説明

トナー

【課題】 環境によらず、流動性、帯電安定性、現像性、転写性に優れ、長期にわたり高精細かつ高画質を安定して得ることのできるトナーを提供する。
【解決手段】 トナー粒子と、疎水化処理剤で疎水化処理された疎水化度が60%以上であるシリカアルミナ複合粒子を含有するトナーであって、
疎水化処理される前のシリカアルミナ複合粒子のゼータポテンシャルが、−42.0mV以上−28.0mV以下であり、
前記疎水化処理される前のシリカアルミナ複合粒子におけるシリカの含有量が、55.0質量%以上95.0質量%以下、前記疎水化処理されたシリカアルミナ複合粒子におけるアルミナの結晶化度が、10.0%以上60.0%以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンターに代表される電子写真方式の画像形成に使用される静電荷像現像用トナーに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成に使用可能な静電荷像現像用トナー(以下、簡単にトナーともいう)には、その表面に外添剤と呼ばれる無機化合物や樹脂でできた粒子(以下、外添剤ともいう)を添加して構成されるものが多い。
【0003】
この様な外添剤の存在により、トナーの帯電性や流動性等の性能が改善され、外添剤の利用は良好な画像形成を実現する上で、有効な手段の1つとされている。
【0004】
一方、近年、プリンター等において、高精細、高画質化の要求が高まっており、当該技術分野では、トナーの粒子径を細かくして高画質化を達成する試みがなされている。特にカラートナーの場合は顕著であり、乾式法はもとより、湿式法である懸濁重合法、凝集粒子法や溶解懸濁重合法等によって製造されるトナーの出現により、トナーの小粒径化が更に加速されている。トナー粒子径が小さくなる(以下、小径トナーともいう)と、単位重量当たりの帯電量が大きくなる傾向があり、画像濃度が低くなりやすい。その原因の1つは感光体の潜像に対するトナー現像量の低下である。これは電位の井戸をどれほどのトナー量で埋められるかを考えればよいが、前述のようにトナー粒径が小さくなると、単位重量当たりの帯電量が大きくなるので、小径トナーでは現像量が低下しやすい。また、感光体のトナー画像を転写材あるいは、中間転写体に転写する効率(以下、転写性ともいう)の低下という問題がある。これは電気的にトナーを感光体から転写材あるいは中間転写体に転写するのが一般的であるが、トナーの粒子径を小さくすると、非静電的付着力が相対的に大きくなることによって、効率が低下することによるものである。また、トナーの単位重量当たりの表面積が増大する為、トナーの流動性も大きく悪化することが容易に予想され、例えば、長期使用に際して、トナー劣化が生じやすい。その為、トナーの小粒径化に当り、帯電性、流動性の課題が両立されるように、トナーを構成することが重要であり、これらを改善する事を目的に、シリカ粒子、アルミナ粒子やチタニア粒子などの外添剤が用いられることが多い。
【0005】
例えば、外添剤として疎水化したシリカ粒子、疎水化したアルミナ粒子、又は疎水化したチタニア粒子等を用いることが知られている。
【0006】
シリカ粒子の外添剤は、トナーへの帯電付与能、流動性を良好にする事ができる。その反面、シリカ粒子を外添したトナーでは、アルミナ粒子やチタニア粒子等に比べて負帯電性が大きく、特に低湿下においては、高い初期帯電レベルを有し、連続使用の際にはチャージアップしやすい。さらには、高温高湿、及び低温低湿環境間での帯電量変動が大きいという問題が生じやすい。例えば、高温高湿環境ではカブリ、転写性、画像濃度安定性の悪化や、低温低湿環境では、画像濃度が低くなったりする傾向があり、小径トナーではこの傾向が一層顕著になる。
【0007】
アルミナ粒子をトナー粒子に外添すると、トナー粒子表面に低摩擦帯電サイトを形成し、トナーの摩擦帯電の過多(チャージアップ)を防止する(以下、低摩擦帯電性ともいう)。また、低摩擦帯電性のため、静電凝集の影響が少なく、スペーサーとしての機能も最大限発揮することが可能となる。そのため高速の現像システムのような、現像器内で大きなシェアを受ける環境においてもトナーの流動性の低下を防ぐことができ、長期に渡り安定した性能を維持することが可能となる。
【0008】
その反面、高温高湿下では、トナーの帯電能低下を生じやすく、カブリ、及び転写性や画像濃度安定性が悪化する傾向にある。
【0009】
また、シリカ粒子、アルミナ粒子それぞれの弊害を無くすために、疎水化したシリカ粒子と疎水化したアルミナ粒子を併用する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1は、アルミナ粒子の表面活性ならびに結晶構造等に関しては一切言及しておらず、帯電の安定化の点において改善すべき点がある。
【0010】
このように、トナーに対して十分な流動性、帯電性、環境安定性、耐久性を持たせるためには、未だ満足のゆくシリカ粒子、アルミナ粒子がないのが現状である。
【0011】
このような背景から、シリカ粒子とアルミナ粒子のさらなる性能向上を目的とし、シリカ粒子、アルミナ粒子それぞれの弊害がなく、それぞれの良好な特性を相乗的に併せ持つシリカとアルミナを含有する複合粒子(以後、シリカアルミナ複合粒子と略すことがある)の検討が以前より行われてきた。
【0012】
例えば、シリカアルミナ複合粒子を外添剤として用いたトナーが提案されている(特許文献2〜7参照)。
【0013】
しかしながら、シリカアルミナ複合粒子におけるシリカとアルミナの割合や結晶構造に関する検討が十分になされておらず、帯電の安定化の点において改善すべき点があった。
【0014】
即ち、従来提案されてきたシリカアルミナ複合粒子には、未だ改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平4−345169号公報
【特許文献2】特開2002−244341号公報
【特許文献3】特開2005−84295号公報
【特許文献4】特開2001−83738号公報
【特許文献5】特許第3587671号公報
【特許文献6】特開2003−192940号公報
【特許文献7】特許第4255233号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、環境によらず、流動性、帯電安定性、現像性、転写性に優れ、長期にわたり高精細かつ高画質を安定して得ることのできるトナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者は鋭意検討した結果、トナーの外添剤として、シリカの含有量、アルミナの結晶化度と、シリカ、アルミナの表面露出状態、疎水化度をコントロールした特定のシリカアルミナ複合粒子を用いる事により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達するに至った。
【0018】
すなわち、本発明は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と、疎水化処理剤で疎水化処理されたシリカアルミナ複合粒子を含有するトナーであって、
前記疎水化処理されたシリカアルミナ複合粒子は、疎水化度が60%以上であり、
疎水化処理される前のシリカアルミナ複合粒子のゼータポテンシャルが、−42.0mV以上−28.0mV以下であり、
前記疎水化処理される前のシリカアルミナ複合粒子におけるシリカの含有量が、55.0質量%以上95.0質量%以下であり、
前記疎水化処理されたシリカアルミナ複合粒子におけるアルミナの結晶化度が、10.0%以上60.0%以下であることを特徴とするトナーに関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、環境によらず、流動性、帯電安定性、現像性、転写性に優れ、長期にわたり安定した高精細かつ高画質な画像が得られるトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】シリカアルミナ複合粒子の体積固有抵抗の測定装置の概略的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明において、シリカアルミナ複合粒子を外添したトナーにおいて、シリカ粒子、アルミナ粒子それぞれの弊害が無く、それぞれの良好な特性を相乗的に併せ持つシリカアルミナ複合粒子について鋭意検討を重ねた。その結果、外添されるシリカアルミナ複合粒子の構造及び物性を特定することによって、前述の課題を解決するトナーが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0022】
良好な帯電安定性、現像性、転写性を得るためには、シリカアルミナ複合粒子におけるアルミナの結晶化度を制御することが重要である。
【0023】
本発明に用いられるシリカアルミナ複合粒子におけるアルミナの結晶化度は、10.0%以上60.0%以下であり、好ましくは15.0%以上48.0%以下である。アルミナの結晶化度が、10.0%より低い、すなわち非晶質の割合が大きい場合、電気的な抵抗が低くなり、シリカアルミナ複合粒子の表面活性が弱くなる。そのため、特に高温高湿環境下でのかぶり及び画像均一性、並びに画像濃度安定性に劣るようになる。アルミナの結晶化度が、60.0%より高い場合、シリカアルミナ複合粒子の表面活性が強く、また電気的な抵抗が高くなることから、トナーを低温低湿環境下で連続使用した際に、チャージアップを生じるようになる。結果、画像濃度、画像均一性が低下し、カブリの発生が見られる。また、後述する、本発明に用いられるシリカアルミナ複合粒子の好ましい製造方法である気相法で、結晶化度を60.0%より高くするには、粒子を高温で長時間加熱しなければならず、シリカアルミナ複合粒子の凝集が生じやすくなる。凝集が生じた場合には、トナーへの流動性付与能の低下、スペーサー機能の低下が生じる。
【0024】
本発明に用いられるシリカアルミナ複合粒子の疎水化処理前におけるシリカの含有量は、55.0質量%以上95.0質量%以下、好ましくは、60.0質量%以上85.0質量%以下である。
【0025】
シリカの含有量が、55.0質量%より少ないと、前述のアルミナの結晶化度や後述のゼータポテンシャルを満たしていても、シリカアルミナ複合粒子におけるアルミナの含有量が多すぎるため、アルミナの特性が強く発現されやすくなる。即ち、低摩擦帯電性の特性が強くなりすぎ、トナーは、特に高湿下で長期放置された際に、帯電の維持が困難(電荷の損失が大きく)となり、画像濃度安定性、画像均一性に劣るようになり、カブリが発生するようになる。
【0026】
シリカの含有量が、95.0質量%より多いと、シリカの特性が強く発現されやすくなり、低温低湿下で連続使用した際に、トナーがチャージアップしやすくなる。結果、画像濃度が低下し、画像均一性も低下してしまう。さらには、高温高湿と低温低湿環境といった環境間での帯電量変動が大きくなり、画像濃度安定性が低下する。また、シリカの含有量が95.0質量%より多いシリカアルミナ複合粒子は、粒子同士が凝集しやすくなり、トナーへの流動性付与能が低くなる。
【0027】
本発明に用いられるシリカアルミナ複合粒子は、シリカとアルミナの含有量、アルミナの結晶化度と併せて、それぞれの表面露出割合をコントロールすることが重要である。即ち、本発明に用いられるシリカアルミナ複合粒子は、疎水化処理される前の母体の状態で測定したゼータポテンシャルが、−42.0mV以上−28.0mV以下であり、好ましくは−40.0mV以上−30.0mV以下である。
【0028】
疎水化処理する前の状態で測定したゼータポテンシャルは、シリカアルミナ複合粒子表面のシリカ及びアルミナの存在割合を示すパラメーターである。ゼータポテンシャルが、小さい場合は、シリカの表面露出割合が多く、大きい場合は、アルミナの表面露出割合が多いことを示す。
【0029】
そのため、未処理の状態で測定されたシリカアルミナ複合粒子のゼータポテンシャルが、上記の範囲内であれば、シリカ、アルミナそれぞれの露出割合が適度であり、それぞれの良好な特性を併せ持つシリカアルミナ複合粒子となる。
【0030】
上記シリカアルミナ複合粒子において、ゼータポテンシャルを上記範囲に制御するには、例えば、気相法で製造する場合、系内に供給するガスの流入量や温度などを調整すれば良い。詳細には後述する。
【0031】
本発明においては、シリカアルミナ複合粒子は、所望の特性、すなわち長期環境安定性を得ることを目的に、高い疎水化度を有することが必要である。そのため、疎水化処理剤で疎水化処理されており、疎水化処理された状態で測定したシリカアルミナ複合粒子の疎水化度(メタノール疎水化度)が、60%以上である必要があり、70%以上であることがより好ましい。
【0032】
そして、本発明に用いられるシリカアルミナ複合粒子において、疎水化処理剤の添加量と、疎水化処理剤を用いて疎水化処理される前のシリカアルミナ複合粒子のBET比表面積が以下の関係を満たすことが好ましい。
(疎水化処理される前のシリカアルミナ複合粒子1gに対する疎水化処理剤の添加量(g/g)/(疎水化処理剤を用いて疎水化処理される前のシリカアルミナ複合粒子のBET比表面積(m/g))≦1.7×10−3(g/m
より好ましくは、上式において、1.6×10−3(g/m)以下である。
【0033】
疎水化処理剤の添加量が上記規定の範囲内であれば、シリカアルミナ複合粒子の単位表面積当りの疎水化処理剤の処理量が適度であり、疎水化度を高めつつ、シリカアルミナ複合粒子の母体に基づく特性を良好に発現させることができる。
【0034】
本発明のシリカアルミナ複合粒子の疎水化処理としては、公知の処理剤、方法を特に制限されずに用いる事ができる。
【0035】
疎水化処理は、シリカアルミナ複合粒子に疎水化処理剤を乾式で処理する方法(シリカアルミナ複合粒子を撹拌下または流動下で、疎水化処理剤蒸気を噴霧する方法を含む)、水や有機化合物等の溶媒に浸漬し、シリカアルミナ複合粒子に疎水化処理剤を湿式で処理する方法などその処理方法は特に限定されず、公知の方法で何ら問題なく実施できる。
【0036】
中でも、乾式での方法が、適度な低帯電性と優れた帯電の立ち上がり特性を有すると共に、凝集性が弱く、優れた流動性付与特性を有する点で好ましい。乾式による方法としては、シリカアルミナ複合粒子を撹拌下に疎水化処理剤を噴霧して処理する方法や、疎水化処理剤蒸気を流動床や撹拌下のシリカアルミナ複合粒子へ導入する方法が挙げられる。
【0037】
疎水化処理剤も、公知の処理剤を何ら制限されずに使用することができる。具体的に例示すれば、シリル化剤として、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン等のクロロシラン類やテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、i−ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、へキサプロピルジシラザン、ヘキサブチルジシラザン、ヘキサペンチルジシラザン、ヘキサヘキシルジシラザン、ヘキサシクロヘキシルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジメチルテトラビニルジシラザン等のシラザン類等がある。また、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、クロロアルキル変性シリコーンオイル、クロロフェニル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、及び、末端反応性シリコーンオイル等のシリコーンオイルや、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン等のシロキサン類も疎水化処理剤として好ましい。さらに、脂肪酸及びその金属塩として、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸が挙げられ、その金属塩としては亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムなどの金属との塩も疎水化処理剤として有効である。これらのうち、アルコキシシラン類、シラザン類、ストレートシリコーンオイルは処理を実施しやすいので、好ましい。本発明では、このような疎水化処理剤の1種類を単独で、あるいは、2種類以上の場合は混合するか、または、順次段階的に表面処理して、用途に応じて要求される疎水度を達成することができる。
【0038】
また、本発明で用いられるシリカアルミナ複合粒子は、疎水化処理をしていない状態で測定したシリカアルミナ複合粒子の体積固有抵抗が、1.0×10Ω・m以上5.0×1011Ω・m以下であることが好ましい。シリカアルミナ複合粒子の体積固有抵抗を上記範囲にすることによって、より長期にわたり、安定した画像を出しつづけることができるようになる。
【0039】
本発明のシリカアルミナ複合粒子は、疎水化処理する前の状態で測定したBET比表面積が、好ましくは、20m/g以上350m/g以下、さらに好ましくは、45m/g以上330m/g以下である。疎水化処理する前の状態で測定したBET比表面積が上記の範囲内であると、トナー粒子へのシリカアルミナ複合粒子の埋め込みが抑制されるため、より長期にわたって、良好な効果が得られやすくなる。
【0040】
以下、シリカアルミナ複合粒子の製造方法について説明する。
【0041】
製造方法としては、水系媒体中で、アルミナ粒子あるいはシリカ粒子の表面に、それぞれシリカあるいはアルミナを付着させ被覆する方法、ドープ法、気相法などがあげられる。中でも、気相法で粒子を製造した後に、後工程として加熱処理を行う製造方法が好ましい。
【0042】
四塩化ケイ素ガスと三塩化アルミニウムガスを用いて、気相法によって製造する場合を一例として示す。まず、四塩化ケイ素ガス、不活性ガス、水素、空気を混合して所定比率の混合ガスを調製する。同様に、三塩化アルミニウムガス、不活性ガス、水素、空気を混合して混合ガスを調製する。これら2種類の混合ガスを混合し、或いは、個別に反応室に導入し、1000℃以上2500℃以下の温度で燃焼させることにより、シリカアルミナ複合粒子を生成させ、冷却後、フィルターで捕集する。この際、所望のアルミナの結晶化度、ゼータポテンシャルを有するシリカアルミナ複合粒子を得、またシリカ粒子、アルミナ粒子といった複合化されていない粒子の生成を抑制するには、四塩化ケイ素ガスからシリカ、三塩化アルミニウムガスからアルミナを生成する反応速度差(アルミナ生成反応より、シリカ生成反応の方が、反応速度が速い)を考慮する必要がある。具体的には、燃焼バーナーに導入する四塩化ケイ素ガスと三塩化アルミニウムガスの濃度、流量比率、流入方法と共に、燃焼時間や温度、燃焼雰囲気を調整すればよい。
【0043】
気相法で得られたシリカアルミナ複合粒子は、アルミナの結晶化度が5%前後であることが一般的である。
【0044】
そのため所望のアルミナの結晶化度、ゼータポテンシャルを有するシリカアルミナ複合粒子とするために、800℃以上で、シリカの融点より低い温度である1500℃以下の温度で加熱する後工程を行えばよい。また、加熱することで、シリカが表面に露出してくる傾向があり、ゼータポテンシャルを低下させることができ、所望のゼータポテンシャルを達成できる。この理由は定かではないが、アルミナの結晶化が起こり、シリカが粒子表面に押し出されてくるのではないかと考えられる。
【0045】
本発明のシリカアルミナ複合粒子は、結晶化度を高める処理を経ることによって、若干の凝集が生じる場合がある。そのため、必要に応じて、疎水化処理前、或いは処理後、或いは同時に解砕処理を施しても良い。解砕方法としては、公知の解砕機を用いる事ができるが、例えば、表面処理されたシリカアルミナ複合粒子を、高速衝撃式微粉砕機パルベライザー(ホソカワミクロン社製)で、解砕する方法などがある。
【0046】
本発明で用いられるシリカアルミナ複合粒子の添加量(外添量)としては、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部以上2.50質量部以下が好ましく、より好ましくは0.10質量部以上2.00質量部以下である。
【0047】
次に、トナー粒子について説明する。
【0048】
トナー粒子としては、結着樹脂及び着色剤を含有するものであれば、特に制限なく用いることができる。
【0049】
用いることのできる結着樹脂としては、例えば、以下の樹脂が挙げられる。ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体等のスチレン系共重合体;アクリル樹脂;メタクリル樹脂;ポリ酢酸ビニル;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;フラン樹脂;エポキシ樹脂;キシレン樹脂。これらの樹脂は、単独で又は混合して使用される。
【0050】
結着樹脂の主成分としてはポリエステル樹脂、スチレン系共重合体が、現像性、定着性の点で好ましい。
【0051】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如き二重結合を有するモノカルボン酸、或いは、その置換体;マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルの如き二重結合を有するジカルボン酸、或いは、その置換体;酢酸ビニル、安息香酸ビニルの如きビニルエステル;エチレン、プロピレン、ブチレンの如きエチレン系オレフィン;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンの如きビニルケトン;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテルが挙げられる。これらのビニル単量体が、単独もしくは2つ以上用いられる。尚、上記スチレン系共重合体はジビニルベンゼン等の架橋剤で架橋されていることが、トナーとしての定着温度領域を広げ、耐オフセット性を向上できるため好ましい。
【0052】
本発明において、トナー粒子は、30ppm以上1000ppm以下のチタン元素を含有していることが好ましい。
【0053】
トナー粒子中にチタン元素が上記の範囲内で含有されると、トナー粒子と、外添されるシリカアルミナ複合粒子との相互作用により、適度にトナー同士で、電荷のやり取りが行なわれるようになる。そのため、帯電量が緩和し、チャージアップを抑制するとともに、トナーの帯電立ち上がり性(帯電速度)、帯電分布が良好な状態で、飽和帯電量を高めることが出来る。また、トナー粒子にチタン元素が含有されている場合には、外添されたシリカアルミナ複合粒子が遊離しにくくなり、長期にわたり安定して高画質が良好に得られるようになる。
【0054】
トナー粒子にチタン元素を含有させる方法としては、特に制限されることなく、公知の方法を用いる事ができる。例えば、チタンキレート化合物を触媒として用いられ合成されたポリエステルユニットを有する樹脂をトナー粒子に含有させれば良い。
【0055】
特に、チタンキレート化合物を触媒として用いて合成されたポリエステルユニットを有する極性樹脂を用いて、懸濁重合法や凝集粒子法によりトナー粒子を製造することが好ましい。この場合には、極性樹脂がトナー粒子表面に多く偏在するようになり、チタンキレート化合物もトナー粒子表面に偏在するようになる。トナー粒子表面に微細に分散しているチタン化合物は、電荷の注入あるいはリークさせるサイトとして機能し、高温高湿下で長期放置された場合であっても、安定して高い帯電量を保持でき、低温低湿下であっても、トナーの過帯電(チャージアップ)を抑制できる。さらには、上記サイトが存在することで、トナー間での電荷の授受が良好となり、帯電量分布がより、シャープになると推定される。
【0056】
このようなトナー粒子に、シリカアルミナ複合粒子を添加することによって、添加効果が更に高まる。即ち、長期連続使用時または放置後、更には高温高湿環境下においても帯電量を良好に保持することができ、低温低湿下における帯電の上昇を抑制することができる。また、トナー粒子とシリカアルミナ複合粒子との親和性が高まるため、シリカアルミナ複合粒子が長期にわたり、より安定的にトナー表面に保持されるようになる。
【0057】
チタンキレート化合物は、配位子が、ジオール、ジカルボン酸、オキシカルボン酸のいずれかであることが好ましい。これらの中でも、配位子が、脂肪族系ジオール、ジカルボン酸、オキシカルボン酸のいずれかであることが特に好ましい。脂肪族系の配位子は、芳香族系の配位子に比べ、触媒活性が強く、反応時間の短縮、温度制御の点で好ましく、樹脂物性としても分子量分布がシャープとなり易い為好ましい。
【0058】
例えば、以下のものが例示される。ジオールとしては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールである。ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、オキシカルボン酸として、グルコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸である。
【0059】
また、ポリエステルユニットを有する極性樹脂を重合する際、該チタンキレート化合物の添加量としては、総ポリエステルユニット成分量に対して0.01質量%以上2.00質量%以下、好ましくは0.05質量%以上1.00質量%以下、さらに好ましくは、0.10質量%以上0.70質量%以下が良い。
【0060】
ポリエステルユニットを有する極性樹脂の酸価は好ましくは、3mgKOH/g以上35mgKOH/g以下であり、より好ましくは5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下、さらに好ましくは7mgKOH/g以上20mgKOH/g以下である。また、極性樹脂の水酸基価は、好ましくは5mgKOH/g以上40mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以上35mgKOH/g以下、さらに好ましくは15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下である。
【0061】
特に、懸濁重合法によりトナー粒子を製造する場合、酸価、水酸基価が上記範囲内であれば、極性樹脂によって、表層(シェル部)をきれいに被覆形成することができる。それにより、トナー粒子中に好ましい範囲で含有するチタン元素とシリカアルミナ複合粒子との相互作用がより顕著となる。
【0062】
本発明で用いられる「ポリエステルユニット」とは、ポリエステルに由来する部分を意味し、ポリエステル単体でも良く、ポリエステルとビニル系重合体が化学的に結合したハイブリッド樹脂であってもよい。
【0063】
トナー用樹脂に用いられるポリエステル樹脂であれば、特に制限なく用いることができる。特に好ましくは、下記一般式(1)で表されるビスフェノール誘導体を2価アルコールモノマー成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステル(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸モノマー成分として、縮重合して得られる樹脂である。
【0064】
【化1】

【0065】
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基を示し、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2以上10以下である。)
【0066】
本発明のトナーに用いられる離型剤としては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロピッシュワックスなどのポリメチレンワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、ケトンワックス、エステルワックス及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物などの誘導体が挙げられる。離型剤の分子量としては、重量平均分子量(Mw)が300以上1,500以下であることが好ましく、400以上1250以下であることがより好ましい。また、離型剤の重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.5以下であることが好ましい。
【0067】
イエロー着色剤としては、顔料系としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3、7、10、12、13、14、15、17、23、24、60、62、74、75、83、93、94、95、99、100、101、104、108、109、110、111、117、123、128、129、138、139、147、148、150、155、166、168、169、177、179、180、181、183、185、191:1、191、192、193、199等が好適に用いられる。染料系としては、例えば、C.I.Solvent Yellow33、56、79、82、93、112、162、163、C.I.Disperse Yellow42、64、201、211などが挙げられる。
【0068】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレッド19が特に好ましい。
【0069】
シアン着色剤としては、フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.Pigment Blue1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用される。
【0070】
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体を主着色剤として用いることができる。
【0071】
本発明のトナーには、荷電制御剤を含有させてもよい。例えば、以下の化合物が例示される。これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0072】
トナーを負荷電性に制御するものとしては、有機金属化合物、キレート化合物が有効である。例えば、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物が挙げられる。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などが挙げられる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤等が挙げられる。中でも、含金属サリチル酸系化合物が良く、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムが良い。最も好ましくは、サリチル酸アルミニウム化合物である。
【0073】
トナーを正荷電性に制御するものとして次のような化合物が挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩等によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類;樹脂系帯電制御剤等が挙げられる。
【0074】
本発明のトナーは、重量平均粒径(D4)が4.0μm以上9.0μm以下であることが好ましい。より好ましくは5.0μm以上7.5μm以下である。
【0075】
本発明のトナーは、離型剤を含有することが好ましい。離型剤としては、示差走査熱量分析(DSC)測定で得られる吸熱曲線において、温度30乃至200℃の範囲における最大吸熱ピークのピーク温度が50乃至120℃の範囲にあることが好ましい。更には、55乃至100℃の範囲にあることがより好ましく、60乃至75℃の範囲にあることが特に好ましい。また、離型剤の最大吸熱ピークの半値幅は、15℃以下であることが好ましく、7℃以下であることがより好ましい。
【0076】
トナー中に含まれる離型剤の含有量は総量で、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは2.5質量部以上25.0質量部以下であり、より好ましくは4.0質量部以上20質量部以下であり、特に好ましくは6.0質量部以上18.0質量部以下である。
【0077】
本発明のトナーは、THF可溶分に関して、数平均分子量(Mn)が2000以上5万以下であることが好ましく、5000以上4万以下であることがより好ましい。また、重量平均分子量(Mw)が1万以上150万以下であることが好ましく、5万以上100万以下であることがより好ましく、10万以上75万以下であることがさらに好ましい。
【0078】
本発明のトナーのガラス転移温度(Tg)は、保存安定性と低温定着性とを良好に両立させるという観点から、50℃以上75℃以下であることが好ましく、52℃以上70℃以下であることがより好ましく、54℃以上65℃以下であることがさらに好ましい。
【0079】
本発明のトナーには、帯電安定性、現像性、流動性、部材付着抑制、耐久性をより向上させるために、シリカアルミナ複合粒子以外に、必要に応じて無機微粒子や樹脂粒子を外添してもよい。
【0080】
荷電制御性粒子としては、金属酸化物(酸化錫、チタニア、酸化亜鉛、シリカ、アルミナなど)、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0081】
クリーニング助剤として、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛など)などが挙げられる。
【0082】
研磨剤としては、金属酸化物(チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化クロムなど)、窒化物(窒化ケイ素など)、炭化物(炭化ケイ素など)、金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)が挙げられる。これらのうち、研磨剤としてはチタン酸ストロンチウムが好ましく用いられる。
【0083】
滑剤としては、フッ素系樹脂粉末(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなど)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなど)などが挙げられる。上記のうち、ポリフッ化ビニリデンが好ましく用いられる。
【0084】
流動性付与剤としては、金属酸化物(シリカ、アルミナ、チタニアなど)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛など)、フッ化カーボンなどが挙げられる。金属酸化物は、疎水化処理を行ったものがより好ましい。
【0085】
本発明におけるトナーに添加されるこれら無機微粉体とシリカアルミナ複合粒子の総添加量は、トナー粒子100質量部に対し、0.5質量部以上4.5質量部以下が好ましく、0.8質量部以上3.5質量部以下がより好ましい。
【0086】
上記無機微粒子として好ましく添加されるチタニア、シリカ、アルミナは、BET法で測定した窒素吸着によるBET比表面積が20m/g以上400m/g以下であることが好ましい。より好ましくは、35m/g以上300m/g以下であり、さらに好ましくは、50m/g以上230m/g以下である。
【0087】
上記流動性付与剤としての無機微粒子は、疎水性、帯電性、さらには転写性を向上させる目的で、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤を単独で或いは併せて用いて、処理されていることが好ましい。
【0088】
他の無機微粒子としては、ケーキング防止剤;酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ等の導電性付与剤;現像性向上剤が挙げられる。
【0089】
本発明のトナーは、公知の画像形成方法に用いることができ、例えば、高速システム用トナー、オイルレス定着用トナー、クリーナーレスシステム用トナー等、公知の一成分現像方式、二成分現像方式を用いた画像形成方法に適用可能である。特に、本発明のトナーは、非常に転写性が良く、長期にわたり安定した画像を得ることができることから、中間転写体を有する画像形成方法や、クリーナーレスシステムを有する画像形成方法に対して好適に用いることができる。
【0090】
次に本発明のトナーを二成分系現像剤として用いた際のキャリアについて説明をする。
【0091】
本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合は、トナーは磁性キャリアと混合して使用される。磁性キャリアとしては、磁性体粒子そのもの、磁性体粒子を樹脂で被覆した被覆キャリア、磁性体粒子を樹脂粒子中に分散させた磁性体分散型樹脂キャリア等の公知の磁性キャリアを用いることができる。磁性体粒子としては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子及びフェライト等を使用できる。
【0092】
以下、各物性の測定方法を示す。
【0093】
[シリカアルミナ複合粒子におけるアルミナの結晶化度の測定方法]
シリカアルミナ複合粒子のアルミナの結晶化度は、粉末X線回折装置を用い、CuKα線(λ=0.15418nm)をX線源とし、以下の条件で測定する。
【0094】
粉末X線回折装置は、株式会社リガク製、試料水平型強力X線回折装置 「RINT.TTR2」を用いて行う。
【0095】
測定サンプルは、測定範囲内に回折ピークを持たない無反射試料板(リガク製)に粉末のまま平らになるように軽く押さえながら乗せる。平らになったら、試料板ごと装置へセットする。
《測定条件》
・管球:Cu
・平行ビーム光学系
・電圧:50kV
・電流:300mA
・開始角度:10°
・終了角度:40°
・サンプリング幅:0.02°
・スキャンスピード:4.00°/min
・発散スリット:開放
・発散縦スリット:10mm
・散乱スリット:開放
・受光スリット:開放
【0096】
測定により得られたピークを元に、結晶化度は、上記装置に付属する解析ソフトウェアの「JADE6」を使用し以下のように算出する。
【0097】
(1)AEROSIL(登録商標)130(日本アエロジル社製ヒュームドシリカ粒子)及びMT−150W(テイカ社製チタニア粒子)を混合(本願では、AEROSIL130とMT−150Wの質量比を、100.0:0.0、80.0:20.0、60.0:40.0、40.0:60.0、20.0:80.0、0.0:100.0)し、シリカ含有量を変更した試料を作製する。これらの試料のX線回折測定を行い、得られた回折角(2θ±0.5°)が21.0°から25.0°にピークトップを有するシリカの非晶質由来のブロードなピークの面積とシリカ含有量との検量線を作成する。
【0098】
ここで、MT−150W(テイカ社製チタニア粒子)を用いたのは、以下の理由による。MT−150Wがルチル型結晶を有し、回折角(2θ±0.5°)27.4°に結晶性ピークを有するため、シリカの非晶質由来のピークと重ならない。そのため、シリカの非晶質由来のブロードなピーク面積とシリカ含有量との検量線を作成するのに適しているためである。
【0099】
(2)シリカアルミナ複合粒子のX線回折測定を行う。そして、X線回折で得られた回折角(2θ±0.5°)が21.0°から25.0°にピークトップを有するシリカとアルミナの非晶質由来のブロードなピークのピーク面積Aを算出する。
【0100】
また、回折角(2θ±0.5°)が46.0°にピークトップを有するアルミナのγ結晶由来のピークと回折角(2θ±0.5°)が26.1°にピークトップを有するアルミナとシリカからなるムライト結晶由来のピークのピーク面積の和Bを算出する。
【0101】
(3)以下の計算式にて、結晶化度を算出する。
結晶化度(%)=B/{(A−C)+B}×100
上記式におけるCは、(1)より得られた検量線をもとに、シリカアルミナ複合粒子のシリカ含有量から算出される回折角(2θ±0.5°)が21.0°から25.0°にピークトップがあるシリカの非晶質由来のピークのピーク面積である。
【0102】
[ゼータポテンシャルの測定方法]
シリカアルミナ複合粒子のゼータポテンシャルは、ゼータサイザーNano−Zs(シスメックス(株)社製)を用いて測定を行った。詳細には、以下の通りである。
【0103】
25℃の環境下で、分散液(メタノール100mg)に、シリカアルミナ複合粒子7mgを加え、超音波分散機(日本理化学器械(株)社製)にて3分間分散し、分散液とした。ただし、分散液中に、目視にてシリカアルミナ複合粒子の白沈及び浮遊物が存在する場合には、適宜メタノールへのシリカアルミナ複合粒子の添加量を調整する。スポイトを用いていこの分散液を、測定セル(DTS1060C−Clear Disposable Zeta Cell)に、気泡が入らないようにして入れる。このセルを測定器に装着し、25℃にてゼータポテンシャルを測定する。この測定を5回行い、平均値を本発明のゼータポテンシャルとする。
【0104】
[疎水化度の測定方法]
メタノール50体積%と水50体積%とからなる含水メタノール液70mlを、直径5cm、厚さ1.75mmの円筒型ガラス容器中に入れる。次に混合液中の気泡等を除去するために超音波分散器で5分間分散を行い、測定用サンプル液を調製する。
【0105】
この測定用サンプル液が入れられた容器の中に、シリカアルミナ複合粒子0.1gを精秤して、添加する。
【0106】
そして、測定用サンプル液を粉体濡れ性試験機「WET−100P」(レスカ社製)にセットする。この測定用サンプル液を、マグネティックスターラーを用いて、6.7s−1(400rpm)の速度で攪拌する。尚、マグネティックスターラーの回転子として、フッ素樹脂コーティングされた、長さ25mm、最大胴径8mmの紡錘型回転子を用いる。
【0107】
次に、この測定用サンプル液中に、上記装置を通して、メタノールを1.3ml/minの滴下速度で連続的に添加しながら波長780nmの光で透過率を測定してメタノール滴下透過率曲線を作成する。メタノール滴下透過率曲線において、透過率が最小となった終点でのメタノール濃度を疎水化度とする。
【0108】
[シリカアルミナ複合粒子におけるシリカ(SiO)含有量の測定方法]
シリカアルミナ複合粒子におけるシリカの含有量は、蛍光X線分析装置SYSTEM3080(理学電機工業社製)を使用し、JIS K0119「蛍光X線分析通則」に従って、蛍光X線分析を行うことにより測定する。尚、測定試料としては、疎水化処理前のシリカアルミナ複合粒子を用いる。
【0109】
[シリカ単独粒子およびアルミナ単独粒子の存在割合の測定]
シリカ単独粒子およびアルミナ単独粒子の存在割合は、透過電子顕微鏡(TEM−EDX)による観察によって測定することができる。具体的には、透過電子顕微鏡(TEM−EDX)による観察において、例えば、10万倍以上20万倍以下の倍率下で観察と元素マッピングを連続した視野で行い、観察される粒子に対してSiとAlの元素をマッピングしたとき、同一粒子においてSiとAlの両元素が観察されるものを複合粒子とし、何れか一方の元素のみが観察されるものを単独粒子とする。この観察によって粒子1000個あたりの複合化されていない粒子の数を単独粒子の存在割合とする。
【0110】
[体積固有抵抗の測定方法]
図1には、本発明に使用したシリカアルミナ複合粒子の体積固有抵抗の測定装置を示す。測定装置に、シリカアルミナ複合粒子を充填し、該シリカアルミナ複合粒子に接するように電極1及び2を配し、該電極間に電圧を印加し、そのとき流れる電流を測定し比抵抗により体積固有抵抗を求める方法を用いた。上記測定方法においては、シリカアルミナ複合粒子が粉末であるために充填率に変化が生じ、それに伴い体積固有抵抗が変化する場合があり、注意を要する。本発明における体積固有抵抗の測定条件は、該シリカアルミナ複合粒子と電極との接触面積S=約2.3cm、サンプルの厚みd=1.0mm以上1.5mm以下、上部電極22の荷重180gとする。また印加電圧は、30秒間隔で200Vずつ印加電圧を上げ、1000Vの印加電圧時に測定された比抵抗を本発明の体積固有抵抗とした。
【0111】
[シリカアルミナ複合粒子のBET比表面積の測定方法]
BET比表面積の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行う。具体的な測定方法は、以下の通りである。
【0112】
測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動BET比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、本装置に付属の専用ソフト「TriStar3000 Version4.00」を用いて行い、また装置には真空ポンプ、窒素ガス配管、ヘリウムガス配管が接続される。窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET多点法により算出した値を本発明におけるBET比表面積とする。
【0113】
尚、BET比表面積は以下のようにして算出する。
【0114】
まず、シリカ粒子に窒素ガスを吸着させ、その時の試料セル内の平衡圧力P(Pa)とシリカ粒子の窒素吸着量Va(モル・g−1)を測定する。そして、試料セル内の平衡圧力P(Pa)を窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)で除した値である相対圧Prを横軸とし、窒素吸着量Va(モル・g−1)を縦軸とした吸着等温線を得る。次いで、トナーの表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量である単分子層吸着量Vm(モル・g−1)を、下記のBET式を適用して求める。
Pr/Va(1−Pr)=1/(Vm×C)+(C−1)×Pr/(Vm×C)
(ここで、CはBETパラメーターであり、測定サンプル種、吸着ガス種、吸着温度により変動する変数である。)
BET式は、X軸をPr、Y軸をPr/Va(1−Pr)とすると、傾きが(C−1)/(Vm×C)、切片が1/(Vm×C)の直線と解釈できる(この直線をBETプロットという)。
直線の傾き=(C−1)/(Vm×C)
直線の切片=1/(Vm×C)
Prの実測値とPr/Va(1−Pr)の実測値をグラフ上にプロットして最小二乗法により直線を引くと、その直線の傾きと切片の値が算出できる。これらの値を用いて上記の傾きと切片の連立方程式を解くと、VmとCが算出できる。
【0115】
更に、上記で算出したVmと窒素分子の分子占有断面積(0.162nm)から、下記の式に基づいて、トナーのBET比表面積S(m・g−1)を算出する。
S=Vm×N×0.162×10−18
(ここで、Nはアボガドロ数(モル−1)である。)
【0116】
本装置を用いた測定は、装置に付属の「TriStar3000 取扱説明書V4.0」に従うが、具体的には、以下の手順で測定する。
【0117】
充分に洗浄、乾燥した専用のガラス製試料セル(ステム直径3/8インチ、容積約5ml)の風袋を精秤する。そして、ロートを使ってこの試料セルの中に約0.5gのシリカアルミナ複合粒子を入れる。
【0118】
シリカアルミナ複合粒子を入れた前記試料セルを真空ポンプと窒素ガス配管を接続した「前処理装置 バキュプレップ061(島津製作所社製)」にセットし、23℃にて真空脱気を約10時間継続する。尚、真空脱気の際には、シリカ粒子が真空ポンプに吸引されないよう、バルブを調整しながら徐々に脱気する。セル内の圧力は脱気とともに徐々に下がり、最終的には約0.4Pa(約3ミリトール)となる。真空脱気終了後、窒素ガスを徐々に注入して試料セル内を大気圧に戻し、試料セルを前処理装置から取り外す。そして、この試料セルの質量を精秤し、風袋との差からシリカ粒子の正確な質量を算出する。尚、この際に、試料セル内のシリカ粒子が大気中の水分等で汚染されないように、秤量中はゴム栓で試料セルに蓋をしておく。
【0119】
次に、シリカアルミナ複合粒子が入った前記の試料セルのステム部に専用の「等温ジャケット」を取り付ける。そして、この試料セル内に専用のフィラーロッドを挿入し、前記装置の分析ポートに試料セルをセットする。尚、等温ジャケットとは、毛細管現象により液体窒素を一定レベルまで吸い上げることが可能な、内面が多孔性材料、外面が不浸透性材料で構成された筒状の部材である。
【0120】
続いて、接続器具を含む試料セルのフリースペースの測定を行なう。フリースペースは、23℃においてヘリウムガスを用いて試料セルの容積を測定し、続いて液体窒素で試料セルを冷却した後の試料セルの容積を同様にヘリウムガスを用いて測定して、これらの容積の差から換算して算出する。また、窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)は、装置に内蔵されたPoチューブを使用して、別途に自動で測定される。
【0121】
次に、試料セル内の真空脱気を行った後、真空脱気を継続しながら試料セルを液体窒素で冷却する。その後、窒素ガスを試料セル内に段階的に導入してシリカ粒子に窒素分子を吸着させる。この際、平衡圧力P(Pa)を随時計測することにより前記した吸着等温線が得られるので、この吸着等温線をBETプロットに変換する。尚、データを収集する相対圧Prのポイントは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の合計6ポイントに設定する。得られた測定データに対して最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片からVmを算出する。さらに、このVmの値を用いて、前記したようにシリカアルミナ複合粒子のBET比表面積を算出する。
【0122】
[トナー粒子中のチタン元素含有量の測定]
各元素の蛍光X線の測定は、JIS K 0119−1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。
【0123】
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。尚、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
【0124】
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中にトナー粒子約4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE−32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ約2mm、直径約39mmに成型したペレットを用いる。
【0125】
上記条件で測定を行い、得られたX線のピーク位置をもとに元素を同定し、単位時間あたりのX線光子の数である計数率(単位:cps)からその濃度を算出する。
【実施例】
【0126】
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。
【0127】
(ポリエステル樹脂の製造例1)
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物 2.75mol%
ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物 1.00mol%
イソフタル酸 6.10mol%
無水トリメット酸 0.15mol%
上記の酸成分及びアルコール成分100質量部と、0.30質量部のシュウ酸チタニルカリウムを、ガラス製の4リットルの4つ口フラスコに入れた。これに、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。窒素雰囲気下で、220℃で反応させ、酸価が13mgKOH/gになった時点で加熱を停止し徐々に冷却して、ポリエステル樹脂1を得た。この樹脂は、水酸基価20mgKOH/g、Mw1.0万、Mn4400、Tg67.1℃であった。
【0128】
(ポリエステル樹脂の製造例2)
ガラス製4リットルの4つ口フラスコに、テレフタル酸65.3質量部、エチレングリコール18質量部をいれ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけて、マントルヒーター内におき、減圧・脱水を行いながら100℃に加熱した。50℃に冷却後、窒素雰囲気下で、チタンテトラメトキシド17.2質量部を加えた。その後、減圧し、反応生成物であるメタノールを留出し、芳香族カルボン酸チタン化合物Aを得た。
【0129】
ポリエステル樹脂の製造例1において、シュウ酸チタニルカリウムの代わりに、芳香族カルボン酸チタン化合物Aを3.00質量部用いる以外は同様にして、ポリエステル樹脂2を得た。この樹脂は、水酸基価20mgKOH/g、Mw7,650、Mn3,500、Tg68.5℃であった。
【0130】
(トナー粒子の製造例1)
スチレン単量体 100.0質量部
C.I.Pigment Blue15:3 16.5質量部
ジ−ターシャリーブチルサリチル酸アルミ化合物 3.0質量部
〔ボントロンE88(オリエント化学工業社製)〕
これらを、アトライター(三井鉱山社製)に導入し、半径1.25mmのジルコニアビーズ(140質量部)を用いて、200rpmにて、25℃で180分間撹拌を行い、マスターバッチ分散液1を調製した。
【0131】
一方、高速撹拌装置TK−ホモミキサーを備えた2リットルの4つ口フラスコ中に、イオン交換水710質量部と、0.1mol/リットルのNaPO水溶液450質量部を添加し、ホモミキサーの回転数を14,000回転に調整し、60℃に加温した。ここに、1.0mol/リットルのCaCl水溶液67.7質量部を徐々に添加し、微小な難水溶性分散剤Ca(POを含む水系媒体を調製した。
マスターバッチ分散液1 40質量部
スチレン単量体 50質量部
n−ブチルアクリレート単量体 21質量部
低分子量ポリスチレン 15質量部
(Mw=3,000、Mn=1,050、Tg=55℃)
炭化水素系ワックス 9質量部
(フィッシャートロプシュワックス、最大吸熱ピーク=78℃、Mw=750)
ポリエステル樹脂1 12質量部
上記材料を0.5リットルのビーカーに加え、63℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、5,000rpmにて均一に溶解し分散した。これに、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液7.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0132】
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度65℃、窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて12,000rpmで10分間撹拌して造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度67℃に昇温し、重合性ビニル系単量体の重合転化率が90%に達したところで、0.1モル/lの水酸化ナトリウム水溶液を添加して水系分散媒体のpHを9に調整した。更に昇温速度40℃/hで85℃に昇温し4時間反応させた。重合反応終了後、減圧下でトナー粒子の残存モノマーを留去した。水系媒体を冷却後、塩酸を加えpHを1.4にし、6時間撹拌することでリン酸カルシウム化合物を溶解した。トナー粒子を濾別し水洗を行った後、温度40℃にて48時間乾燥し、シアン色のトナー粒子1を得た。トナー粒子1のTi元素含有量は、121ppmであった。また、重量平均粒径(D4)は、6.1μmであった。
【0133】
(トナー粒子の製造例2)
ポリエステル樹脂1の添加量を3質量部に変更した以外は、トナー粒子の製造例1と同様に行い、トナー粒子2を得た。トナー粒子2のTi元素含有量は、30ppmであった。また、重量平均粒径(D4)は、6.2μmであった。
【0134】
(トナー粒子の製造例3)
ポリエステル樹脂1の添加量を1.5質量部に変更した以外は、トナー粒子の製造例1と同様に行い、トナー粒子3を得た。トナー粒子3のTi元素含有量は、15ppmであった。また、重量平均粒径(D4)は、6.1μmであった。
【0135】
(トナー粒子の製造例4、5)
ポリエステル樹脂1をポリエステル樹脂2に変更し、その添加量をそれぞれ10.5質量部、12.6質量部に変更した以外は、トナー粒子の製造例1と同様に行い、トナー粒子4、5を得た。トナー粒子4、5のTi元素含有量は、それぞれ1000ppm、1160ppmであった。また、重量平均粒径(D4)は、それぞれ6.2μm、6.3μmであった。
【0136】
【表1】

【0137】
<シリカアルミナ複合粒子の製造例>
《シリカアルミナ複合粒子の製造例1》
超音波噴霧してエーロゾル状にした三塩化アルミニウム水溶液(流量0.135kg/h)と、200℃で気化した四塩化ケイ素(流量0.410kg/h)と、窒素とを均一に混合し、火炎温度2100℃の酸素−水素炎中に噴霧して高温加水分解した。冷却後、フィルターで捕集し、シリカアルミナ複合粒子を得た。更に、得られた粉末を約500℃に加熱し、付着する塩化物を除去した。
【0138】
更に、得られたシリカアルミナ複合粒子を、電気炉に入れ、1000℃で25分間加熱して、上記複合粒子の結晶化度を高めた。
【0139】
更に、結晶化度を高めた複合粒子100質量部を撹拌機に入れ、撹拌しながらジメチルシリコーンオイル(商品名:KF96−50cs:信越化学工業(株)社製)20.2質量部を、2流体ノズルを用いて噴霧し、シリカアルミナ複合粒子に付着させ、撹拌処理を60分間継続し、シリコーンオイルで疎水化処理されたシリカアルミナ複合粒子1を得た。得られたシリカアルミナ複合粒子1の物性を表3に示す。
【0140】
《シリカアルミナ複合粒子の製造例2乃至7》
シリカアルミナ複合粒子の製造例1において、四塩化ケイ素ガスと三塩化アルミニウムのガス流量比率を調整した。また、ジメチルシリコーンオイルの添加量を、比(疎水化処理剤の添加量/疎水化処理される前のシリカアルミナ複合粒子のBET比表面積)が0.155になるように調整した。その他の条件は、シリカアルミナ複合粒子の製造例1と同様にして、シリカアルミナ複合粒子2乃至7を得た。得られたシリカアルミナ複合粒子2乃至7のそれぞれの物性を表3に示す。
【0141】
《シリカアルミナ複合粒子の製造例8乃至12》
シリカアルミナ複合粒子の製造例1において、アルミナの結晶化度を変えることを目的に、1000℃で25分間であった加熱条件を、それぞれ1150℃、1280℃、1360℃、870℃、820℃で、25分間とした。また、ジメチルシリコーンオイルの添加量を、比(疎水化処理剤の添加量/疎水化処理される前のシリカアルミナ複合粒子のBET比表面積)が0.155になるように調整した。その他の条件は、シリカアルミナ複合粒子の製造例1と同様にして、シリカアルミナ複合粒子8乃至12を得た。得られたシリカアルミナ複合粒子8乃至12のそれぞれの物性を表3に示す。
【0142】
《シリカアルミナ複合粒子の製造例13》
シリカアルミナ複合粒子の製造例1において、結晶化度を高める加熱工程を行わなかった以外は、シリカアルミナ複合粒子の製造例1と同様にして、シリカアルミナ複合粒子13を得た。得られたシリカアルミナ複合粒子の物性を表3に示す。
【0143】
《シリカアルミナ複合粒子の製造例14乃至16》
シリカアルミナ複合粒子の製造例1において、ジメチルシリコーンオイルをヘキサメチレンジシラザン(HMDS)に変更した。HMDSによる疎水化処理は、未処理の状態のシリカアルミナ複合粒子100質量部をミキサーに導入し、攪拌、窒素置換を行いながら、ミキサー内の温度が250℃になるように調整した。その後ミキサー内に水蒸気を分圧で60kPaになるように導入し、ヘキサメチルジシラザンを30質量部導入した。そのまま1時間保持し、窒素置換した後に、疎水化処理されたシリカアルミナ複合粒子を抜き出した。上記HMDSによるシリカアルミナ複合粒子の疎水化処理において、HMDSの添加量をそれぞれ、13.3質量部、9.0質量部、5.5質量部とし、シリカアルミナ複合粒子14乃至16を得た。得られたシリカアルミナ複合粒子のそれぞれの物性を表3に示す。
【0144】
《シリカアルミナ複合粒子の製造例17、18》
シリカアルミナ複合粒子の製造例1において、ジメチルシリコーンオイルの添加量をそれぞれ、2.08質量部、22.1質量部に変更し、シリカアルミナ複合粒子17、18を得た。得られたシリカアルミナ複合粒子のそれぞれの物性を表3に示す。
【0145】
《シリカアルミナ複合粒子の製造例19乃至28》
シリカアルミナ複合粒子の製造例1において、表3に記載された物性となるように、火炎温度、ガス流量比率及び加熱温度を表2のように変更した。その他の条件は、シリカアルミナ複合粒子の製造例1と同様にして、シリカアルミナ複合粒子19乃至28を得た。得られたシリカアルミナ複合粒子19乃至28のそれぞれの物性を表3に示す。
【0146】
【表2】

【0147】
【表3】

【0148】
〔実施例1〕
トナー粒子1:100質量部と、シリカアルミナ複合粒子1:1.5質量部、一次粒子の数平均粒子径が0.4μmのステアリン酸亜鉛:0.15質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で5分間乾式混合して、トナー1を得た。
【0149】
得られたトナー1を用いて、以下に示す評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0150】
《画像評価》
キヤノン社製プリンター7200Cを、ブレードバイアスを現像バイアスに対して−180Vのブレードバイアスを印加できるように改造して、画像評価に用いた。評価は、トナーとして上記トナー1:70gをカートリッジに充填したものをシアンステーションに装着し、その他にはダミーカートリッジを装着し、各画像評価を実施した。評価紙としては、キヤノン社製GF−R200を用いた。
【0151】
各環境における画像評価は、プリンター(カートリッジ含む)、評価紙を各評価環境に48時間放置後実施した。
【0152】
i)高温高湿(32.5℃/80%Rh)環境下でのカブリの評価
高温高湿(32.5℃/80%Rh)環境下で、印字率が5%の画像を200枚連続して出力し、次いで、ベタ白画像を出力した。
【0153】
その後、以下の(1)〜(3)をカートリッジ内のトナー残量が20gになるまで繰り返した。
(1)36時間放置
(2)ベタ白画像を1枚出力
(3)印字率が5%の画像を200枚出力、を行い連続して出力
【0154】
こうして得られたベタ画像について、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)により反射率Ds(%)を測定した。フィルターとしては、アンバーライトフィルターを用いた。未使用の転写紙の平均反射率Dr(%)と反射率Ds(%)との差(Dr−Ds)(%)を算出し、この値に基づき、下記の基準で評価した。尚、評価には、各環境における最悪値を用いた。
A:0.5%未満
B:0.5%以上1.0%未満
C:1.0%以上1.5%未満
D:1.5%以上
【0155】
ii)低温低湿(15℃/10%Rh)環境下でのカブリの評価
低温低湿(15℃/10%Rh)環境下で、印字率が1%の画像を400枚連続して出力し、次いで、ベタ白画像を出力した。その後、カートリッジ内のトナー残量が20gになるまで、印字率1%画像の400枚出力と、白地部分を有する画像1枚出力とを繰り返した。
【0156】
こうして得られたベタ白画像について、高温高湿環境下での評価と同様にしてカブリの評価を行った。
【0157】
iii)32.5℃/80%Rhの環境下での画像均一性・画質
32.5℃/80%Rhの環境下にて、写真画像、単色ベタ画像及びハーフトーン画像を1枚ずつ出力した後、印字率が5%の画像を200枚連続して出力した。200枚出力後に、写真画像、単色ベタ画像及びハーフトーン画像を1枚ずつ出力した。
【0158】
その後、以下の(1)〜(3)をカートリッジ内のトナー残量が20gになるまで繰り返した。
(1)36時間放置
(2)写真画像、単色ベタ画像及びハーフトーン画像を1枚ずつ出力
(3)印字率が5%の画像を200枚出力
得られた写真画像、単色ベタ画像及びハーフトーン画像にて、画像均一性、画質を目視にて観察した。
A:非常に良好(均一画像で画像ムラが確認できない)
B:良好 (若干の画像ムラが確認できる)
C:並 (画像ムラが確認できる)
D:劣る (画像ムラが著しい)
【0159】
iv)15℃/10%Rhの環境下での画像均一性・画質
15℃/10%Rhの環境にて、写真画像、単色ベタ画像及びハーフトーン画像を1枚ずつ出力した後、印字率が1%の画像を400枚連続して出力した。400枚出力後に写真画像、単色ベタ画像及びハーフトーン画像を1枚ずつ出力した。その後、カートリッジ内のトナー残量が20gになるまで、印字率1%画像の400枚出力と、写真画像、単色ベタ画像及びハーフトーン画像の1枚ずつの出力とを繰り返した。
【0160】
こうして得られた写真画像、単色ベタ画像及びハーフトーン画像について、32.5℃/80%Rhでの評価と同様にして評価した。
【0161】
v)画像濃度安定性
(1)32.5℃/80%Rhの環境にて、単色ベタ画像を1枚出力し、その後、印字率が5%の画像を200枚連続して出力した。出力後すぐに単色ベタ画像を1枚出力した。
その後、36時間放置し、放置後、写真画像、単色ベタ画像及びハーフトーン画像を1枚ずつ出力し、次いで、印字率が5%の画像を200枚連続して出力した。出力後すぐに単色ベタ画像を1枚出力した。以後、カートリッジ内のトナー残量が20gになるまでこの動作を繰り返した。
【0162】
(2)15℃/10%Rhの環境にて、単色ベタ画像を1枚出力し、その後、印字率が1%の画像を400枚連続して出力した。出力後すぐに単色ベタ画像を1枚出力した。以後、カートリッジ内のトナー残量が20gになるまでこの動作を繰り返した。
【0163】
(1)、(2)で得られた全ての単色ベタ画像について、カラー反射濃度計(X−RITE 404A manufactured by X−Rite Co.)を用いて、画像濃度を測定した。耐久を通じて、画像濃度が最も高いものと、最も低いものの濃度差を下記評価基準に基づいて示した。
A:0.2未満
B:0.2以上0.3未満
C:0.3以上0.4未満
D:0.4以上
【0164】
〔実施例2〜21、比較例1〜7〕
実施例1において、シリカアルミナ複合粒子1を表4に示すシリカアルミナ複合粒子に変更した以外は同様に行い、トナー2〜28を得た。得られたトナーを用いて、実施例1と同じ評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0165】
〔実施例22〜25〕
実施例1において、トナー粒子1をトナー粒子2〜5に変更した以外は同様に行い、トナー29〜32を得た。得られたトナーを用いて、実施例1と同じ評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0166】
【表4】

【0167】
トナー4を用いた比較例1において、低温低湿環境下における画像均一性、画質及び画像濃度安定性に劣る結果となった。これは、シリカアルミナ複合粒子のシリカ含有量が多いために、チャージアップが生じ、結果、転写性が低下したためである。また、高温高湿環境下におけるカブリ及び画像濃度安定性に関しても劣る結果となったが、これは、シリカアルミナ複合粒子のシリカ含有量が多く、トナーの流動性が低下したためである。
【0168】
トナー7を用いた比較例2において、高温高湿環境下における画像濃度安定性、画像均一性、画質に劣る結果となった。これは、シリカアルミナ複合粒子のアルミナ含有量が多いために、シリカアルミナ複合粒子の低摩擦帯電性が強すぎ、トナーの帯電維持が困難(電荷の損失が大きく)となったためである。
【0169】
トナー10を用いた比較例3において、低温低湿環境下における画像均一性、画質及び画像濃度安定性に劣る結果となった。これは、シリカアルミナ複合粒子の結晶化度が高いために、チャージアップが生じ、結果、転写性が低下したためである。また、低温低湿、高温高湿の両環境下における画質が低下した。これは、シリカアルミナ粒子が、加熱工程で凝集した結果、トナー粒子から遊離して規制ブレードに付着し、スジ状の画像濃淡(現像スジ)を生じさせたためである。
【0170】
トナー13を用いた比較例4において、高温高湿環境下におけるカブリ、画像均一性、画質及び画像濃度安定性が低下した。これは、シリカアルミナ複合粒子の結晶化度が低いために、電気的な抵抗が低くなり、また、表面活性状態が低くなったことに起因する。
【0171】
トナー16を用いた比較例5において、高温高湿環境下におけるカブリ、画像均一性が低下した。これは、シリカアルミナ複合粒子の疎水化度が低いため、吸湿性が高くなり、トナーの帯電性を低下させたためである。
【0172】
トナー21を用いた比較例6は、高温高湿環境下における、画像濃度安定性、画像均一性が低下した。これは、シリカアルミナ複合粒子22の未処理の状態でのゼータ電位が高い、すなわちアルミナが粒子表面に多いため、アルミナの特性が強く発現されたためである。即ち、低摩擦帯電性が強くなりすぎ、高湿下の帯電の維持が困難となったためである。
【0173】
トナー24を用いた比較例7は、低温低湿環境下において、画像均一性及び画像濃度安定性が低下した。また高温高湿環境下において、カブリが低下した。これは、シリカアルミナ複合粒子の未処理の状態でのゼータ電位が高い、即ち、シリカの表面露出割合が多いため、シリカの特性が強く発現されたためである。そして、低温低湿環境下では、連続使用した際に、チャージアップが生じ、また、高温高湿環境下では、シリカアルミナ粒子が若干凝集気味になり、トナーの流動性が低下したために、表に示す結果となった。
【0174】
トナー30を用いた実施例23において、低温低湿環境下における全ての項目及び画像濃度安定性が若干低下した。これは、トナー粒子3のチタン元素含有量が少ないために、トナー同士の帯電緩和がされにくくなり、帯電分布がやや広くなると共に、若干チャージアップしたためである。
【0175】
トナー32を用いた実施例25において、高温高湿環境下における全ての項目及び画像濃度安定性が若干低下した。これは、トナー粒子のチタン元素含有量が多いために、長期放置された際、トナーからの電荷の損失がやや大きくなり、カブリが見られるようになり、転写性が若干低下したためである。
【符号の説明】
【0176】
1 主電極
2 上部電極
3 絶縁物
4 電流計
5 電圧計
6 定電圧装置
7 測定サンプル
8 ガイドリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と、疎水化処理剤で疎水化処理されたシリカアルミナ複合粒子を含有するトナーであって、
前記疎水化処理されたシリカアルミナ複合粒子は、疎水化度が60%以上であり、
疎水化処理される前のシリカアルミナ複合粒子のゼータポテンシャルが、−42.0mV以上−28.0mV以下であり、
前記疎水化処理される前のシリカアルミナ複合粒子におけるシリカの含有量が、55.0質量%以上95.0質量%以下であり、
前記疎水化処理されたシリカアルミナ複合粒子におけるアルミナの結晶化度が、10.0%以上60.0%以下であることを特徴とするトナー。
【請求項2】
前記疎水化処理剤の添加量A(g/g)の、疎水化処理剤を用いて疎水化処理される前のシリカアルミナ複合粒子のBET比表面積B(g/m)対する比A/B(m/g)が、1.70×10−3以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記疎水化処理される前のシリカアルミナ複合粒子の体積固有抵抗が、1.0×10Ω・m以上5.0×1011Ω・m以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項4】
前記トナー粒子は、30ppm以上1000ppm以下のチタン元素を含有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナー。

【図1】
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【公開番号】特開2012−123196(P2012−123196A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273909(P2010−273909)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】