説明

トリプチセン構造を有する化合物

【課題】新規なトリプチセン構造を有する化合物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるトリプチセン構造を有する化合物。[式中、A1及びA2はそれぞれ、−S−、−O−等;R1及びR3はそれぞれ、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜15の直鎖状脂肪族炭化水素基等;nは0〜2の整数;R4及びR5はそれぞれ、ハメットの置換基定数σp値が0以上の電子吸引性の置換基;L11、L12、L21及びL22はそれぞれ、単結合、又は−O−、−S−等、及びそれらの組み合わせからなる基からなる群より選ばれる二価の連結基;Z1及びZ2はそれぞれ、2価の5員又は6員の環状連結基;R21及びR22はそれぞれ、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基;m1及びm2はそれぞれ、0〜2の整数を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なトリプチセン構造を有する化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
トリプチセン誘導体は機能性材料として有用である。トリプチセン誘導体を含むポリマーは、照明及びディスプレイデバイスに用いられるエレクトロルミネッセント材料への応用が検討されている(特許文献1及び2)。また、耐熱性、透明性、低屈折率性に加えて、低複屈折性を併せ持つことも報告されており、光導波路、光フィルタ−、レンズ等の光部品への応用が検討されている(特許文献3及び4)。さらに、トリプチセン構造を有する化合物は発光素子への応用(特許文献5)、半導体等の電気、電子分野や光学分野等で用いられるフォトレジスト基材への応用も検討されている(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2002−532846号公報
【特許文献2】特表2002−539286号公報
【特許文献3】特開2004−182962号公報
【特許文献4】特開2004−359599号公報
【特許文献5】特開2002−15871号公報
【特許文献6】特開2008−308433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来提案されているトリプチセン化合物の多くは、トリプチセン骨格を構成しているベンゼン環上へ置換基を導入した化合物がほとんどであり、トリプチセン骨格にさらに他環が縮環形成した化合物例は提案されていない。トリプチセン骨格に他環を縮環させることで、未知の特性の発現、又は公知の特性の改善が期待できる。
本発明は機能性材料として有用な、新規トリプチセン化合物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 下記一般式(1)で表されるトリプチセン構造を有する化合物:
【化1】

式中、A1及びA2はそれぞれ、−S−、−O−、−CO−、又は−NR−(Rは水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す)を表し;R1及びR3はそれぞれ、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜15の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素原子数3〜15の分岐を有する脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素原子数3〜15の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素原子数6〜15の芳香族基、アミノ基、又はこれらの基と、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のエステル基、炭酸エステル基、エーテル基、及びこれらの基が2以上結合してなる基からなる群から選ばれる2価の基とが結合した構造を有する基を表し;nは0〜2の整数を表し;R4及びR5はそれぞれ、ハメットの置換基定数σp値が0以上の電子吸引性の置換基を表し;L11、L12、L21及びL22はそれぞれ、単結合、又は−O−、−S−、−S(=O)2−、−CO−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NRA−(RAは、炭素原子数が1〜7のアルキル基又は水素原子を表す)、−CH2−、及びそれらの組み合わせからなる基からなる群より選ばれる二価の連結基を表し;Z1及びZ2はそれぞれ、2価の5員又は6員の環状連結基を表し;R21及びR22はそれぞれ、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表し;m1及びm2はそれぞれ、0〜2の整数を表す。
【0006】
[2] 前記一般式(1)中、Z1及びZ2がそれぞれ、1,4−シクロへキシレン基、又は1,4−フェニレン基であることを特徴とする[1]の化合物。
[3] 前記一般式(1)中、A1及びA2がそれぞれ、−S−であることを特徴とする[1]又は[2]の化合物。
[4] 前記一般式(1)中、m1及びm2がそれぞれ、0又は1であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの化合物。
[5] 前記一般式(1)中、L11及びL12がそれぞれ、−OC(=O)−又は−C(=O)O−であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの化合物。
[6] 前記一般式(I)中、L21及びL22がそれぞれ単結合であり、R21及びR22がそれぞれ無置換のアルキル基であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの化合物。
[7] 前記一般式(I)中、R4及びR5はそれぞれ、シアノ基、又は−C(=O)O−R’、 を表し、R’は、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜15のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素原子数6〜15の芳香族基を表すことを特徴とする[1]〜[6]のいずれかの化合物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、機能性材料として有用な、新規なトリプチセン構造を有する化合物を提供することができる。本発明の化合物は、エレクトロルミネッセント材料、及びレンズ等の光部品等への応用が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のトリプチセン構造を有する化合物について具体的に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明は、下記一般式(1)で表されるトリプチセン構造を有する化合物に関する。
【0009】
【化2】

【0010】
式中、A1及びA2はそれぞれ、−S−、−O−、−CO−、又は−NR−(Rは水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す)を表し;R1及びR3はそれぞれ、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜15の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素原子数3〜15の分岐を有する脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素原子数3〜15の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素原子数6〜15の芳香族基、又はこれらの基と、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のエステル基、炭酸エステル基、エーテル基、及びこれらの基が2以上結合してなる基からなる群から選ばれる2価の基とが結合した構造を有する基を表し;nはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、0〜2の整数を表し;R4及びR5はそれぞれ、ハメットの置換基定数σp値が0以上の電子吸引性の置換基を表し;L11、L12、L21及びL22はそれぞれ、単結合、又は−O−、−S−、−S(=O)2−、−CO−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NRA−(RAは、炭素原子数が1〜7のアルキル基又は水素原子を表す)、−CH2−、及びそれらの組み合わせからなる基からなる群より選ばれる二価の連結基を表し;Z1及びZ2はそれぞれ、2価の5員又は6員の環状連結基を表し;R21及びR22はそれぞれ、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表し;m1及びm2はそれぞれ、0〜2の整数を表す。
【0011】
一般式(1)中、A1及びA2はそれぞれ、−S−、−O−、−CO−、又は−NR−を表し、好ましくは−S−、−O−、又は−NR−であり、さらに好ましくは−S−である。
−NR−中のRは、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基(例えば、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜15(より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5)のアルキル基)を表す。Rがさらに有する置換基としては、後述の置換基群Vから選択することができる。Rは水素原子又は無置換アルキル基であるのが好ましい。−NR−としては、例えば−NH−、−NCH3−、−NC25−等が挙げられる。
【0012】
上記した通り、一般式(1)で表される化合物の好ましい例には、A1及びA2がいずれも−S−である、下記式(1a)で表される化合物が含まれる。式(1a)中のそれぞれの基の意味は、式(1)中のそれぞれの基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0013】
【化3】

【0014】
前記式(1)中、R1及びR3はそれぞれ、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜15の直鎖状脂肪族炭化水素基(例えば、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜15の直鎖状アルキル基)、置換もしくは無置換の炭素原子数3〜15の分岐を有する脂肪族炭化水素基例えば、置換もしくは無置換の炭素原子数3〜15の分岐を有するアルキル基)、置換もしくは無置換の炭素原子数3〜15の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素原子数6〜15の芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基)、又はこれらの基と、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のエステル基、炭酸エステル基、エーテル基、及びこれらの基が2以上結合してなる基からなる群から選ばれる2価の基とが結合した構造を有する基を表す。R1及びR3がさらに有する置換基としては、後述の置換基群Vから選択することができる。
1及びR3としては、無置換の炭素原子数1〜15の直鎖状アルキル基、無置換の炭素原子数3〜15の分岐を有するアルキル基、が好ましく、特に好ましくは、メチル基である。
【0015】
前記式(1)中、R4及びR5はそれぞれ、ハメットの置換基定数σp値が0以上の電子吸引性の置換基である置換基を表す。ハメットの置換基定数σp値が0より大きい電子吸引性の置換基であることが好ましく、σp値が0〜1.5の電子吸引性の置換基であることがさらに好ましい。このような置換基としては、トリフルオロメチル基、シアノ基、カルボニル基、−C(=O)O−R’、−C(=O)NH−R’、ニトロ基等が挙げられる。R’は、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜15のアルキル基(直鎖もしくは分岐を有するアルキル基)、又は置換もしくは無置換の炭素原子数6〜15の芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基)を表す。また、R4とR5とが結合して環を形成してもよい。R4とR5とが結合して形成する環の例は、以下の環が含まれる。以下の構造式中、**が、5員環と二重結合で結合する部位を示す。
【0016】
【化4】

【0017】
なお、ハメットの置換基定数のσp、σmに関しては、例えば、稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性−」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応V」2605頁(丸善)、仲谷忠雄著「理論有機化学解説」217頁(東京化学同人)、ケミカル レビュー,91巻,165〜195頁(1991年)等の成書に詳しく解説されている。
【0018】
前記一般式(I)中、R4及びR5はそれぞれ、シアノ基、又は−C(=O)O−R’、−C(=O)N−R’、−C(=O)−R’を表すのが好ましい。R’は、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜15のアルキル基(直鎖もしくは分岐を有するアルキル基)、又は置換もしくは無置換の炭素原子数6〜15の芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基)を表す。アルキル基の炭素原子数は1〜5がより好ましい。芳香族環としてはフェニル基がより好ましい。特に、R4及びR5の少なくとも一方は、シアノ基を表すのが好ましい。他方は、シアノ基、又は−C(=O)O−R’を表すのが好ましい。即ち、前記式(1)で表される化合物の好ましい例には、以下の式(1b)及び(1c)で表される化合物が含まれる。式(1b)及び(1c)中のそれぞれの基の意味は、式(1)中のそれぞれの基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0019】
【化5】

【0020】
式(1c)中、R’は、直鎖もしくは分岐を有する、炭素原子数1〜101〜5のアルキル基、又はフェニル基であるのが好ましい。該アルキル基及びフェニル基は置換されていてもよく、該置換基としては、後述の置換基群Vから選択することができる。中でも、ヒドロキシ基、アルコキシ基が好ましい。該アルキル基及びフェニル基は無置換であるのも好ましい。
【0021】
nはそれぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、0〜2の整数を表し、より好ましくは0又は1である。nが0、即ち、無置換であるのも好ましい。
【0022】
式(1)中、L11、L12、L21、及びL22でそれぞれ表わされる2価の連結基としては、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−O−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−C(=O)N(CH3)−、−N(CH3)C(=O)−、−OC(=O)NH−、−NHC(=O)O−、−NHC(=O)NH−、−C(=O)O(CH2pO−(pは1以上の整数)、−OCH2−があげられる。
11及びL12は、好ましくは、単結合、又は*−C(=O)O−、*−OC(=O)−、*−C(=O)NH−、*−NHC(=O)−、*−C(=O)N(CH3)−、*−N(CH3)C(=O)−、*−O−、*−CH2O−、*−OCH2−であり、特に好ましくは、*−C(=O)O−、又は*−OC(=O)−である。なお、*がベンゼン環に連結する部位を示す。
21及びL22は、好ましくは、単結合、又は*−O−、*−CH2O−、*−C(=O)O−、*−OC(=O)−、*−NH−、*−NHC(=O)−、*−CH2−NH−、又は*−CH2NHC(=O)−であり、特に好ましくは、単結合、又は*−O−、*もしくは−OC(=O)O−である。なお、*がZ1及びZ2に連結する部位を示す。
【0023】
前記式(1)中、Z1及びZ2はそれぞれ、2価の5員又は6員の環状連結基を表す。5員環の環状連結基としては、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾールの2価基が挙げられる。6員環の環状連結基として以下の構造が挙げられる。また、これらの環状連結基は、可能な場合にはさらに置換基を有してもよい。
【0024】
【化6】

【0025】
置換基は、以下の置換基群Vから選択することができる。
置換基群V:
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素原子数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素原子数5〜30の置換または無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素原子数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、
【0026】
アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素原子数3〜30の置換または無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素原子数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換または無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素原子数5〜30の置換または無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)、アルキニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、
【0027】
アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換または無置換の、芳香族または非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素原子数3〜30の5または6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、
【0028】
シリルオキシ基(好ましくは、炭素原子数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、
【0029】
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルアミノ基、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、
【0030】
スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素原子数0〜30の置換または無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素原子数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、
【0031】
スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜30の置換または無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、
【0032】
アシル基(好ましくはホルミル基、炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素原子数7〜30の置換または無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素原子数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、
【0033】
アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールアゾ基、炭素原子数3〜30の置換または無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、及びシリル基(好ましくは、炭素原子数3〜30の置換または無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)。
【0034】
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。当該置換基も置換基群Vに含まれる。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0035】
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
【0036】
前記式(1)中、Z1及びZ2は、より好ましくは、1,4−シクロへキシレン基、又は1,4−フェニレン基である。
なお、シクロヘキサン環にはシス体及びトランス体の立体異性体が存在するが、本発明においては限定されず、両者の混合物でもよい。好ましくはトランス-シクロヘキサン環である。
【0037】
21及びR22はそれぞれ、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基である。アルキル基は好ましくは炭素原子数1〜30のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基があげられる。炭素原子数1〜8のアルキル基がより好ましい。
【0038】
m1及びm2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。0又は1が好ましい。
【0039】
前記式(1)で表される化合物の好ましい例には、以下の式(1d)、(1e)及び(1f)で表される化合物が含まれる。式(1d)、(1e)及び(1f)中のそれぞれの基の意味は、式(1)中のそれぞれの基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0040】
【化7】

【0041】
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を示す。下記化合物に関しては、指定のない限り括弧( )内の数字にて例示化合物(X)と示す。
【0042】
【化8】

【0043】
【化9】

【0044】
【化10】

【0045】
【化11】

【0046】
前記一般式(1)で表される化合物は、種々の有機合成反応を組合せることで製造することができる。例えば、A1及びA2が−S−であり、並びにR4及びR5がシアノ基である化合物は、まず、以下のスキームにより、化合物(1−A)から化合物(1−E)を合成し、さらに所定の試薬と反応させることで、合成することができる。化合物(1−A)から化合物(1−B)までの合成は“Journal of Organic Chemistry"(2005);70(3);p.917-924.に詳細が記載されているので、参照することができる。また、化合物(1−B)から化合物(1−E)までの合成は“Journal of Chemical Crystallography"(1997);27(9);p.515-526.に詳細が記載されているので、参照することができる。
【0047】
【化12】

【0048】
上記化合物(1−E)と、任意のカルボン酸試薬とをエステル化反応させることで、L11及びL12が−OCO−である化合物を合成することができる。その後、所望によりさらに修飾することで、式(1)の種々の化合物を合成することができる。
【0049】
また、例えば、A1及びA2が−S−であり、並びにR4がシアノ基で、且つR5が−C(=O)O−R’である化合物は、上記と同様に、化合物(1−A)から化合物(1−D)を合成した後、下記のスキームで、さらに所定の試薬Dと反応させることで、化合物(2−D)を得、さらに所定の試薬と反応させることで、合成することができる。
【0050】
【化13】

【0051】
上記化合物(2−D)と、任意のカルボン酸試薬とをエステル化反応させることで、L11及びL12が−OCO−である化合物を合成することができる。その後、所望によりさらに修飾することで、式(1)の種々の化合物を合成することができる。
【0052】
本発明の式(1)で表されるトリプチセン構造を有する化合物は、従来トリプチセンが使用されている種々の用途、例えば、エレクトロルミネッセント材料、光導波路、光フィルタ−、レンズ等の光部品、発光素子、半導体等の電気・電子材料、フォトレジスト基材、等の種々の機能材料の用途において、有用である。
特に、トリプチセン骨格に5員環を縮合させたことで融点が顕著に高くなり、耐熱性などの改良が期待される。
【実施例】
【0053】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[実施例1:例示化合物(1)の合成例]
【0054】
以下のスキームに従って、例示化合物(1)を合成した。
【0055】
【化14】

【0056】
化合物(1−A)から化合物(1−B)までの合成は“Journal of Organic Chemistry"(2005);70(3);p.917-924.に記載の方法で行った。化合物(1−B)から化合物(1−E)までの合成は“Journal of Chemical Crystallography"(1997);27(9);p.515-526.に記載の方法で行った。
【0057】
化合物(1−F)1.1g(5.4mmol)のトルエン10mL溶液に、塩化チオニル0.6mL(6.5mmol)を加え、加熱還流させた。カルボン酸の消費をTLCにて確認した後、溶媒を留去させた。そのものを、化合物(1−E)1g(2.3mmol)、ピリジン0.57mL(7.1mmol)のテトラヒドロフラン50mL溶液に氷冷下にて滴下した。反応終了後、メタノール300mLに流し込み、ろ取した。固形物を塩化メチレンに溶解させ、塩化メチレンを溶離液とし、シリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製を行うことで、例示化合物(1)1.4gを得た(収率75%)。
【0058】
得られた例示化合物(1)のNMRスペクトルは以下の通りであった。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
0.90(6H、t)
1.00−1.20(4H、m)
1.20−1.40(18H、m)
1.65−1.80(4H、m)
1.95−2.05(4H、m)
2.25−2.35(4H、m)
2.70−2.80(2H、m)
5.30(2H、s)
7.00−7.10(4H、m)
7.30−7.40(4H、m)
【0059】
[実施例2:例示化合物(2)の合成例]
【0060】
以下のスキームに従って、例示化合物(2)を合成した。
【0061】
【化15】

【0062】
化合物(1−F)を、上記化合物(1−G)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で合成を行い、例示化合物(2)を1.7g得た。
【0063】
得られた例示化合物(2)のNMRスペクトルは以下の通りであった。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
0.90(6H、t)
1.00−1.20(4H、m)
1.20−1.40(14H、m)
1.65−1.80(4H、m)
1.95−2.05(4H、m)
2.25−2.35(4H、m)
2.70−2.80(2H、m)
5.30(2H、s)
7.00−7.10(4H、m)
7.30−7.40(4H、m)
【0064】
[実施例3:例示化合物(9)の合成例]
以下のスキームに従って、例示化合物(9)を合成した。
【0065】
【化16】

【0066】
化合物(2−A)37g(0.44mol)、2−メトキシブタノール(2−B)46g(0.44mol)のトルエン200mL溶液に、パラトルエンスルホン酸(PTS)を0.2g加え、Dean−Starkを用いて還流しながら脱水した。反応終了後、トルエンを100mL留去した。反応系の温度を室温に戻し、酢酸エチル及び水を加えて分液し、有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水、1N塩酸水、水の順に水洗した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去することで化合物(2−C)の粗製物65gを得た。
【0067】
化合物(1−D)10gのN−メチルピロリドン(NMP)80mL溶液に、化合物(2−C)の粗製物6、5を加え、内温120℃で2時間攪拌した。冷却した後、氷冷した1N塩酸水300mLに反応溶液を流し込んだ。固形物をろ取、乾燥した。固形物をアセトン/へキサン混合溶媒で分散させ、ろ過を行う作業を2度繰り返した。固形物を酢酸(AcOH)にて再結晶し、ろ取、乾燥をすることで、化合物(2−D)を9.0g得た。
【0068】
化合物(1−F)1.1g(5.4mmol)のトルエン10mL溶液に、塩化チオニル0.6mL(6.5mmol)を加え、加熱還流させた。カルボン酸の消費をTLCにて確認した後、溶媒を留去させた。そのものを、化合物(2−D)1.2g(2.3mmol)、ピリジン0.57mL(7.1mmol)のテトラヒドロフラン50mL溶液に氷冷下にて滴下した。反応終了後、メタノール300mLに流し込み、ろ取した。固形物を塩化メチレンに溶解させ、塩化メチレンを溶離液とし、シリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製を行うことで、例示化合物(9)1.5gを得た(収率84%)。マススペクトルにより生成物を確認した。
【0069】
[実施例4:例示化合物(29)の合成例]
【0070】
下記のスキームに従って、例示化合物(29)を合成した。
【0071】
【化17】

【0072】
原料を上記に示した通りにかえた以外は、実施例3と同様の方法で合成を行い、例示化合物(29)を1.9g得た。マススペクトルにより生成物を確認した。
【0073】
[実施例5:例示化合物(53)の合成例]
【0074】
以下のスキームで例示化合物(53)を合成した。
【0075】
【化18】

【0076】
化合物(1−F)を、上記化合物(1−H)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で合成を行い、例示化合物(53)を1.7g得た。
【0077】
得られた例示化合物(53)のNMRスペクトルは以下の通りであった。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
0.90(6H、t)
1.30−1.50(16H、m)
1.85−2.00(4H、m)
2.80(4H、t)
5.30(2H、s)
7.00−7.10(4H、m)
7.30−7.40(4H、m)
【0078】
[実施例6:例示化合物(59)の合成例]
【0079】
以下のスキームに従って、例示化合物(59)を合成した。
【0080】
【化19】

【0081】
化合物(1−F)を、上記化合物(1−J)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で合成を行い、例示化合物(59)を2.1g得た。
【0082】
得られた例示化合物(59)のNMRスペクトルは以下の通りであった。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
1.25(6H、d)
1.90−2.00(4H、m)
3.40(6H、s)
3.60(2H、m)
4.40−4.50(4H、m)
7.00−7.10(4H、m)
7.30−7.40(4H、m)
7.50(4H、d)
8.40(4H、d)
【0083】
[実施例7:例示化合物(60)の合成例]
【0084】
以下のスキームに従って、例示化合物(60)を合成した。
【0085】
【化20】

【0086】
化合物(1−F)を、上記化合物(1−K)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で合成を行い、例示化合物(60)を1.5g得た。
【0087】
得られた例示化合物(60)のNMRスペクトルは以下の通りであった。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
0.90(6H、t)
1.25−1.50(20H、m)
1.75−1.85(4H、m)
4.35(4H、t)
5.40(2H、s)
7.00−7.10(4H、m)
7.50(4H、m)
8.40(4H、m)
【0088】
[実施例8:例示化合物(61)の合成例]
【0089】
以下のスキームに従って、例示化合物(61)を合成した。
【0090】
【化21】

【0091】
化合物(1−F)を、上記化合物(1−L)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で合成を行い、例示化合物(61)を0.9g得た。
【0092】
得られた例示化合物(61)のNMRスペクトルは以下の通りであった。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
1.40−1.60(8H、m)
1.70−1.80(4H、m)
1.90−2.00(4H、m)
2.20−2.30(4H、m)
2.80−2.90(2H、m)
5.30(2H、s)
7.00−7.10(4H、m)
7.30−7.40(4H、m)
【0093】
[実施例9:例示化合物(69)の合成例]
実施例1と同様の方法で合成を行い、例示化合物(69)を7.0g得た。
得られた例示化合物(69)のNMRスペクトルは以下の通りであった。
1H−NMR(溶媒:DMSO、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
6.00(2H、s)
7.00−7.10(4H、m)
7.40−7.50(4H、m)
10.40(H、s)
【0094】
[実施例10:例示化合物(90)の合成例]
【化22】

【0095】
出発原料を2−メチルアントラセンとした以外は実施例1と同様の方法で合成を行い、例示化合物(90)を5.1g得た。目的物はマススペクトルにより確認した。
【0096】
[実施例11]
ホットプレートを用いて耐熱性試験を行った結果を示す。試験は化合物を230℃のホットプレートに5分間放置し、残存率をHPLCにて確認した。
【0097】
【表1】

【0098】
【化23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるトリプチセン構造を有する化合物:
【化1】

式中、A1及びA2はそれぞれ、−S−、−O−、−CO−、又は−NR−(Rは水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表す)を表し;R1及びR3はそれぞれ、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜15の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素原子数3〜15の分岐を有する脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素原子数3〜15の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素原子数6〜15の芳香族基、アミノ基、又はこれらの基と、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のエステル基、炭酸エステル基、エーテル基、及びこれらの基が2以上結合してなる基からなる群から選ばれる2価の基とが結合した構造を有する基を表し;nはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、0〜2の整数を表し;R4及びR5はそれぞれ、ハメットの置換基定数σp値が0以上の電子吸引性の置換基を表し;L11、L12、L21及びL22はそれぞれ、単結合、又は−O−、−S−、−S(=O)2−、−CO−、−OCO−、−COO−、−OCOO−、−NRA−(RAは、炭素原子数が1〜7のアルキル基又は水素原子を表す)、−CH2−、及びそれらの組み合わせからなる基からなる群より選ばれる二価の連結基を表し;Z1及びZ2はそれぞれ、2価の5員又は6員の環状連結基を表し;R21及びR22はそれぞれ、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基を表し;m1及びm2はそれぞれ、0〜2の整数を表す。
【請求項2】
前記一般式(1)中、Z1及びZ2がそれぞれ、1,4−シクロへキシレン基、又は1,4−フェニレン基であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記一般式(1)中、A1及びA2がそれぞれ、−S−であることを特徴とする請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
前記一般式(1)中、m1及びm2がそれぞれ、0又は1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
前記一般式(1)中、L11及びL12がそれぞれ、−OC(=O)−又は−C(=O)O−であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記一般式(I)中、L21及びL22がそれぞれ単結合であり、R21及びR22がそれぞれ無置換のアルキル基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
前記一般式(I)中、R4及びR5はそれぞれ、シアノ基、又は−C(=O)O−R’、 を表し、R’は、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜15のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素原子数6〜15の芳香族基を表すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。

【公開番号】特開2011−207792(P2011−207792A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75571(P2010−75571)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】