説明

ドアフレーム

【課題】 ドアフレームとドアパネルとの固定手段の取付工数、部品点数を削減し、ドアフレームの剛性を高める。
【解決手段】 ドアフレーム(12)がドアフレーム(12)とフロントガイドフレーム(14)との結合部から前方端に向かって、中空部(19)を画定する壁(21,22,23)を主桁(24)と一体となるように除変し、ベルトラインより下方では主桁(24)と壁(21,22,23)とが一体となり、この一体部がドアパネル(15)に溶接される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に用いられるドアフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドアは、窓ガラスと、窓ガラスを案内するドアフレームと、ドアフレームの下端部を支えかつボデーに開閉自在に支持されるドアパネルとを含む基本構成を有す。
車両の走行時、特に高速走行時にドア自体が外側に吸い出されることから、車内の機密性が損なわれる。このため、ドアフレームは、ドア自体が外側に吸い出される力に対して車内の機密性を保つに必要な剛性が要求される。
【0003】
図7と図8に従来のドアフレームの一例を示す。ドアフレーム1は、意匠面2と、窓ガラスの昇降とその動きを規制する溝3と、ドアフレーム1の剛性を確保する中空部4を有し、スチールプレートのロール成形により製作される。
ドアフレーム1の下は支部にブラケット5をアーク溶接6,7により固定し、このブラケット5を抵抗溶接8,9によりドアパネル10に固着させる。これによりドアフレーム1をドアパネル10に固定させる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−17886号公報
【特許文献2】特開2002−154326号公報
【特許文献3】特開平11−342743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7と図8に示す従来例では、ドアフレーム1はブラケット5を介してドアパネル10に支持され、ドアフレーム1とブラケット5とは直接固着されていない。これはドアフレーム1の剛性の向上に有効でない。加えて、ブラケット5を必要とし、かつドアフレーム1とブラケット5との固着のためアーク溶接6,7の作業を必要とする。これは、部品点数の増加、ドアの重量増加、作業工数の増加を伴い、好ましいものでない。
【0006】
前述の不具合解消のために、図9に示す手段がある。即ち、ドアフレーム1のドアパネル10に沿う部分を介してドアフレーム1とドアパネル10とをボルト11とナット11aを用いて締結する手段の採用である。
この例では、ドアフレーム1とドアパネル10との締結部に孔あけ加工を必要とし、さらに、ドアフレーム1にナット11aを予め接合しておく必要があることから、部品点数及び工数の削減に有効でない。
【0007】
それ故に、本発明は、前述した従来技術の不具合を解消させることを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、窓ガラスの上昇位置を画定する溝、主桁の外側に位置する意匠面、主桁の後方に位置する中空部を作る壁部材を有し、その前方端がドアパネルに固定されるドアフレームにおいて、フロントガイドフレームとの結合部からその前方端に向けて中空部を作る壁部材が除変されながら主桁と一体となり、かつ主桁がドアパネルに固着されることを特徴とするドアフレームが提供される。
【0009】
好ましくは、ベルトラインより下方部分において、中空部を作る壁部材が主桁と一体となっており、該一体部分がドアパネルに抵抗溶接される。
【発明の効果】
【0010】
ドアフレームとドアパネルとを直接、生産性の高い抵抗溶接等の手段により容易に固着でき、ブラケット等を必要とせず、重量の増加がない。又、ドアフレームの除変はプレス工程等の一工程で成形でき作業は容易である。さらに、ドアフレームの取付にボルト、ナットを必要としないことから取付作業は容易である。中空部を除変により主桁と一致させかつドアパネルに固着させているのでドアフレームの剛性を高く維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1に、本発明の一例のドアフレーム12を含む車両用ドア13の前方部を示す。車両用ドア13は、窓ガラスのガイドをなすフロントガイドフレーム14、内装ガーニッシュ16、ドアパネル15を有し、窓ガラスの上限位置を決め、かつドア13の剛性を保持するドアフレーム12の下端部をドアパネル15に固定させる構成を有す。フロントガイドフレーム14の両端部はドアフレーム12とドアパネル15に固定され、ドアフレーム12の後方部は図示しないセンターガイドフレームに固定される。内装ガーニッシュ16の取り付けは図6に示す。
【0012】
スチール製のドアフレーム12は、概ね三つの断面形状を有するようロール成形により除変させた形状を有す。即ち、フロントガイドフレーム14とドアフレーム12との結合部から後方A領域、該結合部からドアパネル15へ入る迄の領域B、ドアパネル15に隠される領域Cの三つの領域でドアフレーム12の断面形状が異なる。
ドアフレーム12は、意匠面17を含むアウター部材18と、中空部19を含むインナー部材20とよりなり、中空部19は、側壁21と外壁22と内壁23とよりなり、意匠面17は主桁24の前後壁25,26へと延在する面からなる。
【0013】
ドアフレーム12は、A領域でその断面が図3の破線で示す中空部19を有する形状であるが、B領域では図3の実線で示す中空部19を有する形状に除変される。さらに、ドアフレーム12の断面は、C領域で図3の実線で示す形状から図4の実線で示す形状へと除変される。
図3と図4から明らかなように、中空部19を画定する外壁22と内壁23とは内側へと除変し、内壁23はA領域の内壁(図3で破線で示す)より内方へと除変し、外壁22と側壁21は主桁24と一体となる。即ち、中空部19がC領域では完全に潰される。
【0014】
意匠面17の前壁25は、ベルトライン附近で即ちドアパネル15の挿入部附近で切断27される。
【0015】
図5を参照して、ドアフレーム12のドアパネル15への固着を説明する。中空部19を除変により、主桁24と一体とさせたドアフレーム12は、主桁24と内壁23をドアパネル15に沿わせ、主桁24をドアパネル15に抵抗溶接28により固着させる。抵抗溶接28は、生産性に優れて比較的溶接品質管理が容易な3枚板合わせで行われる。
主桁24とドアパネル15との直接固着は、ドアフレーム12の剛性を向上させる。又、中空部19が潰されたドアフレーム12の部分は、ドアフレームが必要とする曲げ方向に対して断面剛性が上がるため、これによってもドアフレーム12の剛性が向上する。
【0016】
ドアフレーム12の領域Bは、車内意匠として見栄えを要求される部位であるが、図6に示すように、ドアフレーム12とフロントガイドフレーム14との間に内装ガーニッシュ16を装着することにより、ドアフレーム12とミラーブラケット29を隠すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一例のドアフレームを含む車両用ドアの部分正面図である。
【図2】本発明の一例のドアフレームを示す部分斜視図である。
【図3】図2の矢視III−IIIより見た断面図である。
【図4】図2の矢視IV−IVより見た断面図である。
【図5】図1の矢視V−Vより見た断面図である。
【図6】図1の矢視VI−VIより見た断面図である。
【図7】従来のドアフレームを示す部分斜視図である。
【図8】従来のドアフレームとドアパネルの固定手段を示す断面図である。
【図9】図8とは別の例の従来のドアフレームとドアパネルの固定手段を示す断面図である。
【符号の説明】
【0018】
12 ドアフレーム
13 車両用ドア
14 フロントガイドフレーム
15 ドアパネル
16 内装ガーニッシュ
17 意匠面
18 アウター部材
19 中空部
20 インナー部材
21 側壁
22 外壁
23 内壁
24 主桁
25 前壁
26 後壁
28 抵抗溶接

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓ガラスの上昇位置を画定する溝、主桁の外側に位置する意匠面、主桁の後方に位置する中空部を作る壁部材を有し、その前方端がドアパネルに固定されるドアフレームにおいて、フロントガイドフレームとの結合部からその前方端に向けて中空部を作る壁部材が除変されながら主桁と一体となり、かつ主桁がドアパネルに固着されることを特徴とするドアフレーム。
【請求項2】
ベルトラインより下方部分において、中空部を作る壁部材が主桁と一体となっており、該一体部分がドアパネルに抵抗溶接される請求項1記載のドアフレーム。
【請求項3】
ベルトラインより下方部分において意匠面の前壁が切除されている請求項2記載のドアフレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−7852(P2006−7852A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184823(P2004−184823)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)