説明

ドアストッパー

【課題】ドアを開放状態に保持し、一定時間後に保持状態を解放して、ドアを閉じることができるドアストッパーを提供する。
【解決手段】ドア2の下部に取り付けられる基板3と、基板3上を摺動するスライダー4と、スライダー4に固設され、アーム5を揺動自在に保持するアーム保持ステー6と、アーム保持ステー6に揺動自在に保持され、先端部5eが床面8に係合自在のアーム5とを備え、アーム5を揺動させると共に、スライダー4を押し下げることにより、アーム5の先端部5eを床面8に係合させ、ドア2を開放状態に保持自在のドアストッパー1に於いて、基板3に一端が係止され、スライダー4を引張する引っ張りバネ11と、基板3に枢支され、スライダー4と歯合するローラー12,12と、ローラー12,12を付勢する押しバネ13,13と、押しバネ13,13を押圧して押しバネ13,13の付勢力を調節する調節ボルト14,14とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアを開放状態に保持自在のドアストッパーに於いて、一定時間後に保持状態を解放するように構成されたドアストッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドアの下部に取り付けられる基板と、基板上を摺動するスライダーと、スライダーに固設され、アームを揺動自在に保持するアーム保持ステーと、アーム保持ステーに揺動自在に保持され、先端部が床面に係合自在の前記アームとを備え、アームを揺動させると共に、スライダーを押し下げることにより、アームの先端部を床面に係合させ、ドアを開放状態に保持自在のドアストッパーは、広く知られている。
【0003】
同様のドアストッパーは特許文献1乃至3にも記載されている。但し、特許文献1乃至3に記載されているドアストッパーは、前記スライダーを備えていないものである。
【特許文献1】特開2003−301652号公報
【特許文献2】特開2003−278429号公報
【特許文献3】特開平9−324575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した広く知られているドアストッパーは、ドアを開放状態に保持するが、その開放状態の保持を解放するためには、人為的な操作が必要であり、例えば、大きな荷物などを運搬する場合等に両手が塞がっている時、ドアの開放状態の保持を解放して、ドアを閉めることがやや困難である。
【0005】
又、その場合に、荷物を下ろしてドアを閉めることもできるが、そのことが煩雑な作業となり、作業効率が悪化する。
【0006】
そこで、一定時間後にドアの開放状態の保持を解放して、ドアを閉めることができるようにすることが望まれている。
尚、ドアを閉める動作は、ドアの自重により行なわれても良く、或いはドアクローザーによって行なわれても良い。
【0007】
以上の現状に鑑み、本発明は、ドアを開放状態に保持自在のドアストッパーに於いて、一定時間後に保持状態を解放して、ドアを閉じることができるドアストッパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、ドアの下部に取り付けられる基板と、該基板上を摺動するスライダーと、該スライダーに固設され、アームを揺動自在に保持するアーム保持ステーと、該アーム保持ステーに揺動自在に保持され、先端部が床面に係合自在の前記アームとを備え、該アームを揺動させると共に、該スライダーを押し下げることにより、該アームの先端部を床面に係合させ、ドアを開放状態に保持自在のドアストッパーに於いて、前記基板に一端が係止され、該スライダーを引張する引っ張りバネと、該基板に枢支され、該スライダーと歯合するローラーと、該ローラーを付勢する押しバネと、該押しバネを押圧して該押しバネの付勢力を調節する調節ボルトとを備え、開放状態に保持されたドアの保持を一定時間後に解放するように構成されたことを特徴とするドアストッパーを提供するものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、上記スライダーと上記ローラーの歯合部は夫々ローレット加工されていることを特徴とする請求項1記載のドアストッパーを提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1記載の発明によれば、ドアの下部に取り付けられる基板と、該基板上を摺動するスライダーと、該スライダーに固設され、アームを揺動自在に保持するアーム保持ステーと、該アーム保持ステーに揺動自在に保持され、先端部が床面に係合自在の前記アームとを備え、該アームを揺動させると共に、該スライダーを押し下げることにより、該アームの先端部を床面に係合させ、ドアを開放状態に保持自在のドアストッパーに於いて、前記基板に一端が係止され、該スライダーを引張する引っ張りバネと、該基板に枢支され、該スライダーと歯合するローラーと、該ローラーを付勢する押しバネと、該押しバネを押圧して該押しバネの付勢力を調節する調節ボルトとを備え、開放状態に保持されたドアの保持を一定時間後に解放するように構成されたドアストッパーを提供するので、ドアを開放状態に保持自在のドアストッパーに於いて、一定時間後に保持状態を解放して、ドアを閉じることができるドアストッパーを提供することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、上記スライダーと上記ローラーの歯合部は夫々ローレット加工されているので、請求項1記載の発明の効果に加え、スライダーとローラーが確実に歯合し、回転を確実に伝達できると共に、歯合部の加工が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1に於いて、1は、本発明の第1実施例のドアストッパーであり、ドアストッパー1は、ドア2の下部に取り付けられる基板3と、基板3上を摺動するスライダー4と、スライダー4に固設され、アーム5を揺動自在に保持するアーム保持ステー6と、該アーム保持ステー6に揺動自在に保持され、先端部が床面7に係合自在のアーム5と、アーム5を揺動させると共に、スライダー4を押し下げる踏み板7とを備えている。
【0014】
そして、前記アーム5は、アーム保持ステー6に枢着されるステー枢着部5a近傍で折曲されて、ステー枢着部5aから基板3側に延びる基端側アーム部5bと、ステー枢着部5aから床面8側に延びる先端側アーム部5cとで構成され、基端側アーム部5bの長さが先端側アーム部5cよりも短く形成され、基端側アーム部5bには前記踏み板7の脚部7aに枢支される踏み板枢着部5dが形成され、先端側アーム部5cは、先端側アーム部5cの先端近傍が折曲されて、アーム5先端面5eが床面8に係合する時、アーム5の先端5e近傍が略鉛直方向になり、アーム5の先端5e面が略水平になるように形成されており、アーム5の先端5eには、床面8を保護するため、例えば、ゴム等の保護カバー9が設けられている。
【0015】
又、前記踏み板7は、アーム保持ステー6に対して上下方向に所定寸法摺動するように形成され、この摺動によってアーム5を揺動させる。
【0016】
尚、踏み板7を所定寸法摺動させた後、更に踏み下げると、踏み板7は、スライダー4がストッパー10に当接するまで下降し、踏み板7と同時にアーム保持ステー6、スライダー4及びアーム5も下方に押し下げられ、アーム5の先端5eの保護カバー9が床面8に接触する。
【0017】
更に、前記ドアストッパー1は、前記基板3に一端が係止され、スライダー4を引張する引っ張りバネ11と、図2及び図3に示す如く、基板3に枢支され、スライダー4と歯合するローラー12,12と、ローラー12,12を付勢する押しバネ13,13と、押しバネ13,13を押圧して押しバネ13,13の付勢力を調節する調節ボルト14,14とを備えている。
【0018】
そして、図4に示す如く、ローラー12の外周部にはローレット加工された凹凸状のローレット12aが形成され、一方のスライダー4の外側部にもローラー12のローレット12aと歯合するローレット加工された凹凸状のローレット4aが所定長さ形成されている。尚、図4に於いて、左半図はスライダー4が上昇した時のスライダー4のローレット4aとローラー12のローレット12aとの歯合状態を示し、右半図はスライダー4が下降した時のスライダー4のローレット4aとローラー12のローレット12aとの歯合状態を示している。
【0019】
而して、前記ドアストッパー1の作動について説明すると、図5は、ドア2が開いた時点の状態を示し、この状態に於いては、スライダー4は、引っ張りバネ11の引張力により上方に引張されて、最上位置にあり、一方、アーム5は、自重により先端側アーム部5aが略鉛直状態にあり、先端側アーム部5cの先端5eが床面8から僅かに離反しており、基端側アーム部5bがドア2に向かって斜め上方向を向いている。この時、踏み板7もアーム5の自重による揺動により基端側アーム部5bによって押し上げられ最上位置にある。
【0020】
そして、踏み板7を矢印Aの如く踏み下げることにより、踏み板7は、アーム保持ステー6に対して図中破腺の位置まで下方向に所定寸法摺動し、この摺動によってアーム5をステー枢着部5a回りに図に於いて反時計回りに図中破腺の位置まで揺動させ、踏み板7が更に踏み下げられると、踏み板7は、スライダー4がストッパー10に当接するまで押し下げられ、同時に、アーム保持ステー6、ストッパー10及びアーム5を下方に押し下げ、アーム5の先端5eの保護カバー9が床面8に接触する。
【0021】
この時、図4の右半図に示す如く、スライダー4の側面部のローレット4aの上端部がローラー12のローレット12aに噛み合っている。
【0022】
踏み板7の踏み下げを止めると、引っ張りバネ11によりスライダー4が上昇し始める。この時、ローラー12は、押しバネ13により付勢されて回転に抵抗が生じており、ローラー12は、少しずつ回転し、スライダー4は除々に上昇する。スライダー4が上昇し、スライダー4のローレット4aがローラー12のローレット12aから外れるとスライダー4が迅速に上昇する。
【0023】
この時、アーム5は、スライダー4の上昇と共に、ステー枢着部5a回りに揺動するが、スライダー4が一定寸法上昇するまで、アーム5の先端5eの保護カバー9が床面8に接触しており、この時間に於いては、ドア2は開状態を保持し、スライダー4が一定寸法以上上昇すると、アーム5の先端5eの保護カバー9が床面8から僅かに離れ、即ち、図5の実線で示すアーム5の位置になり、ドア2は自重により、或いは、図示しないドアクローザーによって閉まり始める。
【0024】
斯くして、本発明のドアストッパー1は、基板3に一端が係止され、スライダー4を引張する引っ張りバネ11と、基板3に枢支され、スライダー4と歯合するローラー12と、ローラー12を付勢する押しバネ13と、押しバネ13を押圧して押しバネ13の付勢力を調節する調節ボルト14とを備えているので、一定時間後にドア2の開放保持状態を解放して、ドアを閉じることができる。
【0025】
これにより、例えば、大きな荷物などを運搬する場合等に両手が塞がっている時、自動的に、ドア2を閉めることができ、運搬作業等の効率を高めることができる。又、締め忘れを防止することができる。
【0026】
又、前記スライダー4と前記ローラー12の歯合部は夫々ローレット加工されているので、スライダー4とローラー12が確実に歯合し、回転を確実に伝達できると共に、歯合部の加工が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のドアストッパーがドアの開状態を保持している状態を示す側面縦断面図である。
【図2】図1に示すドアストッパーの一部切欠正面図である。
【図3】図1に示すドアストッパーの一部切欠平面図である。
【図4】図1に示すドアストッパーのスライダーとローラーとの歯合状態を示す正面縦断面図であり、左半図はスライダーが上昇した時の歯合状態を示し、右半図はスライダーが下降した時の歯合状態を示す。
【図5】本発明のドアストッパーがドアの開状態を保持する前の状態を示す側面縦断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ドアストッパー
2 ドア
3 基板
4 スライダー
5 アーム
5b 基端側アーム部
5c 先端側アーム部
6 アーム保持ステー
7 踏み板
11 引っ張りバネ
12 ローラー
13 押しバネ
14 調節ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの下部に取り付けられる基板と、該基板上を摺動するスライダーと、該スライダーに固設され、アームを揺動自在に保持するアーム保持ステーと、該アーム保持ステーに揺動自在に保持され、先端部が床面に係合自在の前記アームとを備え、該アームを揺動させると共に、該スライダーを押し下げることにより、該アームの先端部を床面に係合させ、ドアを開放状態に保持自在のドアストッパーに於いて、前記基板に一端が係止され、該スライダーを引張する引っ張りバネと、該基板に枢支され、該スライダーと歯合するローラーと、該ローラーを付勢する押しバネと、該押しバネを押圧して該押しバネの付勢力を調節する調節ボルトとを備え、開放状態に保持されたドアの保持を一定時間後に解放するように構成されたことを特徴とするドアストッパー。
【請求項2】
上記スライダーと上記ローラーの歯合部は夫々ローレット加工されていることを特徴とする請求項1記載のドアストッパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−120230(P2007−120230A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−316438(P2005−316438)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(505376503)DTエンジニアリング株式会社 (8)