説明

ドア用レール部材及びその製造方法

【課題】滑り止め機能を付与して、転倒防止に貢献するドア用レール部材を提供する。
【解決手段】長手方向に略等断面形状の棒状部材であって、その長手方向に溝10を形成し且つサイドスライドドア8aの下端面81から突出するフレ止めkを該溝10内に収容するようにして床9側に配設され、該サイドスライドドア8aの開閉方向に延在する金属製ガイドレール1a、又は開きドア8bの下方位置で、床9の継ぎ目に配設される金属製沓摺1bであるレール部材1αにして、さらに該レール部材1αの床面91側に露出して配される上面部11上に、溶射材料の溶射による溶射皮膜層3が形成されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルエントランスの入り口にある引き分けドアやエレベータドアなどのサイドスライドドアの床側に配設される金属製ガイドレールや、床の継ぎ目等に配設される沓摺などのドア用レール部材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ビルの玄関口には図6のようなセンターオープン式のサイドスライドドア8aが存在する。また、エレベータには、人物の昇降用ドアとして図9のようなサイドスライドドア8aが用いられている。そのエレベータドアは、通常、サイドスライドドア8aがかご側と乗場側とに二箇所存在し、各ドアの下方の床9側には溝10を形成した金属製ガイドレール1aたるレール部材が設けられている。
また、開き戸8b等の下方に位置する床9側には、図10に示すようような床9の継ぎ目に配設される金属製沓摺1bたるレール部材が存在する。
こうしたレール部材には、これまで種々の改良発明が提案されている(例えば特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−69335号公報
【特許文献2】特開平9−184375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は「ステンレス鋼本来の美麗な外観が長期にわたって維持される」鋼製ドア枠を提供する技術であり、特許文献2は「機構が簡単で而も確実に扉下部の隙間をシールすることができる扉シール装置」を提供する。特許文献1の発明は、ビル玄関口などのサイドスライドドアにあって、ドアが開いた時に金属製の光沢あるレール部材が清潔感,高級感を与える。また、特許文献2のごとく確実に扉下部の隙間をシールすることによって、冷暖房の維持コストを削減できるメリットがある。
【0005】
しかるに、サイドスライドドア8aでは開閉方向に、図2ごとくのレール部材1α(ガイドレール1a)が延在し、また沓摺1bは開き戸8bの下方に配されるレール部材(図10参照)で、出入り口を仕切る格好になっており、通行人が該レール部材を踏んで滑る虞がある。通行人は、このレール部材を横切って前へ向かうため、時にレール部材を踏んで前進することもある。このとき、レール部材が金属製の場合、金属特有の滑り易さから転倒する虞がある。雨などで靴が濡れていると余計に滑り易くなっている。
さらに、図9のようなエレベータには、二本のレール部材(ガイドレール1a)が配設されることから横切らなくてはならないその幅が広い。その分、レール部材に足を載せてしまうことが多くなり、雨で且つ急いでいる場合などは滑って転倒するリスクが一層高くなることが予想される。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するもので、滑り止め機能を付与して、転倒防止に貢献するドア用レール部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、長手方向に略等断面形状の棒状部材であって、その長手方向に溝(10)を形成し且つサイドスライドドア(8a)の下端面(81)から突出するフレ止め(k)を該溝(10)内に収容するようにして床(9)側に配設され、該サイドスライドドア(8a)の開閉方向に延在する金属製ガイドレール(1a)、又は開きドア(8b)の下方位置で、床(9)の継ぎ目に配設される金属製沓摺(1b)であるレール部材(1α)にして、さらに該レール部材(1α)の床面(91)側に露出して配される上面部(11)上に、溶射材料の溶射による溶射皮膜層(3)が形成されてなることを特徴とするドア用レール部材にある。
請求項2の発明たるドア用レール部材は、請求項1で、上面部(11)にショットブラスト処理による荒面(2)が形成され、該荒面(2)上に前記溶射皮膜層(3)が形成されるようにしたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明の要旨は、長手方向に略等断面形状の棒状部材であって、その長手方向に溝(10)を形成し且つサイドスライドドア(8a)の下端面(81)から突出するフレ止め(k)を該溝(10)内に収容するようにして床(9)側に配設され、該サイドスライドドア(8a)の開閉方向に延在する金属製ガイドレール(1a)、又は開きドア(8b)の下方位置で、床(9)の継ぎ目に配設される金属製沓摺(1b)であるレール部材(1α)を用意し、先ず、該レール部材(1α)で、床面(91)側に露出して配される上面部(11)の表面(1A)を残して、他の部位(15)の表面(1A)側にマスキングテープ(5)を貼着し、次いで、該レール部材(1α)の上方からショットブラスト処理し、該上面部(11)に荒面(2)を形成し、続いて、該レール部材(1α)の上方から該上面部(11)へ溶射材料を溶射して、該上面部(11)上に溶射皮膜層(3)を形成することを特徴とするドア用レール部材の製造方法にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明のドア用レール部材及びその製造方法は、床に取付けられるうちの床面に露出する部分の上面部に溶射皮膜層を形成して、滑り止め機能を高める粗面が設けられるので、滑ったり転んだりする危険性を回避でき、安全性向上に優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態1のドア用レール部材の部分斜視図である。
【図2】図1に対応する既存のレール部材の部分斜視図である。
【図3】図2のレール部材がマスキング処理された部分斜視図である。
【図4】図3のレール部材がショットブラスト処理された部分斜視図である。
【図5】図4のレール部材が溶射皮膜処理されて、ドア用レール部材になる様子の部分斜視図である。
【図6】本ドア用レール部材がサイドスライドドアに適用された建家の部分斜視図である。
【図7】図6のVII-VII線矢視図である。
【図8】図7のサイドスライドドアが開いた状態の説明断面図である。
【図9】本ドア用レール部材をエレベータ用ガイドレールに適用した他態様の部分斜視図である。
【図10】実施形態2のドア用レール部材の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るドア用レール部材及びその製造方法について詳述する。
(1)実施形態1
図1〜図9は本発明のドア用レール部材及びその製造方法の一形態で、図1はそのドア用レール部材の部分斜視図、図2は図1に対応する既存のレール部材の部分斜視図、図3は図2のレール部材がマスキング処理された部分斜視図、図4は図3のレール部材がショットブラスト処理された部分斜視図、図5は図4のレール部材が溶射皮膜処理されて、ドア用レール部材になる様子の部分斜視図、図6は本ドア用レール部材がサイドスライドドアに適用された建家の部分斜視図、図7は図6のVII-VII線矢視図、図8は図7のサイドスライドドアが開いた状態の説明断面図、図9は本ドア用レール部材をエレベータに適用した他態様の部分斜視図を示す。尚、図面を分かり易くするため、ガイドレールの肉厚を厚く描き、また図1〜図5はガイドレールのコーナー部の曲がり形状を簡略図示する。実際のガイドレールのコーナー部は図7,図8のようにアール状曲がり部になっている。
【0011】
(1a)ドア用レール部材の製造方法
ドア用レール部材1の製造方法は例えば次のように行われる。本実施形態のドア用レール部材1は、オフィスエントランスのステンレス鋼製サイドスライドドア8a(引き分けドアともいう)で、そのドア下方の床面91側に設置されるサイドスライドドア8a用ガイドレール1aに適用する。
【0012】
まず、図2のような既存のレール部材1α(ガイドレール1a)が用意される。長手方向に略等断面形状とする棒状部材にして、その長手方向に溝10が形成されるサイドスライドドア8a用レール部材1αである。サイドスライドドア8aの下端面81から突出するフレ止めkを溝10内に収容して床9に固定されるが、床面91側に上面部11が露出し且つ該床面と略面一に配設される金属製ガイドレール1aになっている(図2,図7)。レール部材1αはサイドスライドドア8aの開閉方向に延在し、その溝10内にサイドスライドドア8aの下端面81から垂下するフレ止めkを収容して、開閉時に該ドアをガイドする役目を担っている。
細長の長方形板が、プレス曲げ加工で、幅方向中央に溝10用凹みを形成し、さらに、幅方向の両側縁寄り部分の一定幅を、溝10が在る方向に屈曲させて、図2,図7のような長手方向にほぼ等断面形状となる既存レール部材1αが造られる。側面視で、上面の中央部位で凹状に凹む溝10が設けられた該レール部材1αは、定尺にカットされている。
【0013】
次に、前記レール部材1αにマスキングテープ5を貼着する(図3)。床面91側に露出して配される上面部11の表面1Aを残し、他の部位の表面1A側の面15にマスキングテープ5を貼着する。上面部11以外の表面1A側の面15にマスキング処理を施す。床面91側に配される上面部11以外の部位の表面1A側の面、具体的には溝10を形成する溝側面部16及び溝底面部17、さらに両側の側面部18に係る表面1A側の面にマスキングテープ5を貼着する。レール部材1αの裏面1B側は、ショットブラスト処理や溶射処理で当たらない部分であり、特にマスキング処理を要しない。
【0014】
続いて、前記レール部材1αの上面部11側上方からショットブラスト処理する(図4)。その後の溶射処理で、溶射粒を上面部11に密着し易くするためである。ここでは、図示を省略するが、図3のようなマスキング処理された複数のレール部材1αが、各上面部11を露出させ、互いに重ならないように敷き詰められる。その後、各上面部11の上方から該上面部11に対し、ショットブラスト処理を行う。本実施形態のブラスト処理は、インペラの遠心力により投射材を投射する機械式を採用し、手動タイプのショットブラスト装置6を用いる(図4)。勿論、これに代え、例えばコンベア方式の自動装置を用いてもよい。ショットブラスト処理し、投射材たる粒子が、上面部11に衝突し、その面の汚れを取り去ると同時に、その上面を荒らし研磨する。
レール部材1αの上面部11側上方からショットブラスト処理し、該上面部11に荒面2が形成される。荒面2は拡大して観ればその表面1Aが凹凸状になっている。ここで、レール部材1αは、上面部11以外の他の表面1A側はマスキング処理されているので、ショットブラスト処理されるのは、上面部11のみとなる。
【0015】
投射材6aには金属系,セラミック系等があるが、本実施形態はスチールビーズやアルミナを用いる。アルミナの球形粒子や微粉末の投射はステンレス鋼製レール部材1αの表面研磨,研削に特に有効である。図4の円内拡大図のごとく、ショットブラスト処理を行うことによって、上面部11の表面1Aが、例えばブラスト処理済み窪み20が多数在る梨地模様の凹凸状態になる。
【0016】
ショットブラスト処理を終えた前記レール部材1αに対し、引き続いて、溶射装置7を使って溶射処理する(図5)。複数のレール部材1αが各上面部11を露出させ互いに重ならないように敷き詰めたままの状態で溶射処理をし、該上面部11上に溶射皮膜層3を形成する。上面部11に溶射材料を加熱・溶融して吹き付けて被膜を形成し、その表面がザラザラした粗面の溶射皮膜層3を形成する(図5)。上面部11を上にし、且つ該上面部11以外の表面側の面15はマスキング処理されているので、溶射処理されるのは、レール部材1αの上面部11の表面1A側のみとなる。
【0017】
溶射にはフレーム溶射,爆発溶射,電気式溶射,高速フレーム溶射,コールドスプレー等があるが、本溶射は電気式溶射を採用する。電気式溶射のアーク溶射,プラズマ溶射,線爆溶射等のなかで、コスト面から優れるアーク溶射を採用する。金属製溶射材料が加熱により液滴化された金属溶射粒71となって上面部11上に吹きつけられる(図5)。該溶射粒71を上面部11上に凝固,密着させて、表面がザラザラした滑り止め効果のある粗面を形成する。模式的図示すれば、図5の円内拡大図のごとく、ブラスト処理によって上面部11の表面1A側で、窪み20ができて荒らされた荒面2に、溶射粒71の溶着固化粒72が固着する。そして、該溶着固化粒72の溶射皮膜層3がつくる表面が図示のごとくでこぼこし、ざらざらした滑り止め効果のある粗面となる。予めブラスト処理がなされているので、ブラスト処理済み窪み20等のある上面部11上に、溶着固化粒72の溶射皮膜層3がアンカー効果で密着固定される。長期に亘って滑り止め効果のある粗面をつくる。尚、図5では、便宜的に上面部11上に溶着固化粒72を球形に単純図示し、また溶射皮膜層3を溶着固化粒72の一層又は二層にとどめた簡略図示とする。
【0018】
本実施形態は、ステンレス鋼製レール部材1αに合わせて、溶射材料にステンレス鋼製材料を用いるが、アルミニウム製レール部材1αに対しては溶射材料にアルミニウム材を用いる。さらにいえば、溶射材料はこれに限らず、レール部材1αの金属材質,使用用途等に合わせて、適宜鋳鉄,銅,銀,亜鉛,セラミックス等を採用できる。
【0019】
こうして、レール部材1αの上面部11にショットブラスト処理、溶射処理を終え、本ドア用レール部材1を造り終える。その後、マスキングテープ5を剥がし、用途先に応じた必要長さに適宜カットすれば、所望のドア用レール部材1が完成する。
【0020】
(1b)ドア用レール部材
前記製法により造られたドア用レール部材1は、図1ごとくの長手方向に略等断面形状の棒状部材である。その長手方向に溝10を形成し且つサイドスライドドア8aの下端面81から突出するフレ止めkを溝10内に収容するようにして床9側に配設される。サイドスライドドア8aの開閉方向に延在する金属製ガイドレール1aになっている。そして、ガイドレール1aにして、床面91側に露出して配される上面部11に、溶射材料の溶射による溶射皮膜層3が形成されるドア用レール部材1とする。
本実施形態は、さらに上面部11にショットブラスト処理による荒面2が形成され、該荒面2上に溶射皮膜層3が形成されるドア用レール部材1になっている。
【0021】
斯かるドア用レール部材1は、例えば図6のような建物のエントランス出入り口のサイドスライドドア8a下方に在る床面91に設けられる。ドア用レール部材1は、図7のごとく、サイドスライドドア下端面81から突出するフレ止めkを溝10内に収容して床9側に配設され、サイドスライドドア8aの開閉方向に延在する。サイドスライドドア8aが開き(図8)、ドア用レール部材1を横切って前に進む歩行者が、ドア用レール部材1の上面部11に靴shを載せても、該上面部11に溶射皮膜層3が形成されており、滑り難くなっている。
【0022】
また、図9には、本ドア用レール部材1をエレベータの出入り口のガイドレール1aに適用した他態様図を示す。エレベータには貨物用などでドアが上下に開くアップスライド式ドアが採用されることがあるが、人が乗り降りするドアは、大半が図9のようなサイドスライドドア8aが採用されている。エレベータのサイドスライドドア8aは、かご側と乗り場側の両方の床面91に設けられるのが一般的で、両サイドスライドドア8a,8aの下方側床面91a,91bには、各サイドスライドドア8a,8aの開閉方向にそれぞれガイドレール1aが延在する。そして、その分、エレベータ利用時にガイドレール1aをまたぐ幅が広くなっている。したがって、人が乗り降りする際、ガイドレール1aの上面部11を踏む機会が増える。しかるに、該上面部11に溶射皮膜層3が形成される本ドア用レール部材1では、ここに靴shを置いても滑り難くなっている。尚、図6中、符号fは幅木、符号waは建物の壁、図9中、符号91aは乗場側床面、符号91bはかご側床面、符号εは乗場側の床面91とかご側の床面91を隔離する隙間、符号wlは乗場側の立壁、符号ewはかご側の立壁を示す。
【0023】
(2)実施形態2
本実施形態は、図10のような沓摺1bに適用するドア用レール部材1である。図10は、開きドア8bの下方位置で、床9の継ぎ目に配設される金属製沓摺1bである。
【0024】
本ドア用レール部材1の製造方法は、図2〜図5のような詳細図示を省くが基本的に実施形態1と同じである。先ず、既存の開きドア8bの下方位置で、床9の継ぎ目に配設される金属製沓摺1b用レール部材1αを用意する。そして、床面91側に露出して配される上面部11を残して、他の表面1A側の面15にマスキングテープ5を貼着する。次いで、該レール部材1αの上面部11側上方からショットブラスト処理し、該上面部11に荒面2を形成する。続いて、該レール部材1αの上面部11側上方から該上面部11に溶射材料を溶射して、上面部11上に溶射皮膜層3を形成する。その後、マスキングテープ5を剥がせば、所望の図10ごとくの沓摺1bたるドア用ガイドレール1aが完成する。
【0025】
また、こうして出来たドア用レール部材1は、長手方向に略等断面形状の棒状部材であり、開きドア8bの下方位置で、床9の継ぎ目に配設される金属製沓摺1bであるレール部材1αになっている。そして、床面91側に露出して配される上面部11に、溶射材料の溶射による溶射皮膜層3が設けられている。より詳しくは、上面部11にショットブラスト処理による荒面2が形成され、さらに該荒面2上に前記溶射皮膜層3が設けられている。他の詳細構成は、実施形態1と同様で、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0026】
(3)効果
このように構成されたドア用レール部材1及びその製造方法によれば、床面91側に配される上面部11に、溶射材料の溶射による溶射皮膜層3が形成されているので、歩行人が該ドア用レール部材1を横切って前へ向かう際に、上面部11を踏んでも、該上面部11上に滑り止め効果のある該溶射皮膜層3によって、この箇所で滑ったり転んだりすることが格段に減少する。金属製レール部材1αは滑り易く、特に雨などで靴が濡れていると余計に滑り易くなるが、本ドア用レール部材の摩擦抵抗の高い溶射皮膜層3は、そうした場合でも、滑りを抑制する効果がある。滑ったり転倒したりして怪我を回避でき、安全性向上に役立つ。
【0027】
また、図9のようなエレベータの昇降口の床面91には、通常、二本のレール部材1αが配設されることから横切らなくてはならないその幅が広い。レール部材1αに靴shを載せてしまうことが多くなり、雨降りで急いでいる場合などは滑って転倒するリスクが一層高くなるが、本ドア用レール部材1は床面91側に露出する上面部11に滑り止め機能を発揮する溶射皮膜層3が設けられているので、転倒防止に極めて有効となる。
【0028】
さらに、上面部11にショットブラスト処理による荒面2が形成され、該荒面2上に前記溶射皮膜層3が形成されるようにすれば、レール部材1αの上面部11と溶射皮膜層3との一体化がより強化されるので、耐久性向上に寄与する。
加えて、本ドア用レール部材1は、溶射皮膜層3によって燻し銀のような渋くて味わいある光沢を輝かせ、清潔感,高級感を演出できる効果もある。
【0029】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。レール部材1α,ガイドレール1a,沓摺1b,窪み20,溶射皮膜層3,マスキングテープ5,ショットブラスト装置6,溶射装置7等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。実施形態のドア用レール部材1は、エントランスの出入口のガイドレール1aやエレベータのガイドレール1a等に適用したが、勿論、これに限定されず、例えば他の自動扉、また他の建物,電車などの出入口のガイドレール1a等に適用できる。
【符号の説明】
【0030】
1 ドア用レール部材
1a ガイドレール
1b 沓摺
1A 表面
1α 既存のレール部材(レール部材)
10 溝
11 上面部
15 上面部以外の他の部位
2 荒面
3 溶射皮膜層
5 マスキングテープ
8a サイドスライドドア
8b 開きドア
81 下端面
9 床
91 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に略等断面形状の棒状部材であって、その長手方向に溝(10)を形成し且つサイドスライドドア(8a)の下端面(81)から突出するフレ止め(k)を該溝(10)内に収容するようにして床(9)側に配設され、該サイドスライドドア(8a)の開閉方向に延在する金属製ガイドレール(1a)、又は開きドア(8b)の下方位置で、床(9)の継ぎ目に配設される金属製沓摺(1b)であるレール部材(1α)にして、さらに該レール部材(1α)の床面(91)側に露出して配される上面部(11)上に、溶射材料の溶射による溶射皮膜層(3)が形成されてなることを特徴とするドア用レール部材。
【請求項2】
前記上面部(11)にショットブラスト処理による荒面(2)が形成され、該荒面(2)上に前記溶射皮膜層(3)が形成されるようにした請求項1記載のドア用レール部材。
【請求項3】
長手方向に略等断面形状の棒状部材であって、その長手方向に溝(10)を形成し且つサイドスライドドア(8a)の下端面(81)から突出するフレ止め(k)を該溝(10)内に収容するようにして床(9)側に配設され、該サイドスライドドア(8a)の開閉方向に延在する金属製ガイドレール(1a)、又は開きドア(8b)の下方位置で、床(9)の継ぎ目に配設される金属製沓摺(1b)であるレール部材(1α)を用意し、先ず、該レール部材(1α)で、床面(91)側に露出して配される上面部(11)の表面(1A)を残して、他の部位(15)の表面(1A)側にマスキングテープ(5)を貼着し、次いで、該レール部材(1α)の上方からショットブラスト処理し、該上面部(11)に荒面(2)を形成し、続いて、該レール部材(1α)の上方から該上面部(11)へ溶射材料を溶射して、該上面部(11)上に溶射皮膜層(3)を形成することを特徴とするドア用レール部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−87517(P2012−87517A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234496(P2010−234496)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(599147218)東北岡島工業株式会社 (17)
【Fターム(参考)】