説明

データ処理装置及びデータ処理方法及びプログラム

【課題】最適なフレームレートにて画像データを外部記録装置に記録させるドライブレコーダ装置を実現する。
【解決手段】衝撃検知装置400にて一定以上の加速度が検出された際に記録制御部102は一時記憶部101内の画像データを外部記録装置300に所定フレームレートで出力し、主電源装置からの電力供給が停止した場合に、動作時間決定部105が補助電源装置600からの電力供給が可能な動作時間を算出し、残り記録時間決定部107が外部記録装置300に画像データが出力されていない時間を残り記録時間として判定し、動作時間以内に残り記録時間分の画像データを出力可能なフレームレートのうちの最大のフレームレートを記録方法決定部108が算出し、記録制御部102は記録方法決定部108により算出されたフレームレートにて外部記録装置300に画像データを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置により撮影された画像データに対するデータ処理技術に関する。
より詳しくは、自動車等の車両に設置されるドライブレコーダ装置における画像データに対するデータ処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライブレコーダ装置は、映像を撮影するカメラ(CCD:Charge Coupled Deviceなど)、映像を画像データとして一時的に記憶するメモリ(RAM:Random Access Memery)、事故や急ブレーキ・急ハンドルなどの衝撃を検知する加速度センサ(以下は3軸方向を検知する加速度センサとして説明)、衝撃前及び衝撃後の所定時間のデータを記録する不揮発メモリ(メモリカード(登録商標)など)、主電源からの電力供給が停止した場合(以下は電源断として説明)に切り替えて使用する補助電源(電気二重層コンデンサなど)等から構成される。
ドライブレコーダ装置では、カメラからの映像を常にメモリに書き込んでおり、メモリでは最新の短時間(例えば30秒)の映像を画像データとして記憶する。
また、加速度センサが検知した衝撃をトリガとして、メモリから規定の区間(例えば、トリガを検出した時刻の前12秒から当該時刻の後8秒の計20秒間)の画像データを不揮発メモリに記録する。
電源断が発生した場合には、補助電源からの電力供給に切り替えて画像データの記録を継続する。
電源断が発生した場合の従来の処理は例えば特許文献1に記載されている。
特許文献1では、電源断が発生した後に、メモリから不揮発メモリに記録する画像データを予め設定した固定のフレームレートに変更して記録し、記録完了後にファイルクローズ処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−89018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の動作において、補助電源で最も長時間の画像データを記録する例として、トリガ検出と同時に電源断が発生する動作を、図12を用いて説明する。
時刻ttriでトリガ検出し、記録処理が開始される。
このとき、トリガ検出時刻から予め設定された時間(以下では、12秒を例とする)だけ過去の時刻を規定の区間の開始時刻、トリガ検出時刻から予め設定した時間(以下では、8秒を例とする)だけ後の時刻である規定の区間の終了時刻とする。
つまり、トリガ検出時刻の12秒前の時刻からトリガ検出時刻の8秒後の時刻までの20秒間の画像データを不揮発メモリに記録する。
トリガ検出と同時に電源断が発生し、不揮発メモリに記録する画像データを予め設定した固定の低フレームレート(例えば5fps)に変更する。
規定の区間の終了時刻に撮影された画像データを記録するには、規定の区間の終了時刻までドライブレコーダが動作する必要があるため、補助電源による動作時間が、少なくともトリガを検出した時刻から規定の区間の終了時刻(トリガ検出時刻から8秒後)までの時間となるよう設計する。
そして、時刻tendに規定の区間の終了時刻までの画像データを不揮発メモリに記録して記録処理を終了する。
同時に補助電源の電圧が低下し、ドライブレコーダ装置が停止する。
このとき、不揮発メモリには規定の区間全ての画像データが低フレームレートで記録される。
【0005】
従来技術において、記録処理の途中で電源断が発生したため補助電源に電気量が残る動作の例を、図13を用いて説明する。
時刻ttriでトリガ検出し、記録処理が開始され、高フレームレート(例えば30fps)で不揮発メモリに画像データが記録される。
時刻tpowerに電源断が発生し、フレームレートを低フレームレート(例えば5fps)に変更する。
補助電源の容量を、電源断後に規定の区間(例えば20秒分)の画像データを記録できるように設計している場合、時刻tendに記録処理が終了した後も、時刻tstopまでドライブレコーダ装置が動作できるだけの電気量が残る。
このとき、不揮発メモリには規定の区間の前半は高フレームレート、後半は低フレームレートで画像データが記録される。
従来技術では、固定の低フレームレートに変更するため、電源断のタイミングで残りの記録時間が短くなることによって補助電源の電気量が残る。
【0006】
また、高温のため動作時間が長くなる動作の例を、図14を用いて説明する。
時刻ttriでトリガを検出し、記録処理が開始され、高フレームレート(例えば、30fps)で不揮発メモリに画像データが記録される。
同時に電源断が発生し、フレームレートを固定の低フレームレート(例えば5fps)に変更する。
時刻tendに規定の区間の画像データを全て低フレームレートで不揮発メモリに記録終了する。
高温のとき、通常より補助電源の動作時間が長くなるため、記録処理が終了したとき、補助電源の動作時間が残っており、tendより後の時刻tstopにドライブレコーダ装置が停止する。
このとき、不揮発メモリには規定の区間全ての画像データが低フレームレートで記録される。
【0007】
また、不揮発メモリへの書き込み速度が設計値よりも低速な場合、不揮発メモリに記録する時間が設計値より長くなる。
トリガ検出直後に電源断が発生すると、規定の区間の画像データを不揮発メモリに記録する前に、補助電源の電圧が低下し、ファイルクローズ処理を開始する。
その結果、規定の区間より短い時間の画像データが不揮発メモリに残る。
【0008】
録り逃しを防ぐためには、できるだけ高いフレームレートで規定の区間の画像データを不揮発メモリへ記録する必要がある。
しかし、従来技術は、電源断のタイミングにより残りの記録時間が短くなり、補助電源の電気量が余っても、固定の低フレームレートで記録しているので、録り逃しが発生する可能性がある。
また、温度が高くなり、補助電源による動作可能時間が長くなっても、固定の低フレームレートで記録しているので、録り逃しが発生する可能性がある。
また、外部記憶装置として書き込み速度が低速なものが使用された場合には、不揮発メモリに記録する時間が設計値より長くなる。
このため、固定の低フレームレートでは、規定の区間の書き込み処理が完了せず、規定の区間より短い画像データしか記録できないこともある。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決することを主な目的としており、補助電源の動作時間や残りの記録時間に基づいて、画像データを記録装置に出力する際の最適なデータ出力量を決定し、決定したデータ出力量にて画像データを記録装置へ出力するデータ処理装置を実現することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るデータ処理装置は、
所定のフレームレートにて撮影を行う撮影装置と、前記撮影装置により撮影された画像データを記録する画像データ記録装置と、主電源装置からの主電源電力供給が停止した際に電力供給を所定時間の間行う補助電源装置とに接続されているデータ処理装置であって、
前記撮影装置により撮影された画像データを、撮影時刻とともに一時的に記憶する一時記憶部と、
トリガイベントが発生した際に、対象時間範囲ウィンドウに含まれる撮影時刻の時間範囲を対象時間範囲として特定し、対象時間範囲内の撮影時刻ごとに所定のデータ出力量にて前記一時記憶部の画像データを前記画像データ記録装置に出力する画像データ出力部と、
前記トリガイベントが発生し、主電源電力供給が停止した場合に、前記補助電源装置からの補助電源電力供給が維持される補助電源電力供給時間を算出する電力供給時間算出部と、
前記トリガイベントが発生し、主電源電力供給が停止した場合に、対象時間範囲のうち主電源電力供給が停止した時点で前記画像データ記録装置に画像データが出力されていない撮影時刻の時間幅を残り記録時間として算出する残り記録時間算出部と、
前記電力供給時間算出部により算出された補助電源電力供給時間と、前記残り記録時間算出部により算出された残り記録時間と、前記画像データ記録装置が記録可能な単位時間当たりのフレーム数とに応じて、主電源電力供給が停止した後の撮影時刻ごとのデータ出力量を指定するデータ出力管理部とを有し、
前記画像データ出力部は、
主電源電力供給の停止時に未出力の未出力画像データを、前記データ出力管理部により指定されたデータ出力量にて、撮影時刻ごとに前記画像データ記録装置に出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、補助電源電力供給時間と残り記録時間に基づいてデータ出力量を決定するので、補助電源電力供給時間に対して過小なデータ出力量で出力したために事象の録り逃しが生じる可能性を低減することができ、また、補助電源電力供給時間に対して過大なデータ出力量で出力したため画像データの記録が途中で終了してしまう事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1に係るドライブレコーダ装置の構成例を示す図。
【図2】実施の形態1に係る動作例を示すフローチャート図。
【図3】実施の形態1に係る記録処理の例を示す図。
【図4】実施の形態1に係る記録処理の例を示す図。
【図5】実施の形態2に係るドライブレコーダ装置の構成例を示す図。
【図6】実施の形態2に係る動作例を示すフローチャート図。
【図7】実施の形態3に係るドライブレコーダ装置の構成例を示す図。
【図8】実施の形態3に係る動作例を示すフローチャート図。
【図9】実施の形態4に係るドライブレコーダ装置の構成例を示す図。
【図10】実施の形態4に係る動作例を示すフローチャート図。
【図11】実施の形態1〜4に係るドライブレコーダ装置のハードウェア構成例を示す図。
【図12】背景技術を示す図。
【図13】背景技術を示す図。
【図14】背景技術を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
実施の形態1〜4では、自動車等の車両に設置され、主電源からの電力供給の停止を検出したときに、補助電源に切り替えて記録処理を継続するドライブレコーダ装置について説明する。
より具体的には、補助電源の動作時間や残りの記録時間によって、電源断後に記録するフレームレート(又は解像度)を可変に設定し、可能な限り高いフレームレート(又は解像度)で記録するドライブレコーダ装置を説明する。
【0014】
実施の形態1では、補助電源装置を有し、電源断を検出した際、動作時間と画像データの残り記録時間に応じてフレームレートを変更するドライブレコーダ装置の一例について説明する。
【0015】
以下で述べる実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。
すなわち、「〜部」として説明するものは、ソフトウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ソフトウェアとの組み合わせで実施されても構わない。
また、後述する撮影装置200、衝撃検知装置400、外部記録装置300として説明するものは、ドライブレコーダの基板上に取り付けられたハードウェア(部品)、もしくはケーブルなどにより通信しデータの送受信を行うハードウェア(部品)であるとする。
【0016】
図1は、本実施の形態に係るドライブレコーダ装置10の構成例を示す。
前述したように、本実施の形態に係るドライブレコーダ装置10は、主電源からの電力供給が停止した場合に、補助電源装置600からの電力供給に切り替えて、動作時間と残りの記録時間に応じてフレームレートを決定し、決定したフレームレートにて記録処理を行う。
ドライブレコーダ装置10は、ドライブレコーダ本体100、撮影装置200、外部記録装置300、衝撃検知装置400及び補助電源装置600から構成される。
また、図示していないが、ドライブレコーダ装置10は主電源装置に接続され、通常は主電源装置からの電力供給を受ける。
ドライブレコーダ本体100は、データ処理装置の例である。
【0017】
撮影装置200は、所定のフレームレートにて撮影を行う。
外部記録装置300は、撮影装置200により撮影された画像データをドライブレコーダ本体100から入力して、記録する。
外部記録装置300は、画像データ記録装置の例である。
衝撃検知装置400は、例えば加速度センサであり、ドライブレコーダ装置10に作用する加速度を検知する。
補助電源装置600は、電源投入時に電気量を検出し、主電源装置からの電力供給が停止した際に、ドライブレコーダ本体100とドライブレコーダ本体100に接続する機器に電力を供給する。
電気量を検出するにあたって、特開2009−31219号公報にて開示されている装置を用いてもよい。
前述したように、補助電源装置600は電気二重層コンデンサ等であるため、電力供給時間が限られている。
【0018】
ドライブレコーダ本体100において、一時記憶部101は、撮影装置200から受信した画像データを、画像が撮影された撮影時刻と共にサイクリックに一時記憶するバッファである。
【0019】
記録制御部102は、衝撃検知装置400において一定値以上の加速度が検出された場合に、一時記憶部101の画像データを外部記録装置300へ出力するためのトリガとなるトリガイベントを発生させる。
そして、記録制御部102は、トリガイベントの発生により、規定の区間の画像データを一時記憶部101から読み出し、外部記録装置300に画像データを出力し、外部記録装置300に画像データを記録させる。
つまり、記録制御部102は、トリガイベントの発生時に、所定の対象時間範囲ウィンドウ(例えば、トリガイベント発生の12秒前からトリガイベント発生の8秒後の範囲)に対応する撮影時刻の時間範囲を対象時間範囲として特定する。
例えば、トリガイベントが10時0分12秒に発生した場合には、10時0分1秒から10時0分20秒を対象時間範囲として特定する。
また、記録制御部102は、対象時間範囲内の撮影時刻ごとに既定のフレームレートにて一時記憶部101の画像データを外部記録装置300に出力する。
加えて、記録制御部102は、電源断検出部104から電源断検出信号を受信した場合、記録方法決定部108によって決定されたフレームレートに従い画像データを外部記録装置300へ出力する。
つまり、記録制御部102は、トリガイベント発生後であって主電源装置からの電力供給が停止するまでは、既定のフレームレートで画像データを出力し、主電源装置からの電力供給が停止した後は記録方法決定部108によって決定されたフレームレートにて画像データを出力する。
記録制御部102は、画像データ出力部の例である。
【0020】
電源断検出部104は主電源装置から入力信号が一定時間以上停止したとき、電源断が発生したことを検出する手段である。
【0021】
動作時間決定部105は、電気量と温度と動作時間を対応付けたテーブルを保持し、信号線506を通して補助電源装置600から受信した電気量と、信号線509を通して温度測定部106から受信した温度の値から、補助電源装置600によるドライブレコーダ装置10の動作時間、つまり、補助電源装置600からの電力供給が維持される時間(補助電源電力供給時間)を算出する手段である。
動作時間決定部105は、電力供給時間算出部の例である。
【0022】
温度測定部106は、補助電源装置600の電力供給性能に影響与える要因として、ドライブレコーダ装置10内の温度を測定する手段である。
温度測定部106は、監視部の例である。
【0023】
残り記録時間決定部107は、電源断発生時に、一時記憶部101における読み出し位置に記録されている画像を撮影した時刻と、規定の区間の終了時刻を比較し、外部記録装置300に記録する残りの画像データの時間を決定する手段である。
より詳しくは、残り記録時間決定部107は、トリガイベントが発生し主電源装置からの電力供給が停止した場合に、対象時間範囲のうち主電源装置からの電力供給が停止した時点で外部記録装置300に画像データが出力されていない撮影時刻の時間幅を残り記録時間として算出する。
例えば、規定の区間(対象時間範囲)が10時0分1秒から10時0分20秒であり、10時0分10秒の画像データまでが外部記録装置300に出力されている段階で主電源装置の電源断が生じた場合は、10時0分11秒から10時0分20秒までの10秒が残り記録時間である。
残り記録時間決定部107は、残り記録時間算出部の例である。
【0024】
記録方法決定部108は、補助電源装置による動作時間と、電源断発生後に記録する画像データの残り記録時間と、外部記録装置300が記録可能な単位時間当たりのフレーム数に基づき、記録する画像データのフレームレートを決定する手段である。
より詳しくは、記録方法決定部108は、一時記憶部101に記憶されている画像データの解像度を維持したままで補助電源装置の動作時間内に対象時間範囲の最後尾の撮影時刻の画像データまで出力させることができるフレームレートのうち最大のフレームレートを指定する。
記録方法決定部108は、データ出力管理部の例である。
【0025】
次に動作の詳細について説明する。
図2は、実施の形態1におけるドライブレコーダ装置10の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0026】
電源投入後に、撮影装置200が高フレームレート(例えば30fps)で画像データを撮影し、信号線500を通して一時記憶部101にサイクリックに記憶する(一時記憶ステップ)。
最新の画像データは最古の画像データを上書きして記録され、書き込み位置は最古の画像データの位置に更新される。
衝撃検知装置400は加速度を検知し、加速度値として信号線502を通して記録制御部102に周期的な送信を開始する。
補助電源装置600において、充電された電気量を検出する。
電源断検出部104が電源断の検出動作を始める(S101)。
記録制御部102が信号線505を通して電源断検出部104を読み、電源断を検出した場合、そのままドライブレコーダ装置10の動作を停止する(S102)。
電源断を検出しなかった場合、S103を行う。
電源断を検出する方法は、電源断検出部104が信号線505を通して記録制御部102のレジスタを書き換え、記録制御部102がそのレジスタを読むことで検出してもよい。
また、電源断検出部104が信号線505を通して記録制御部102の行っている処理に割込みを行うことでもよい。
【0027】
記録制御部102は、衝撃検知装置400から信号線502を通して入力された加速度値を読み、一定値以上と判定したとき(S103でYES)、トリガとして検出し(トリガイベントを発生させ)、記録処理を開始する。
トリガを検出しなかったら、S102に戻る。
記録制御部102は、記録処理として、信号線501を通して、一時記憶部101内のバッファに記憶された画像データにおいて、規定の区間(対象時間範囲)の開始時刻と終了時刻を設定する。
前述したように、対象時間範囲ウィンドウは、画像データの外部記録装置300への出力の対象となる時間の範囲を特定するためのウィンドウであり、例えば、トリガ検出時刻(トリガイベント発生時刻)の12秒前からトリガ検出時刻(トリガイベント発生時刻)の8秒後までの範囲である。
そして、記録制御部102は、実際のトリガ発生時刻を基準にして、トリガ発生時刻の12秒前の時刻を対象時間範囲の開始時刻として設定し、トリガ発生時刻の8秒後の時刻を対象時間範囲の終了時刻として設定する。
対象時間範囲を規定の区間ともいう。
また、記録制御部102は、対象時間範囲の開始時刻に撮影された画像データが記録されている位置を読み出し位置として設定し、信号線501を通して一時記憶部101から予め設定されたフレームレート(例えば30fps)で、予め設定したデータサイズもしくはフレーム数(例えば、30フレーム)だけの画像データを読み出し、信号線503を通して外部記録装置300に出力し、外部記録装置300に記録させる(S104)(画像データ出力ステップ)。
【0028】
記録制御部102は、規定の区間の画像データの記録が完了する前に、信号線505を通して電源断検出部104の検出結果を読んで、電源断が検出されたことを検知した場合(S105でYES)に、信号線504を通して記録方法決定部108に電源断の対策処理の開始を通知する。
記録制御部102は、読み込み位置の画像データが撮影された時刻と規定の区間の終了時刻を比較し、電源断が検出されることなく(S105でNO)、読み込み位置の画像データが撮影された時刻が規定の区間の終了時刻を経過していたら(S106でYES)、画像データの外部記録装置300への記録が完了したと判断し、ファイルクローズ処理を行い、S102に戻る。
一方、記録が完了していない場合(S106でNO)、継続して記録処理(S104)を行う(画像データ出力ステップ)。
【0029】
S105において電源断が検出された場合は、電源断の対策処理として、記録方法決定部108が信号線507を通して動作時間決定部105に動作開始を通知する。
動作時間決定部105は、信号線506を通して補助電源装置600から受信した電気量と、信号線509を通して温度測定部106から受信した温度の値から、電気量と温度と動作時間を対応付けたテーブルを参照して動作時間を決定し、信号線507を通して記録方法決定部108に通知する(S107)(電力供給時間算出ステップ)。
【0030】
次に、記録方法決定部108が信号線508を通して残り記録時間決定部508に動作開始(残り記録時間の算出要求)を通知する。
残り記録時間決定部107は、信号線510を通して読み出した一時記憶部101内の読み込み位置の画像データの撮影された時刻と、信号線517を通して記録制御部102から読み出した規定の区間の終了時刻を減算し、残りの記録時間(外部記録装置300に画像データが格納されていない撮影時刻の時間幅)を決定し、信号線508を通して記録方法決定部108に通知する(S108)(残り記録時間算出ステップ)。
【0031】
記録方法決定部108は、信号線507を通して動作時間決定部105から受信した動作時間と、信号線508を通して残り記録時間決定部107から受信した残り記録時間と、予め保持する外部記録装置300への書き込み速度(外部記録装置300が記録可能な単位時間当たりのフレーム数)から、残り記録時間のためのフレームレートを決定し、信号線504を通して記録制御部102に送信する。
例えば、動作時間が6秒、残り記録時間が10秒、書き込み速度が1秒間に30フレーム(30fps)、ファイルクローズ処理の時間が1秒であるとき、以下の計算によりフレームレートを15fpsに決定する。
(6秒−1秒)÷10秒×30fps=15fps
また、残り記録時間が20秒であるとき、以下の計算によりフレームレートは7.5fpsに決定する(S109)(データ出力管理ステップ)。
(6秒−1秒)÷20秒×30fps=7.5fps
【0032】
記録制御部102は、一時記憶部101から読み出すフレームレートを記録方法決定部108より受信したフレームレートに変更し、記録方法決定部108より受信したフレームレートにて画像データを出力して外部記録装置300への記録処理を行う(S110)(画像データ出力ステップ)。
記録するファイルは電源断発生前に記録処理を行っていたファイルに追記することが望ましい。
記録制御部102は規定の区間の画像データを外部記録装置300に記録完了したら、ファイルのクローズ処理を行う(S111)。
【0033】
図2のフローチャートに従って電源断後の記録処理を行う具体例を、図3を用いて以下に示す。
図3はトリガ検出して、記録処理を開始した後、電源断が発生し、ドライブレコーダ装置10が停止するまでの動作を示す図である。
図3中の画像データは一時記憶部101に記憶されている画像データを示す。
記録処理は記録制御部102が出力する画像データのフレームレートを示す。
【0034】
時刻ttriにおいて、一定値以上の加速度値が衝撃検知装置400で検出され、トリガが検出され(トリガイベントが発生し)、記録処理が開始される。
このとき、トリガ検出の12秒前からトリガ検出の8秒後という対象時間範囲ウィンドウが設けられている場合は、記録制御部102は、時刻ttriの12秒前の時刻を対象時間範囲の開始時刻、時刻ttriの8秒後の時刻を対象時間範囲の終了時刻に設定し、時刻ttriの前後20秒間を対象時間範囲とする。
そして、対象時間範囲の開始時刻の画像データから、高フレームレート(例えば30fps)で外部記録装置300に出力し、外部記録装置300に画像データの記録を行わせる。
時刻tpowerにおいて電源断が発生すると、記録制御部102はフレームレートを変更して記録処理を継続する。
より詳しくは、残り記録時間決定部107が、時刻tpowerまでに記録した画像データの撮影された時刻と対象時間範囲の終了時刻から残り記録時間(図3の例では10秒)を決定する。
また、動作時間決定部105が補助電源装置による動作時間(図3の例では6秒)を検出する。
記録方法決定部108は外部記録装置300の書き込み速度(例えば、1秒間に30フレーム)と、ファイルクローズ処理の時間(例えば1秒)を予め保持しており、残り記録時間、動作時間、書き込み速度、ファイルクローズの処理時間から、フレームレート(図3の例では15fps)を決定する。
この結果、記録制御部102は、新たなフレームレートである15fpsで画像データを外部記録装置300に出力し、外部記録装置300に画像データの記録を行わせる。
時刻tstopで対象時間範囲の画像データの記録処理が終了し、ドライブレコーダ装置10が停止する。
その結果、外部記録装置300には、前半を高フレームレート(例えば30fps)、後半を変更したフレームレート(例えば15fps)で規定の区間(例えば20秒)だけ記録された画像データが残る。
【0035】
次に、図2のフローチャートに従って、トリガ検出直後に電源断が発生し、電源断後の記録処理を行う具体例を、図4を用いて以下に示す。
【0036】
時刻ttriにおいて、一定値以上の加速度が衝撃検知装置400で検出され、トリガが検出され(トリガイベントが発生し)、記録処理が開始される。
同時に電源断が発生し、フレームレートの変更を行う。
図3の例と同様に、トリガ検出により、記録制御部102が対象時間範囲ウィンドウに基づき対象時間範囲を時刻ttriの前後20秒として決定するととともに、残り記録時間決定部107が、残りの記録時間は対象時間範囲分(20秒)であると判断する。
そして、動作時間決定部105が、補助電源装置600による動作時間(図4の例では6秒)を検出する。
記録方法決定部108は外部記録装置300の書き込み速度(例えば、1秒間に30フレーム)と、ファイルクローズ処理の時間(例えば1秒)を予め保持しており、残り記録時間、動作時間、書き込み速度、ファイルクローズの処理時間から、フレームレート(図4の例では7.5fps)を決定する。
対象時間範囲の画像データの記録処理が終了し、ドライブレコーダ装置10が停止する。
その結果、外部記録装置300には、変更したフレームレート(例えば7.5fps)で規定の区間(例えば20秒)だけ記録された画像データが残る。
【0037】
以上のように、本実施の形態によれば、電源断が発生しても、規定の区間の映像を外部記録装置に記録が可能である。
また、補助電源装置の容量に従い、可能な限り高いフレームレートで映像を記録できる。
これにより、従来と比べて、撮影されるフレームの間隔に生じるような瞬間的な事象を取り逃す可能性(記録されるフレームの間隔が広くなることによる事象の録り逃しが生じる可能性)を下げることができる。
【0038】
以上、本実施の形態では、
電源断が発生した場合、内部に保持した電気量と周辺温度など放電特性を変化させる要因から補助電源装置による動作時間を決定し、その動作時間と残りの記録時間に基づき、残りの記録時間に対する最適なフレームレートを算出し、電源断が発生しても可能な限り高いフレームレートで記録するドライブレコーダ装置を説明した。
【0039】
実施の形態2.
実施の形態2では、記録する規定の区間でも区間内の重要度の高低に応じて、フレームレートを変更して画像データを記録するドライブレコーダの一例について説明する。
【0040】
図5は、本実施の形態に係るドライブレコーダ装置10の構成例を示す。
図5では、図1の構成に比べて、重要度決定部113が追加されている。
また、記録方法決定部108の機能が、実施の形態1と異なる。
他の構成は、図1に示したものと同様である。
【0041】
重要度決定部113は、区間内の映像の重要度を決定する手段である。
本実施の形態では、対象時間範囲ウィンドウ内に優先時間範囲ウィンドウが設けられている。
優先時間範囲ウィンドウに該当する時刻に撮影された画像データは、優先時間範囲ウィンドウ外の時刻に撮影された画像データよりも優先的に取り扱われる(重要度が高い)。
例えば、トリガイベント発生の12秒前からトリガイベント発生の8秒後までが対象時間範囲ウィンドウとされている場合に、この20秒のうちトリガイベント発生の3秒前からトリガイベント発生の3秒後までの範囲に優先時間範囲ウィンドウを設けることが考えられる。
そして、重要度決定部113は、実際にトリガイベントが発生した場合に、トリガイベントの発生時刻から3秒前の時刻、トリガイベントの発生時刻から3秒後の時刻を特定し、当該時間幅に含まれる時刻に撮影された画像データの重要度を他の画像データよりも高くする。
例えば、トリガイベントの発生時刻が10時0分12秒であり、規定の区間(対象時間範囲)が10時0分1秒から10時0分20秒である場合、重要度決定部113は、10時0分10秒から10時0分15秒の重要度を高くする。
【0042】
また、本実施の形態では、記録方法決定部108は、補助電源装置600による動作時間と、電源断発生後に記録する規定の区間内の画像データの残り記録時間に基づいて決定した記録するフレーム数と、重要度決定部113により設定された重要度から、フレームレートを規定区間内において動的に決定する。
つまり、記録方法決定部108は、重要度が高い画像データ(撮影時刻が優先時間範囲ウィンドウ内にある優先未出力画像データ)を出力する際のフレームレートと、重要度が高くない画像データ(撮影時刻が優先時間範囲ウィンドウ外にある非優先未出力画像データ)を出力する際のフレームレートとを決定し、重要度が高い画像データを出力する際のフレームレートを、重要度が高くない画像データを出力する際のフレームレートよりも高くする。
【0043】
次に動作の詳細について説明する。
図6は、実施の形態2におけるドライブレコーダ装置の動作の流れの一例を示したものである。
S116以外の動作は実施の形態1と同一なので説明を省略し、以下では、S116の動作のみを説明する。
【0044】
記録方法決定部108は、信号線507を通して動作時間決定部105から受信した動作時間と、信号線508を通して残り記録時間決定部107から受信した残り記録時間と、予め保持する外部記録装置300の書き込み速度と、重要度決定部113により規定区間を区分して設定された重要度を示したテーブルを信号線517を通して参照し、受信した区分ごとの重要度に応じてフレームレートを決定し、信号線504を通して記録制御部102に送信する。
例えば、動作時間が6秒、残り記録時間が10秒、トリガ検出時刻の前3秒から後3秒まで時間がそれ以外の時間と比べ2倍の重要度であり、1秒間に30フレームを外部記録装置300に書き込め、ファイルクローズ処理に1秒要するときは、電源断発生から5秒間のフレームレートを20fps、それ以降の5秒を10fpsとして記録する。
なお、電源断発生から5秒間のフレームレートを20fpsとするのは、残り記録時間が10秒であることから、トリガ検出時刻の12秒前から3秒前までの10秒間の画像データは高いフレームレート(例えば、30fps)で外部記録装置300に出力済みであり、外部記録装置300に未出力なのはトリガ検出時刻から2秒前からだからである(トリガ検出前2秒+トリガ検出後3秒=5秒)。
一方、動作時間が6秒、残り記録時間が10秒、トリガ検出時刻の前2秒から後2秒までの時間がそれ以外の時間と比べ2倍の重要度であり、1秒間に30フレームを外部記録装置300に書き込め、ファイルクローズ処理に1秒要するときは、電源断発生から4秒間のフレームレートを21.5fps、それ以降の6秒を10.7fpsとして記録する。
【0045】
以上のように、本実施の形態によれば、特に重要な場面を高いフレームレートで記録でき、撮影されるフレームの間隔に生じるような瞬間的な事象を重要度の高い区間で録り逃がす可能性を下げることができる。
【0046】
以上、本実施の形態では、
電源断が発生した場合、フレームレートを区間ごとに定められた重要度に応じて算出し、重要度の高い区間の映像は高いフレームレートで、重要度の低い区間は低いフレームレートで記録するドライブレコーダ装置を説明した。
【0047】
実施の形態3.
実施の形態3では、電源断後に動作時間や残りの記録時間に応じて解像度を変更して記録するドライブレコーダ装置の一例について説明する。
【0048】
図7は、本実施の形態に係るドライブレコーダ装置10の構成例を示す。
図7では、図1の構成に比べて、画像再符号化部110が追加されている。
また、本実施の形態では、記録制御部102と記録方法決定部108の機能が実施の形態1と異なる。
他の構成は、図1に示したものと同様である。
なお、本実施の形態では、画像再符号化部110も画像データ出力部の例となる。
【0049】
本実施の形態では、記録制御部102は、衝撃検知装置400により検出された加速度が一定値以上である場合、規定の区間の画像データを一時記憶部101から読み出し、読み出した画像データを画像再符号化部110に出力する。
記録方法決定部108は、電源断が発生したとき、補助電源装置600による動作時間と、電源断発生後に記録する規定の区間内の画像データの残り記録時間に基づき、外部記録装置300に出力する画像データの解像度を決定する手段である。
より詳しくは、記録方法決定部108は、電源断が発生した場合に、外部記録装置300が記録可能な単位時間当たりのフレーム数において動作時間内に対象時間範囲の最後尾の撮影時刻の画像データまで出力させることができる解像度のうち最大の解像度を決定する。
画像再符号化部110は、通常は画像データの変換を行わず、電源断が発生した場合、記録方法決定部108により決定された解像度に従い、記録制御部102から入力した画像データの解像度を変更する手段である。
より詳しくは、画像再符号化部110は、電源断後に記録制御部102から入力した画像データの解像度が記録方法決定部108により指定された解像度と異なる場合に、入力した画像データの解像度を記録方法決定部108により指定された解像度に変換し、解像度変換後の画像データを外部記録装置300に出力する。
【0050】
次に動作の詳細について説明する。
図8は、実施の形態3におけるドライブレコーダ装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
S110とS112以外は実施の形態1と共通なので説明を省略し、以下では、S110及びS112の動作のみを説明する。
【0051】
記録方法決定部108が、信号線507を通して動作時間決定部105から受信した動作時間と、信号線508を通して残り記録時間決定部107から受信した残り記録時間と、予め保持する外部記録装置300の書き込み速度に基づき、解像度を決定し、信号線511を通して画像再符号化部110に送信する。
例えば、動作時間が6秒、残り記録時間が10秒、画像データの解像度は640×481秒間に30フレームを外部記録装置300に書き込め、ファイルクローズ処理に1秒要するとき、記録する解像度を457×340とする。
一方、残り記録時間が20秒であるとき、記録する解像度を320×480とする(S112)。
記録制御部102により読み出された画像データが記録方法決定部108で決定した解像度と異なっていれば、画像再符号化部110にて、記録方法決定部108で決定した解像度の画像データに再符号化され、外部記録装置300に出力される。
なお、解像度のほかに、輝度、階調を変更してもよい(S110)。
【0052】
以上のように、本実施の形態によれば、画像データ1枚当たりの画質は下がるが、フレームレートの低下による録り逃しを防ぐことができる。
【0053】
また、実施の形態2において説明したように、重要度の高低により画像データの解像度を変更するようにしてもよい。
つまり、電源断が発生した場合に、重要な時間(例えば、トリガ発生の前後3秒)に撮影された画像データは、他の時間に撮影された画像データよりも高い解像度にて外部記録装置300に出力するようにしてもよい。
【0054】
以上、本実施の形態では、
電源断が発生した場合に、適切な解像度を求め、画像データの解像度を変更することで、フレームレートを変化させず記録を完了させるドライブレコーダ装置を説明した。
【0055】
実施の形態4.
実施の形態4では、書き込み速度(外部記録装置300が記録可能な単位時間当たりのフレーム数)を検出し、書き込み速度に応じてフレームレートを決定するドライブレコーダ装置の一例について説明する。
図9は、本実施の形態に係るドライブレコーダ装置10の構成例を示す。
図9では、図1の構成に比べて、書き込み速度検出部111が追加されている。
また、本実施の形態では、記録方法決定部108の機能が実施の形態1と異なる。
他の構成は、図1に示したものと同様である。
【0056】
書き込み速度検出部111は、信号線514を通して予め設定されたサイズの画像データを外部記録装置300に書き込むために必要な時間を計測し、書き込み速度(外部記録装置300が記録可能な単位時間当たりのフレーム数)を検出する。
また、書き込み速度検出部111は、検出した書き込み速度を、信号線515を通して、記録方法決定部108に送信する。
書き込み速度検出部111は、フレーム数測定部の例である。
本実施の形態では、記録方法決定部108は、電源断が発生したことを検出したとき、ドライブレコーダ装置の補助電源装置600による動作時間と、電源断発生後に記録する規定の区間内の画像データの残り記録時間と、書き込み速度検出部111から通知された書き込み速度に基づき、外部記録装置300に出力する画像データのフレームレートを決定する。
【0057】
次に動作の詳細について説明する。
図10は、実施の形態4におけるドライブレコーダ装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
S113、S114、S115以外は実施の形態1と共通なので説明を省略し、以下では、S113、S114、S115の動作のみを説明する。
【0058】
書き込み速度検出部111は、トリガが検出された場合(S103でYES)に、信号線514を通して記録制御部102が予め設定したデータサイズもしくはフレーム数の画像データを外部記録装置300に記録する前の時刻を、書き込み開始時刻として取得する(S113)。
書き込み速度検出部111は、信号線514を通して記録制御部102が予め設定したデータサイズもしくはフレーム数の画像データを外部記録装置300に記録する後の時刻を、書き込み終了時刻として取得する。
また、書き込み速度検出部111は記録制御部102が外部記録装置300に記録したデータサイズを取得する。
書き込み速度検出部111は取得した書き込み開始時刻と書き込み終了時刻と、データサイズから、書き込み速度(外部記録装置300が記録可能な単位時間当たりのフレーム数)を得る。
例えば、書き込み開始した時刻が12時0分0秒00、書き込み終了した時刻が12時0分1秒00、記録したフレーム数が36枚のとき、書き込み速度を毎秒36枚と検出する。
また、書き込み開始した時刻が12時0分0秒00、書き込み終了した時刻が12時0分1秒00、記録したフレーム数が30枚のとき、書き込み速度を毎秒30枚と検出する(S114)。
【0059】
また、電源断が発生した場合(S105でYES)、記録方法決定部108が、信号線507を通して動作時間決定部105から受信した動作時間と、信号線508を通して残り記録時間決定部107から受信した残り記録時間と、信号線515を通して書き込み速度検出部111で検出した書き込み速度からフレームレートを決定し、信号線504を通して記録制御部102に送信する。
例えば、動作時間が6秒、残り記録時間が10秒、1秒間に36フレームを外部記録装置300に書き込め、ファイルクローズ処理に1秒要するとき、フレームレートを18fpsに決定する。
また、1秒間に30フレームを外部記録装置300に書き込めるとき、フレームレートを15fpsに決定する(S116)。
【0060】
以上のように、本実施の形態によれば、書き込み速度の異なる外部記録装置に変更しても、最適なフレームレートで記録できる。
つまり、外部記憶装置の書き込み速度が低速の場合にはフレームレートを下げ、規定区間の画像データの記録動作を完了させることができる。
【0061】
以上、本実施の形態では、
外部記録装置への書き込み速度を通常の記録処理中に算出することで、外部記録装置を変更しても最適なフレームレート(解像度)を設定できるドライブレコーダ装置を説明した。
【0062】
最後に、実施の形態1〜4に係るドライブレコーダ装置10のハードウェア構成例について説明する。
図11は、実施の形態1〜4に示すドライブレコーダ装置10のハードウェア資源の一例を示す図である。
なお、図11の構成は、あくまでもドライブレコーダ装置10のハードウェア構成の一例を示すものであり、ドライブレコーダ装置10のハードウェア構成は図11に記載の構成に限らず、他の構成であってもよい。
【0063】
図11において、ドライブレコーダ装置10は、ドライブレコーダ本体100に、プログラムを実行するCPU911(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。
CPU911は、バス912を介して、例えば、ROM(Read Only Memory)913、RAM(Random Access Memory)914、LCDやLED等の表示装置901、カメラ902、加速度センサ903、主電源装置904、補助電源装置905、HDD(Hard Disc Drive)又はメモリカード(登録商標)906、温度センサ915、フラッシュメモリ920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。
また、ドライブレコーダ装置10は、これらのハードウェアデバイス以外に、キーボード、非接触ICカード、マイク、スピーカ等を備えていてもよい。
例えば、カメラ902は撮影装置200として映像を撮影し、加速度センサ903は衝撃検知装置400として加速度を計測する。
また、温度センサ915は温度測定部106として温度を計測する。
また、HDD又はメモリカード(登録商標)906は、外部記録装置300として画像データを記録する。
【0064】
フラッシュメモリ920は、オペレーティングシステム921(OS)、プログラム群923、ファイル群924等を記憶することが可能である。
プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921により実行される。
【0065】
ROM913には、BIOS(Basic Input Output System)プログラムが格納され、フラッシュメモリ920にはブートプログラムが格納されている。
ドライブレコーダ装置10の起動時には、ROM913のBIOSプログラム及び磁気ディスク装置920のブートプログラムが実行され、BIOSプログラム及びブートプログラムによりオペレーティングシステム921が起動される。
【0066】
上記プログラム群923には、少なくとも実施の形態1〜4で説明している機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
【0067】
ファイル群924には、以上の説明において、「〜の判断」、「〜の判定」、「〜の比較」、「〜の検出」、「〜の算出」、「〜の制御」、「〜の指定」、「〜の決定」、「〜の測定」、「〜の設定」、「〜の登録」、「〜の選択」等として説明している処理の結果を示す情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。
「〜ファイル」や「〜データベース」は、記録媒体に記憶される。記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・編集・出力・表示などのCPUの動作に用いられる。
抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・編集・出力・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリ、レジスタ、キャッシュメモリ、バッファメモリ等に一時的に記憶される。
また、以上説明したフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0068】
また、以上の説明において「〜部」、「〜手段」、「〜装置」として説明しているものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「手段」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。
すなわち、実施の形態1〜4で説明したフローチャートに示すステップ、手順、処理により、本発明に係るデータ処理方法を実現することができる。
また、「〜部」、「〜手段」、「〜装置」として説明しているものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。
或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。
ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。
【符号の説明】
【0069】
10 ドライブレコーダ装置、100 ドライブレコーダ本体、101 一時記憶部、102 記録制御部、104 電源断検出部、105 動作時間決定部、106 温度測定部、107 残り記録時間決定部、108 記録方法決定部、110 画像再符号化部、111 書き込み速度検出部、113 重要度決定部、200 撮影装置、300 外部記録装置、400 衝撃検知装置、600 補助電源装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のフレームレートにて撮影を行う撮影装置と、前記撮影装置により撮影された画像データを記録する画像データ記録装置と、主電源装置からの主電源電力供給が停止した際に電力供給を所定時間の間行う補助電源装置とに接続されているデータ処理装置であって、
前記撮影装置により撮影された画像データを、撮影時刻とともに一時的に記憶する一時記憶部と、
トリガイベントが発生した際に、対象時間範囲ウィンドウに含まれる撮影時刻の時間範囲を対象時間範囲として特定し、対象時間範囲内の撮影時刻ごとに所定のデータ出力量にて前記一時記憶部の画像データを前記画像データ記録装置に出力する画像データ出力部と、
前記トリガイベントが発生し、主電源電力供給が停止した場合に、前記補助電源装置からの補助電源電力供給が維持される補助電源電力供給時間を算出する電力供給時間算出部と、
前記トリガイベントが発生し、主電源電力供給が停止した場合に、対象時間範囲のうち主電源電力供給が停止した時点で前記画像データ記録装置に画像データが出力されていない撮影時刻の時間幅を残り記録時間として算出する残り記録時間算出部と、
前記電力供給時間算出部により算出された補助電源電力供給時間と、前記残り記録時間算出部により算出された残り記録時間と、前記画像データ記録装置が記録可能な単位時間当たりのフレーム数とに応じて、主電源電力供給が停止した後の撮影時刻ごとのデータ出力量を指定するデータ出力管理部とを有し、
前記画像データ出力部は、
主電源電力供給の停止時に未出力の未出力画像データを、前記データ出力管理部により指定されたデータ出力量にて、撮影時刻ごとに前記画像データ記録装置に出力することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記データ処理装置は、更に、
前記補助電源装置の電力供給性能に影響を与える要因を監視する監視部を有し、
前記電力供給時間算出部は、
前記トリガイベントが発生し、主電源電力供給が停止した場合に、前記監視部による監視結果に基づき、補助電源電力供給時間を算出することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記データ出力管理部は、
補助電源電力供給時間内に対象時間範囲の最後尾の撮影時刻の画像データまで出力させることができるデータ出力量のうち最大のデータ出力量を指定することを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記データ出力管理部は、
前記一時記憶部に記憶されている画像データの解像度を維持したままで補助電源電力供給時間内に対象時間範囲の最後尾の撮影時刻の画像データまで出力させることができるフレームレートのうち最大のフレームレートを指定することを特徴とする請求項3に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記データ出力管理部は、
前記画像データ記録装置が記録可能な単位時間当たりのフレーム数において補助電源電力供給時間内に対象時間範囲の最後尾の撮影時刻の画像データまで出力させることができる解像度のうち最大の解像度を指定することを特徴とする請求項3又は4に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記画像データ出力部は、
未出力画像データの解像度が前記データ出力管理部により指定された解像度と異なる場合に、未出力画像データの解像度を前記データ出力管理部により指定された解像度に変換し、解像度変換後の未出力画像データを前記画像データ記録装置に出力することを特徴とする請求項5に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記データ出力管理部は、
前記対象時間範囲ウィンドウ内に優先時間範囲ウィンドウが設けられている場合に、撮影時刻が前記優先時間範囲ウィンドウ内にある優先未出力画像データを出力する際のデータ出力量と、撮影時刻が前記優先時間範囲ウィンドウ外にある非優先未出力画像データを出力する際のデータ出力量とを決定し、
優先未出力画像データを出力する際のデータ出力量を、非優先未出力画像データを出力する際のデータ出力量よりも高くすることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記データ処理装置は、更に、
前記トリガイベントが発生した場合に、前記画像データ記録装置が記録可能な単位時間当たりのフレーム数を測定するフレーム数測定部を有し、
前記データ出力管理部は、
前記電力供給時間算出部により算出された補助電源電力供給時間と、前記残り記録時間算出部により算出された残り記録時間と、前記フレーム数測定部により測定された前記画像データ記録装置が対応可能なフレームレートとに基づき、主電源電力供給が停止した後の撮影時刻ごとのデータ出力量を指定することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記監視部は、
前記補助電源装置の電力供給性能に影響を与える要因として、温度を監視することを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項10】
前記データ処理装置は、
ドライブレコーダ装置に含まれていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のデータ処理装置。
【請求項11】
所定のフレームレートにて撮影を行う撮影装置と、前記撮影装置により撮影された画像データを記録する画像データ記録装置と、主電源装置からの主電源電力供給が停止した際に電力供給を所定時間の間行う補助電源装置とに接続されているコンピュータが行うデータ処理方法であって、
前記コンピュータが、前記撮影装置により撮影された画像データを、撮影時刻とともに一時記憶装置に格納する一時記憶ステップと、
トリガイベントが発生した際に、前記コンピュータが、対象時間範囲ウィンドウに含まれる撮影時刻の時間範囲を対象時間範囲として特定し、対象時間範囲内の撮影時刻ごとに所定のデータ出力量にて前記一時記憶装置の画像データを前記画像データ記録装置に出力する画像データ出力ステップと、
前記トリガイベントが発生し、主電源電力供給が停止した場合に、前記コンピュータが、前記補助電源装置からの補助電源電力供給が維持される補助電源電力供給時間を算出する電力供給時間算出ステップと、
前記トリガイベントが発生し、主電源電力供給が停止した場合に、前記コンピュータが、対象時間範囲のうち主電源電力供給が停止した時点で前記画像データ記録装置に画像データが出力されていない撮影時刻の時間幅を残り記録時間として算出する残り記録時間算出ステップと、
前記コンピュータが、前記電力供給時間算出ステップにより算出された補助電源電力供給時間と、前記残り記録時間算出ステップにより算出された残り記録時間と、前記画像データ記録装置が記録可能な単位時間当たりのフレーム数とに応じて、主電源電力供給が停止した後の撮影時刻ごとのデータ出力量を指定するデータ出力管理ステップとを有し、
前記画像データ出力ステップにおいて、
前記コンピュータが、主電源電力供給の停止時に未出力の未出力画像データを、前記データ出力管理ステップにより指定されたデータ出力量にて、撮影時刻ごとに前記画像データ記録装置に出力することを特徴とするデータ処理方法。
【請求項12】
所定のフレームレートにて撮影を行う撮影装置と、前記撮影装置により撮影された画像データを記録する画像データ記録装置と、主電源装置からの主電源電力供給が停止した際に電力供給を所定時間の間行う補助電源装置とに接続されているコンピュータに、
前記撮影装置により撮影された画像データを、撮影時刻とともに一時記憶装置に格納する一時記憶ステップと、
トリガイベントが発生した際に、対象時間範囲ウィンドウに含まれる撮影時刻の時間範囲を対象時間範囲として特定し、対象時間範囲内の撮影時刻ごとに所定のデータ出力量にて前記一時記憶装置の画像データを前記画像データ記録装置に出力する画像データ出力ステップと、
前記トリガイベントが発生し、主電源電力供給が停止した場合に、前記補助電源装置からの補助電源電力供給が維持される補助電源電力供給時間を算出する電力供給時間算出ステップと、
前記トリガイベントが発生し、主電源電力供給が停止した場合に、対象時間範囲のうち主電源電力供給が停止した時点で前記画像データ記録装置に画像データが出力されていない撮影時刻の時間幅を残り記録時間として算出する残り記録時間算出ステップと、
前記電力供給時間算出ステップにより算出された補助電源電力供給時間と、前記残り記録時間算出ステップにより算出された残り記録時間と、前記画像データ記録装置が記録可能な単位時間当たりのフレーム数とに応じて、主電源電力供給が停止した後の撮影時刻ごとのデータ出力量を指定するデータ出力管理ステップとを実行させ、
前記画像データ出力ステップにおいて、
前記コンピュータに、主電源電力供給の停止時に未出力の未出力画像データを、前記データ出力管理ステップにより指定されたデータ出力量にて、撮影時刻ごとに前記画像データ記録装置に出力させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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