説明

データ処理装置及び論理ドライブのマウント方法

【課題】アプリケーションの起動完了までに要する時間を短縮できる「データ処理装置及び論理ドライブのマウント方法」を提供する。
【解決手段】前回のデータ処理装置の起動時に、自動起動した各アプリケーションの初期設定処理中にアクセスされた回数に従って、各論理ドライブの優先順位を定める。今回のデータ処理装置の起動時には、各アプリケーションを自動起動した後、定めた優先順位に従った順序で各論理ドライブをマウントする(a)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、アプリケーションを実行するデータ処理装置に、当該アプリケーションが使用するデータを格納したドライブをマウントする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アプリケーションが使用するデータを格納したドライブをマウントする技術としては、ドライブに記憶されているファイルシステムなどの当該ドライブのマウントに必要となる起動情報を、フラッシュメモリなどの不揮発性半導体記憶装置に格納しておき、ドライブのマウント時には、不揮発性半導体記憶装置に格納されている起動情報を用いて、当該ドライブのマウントを行う技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2006-39809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
アプリケーションが使用するデータを格納した大容量のドライブが複数存在する場合には、前記特許文献1の技術を適用したとしても、これら複数のドライブ全てのマウントを完了するまでに長時間を要することがある。そして、起動時にドライブに格納されているデータを使用するアプリケーションは、当該データを当該ドライブのマウント完了後にしか読み出すことができないために、ドライブ全てのマウントの完了までに長時間を要する場合には、このようなアプリケーションの起動にも長時間を要してしまうことになる。
【0004】
そこで、本発明は、アプリケーションの起動完了までに要する時間を短縮できるように、アプリケーションが使用するデータを格納したドライブをマウントすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題達成のために、本発明は、複数の論理ドライブをマウントし、前記論理ドライブに格納されたデータを使用するアプリケーションを実行するデータ処理装置に、各論理ドライブの優先順位を、当該データ処理装置の起動時に自動起動されるアプリケーションによって、当該アプリケーションの初期設定処理中にアクセスされる論理ドライブの優先順位が、より高い優先順位となるように設定する優先順位設定部と、当該データ処理装置の起動時に、各論理ドライブを、設定されている優先順位に従った順序にマウントするマウント処理部とを備えたものである。
【0006】
このようなデータ処理装置によれば、データ処理装置の起動時に自動起動されるアプリケーションによって、当該アプリケーションの初期設定処理中にアクセスされる論理ドライブが、より早くマウントされるので、当該アプリケーションの初期設定処理をより早期に完了し、当該アプリケーションの起動を速やかに完了することができる。
【0007】
ここで、このようなデータ処理装置において、前記優先順位設定部は、各論理ドライブの優先順位を、前記自動起動されるアプリケーションによって、当該アプリケーションの初期設定処理中にアクセスされる回数がより多い論理ドライブの優先順位が、より高い優先順位となるように設定するものであってもよい。
【0008】
このようにすることにより、データ処理装置の起動時に自動起動されるアプリケーション全ての起動が完了するまでに要する時刻を、効果的に短縮できることが期待できる。
または、このようなデータ処理装置において、前記優先順位設定部は、各論理ドライブの優先順位を、前記自動起動されるアプリケーションの初期設定処理に要する時間に応じて、初期設定処理により長い時間を要するアプリケーションによって、当該アプリケーションの初期設定処理中にアクセスされる論理ドライブの優先順位が、より高い優先順位となるように設定するものとしてもよい。
【0009】
このようにすることにより、データ処理装置の起動時に自動起動されるアプリケーション全ての起動が完了するまでに要する時刻を確実に短縮することができるようになる。
また、このようなデータ処理装置は、前記優先順位設定部において、各論理ドライブの優先順位を、前記自動起動されるアプリケーションのうちの、ユーザによって最後に利用されていたアプリケーションによって、当該アプリケーションの初期設定処理中にアクセスされる論理ドライブが、他の論理ドライブよりも高い優先順位となるように設定するものとして構成してもよい。
【0010】
このようにすることにより、前記自動起動されるアプリケーションのうちの、ユーザによって最後に利用されていたアプリケーションの起動を速やかに完了して、データ処理装置起動後、ユーザが即座に当該アプリケーションを利用できるようにできる。
【0011】
ここで、以上のデータ処理装置において、前記複数の論理ドライブは、各々HDDのパーティションであってよい。また、当該データ処理装置は、自動車に搭載される、前記自動起動されるアプリケーションとして、当該データ処理装置を、カーナビゲーション装置として機能させるアプリケーションを含むデータ処理装置であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、アプリケーションの起動完了までに要する時間を短縮できるように、アプリケーションが使用するデータを格納したドライブをマウントすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明する。
まず、第1の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係るデータ処理装置の構成を示す。
図示するように、データ処理装置は、自動車に搭載される車載システムであり、コンピュータとしての基本構成を備えている。すなわち、データ処理装置は、CPU1、CPU1に高速バス2で接続したメモリコントローラ3と入出力コントローラ4とグラフィックス処理部5とを有している。また、データ処理装置は、メモリコントローラ3によってリード/ライトや高速バス2との間の入出力が制御されるSDRAM6と、グラフィックス処理部5による表示出力が行われる表示装置7とを備えている。また、データ処理装置は、入出力コントローラ4に低速バス20で接続したHDD8とフラッシュメモリ9と入力装置10と記録ディスク再生装置11と通信装置12とナビゲーション用周辺機器13とオーディオ処理部14を備えている。
【0014】
ここで、入出力コントローラ4は、低速バス20と高速バス2との間の入出力を中継し、HDD8、フラッシュメモリ9、入力装置10、記録ディスク再生装置11、通信装置12、ナビゲーション用周辺機器13、とオーディオ処理部14は、低速バス20、入出力コントローラ4、高速バス2を介してCPU1との間の入出力を行う。
【0015】
また、記録ディスク再生装置11は、たとえば、CDやDVDなどの記録ディスクを再生するCDドライブやDVDドライブなどの再生装置である。また、通信装置12は、たとえば、移動電話網を介して通信を行う移動電話などの無線通信装置である。そして、ナビゲーション用周辺機器13は、衛星測位を行うGPS受信機や、車速センサや方位センサなどの自車の各種状態を検出するセンサである。また、オーディオ処理部14は、スピーカ15へのオーディオデータの出力を行う装置である。
【0016】
このような構成において、不揮発性の半導体記憶装置であるフラッシュメモリ9には、図2aに示すように、オペレーティングシステム、ナビゲーションアプリケーション、オーディオアプリケーション、テレマテクスアプリケーションのプログラムと、マウントプライオリティテーブル、自動起動アプリケーション定義が格納されている。また、オペレーティングシステムは、初期起動処理、マウントプライオリティ算出処理、HDDマウント処理を、ライブラリ等として含むものである。
【0017】
次に、HDD8は、図2bに示すように、#1-#5の5つのパーティションに分割されており、各パーティションが論理ドライブとして、データ処理装置にマウントされる。ただし、データ処理装置は複数のHDD8を備えるものであってもよく、以上の#1-#5の5つのパーティションは、異なるHDD8上に配置されるものであってもよい。また、複数備えた場合におけるHDD8の一部は、脱着可能にデータ処理装置に接続されるポータブル式のHDD8であってもよい。
【0018】
さて、#1のパーティションには、ナビゲーションアプリケーションによって使用される地図データと、オーディオアプリケーションによって使用されるCDDBが格納されており、#2のパーティションには、オーディオアプリケーションによって使用されるオーディオファイルと、テレマテクスアプリケーションによって使用される電話帳データが格納されており、#3のパーティションには、バックアップデータなどの以上のアプリケーションによっては直接使用されない保守用データが格納されており、#4のパーティションには、以上の各アプリケーションによってGUIの構築に共用される画像などの共用リソースデータが格納されており、#5のパーティションにはナビゲーションアプリケーションによって使用されるナビゲーション用状態データが格納されている。
【0019】
ここで、ナビゲーションアプリケーションは、表示装置7や入力装置10をユーザとの間の入出力に用いるGUIを、HDD8に記憶されている共用リソースを素材として使用して構築してユーザに提供したり、ナビゲーション用周辺機器13や、HDD8に記憶されている地図データを用いて、自車位置を算出したり、前記GUI上でユーザから指定された目的地までの自車位置から経路を算出したり、算出した自車位置や経路を、表示装置7に表示した地図上で案内する処理を行うアプリケーションである。
【0020】
そして、HDD8に記憶されているナビゲーション用状態データは、ナビゲーションアプリケーションによって格納されるデータであり、ナビゲーションアプリケーションが算出した現在位置や、ナビゲーションアプリケーションによる現在の案内状態などを表すものである。
次に、オーディオアプリケーションは、表示装置7や入力装置10をユーザとの間の入出力に用いるGUIを、HDD8に記憶されている共用リソースを素材として使用して構築してユーザに提供すると共に、当該GUI上でのユーザ操作に応じて、HDD8に記憶されているオーディオファイルや記録ディスク再生装置11に装着された記録ディスクに記憶されているオーディオトラックを読み出して、読み出したオーディオファイルやオーディオトラックのオーディオデータをオーディオ処理部14を介してスピーカ15から再生出力する再生処理や、記録ディスク再生装置11を用いて記録ディスクから楽曲のオーディオデータを読み出して、HDD8に記憶されているCDDBから探索した楽曲のタイトルやアーティストなどの属性情報と共にHDD8に記録するリッピング処理を行うアプリケーションである。
【0021】
また、テレマテクスアプリケーションは、表示装置7や入力装置10をユーザとの間の入出力に用いるGUIを、HDD8に記憶されている共用リソースを素材として使用して構築してユーザに提供すると共に、当該GUI上でのユーザ操作に応じて、HDD8に記憶されている電話帳データに登録されている電話番号に通信装置12を介して発呼して当該電話番号の相手との通信を確立し、当該相手と各種データや音声を送受するアプリケーションである。
【0022】
次に、フラッシュメモリ9に格納されるマウントプライオリティテーブルには、図3aに示すように、HDD8の各パーティションに対応する論理ドライブの各々の優先順位が登録される。この登録の処理については後述する。
以下、このようなデータ処理装置の起動動作について説明する。
データ処理装置に電源が投入されると、CPU1は、予め定めたイニシャルプログラムを実行し、フラッシュメモリ9の内容をSDRAM6にロードし、オペレーティングシステムのプログラムの実行を開始することにより、オペレーティングシステムを起動する。なお、このイニシャルプログラムは、フラッシュメモリ9に格納するものとしてもよいし、別途設けたROM等に格納しておくようにしてもよい。
【0023】
次に、起動されたオペレーティングシステムは、所定の初期設定処理が完了すると、図4aに示す初期起動処理を行う。
図示するように、この初期起動処理では、マウントプライオリティ算出処理を起動し(ステップ402)、次に、HDDマウント処理を起動する(ステップ404)。そして、自動起動アプリケーション定義に従って、各アプリケーションを起動し(ステップ406)、処理を終了する。
【0024】
ここで、自動起動アプリケーション定義には、データ処理装置の起動時に自動起動すべきアプリケーションが登録されており、本実施形態では、この自動起動アプリケーション定義に、ナビゲーションアプリケーションとオーディオアプリケーションとテレマテクスアプリケーションが固定的に登録されている。
【0025】
次に、このような初期起動処理のステップ404で起動するHDDマウント処理について説明する。
図4bに、このHDDマウント処理の手順を示す。
図示するように、このHDDマウント処理では、HDD8の各パーティションを(ステップ452、458)、マウントプライオリティテーブルに登録されている優先順位の順に(ステップ460)、順次、逐次的(ステップ456)に、論理ドライブとしてマウントする処理を行う(ステップ454)。
【0026】
なお、このHDDマウント処理では、2番目以降の優先順位のパーティションについては、優先順位が直前のパーティションのマウント完了後に、そのマウント処理が行われる。そして、このHDDマウント処理によって、データ処理装置の起動時に、マウントプライオリティテーブルに登録されている優先順位に従った時間的順序で、HDD8の各パーティションが論理ドライブとしてマウントされることになる。
【0027】
次に、初期起動処理のステップ402で起動するマウントプライオリティ算出処理について説明する。
このマウントプライオリティ算出処理は、HDD8の各パーティションに対応する論理ドライブの各々のマウントの優先順位を決定し、前述したマウントプライオリティテーブルに登録する処理である。
図5に、このマウントプライオリティ算出処理の手順を示す。
図示するように、この処理では、初期起動処理のステップ406で起動したアプリケーション(自動起動アプリケーション定義に登録されているアプリケーション)の全ての初期設定処理が完了するまで(ステップ502)、各アプリケーションの各論理ボリュームへのアクセスの発生を監視し(ステップ504)、アクセスが発生したならば、アクセス元のアプリケーションが初期設定処理を終了していないアプリケーションであるかどうかを調べ(ステップ506)、初期設定処理が終了しているアプリケーションであれば、そのままステップ502に戻り、初期設定処理が終了してないアプリケーションであれば、当該アクセスの発生をアクセス管理テーブルに登録し(ステップ508)、ステップ502に戻る。
【0028】
ここで、アクセス管理テーブルは、図3bに示すように、各論理ドライブに対する各アプリケーションのアクセス回数を登録するテーブルであり、ステップ508では、アクセス管理テーブルのアクセスが発生した論理ドライブのエントリの、アクセス元のアプリケーションのアクセス回数を1インクリメントする。
【0029】
そして、初期起動処理のステップ406で起動したアプリケーションの全ての初期設定が完了したならば(ステップ502)、各論理ボリュームのアクセス回数の総数を求め、総数が多いほど優先順位が高くなるように、各論理ボリュームの優先順位を定め、定めた各論理ボリュームの優先順位をSDRAM6上のマウントプライオリティテーブルに登録すると共に、当該SDRAM6上のマウントプライオリティテーブルをフラッシュメモリ9に書き戻す(ステップ510)。そして、マウントプライオリティ算出処理を終了する。
【0030】
ここで、各アプリケーションの初期設定処理とは、各アプリケーション自身が起動時に行う初期設定の処理であり、この初期設定処理では、アプリケーションの初期状態の設定や、アプリケーションがGUIとして用いるウインドウの初期画面の表示などを行う。
そして、以上のマウントプライオリティ算出処理では、各アプリケーションの初期設定処理の終了を、たとえば次のようにして識別する。すなわち、各アプリケーションを、初期設定処理を完了したならば、その旨をマウントプライオリティ算出処理に通知するように構成し、当該通知に基づいて、マウントプライオリティ算出処理において各アプリケーションの初期設定処理の終了を識別する。但し、マウントプライオリティ算出処理において、アプリケーションがGUIとして用いるウインドウの初期画面の表示の完了や、当該アプリケーションがユーザ操作受付可能状態となるのを監視し、アプリケーションが初期画面の表示を完了したりユーザ操作受付可能状態となったときに、当該アプリケーションの初期設定処理が終了したと識別するようにしてもよい。
【0031】
以下、このような各処理によって行われるデータ処理装置の起動動作例を示す。
いま、前回のデータ処理起動時に、マウントプライオリティ算出処理によって、図3bアクセス管理テーブルに示すように、当該起動時におけるナビゲーションアプリケーションの初期設定処理中の#1、#4、#5の論理ボリュームへのアクセスと、当該起動時におけるオーディオアプリケーションとテレマテクスアプリケーションの初期設定処理中の#2、#4の論理ボリュームへのアクセスが検出されたものとする。そして、前回のデータ処理起動時に、マウントプライオリティ算出処理によって、当該アクセス管理テーブルの各論理ボリュームのアクセス総数に従って、#1、#4、#5、#2、#3の順に論理ボリューム(パーティション)の優先順位が定められ、図3aに示すように、マウントプライオリティテーブルに登録されたものとする。
【0032】
この場合、今回データ処理装置が起動されると、HDDマウント処理によって、図3aに示すマウントプライオリティテーブルに登録された優先順位に従って、図6aに示すように、#1、#4、#5、#2、#3の順に、論理ボリューム(パーティション)が順次マウントされる。
【0033】
そして、この時点において既に初期起動処理によって起動されている各アプリケーションのうち、初期設定中に#1、#4、#5の論理ボリュームにアクセスするナビゲーションアプリケーションは、遅くとも、#1、#4、#5の3つの論理ボリュームのマウントが完了した時点でその初期設定処理を開始することになり、初期設定中に#2、#4の論理ボリュームにアクセスするオーディオアプリケーションとテレマテクスアプリケーションは、遅くとも、#1、#4、#5、#2の4つの論理ボリュームのマウントが完了した時点でその初期設定処理を開始することになる。
【0034】
ここで、比較例として、従来技術によって、論理ボリューム(パーティション)を、その番号に従って#1、#2、#3、#4、#5の順にマウントした場合の起動動作を図6bに示す。
図示するように、この場合には、期設定中に#1、#4、#5の論理ボリュームにアクセスするナビゲーションアプリケーションは、#1、#2、#3、#4、#5の5つの論理ボリュームのマウントが完了するまで、その初期設定処理を開始することができない場合があり、初期設定中に#2、#4の論理ボリュームにアクセスするオーディオアプリケーションとテレマテクスアプリケーションは、#1、#2、#3、#4の4つの論理ボリュームのマウントが完了するまで、その初期設定処理を開始できない場合がある。そして、この結果、図中にtで示す時間、本実施形態よりも、全てのアプリケーションの初期設定処理が終了して、その起動が完了するまでの時間が長期化する。
【0035】
よって、図6a、bとの比較より理解されるように、本実施形態によれば、従来に比べ、アプリケーションの起動完了までに要する時間を短縮できる蓋然性が高まることになる。
以上、本発明の実施形態について説明した。
ところで、図5のマウントプライオリティ算出処理は、次のように行うようにしてもよい。
すなわち、マウントプライオリティ算出処理において、図3cに示すような初期設定処理時間長管理テーブルを用いて、各アプリケーションが初期設定処理の終了までに要した時間長を計測するようにする。そして、全てのアプリケーションの初期設定処理が完了したならば(ステップ502)、ステップ510に代えて、図5のステップ522に進み、アクセス管理テーブルから、各アプリケーションが初期設定中にアクセスした論理ボリュームを求め、初期設定処理の終了までに要した時間長がより長いアプリケーションが初期設定中にアクセスした論理ボリュームの優先順位がより前となるように、各論理ボリュームの優先順位を定め、定めた各論理ボリュームの優先順位をSDRAM6上のマウントプライオリティテーブルに登録すると共に、当該SDRAM6上のマウントプライオリティテーブルをフラッシュメモリ9に書き戻す。そして、マウントプライオリティ算出処理を終了する。
【0036】
ここで、ステップ522では、たとえば、各論理ボリュームの評価値を、当該論理ボリュームに初期設定中にアクセスしたアプリケーションの初期設定処理の終了までに要した時間長の和とし、評価値が大きいほど優先順位が前になるように各論理ボリュームの優先順位を定めることにより、初期設定処理の終了までに要した時間長がより長いアプリケーションが初期設定中にアクセスした論理ボリュームの優先順位がより前となるように、各論理ボリュームの優先順位を定めるようにする。
【0037】
また、各アプリケーションの初期設定処理の終了までに要した時間長は、当該アプリケーションが起動されてから初期設定処理の終了までに要した時間として求めてもよいが、当該アプリケーションが初期設定処理でアクセスする論理ボリュームの全てのマウントが完了してから、当該アプリケーションの初期設定処理の終了までに要した時間として求めることが、より好ましい。
【0038】
以上のようにマウントプライオリティ算出処理を行うことにより、初期設定処理により時間を要するアプリケーションが初期設定処理中にアクセスする論理ボリュームが、より先行してマウントされ、初期設定処理により時間を要するアプリケーションが、その初期設定処理をより先行して開始できるようになる。そして、この結果、全てのアプリケーションの初期設定処理が終了して、その起動が完了するまでの時間を短縮することができる。
【0039】
また、図5のマウントプライオリティ算出処理は、次のように行うようにしてもよい。
すなわち、全てのアプリケーションの初期設定処理が完了したならば(ステップ502)、ステップ510に代えて、図5のステップ532に進み、より後にアクティブアプリケーションであったアプリケーションが初期設定中にアクセスした論理ボリュームの優先順位がより前となるように、各論理ボリュームの優先順位を定め、定めた各論理ボリュームの優先順位をSDRAM6上のマウントプライオリティテーブルに登録すると共に、当該SDRAM6上のマウントプライオリティテーブルをフラッシュメモリ9に書き戻す。
【0040】
そして、以降は、アクティブアプリケーションの切り替えが発生する度に(ステップ534)、ステップ532の処理を行う。
なお、ステップ532は、たとえば、次のようにして、より後にアクティブアプリケーションとされたアプリケーションが初期設定中にアクセスした論理ボリュームの優先順位がより前となるように、各論理ボリュームの優先順位を定める。すなわち、まず、アクティブアプリケーションであるアプリケーションによって初期設定処理中にアクセスされる論理ボリュームの評価値に2を加える。そして、前回アクティブアプリケーションであったアプリケーションによって初期設定処理中にアクセスされる論理ボリュームに評価値に1を加える。そして、評価値が大きいほど優先順位が前になるように各論理ボリュームの優先順位を定める。
【0041】
なお、アクティブなアプリケーションとは、ユーザによって、その時点で利用されているアプリケーションであり、たとえば、オペレーティングシステムによって、その時点においてユーザ操作を受け付ける(GUIが有効化されている)アプリケーションとして管理されているアプリケーションである。
【0042】
以上のようにマウントプライオリティ算出処理を行うことにより、ユーザが前回利用していたアプリケーションの初期設定処理が終了して、その起動が完了するまでの時間を短縮化することができる。そして、この結果、データ処理装置の起動後に、ユーザは、前回利用していたアプリケーションを直ちに利用することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係るデータ処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るデータ処理装置が備えるフラッシュメモリとHDDの記憶内容を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るデータ処理装置が用いるテーブルを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る初期起動処理とHDDマウント処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係るマウントプライオリティ算出処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係るデータ処理装置の起動時の動作例を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1…CPU、2…高速バス、3…メモリコントローラ、4…入出力コントローラ、5…グラフィックス処理部、6…SDRAM、7…表示装置、8…HDD、9…フラッシュメモリ、10…入力装置、11…記録ディスク再生装置、12…通信装置、13…ナビゲーション用周辺機器、14…オーディオ処理部、15…スピーカ、20…低速バス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の論理ドライブをマウントし、前記論理ドライブに格納されたデータを使用するアプリケーションを実行するデータ処理装置であって、
各論理ドライブの優先順位を、当該データ処理装置の起動時に自動起動されるアプリケーションによって、当該アプリケーションの初期設定処理中にアクセスされる論理ドライブの優先順位が、より高い優先順位となるように設定する優先順位設定部と、
当該データ処理装置の起動時に、各論理ドライブを、設定されている優先順位に従った順序にマウントするマウント処理部とを有することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
請求項1記載のデータ処理装置であって、
前記優先順位設定部は、各論理ドライブの優先順位を、前記自動起動されるアプリケーションによって、当該アプリケーションの初期設定処理中にアクセスされる回数がより多い論理ドライブの優先順位が、より高い優先順位となるように設定することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項3】
請求項1記載のデータ処理装置であって、
前記優先順位設定部は、各論理ドライブの優先順位を、前記自動起動されるアプリケーションの初期設定処理に要する時間に応じて、初期設定処理により長い時間を要するアプリケーションによって、当該アプリケーションの初期設定処理中にアクセスされる論理ドライブの優先順位が、より高い優先順位となるように設定することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項4】
請求項1記載のデータ処理装置であって、
前記優先順位設定部は、各論理ドライブの優先順位を、前記自動起動されるアプリケーションのうちの、ユーザによって最後に利用されていたアプリケーションによって、当該アプリケーションの初期設定処理中にアクセスされる論理ドライブの優先順位が、他の論理ドライブよりも高い優先順位となるように設定することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項5】
請求項1記載のデータ処理装置であって、
前記複数の論理ドライブは、各々HDDのパーティションであることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項6】
請求項2記載のデータ処理装置であって、
前記複数の論理ドライブは、各々HDDのパーティションであることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項7】
請求項3記載のデータ処理装置であって、
前記複数の論理ドライブは、各々HDDのパーティションであることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項8】
請求項4記載のデータ処理装置であって、
前記複数の論理ドライブは、各々HDDのパーティションであることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項9】
請求項1記載のデータ処理装置であって、
当該データ処理装置は、自動車に搭載され、
前記自動起動されるアプリケーションは、当該データ処理装置を、カーナビゲーション装置として機能させるアプリケーションを含むことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項10】
請求項2記載のデータ処理装置であって、
当該データ処理装置は、自動車に搭載され、
前記自動起動されるアプリケーションは、当該データ処理装置を、カーナビゲーション装置として機能させるアプリケーションを含むことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項11】
請求項3記載のデータ処理装置であって、
当該データ処理装置は、自動車に搭載され、
前記自動起動されるアプリケーションは、当該データ処理装置を、カーナビゲーション装置として機能させるアプリケーションを含むことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項12】
請求項4記載のデータ処理装置であって、
当該データ処理装置は、自動車に搭載され、
前記自動起動されるアプリケーションは、当該データ処理装置を、カーナビゲーション装置として機能させるアプリケーションを含むことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項13】
複数の論理ドライブをマウントし、前記論理ドライブに格納されたデータを使用するアプリケーションを実行するデータ処理装置において、前記論理ドライブをマウントするマウント方法であって、
各論理ドライブの優先順位を、当該データ処理装置の起動時に自動起動されるアプリケーションによって、当該アプリケーションの初期設定処理中にアクセスされる論理ドライブの優先順位が、より高い優先順位となるように設定する第1のステップと、
当該データ処理装置の起動時に、各論理ドライブを、設定されている優先順位に従った順序にマウントする第2のステップとを有することを特徴とする論理ドライブのマウント方法。
【請求項14】
請求項13記載の論理ドライブのマウント方法であって、
前記第1のステップにおいて、各論理ドライブの優先順位を、前記自動起動されるアプリケーションによって、当該アプリケーションの初期設定処理中にアクセスされる回数がより多い論理ドライブの優先順位が、より高い優先順位となるように設定することを特徴とする論理ドライブのマウント方法。
【請求項15】
請求項13記載の論理ドライブのマウント方法であって、
前記第1のステップにおいて、各論理ドライブの優先順位を、前記自動起動されるアプリケーションの初期設定処理に要する時間に応じて、初期設定処理により長い時間を要するアプリケーションによって、当該アプリケーションの初期設定処理中にアクセスされる論理ドライブの優先順位が、より高い優先順位となるように設定することを特徴とする論理ドライブのマウント方法。
【請求項16】
請求項13記載の論理ドライブのマウント方法であって、
前記第1のステップにおいて、各論理ドライブの優先順位を、前記自動起動されるアプリケーションのうちの、ユーザによって最後に利用されていたアプリケーションによって、当該アプリケーションの初期設定処理中にアクセスされる論理ドライブの優先順位が、他の論理ドライブよりも高い優先順位となるように設定することを特徴とする論理ドライブのマウント方法。
【請求項17】
複数の論理ドライブをマウントし、前記論理ドライブに格納されたデータを使用するアプリケーションを実行するコンピュータによって実行されるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
各論理ドライブの優先順位を、当該コンピュータの起動時に自動起動されるアプリケーションによって、当該アプリケーションの初期設定処理中にアクセスされる論理ドライブの優先順位が、より高い優先順位となるように設定する優先順位設定部と、
当該コンピュータの起動時に、各論理ドライブを、設定されている優先順位に従った順序にマウントするマウント処理部とを有するコンピュータとして機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項18】
請求項17記載のコンピュータプログラムであって、
前記優先順位設定部は、各論理ドライブの優先順位を、前記自動起動されるアプリケーションによって、当該アプリケーションの初期設定処理中にアクセスされる回数がより多い論理ドライブの優先順位が、より高い優先順位となるように設定することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項19】
請求項17記載のコンピュータプログラムであって、
前記優先順位設定部は、各論理ドライブの優先順位を、前記自動起動されるアプリケーションの初期設定処理に要する時間に応じて、初期設定処理により長い時間を要するアプリケーションによって、当該アプリケーションの初期設定処理中にアクセスされる論理ドライブの優先順位が、より高い優先順位となるように設定することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項20】
請求項17記載のコンピュータプログラムであって、
前記優先順位設定部は、各論理ドライブの優先順位を、前記自動起動されるアプリケーションのうちの、ユーザによって最後に利用されていたアプリケーションによって、当該アプリケーションの初期設定処理中にアクセスされる論理ドライブの優先順位が、他の論理ドライブよりも高い優先順位となるように設定することを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−176200(P2009−176200A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16140(P2008−16140)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】