説明

トナー画像転写方法

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は電子写真装置、より詳しくは静電画像を保有した可撓性ウエブまたは可撓性中間ウエブを有する電子写真装置の機構で、転写ステーションの後方に、かつウエブから用紙の剥離部の前方に配置されたウエブの無張力ループを提供することによって画像の用紙への転写の改善を達成する改良された機構に関する。
【0002】図1はカラー印刷機の概略図である。
【0003】図2は感光体、電気的にバイアスされた転写ローラおよび歯車を用いた電子写真印刷機の部分図である。
【0004】特定の用語を本明細書で用いているが、これは説明を明確にし、図を説明するために選択された本発明の特定機構のみを言及することを意図しているにすぎず、本発明の概念の規定または限定を意図するものではない。
【0005】これまでにいくつかのタイプの電子写真複写機および電子写真印刷機がカラーおよびモノクロ式の両方で提案され市販化されてきている。カラーは二者のなかでより複雑であるから、カラー複写またはカラー印刷機は図示の目的で説明する。本発明に使用できる典型的な印刷装置を添付図の図1に示す。
【0006】乾式電子写真印刷機において、多色複写は中間ローラを用いることによって達成されている。このタイプの装置において、連続トナーパウダ画像が転送され、光導電ドラムから中間ローラに互いに重畳される。この種のシステムの一例が米国特許第3,957,367号に開示されており、ここでは参照までに留める。このシステムにおいて、連続トナーパウダ画像が光導電体面から中間ローラに互いに重畳された記録状態で転写される。こうして多色画像がコピーシートに転写される。
【0007】図1のもう一つの電子写真複写装置において、四つの画像形成ユニット1a、1b、1cおよび1dが配置されており、それぞれ別々の感光性ドラムまたは感光体2a、2b、2c、2dの囲りに露光ステーション3a、3b、3cおよび3d、現像ステーション4a、4b、4cおよび4d、転写ステーション5a、5b、5cおよび5d、清掃ステーション6a、6b、6cおよび6d、および帯電ステーション8a、8b、8cおよび8dが配置されている。一方、エンドレスベルトのような中間コンベヤ手段7が画像形成ユニット1a、1b、1cおよび1dにわたって配置されていて、画像形成ユニットの転写ステーションにおいて画像を受けとる。各画像形成ユニット1a〜1dは中間ベルト7の近接して配置され異なるカラートナーを互いに重畳する関係で中間ベルト7に転写する。
【0008】露光ステーション3a〜3dはあらゆるタイプのラスタインプット/アウトプット走査装置(RIS/ROS)またはRIS/ROS装置を用いた組合せとすることができる。好ましい実施例ではレーザとROS装置を併用する。ROSは感光体2a〜2dを光の強さに露光させる移動スポットシステムである。概して、レーザが光源となる。これはレーザが小さいスポットに焦点合わせするのに適し、しかも適切なエネルギを感光体2a〜2dに対し効率的に放電する光を発生するからである。スポットのスイープまたは移動作用は典型的には多面鏡の回転またはガルバーに固定された往復動鏡によって得られる。さらに、移動スポットはガルバーおよび回転鏡等の機械的装置なしに得ることもできる。非機械的装置の一例としては、内部偏向または反射特性が電気的に変化する光学偏向部材がある。圧電結晶がこの種の装置の例である。ROS機構の例には米国特許第4,236,809号があるが、ここでは参考までに留める。
【0009】この種の機構において、原稿の画像に対する黄色成分カラーの潜像が第1画像形成ユニット1aの帯電ステーション8aおよび露光手段3a等の従来の電子写真手段によって感光体2aのドラム上にまず形成され、その後、可視画像が黄色トナーを有する現像装置による現像ステーション3aおよび転写ステーション4aによって形成され、黄色トナー画像が中間部材としても知られる中間コンベヤ手段7に転写される。
【0010】黄色画像が中間部材7に転写されている間に、マゼンタ(深紅色)トナーによるトナー画像が現像ステーション4bに得られる。前述の黄色トナー画像が第1画像形成ユニット1aに転写された中間部材7が第2画像形成ユニット1bの転写ステーション5bに転写され、マゼンタトナー画像が中間部材7の所定の位置に転写される。
【0011】続いて、シアン(青緑色)1cおよび黒色1dに関して、画像形成は同様の方法で実行される。4色のトナー画像の重畳が中間部材7上で完了されると、中間部材7が転写ステーション10移動され、そこで多色潜像がシート状転写部材またはコピーシート(シート)12に転写される。転写材のシート12は転写ステーション10でトナー画像と接触するように移動される。シート12は従来のシート供給装置(図示せず)によって転写ステーション10に進行される。シート供給装置は積層されたコピーシートの最上段のシートと接触する供給ローラを含んでいるのが好ましい。供給ローラが積層シートから最上段シートがタイムシーケンスで中間部材7と接触するように進行され、その上のトナーパウダ画像が転写ステーション10で進行するシートと接触する。
【0012】別々の感光体2a〜2dのドラムから中間部材7への画像の転写が完了した後、ドラムが清掃ステーション6a〜6dによって清掃され、ドラムから残留トナーが除去される。こうして潜像形成および現像の次期サイクルの準備がなされることになる。
【0013】転写ステーション10は、適当な極性のイオンをシート12の裏側にスプレーするコロナ発生装置14を含んでいる。コロナ発生手段14は帯電トナーパウダーを中間部材7からシート12に吸引する。転写後、シート12は矢印20の方向に剥離ステーション16に移動し続け、ここでシート12が中間部材7から剥離される。
【0014】剥離ステーション16の前方で転写ステーション10の後方に図1に示すように無張力ループすなわちバックル30が設けられている。バックル30は転写ステーション10と剥離ステーション16間で中間部材7に余剰長さを設けることによって作られる。いくつかの形状の歯車や弾性ローラ34等がバックル30以外の中間部材に張力を維持し、一方バックル30内に無張力状態を保持するように作用できる。図1は中間部材7の外方エッジと接触し、無張力バックル30を作り、一方中間部材7の残部を張力下におく弾性ローラを示す。これとは別の構成も本発明の無張力ループを設けるのに使用できることが理解できる。例えば、バックル30は下方ローラで凸状にするか、または真空プレナムによって凹状にすることによって形成できる。
【0015】図2は上述した別の構成の一つを示す。典型的にカラーおよびモノクロコピーと印刷機の両方に用いられる感光体ベルト18が静電気的にトナー画像を保持している。加圧されていること以外は実質上コロナ発生装置14と同じ機能を発揮する電気的にバイアスされた転写ローラ22がトナー画像をシート12に転写する。シート12がバックル30に進行して、歯車32がエッジに設けられた孔または通孔に噛合してバックル30を保持する。従って、張力が両歯車32間以外の中間部材に維持される。これは無張力バックル30として公知である。次いで、シート12が図1の続く説明と同じようにして進行する。
【0016】無張力バックルの説明において、静電荷がどのようにしてトナー粒子または画像を中間部材およびコピーシートに保持されるかである。トナー画像を中間部材7からコピーシート12に移動させるためには、強い電荷をコピーシートに作用させトナー画像をシートに吸引する必要がある。コピーシート12上に十分な電荷が存在しなかったり、中間部材の全体に電荷がいきわたっていない場合、画像の転写に悪影響を及ぼす。達成された画像転写量を転写効率と呼ぶ。従って、転写効率がよくなればなるほど、画像の最終コピーシート12への付着がよくなる。この点は感光体等の中間部材7または他のタイプの可撓性ベルトについても同じである。
【0017】本発明において、2工程転写プロセスが用いられている。第1工程は標準的転写操作である。すなわち、コロトロン式装置またはBTR(テープ読取り機の後方機器)からの逆極性電荷がシートの表面に帯電される。画像形成面、本発明の場合中間部材7に存在する逆極性に帯電されたトナー画像がシートに吸引される。この作用が大部分のトナー画像を転写し、大きい転写効率が達成される。
【0018】第2転写工程はバックル30から始まる。湾曲した無張力パス(バックル30)を作ることによって、第1転写工程では転写されなかった残留トナー粒子がシートに転写される。これで二つの交差しない湾曲平行パスが得られ、外方パスが内方パスよりも遠くを走行し一点から他の点に移動することが理解される。この場合、中間部材7、すなわち、外方パスがシート12、すなわち、内方パスよりも遠方を走行する。中間部材7とシート12間の無張力状態の動きが、電荷の均一に分布していないトナーをロールし、残留トナーを中間部材7に保持している短い範囲の面の静電力を破壊または弱める。中間部材7とシート12間におけるトナー粒子の1/2円周運動が残留トナー画像をしてシート12への転写をせしめるのに十分であると思われる。従って、転写ステーション10の後方、剥離ステーション16の前方で、コピーシート12をバックル30に走行させることによって、転写効率がバックル30を用いない同様のシステムよりも増大する。さらに、無張力ループが中間部材7とシート12間の中間の順応性を高めるものと思われる。この点は張力を用いたシステムでは達成できなかったことである。張力を発生させる順応性は中間部材とシート上の残留電荷によって決まる。
【0019】上述と同じ原理がこれまでに説明した中間可撓性部材だけでなく、カラープリンタまたはモノクロプリンタまたはコピー機における可撓性感光体または他の可撓性ベルトにおいても当てはまることに注意しなければならない。
【0020】図1の説明を続けると、コピーシート12が中間部材から剥離ステーション16で一旦剥離されると、シートは定着ステーション36に進行される。定着ステーション36は永久的に転写されたパウダ画像をシート12に定着させる。好ましくは、定着ステーションは加熱定着ローラ38とバックアップローラ40とを有し、定着ローラ38にはトナーパウダ画像が接触する。このようにして、トナーパウダ画像はシート12に永久的に定着される。定着後、次にオペレータが印刷機からシート12を取り除けるようにシュート(図示せず)が、進行するシート12をキャッチトレー(図示せず)に案内する。
【0021】シート12が中間部材7から剥離された後、感光体上の非画像域に付着された残余トナー粒子および違ったサインとカラートナー粒子が感光体から除去される。これらのトナー粒子は清掃ステーション42で中間部材7から除去される。
【0022】残余トナーの清掃に続き、AC中性化コロトロン44が中間部材7に印加され、完全な印刷サイクルの開始前に、残っているあらゆる余分な静電荷が消滅される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 カラー印刷機の概略図である。
【図2】 感光体、電気的にバイアスされた転写ローラおよび歯車を用いた電子写真印刷機の部分図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d 画像形成ユニット、2a,2b,2c,2d 感光体、3a,3b,3c,3d 露光ステーション、4a,4b,4c,4d 現像ステーション、5a,5b,5c,5d 転写ステーション、6a,6b,6c,6d 清掃ステーション、7 中間ベルト、8a,8b,8c,8d 帯電ステーション、10 転写ステーション、12 シート、14 コロナ発生装置、16 剥離ステーション、18 感光体ベルト、22 転写ローラ、30 バックル、32 歯車、36 定着ステーション、38 定着ローラ、40 バックアップローラ、42 清掃ステーション、44 AC中性化コロトロン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 トナー画像を可撓性部材に配置するステップ;シートを前記可撓性部材に接触させるステップ;前記トナー画像を前記可撓性部材から前記シートに両者が接触するように転写するステップ;および前記シートと前記可撓性部材間の静電荷を減少させることによって転写効率を改善させるステップであって、前記可撓性部材と前記シートに実質上無張力状体を発生させ、トナー画像と前記可撓性部材間の静電荷を減少させて転写効率を改善するステップを有し、無張力状態発生ステップが転写ステップと分離ステップの間に位置された前記可撓性部材の一部にバックルを形成するステップからなる前記シートと前記可撓性部材間に相対的な動きを提供するステップ;からなることを特徴とするトナー画像転写方法。
【請求項2】 前記バックルを形成するステップが前記可撓性部材をその外方エッジで掴み、前記可撓性部材の一部に無張力バックルを、前記可撓性部材の残りの部分に張力状態を許容させるステップからなることを特徴とする請求項1に記載のトナー画像転写方法。
【請求項3】 前記可撓性部材を掴むステップが少なくとも1セットの歯車を前記可撓性部材の外方エッジの通孔に噛合させることにより無張力状態を呈するバックル形成ステップを有することを特徴とする請求項2に記載のトナー画像転写方法。
【請求項4】 前記可撓性部材を掴むステップが少なくとも一対の弾性ローラを前記可撓性部材の外方エッジに押圧させることにより無張力状態発生ステップに無張力状態を呈するバックル形成ステップを有することを特徴とする請求項2に記載のトナー画像転写方法。

【図2】
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【図1】
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【特許番号】特許第3061301号(P3061301)
【登録日】平成12年4月28日(2000.4.28)
【発行日】平成12年7月10日(2000.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−187504
【出願日】平成3年7月26日(1991.7.26)
【公開番号】特開平4−238377
【公開日】平成4年8月26日(1992.8.26)
【審査請求日】平成10年7月22日(1998.7.22)
【出願人】(590000798)ゼロックス コーポレイション (21)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【参考文献】
【文献】特開 平2−2037(JP,A)