFの特性説明図である。
【図4】図1における可変全域通過フィルタの特性説明図である。
【図5】図1におけるインターポレータの構成図である。
【図6】図1のデータ再生装置により処理されるデジタル信号の特性の変化を示す図である。
【図7】従来のデータ再生装置の構成図である。
【図8】図7のデータ再生装置により処理されるデジタル信号の特性の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
10 再生ヘッド、12 アナログフィルタ、14 A/D変換器、16 インターポレータ、18 固定FIRフィルタ、20 可変BPF、22 可変HPF、24 可変APF、26 可変FIRフィルタ、28 適応制御器、30 タイミングエラー検出器、32 ループフィルタ、34 NCO。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ信号をデジタルサンプリングしたデジタル信号を、制御信号に基づいて内挿補間して再サンプリングし、得られたデジタル信号を出力するインターポレータと、
前記インターポレータからの出力信号のシンボル点と所望のシンボル点とのずれを検出し、当該ずれに基づいて前記制御信号を生成し、この制御信号を前記インターポレータへ出力するフィードバック回路と、
を有することを特徴とするデータ再生装置。
【請求項2】
アナログ信号をデジタルサンプリングしたデジタル信号を、制御信号に基づいて内挿補間して再サンプリングし、得られたデジタル信号を出力するインターポレータと、
前記インターポレータからのデジタル信号における目標特性との相違を補償する可変FIRフィルタと、
前記可変FIRフィルタからの出力信号のシンボル点と所望のシンボル点とのずれを検出し、当該ずれに基づいて前記制御信号を生成し、この制御信号を前記インターポレータへ出力するフィードバック回路と、
を有することを特徴とするデータ再生装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のデータ再生装置において、
前記インターポレータの前段に、アナログ信号をデジタルサンプリングしたデジタル信号の振幅を調整する可変フィルタと、
前記可変フィルタからのデジタル信号の群遅延を調整する可変群遅延フィルタと、
を有することを特徴とするデータ再生装置。
【請求項4】
請求項3に記載のデータ再生装置において、
前記可変フィルタは、
デジタル信号の振幅を調整する可変バンドパスフィルタと、
前記可変バンドパスフィルタからのデジタル信号の振幅をさらに調整する可変ハイパスフィルタと、
を有することを特徴とするデータ再生装置。
【請求項5】
請求項3に記載のデータ再生装置において、
前記可変フィルタは、デジタル信号の高域振幅を調整する固定FIRフィルタと、
前記固定FIRフィルタからのデジタル信号の所定帯域振幅を調整する可変バンドパスフィルタと、
前記可変バンドパスフィルタからのデジタル信号の高域振幅をさらに調整する可変ハイパスフィルタと、
を有することを特徴とするデータ再生装置。
【請求項6】
アナログ信号をデジタルサンプリングしたデジタル信号を、制御信号に基づいて内挿補間して再サンプリングし、得られたデジタル信号を出力する補間ステップと、
前記補間ステップにより得られた出力信号のシンボル点と所望のシンボル点とのずれを検出し、当該ずれに基づいて前記制御信号を生成し、この制御信号を前記補間ステップへフィードバックするフィードバックステップと、
を処理装置に実行させることを特徴とする信号処理プログラム。
【請求項7】
アナログ信号をデジタルサンプリングしたデジタル信号を、制御信号に基づいて内挿補間して再サンプリングし、得られたデジタル信号を出力する補間ステップと、
前記補間ステップにより得られたデジタル信号における目標特性との相違を補償するフィルタリングステップと、
前記フィルタリングステップにより得られた出力信号のシンボル点と所望のシンボル点とのずれを検出し、当該ずれに基づいて前記制御信号を生成し、この制御信号を前記補間ステップへフィードバックするフィードバックステップと、
を処理装置に実行させることを特徴とする信号処理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−147043(P2006−147043A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−335465(P2004−335465)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】