説明

データ要求提供システム、及び、データ要求提供プログラム

【課題】 ユーザが自分のペースで人的交流を図ることが可能であり、その結果、不登校・引きこもりの予防や精神衛生上の観点からも非常に高い効果を発揮するデータ要求提供システム、及び、データ要求提供プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】 ユーザから時刻の設定を受け付ける時刻設定受付手段1aと、要求先の設定を受け付ける要求先設定受付手段1bと、設定時刻より所定時間前になると要求先に対して期間を限定してデータを要求するデータ要求手段2aと、限定期間中のみ前記要求先からのデータを受信するデータ受信手段2bと、受信したデータを記憶手段DB2に蓄積させるデータ蓄積手段2cと、設定時刻になると前記ユーザに対して通知する通知手段1cと、通知停止を受け付ける停止受付手段1dと、ユーザからの要求に応じて前記記憶手段に蓄積したデータを提供するデータ提供手段2dを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに対し、ネットワークを介してデータを要求し、受信したデータを提供するデータ要求提供システム及びデータ要求提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人が他者と人的交流を維持することは、不登校や引きこもり防止、高齢者や長期入院患者の精神衛生上の観点から非常に重要である。とくに、初期段階の不登校者や引きこもり者は、人的交流により改善できる傾向にある。不登校者や引きこもり者は、明確な理由がなく「ただなんとなく」学校や会社に行くことを避けてしまい、それが続くことにより会社や学校のメンバーと顔を合わせづらくなり、次第に本当の引きこもりに陥る。一方、起床時は、一日のモティベーションを左右する重要な時である。ゆえに、初期段階の不登校や引きこもり防止には、起床時にこれらの人々の背中を押して、少しでもモティベーションを高めてあげることが望ましい。
【0003】
非特許文献1には、目覚まし時計機能とモバイルコミュニケーション機能を備えるシステムが開示されている。このシステムは、目覚まし時計機能により、他者の起床状態を条件(半分以上が起床状態である等)としてアラーム時刻設定が可能となっており、モバイルコミュニケーション機能により、他者からの情報を表示可能となっている。ユーザは、自分の起床時刻を、ある固定された時刻に設定するのではなく、自分と行動を共にする可能性のある人の起床時刻と関連づけて緩やかに設定し、周囲の状況に合わせて起床し、且つ、他者から任意に提供される情報を受け取る。
【非特許文献1】Albrecht Schmidt,NetWerk alarm clock(The 3AD International Design Competition),Personal and Ubiquitous Computing,10,pp.191―192(2006)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記非特許文献1の技術は、他者の起床状態により自分の起床時刻が決定され、他者の意思により送信される情報を受け取るため、起床や情報の受け取りが他者のペースに合わせて行われる。このため、ユーザは自分のペースで他者と人的交流を図ることはできなかった。
【0005】
また、引きこもり者に、携帯電話やインターネット等の電子通信メディアが受け入れられやすいのは、それが自分のペースで利用でき、適度な距離感をコントロールできる点にあるとの見解がある。このため、仮に非特許文献1のシステムを引きこもり防止の目的で使用したとしても、自分のペースで利用することができないため受け入れられ難い。
【0006】
そこで、本発明は、ユーザが自分のペースで人的交流を図ることが可能であり、その結果、不登校・引きこもりの予防や精神衛生上の観点からも非常に高い効果を発揮するデータ要求提供システム、及び、データ要求提供プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のデータ要求提供システムは、ネットワークを介してデータの要求と提供を行うデータ要求提供システムであり、ユーザから時刻の設定を受け付ける時刻設定受付手段と、ユーザからデータの要求先の設定を受け付ける要求先設定受付手段と、前記設定時刻より所定時間前になると前記要求先に対して期間を限定してデータを要求するデータ要求手段と、前記限定期間中のみ前記要求先からのデータを受信するデータ受信手段と、受信したデータを記憶手段に蓄積させるデータ蓄積手段と、前記設定時刻になると前記ユーザに対して一回又は複数回通知する通知手段と、前記ユーザからの要求に応じて前記記憶手段に蓄積したデータを提供するデータ提供手段を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、ユーザから時刻とデータの要求先の設定を受け付け、設定時刻よりも所定時間前になると、要求先に対して期間を限定してデータの要求を行う。要求先からのデータは限定期間中のみ受信し、受信したデータは設定時刻まで蓄積記憶する。設定時刻になるとユーザに対して通知し、ユーザからの要求に応じて蓄積記憶されたデータを提供する。これにより、ユーザは自らがデータの提供を要求し、設定した時刻になるとデータを受け取ることができる。
【0009】
前記ユーザから前記通知手段による通知の停止を受け付ける停止受付手段を備え、前記データ提供手段は、前記停止受付手段により停止を受け付けると、前記蓄積したデータを提供することを特徴とする。この発明によれば、ユーザから停止を受け付けた場合のみ、データが提供される。これにより、ユーザに対しては停止直後にデータが提供されることとなる。
【0010】
画像データを受信する画像受信手段と、受信した画像データを記憶手段に蓄積記憶させる画像蓄積手段を備え、前記通知手段による通知、又は、前記データ提供手段によるデータの提供とともに、前記画像データを提供することを特徴とする。この発明によれば、設定時刻になると通知とともに画像が提供されるか、又は、データとともに画像が提供されるため、ユーザは設定時刻に画像を受け取ることができる。
【0011】
また、データ要求提供プログラムは、コンピュータを上記各手段として機能させるステップを備えることを特徴とする。これにより、コンピュータを上記データ要求提供システムとして機能させることができ、上記同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るデータ要求提供システム/プログラムによれば、設定時刻よりも所定時間前になるとユーザから受け付けた要求先に対して期間を限定してデータの要求を行い、ユーザから受け付けた設定時刻になるとそのユーザにデータを提供するため、ユーザは自らの要求により設定時刻に要求先からデータを受け取ることができる。これにより、ユーザは自分のペースで人的交流を図ることができる。また、データはユーザ自身が要求するため、システムを介して積極的に他者との交流を図ることも、距離を置くことも可能であり、距離感を適度にコントロールすることが可能である。
【0013】
とくに、目覚まし時計のように使用して、設定時刻を起床時間とし、要求先に知人を設定しておけば、起床時にはシステムから通知が届き、知人からのメッセージデータを受け取ることができる。これにより、起床へのインセンティブ効果が得られるとともに、仲間との繋がり感も醸成され、不登校や引きこもりが予防される。友人からのメッセージデータはユーザ自らが要求するため、自己のペースで利用でき、距離感もコントロールできるため、受け入れられやすい。また、高齢者や長期入院患者が用いれば、知人から連絡を受け取ることができ、孤独感や疎外感が緩和され、精神衛生上も好ましい。自らのアクションがきっかけとなるため、受身がちになりやすい環境でも、積極的に人的交流を図ることができる。また、期間を限定してメッセージデータを要求するため、要求先ユーザの負担を軽減し、且つ、要求に対して無反応であった場合でも要求元ユーザは「たまたま見ていなかった」といった理由付けが可能となり、要求元ユーザの精神的な負担も軽減される。
【0014】
また、ユーザから通知の停止を受け付けるとデータを提供可能とすれば、ユーザは停止直後にデータを受け取ることとなる。このため、起床と同タイミングでデータを受け取ることができ、その後の行動へのモティベーションを高めることができる。不登校や引きこもり防止に非常に効果的である。
【0015】
更に、通知手段による通知、又は、データ提供手段によるデータの提供とともに、撮影手段により撮影された画像を提供すれば、ユーザは設定時刻になると画像を受け取ることができる。画像は「楽しさ」や「仲間との繋がり感」などを更に醸成させる性質を持つため、上記効果が更に高まる。とくに、撮影手段を教室や部室などのような仲間の集まる場所に設置しておけば、仲間が次々と画像を撮影し、その仲間の画像が届けられることとなり、不登校や引きこもり防止効果として非常に効果的である。
【0016】
また、本発明のデータ要求提供システムと接続するクライアント端末は、ネットワークアクセスが可能な携帯電話等の汎用の情報端末であれば良く、特別な補機や改造の必要もないため、ユーザ側の導入コストも極めて低く、誰もが気軽に参加することができる。さらに、汎用のコンピュータに本発明のデータ要求提供プログラムを導入するだけでシステムが実現可能であるため、サービス提供者側の導入コストも極めて低い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
以下、本実施の形態のデータ要求提供システムSys1について説明する。図1は、データ要求提供システムSys1を説明する説明図である。データ要求提供システムSys1は、コンピュータシステムにより実現され、携帯電話やパーソナルコンピュータ等の任意のクライアント端末C1,C2,,,C2ネットワークN,Nを介して接続可能となっている。このデータ要求提供システムSys1は、要求元のユーザAのクライアント端末C1から時刻設定と要求先を受け付けると、要求先のユーザのクライアント端末C2,,,C2に期間限定でデータを要求し、設定時刻になるとクライアント端末C1に受信したデータを提供するものである。
【0018】
データ要求提供システムSys1は、プログラムに従ってCPU等が機能することにより実現される通知処理部1と、データ処理部2と時刻カウント部4とを備え、磁気ディスク等の記憶手段に各種データベースとして設定データDB1と、受信データDB2を備える。
【0019】
通知処理部1は、クライアント端末C1に対する通知処理を行う機能を有し、時刻設定受付手段1aと、要求先設定受付手段1bと、通知手段1cと、停止受付手段1dとを備える。
【0020】
時刻設定受付手段1aは、ユーザのクライアント端末C1から「時刻」の設定を受け付ける機能を備え、要求先設定受付手段1bは、ユーザのクライアント端末C1から「データの要求先」の設定を受け付ける機能を備える。たとえば、データ要求提供システムSys1は、図示しないユーザ情報登録機能を備え、ユーザが、ユーザ情報登録画面にて、ユーザ識別子A、所属するグループ識別子、要求先となるグループ識別子やユーザ識別子、自己のメールアドレスなどの登録を行っておくと、ユーザごとにそのユーザ情報を記憶する。ユーザがユーザ識別子を用いてデータ要求提供システムSys1にアクセスすると、時刻設定受付手段1aは、ユーザごとに専用に表示されるインタフェース画面W1(図2(a))にて、「時刻」設定を促す。新しい時刻の設定はプルダウンで設定可能である。前回の設定時刻と同じ時刻を指定することも可能である。要求先設定受付手段1bは、図示しないユーザ情報登録用画面か、又は、ユーザごとに専用に表示されるインタフェース画面W1(図2(a))にて「データの要求先」の設定を促す。ユーザ情報登録用画面にて登録済みの要求先は、インタフェース画面W1にリストとして表示される。インタフェース画面W1では、新たな要求先を入力したり、前回の要求先を指定したり、登録済みの要求先をリスト表示させて指定することも可能としている。そして、インタフェース画面W1に「時刻」と「データの要求先」が設定されると、当該設定を受け付けて、設定データDB1に設定内容、及び、そのユーザの識別子Aを要求元ユーザ識別子として関連付けて登録する(図3(a))。なお、ユーザインタフェース画面W1は時刻のみ設定可能とし、要求先の設定はユーザからの指示に応じてユーザ情報登録画面を表示させ、設定させるようにしても良い。
【0021】
通知手段1cは、設定時刻になるとクライアント端末C1に対して一回又は複数回通知する機能を有する。たとえば、通知手段1cは、時計機能を有する時刻カウント部4から現在時刻を取得し、設定データDB1の「設定時刻」項目に現在時刻と同一時刻が設定されている場合は、対応するユーザ識別子Aにて特定されるユーザにメールを送信して通知を行う。通知は、一回、又は、所定間隔をもって複数回行われる。通知回数はユーザが設定可能としても良い。ユーザ識別子Aにて特定されるユーザのメールアドレスは、ユーザ登録情報を参照することにより得られる。図2(b)は、通知に際してクライアント端末C1に表示させるインタフェース画面W2である。これにより設定時刻になった旨が通知される。
【0022】
停止受付手段1dは、要求元ユーザのクライアント端末C1から通知の停止を受け付け、データ提供手段2dに対して要求元ユーザのユーザ識別子Aを渡す。たとえば、インタフェース画面W2に、通知手段1cによる通知とともに、通知の停止を促す情報を表示する。ここでは、通知停止専用のWebページへのリンクを表示し、リンクへアクセスさせることで通知(例えばスヌーズ)を停止可能になっている。ユーザにより通知が停止されると、停止受付手段1dは、設定データDB1の「状態」の項目を「設定」から「停止」に変更する(図3(a))。
【0023】
データ処理部2は、データの要求、及び、受信したデータの蓄積と提供に関する処理を行う機能を有し、データ要求手段2aと、データ受信手段2bと、データ蓄積手段2cと、データ提供手段2dとを備える。
【0024】
データ要求手段2aは、設定時刻より所定時間前になると要求先に対して期間を限定してデータを要求する機能を備える。所定時間は任意であり、予めシステム内に設定されていても良いし、ユーザにより設定可能であっても良い。データ要求手段2aは、時刻カウント部4から現在時刻を取得しながら設定データDB1の「設定時刻」項目を参照し、設定時刻(例えば11:30)より所定時間(例えば10分)前の時刻(例えば11:20)が、現在時刻(例えば11:20)と同一のものを検出すると、対応する「要求先」項目の各要求先(グループ識別子G,ユーザ識別子D,E)に対してデータの要求を行う。
【0025】
図2(c)は、データ要求手段2aが要求先のクライアント端末C2,,,C2に表示するインタフェース画面W3である。各クライアント端末C2,,,C2には、専用のプログラムがインストールされており、データ要求提供システムSys1とセッション可能となっている。各クライアント端末C2,,,C2はログイン時に入力されるユーザ識別子により特定されており、データ要求手段2aは、該当するユーザ識別子のクライアント端末C2,,,C2に、データを要求する旨のポップアップを表示させる。ポップアップ表示は、所定時間(例えば30秒)だけとし、所定時間経過後は非表示とし、期間を限定して要求を行う。
【0026】
また、データ要求手段2aは、ユーザからの指示に応じてインタフェース画面W4を表示し、メッセージの入力を促す。ユーザにより「送信」がクリックされて送信指示がなされると、要求元及び要求先識別子とともにデータ(メッセージ)が送信される。なお、ここでは提供させるデータをテキストによるメッセージとしたが、例えば、画像データ、音声データ、音楽データ等とすることも可能であり、要求するデータは限定されない。
【0027】
データ受信手段2bは、限定期間のポップアップ表示中のみ、要求先からデータを受信する機能を備える。各クライアント端末C2,,,C2は、データ(メッセージ)を、要求元ユーザ識別子A及び自己の識別子B,C,EとともにネットワークNを介して送信すると、データ受信手段2bは限定期間中のみそれらを受信し、データ蓄積手段2cに渡す。なお、識別子B,Cはグループ識別子Gに含まれるユーザである。また、要求先が必ずデータを送信するとは限らず、ここでは識別子Dのユーザからは受信していない。
【0028】
データ蓄積手段2cは、受信したデータを記憶手段に蓄積する機能を備える。データ受信手段2bから受け取ったデータを要求元ユーザ識別子A及び要求先ユーザ識別子B,C,Eとともに記憶手段である受信データDB2に蓄積記憶させる。受信データDB2は、要求元ユーザ識別子ごとに、要求先ユーザ識別子と、受信データ(メッセージ)を蓄積記憶する(図3(b))。
【0029】
データ提供手段2dは、要求元であるユーザ識別子Aのクライアント端末C1からの要求に応じて受信データDB2に蓄積記憶したデータを提供する機能を備える。データ提供手段2dは、停止受付手段1dから要求元のユーザ識別子Aの通知を受けると、受信データDB2を参照し、ユーザ識別子Aと関連付けて記憶されているデータ(メッセージ)を、要求先ユーザ識別子Aとセットにして、クライアント端末C1に提供する。データ(メッセージ)は、データごとに個別ファイルとして提供しても良いが、すべてのデータを一つに統合して提供するほうが、ユーザの利便性から好ましい。図2(d)のインタフェース画面W5は、クライアント端末C1に表示させる画面である。インタフェース画面W5には、各メッセージにその要求先のユーザ識別子が付与されて表示される。メール配信により提供しても良いし、閲覧先へのリンクを表示してWebページにアクセスさせることで提供しても良い。
【0030】
なお、停止受付手段1dは任意である。停止受付手段1dを備えない場合、データ提供手段2dは設定時刻になると通知手段1cと連動して要求元ユーザに対して該当するデータを提供する。
【0031】
(本発明の第2の実施の形態)
図4は、第2の実施の形態のデータ要求提供システムSys2を説明する説明図である。データ要求提供システムSys2は、上記データ要求提供システムSys1に画像処理部3とデータベースとして画像データDB3を備える。以下、相違点のみを説明する。その他は第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0032】
本実施の形態では、撮影手段用端末C3に撮影手段Cmが接続されており、撮影手段Cmでの撮影により生成された画像データを撮影手段用端末C3から受信する場合を例に説明する。撮影手段用端末C3には、専用のプログラムがインストールされており、特定のグループ識別子、又は、ユーザ識別子が設定されている。撮影手段Cmはデジタルカメラ等であり、これにより画像が撮影されると、撮影手段用端末C3は、生成された画像データを取り込んで、設定されているグループ識別子又はユーザ識別子とともにデータ要求提供システムSys2に送信する。なお、撮影手段Cmによる撮影は、撮影決定手段e,eを操作することにより行われる。撮影手段用端末C3には、撮影決定手段e,eごとに「おはよう」「おつかれさま」といったコメントが関連付けて記憶されており、使用された撮影決定手段e,eによって、画像データに「おはよう」「おつかれさま」といったコメントを付加する。なお、撮影手段用端末C3と撮影手段Cmは、ユーザごとに専用に設置されていても良いし、共用スペース等に設置されてクループに所属する複数のユーザで共有されても良い。
【0033】
画像処理部3は、画像受信手段3aと画像蓄積手段3bを備える。画像受信手段3aは、撮影手段用端末C3から画像データとグループ識別子又はユーザ識別子を受信すると、それらをセットにして画像蓄積手段3bに渡す。画像蓄積手段3bは、受け取った画像データとグループ識別子又はユーザ識別子を画像データDB3に蓄積記憶させる。画像データDB3には、画像送信元識別子(グループ識別子又はユーザ識別子)ごとに、画像データが関連付けて記憶される(図5(a))。
【0034】
データ提供手段2dは、停止受付手段1dからユーザ識別子Aを受け取ると、受信データDB2からユーザ識別子Aと関連付けて記憶されているデータ(メッセージ)を選択するとともに、設定データDB2を参照してユーザ識別子Aと関連付けて記憶されている要求先識別子(グループ識別子G,ユーザ識別子D,ユーザ識別子E)を取得し、取得した要求先識別子と一致する画像送信元識別子を検出し、関連付けて記憶されている画像データをメッセージとともに提供する。図5(b)は、クライアント端末C1に画像データを表示させるインタフェース画面W6である。設定時刻から直近に撮影された所定枚数の画像データが表示される。
【0035】
なお、画像データとメッセージデータとは、別々のタイミングにて提供しても良い。たとえば、通知手段1cにおける通知時に画像データを提供し、データ提供手段2dによるデータ提供時にメッセージデータを提供しても良いし、その逆でも良い。
【0036】
(データ要求提供システムの動作説明、及び、データ要求提供プログラム)
本実施の形態のデータ要求提供プログラムPは、コンピュータを上記第2の実施の形態のデータ要求提供システムSys2として機能させるプログラムである。図6は、データ要求提供プログラムPを説明する説明図である。各ステップS1−1〜S9は、コンピュータをデータ要求提供システムSys2の各手段として機能させるステップである。以下、要求元ユーザと要求先ユーザ及びデータ要求提供システムSys2の動作とともに、データ要求提供プログラムPを説明する。なお、詳細は上記実施の形態にて説明済みのため省略する。データ要求提供システムSys1として機能させるプログラムは、プログラムPの一部として説明可能なため省略する。
【0037】
事前準備として、要求元ユーザのクライアント端末C1からユーザ情報登録要求があると、コンピュータをユーザ情報登録手段として機能させ、ユーザ情報の登録を受け付ける(ユーザ情報登録ステップ)。
【0038】
要求元ユーザのクライアント端末C1から時刻の設定要求があると、コンピュータを時刻設定受付手段1aとして機能させ、時刻設定の設定を受け付ける(時刻設定受付ステップS1−1)。また、要求先の設定要求があると、要求先設定受付手段1bとして機能させ、要求先の設定を受け付ける(要求先設定受付ステップS1−2)。なお、要求先設定受付ステップS1−2は、事前準備の段階でユーザ情報登録の中で行っても良いし、時刻設定受付ステップS1−1と並行して行っても良い。
【0039】
要求先ユーザ側に設置されている撮影手段用端末C3から画像データが送信されると、コンピュータを画像受信手段3aとして機能させて画像データを受信し(画像受信ステップS2)、画像蓄積手段として機能させて画像データDB3に画像データを蓄積記憶する(画像蓄積ステップS3)。
【0040】
プログラムPはコンピュータをデータ要求手段2aとして機能させ、設定データDB1から設定時刻より所定時間前が現在時刻と一致する設定時刻を検出すると、対応する要求先のユーザのクライアント端末C2に期間を限定してデータを要求する(データ要求ステップS4)。要求先のユーザがクライアント端末C2からデータを送信すると、プログラムPはコンピュータをデータ受信手段2bとして機能させて限定期間中のみデータを受信し(データ受信ステップS5)、データ蓄積手段2cとして機能させて受信したデータを受信データDB2に蓄積記憶させる(データ蓄積ステップS6)。
【0041】
プログラムPはコンピュータを通知手段1cとして機能させ、設定データDB1から現在時刻と同一の設定時刻を検出すると、要求元のユーザのクライアント端末C1に通知する。通知はユーザが停止指示を行うまで、一回又は時間間隔をおいて複数回行われる(通知ステップS7)。ユーザは、クライアント端末C1に通知を受信すると、通知の停止を指示する。プログラムPは、コンピュータを停止受付手段1dとして機能させて通知停止を受け付け、設定データDB1の「状態」項目を「設定」kから「停止」に変更する(停止受付ステップS8)。プログラムPは、通知の停止が受け付けられると、コンピュータをデータ提供手段2dとして機能させ、要求元ユーザのクライアント端末C1に対して、その要求元ユーザのユーザ識別子と関連付けて記憶されているメッセージデータを画像データとともに提供する(データ提供ステップS9)。
【0042】
(使用態様1)目覚まし時計としての使用
本システムは、特に初期段階の不登校者や引きこもり者に有効である。引きこもりぎみのユーザAは、就寝前にクライアント端末C1からデータ要求提供システムSys2にアクセスし、時刻設定受付手段1aにより時刻と要求先を設定する。要求先は、既に事前準備段階のユーザ情報登録時において要求先設定受付手段1bにより登録済みであり、ユーザAは登録済みの要求先を使用する。翌朝、ユーザBは研究室に登校すると、入り口に設置されている撮影手段Cmの撮影決定手段e,eを操作して、わざとひょうきんな顔をして自分の顔を撮影し、画像データを生成する。撮影決定手段e,eは、朝は「おはよう」のコメントが付加される方を選択し、退出時には「おつかれさま」のコメントが付加される方を選択する。設定時刻より所定時間10分前になると、ユーザBのクライアント端末C2に、「A君がもうすぐ起きます。ぜひメッセージを送信してください」と表示されメッセージ要求のポップアップが表示される。表示時間は30秒であり、その後、ポップアップは非表示となる。これにより、要求される側の負担を軽減し、且つ、要求に対して無反応であった場合でも要求元ユーザは「たまたま見ていなかった」といった理由付けが可能となり、精神的な負担が軽減される。ユーザBは、メッセージ入力用のインタフェース画面を表示させ、メッセージとして「おはよう。今日はとても良い天気だよ。ドライブがてら温泉にでも行こうか?」と入力する。設定時刻になると、ユーザAは通知手段1cからメールにより通知を受け、これにより起床が促される。通知には「通知の停止」作業用Webページへのリンクが表示されている。ユーザAは、何度か通知を受けた後、リンクを辿って「通知の停止」を行う。すると、データ要求提供システムSys2からメッセージと画像データの提供を受ける。メッセージには、ユーザBやその他仲間からのコメントが記載されており、画像データには仲間の顔等が映っている。ユーザAはこれらを見ることで、楽しい気持ちになり、且つ、仲間との繋がり感が醸成され、研究室へ出向くことのモティベーションが高められる。友人からのメッセージはユーザA自らが設定して要求するため、自己のペースで利用でき、適度な距離感もコントロールできるため、初期段階の不登校者や引きこもり者にも受け入れられやすい。
【0043】
(使用態様2)高齢者や長期入院患者による使用
高齢者や長期入院患者は、来客やお見舞いを待つといったように、他者との関わりにおいて受身的であることが多い。そこで、本システムを用いることにより、知人や友人に対してメッセージや画像データを要求することができる。これにより、孤独感や疎外感が緩和され、高齢者や長期入院患者の精神衛生に良い影響を与える。受身的になりがちな環境下でも、積極的に他者と関わることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】第1の実施の形態のデータ要求提供システムを説明する説明図。
【図2】各種インタフェース画面を説明する説明図。
【図3】各種データベースの構成を説明する説明図。
【図4】第2の実施の形態のデータ要求提供システムを説明する説明図。
【図5】上記実施の形態のデータベース及びインタフェース画面を説明する説明図。
【図6】本発明のデータ要求提供プログラム及びデータ要求提供システムの動作を説明する説明図。
【符号の説明】
【0045】
Sys1,Sys2 データ要求提供システム、C1,C2 クライアント端末C3 撮影手段用端末、Cm 撮影手段、1 通知処理部、1a 時刻設定受付手段、1b 要求先設定受付手段、 1c 通知手段、1d 停止受付手段、2 データ処理部、2a データ要求手段、2b データ受信手段、2c データ蓄積手段、2d データ提供手段、 3 画像処理部、3a 画像受信手段、3b 画像蓄積手段、4 カウント手段、DB1 設定データベース、DB2 受信データベース、DB3 画像データベース、N ネットワーク、W1〜W6 インタフェース画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対してネットワークを介してデータの要求と提供を行うデータ要求提供システムであり、
ユーザから時刻の設定を受け付ける時刻設定受付手段と、
ユーザからデータの要求先の設定を受け付ける要求先設定受付手段と、
前記設定時刻より所定時間前になると前記要求先に対して期間を限定してデータを要求するデータ要求手段と、
前記限定期間中のみ前記要求先からのデータを受信するデータ受信手段と、
前記受信したデータを記憶手段に蓄積記憶させるデータ蓄積手段と、
前記設定時刻になると前記ユーザに対して一回又は複数回通知する通知手段と、
前記ユーザからの要求に応じて前記記憶手段に蓄積したデータを提供するデータ提供手段とを備えることを特徴とするデータ要求提供システム。
【請求項2】
前記ユーザから前記通知手段による通知の停止を受け付ける停止受付手段を備え、
前記データ提供手段は、前記停止受付手段により停止を受け付けると、前記蓄積したデータを提供することを特徴とする請求項1記載のデータ要求提供システム。
【請求項3】
画像データを受信する画像受信手段と、
前記受信した画像データを記憶手段に蓄積記憶させる画像蓄積手段を備え、
前記通知手段による通知、又は、前記データ提供手段によるデータの提供とともに、前記画像データを提供することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のデータ要求提供システム。
【請求項4】
ユーザに対してネットワークを介してデータの要求と提供を行うためのデータ要求提供プログラムであり、
ユーザから時刻とデータの要求先の設定を受け付ける設定受付ステップと、
前記設定時刻より所定時間前になると前記要求先に対して期間を限定してデータを要求するデータ要求ステップと、
前記限定期間中のみ前記要求先からのデータを受信するデータ受信ステップと、
前記受信したデータを記憶手段に蓄積記憶させるデータ蓄積ステップと、
前記設定時刻になると前記ユーザに対して通知する通知ステップと、
前記ユーザからの要求に応じて前記記憶手段に蓄積したデータを提供するデータ提供ステップを備え、コンピュータをデータ要求提供システムとして機能させることを特徴とするデータ要求提供プログラム。
【請求項5】
前記ユーザから前記通知ステップにおける通知の停止を受け付ける停止受付ステップを備え、
前記データ提供ステップでは、前記停止受付ステップにおいて停止を受け付けると、前記蓄積したデータを提供することを特徴とする請求項4に記載のデータ要求提供プログラム。
【請求項6】
画像データを受信する画像受信ステップと、
前記受信した画像データを記憶手段に蓄積記憶させる画像蓄積ステップを備え、
前記通知ステップにおける通知、又は、前記データ提供ステップにおけるデータの提供とともに、前記画像データを提供することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のデータ要求提供プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−226055(P2008−226055A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65737(P2007−65737)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、知的創造による地域産学官連携強化プログラム「文部科学省 知的クラスター創成事業」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(304024430)国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 (169)