説明

データ読み出し装置及びこれを用いた音楽再生装置、データ読み出し方法、並びに、プログラム

【課題】HDD装置の駆動音による利用者への不快感を低減させることができるデータ読み出し装置及びこれを用いた音楽再生装置、データ読み出し方法、並びに、プログラムを提供する。
【解決手段】システムマイコンは、HDD装置を起動し、楽曲データをバッファメモリに蓄積させる。データ量がV2(%)に到達したら、HDD装置を休止し、蓄積した楽曲データを放出して音声として再生する。システムマイコンは、楽曲データを解析し、データ残量が所定量V3(%)以下で楽曲データの振幅レベルがしきい値La以上の範囲でHDD装置の動作が行われるようにHDD装置を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HDD(Hard Disk Drive)装置を備えるデータ読み出し装置及びこれを用いた音楽再生装置、データ読み出し方法、並びに、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば映像音声再生装置において、再生される音声情報以外に機器から発生する騒音等による利用者への不快感を低減させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示された映像音声再生装置は、DVD(Digital Versatile Disk)から再生される音声情報のレベルに基づいて、装置の筐体内部を冷却するファンの回転速度を制御する。
【特許文献1】特開2006−179071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、オーディオ機器においてHDD装置(以下、単にHDDともいう)が用いられることが増えてきている。このようなオーディオ機器の場合、HDDに予め楽曲データを格納しておき、再生時にはHDDへのアクセスを間欠的に行って楽曲データを読み出す。
【0005】
楽曲の再生時は、例えば以下のようなプロセスで行われる。まず、HDDを起動しアクセスする。続いて、HDDからデータを読み出してバッファメモリに所定の容量までデータを蓄える。その後、HDDは休止してバッファメモリに蓄えたデータを吐き出すことで音声再生を開始する。そして、メモリ内のデータ残量が所定の量以下となった際に再びHDDへアクセスを行いデータの読み出しを行う。
【0006】
HDDにアクセスを行うとHDD内ではディスクが回転を始め、ヘッドを所定の位置まで動かし、データの読み出しを行うが、その一連の動作において駆動音が発生する。特に、アクセス性能を高めた高回転のHDDでは、駆動音が大きくなりやすい。音楽鑑賞時には、この駆動音がノイズとして聞こえるため、利用者に不快感を与えてしまう。クラシック等の音楽ジャンルにおいては特に、再生音量が小音量となる頻度が高い為に、HDDの駆動音がなおさら目立ってしまう。
【0007】
特許文献1に開示された技術は、機器使用時に継続して運転されるファンのような装置の駆動音に対するものであり、HDDのように間欠駆動される装置の駆動音を目立たせないようにすることは困難である。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、HDD装置の駆動音による利用者への不快感を低減させることができるデータ読み出し装置及びこれを用いた音楽再生装置、データ読み出し方法、並びに、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るデータ読み出し装置は、
楽曲データを記憶するディスクドライブ装置と、
前記楽曲データを一時記憶するバッファメモリと、
前記ディスクドライブ装置から前記楽曲データを読み出し、前記バッファメモリに転送する転送手段と、
前記バッファメモリから前記楽曲データを読み出し、音声として再生する再生手段と、
前記再生手段により再生される楽曲の音量を検出する音量検出手段と、
前記バッファメモリのデータ残量を検出する残量検出手段と、
前記再生される楽曲の音量が、前記音量検出手段により所定音量よりも大きいと判断され、且つ前記バッファメモリのデータ残量が前記残量検出手段により所定残量よりも小さいと判断された場合に、前記ディスクドライブ装置を動作させて前記転送手段に前記楽曲データを転送させ、前記音量が前記所定音量よりも小さい場合に、前記ディスクドライブ装置を休止させる制御手段と、を備える、
ことを特徴とする。
【0010】
前記制御手段は、前記楽曲データを解析して得られた音声信号の振幅が所定の判定値より大きいときに、前記楽曲の音量が所定音量よりも大きいと判定する振幅判定手段を備える、
こととしてもよい。
【0011】
楽曲データを音声に再生して放音する放音手段と、
前記放音手段により放音された再生楽曲の音声を収音する収音手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、前記収音手段により収音された音声を解析して得られた音声信号の振幅が所定の判定値より大きいときに、前記楽曲の音量が所定音量よりも大きいと判定する振幅判定手段を備える、
こととしてもよい。
【0012】
前記バッファメモリのデータ残量が前記所定残量よりも小さく、且つ前記楽曲の音量が前記所定音量よりも小さい場合に、
前記制御手段は、前記バッファメモリに転送可能なデータ量を前記バッファメモリの残容量よりも小さくなるように設定して前記ディスクドライブ装置を動作させ、
前記転送手段は、前記転送可能なデータ量の楽曲データを前記バッファメモリに転送する、
こととしてもよい。
【0013】
前記楽曲データは、当該楽曲の音楽ジャンルを示すジャンル情報を含んでおり、
前記制御手段は、前記楽曲データから前記ジャンル情報を取得するジャンル取得手段を備え、前記バッファメモリの所定残量の値を、前記音楽ジャンルに基づいて設定する、
こととしてもよい。
【0014】
本発明の第2の観点に係る音楽再生装置は、上述したデータ読み出し装置から構成されることを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の観点に係るデータ読み出し方法は、
楽曲データが格納されたディスクドライブ装置を起動する起動ステップと、
前記ディスクドライブ装置から楽曲データを読み出してバッファメモリに記憶させるバッファメモリ記憶ステップと、
前記ディスクドライブ装置を休止させる休止ステップと、
前記バッファメモリに前記楽曲データを放出させ、楽曲を再生する再生ステップと、
再生される楽曲の音量が所定音量よりも大きく、且つ前記バッファメモリのデータ残量が所定残量以下の領域で、前記休止ステップで休止した前記ディスクドライブ装置の動作開始時期を求める動作開始時期決定ステップと、を備える、
ことを特徴とする。
【0016】
本発明の第4の観点に係るプログラムは、
コンピュータに、
楽曲データが格納されたディスクドライブ装置を起動する起動ステップと、
前記ディスクドライブ装置から楽曲データを読み出してバッファメモリに記憶させるバッファメモリ記憶ステップと、
前記ディスクドライブ装置を休止させる休止ステップと、
前記バッファメモリに前記楽曲データを放出させ、楽曲を再生する再生ステップと、
再生される楽曲の音量が所定音量よりも大きく、且つ前記バッファメモリのデータ残量が所定残量以下の領域で、前記休止ステップで休止した前記ディスクドライブ装置の動作開始時期を求める動作開始時期決定ステップと、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、再生される楽曲の音声が大きいときにHDD装置へのアクセスを行うことにより、HDD装置の駆動音を楽曲の音声でマスキングするため、HDD駆動音による利用者への不快感を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係るデータ読み出し装置について添付図面を参照して説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る読み出し装置10は、システムマイコン11、HDD装置12、バッファメモリ13、DSP(Digital Signal Processor)14、D/A(Digital/Analog)コンバータ15、増幅部16、出力部17、操作部18、及び、表示部19を備えている。なお、図1中実線の矢印はデータ信号の流れを示し、破線の矢印は制御信号の流れを示す。
【0020】
システムマイコン11は、HDD装置12、バッファメモリ13、DSP14、操作部18、表示部19等、読み出し装置10の機能全般を制御する。また、システムマイコン11は、後述する所定の処理を記述したプログラムが格納された記憶装置を含む。
【0021】
HDD装置12は、楽曲データを格納する記憶装置である。図1に示すように、HDD装置12は、駆動用のモータ12aを備えている。なお、後述する本実施形態の動作を行うために、HDD装置12に対して、外部から所定の方法で予め楽曲データが記憶されている。
【0022】
バッファメモリ13は、HDD装置12から読み出された楽曲データを一時格納しておき、楽曲データを音声として再生する際に、記憶した楽曲データをDSP14に放出する記憶装置である。このバッファメモリ13は、ダブルポートを備えるFIFO(First In First Out)のメモリである。また、バッファメモリ13は、このバッファメモリ13に記憶しているデータの残量についての情報を、システムマイコン11に供給する。
【0023】
DSP14は、システムマイコン11からの制御により、デジタル音声信号に対してエンコード/デコードの処理を行い、D/Aコンバータ15に送出する。
【0024】
D/Aコンバータ15は、DSP14から送出されたデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、増幅部16に送出する。
【0025】
増幅部16は、アナログ変換された音声信号を増幅し、出力部17に送出する。出力部17は、入力されたアナログ信号を音声として出力する、例えばスピーカである。
【0026】
操作部18は、タッチキー等を備えており、利用者からの楽曲の再生等の指示をシステムマイコン11に入力する。
【0027】
表示部19は、楽曲の再生状況、曲名等の楽曲データに含まれる情報、及び利用者からの指示内容等を表示する。
【0028】
次に、上記のように構成された本実施形態の読み出し装置10の動作について説明する前に、従来の読み出し動作について図2を参照して説明する。図2は、バッファメモリ内の楽曲データのデータ量及び再生された音声の振幅レベルと、時間との関係を示すグラフである。
【0029】
図2に示すように、初期状態(時刻T10)ではバッファメモリ内に楽曲データは蓄積されていない。従って、この時点では音声の再生は行われない。
【0030】
HDDから読み出された楽曲データは、バッファメモリに蓄積される。この動作は、バッファメモリ内のデータ量がデータ量V2(%)になるまで行われる。なお、図2にハッチングで示す区間は、HDDへのアクセスが行われることを示す。
【0031】
バッファメモリ内のデータ量がデータ量V2まで蓄積される(時刻T11)と、読み出し装置は音声の再生を開始する(時刻t0)。なお、再生される音声情報の振幅レベルは、図2に示すように、所定のしきい値Laを挟んで曲線状に変化する。この変化において、振幅レベルがしきい値Laを上方向又は下方向に通過する時刻をt1〜t8で表している。つまり、図2において、時刻t0〜時刻t1、時刻t2〜時刻t3、時刻t4〜時刻t5、時刻t6〜時刻t7は、振幅レベルがしきい値Laより小さい区間である。これに対して、時刻t1〜時刻t2、時刻t3〜時刻t4、時刻t5〜時刻t6、時刻t7〜時刻t8は、振幅レベルがしきい値Laより大きい区間である。
【0032】
音声の再生が進むに従って、バッファメモリ内のデータ量は減少していき、時刻T12にデータ量V1(%)となる。ここで、再びHDDにアクセスしてバッファメモリに対するデータの蓄積が行われる。なお、データ蓄積の間もデータ量V1分の音声の再生は継続して行われる。データ量がデータ量V2になる(時刻T13)と、時刻T12〜時刻T13の間に蓄積されたデータを放出して音声を再生する。時刻T14以降についても同様にデータの蓄積と放出とが繰り返して行われる。
【0033】
図2に示した例では、時刻T12〜時刻T13の間は時刻t4〜時刻t5に含まれている。即ち、音声情報の振幅レベルがしきい値Laより小さいときにHDDへのアクセスが行われる。これにより、モータ駆動等に起因するHDDの駆動音が利用者に耳障りとなりやすい。
【0034】
以下、図3,図4に、本実施形態の読み出し装置10によるデータ読み出し動作を示す。図3は、本実施形態のデータ読み出し処理を示すフローチャートである。図4は、図2と同様の関係を示すグラフである。また、図4において、再生される音声情報の振幅レベルと時間(t0〜t8)との関係も図2と同様である。
【0035】
図4に示すように、データ読み出し処理が開始されると、先ず、HDD装置12が起動される(ステップS11)。このときの時刻は、図4に示す時刻T20であり、バッファメモリ13内に楽曲データは蓄積されていない。従って、この時点では音声の再生はまだ行われない。
【0036】
その後、システムマイコン11がHDD12から楽曲データを読み出し、バッファメモリ13に蓄積する(ステップS12)。この動作は、バッファメモリ13内のデータ量が所定の記憶最大量V2(%)になるまで行われる(ステップS13:NO)。なお、図4にハッチングで示す区間は、HDD11へのアクセスが行われる区間であることを示す。
【0037】
バッファメモリ13内のデータ量がデータ量V2まで蓄積される(時刻T21、ステップS13:YES)と、システムマイコン11は、HDD装置12の動作を休止させる。それとともに、読み出し装置10は音声の再生を開始する(時刻t0、ステップS14)。
【0038】
システムマイコン11は、再生される楽曲データを解析し、データ残量が図4に示すV3(%)〜V1(%)の領域で、バッファメモリ13に楽曲データを読み込むために、休止していたHDD装置12の動作を開始する時刻(以下、読込み時刻という)を設定する。ここでは、時刻t3〜時刻t4の区間で振幅レベルがしきい値Laより大きい範囲での読込みであるので、システムマイコン11は、データ蓄積最大値をV2に設定し(ステップS16)、読込み時刻を求める(ステップS17)。具体的には、システムマイコン11は、時刻T22をHDD装置12の読込み時刻とする。
【0039】
ここで、時刻T22を読込み時刻とする理由は以下のとおりである。時刻T21から時刻T22にかけて減少するデータ量を外挿したとき、データ量V1の線との交点の時刻をデータ読み出しの終了時刻とし、これに合わせて読込み時刻を決定することとしてもよい。この場合には、読込み時刻が時刻T22よりやや遅くなる。しかし、時刻t4において振幅レベルがしきい値Laを通過して小さくなるため、一部ではあるが振幅がしきい値Laより小さくなる時間にアクセスが行われることとなる。そこで、システムマイコン11は、データ読み出しの終了時刻を時刻t4に対応させて時刻T23とし、それに合わせて読込み時刻T22を決定する。これにより、HDD装置12へのアクセスを振幅レベルがしきい値Laより大きい間に行うことができる。
【0040】
その後、処理はステップS11に戻り、システムマイコン11は、時刻T22を読込み時刻として、HDD装置12から楽曲データの読み出しを行う。
【0041】
その後、データ量がV2まで蓄積される(時刻T23)と、システムマイコン11はHDD装置12へのアクセスを休止し、バッファメモリ13に蓄積された楽曲データを放出する。
【0042】
その後、システムマイコン11は、データ蓄積最大値をV2に設定し(ステップS16)減少するデータ量の軌跡を外挿した線とデータ量V1との交点(時刻T25)がデータ読み出しの終了時刻となるように読込み時刻T24を決定する(ステップS17)。そして、処理はステップS11に戻る。
【0043】
システムマイコン11は、時刻T24〜時刻T25の間HDD装置12にアクセスしてデータを読み出し、バッファメモリ13に蓄積させる。そして、システムマイコン11は、時刻T25になるとHDD装置12へのアクセスを休止し、蓄積した楽曲データを放出して音声の再生を行う。
【0044】
その後、データ量が所定量V3以下となるが、時刻t6〜時刻t7の区間は振幅レベルがしきい値Laより小さい。そのため、システムマイコン11は、バッファメモリ13へのデータ蓄積を、所定の記憶最大量V4(%)まで行うように設定する(ステップS18)。この記憶最大量V4は、バッファメモリ13の最大容量V2より小さい。
【0045】
また、システムマイコン11は、データ量がデータ量V1になったとき(時刻T26)を読込み時刻として決定する(ステップS19)。そして、処理はステップS11に戻る。
【0046】
このように、記憶最大量V4を設定することにより、やむを得ず振幅レベルがしきい値Laより小さい区間でHDD装置12へのアクセスを行う場合に、従来(例えば図2の時刻T12〜時刻T13)と比べてHDD装置12へのアクセス時間が短くなり、利用者に与える不快感を低減させることができる。
【0047】
データ蓄積によりデータ量がV4になる(時刻T27)と、システムマイコン11はHDD装置12へのアクセスを休止し、蓄積した楽曲データを放出して音声の再生を行う。その後、読込み時刻T28が時刻T24のときと同様に決定される。システムマイコン11は、時刻T28〜時刻T29の間HDD装置12にアクセスし、バッファメモリ13のデータ量がV2となるまで楽曲データを蓄積させる。以降、音声の再生が終了するまで図3,図4に示す動作が継続して行われる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態では、再生される楽曲の音声信号を解析し、音量が所定値よりも大きくなるタイミングに合わせてHDDを起動し、音量が所定値よりも小さくなるときにはHDDをなるべく休止させる。これにより、HDDの駆動音が楽曲の音声でマスキングされることで、不快なノイズ感を無くし快適な音楽鑑賞を行うことができる。
【0049】
また、図3に示すデータ量V3〜データ量V1の間で読込み時刻を適宜調整することにより、より効果的にHDDの駆動音のマスキングを行うことができる。例えば、図3の読込み時刻T22の決定にあたっては、振幅レベルがしきい値Laを通過する時刻t4に対応させて終了時刻をT23とし、これに基づいて読込み時刻T22を決定した。これに対し、振幅レベルが時刻t3〜時刻t4の間で最大となる時刻(tm)を読込み時刻となるように設定してもよい。これにより、駆動音が大きくなり利用者に対して不快感を与えやすいHDDアクセスの初期のノイズを効果的に音楽信号でマスキングすることができる。
【0050】
次に、本発明の第2の実施形態について図5を参照して説明する。
【0051】
図5に示すように、本実施形態に係る読み出し装置20は、入力部21、増幅部22、及び、A/D(Analog/Digital)コンバータ23を備えている点において、図1に示す構成と異なっている。なお、図5において、出力部17から入力部21へ伝達される情報は音声であるため、一点鎖線の矢印として他の矢印と区別している。
【0052】
入力部21は、出力部17から出力された音声を取得する、例えばマイクロホンである。入力部21は取得した音声を電気信号に変換し、増幅部22に送出する。
【0053】
増幅部22は、入力部21からの音声信号を増幅し、A/Dコンバータ23に送出する。
【0054】
A/Dコンバータ23は、増幅部22からの音声信号(アナログ信号)をデジタル変換し、DSP14に送出する。
【0055】
次に、本実施形態の読み出し装置20の動作について、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0056】
本実施形態においては、出力部17から出力された再生音声を入力部21で取得する。取得された再生音声は増幅部22で増幅された後に、A/Dコンバータ23によってアナログ信号からデジタル信号に変換される。そして、デジタル変換された音声信号がDSP14に入力される。システムマイコン11は、DSP14から音声信号情報が供給され、これに基づいてHDD装置12へのアクセスを行う。
【0057】
本実施形態の構成によれば、第1の実施形態のように再生音量をデジタル信号から検出するだけでなく、スピーカ等の出力部17から放音された音声に基づいて、アナログ信号として音量の検出を行うこともできる。
【0058】
なお、この発明は上述した実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0059】
上述の実施形態では、読込み時刻を求めるタイミング区間としてデータ量の所定値V1%〜V3%とした。これに対して、デジタルオーディオ信号を復調する際に音楽ジャンルのタグ情報が得られた際には、音楽ジャンル毎にタイミング区間のテーブルを用意しておき、そのタイミング区間の変更を行うこととしてもよい。
【0060】
例えば、クラシック等のカテゴリにおいては、小音量が長く続き、所定のタイミング区間V1%〜V3%の間では絶対的な音量が得られない場合がありえる。そこで、音楽カテゴリが“クラシック”と認識された際には、タイミング区間V1%〜V3%を広げることで、最大音量の検出時間を長くしてより高いレベルの最大音量を得る事が出来るようになる。その逆に、音楽カテゴリが“ロック”の場合には大音量となる可能性が高い為に、タイミング区間V1%〜V3%を短くする事が可能となる。
【0061】
また、上述の実施形態では、データ読み出し装置について説明したが、このデータ読み出し装置を用いた音楽再生装置として実施することとしてもよい。また、上述の処理を記述したプログラムとして実施することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第1の実施形態に係る読み出し装置の構成を示すブロック図である。
【図2】従来の読み出し装置におけるバッファメモリ内のデータ量及び振幅レベルと時間との関係を示すグラフである。
【図3】第1の実施形態に係る読み出し装置のデータ読み出し処理を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態に係る読み出し装置におけるバッファメモリ内のデータ量及び振幅レベルと時間との関係を示すグラフである。
【図5】第2の実施形態に係る読み出し装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0063】
10 読み出し装置
11 システムマイコン
12 HDD装置
13 バッファメモリ
14 DSP
15 D/Aコンバータ
16 増幅部
17 出力部
18 操作部
19 表示部
20 読み出し装置
21 入力部
22 増幅部
23 A/Dコンバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲データを記憶するディスクドライブ装置と、
前記楽曲データを一時記憶するバッファメモリと、
前記ディスクドライブ装置から前記楽曲データを読み出し、前記バッファメモリに転送する転送手段と、
前記バッファメモリから前記楽曲データを読み出し、音声として再生する再生手段と、
前記再生手段により再生される楽曲の音量を検出する音量検出手段と、
前記バッファメモリのデータ残量を検出する残量検出手段と、
前記再生される楽曲の音量が、前記音量検出手段により所定音量よりも大きいと判断され、且つ前記バッファメモリのデータ残量が前記残量検出手段により所定残量よりも小さいと判断された場合に、前記ディスクドライブ装置を動作させて前記転送手段に前記楽曲データを転送させ、前記音量が前記所定音量よりも小さい場合に、前記ディスクドライブ装置を休止させる制御手段と、を備える、
ことを特徴とするデータ読み出し装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記楽曲データを解析して得られた音声信号の振幅が所定の判定値より大きいときに、前記楽曲の音量が所定音量よりも大きいと判定する振幅判定手段を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ読み出し装置。
【請求項3】
楽曲データを音声に再生して放音する放音手段と、
前記放音手段により放音された再生楽曲の音声を収音する収音手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、前記収音手段により収音された音声を解析して得られた音声信号の振幅が所定の判定値より大きいときに、前記楽曲の音量が所定音量よりも大きいと判定する振幅判定手段を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ読み出し装置。
【請求項4】
前記バッファメモリのデータ残量が前記所定残量よりも小さく、且つ前記楽曲の音量が前記所定音量よりも小さい場合に、
前記制御手段は、前記バッファメモリに転送可能なデータ量を前記バッファメモリの残容量よりも小さくなるように設定して前記ディスクドライブ装置を動作させ、
前記転送手段は、前記転送可能なデータ量の楽曲データを前記バッファメモリに転送する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデータ読み出し装置。
【請求項5】
前記楽曲データは、当該楽曲の音楽ジャンルを示すジャンル情報を含んでおり、
前記制御手段は、前記楽曲データから前記ジャンル情報を取得するジャンル取得手段を備え、前記バッファメモリの所定残量の値を、前記音楽ジャンルに基づいて設定する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のデータ読み出し装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のデータ読み出し装置から構成される音楽再生装置。
【請求項7】
楽曲データが格納されたディスクドライブ装置を起動する起動ステップと、
前記ディスクドライブ装置から楽曲データを読み出してバッファメモリに記憶させるバッファメモリ記憶ステップと、
前記ディスクドライブ装置を休止させる休止ステップと、
前記バッファメモリに前記楽曲データを放出させ、楽曲を再生する再生ステップと、
再生される楽曲の音量が所定音量よりも大きく、且つ前記バッファメモリのデータ残量が所定残量以下の領域で、前記休止ステップで休止した前記ディスクドライブ装置の動作開始時期を求める動作開始時期決定ステップと、を備える、
ことを特徴とするデータ読み出し方法。
【請求項8】
コンピュータに、
楽曲データが格納されたディスクドライブ装置を起動する起動ステップと、
前記ディスクドライブ装置から楽曲データを読み出してバッファメモリに記憶させるバッファメモリ記憶ステップと、
前記ディスクドライブ装置を休止させる休止ステップと、
前記バッファメモリに前記楽曲データを放出させ、楽曲を再生する再生ステップと、
再生される楽曲の音量が所定音量よりも大きく、且つ前記バッファメモリのデータ残量が所定残量以下の領域で、前記休止ステップで休止した前記ディスクドライブ装置の動作開始時期を求める動作開始時期決定ステップと、
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−266287(P2009−266287A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113342(P2008−113342)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】