説明

トイレ掃除用シート

【課題】汚れ具合に応じてシートの使用量を任意に調整可能としたトイレ掃除用シートを提供する。
【解決手段】洗浄液を含浸させた水解性繊維シート1を所定幅でロール状に巻き取った製品形態とするとともに、長手方向に所定間隔で横断方向にミシン目1a、1a…を形成する。前記ロール状に巻き取られたトイレ掃除用シート1は、幅寸法が50〜200mm、前記ミシン目1a、1a…の間隔を10〜200mmとし、前記ロール状に巻き取られたトイレ掃除用シート1は、開閉蓋4Aを備えた容器4内に回転自在に軸支された状態で収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚れ具合に応じてシートの使用量を任意に調整可能としたトイレ掃除用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トイレの清掃には、雑巾に代わって使い捨ての繊維シートを使用することが多くなっている。中でも、下記特許文献1〜4に示されるような、水解性繊維シートに洗浄液を含浸させたものは使用後にトイレにそのまま廃棄することができるため好まれて使用されている。
【0003】
現在、市場に提供されているトイレ掃除用シートは、例えば下記特許文献1に示されるように、四つ折りまたは八つ折りにした状態で容器内に積層された状態で収容され、使用に当たっては、一枚づつ取出して使用される。
【特許文献1】特開2004−329382号公報
【特許文献2】特開2004−313486号公報
【特許文献3】特開2002−238822号公報
【特許文献4】特開2004−188091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、重畳状態で提供されている前記トイレ掃除用シートの場合は、汚れ具合に応じてシート使用量を調整する場合、多いときは複数枚のシートを取り出して使用し、少なくて済む場合には、特許文献1に記載されるように、予めシートにミシン目を形成しておき、使用者がミシン目位置で引き裂いて所望の必要量だけを使用するようにしており、汚れ具合に応じて使用量を調整することが比較的煩わしいものであった。
【0005】
そこで本発明の主たる課題は、汚れ具合に応じてシートの使用量を任意に調整可能としたトイレ掃除用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、洗浄液を含浸させた水解性繊維シートを所定幅でロール状に巻き取った製品形態とするとともに、長手方向に所定間隔で横断方向にミシン目を形成したことを特徴とするトイレ掃除用シートが提供される。
【0007】
上記請求項1記載の本発明では、洗浄液を含浸させた水解性繊維シートを所定幅でロール状に巻き取った製品形態とし、長手方向に所定間隔で横断方向にミシン目を形成した。従って、丁度、トイレットペーパーの如く、使用者が汚れ具合に応じて必要量だけ引き出し、ミシン目で切断して使用することができるようになる。
【0008】
請求項2に係る本発明として、前記ロール状に巻き取られたトイレ掃除用シートは、幅寸法が50〜200mm、前記ミシン目の間隔を10〜200mmとしてある請求項1記載のトイレ掃除用シートが提供される。
【0009】
上記請求項2記載の本発明においては、前記ロール状に巻き取られたトイレ掃除用シートの幅寸法を50〜200mm、前記ミシン目の間隔を10〜200mmに限定するものである。上記幅寸法及びミシン目間隔とすることにより、汚れ具合の多少に応じた範囲で、シート使用量を適切なものに調整することができる。
【0010】
請求項3に係る本発明として、前記ロール状に巻き取られたトイレ掃除用シートは、開閉蓋を備えた容器内に収容されている請求項1、2いずれかに記載のトイレ掃除用シートが提供される。
【0011】
上記請求項3記載の本発明では、ロール状に巻き取られたトイレ掃除用シートを、開閉蓋を備えた容器内に収容するものである。開閉蓋を備えた容器内に収容することで、保管時は前記洗浄液の蒸発を防止でき、かつロール状トイレ掃除用シートを回転させながら使用長さ分だけ取出すことができる。
【0012】
請求項4に係る本発明として、前記ロール状に巻き取られたトイレ掃除用シートは、開閉蓋を備えた容器内に回転自在に軸支された状態で収容されている請求項1、2いずれかに記載のトイレ掃除用シートが提供される。
【0013】
上記請求項4記載の本発明では、ロール状に巻き取られたトイレ掃除用シートを、開閉蓋を備えた容器内に回転自在に軸支された状態で収容するものである。洗浄液を含浸させたトイレ掃除用シートがトイレットペーパーと比べると、非常に重量があるため簡単に引き出すことができない。従って、回転自在に軸支された状態で収容することにより、ミシン目位置で切断されることなく、所望長さだけ容易に引出しできるようになる。
【0014】
請求項5に係る本発明として、前記ロール状に巻き取られたトイレ掃除用シートは、芯無しとされ、開閉蓋を備えた容器内に縦向きの状態で収容されるとともに、ロールシートの中空部側からシートを引き出し可能としてある請求項1、2いずれかに記載のトイレ掃除用シートが提供される。
【0015】
上記請求項5記載の本発明では、ロール状に巻き取られたトイレ掃除用シートは、芯無しとされ、開閉蓋を備えた容器内に縦向きの状態で収容されるとともに、ロールシートの中空部側からシートを引き出し可能とするものである。縦置きとすることにより場所を取らず、棚などに設置することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上詳説のとおり本発明によれば、汚れ具合に応じてシートの使用量を任意に調整しながら使用することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0018】
図1は本発明に係るロール状トイレ掃除用シート1の斜視図であり、図2は水解性シートの構成例を示す横断面図である。
【0019】
〔水解性繊維シートの構造例〕
トイレ掃除用シート1のシート素材は、繊維とバインダ等からなる紙または不織布である。繊維としては、木材パルプ、非木材パルプ、レーヨン、コットン等のセルロース系繊維、ポリ乳酸等からなる生分解性繊維等を挙げることができる。また、これらの繊維を主体としてポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニールアルコール繊維、ポリエステル繊維、ポリアクリニトリル繊維、合成パルプ、ガラスウール等を併用することができる。また、トイレを掃除した後、そのままトイレ内に廃棄できるように水解性であることが望ましい。
【0020】
前記トイレ掃除用シート1は、例えば、図2に示されるように、内層シート3の両面に、外層シート2,2を積層し、圧着により一体化するとともに、これら各シート2,3に洗浄液を含浸させたものとすることができる。
【0021】
前記内層シート3は、木材パルプを主体とした水解性の繊維シートとし、叩解パルプ、未叩解パルプのいずれでもよいが、好ましくは未叩解パルプとするのがよい。原料となるパルプが未叩解であると水解性に優れる。また、原料となるパルプは、特にその種類を限定するものではないが、NBKPとLBKPとを、その重量比が95:5〜50:50となるように使用するのが好ましい。さらに、バインダーを実質的に含有させないようにするのが望ましい。バインダーが0.2%以下であれば水解性を阻害しない。
【0022】
前記外層シート2,2は、叩解パルプ、未叩解パルプのいずれでもよいが、好ましくは叩解パルプである。外層シート2,2にはバインダーとして、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース(CMC)又はその塩などの水溶性バインダ、デンプンまたはその誘導体、アルギン酸ナトリウムなどが含有される。また、架橋剤がバインダの種類に応じて適宜のものが使用される。例えば、バインダとしてポリビニルアルコールを使用した場合は架橋剤としてホウ酸を用いることが望ましい。また、カルボキシルメチルセルロース(CMC)を用いる場合には、多価金属イオンを用いることが望ましい。
【0023】
また、外層シート2,2の形成に叩解パルプを使用すると、強度及び柔軟性に優れるようになる。原料となる叩解パルプは、特にその種類を限定するものではないが、NBKPとLBKPとを、その重量比が6:4〜10:0となるように使用するのが好ましい。NBKPはLBKPに比べ強度及び柔軟性に優れるので、NBKPを多く使用すると強度及び柔軟性が向上する。また、外層シート2,2には、叩解パルプとともに、ポリビニルアルコール等のバインダを使用するので、廃棄時(水解時)においては、叩解パルプがバラケ易くなり、水解性が向上する。
【0024】
前記内層シート3及び外層シート2,2に含浸させる洗浄液としては、水を媒体とし、界面活性剤、水溶性溶剤、除菌剤等を含有することが望ましい。なお、その他に、消臭剤、防腐剤等の補助剤を適宜含有させることもできる。
【0025】
前記界面活性剤としては、例えば陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれでも用いることができる。
【0026】
前記水溶性溶剤としては、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類等から1種または数種を適宜選択して使用することができる。
【0027】
前記洗浄液には、前記の成分に加えて除菌剤を含有させることもできる。除菌剤としては、過酸化水素、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、第4級アンモニウム塩、安息香酸ナトリウム及びパラオキシ安息香酸ナトリウム、並びにポリリジン等が好ましく用いられる。
【0028】
以上の要領によって、水解性を示すトイレ掃除用シート1を製造することができるが、本発明では、図1に示されるように、洗浄液を含浸させた前記水解性繊維シート1を所定幅でロール状に巻き取った製品形態にするとともに、長手方向に所定間隔で横断方向にミシン目1a、1a…を形成するようにしている。なお、図1のロール形態では、巻芯5を有するものとなっている。
【0029】
前記ロール状トイレ掃除用シート1は、幅寸法が50〜200mm、前記ミシン目の間隔を10〜200mmとするのが望ましい。上記幅寸法及びミシン目間隔とすることにより、汚れ具合の多少に応じた範囲で、シート使用量を適切なものに調整することができる。
【0030】
前記水解性シート1をロール状に形成する方法としては、図3に示されるように、外径が拡縮自在とされる金属製巻軸10で巻芯5を支持し、2本の平行なロール11,11の中間上部に配設するとともに、シート1を巻芯5に供給しながらロール11,11を夫々所定方向に回転させることにより、巻芯5の外周に水解性シート1を巻き付けるようにする。
【0031】
ロール状に巻き取られた前記トイレ掃除用シート1は、例えば図4に示されるように、容器本体4Bの上面に開閉蓋4Aを備えた容器4内に、支軸8により前記ロール状トイレ掃除用シート1が回転自在に軸支された状態で収容される。なお、裏蓋6は取り外し可能とされ、詰め替え用ロール状トイレ掃除用シート1を入れ替えできるようになっている。また、シート取出口としてスリット状に形成された開口の上面には、揺動可能な押圧板7が配設され、引き出したシート1をミシン目1a位置で切断する際、残りのシートが引き出されないように、シート1を押さえ付けできるようになっている。
【0032】
前記シート取出口からシート1を引き出す際に、シート1の先端部にはツマミ代となる部分があると、指で摘んでシートを簡単に引出しできるようになる。しかし、シート1の先端部分が取出口からはみ出し過ぎると、洗浄液の蒸発によってはみ出し部分が使用出来なくなったりするため、ツマミ代となるはみ出し部分はごく僅かとすることが望ましい。
【0033】
そこで、図5(A)に示されるように、ミシン目1aの中間、好ましくは中央部に膨出部1bを形成しツマミ代としたり、図5(B)に示されるように、ミシン目1aの平面形状を引出し側に向かって膨出する円弧形状とし、先端弧状部分1bをツマミ代としたり、或いは図5(C)に示されるように、ミシン目1aを幅方向に傾斜する斜線として形成し、先端の三角形部分1bをツマミ代とすることができる。
【0034】
また、前記ロール状トイレ掃除用シート1は、例えば図6に示されるように、巻芯5を有しないロール形状とされ、容器本体9Bの上面に開閉蓋9Aを備えた容器9内に縦向きの状態で収容されるとともに、ロール状トイレ掃除用シート1の中空部側から順次シート1を引き出しできるようにすることもできる。
【0035】
ところで、前記トイレ掃除用シート1に対しては、適宜形状及び大きさのエンボスを付与できる。エンボス加工により、繊維シート同士の貼合及びシートの嵩高さ、柔軟性を得ることができる。積層体の坪量は、60〜120g/m、特に80〜100g/mであるのが望ましい。ここで、積層体の坪量を90g/mと固定した場合を基準とすると、内層シート3の坪量は、20〜45g/m(特に25〜35g/m)、外層シート2,2の坪量は、20〜45g/m(特に25〜35g/m)であるのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るロール状トイレ掃除用シート1の斜視図である。
【図2】水解性シートの構成例を示す横断面図である。
【図3】ロール状への巻取り要領を示す図である。
【図4】容器4への収容状態及びシート取出し要領を示す斜視図(その1)である。
【図5】ミシン目1aの他の形成態様を示す図である。
【図6】容器9への収容状態及びシート取出し要領を示す斜視図(その2)である。
【符号の説明】
【0037】
1…(ロール状)トイレ掃除用シート、2…外層シート、3…内層シート、4・9…容器、5…巻芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を含浸させた水解性繊維シートを所定幅でロール状に巻き取った製品形態とするとともに、長手方向に所定間隔で横断方向にミシン目を形成したことを特徴とするトイレ掃除用シート。
【請求項2】
前記ロール状に巻き取られたトイレ掃除用シートは、幅寸法が50〜200mm、前記ミシン目の間隔を10〜200mmとしてある請求項1記載のトイレ掃除用シート。
【請求項3】
前記ロール状に巻き取られたトイレ掃除用シートは、開閉蓋を備えた容器内に収容されている請求項1、2いずれかに記載のトイレ掃除用シート。
【請求項4】
前記ロール状に巻き取られたトイレ掃除用シートは、開閉蓋を備えた容器内に回転自在に軸支された状態で収容されている請求項1、2いずれかに記載のトイレ掃除用シート。
【請求項5】
前記ロール状に巻き取られたトイレ掃除用シートは、芯無しとされ、開閉蓋を備えた容器内に縦向きの状態で収容されるとともに、ロールシートの中空部側からシートを引き出し可能としてある請求項1、2いずれかに記載のトイレ掃除用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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