説明

データ復号処理装置及びその制御方法

【課題】データ記録領域と未記録領域とが混在する符号化データを復号する際に、再生PLLの周波数の遅れの影響を受けずに正しくデータを復号・再生すること。
【解決手段】本発明にかかるデータ復号処理装置は、復調処理後のデータが格納される第1のメモリと、前記第1のメモリに格納された第1のデータに未記録領域が含まれる場合に、当該第1のデータの次に前記復調処理がなされた第2のデータが当該第1のメモリに格納される前に、当該第1のデータに対する所定の処理の中断及び当該所定の処理済みデータの廃棄を行わせる制御回路と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ復号処理装置及びその制御方法に関し、特に、データ記録領域とデータ未記録領域が混在する光ディスク等におけるデータ復号処理装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Blu−ray Disc(登録商標)の記録型BD(書換え型BD−REと1回記録の追記型BD−R)では、データ記録領域とデータ未記録領域が混在してもよいとするファイナライズレスが規格で採用されている。そのため、Disc内にデータ記録領域とデータ未記録領域が混在する場合がある。データ記録領域とデータ未記録領域が混在しているDiscから必要なデータを入手するためには、データ記録領域のみを再生すればよい。しかし、データ記録領域のみを再生する場合、データ未記録領域を飛ばすためのシステムファームウェア制御(シーク制御等)が必要となり再生速度が低下してしまう。そのため、一般的な光ディスク装置においては、再生速度を低下させず、システムファームウェア制御に負担を加えないためにも、データ未記録領域も含めて再生処理を行っている。また、Disc上のデータ信号からクロック(以降、再生クロックと称する。)を生成する再生PLLは、データの未記録領域判定によりデータ未記録領域判定前の周波数を保持や、一定の周波数に固定する等の制御を行っている。しかし、データ未記録領域判定は、再生データに基づいての判定であるため、必ず再生している領域より遅れる。それ故、再生PLLは、データ未記録領域においてノイズ等の影響を受け易くなり、周波数が変動する可能性がある。また、再生PLLの周波数が変動した場合、データ未記録領域後のデータ記録領域にて、データ区切りの処理がズレてしまい、再生ができなくなる。そこで、光ディスク装置としては、データ未記録領再生において、再生クロックが変動することがあってもシステムとして破綻しない構成が必要となっている。
【0003】
特許文献1は、バッファメモリへのアクセス回数を減らし、かつデータの復号処理時間を短くすることが出来るDVD−ROMの再生を目的とした技術である。
図9は、特許文献1の一実施例である。
【0004】
(構成)
DVD−ROMデータの再生装置30を示す。この再生装置30は、DVD−ROM再生ユニット32と、バッファメモリ34とから構成されている。
DVD−ROM再生ユニット32は、復調部36、PIシンドローム生成部38、誤り訂正部40、数ライン分のバッファメモリ42、POシンドローム生成部44、デスクランブル/EDC計算部46、PIシンドローム格納メモリ48、POシンドローム格納メモリ50、EDC計算結果格納メモリ52、誤り訂正部54、CPU56を備えている。
【0005】
(動作)
以上のような構成の再生装置30の各部の機能および動作を、図10のタイミングチャートを参照しながら説明する。
ディスク14より読み出されたディスクデータは、復調部36で復調され、1インタリーブ毎にPIシンドローム生成部38および数ライン分のバッファメモリ42に送られる。バッファメモリ42には、数ライン分の復調されたデータが格納される。
PIシンドローム生成部38では、PI系列のシンドロームを計算する。後述するように、POシンドローム生成部44でも、PO系列のシンドロームが計算されるが、ここでシンドロームの計算について説明しておく。
【0006】
シンドロームは、次式で定義されるシンドローム多項式S(X)の係数Sj である。
【数1】

【0007】
すなわち、受信多項式Y(X)に対するシンドロームは、受信多項式に生成多項式の根αj を代入して求める。PI系列では、j=0、1、2、…、9、t=5(ECCコード数/2)であり、PO系列では、j=0、1、2、…、15、t=8(ECCコード数/2)である。シンドロームSj を生成し、all"0"の場合には、誤りがない、それ以外は誤りがあると判定できる。この判定は、CPU56により行われる。
【0008】
PIシンドローム生成回路38を、図11に示す。図で、SYNF[n]とあるのは、SYNF[n]とのガロワ体乗算を行うことを意味している。なお、シンドロームの生成の方法は、当業者には周知である。
【0009】
誤り訂正部40では、PIシンドローム生成部38で生成されたPIシンドロームからPI系列の誤りの位置と大きさを導出して、これに基づいてバッファメモリ42のデータの誤りを1インタリーブ毎に訂正する。誤りが訂正できた場合には、シンドロームは"0"になり、シンドローム"0"がPIシンドローム格納メモリ48に転送される。もし、誤りが多く訂正できなかった場合には、PIシンドロームがそのままPIシンドローム格納メモリ48に転送される。
【0010】
図12は、PIシンドローム格納メモリ48の構成を示す。図12には、jインタリーブ目のPIシンドロームS0、S1、…、S9が格納された状態を示している。
バッファメモリ42より読み出されたデータは、デスクランブル/EDC計算部46およびPOシンドローム生成部44に送られる。
デスクランブル/EDC計算部46では、バッファメモリ42からのデータをデスクランブルし、デスクランブル後の1ブロックのデータをバッファメモリ34に展開する(図9に[1]で示す)。デスクランブル/EDC計算部46ではさらに、デスクランブルされたデータに対してEDC計算を行う。EDCの生成多項式をG(x)とすると、符号系列を生成多項式G(x)で除算した余りがEDCの計算結果である。
【0011】
図13は、EDC計算を行うEDC回路を示す。このEDC回路は、DVDのEDC生成多項式"G(x)=X32+X31+X4+1"に対する例であり、1ビットシフト回路とEXORの加算の組み合わせよりなる。EXORの入る位置は、生成多項式によって決まる。DVDでは、先頭データからMSBファーストでEDC回路にシリアルにデータが入力される。1セクタ分のデータを入力した時点で、B0〜B31の値(32ビット=4バイト)がEDC計算結果である。1ブロック(=16セクタ)についてEDC計算が終了すると、1ブロック分のEDC計算結果が、デスクランブル/EDC計算回路46より出力され、EDC計算結果格納メモリ52に格納される。
【0012】
図14は、EDC計算結果格納メモリ52の構成を示す。1ブロックのj'セクタ目のEDC計算結果が格納されている状態を示している。
CPU56は、EDC計算結果格納メモリ52から計算結果を読み出し、全セクタのB0〜B31がall"0"ならばデータは正しいと判断する。これにより、1ブロックの誤り訂正は完了する。
一方、POシンドローム生成部44では、バッファメモリ42からのデータからPOシンドロームを生成し、生成した1ブロック分のPOシンドロームをPOシンドローム格納メモリ50に格納する。図15は、POシンドローム格納メモリ50の構成を示す。図15には、j"インタリーブ目のPOシンドロームS0、S1、…、S15が格納された状態を示している。
【0013】
図10のタイミングチャートに示すように、上述したPIシンドローム生成およびPOシンドローム生成と、デスクランブル/EDC計算とを一度に行うため、従来の方法に比べ、バッファメモリ34へのアクセス回数を少なくすることができる。
誤り訂正部54では、POシンドローム格納メモリ50から1ブロック分のPOシンドロームを読み出し(図9に、[2]で示す)、PO系列の誤りの位置と大きさを導出して、これに基づいてバッファメモリ34のデータの誤りを訂正する(図9に、[3]で示す)。
この誤り訂正の結果、バッファメモリ34のデータは、誤り訂正部40によるPI系列の誤り訂正後のデータとは異なっている。したがって、PIシンドローム格納メモリ48に格納されているPIシンドローム、およびEDC計算結果格納メモリ52に格納されているEDC計算結果を補正する必要がある。
【0014】
PIシンドローム補正(図9に、[4]で示す)は、次のようにして行われる。図17に示すように、j番目の符号系列において、符号系列内のバイト毎に区切った位置iに誤りEijがあったということが、誤り訂正部54においてわかったとする。この場合、i系列目のシンドロームに対し、誤り訂正部54が有するPIシンドローム補正回路でPIシンドローム補正値を計算し、これをj番目の符号系列のシンドロームに対する補正値として、PIシンドローム格納メモリ48に格納されているPIシンドロームにEXORで加算する。これによりPIシンドローム補正が完了する。
【0015】
一方、EDC補正(図9に、[5]で示す)は、次のようにして行われる。符号系列内のビット毎に区切った位置iに誤り"1"があったということが、誤り訂正部54においてわかったとする。この場合、誤り訂正部54が有するEDC回路により、図16に示す誤りデータ列に対するEDCの値を計算する。実際には、最初に"1"のデータが入力されるまではall"0"のデータがEDC回路を巡回しているだけで値の変化はない。したがって、"1"のデータが入力された後、i回EDC回路をシフト(0入力なので単なるシフトと同じである)させることによってEDC補正値を求めることができる。
【0016】
誤りが複数あれば、各々に対するEDC補正値をEXORで加算しておく。このようにして得られた補正値を、EDC計算結果格納メモリ52に格納されているEDC計算結果にEXORで加算する。EXORで加算した値が、最終的にPO誤り訂正後のEDC計算結果である。
【0017】
CPU56は、補正された1ブロックのEDC計算結果を読み出し、これがall"0"ならば誤り訂正が正しく完了し、バッファメモリ34のデータは正しいと判断する。all"0"でないならば、CPU56は、誤り訂正が完了してないとして、引き続きPI誤り訂正の実行を誤り訂正部54に指示する。誤り訂正部54は、PIシンドローム格納メモリ48から補正されたPIシンドロームを読み出し、バッファメモリ34のデータの誤りを訂正する。
【0018】
再度、EDC補正を行い、補正後のEDC計算結果がall"0"ならば、CPU56は、誤り訂正が正しく完了し、データは正しいと判断し、復号処理を終了させる。この後に、ホストコンピュータは、必要なデータをバッファメモリから引き取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2000−165259号公報
【特許文献2】特開2003−178535号公報
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Blu-ray Disc Association, "White Paper Blu-ray Disc(TM) Format BD-R ", [online], 5th Edition, October, 2010, [平成23年7月12日検索], インターネット<URL: http://www.blu-raydisc.com/Assets/Downloadablefile/BD-R_physical_specifications-18326.pdf>.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ここで、関連技術でBlu−rayを再生する場合のデータ処理、構成および動作について説明する。なお、関連技術の構成がBlu−rayのデータ復号処理に適用可能であることは、当事業者には明らかである。
【0022】
(データ処理)
デジタルビデオ信号を記録型BDに格納する場合、Blu−rayデータの符号化は、
(1)エラー検出符号(以降、EDC)を付加する、
(2)メインデータに対してスクランブルをかける、
(3)誤り訂正符号(以降、ECC)を付加する、
という手順により行われる。
したがって、再生する場合、符号化とは逆の手順、すなわち
(1)シンドロームを生成し、誤り訂正を行う、
(2)メインデータに対してデスクランブルを行う、
(3)EDCのチェックを行う、
という処理が行われる。なお、シンドローム生成とは、再生したデータを元に、エラー値とエラー位置を求めるために行う演算である。
【0023】
図5は、非特許文献1の32頁にかかるBlu−rayのECC Block(Error Correction Block)を示す。
図5のECC Blockは、スクランブルされたUserData 2×216行とECC (Error Correction Code)2×32行で構成するLDC Clusterと、バーストエラーを監視するためのBIS Cluster(BIS = Burst Indicator Subcode)とで構成される。
【0024】
光ディスクに記録する際は、図5を1−7PP変調という、変調前のデータに対して変調後のデータは3/2倍になる変調方式が施され、行方向に記録する。図5の縦方向をFrameと称する。
【0025】
なお、関連技術で説明しているDVD−ROMデータの誤り訂正符号はPIおよびPOの2系列を持つが、Blu−rayデータは、LDC Cluster、BIS Clusterが並行処理にて行われる1系列である。以下では、LDC Clusterについてのみ説明するが、BIS Clusterに対しても同様に適用する。
【0026】
Blu−rayデータの誤り訂正符号は1系列なのでBlu−rayを再生する場合、関連技術のPI系列の回路を使用せず、PO系列の回路を使用する。
【0027】
具体的には図9のPIシンドローム生成部38、誤り訂正部40、PIシンドローム格納メモリ48を使用せず、復調部36、数ライン分のバッファメモリ42、POシンドローム生成部44、デスクランブル/EDC計算部46、POシンドローム格納メモリ50、EDC計算結果格納メモリ52、誤り訂正部54、バッファメモリ34、CPU56を使用する。
【0028】
なお、Blu−rayデータの誤り訂正符号をPO系列とは呼ばないので、以降、関連技術でBlu−rayを再生する場合、図9のPOシンドローム生成部44を、シンドローム生成部44'、図9のPOシンドローム格納メモリ50を、シンドローム格納メモリ50'、図9のデータ復号処理装置30を、データ復号処理装置30'、図9のDVD−ROM再生ユニット32を、Blu−ray再生ユニット32'と読み替える。
【0029】
(動作)
以下に、関連技術のDVD−ROM動作との違いのみを説明する。
Blu−rayにおいては、j=0、1、2、…、31、t=16(ECCコード数/2)で、数1のシンドロームSj を生成し、all"0"の場合には、誤りがない、all"0"以外の場合には、誤りがあると判定できる。上記数式(1)のjは、図5のECC BlockのUserData216行に対し、ECCとして付加される32行が該当する。
【0030】
図6は、関連技術でBlu−rayを再生した場合のタイミングチャートである。なお、説明のために後述するCluster先頭位置信号を追加している。データ読み込み復調は、UserData432FrameとECC64Frameの計496Frameに対して行う。デスクランブル、EDC計算、バッファメモリへの書き込みは、UserData432Frameに対して行い、T1のタイミングで、1Cluster分のEDC計算結果が算出される。シンドローム生成は、UserData432FrameとECC64Frameの計496Frameに対して行い、T2のタイミングで1Cluster分のシンドローム生成が完了する。誤り訂正、EDC補正は前記シンドローム生成の結果に対してT2−T3区間のタイミングで行う。Blu−ray再生ユニット32'は、Cluster先頭位置信号間で1Cluster分の処理を実施する。再生クロック周波数が速い場合は、次のCluster先頭位置信号を検出するまでに処理が完了する。
【0031】
しかしながら、関連技術には、記録型BDにおいてデータ未記録領域を再生する際に、再生クロックを生成する再生PLLの周波数が遅くなった場合、データ未記録領域後のデータ記録領域にて、シンドローム生成のデータ区切りの処理がズレてしまい、再生ができなくなるという問題点がある。
【0032】
記録型BDの再生はデータ未記録領域を含んでおり、常にデータ信号よりアドレスを抽出することは出来ないため、Disc上のらせん上に連続した溝(グルーブ)に施されたウォブル(Wobble)信号からアドレスを抽出し、前記抽出したアドレスを利用することで、データ無信号の未記録領域であっても、記録再生動作の制御を行えるようになっている。
【0033】
ウォブル(Wobble)信号から生成させるクロック(以降、記録クロックと称す。)で動作する回路(図示せず)は、前記のウォブル信号から抽出したアドレスより記録単位であるRUB(Recording Unit Block)のCluster先頭位置信号を生成し、再生クロックで動作する復調部36は前記Cluster先頭位置信号を受け、データ区切りを検出し再生を行っている。
【0034】
前記のように記録型BDの再生は、記録クロックで動作する回路が生成するCluster先頭位置信号と、再生クロックで動作する復調部36の連動で再生する。
【0035】
だが、データ記録領域とデータ未記録領域が混在する記録型BDの再生処理においては、データ未記録領域に対しても再生処理を行うことになり、Disc上のデータ信号から再生クロックを生成する再生PLLはデータ信号が得られないことで、ディスクノイズ、再生光として用いる半導体レーザの光ノイズ、およびディスクから読み出したアナログ信号を二値化するまでの工程で発生するノイズの影響を受け易くなり、周波数が変動してしまう。
【0036】
一般的な光ディスク装置では、データ未記録領域を検出した場合、再生PLLに対し、検出前の状態保持や一定の周波数に固定する等の制御を持たせている。しかしながらデータ未記録領域を正しく検出するには、ある程度のサンプリング数が必要であり、データ未記録領域の検出結果が得られるまでには一定の時間を要してしまうため、再生クロックの周波数の変動は発生してしまう。
【0037】
図7は、関連技術でBlu−rayを再生し、データ未記録領域において再生クロックが通常時より87.1%(=432Frame/496Frame)の範囲内で遅くなった場合のタイミングチャートである。
【0038】
Cluster先頭位置信号は、記録クロックで動作する回路が生成する。Cluster先頭位置信号以外は、Blu−ray再生ユニット32'の内部動作を示す。1Cluster目はデータ未記録領域であり、再生クロックが遅くなったとする。2Cluster目はデータ記録領域であり、再生クロックは通常の周波数に戻ったとする。
【0039】
再生クロックの周波数が通常時より87.1%(=432Frame/496Frame)の範囲内で遅い場合は、図9の復調部36および数ライン分のバッファメモリ42から出力されるデータが遅くなる。すなわちウォブルから抽出したDisc上の正しいデータ区切りであるCluster先頭位置信号間の絶対時間内に送られてくるデータ量が減少することになる。
【0040】
デスクランブル、EDC計算、バッファメモリへの書き込みは、UserData432Frameに対して行い、T4のタイミングで、1Cluster分のEDC計算結果の算出が完了する。
【0041】
一方、シンドローム生成は、UserData432FrameとECC64Frameの計496Frameに対して行い、T6のタイミングで1Cluster分のシンドローム生成が完了する。しかし、再生クロックの周波数が通常時より87.1%の範囲内で遅いので、シンドローム生成には、データ未記録領域である1Cluster目のシンドローム生成が完了する前に、データ記録領域である2Cluster目のデータが入力されるので、1Cluster目のデータと2Cluster目の一部のデータを混在する形で1Cluster目の処理がT5−T6区間で行われる。
【0042】
また、1Cluster目のシンドローム生成時に発生したデータ処理のズレ(T5−T6区間相当)は以降の処理において吸収出来ず保持され、以降のシンドローム生成に対しても引き続いてしまい、本来再生可能なはずの2Cluster目以降の処理は、誤ったシンドローム生成により、訂正不能という結果により再生ができないという問題が生じる。
【0043】
なお、前記のような再生ができないという問題に対しては、エラー信号を出してリトライを行うのは周知の事実であるが、リトライでも同様の現象が発生する可能性は高く根本的な問題解決が必要となる。
【0044】
以下は、上記説明で触れたデータ未記録領域における再生クロックの周波数変動についての補足である。
データ未記録領域を再生する際に再生クロックの周波数が変動することは、特許文献2で報告されている。再生クロックの周波数が変動することを解決するために、特許文献2には、データ未記録領域を判定し、データ未記録領域の場合、再生クロックPLLを保持するという手段が記載されている。しかし、データ未記録領域の判定は、再生データに基づいての判定なので、必ず再生している領域より遅れ、再生クロックPLL保持まで、再生クロックの周波数が変動する可能性がある。
【0045】
図8は、データ未記録領域突入により再生クロックが変動した場合の例である。なお、図8の縦軸は周波数を示し、データ記録領域からデータ未記録領域に移行する際に、再生クロックの周波数が変動し遅くなったとする。
【0046】
図8に示すようにデータ未記録判定信号は、実際のデータ未記録位置より遅い検出のため、データ未記録領域に対して再生PLLは引き込み動作を行ってしまい、保持した時点では周波数は変動してしまっている。適切な再生クロック周波数への復帰は、データ記録領域への移行による保持が解除後の再生PLLの再引き込み後となってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0047】
本発明の第1の態様にかかるデータ復号処理装置は、
復調処理後のデータが格納される第1のメモリと、
前記第1のメモリに格納された第1のデータに未記録領域が含まれる場合に、当該第1のデータの次に前記復調処理がなされた第2のデータが当該第1のメモリに格納される前に、当該第1のデータに対する所定の処理の中断及び当該所定の処理済みデータの廃棄を行わせる制御回路と、
を備える。
【0048】
本発明の第2の態様にかかるデータ復号処理装置の制御方法は、
第1のメモリに格納された復調処理後の第1のデータに未記録領域が含まれるか否かを判定し、
前記未記録領域が含まれると判定された場合に、当該第1のデータの次に前記復調処理がなされた第2のデータが当該第1のメモリに格納される前に、当該第1のデータに対する所定の処理の中断及び当該所定の処理済みデータの廃棄を行わせる。
【0049】
例えば、誤り検出符号(EDC)が付加され、データ部分に対してスクランブルがかけられたデータが記録された光ディスク等を再生する際に、データ記録領域と未記録領域とが混在するために、再生PLLの周波数が遅くなり得る。この場合であっても、上述した本発明の第1及び第2の態様により、未記録領域の後のClusterを再生するまでに、未記録領域を含むClusterにおける所定の処理が中断され、かつ、当該所定の処理済みデータも廃棄される。よって、未記録領域の後のClusterを再生する際には、直前のClusterに対する所定の処理は行われておらず、データ処理のズレが発生せず、訂正不能のため再生ができなくなるといった事態を回避できる。それ故、データ記録領域と未記録領域とが混在したとしても正しく再生することができる。
【発明の効果】
【0050】
本発明により、データ記録領域と未記録領域とが混在する符号化データを復号する際に、再生PLLの周波数が遅れの影響を受けずに正しくデータを復号・再生するためのデータ復号処理装置及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるデータ復号処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかるデータ復号処理装置を用いた場合のタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施の形態2にかかるデータ復号処理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態2にかかるデータ復号処理装置を用いた場合のタイミングチャートである。
【図5】Blu−rayのECC Block(Error Correction Block)を示す図である。
【図6】関連技術によりBlu−rayを再生した場合のタイミングチャートである。
【図7】関連技術によりBlu−rayを再生し、データ未記録領域において再生クロックが通常時より87.1%の範囲内で遅くなった場合のタイミングチャートである。
【図8】関連技術においてデータ未記録領域突入により再生クロックが変動した場合の例を示す図である。
【図9】関連技術にかかる光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図10】関連技術にかかる光ディスク装置を用いた場合のタイミングチャートである。
【図11】関連技術にかかるPIシンドローム生成回路の構成を示す図である。
【図12】関連技術にかかるPIシンドローム格納メモリの構成を示す図である。
【図13】関連技術にかかるEDC計算を行うEDC回路の構成を示す図である。
【図14】関連技術にかかるEDC計算結果の格納メモリの構成を示す図である。
【図15】関連技術にかかるPOシンドローム格納メモリの構成を示す図である。
【図16】関連技術にかかる誤りデータ列を示す図である。
【図17】関連技術にかかる誤りの位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。
【0053】
<発明の実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1にかかるデータ復号処理装置107の構成を示すブロック図である。データ復号処理装置107の一例としては、光ディスク装置が挙げられる。尚、図9と同じ符号は、図9と同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。また、Blu−rayを再生する場合、PI系列の回路を使用しないので、図9のPIシンドローム生成部38、誤り訂正部40、PIシンドローム格納メモリ48は、必須ではないため、図示していない。
【0054】
データ復号処理装置107は、Blu−ray再生ユニット108とバッファメモリ34で構成される。Blu−ray再生ユニット108は、図9に対し、Cluster切り替え制御回路101と未記録判定部106を追加したものである。
【0055】
復調部100は、図9の復調部36に対し、復調データ内のCluster先頭データを示す信号としてCluster先頭データ信号S1をCluster切り替え制御回路101へ供給する。
【0056】
未記録判定部106は、記録クロックにより、データ未記録領域の検出(図示せず)をサンプリングし、サンプリング結果がレジスタ等により設定する任意の閾値を越えて未記録を示す際に、処理中のClusterが未記録領域であることを示す、Cluster未記録判定信号S2を生成し、Cluster切り替え制御回路101に供給する。
【0057】
デスクランブル/EDC計算部104は、図9のデスクランブル/EDC計算部46に対し、UserData432Frameのデスクランブル、EDC計算、バッファメモリ34への書き込みが完了したことを示す信号としてのデータ転送完了信号S3を生成する機能を追加し、データ転送完了信号S3をCluster切り替え制御回路101に供給する。
【0058】
Cluster切り替え制御回路101は、Cluster先頭データ信号S1、Cluster未記録判定信号S2及びデータ転送完了信号S3の状態から生成したCluster切り替え信号S4を、シンドローム生成部102、シンドローム格納メモリ103及び誤り訂正部105対して供給する。
【0059】
シンドローム生成部102は、図9のPOシンドローム生成部44に対し、Cluster切り替え信号S4を受けシンドローム生成部をクリアして次のClusterに向けて待機する動作を追加する。
【0060】
シンドローム格納メモリ103は、図9のPOシンドローム格納メモリ50に対し、Cluster切り替え信号S4を受けシンドローム格納メモリをクリアして次のClusterに向けて待機する動作を追加する。
【0061】
誤り訂正部105は、図9の誤り訂正部54に対し、Cluster切り替え信号S4を受け誤り訂正及びEDC補正を停止させ、次のClusterに向けて待機する動作を追加する。
【0062】
Cluster切り替え制御回路101は、Cluster未記録判定信号S2が未記録を示し、かつ、データ転送完了信号S3が完了を示す時に、Cluster先頭データ信号S1を受けて、シンドローム生成部102、シンドローム格納メモリ103及び誤り訂正部105に対して、Cluster切り替え信号S4をアサートさせる。
【0063】
前記Cluster切り替え信号S4のアサートにより、シンドローム生成部102及びシンドローム格納メモリ103は、Cluster切り替え信号S4がアサートする時点で処理していたClusterに必要な動作が完了していない場合においても、強制的に次のClusterに向けて待機するように動作させる。
【0064】
また、シンドローム生成として、データ未記録領域であり無効データであることと、1Clusterとしての処理が完了していない可能性があることから、誤り訂正部105が誤り訂正及びEDC補正を行わないように停止させ、次のClusterに向けて待機する動作させる。
【0065】
Cluster未記録判定信号S2が未記録を示さない場合は、記録領域であるためCluster切り替え信号をアサートせず、従来通りの動作を行う。
【0066】
本発明の実施の形態1にかかるデータ復号処理装置107は、再生クロックが通常時より87.1%までの周波数変動範囲内で遅い場合にデータ未記録領域以降のデータ記録領域を再生することが出来る。その理由を、以下に示す。
【0067】
図2は、本発明の実施の形態1にかかるデータ復号処理装置107を用いた場合のタイミングチャートである。尚、再生クロックが通常時より87.1%までの周波数変動範囲内で遅い場合であるため、次のCluster先頭データ信号S1より前に、UserData432Frameのデスクランブル、EDC計算及びバッファメモリ34への書き込みが完了したことを示す信号としてのデータ転送完了信号S3がアサート出来る。
【0068】
実施の形態1は、Cluster切り替え制御回路101が生成した、Cluster切り替え信号S4によりシンドローム生成部102、シンドローム格納メモリ103及び誤り訂正部105をクリアして次のClusterに向けて切り替えることで、1Cluster目のシンドローム生成は途中で中断するが、2Cluster目以降のシンドローム生成については、正しく各Clusterのシンドローム生成を行うことができる。尚、1Cluster目はデータ未記録領域であり無効データであるので、1Cluster目のシンドローム生成は途中で中断しても問題は発生しない。
【0069】
よって、実施の形態1は、再生クロックが通常時より87.1%(=432Frame/496Frame)までの周波数変動範囲内で遅い場合に対し、シンドローム生成の前後Clusterデータ混在を防げ、データ未記録領域以降のデータ記録領域が再生できる。
【0070】
尚、本発明にかかるデータ復号処理装置は、少なくとも以下の構成を有していればよい。すなわち、復調処理後のデータが格納される第1のメモリ(例えば、図1の数ライン分のバッファメモリ42)と、前記第1のメモリに格納された第1のデータ(例えば、1Cluster目のデータ)に未記録領域が含まれる場合に、当該第1のデータの次に前記復調処理がなされた第2のデータ(例えば、2Cluster目のデータ)が当該第1のメモリに格納される前に、当該第1のデータに対する所定の処理(例えば、図1のシンドローム生成部102によるシンドローム生成処理及び誤り訂正部105による誤り訂正処理等)の中断及び当該所定の処理済みデータ(例えば、図1のシンドローム格納メモリ103に格納されたデータ)の廃棄を行わせる制御回路(例えば、図1のCluster切り替え制御回路101)と、を備えるデータ復号処理装置であればよい。
【0071】
これにより、再生PLLの周波数が遅れたとしても、データ処理のズレが発生せず、訂正不能のため再生ができなくなるといった事態を回避できる。それ故、データ記録領域と未記録領域とが混在したとしても正しく再生することができる。
【0072】
また、本発明にかかるデータ復号処理装置は、前記第1のメモリに格納されたデータに対してシンドロームを生成する生成部(例えば、図1のシンドローム生成部102)と、前記第1のメモリに格納されたデータに対してデスクランブル処理を行うデスクランブル処理部(例えば、図1のデスクランブル/EDC計算部104)と、前記デスクランブル処理後のデータが格納される第2のメモリ(例えば、図1のバッファメモリ34)と、をさらに備え、前記制御回路は、前記第1のメモリに格納された第1のデータに未記録領域が含まれ、かつ、当該第1のデータに対する前記デスクランブル処理後のデータが前記第2のメモリに格納完了となった場合(例えば、図1のデータ転送完了信号S3が完了を示す場合)に、当該第1のデータの次に前記復調処理がなされた第2のデータが当該第1のメモリに格納される前に、当該第1のデータに対する前記生成部におけるシンドロームの生成の中断及び当該生成済みのシンドロームの廃棄を行わせることが望ましい。
【0073】
これにより、例えば、同一Clusterのデータに対するシンドローム生成処理等とデスクランブル処理等とが並列実行されており、デスクランブル処理等が先に完了した場合、当該Clusterに未記録領域が含まれる場合には、実行中のシンドローム生成処理等は不要であるため、強制的に中断させ、次のClusterのデータに対する処理において、正常動作させることができる。
【0074】
また、本発明の実施の形態1は、以下のように言い換えることができる。すなわち、データ未記録領域の検出をサンプリングし、サンプリング結果が任意の閾値を越えて未記録を示す際に、処理中のClusterが未記録領域であることを示す、Cluster未記録判定信号を出力する未記録判定部と、Cluster未記録判定信号が未記録を示し、かつバッファメモリへの書き込み完了した時に、Cluster先頭データ信号を受けて、シンドローム生成部、シンドローム格納メモリおよび誤り訂正部に対して、Cluster切り替え信号をアサートさせるCluster切り替え制御回路と、Cluster切り替え信号によりシンドローム生成をクリアして次のClusterに向けて待機するシンドローム生成部と、Cluster切り替え信号によりシンドローム格納メモリをクリアして次のClusterに向けて待機するシンドローム格納メモリと、デスクランブル、EDC計算、バッファメモリへの書き込み完了を検出するデスクランブル/EDC計算部と、前記デスクランブル/EDC計算部から出力されたEDC計算結果を格納するEDC計算結果格納メモリと、Cluster切り替え信号により誤り訂正、EDC補正を停止させ、次のClusterに向けて待機する誤り訂正部とを有するデータ復号処理装置である。
【0075】
つまり、データ未記録領域を再生したことで、再生クロックが遅くなった場合において、デスクランブル、EDC計算、第2のバッファメモリ(例えば、図1のバッファメモリ34)への書き込みが完了したことを示す場合、シンドローム生成部とシンドローム格納メモリと誤り訂正部に対してCluster切り替え信号を供給することで、Cluster先頭データ信号を基準にシンドローム生成部およびシンドローム格納メモリをクリアし、誤り訂正部は、誤り訂正及びEDC補正を停止し、次のClusterに向けて待機する動作することにより、データ未記録領域後のデータ記録領域に対して誤り訂正を正常に行わせることが可能となる。
【0076】
よって、関連技術のデータ未記録領域を再生する際に、再生クロックを生成する再生PLLの周波数が遅くなった場合、データ未記録領域後のデータ記録領域にて、データ区切りの処理がズレてしまい、再生ができなくなる問題を解決する事ができる。
【0077】
<発明の実施の形態2>
図3は、本発明の実施の形態2にかかるデータ復号処理装置203の構成を示すブロック図である。データ復号処理装置203の一例としては、光ディスク装置が挙げられる。尚、実施の形態1と同じ符号は実施の形態1と同じ構成なので説明を省略する。
【0078】
データ復号処理装置203は、Blu−ray再生ユニット204とバッファメモリ34で構成される。
【0079】
Blu−ray再生ユニット204は、実施の形態1に対し、未記録判定部106からCluster未記録判定信号S2を、デスクランブル/EDC計算部201に対しても供給する。
【0080】
Blu−ray再生ユニット204は、実施の形態1に対し、Cluster切り替え制御回路101からCluster切り替え信号S4を、デスクランブル/EDC計算部201及びEDC計算結果格納メモリ202に対しても供給する。
【0081】
デスクランブル/EDC計算部201は、実施の形態1のデスクランブル/EDC計算部104に対し、Cluster未記録判定信号S2と、UserData432Frameのデスクランブル、EDC計算及びバッファメモリへの書き込みが完了したかの状態と、Cluster切り替え信号S4の状態とから、バッファメモリ34に対し、Paddingデータを通常転送より転送レートを上げて行うことを可能とする機能を追加したものである。
【0082】
EDC計算結果格納メモリ202は、実施の形態1のEDC計算結果格納メモリ52に対し、Cluster切り替え信号S4を受け、EDC計算結果格納メモリをクリアして、次のClusterに向けて待機する動作を追加したものである。
【0083】
EDC計算結果格納メモリ202は、Cluster切り替え信号S4のアサートにより、Cluster切り替え信号S4がアサートする時点で処理していたClusterに必要な動作が完了していない場合においても、強制的に次のClusterに向けて待機するように動作させる。
【0084】
デスクランブル/EDC計算部201は、Cluster未記録判定信号S2が未記録を示したことをトリガに、バッファメモリ34に対し、1Clusterデータとして、Cluster未記録判定信号S2が未記録を示した時点までに、転送を完了しているデータに対して不足分を埋めるためにPaddingデータ転送を開始させる。
【0085】
Paddingデータ転送は、再生領域が未記録と判断されているため、バッファメモリ34のアドレスを次のClusterの規定位置へ進めることを目的とし、データの中身は符号語として扱われないALL"1"等で行う。
【0086】
また、Paddingデータ転送は、前段である数ライン分のバッファメモリ42とのデータ授受を無視させ、デスクランブル及びEDC計算を無視させ、バッファメモリ34とのデータ授受のみで決まる最速のデータ転送レートへ引き上げて実施する。
【0087】
デスクランブル/EDC計算部201は、バッファメモリ34のアドレスを監視し、次のClusterのアドレスに一致したら、データ転送完了信号S3をアサートし、Paddingデータ転送を終了する。
【0088】
本発明の実施の形態2のデータ復号処理装置203は、再生クロックが通常時より87.1%より遅い範囲で周波数変動した場合においても再生することが出来る。その理由は、以下に示す。
【0089】
図4は、本発明の実施の形態2にかかるデータ復号処理装置203を用いた場合のタイミングチャートである。
【0090】
実施の形態2は、デスクランブル/EDC計算部201を、Cluster未記録判定信号S2が未記録を示すT7の時点で、バッファメモリ34に対し、1Clusterデータとして転送を完了しているデータに対して、不足分を埋めるためにPaddingデータ転送を開始させることで、次のCluster先頭データ信号S1までの間に、データ転送完了信号S3が完了を示すように動作させることができる。実施の形態2は、EDC計算結果格納メモリ202を、Cluster切り替え信号S4のアサートにより、Cluster切り替え信号S4がアサートする時点で処理していたClusterに必要な動作が完了していない場合においても、強制的に次のClusterに向けて待機するように動作させる。
【0091】
実施の形態2は、前記データ転送完了信号S3が完了を示すように動作させることにより、前記データ転送完了信号S3が完了を示した以降は実施の形態1と同じように動作することで、データ未記録領域以降のデータ記録領域が再生できる。
【0092】
尚、本発明の実施の形態2は以下のように言い換えることもできる。すなわち、前記デスクランブル処理部は、前記第1のデータに対する前記デスクランブル処理後のデータを前記第2のメモリに格納し、前記第1のデータに未記録領域が含まれる場合には、前記第2のメモリのうち未格納部分について既定のデータを格納する。
【0093】
さらに、前記デスクランブル処理部は、通常に比べて転送レートを上げて、前記既定のデータを格納することが望ましい。
【0094】
または、本発明の実施の形態2は以下のように言い換えることもできる。すなわち、データ未記録領域の検出をサンプリングし、サンプリング結果が任意の閾値を越えて未記録を示す際に、処理中のClusterが未記録領域であることを示す、Cluster未記録判定信号を出力する未記録判定部と、Cluster未記録判定信号が未記録を示し、かつバッファメモリへの書き込み完了した時に、Cluster先頭データ信号を受けて、シンドローム生成部、シンドローム格納メモリおよび誤り訂正部に対して、Cluster切り替え信号をアサートさせるCluster切り替え制御回路と、Cluster切り替え信号によりシンドローム生成をクリアして次のClusterに向けて待機する動作を有したシンドローム生成部と、Cluster切り替え信号によりシンドローム格納メモリをクリアして次のClusterに向けて待機するシンドローム格納メモリと、デスクランブル、EDC計算、バッファメモリへの書き込み完了を検出し、書き込み完了の検出結果とCluster未記録判定信号とCluster切り替え信号の状態から、バッファメモリに対するPaddingデータ転送および転送レートを制御するデスクランブル/EDC計算部と、前記デスクランブル/EDC計算部から出力されたEDC計算結果を格納し、Cluster切り替え信号によりEDC計算結果格納メモリをクリアして次のClusterに向けて待機するEDC計算結果格納メモリと、Cluster切り替え信号により誤り訂正、EDC補正を停止させ、次のClusterに向けて待機する誤り訂正部と、を有することを特徴とするデータ復号処理装置。
【0095】
<その他の発明の実施の形態>
本発明は、光ディスク装置に関し、特に、データ記録領域とデータ未記録領域が混在するファイナライズレス規格のデータ復号処理装置に関する。
【0096】
さらに、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0097】
14 ディスク
30 DVD−ROMデータの再生装置
32 DVD−ROM再生ユニット
34 バッファメモリ
36 復調部
38 PIシンドローム生成部
40 誤り訂正部
42 数ライン分のバッファメモリ
44 POシンドローム生成部
46 デスクランブル/EDC計算部
48 PIシンドローム格納メモリ
50 POシンドローム格納メモリ
52 EDC計算結果格納メモリ
54 誤り訂正部
56 CPU
100 復調部
101 Cluster切り替え制御回路
102 シンドローム生成部
103 シンドローム格納メモリ
104 デスクランブル/EDC計算部
105 誤り訂正部
106 未記録判定部
107 データ復号処理装置
108 Blu−ray再生ユニット
201 デスクランブル/EDC計算部
202 EDC計算結果格納メモリ
203 データ復号処理装置
204 Blu−ray再生ユニット
S1 Cluster先頭データ信号
S2 Cluster未記録判定信号
S3 データ転送完了信号
S4 Cluster切り替え信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
復調処理後のデータが格納される第1のメモリと、
前記第1のメモリに格納された第1のデータに未記録領域が含まれる場合に、当該第1のデータの次に前記復調処理がなされた第2のデータが当該第1のメモリに格納される前に、当該第1のデータに対する所定の処理の中断及び当該所定の処理済みデータの廃棄を行わせる制御回路と、
を備えるデータ復号処理装置。
【請求項2】
前記第1のメモリに格納されたデータに対してシンドロームを生成する生成部と、
前記第1のメモリに格納されたデータに対してデスクランブル処理を行うデスクランブル処理部と、
前記デスクランブル処理後のデータが格納される第2のメモリと、
をさらに備え、
前記制御回路は、
前記第1のメモリに格納された第1のデータに未記録領域が含まれ、かつ、当該第1のデータに対する前記デスクランブル処理後のデータが前記第2のメモリに格納完了となった場合に、当該第1のデータの次に前記復調処理がなされた第2のデータが当該第1のメモリに格納される前に、当該第1のデータに対する前記生成部におけるシンドロームの生成の中断及び当該生成済みのシンドロームの廃棄を行わせる
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ復号処理装置。
【請求項3】
前記デスクランブル処理部は、
前記第1のデータに対する前記デスクランブル処理後のデータを前記第2のメモリに格納し、
前記第1のデータに未記録領域が含まれる場合には、前記第2のメモリのうち未格納部分について既定のデータを格納する
ことを特徴とする請求項2に記載のデータ復号処理装置。
【請求項4】
前記デスクランブル処理部は、通常に比べて転送レートを上げて、前記既定のデータを格納することを特徴とする請求項3に記載のデータ復号処理装置。
【請求項5】
第1のメモリに格納された復調処理後の第1のデータに未記録領域が含まれるか否かを判定し、
前記未記録領域が含まれると判定された場合に、当該第1のデータの次に前記復調処理がなされた第2のデータが当該第1のメモリに格納される前に、当該第1のデータに対する所定の処理の中断及び当該所定の処理済みデータの廃棄を行わせる
データ復号処理装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate