説明

データ記録装置及びデータ記録システム

【課題】本発明は、複数の記録したデータのうち任意のデータを他の位置で記録したデータと同期させて書き換えるデータ記録装置及びデータ記録システムを提供する。
【解決手段】データ記録システム1は、講演会等の映像と音声をビデオカメラ10のデータ入力部13と音声入力部15で取得してデータ記録部14と音声記録部16に記録する際に、高周波発生装置20が発生する高周波音を音声入力部10で取得して音声記録部16に記録するとともに、講演者の近くに配置したICレコーダ30で当該音声と高周波音を取得してICレコーダ30内のフラッシュメモリに記録する。その後、ICレコーダ30の記録している高周波音と音声記録部16の記録している高周波音とを同期させて、ICレコーダ30の記録しているデータで、音声記録部16の記録している音声データを書き換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ記録装置及びデータ記録システムに関し、詳細には、複数の記録したデータのうち任意のデータを他の位置で記録した同種類のデータと同期させて書き換えるデータ記録装置及びデータ記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数種類のデータを同時に取り込んで記録した後に、当該複数種類のデータのうち所定種類のデータが不良であることが判明したときに、不良のデータをどのように取り扱うかが重要な課題となっている。
【0003】
例えば、講演者がマイクに向かって話しをして、マイクから取り込んだ音声をスピーカから拡声出力する講演会等の様子をビデオカメラで撮影して、音声を含む映像として残す場合、撮影アングルによっては、講演者の席からある程度距離が離れた場所から撮影することが多い。このような場合、会場のスピーカからの音を集音した場合、周辺の人の声や雑音が入り、講演者の声をクリアに集音ことができない。
【0004】
そして、従来、乳幼児やペット等を撮影する場合に、カメラに興味を引き付けて撮影するカメラが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
ところが、このような撮影方法は、目的とする音を、周囲の音から区別して鮮明に録音することができない。
【0006】
そして、目的とする音に周囲の音が入ってしまう場合、このような周囲の音の混入を抑える方法としては、例えば、会場に音声収録設備が整っているときには、拡声用のマイクからの出力をスピーカへの音声入力とビデオカメラへの音声入力に分岐させて利用する分岐方式を用いる方法や場内の拡声用マイク以外に録音用のマイクを用意してその録音用マイクの出力をビデオカメラの音声入力とする録音用マイク方法がある。
【0007】
【特許文献1】特開2002−107807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術にあっては、より簡単に鮮明なデータを取り込む上で、改良の必要があった。
【0009】
すなわち、上記従来の分岐方法にあっては、拡声用マイクからの音声を録音するには、拡声用マイクで集音した音声を適当な音量に減衰調整する必要があり、会場等では雑音混入の可能性も高く、除去も難しく、高度な技術が必要であって、専門知識のない人が行うのは困難であり、改良の必要がある。
【0010】
また、上記録音用マイクを用いる方法にあっては、録音用マイクからビデオカメラまで音声データを有線または無線によって持ってくる必要があるが、無線を用いる場合には、混線を避けるため、会場等での無線の使用が禁止されることが多く、利用できない場合があり、現実的な方法ではない。また、有線を用いる場合には、録音用マイクの設置場所とビデオカメラとの距離が遠い場合には、長いコードを配線する必要があり、現実的に無理である。
【0011】
そして、講演者の席に録音装置を置いて講演者の話す声を直接録音し、後で、ビデオカメラで録音した音声と書き換えることで、映像と鮮明な音声を記録することが考えられるが、録音装置で記録した鮮明な音声とビデオカメラの音声とを同期させることが必要となる。
【0012】
このように、複数種類のデータを同時に取り込んで記録した後に、当該複数種類のデータのうち所定種類のデータが不鮮明等の不良がある場合に、鮮明なデータで簡単かつ容易に書き換える技術、特に、雑音の混入している音声を鮮明な音声で簡単かつ容易に書き換える技術が要望される。
【0013】
そこで、本発明は、複数の記録したデータのうち所定数の任意のデータを他の位置で記録した同種類のデータで簡単かつ高精度に書き換えて、良好なデータを簡単に記録するデータ記録装置及びデータ記録システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1記載の発明のデータ記録装置は、複数種類のデータをデータ取得手段で取得し、当該取得した各データを関連付けて記録手段に記録するデータ記録装置であって、マーキング発生手段が所定タイミングで発生する所定のマーキングデータを前記各データとともに前記記録手段に記録し、特定データ取得記録手段が前記複数種類のデータのうち所定種類のデータを取得して前記マーキングデータ発生手段の発生する前記マーキングデータとともに特定データ記録手段に記録し、当該特定データ記録手段の記録している前記マーキングデータと前記記録手段の記録している前記マーキングデータとを同期させて、当該特定データ記録手段の記録しているデータで、当該記録手段の記録している複数種類のデータのうち、当該特定データ記録手段の記録しているデータと同じ種類のデータを書き換えることにより、上記目的を達成している。
【0015】
請求項2記載の発明のデータ記録システムは、複数種類のデータをデータ取得手段で取得し、当該取得した各データを関連付けて記録手段に記録するデータ記録装置と、所定のマーキングデータを発生するマーキングデータ発生装置と、前記複数種類のデータのうち所定種類のデータを取得して特定データ記録手段に記録する特定データ取得記録装置と、を備えたデータ記録システムであって、前記データ記録装置と前記特定データ取得記録装置が、それぞれ前記データを取得して記録している所定のタイミングで、前記マーキングデータ発生装置が前記マーキングデータを発生し、前記データ記録装置が前記取得したデータとともに前記マーキングデータを取得して前記記録手段に記録し、前記特定データ取得記録装置が前記取得した所定種類のデータとともに前記マーキングデータを取得して前記特定データ記録手段に記録し、前記データ記録装置が、前記記録手段の記録している前記マーキングデータと前記特定データ記録手段の記録している前記マーキングデータとを同期させて、当該特定データ記録手段の記録しているデータで、当該記録手段の記録している複数種類のデータのうち、当該特定データ記録手段の記録しているデータと同じ種類のデータを書き換えることにより、上記目的を達成している。
【0016】
上記各場合において、例えば、請求項3に記載するように、前記データ記録装置または前記データ記録システムは、前記データ取得手段の取得するデータが音声データと映像データであり、前記特定データ取得記録手段または前記特定データ取得記録装置の取得するデータが音声データであり、前記マーキングデータ発生手段または前記マーキングデータ発生装置は、人間の可聴周波数領域を超える高周波音を発生する高周波発生手段または高周波発生装置であり、前記データ記録装置が前記取得したデータとともに前記高周波音を取得して前記記録手段に記録し、前記特定データ取得記録装置が前記取得した所定種類のデータとともに前記高周波音を取得して前記特定データ記録手段に記録し、前記データ記録装置が、前記記録手段の記録している前記高周波音と前記特定データ記録手段の記録している前記高周波音とを同期させて、当該特定データ記録手段の記録しているデータで、当該記録手段の記録している複数種類のデータのうち、当該特定データ記録手段の記録しているデータと同じ種類のデータを書き換えるものであってもよい。
【0017】
また、例えば、請求項4に記載するように、前記高周波発生手段または前記高周波発生装置は、前記データ記録装置の指定する周波数の高周波音を発生し、当該データ記録装置は、周囲の高周波を検知して、未使用の周波数の高周波音を当該高周波音発生手段または当該高周波発生装置に発生させるものであってもよい。
【0018】
さらに、例えば、請求項5に記載するように、前記データ記録装置は、マーキングデータの発生タイミングを指示操作する操作手段を備え、前記マーキングデータ発生手段または前記マーキングデータ発生装置が、当該操作手段で指示された発生タイミングで前記マーキングデータを発生するものであってもよい。
【0019】
また、例えば、請求項6に記載するように、前記データ記録装置は、前記マーキングデータの発生と同時に当該マーキングデータ発生タイミングを明示するマーキングデータ発生タイミング関連データを前記データとともに前記記録手段に記録するものであってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の発明のデータ記録装置によれば、複数種類のデータを取得して各データを関連付けて記録手段に記録する際に、マーキング発生手段が所定タイミングで発生する所定のマーキングデータを各データとともに記録手段に記録するとともに、特定データ取得記録手段が複数種類のデータのうち所定種類のデータを取得してマーキングデータ発生手段の発生するマーキングデータとともに特定データ記録手段に記録し、当該特定データ記録手段の記録しているマーキングデータと記録手段の記録しているマーキングデータとを同期させて、特定データ記録手段の記録しているデータで、記録手段の記録している複数種類のデータのうち、特定データ記録手段の記録しているデータと同じ種類のデータを書き換えるので、複数の記録したデータのうち任意のデータを別に記録した同種類のデータと簡単かつ高精度に書き換えることができ、良好なデータを簡単に記録することができる。例えば、講演会等の状況を映像と音声として取得して記録手段に記録した場合に、音声に周囲の雑音が混在していても、講演者の近くに特定データ取得記録手段としてICレコーダ等を配置して音声を記録し、マーキングデータとして、例えば、高周波音を発生して記録手段とICレコーダに記録し、この高周波音を利用して同期をとって、当該ICレコーダの音声データで記録手段の音声データを簡単かつ正確に書き換えることができる。
【0021】
本発明のデータ記録システムによれば、データ記録装置が、複数種類のデータを取得して各データを関連付けて記録手段に記録する際に、特定データ取得記録装置で、複数種類のデータのうち所定種類のデータを取得して特定データ記録手段に記録し、所定のタイミングで、マーキングデータ発生装置が発生するマーキングデータをデータ記録装置と特定データ取得記録装置がそれぞれ記録手段と特定データ記録手段に記録し、データ記録装置が、記録手段の記録しているマーキングデータと特定データ記録手段の記録しているマーキングデータとを同期させて、特定データ記録手段の記録しているデータで、記録手段の記録している複数種類のデータのうち、特定データ記録手段の記録しているデータと同じ種類のデータを書き換えるので、複数の記録したデータのうち所定数の任意のデータを別に記録した同種類のデータと簡単かつ高精度に書き換えることができ、良好なデータを簡単に記録することができる。例えば、講演会等の状況を映像と音声としてデータ記録装置としてのビデオカメラで取得して記録手段に記録した場合に、音声に周囲の雑音が混在していても、講演者の近くに特定データ取得記録手段としてICレコーダを配置して音声を記録し、マーキングデータとして、例えば、高周波音を発生して記録手段とICレコーダに記録し、この高周波音を利用して同期をとって、当該ICレコーダの音声データで記録手段の音声データを簡単かつ正確に書き換えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【実施例1】
【0023】
図1及び図2は、本発明のデータ記録装置及びデータ記録システムの一実施例を示す図であり、図1は、本発明のデータ記録装置及びデータ記録システムの一実施例を適用したデータ記録システム1のシステム構成図である。
【0024】
図1において、データ記録システム1は、データ記録装置としてのビデオカメラ10、高周波発生装置(マーキングデータ発生装置、マーキング発生手段)20及びICレコーダ(特定データ取得記録装置、特定データ取得記録手段)30で構成されており、ビデオカメラ10は、制御部11、操作表示部12、データ入力部13、データ記録部14、音声入力部15及び音声記録部16等を備えている。
【0025】
データ入力部(データ取得手段)13は、レンズ、CCD(Charge Coupled Device )、増幅器等を備え、被写体の映像を撮影して、映像データとしてデータ記録部14に入力する。
【0026】
データ記録部14は、ハードディスク、CD(Compact Disc)、大容量RAM(Random Access Memory)等の記録媒体で構成され、データ入力部13から入力される映像データを、時間の経過とともに変化する経時変化データとして時系列に記録する。
【0027】
音声入力部(データ取得手段)15は、マイク、増幅器等を備え、マイクで集音した音声を増幅して、音声データとして音声記録部16に入力する。
【0028】
音声記録部(記録手段)16は、上記データ記録部14と同じ記録媒体であるが、その記録領域が映像データの記録領域とは異なる記録領域に時系列に、音声入力部15から入力される記録する。この音声データと映像データは、同時に記録処理が行われるため、同期が取られた状態で記録される。
【0029】
制御部11は、ビデオカメラ10の各部を制御して、ビデオカメラ10としての処理を行わせるとともに、後述する音声データ同期書換処理を実行する。また、制御部11は、クロック発生器、分周器等を備え、現在時刻を計時したり、タイマー機能を備えている。
【0030】
操作表示部(操作手段)12は、ビデオカメラ10の各種操作を行う操作ボタン等を備えているとともに、撮影映像や集音音声の出力及び記録した映像データや音声データの再生出力を行う表示部及びスピーカ等を備えており、表示部には、さらに、後述する音声データ同期書換処理を行う際の必要な情報を表示出力する。
【0031】
IC(Integrated Circuit:集積回路)レコーダ30は、マイク、増幅器等で音声を集音・増幅して、内部のフラッシュメモリ(特定データ記録手段)に音声データを記録する。ICレコーダ30は、図示しないが、時計機構を備えており、時刻データとともに音声データを時系列に記録する。
【0032】
高周波発生装置20は、人間の可聴周波数領域を超える高周波音(マーキングデータ)を発生させるものであり、ビデオカメラ10の制御部11に接続されて、制御部11からの高周波発生指示信号に同期して高周波音を発生させる。高周波発生装置20の発生する高周波音は、ビデオカメラ10の音声入力部15及びICレコーダ30にも入力される。ビデオカメラ10は、音声入力部15が、この高周波音を取り込んで音声記録部16に入力して、音声記録部16がこの高周波音を記録し、ICレコーダ30は、高周波発生装置20からの高周波音を取り込んで内部のフラッシュメモリに記録する。
【0033】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例のデータ記録システム1は、例えば、講演会において、ビデオカメラ10で講演者の映像の撮影とともに音声を録音し、この録音した講演者の音声データを、講演者の近くに設置したICレコーダ30で録音した鮮明な講演者の音声データで書き換える。
【0034】
すなわち、講演会等でのビデオカメラ10による講演者のビデオ撮影においては、データ入力部13で映像を撮影してデータ記録部14に時系列に記録するとともに、音声入力部15から講演者の音声を集音して音声記録部16に記録するが、音声入力部15がビデオカメラ10自体に設けられているため、撮影位置等の関係から周囲の雑音が音声入力部15から取り込まれて講演者の音声とともに音声記録部16に記録され、不鮮明な音声が記録されることとなる。
【0035】
そこで、ICレコーダ30を講演者の近く、例えば、講演者の演台の上や胸ポケット等に配置して、ICレコーダ30で講演者の鮮明な音声を取り込んで、内部のフラッシュメモリに音声データとして時系列に記録する。このとき、ICレコーダ30は、時計機構を備えているため、音声データとともに時刻データを一緒に記録する。
【0036】
そして、ビデオカメラ10で記録した不鮮明な音声データを、ICレコーダ30で記録した鮮明な音声データで書き換えることで、鮮明な音声と映像をビデオカメラ10に記録する。
【0037】
ところが、ビデオカメラ10で記録した音声データをICレコーダ30で記録した音声データで書き換えるには、双方の音声データの同期をとって書き換えを行う必要があるが、単にビデオカメラ10の音声データ記録部16に音声データとともに記録されている時刻データとICレコーダ30に音声データとともに記録されている時刻データのみに基づいては、双方の音声データの同期を厳密に取ることは困難である。
【0038】
すなわち、ビデオカメラ10の音声データとICレコーダ30の音声データの同期を時刻データに基づいて取る場合、ビデオカメラ10の時計機構の計時する時刻とICレコーダ30の計時する時刻とが厳密に一致している必要があるとともに、同期を図る際に、双方の時刻データを厳密に一致させて音声データの書き換えを行う必要がある。
【0039】
ところが、例えば、講演会で講演者が厳密に正確な絶対時刻で、10:32:10に、「こんいちは、今日はいい天気ですね」と話した場合、ビデオカメラ10での音声データの記録が、図2(a)に示すような状況であり、ICレコーダ30での音声データの記録が、図2(b)に示すような状況であったとき、図2から分かるように、それぞれの時刻データに基づいてビデオカメラ10の音声データ記録部16の音声データである「こんにちは、今日はいい天気ですね」(以下、必要に応じて、目的音声データという)とICレコーダ30の音声データである「こんにちは、今日はいい天気ですね」(以下、必要に応じて、目的音声データという)とは、絶対時刻は同じであるが、ビデオカメラ10の時計機構の計時する時刻とICレコーダ30の時計機構の計時する時刻とが異なっており、双方の時計機構で同じ時間に録音を開始させたとしても、音声データが録音されるまでの時間が異なっているため、ビデオカメラ10の音声データである「こんにちは、今日はいい天気ですね」を、時刻に基づいて同期をとって、ICレコーダ30の音声データである「こんにちは、今日はいい天気ですね」で書き換えるのは困難である。
【0040】
そこで、本実施例のデータ記録システム1では、図2に示すように、ビデオカメラ10とICレコーダ30の双方で録音を開始した後、音声データである「こんにちは、今日はいい天気ですね」を記録する前の所定のタイミングで、高周波発生装置20に高周波音を発生させて、ビデオカメラ10とICレコーダ30の双方に高周波音を記録させる。
【0041】
すなわち、図2の場合、以下のタイミングで、記録を行う。
【0042】
1.絶対時刻10:15:00にICレコーダ30の録音開始
2.絶対時刻10:30:00にビデオカメラ10の録音開始。
3.同期が必要なビデオカメラ10とICレコーダ30が録音開始していることを確認した上で、絶対時刻10:31:00に高周波発生装置20を駆動させて高周波音を発生させ、ビデオカメラ10とICレコーダ30の双方で、マーキング用の高周波音を録音する。
4.絶対時刻10:32:10に、ビデオカメラ10とICレコーダ30で音声データである「こんにちは、今日はいい天気ですね」を記録する。
5.絶対時刻11:00:00にビデオカメラ10の録音終了。
6.絶対時刻11:10:00にICレコーダ30の録音終了。
【0043】
このようにして記録したビデオカメラ10の音声データとICレコーダ30の音声データの録音状況は、それぞれの時計機構で計時した時刻によると、図3(a)に示すように記録され、録音開始から目的音声データの記録までの間に高周波音がマーキングデータとして記録されている。
【0044】
なお、上記高周波発生装置20の駆動タイミング、すなわち、高周波音の発生タイミングは、制御部11が、ビデオカメラ10とICレコーダ30の双方の録音開始後の所定タイミングに自動的に高周波発生装置20に高周波発生指示信号を出力することで決定してもよいし、オペレータ(人間)が制御部11に接続されている操作表示部12の高周波発生装置20の駆動を開始させるためのボタンを操作することで決定してもよい。
【0045】
また、高周波発生装置20の発生する高周波音は、人間の可聴周波数領域を超えた周波数の音であって、人間には聴こえない音であるので、邪魔にはならない。
【0046】
そして、講演会での録音が終了すると、ビデオカメラ10にICレコーダ30を接続して、以下のようにしてビデオカメラ10の音声データを、高周波音を利用して、ICレコーダ30の音声データで書き換える。
【0047】
すなわち、ビデオカメラ10に対して、ICレコーダ30の音声データが入力されて、操作表示部12の同期開始ボタンが押されると、制御部11は、ビデオカメラ10の音声記録部16に記録されている録音開始から録音終了までの音声データの周波数分析を行うとともに、ICレコーダ30から入力される録音開始から録音終了までの音声データの周波数分析を行い、高周波音を検出する。
【0048】
制御部11は、図3(b)に示すように、ビデオカメラ10の音声データの高周波音の記録タイミングとICレコーダ30の音声データの高周波音の記録タイミングを一致させた上で、ビデオカメラ10の音声記憶部16の音声データを、ICレコーダ30の音声データに差し替えて、または、ICレコーダ30の音声データで上書きすることで、書き換える。
【0049】
この場合、ビデオカメラ10とICレコーダ30の双方に記録されている高周波音は、1つの高周波発生装置20から発生された高周波音であるため、この双方の高周波音の記録タイミングを一致させることで、ビデオカメラ10の音声記録部16の目的音声データをICレコーダ30の目的音声データで簡単にかつ正確に書き換えることができる。
【0050】
このように、本実施例のデータ記録システム1は、講演会等の状況をビデオカメラ10で映像と音声を取得して記録する際に、高周波発生装置20が所定タイミングで発生する高周波音を音声とともに音声記録部16に記録するとともに、講演者の近くに配置したICレコーダ30で講演者の音声と高周波発生装置20の発生する高周波音を取得してICレコーダ30内のフラッシュメモリに記録し、当該ICレコーダ30の記録している高周波音と音声記録部16の記録している高周波音とを同期させて、ICレコーダ30の記録している音声データで、音声記録部16の記録している音声データを書き換えている。
【0051】
したがって、音声データを鮮明に記録できる場所等で記録した音声データと簡単かつ高精度に差し替えまたは上書きして、書き換えることができ、良好なデータを簡単に記録することができる。
【0052】
また、本実施例のデータ記録システム1は、高周波発生装置20が、人間の可聴周波数領域を超える高周波音を発生し、当該高周波音を利用して、音声記録部16の音声データをICレコーダ30の音声データで書き換えている。
【0053】
したがって、書き換える音声データに対してノイズ等とはならず、適切に音声データの書き換えを行うことができる。
【0054】
さらに、本実施例のデータ記録システム1は、高周波発生装置20の発生する高周波音が、周囲の種々の機器の発生する高周波音と紛らわしい周波数であると、ビデオカメラ10の音声データとICレコーダ30の音声データの高周波音の記録タイミングを一致させる際に誤差が発生するおそれがある。
【0055】
そこで、高周波発生装置20は、人間の可聴周波数を超える周波数帯の高周波音を選択に応じて発生させる機能を有しており、ビデオカメラ10は、高周波発生装置20に高周波音を発生させる前に、制御部11が、音声入力部15から入力される周囲の高周波音を検出して、当該検出した高周波音の周波数から高周波発生装置20の発生する周波数帯域のうち、当該検出した高周波音の周波数を省いた周波数、すなわち、現在使用されていない周波数から高周波発生装置20に発生させる周波数を自動選択、または、操作表示部12の表示部に表示して、オペレータが操作表示部12の操作で選択する。
【0056】
そして、ビデオカメラ10は、その制御部11が上記選択した周波数の指定を伴う高周波発生指示信号を高周波発生装置20に出力する。
【0057】
高周波発生装置20は、周波数を指定した高周波発生指示信号がビデオカメラ10の制御部11から入力されると、当該指定された周波数の高周波音を発生する。
【0058】
したがって、ビデオカメラ10は、ICレコーダ30の音声データでビデオカメラ10の音声記憶部16の音声データを書き換える際に、周囲の高周波音との混同を適切に避けたマーク用高周波音に基づいてより一層正確にかつ容易にICレコーダ30の音声データとビデオカメラ10の音声データのタイミングを一致させることができ、より一層正確に書き換えることができる。
【0059】
また、本実施例のデータ記録システム1は、ビデオカメラ10が、音声データを音声記録部16に記録する際及びデータ記録部14に映像データを記録する際に制御部11からの時刻データを一緒に記録し、また、ICレコーダ30は、音声データを記録する際に時刻データを一緒に記録するとともに、高周波発生装置20の発生する高周波音を記録するが、この高周波音は、消失されることがある。例えば、ビデオカメラ10が音声記録部16に音声データを記録した後に、例えば、所定の圧縮処理等を行った後に伸張すると、圧縮方法によっては可聴領域以外の音は、復元されず消失することがある。
【0060】
そこで、本実施例のデータ記録システム1は、ビデオカメラ10の制御部11が、高周波発生装置20に高周波発生指示信号を出力したタイミングで、当該高周波音発生タイミングを明示する時刻情報(マーキングデータ発生タイミング関連データ)、例えば、記録時間のリセット処理を行って、記録時間を00:00:00としたり、記録開始からの経過時間を記録したり等の高周波音発生タイミング時刻を音声記録部16に記録する。
【0061】
このように高周波音発生タイミング時刻を音声記録部16に記録すると、ビデオカメラ10の音声データの高周波音の記録タイミングとICレコーダ30の音声データの高周波音の記録タイミングを一致させる場合に、ビデオカメラ10の高周波音が消失していても、ビデオカメラ10の高周波音発生タイミング時刻とICレコーダ30の超音波音の記録タイミングに基づいて、簡単かつ正確に一致させることができる。また、このようにすると、ビデオカメラ10の音声記録部16に高周波音を残したくない場合には、この高周波音を消失させることができるとともに、ビデオカメラ10の音声データを正確にICレコーダ30の音声データで書き換えることができる。
【0062】
なお、マーキングデータ発生タイミング関連データとしては、高周波音発生タイミング時刻に限るものではなく、ICレコーダ30の高周波穏当のマーキングデータとの間で適切にタイミング調整できるものであればよい。
【0063】
なお、上記実施例の説明においては、データとして映像データと音声データを採用して、ビデオカメラ10で映像とともに、音声を記録して、音声データを書き換える場合について説明したが、データとしては、映像データと音声データに限るものではなく、例えば、温度データ、湿度データ、キーボード入力データ、マウスの動きのデータ及びコンピュータの画面データ等であってもよい。
【0064】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
一旦記録した複数種類のデータのうち、所定種類のデータを他の機器等で記録した同種類のデータで書き換えるデータ記録装置及びデータ記録システムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明のデータ記録装置及びデータ記録システムの一実施例を適用したデータ記録システムのシステム構成図。
【図2】図1のビデオカメラとICレコーダの音声データの記録状態の一例を時刻情報とともに示す図。
【図3】図1のビデオカメラとICレコーダの記録する音声データの高周波音に基づくタイミング調整前の記録状態(a)とタイミング調整後の記録状態(b)を示す図。
【符号の説明】
【0067】
1 データ記録システム
10 ビデオカメラ
11 制御部
12 操作表示部
13 データ入力部
14 データ記録部
15 音声入力部
16 音声記録部
20 高周波発生装置
30 ICレコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のデータをデータ取得手段で取得し、当該取得した各データを関連付けて記録手段に記録するデータ記録装置であって、マーキング発生手段が所定タイミングで発生する所定のマーキングデータを前記各データとともに前記記録手段に記録し、特定データ取得記録手段が前記複数種類のデータのうち所定種類のデータを取得して前記マーキングデータ発生手段の発生する前記マーキングデータとともに特定データ記録手段に記録し、当該特定データ記録手段の記録している前記マーキングデータと前記記録手段の記録している前記マーキングデータとを同期させて、当該特定データ記録手段の記録しているデータで、当該記録手段の記録している複数種類のデータのうち、当該特定データ記録手段の記録しているデータと同じ種類のデータを書き換えることを特徴とするデータ記録装置。
【請求項2】
複数種類のデータをデータ取得手段で取得し、当該取得した各データを関連付けて記録手段に記録するデータ記録装置と、所定のマーキングデータを発生するマーキングデータ発生装置と、前記複数種類のデータのうち所定種類のデータを取得して特定データ記録手段に記録する特定データ取得記録装置と、を備えたデータ記録システムであって、前記データ記録装置と前記特定データ取得記録装置が、それぞれ前記データを取得して記録している所定のタイミングで、前記マーキングデータ発生装置が前記マーキングデータを発生し、前記データ記録装置が前記取得したデータとともに前記マーキングデータを取得して前記記録手段に記録し、前記特定データ取得記録装置が前記取得した所定種類のデータとともに前記マーキングデータを取得して前記特定データ記録手段に記録し、前記データ記録装置が、前記記録手段の記録している前記マーキングデータと前記特定データ記録手段の記録している前記マーキングデータとを同期させて、当該特定データ記録手段の記録しているデータで、当該記録手段の記録している複数種類のデータのうち、当該特定データ記録手段の記録しているデータと同じ種類のデータを書き換えることを特徴とするデータ記録システム。
【請求項3】
前記データ記録装置または前記データ記録システムは、前記データ取得手段の取得するデータが音声データと映像データであり、前記特定データ取得記録手段または前記特定データ取得記録装置の取得するデータが音声データであり、前記マーキングデータ発生手段または前記マーキングデータ発生装置は、人間の可聴周波数領域を超える高周波音を発生する高周波発生手段または高周波発生装置であり、前記データ記録装置が前記取得したデータとともに前記高周波音を取得して前記記録手段に記録し、前記特定データ取得記録装置が前記取得した所定種類のデータとともに前記高周波音を取得して前記特定データ記録手段に記録し、前記データ記録装置が、前記記録手段の記録している前記高周波音と前記特定データ記録手段の記録している前記高周波音とを同期させて、当該特定データ記録手段の記録しているデータで、当該記録手段の記録している複数種類のデータのうち、当該特定データ記録手段の記録しているデータと同じ種類のデータを書き換えることを特徴とする請求項1記載のデータ記録装置または請求項2記載のデータ記録システム。
【請求項4】
前記高周波発生手段または前記高周波発生装置は、前記データ記録装置の指定する周波数の高周波音を発生し、当該データ記録装置は、周囲の高周波を検知して、未使用の周波数の高周波音を当該高周波音発生手段または当該高周波発生装置に発生させることを特徴とする請求項3記載のデータ記録装置またはデータ記録システム。
【請求項5】
前記データ記録装置は、マーキングデータの発生タイミングを指示操作する操作手段を備え、前記マーキングデータ発生手段または前記マーキングデータ発生装置が、当該操作手段で指示された発生タイミングで前記マーキングデータを発生することを特徴とする請求項4記載のデータ記録装置またはデータ記録システム。
【請求項6】
前記データ記録装置は、前記マーキングデータの発生と同時に当該マーキングデータ発生タイミングを明示するマーキングデータ発生タイミング関連データを前記データとともに前記記録手段に記録することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のデータ記録装置またはデータ記録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−213710(P2007−213710A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32957(P2006−32957)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】