説明

トイレ用脱臭・殺菌装置

【課題】 トイレ室内に正イオンと負イオンをバランスよく大量に供給して、大小便の臭いや浮遊菌を除去できるトイレ用脱臭・殺菌装置を提供する。
【解決手段】 空気を吸気口1からダクト4に吸い込んで排気口2を経てダクト4の外に導くファン8をダクト4内に設け、空気中でプラズマ放電を起こして正イオンと負イオンを発生するイオン発生部7を前記ダクト4内の空気の流れに対して前記ファン8よりも下流側に設けたことを特徴とするトイレ用脱臭・殺菌装置10。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トイレ室内に設置してトイレ室内を脱臭、殺菌するトイレ用脱臭・殺菌装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】トイレ室内は、大小便の臭いが篭り、雑菌が立ち込めているために、快適性が損なわれ、不衛生になりがちである。したがって、トイレ室内に空気浄化装置を設置することは有用である。このような要求に対して、従来、臭いの成分を吸着あるいは中和するフィルターを通気経路中に配した送風装置によりトイレ室内の空気を循環することが行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような方法では、フィルターの吸着あるいは中和効果が時間の経過に伴って衰えることは避けられず、また、空気中の塵埃によりフィルターが目詰まりするので、定期的にフィルターを清掃したり、交換したりする必要があった。そのため、維持に手間とコストが掛かっていた。しかも、フィルターの目は細かくしてもその大きさには限界があり、空気中の雑菌を補足するまでには至らなかった。
【0004】また、大小便の臭いを便器内に設けた吸引孔より、強制的にトイレ外の排水経路へ吸引して消臭することも行われていたが、局所的な臭いの除去には効いても、トイレ室内に篭った臭さは充分に除けなかった。
【0005】さらに、特開平9−195359号公報には、オゾン脱臭装置のオゾナイザ電極から負イオンを大量に発生させることにより、オゾンによる脱臭効果とともに、負イオンによる「森林浴効果」を挙げ得るようにした便器用衛生装置が提案されている。しかし、有害なオゾンは便器の外に出せないので、トイレ室内に篭った臭さは除けないし、正イオンと負イオンのバランスを負イオンが圧倒的にリッチになるようにしているため、浮遊菌の殺菌についてはほとんど効果がない。
【0006】本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、トイレ室内に正イオンと負イオンをバランスよく大量に供給して、大小便の臭いや浮遊菌を除去できるトイレ用脱臭・殺菌装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため本発明のトイレ用脱臭・殺菌装置は、空気を吸気口からダクトに吸い込んで排気口を経て前記ダクトの外に導くファンと、空気中でプラズマ放電を起こして正イオンと負イオンを発生するイオン発生部とを前記ダクト内に設けたことを特徴としている。これにより、ファンによって作られる空気の流れに乗せて正イオンと負イオンをダクトの外に供給できる。
【0008】このとき、正イオンとしては、H+(H2O)n(nは任意の自然数)、負イオンとしては、O2-(H2O)n(nは任意の自然数)が最も安定に生成する。これらの正イオンと負イオンは化学反応をして、活性種である過酸化水素H202又はヒドロキシラジカル・OHを生成する。これらの活性種には、空気中の臭い分子を酸化して分解する働きと、空気中の浮遊菌を取り囲んで死滅させる殺菌作用とがある。したがって、ファンによって正イオンと負イオンをトイレ室内に供給することにより、トイレ室内の脱臭、殺菌が行える。
【0009】なお、前記イオン発生部を前記ダクト内の空気の流れに対して前記ファンよりも下流側に設けると、発生した正イオンと負イオンをバランス良く速やかに供給することができる。この場合、前記ファンと前記イオン発生部の間の空気通路に吸着剤、除湿剤もしくは吸着剤と除湿剤を複合して成る脱臭・除湿手段を設けると、水分や汚れ成分の多い雰囲気でも、安定してイオンを発生して送風できる。
【0010】本発明のトイレ用脱臭・殺菌装置を便器に取り付ける場合は、便器内の空気を吸入する便器内用吸気口と、便器外の空気を吸入する便器外用吸気口とを別々に設けると、便器内外の空気をダクト内に吸い込むことができる。また、便器に取り付けるための取付具を備えると、便器に取り付けやすくなる。
【0011】また、充分な殺菌効果を得るためには、前記排気口近傍のイオン濃度が10,000個/cm3以上になるように調整されていることを要する。そのためには、前記排気口近傍の風速が1.5m/秒以上になるように、前記ファンの回転数を調整することが必要である。
【0012】本発明のトイレ用脱臭・殺菌装置の作動によって、オゾンも副次的に生成する。このオゾンにも脱臭、殺菌効果があることが知られている。そのため、前記正イオンと負イオンに加えてオゾンを放出することで、さらに脱臭・殺菌効果が高まる。ただし、オゾンは人体に有害であるため、水流センサや人体センサやオゾンセンサにより、生成するオゾンの濃度を制御する必要がある。あるいは、タイマーを連動させて、トイレ用脱臭・殺菌装置の運転を制御してもよい。
【0013】また、トイレ室内において人間が大部分の時間を過ごすのは、せいぜい高さ1.5m以下の空間であることから、本発明のトイレ用脱臭・殺菌装置はトイレ室内において高さ1m以下の空間に設置することが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るトイレ用脱臭・殺菌装置の概略的な断面図である。図1に示すように、ダクト4には、周囲空気を吸入するための吸気口1と、吸入された空気を排出するための排気口2が設けられている。
【0015】そして、空気を吸気口1からダクト4に吸い込んで排気口2を経てダクトの外に導くファン8をダクト4内に設け、ダクト4内の空気の流れに対してファン8よりも下流側のダクト4の内面にイオン発生部7を設けている。さらに、このイオン発生部7と対向するように、ダクト4の外面に高電圧発生部6を設けている。この構成で、高電圧発生部6からイオン発生部7に高電圧を印加することにより、プラズマ放電により空気中の酸素分子や水分子がイオン化される。なお、ダクト4内におけるファン8とイオン発生部7の配置は一例であり、この関係が逆になってもよい。イオン発生部7も必ずしも2ケでなくてもよく、1ケでもまた3ケ以上であってもよい。ただし、図1のように、ファン8よりも下流側であって排気口2の近傍にイオン発生部7を設けた場合は、生成した正イオンと負イオンをバランス良く速やかにトイレ室内に供給できるという利点がある。
【0016】ダクト4は、例えば、縦12cm、横12cm、長さ30cmの正四角柱となるように、ステンレス板で形成されている。イオン発生部7は、例えば、縦3.8cm、横1.5cm、厚さ0.1cmの板型であり、電極部5はタングステンから成り、絶縁体部3はセラミックスから成る。電極部5は必ずしもタングステンだけではなく、金、白金、ステンレスなど耐腐食性に優れた導電体であればよい。高電圧発生部6は、例えば、イオン発生部7に周波数60Hz、電圧ピーク値±2.7kVのイオンパルス電圧を印加する。ファン8は、例えば、直径11.5cmのプロペラファンを用いることができる。このような条件でトイレ用脱臭・殺菌装置10を作動させることにより、ファン8によって吸気口1からダクト4内に空気が吸い込まれる。この空気は、イオン発生部7で生成した正イオンと負イオンを排気口2に導き、ダクト4の外へ放出する。したがって、トイレ室内に正イオンと負イオンを供給することができる。
【0017】<実施例1>図2は、このトイレ用脱臭・殺菌装置10によるアンモニアガスの除去性能を示した図である。アンモニアは、小便の臭いの主成分である。容積27Lのアクリル製の密閉ボックス内に上記のトイレ用脱臭・殺菌装置10を配置し、アンモニアを20ppmになるように混合して、ボックス内の雰囲気を温度28℃、相対湿度50%となるように調整した。そして、トイレ用脱臭・殺菌装置10を作動させることにより、アンモニア濃度の時間変化を(株)ガステック製ガス検知管(No3L)により測定した。図2に示すように、約30分の作動でアンモニアは検知限度の0.1ppm以下に低下した。このように本発明のトイレ用脱臭・殺菌装置10によると、空気中のアンモニアを短時間に分解除去できるため、トイレ室内の小便臭を瞬時に脱臭できる。このことから、窒化水素系の臭い成分(例えばアミン系)の脱臭が行える。
【0018】<実施例2>図3は、このトイレ用脱臭・殺菌装置10によるメチルメルカプタンガスの除去性能を示した図である。メチルメルカプタンは、大便の臭いの主成分である。図3において、容積27Lのアクリル製の密閉ボックス内に上記のトイレ用脱臭・殺菌装置10を配置し、メチルメルカプタンを10ppmになるように混合して、ボックス内の雰囲気を温度28℃、相対湿度50%となるように調整した。そして、トイレ用脱臭・殺菌装置10を作動させることにより、メチルメルカプタン濃度の時間変化を(株)ガステック製ガス検知管(No71)により測定した。図3に示すように、約40分の作動でメチルメルカプタンは検知限度の0.1ppm以下に低下した。このように本発明のトイレ用脱臭・殺菌装置10によると、空気中のメチルメルカプタンを短時間に分解除去できるため、トイレ室内の大便臭を瞬時に脱臭できる。このことから、硫化水素系の臭い成分の脱臭が行える。
【0019】<実施例3>図4は、イオン濃度による空気中の浮遊菌の残存率を示した図である。温度25℃、相対湿度50%の雰囲気の縦2.0m、横2.5m、高さ2.7mの対象区域において、上記のトイレ用脱臭・殺菌装置10を設置し、大腸菌をミスト状に500〜1,500個/m3程度の濃度になるように散布した。そして、トイレ用脱臭・殺菌装置10を作動させることにより、正イオンと負イオンを空気中に送出し、さらに風量1m3/minで区域内の空気を攪拌した。正イオンと負イオンの濃度は、排気口2より距離10cmだけ離れた位置において、(株)ダン科学製空気イオンカウンター83-1001Bを用いて移動度1cm2/V・sec以上のイオンの数を測定することにより算出した。イオンの供給を開始してから1時間後の区域内の空気を、ドイツBiotest社製RCSエアサンプラーを用いて40L/minの割合で4分間採取し、空気中の細菌数を測定した。
【0020】ここで、細菌数の測定値には、初期濃度(500〜1,500個/m3)の10分の1程度の誤差があることを考慮すると、1時間経過後の自然減衰による菌の残存率は63.5%であることから、殺菌効果の目安は1時間後の残存率53.5%以下とするの妥当である。また、実験の精度を考慮に入れると、自然減衰による1時間後の菌の残存率が60%以上となる実験条件を選ぶのが望ましい。図4に示すように、正負のイオン濃度がそれぞれ10,000個/cm3〜300,000個/cm3の範囲内であれば、優れた殺菌効果が得られることがわかる。正負のイオン濃度がそれぞれ300,000個/cm3以上では、殺菌効果が得られることは容易に類推できる。
【0021】<実施例4>図5は、トイレ用脱臭・殺菌装置10の排気口2から送出されるイオン濃度の変化を排気口2の近傍の風速に対して示した図である。イオン濃度の測定条件は、実施例3と同様である。風速が大きいほど、排気口2から放出されるイオン濃度は高くなる。例えば、風速が1.5m/秒では、イオン濃度はほぼ10,000個/cm3に達する。したがって、ファン8の回転数を調整して、排気口2の近傍の風速が1.5m/秒以上になるようにすると、10,000個/cm3以上の正イオンと負イオンを送出することができる。これにより、空気中の浮遊菌の殺菌効果が充分に得られる。なお、風速については、送風音やファンモータの制限から、上限を3m/秒以下とするのが望ましい。
【0022】本発明のトイレ用脱臭・殺菌装置10の作動によって、正イオンと負イオンのみならず、オゾンも副次的に生成する。このオゾンにも脱臭や殺菌効果があることが知られている。
【0023】<実施例5>図6は、オゾン濃度を変化させた場合の一時間後の空気中の浮遊菌の残存率を示す図である。横軸がオゾン濃度、縦軸が空気中の浮遊菌の残存率となっている。実験条件および実験方法は実施例3で示したものと同じである。図6に示すように、いずれのイオン濃度においてもオゾン濃度を上げると、浮遊菌の残存率が低下する。すなわち、オゾンを正イオンと負イオンに付加して送出することにより、空気中の浮遊菌の殺菌性能が向上する。なお、トイレ用脱臭・殺菌装置10を稼働させない通常の状態での、正負のイオン濃度は、約100個/cmであった。
【0024】また、オゾンは人体に有害であることが知られているため、人体センサおよび水流センサによりトイレに人間がいるときといないときで発生するオゾンの濃度を制御することにより、トイレ用脱臭・殺菌装置10を効率的に運転できる。さらに、狭いトイレ室内にオゾンが堆積して高濃度になるおそれがあるため、タイマーおよびオゾンセンサを連動させて、トイレ用脱臭・殺菌装置10の運転を制御することでオゾンの堆積を抑えることができる。
【0025】本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。図7は、本発明の第2の実施形態に係るトイレ用脱臭・殺菌装置の概略的な断面図である。図7に示すように、ダクト4には、周囲空気を吸入するための吸気口1と、吸入された空気を排出するための排気口2が設けられている。
【0026】そして、空気を吸気口1からダクト4に吸い込んで排気口2を経てダクトの外に導くファン8をダクト4内に設け、ダクト4内の空気の流れに対してファン8よりも下流側のダクト4の内面にイオン発生部7を設けている。さらに、このイオン発生部7と対向するように、ダクト4の外面に高圧電源部5を設けている。なお、ダクト4内におけるファン8とイオン発生部7の配置は一例であり、この関係が逆になってもよい。ただし、図7のように、ファン8よりも下流側であって排気口2の近傍にイオン発生部7を設けた場合は、生成した正イオンと負イオンをバランス良く速やかにトイレ室内に供給できるという利点がある。
【0027】また、本実施の形態に特徴的な構成として、ダクト4内の空気の流れに対してイオン発生部7よりも上流側、すなわちファン8とイオン発生部7の間の空気通路に、吸着剤、除湿剤もしくは吸着剤と除湿剤を複合して成る脱臭・除湿部9を配置している。この構成で、高電圧発生部6からイオン発生部7に高電圧を印加することにより、プラズマ放電により空気中の酸素分子や水分子がイオン化される。
【0028】ダクト4は、例えば、縦12cm、横12cm、長さ30cmの正四角柱となるように、ステンレス板で形成されている。イオン発生部7は、例えば、縦3.8cm、横1.5cm、厚さ0.1cmの板型であり、電極部5はタングステンから成り、絶縁体部3はセラミックスから成る。高電圧発生部6は、例えば、イオン発生部7に周波数60Hz、電圧ピーク値±2.7kVのイオンパルス電圧を印加する。ファン8は、例えば、直径11.5cmのプロペラファンを用いることができる。脱臭・除湿部9としては、例えば、通気性を有するシリカゲルを用いることができる。このような条件でトイレ用脱臭・殺菌装置10を作動させることにより、ファン8によって吸気口1からダクト4内に空気が吸い込まれる。この空気は、イオン発生部7で生成した正イオンと負イオンを排気口2に導き、ダクト4の外へ放出する。したがって、トイレ室内に正イオンと負イオンを供給することができる。
【0029】しかしながら、トイレ室内は、水を大量に使用するため一般に湿度が高くなり、また、空間が狭いので空気中の汚れ成分の濃度が高くなる傾向がある。水分や汚れ成分が多く含まれている空気中にイオンを発生させると、イオン発生部7は水分や汚れ成分の影響を受けプラズマ放電が弱くなり、イオン発生量が低下する。そこで、脱臭・除湿部9により空気中の水分および汚れ成分を除去することにより、プラズマ放電の低下が抑えられ、充分なイオンの発生量を確保できる。
【0030】<実施例6>図8は、このトイレ用脱臭・殺菌装置10による相対湿度に対するイオン濃度の変化を示す図である。比較例として、脱臭・除湿部9としてシリカゲルを配置しなかった場合の結果も示している。容積27Lのアクリル製の密閉ボックス内に上記のトイレ用脱臭・殺菌装置10を配置し、アンモニアを20ppmになるように混合して、ボックス内の雰囲気を温度25℃となるように調整した。そして、トイレ用脱臭・殺菌装置10を作動させた。正イオンと負イオンの濃度は、排気口2より距離10cmだけ離れた位置において、(株)ダン科学製空気イオンカウンター83-1001Bを用いて移動度1cm2/V・sec以上のイオンの数を測定することにより算出した。図8に示すように、脱臭・除湿部9としてシリカゲルを配置しない場合は、相対湿度が70%以上の雰囲気では、明らかなイオン濃度の低下が観測された。しかし、そのようなイオン濃度の低下も、本実施の形態のように、シリカゲルを使用することにより抑制できることが確かめられた。
【0031】本発明の第3の実施形態について図面を参照して説明する。図9は、本発明の第3の実施形態に係るトイレ用脱臭・殺菌装置を便器に取り付けた状態の一例を示す概念図である。図9に示すように、便器11に取り付けるための取付具(図示せず)によりトイレ用脱臭・殺菌装置10を便器11に設置している。吸気口1は便器11内の空気を吸引する便器内用吸気口1Aと、便器外の空気を吸引する便器外用吸気口1Bとから成り、これらの吸気口1A,1Bから吸気した便器11内外の空気は、ダクト4内を通り、排気口2よりイオンを含んだ空気をトイレ室内に放出されるようになっている。これにより、便器11内の大小便の臭いを瞬時に脱臭することができるとともに、便器11外の空気に篭った臭いを速やかに取り除くことができる。
【0032】トイレ室内において人間が大部分の時間を過ごすのは、せいぜい高さ1.5m以下の空間である。また、便器などの水源をもっている設備についても高さ1m程度のところに設置されている。また、カビなどは水回りのところに繁殖が見られ、多く分布していることが知られている。したがって、トイレ室内の少なくとも高さ1.5m以下の空間に正イオンと負イオンを充分に行き渡らせることが必要である。そのため、トイレ用脱臭・殺菌装置10を便器11に直接取り付けたりして、トイレ室内の高さ1m以内の場所に設置することが望ましい。
【0033】また、正イオンと負イオンは壁や便器などに衝突すると、電荷を失い消滅してしまう場合がある。したがって、正イオンと負イオンの吹出し方向には、障害物がないような風路に設置することが望ましい。これにより、さらに効率良く正イオンと負イオンを空間中に放出できるようになる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明のトイレ用脱臭・殺菌装置によると、トイレ室内の大小便の臭いを瞬時に脱臭し、空気中の浮遊菌を速やかに殺菌することができる。したがって、快適で、衛生的なトイレ室内の環境を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係るトイレ用脱臭・殺菌装置の概略的な断面図である。
【図2】 そのトイレ用脱臭・殺菌装置によるアンモニアの脱臭実験の結果を示す図である。
【図3】 そのトイレ用脱臭・殺菌装置によるメチルメルカプタンの脱臭実験の結果を示す図である。
【図4】 そのトイレ用脱臭・殺菌装置による空気中の浮遊菌の殺菌実験の結果を示す図であって、イオン濃度に対する浮遊菌の残存率の変化を示している。
【図5】 そのトイレ用脱臭・殺菌装置によって送出されるイオンの濃度の変化を風速に対して示す図である。
【図6】 そのトイレ用脱臭・殺菌装置による空気中の浮遊菌の殺菌実験の結果を示す図でって、副次的に生成するオゾンの濃度に対する浮遊菌の残存率の変化をイオン濃度別に示す図である。
【図7】 本発明の第2の実施形態に係るトイレ用脱臭・殺菌装置の概略的な断面図である。
【図8】 そのトイレ用脱臭・殺菌装置によって送出されるイオンの濃度の変化を雰囲気の相対湿度に対して示す図である。
【図9】 本発明の第3の実施形態に係るトイレ用脱臭・殺菌装置を便器に取り付けた状態の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
1 吸気口
2 排気口
3 絶縁体部
4 ダクト
5 電極部
6 高電圧発生部
7 イオン発生部
8 ファン
9 脱臭・除湿部
10 トイレ用脱臭・殺菌装置
11 便器

【特許請求の範囲】
【請求項1】 空気を吸気口からダクトに吸い込んで排気口を経て前記ダクトの外に導くファンと、空気中でプラズマ放電を起こして正イオンと負イオンを発生するイオン発生部とを前記ダクト内に設けたことを特徴とするトイレ用脱臭・殺菌装置。
【請求項2】 空気を吸気口からダクトに吸い込んで排気口を経て前記ダクトの外に導くファンを前記ダクト内に設け、空気中でプラズマ放電を起こして正イオンと負イオンを発生するイオン発生部を前記ダクト内の空気の流れに対して前記ファンよりも下流側に設けたことを特徴とするトイレ用脱臭・殺菌装置。
【請求項3】 前記ダクト内の空気の流れに対して前記イオン発生部よりも上流側の空気通路に吸着剤、除湿剤もしくは吸着剤と除湿剤を複合して成る脱臭・除湿手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のトイレ用脱臭・殺菌装置。
【請求項4】 前記吸気口は、便器内の空気を吸入する便器内用吸気口と、便器外の空気を吸入する便器外用吸気口とから成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトイレ用脱臭・殺菌装置。
【請求項5】 便器に取り付けるための取付具を備えることを特徴とする請求項4に記載のトイレ用脱臭・殺菌装置。
【請求項6】 前記排気口近傍のイオン濃度が10,000個/cm3以上になるように調整されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のトイレ用脱臭・殺菌装置。
【請求項7】 前記排気口近傍の風速が1.5m/秒以上になるように、前記ファンの回転数が調整されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のトイレ用脱臭・殺菌装置。
【請求項8】 前記正イオンと負イオンに加えてオゾンを放出することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のトイレ用脱臭・殺菌装置。
【請求項9】 水流センサと、該水流センサの検知信号に基づいてオゾンの濃度を制御することを特徴とする請求項8に記載のトイレ用脱臭・殺菌装置。
【請求項10】 人体センサと、該人体センサの検知信号に基づいてオゾンの濃度を制御することを特徴とする請求項8又は9に記載のトイレ用脱臭・殺菌装置。
【請求項11】 オゾンセンサと、該オゾンセンサの検知信号に基づいてオゾンの濃度を制御することを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のトイレ用脱臭・殺菌装置。
【請求項12】 タイマーを連動させて、トイレ用脱臭・殺菌装置の運転を制御することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のトイレ用脱臭・殺菌装置。
【請求項13】 トイレ室内において高さ1m以下の空間に設置することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のトイレ用脱臭・殺菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2003−147828(P2003−147828A)
【公開日】平成15年5月21日(2003.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−350983(P2001−350983)
【出願日】平成13年11月16日(2001.11.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】