説明

ドア装置

【課題】
入室管理装置等の開閉制御装置及び機構を備えたドア装置を、間仕切装置に組み込むことが容易であり、また電子機器の点検・修理も容易に行え、しかも入室管理装置そのものの防盗性にも優れ、更にコスト上昇を抑制することが可能なドア装置を提供する。
【解決手段】
両側の縦ドア枠8の上端間を上ドア枠9で連結して形成したドア枠1内に、ドア2と補助パネル3とを配置し、補助パネルは、一方の縦ドア枠に沿って上部の固定パネル4と下部の点検パネル5との間にユニット挿入空間部10を設け、ドアの開閉制御装置11を組み込んだ制御ユニットパネル6を、ユニット挿入空間部にドア側から嵌挿するとともに、固定パネル、制御ユニットパネル及び点検パネルに亘って戸当り杆7をドア側からネジ止めした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア装置に係わり、更に詳しくは間仕切装置の一部に組み込んで使用するユニット化したドア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、間仕切装置の一部に組み込んで使用するユニット化したドア装置は各種提供されている。例えば、特許文献1には、間仕切パネルの間の空間部に、両側の間仕切パネルの支柱又は縦枠に、縦ドア枠を取付けるとともに、両縦ドア枠の上端間に上ドア枠を連結して門型のドア枠を構成し、該ドア枠にドアを開閉可能に装着する構造が記載されている。ここで、前記両縦ドア枠の上端に上ドア枠を予め連結して一体化したドア枠を用意することもある。
【0003】
また、特許文献2には、間仕切パネルの一側部に縦ドア枠と上ドア枠とで門型に構成したドア枠を連結するとともに、該ドア枠内に通常の入退室時に開閉するドアと、大型の家具や物品を出し入れする際に開閉する補助ドアとを設け、該補助ドア側の縦ドア枠には入室管理装置を組み込んだ化粧パネルと点検パネルとからなる横幅の狭い制御ユニットを連結し、該制御ユニットの側方には通常の間仕切パネルが連設された構造の間仕切装置が開示されている。
【0004】
ここで、特許文献2のものは、ドアのラッチ部分に電磁施錠装置が組み込まれ、前記入室管理装置から補助ドア内を通って電源及び信号線が電磁施錠装置に接続されている。このように、入室管理装置(例えばカードリーダ)を設ける場合には、通常は、制御ユニットをドア枠の外側に配置している。そのため、カードリーダと電気錠との配線が難しく、特に補助ドアを設けたような場合には尚更である。また、制御ユニットの点検パネルは独立して設けているので、その施錠は欠かせない構造となり、コスト高となる。また、入室管理装置の点検・修理の際に取り外して専門メーカーに依頼するのも、配線作業を伴う電気工事を必要とするので多大な労力を要するのである。
【特許文献1】特開平8−232372号公報
【特許文献2】特許第3491360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、入室管理装置等の開閉制御装置及び機構を備えたドア装置を、間仕切装置に組み込むことが容易であり、また電子機器の点検・修理も容易に行え、しかも入室管理装置そのものの防盗性にも優れ、更にコスト上昇を抑制することが可能なドア装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の課題解決のために、両側の縦ドア枠の上端間を上ドア枠で連結して形成したドア枠内に、ドアと補助パネルとを配置し、前記補助パネルは、一方の縦ドア枠に沿って上部の固定パネルと下部の点検パネルとの間にユニット挿入空間部を設け、ドアの開閉制御装置を組み込んだ制御ユニットパネルを、前記ユニット挿入空間部にドア側から嵌挿するとともに、前記固定パネル、制御ユニットパネル及び点検パネルに亘って戸当り杆をドア側からネジ止めしたことを特徴とするドア装置を構成した(請求項1)。
【0007】
ここで、前記固定パネルと点検パネルは一方の縦ドア枠に側縁を固定し、前記固定パネルの上端は前記上ドア枠に固定し、前記点検パネルの下端は床面に固定してなることが好ましい(請求項2)。
【0008】
そして、前記固定パネルの下縁と前記点検パネルの上縁には凹溝部を形成し、前記制御ユニットパネルの上下縁には前記凹溝部にスライド係合する突部を形成するとともに、ドア側端部に上下に延びた固定部を延設し、該固定部を前記固定パネルと点検パネルの側縁に嵌合し、ネジ止めしてなることがより好ましい(請求項3)。
【0009】
また、前記固定パネル、点検パネル及び制御ユニットパネルの側端部に設けた各嵌合部に、平面視略コ字形の前記戸当り杆を外嵌するとともに、該戸当り杆をドア側から各嵌合部にネジ止めしてなることも好ましい(請求項4)。
【0010】
更に、前記点検パネルの少なくとも片面に、前記戸当り杆を外すことにより着脱可能な開閉パネルを設けるとともに、前記ユニット挿入空間部から点検パネルの内部に配線可能な挿通孔を形成してなることも好ましい(請求項5)。
【発明の効果】
【0011】
以上にしてなる請求項1に係る発明のドア装置は、両側の縦ドア枠の上端間を上ドア枠で連結して形成したドア枠内に、ドアと補助パネルとを配置し、前記補助パネルは、一方の縦ドア枠に沿って上部の固定パネルと下部の点検パネルとの間にユニット挿入空間部を設け、ドアの開閉制御装置を組み込んだ制御ユニットパネルを、前記ユニット挿入空間部にドア側から嵌挿するとともに、前記固定パネル、制御ユニットパネル及び点検パネルに亘って戸当り杆をドア側からネジ止めしたので、ドア枠内に開閉制御装置をも組み込むことができるので、入退室管理に必要な機能を全て有するので、取り扱い、施工が容易であるとともに、開閉制御装置を組み込んだ制御ユニットパネルを外して修理・点検することができるので作業が容易である。つまり、開閉制御装置を構成するカードリーダと電気錠との配線は、制御ユニットパネル内で完結するので、制御ユニットパネルの脱着時この配線作業は不要となり、単に電源コードとLANケーブル等の信号線を抜き差しするだけの作業で済むので、電気工事の専門家でなくても簡単に行うことができる。また、固定パネルと点検パネルの間のユニット挿入空間部に、制御ユニットパネルをドア側から嵌挿するとともに、前記固定パネル、制御ユニットパネル及び点検パネルに亘って戸当り杆をドア側からネジ止めするので、ドアを閉じて施錠している状態では、前記戸当り杆を外し、制御ユニットパネルを外すことができないので、別途施錠装置を設けなくても防盗性に優れている。
【0012】
請求項2によれば、固定パネルと点検パネルの取付強度が高くなるので、その間のユニット挿入空間部に装着する制御ユニットパネルの支持強度が高くなる。
【0013】
請求項3によれば、固定パネルの下縁と点検パネルの上縁に形成した凹溝部に、制御ユニットパネルの上下縁に形成した突部をスライド係合するとともに、制御ユニットパネルのドア側端部に上下に延設した固定部を固定パネルと点検パネルの側縁に嵌合し、ネジ止めするので、制御ユニットパネルをユニット挿入空間部に簡単に取付けることができるにも関わらず、取付強度が高く、且つネジ止め部分が露出しないので、防盗性に優れている。
【0014】
請求項4によれば、固定パネル、点検パネル及び制御ユニットパネルの側端部に設けた各嵌合部に、平面視略コ字形の前記戸当り杆を外嵌するとともに、該戸当り杆をドア側から各嵌合部にネジ止めしてなることにより、固定パネル、点検パネル及び制御ユニットパネルが一体化し、強度の高い間仕切機能を備えた補助パネルを構成するのである。
【0015】
請求項5によれば、点検パネルの少なくとも片面に、前記戸当り杆を外すことにより着脱可能な開閉パネルを設けるとともに、ユニット挿入空間部から点検パネルの内部に配線可能な挿通孔を形成してなる場合には、制御ユニットパネルから外部に導出した電源線や信号線の配線を容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1は本発明に係るドア装置を一部に用いた間仕切装置を示し、図2〜図4はドア装置を示し、図5〜図10は本発明を構成する各パネルの詳細を示し、図中符号Aはドア装置、Bは間仕切パネル、1はドア枠、2はドア、3は補助パネル、4は固定パネル、5は点検パネル、6は制御ユニットパネル、7は戸当り杆をそれぞれ示している。
【0017】
本発明に係るドア装置は、図1〜図4に示すように、両側の縦ドア枠8,8の上端間を上ドア枠9で連結して形成した門形のドア枠1内に、ドア2と補助パネル3とを配置し、前記補助パネル3は、一方の縦ドア枠8に沿って上部の固定パネル4と下部の点検パネル5との間にユニット挿入空間部10を設け、ドア2の開閉制御装置11を組み込んだ制御ユニットパネル6を、前記ユニット挿入空間部10にドア側から嵌挿するとともに、前記固定パネル4、制御ユニットパネル6及び点検パネル5に亘って戸当り杆7をドア側からネジ止めした構造である。
【0018】
更に詳しくは、図3及び図4に示すように、前記固定パネル4と点検パネル5は一方の縦ドア枠8に側縁を固定し、前記固定パネル4の上端は前記上ドア枠9に固定し、前記点検パネル5の下端は床面Fに固定している。そして、前記固定パネル4の下縁と前記点検パネル5の上縁には凹溝部12,13を形成し、前記制御ユニットパネル6の上下縁には前記凹溝部12,13にスライド係合する突部14,14を形成するとともに、ドア側端部に上下に延びた固定部15,15を延設し、該固定部15,15を前記固定パネル4と点検パネル5の側縁に嵌合し、ネジ16,…にて締結する。更に、前記固定パネル4、点検パネル5及び制御ユニットパネル6の側端部に設けた各嵌合部17,18,19に、平面視略コ字形の前記戸当り杆7を外嵌するとともに、該戸当り杆7をドア側から各嵌合部17,18,19にネジ20,…にて締結する。
【0019】
更に各部を詳細に説明する。前記固定パネル4は、図4、図7及び図8に示すように、中空箱形構造を有し、一側部に前記嵌合部17を凸字状に形成するとともに、他側部には前記縦ドア枠8の内側面に固定した係止部材21に嵌合係止した状態で、前記上ドア枠9にネジ止め等の適宜な固定手段で固定する。前記固定パネル4の下端部は両側縁に沿って縁部22,22を残し、その間は開放して前記凹溝部12としている。
【0020】
また、前記点検パネル5は、図4、図9及び図10に示すように、四角形のフレーム23の片面に固定板24を固定するとともに、他側面に開閉パネル25を着脱可能に設ける。そして、前記フレーム23の一側部に嵌合部18を凸字状に形成するとともに、他側部には前記係止部材21に嵌合係止した状態で、床面Fにアンカーボルト等で固定する。そして、前記フレーム23の上杆は上端両側に縁部26,26を残し、その間は開放して前記凹溝部13としている。また、前記開閉パネル25は、縦ドア枠8側部に前記係止部材21に係止可能な係合片27を突設するとともに、ドア側の側部に前記嵌合部18の側面にネジ止めする取付片28を設け、該取付片28は前記戸当り杆7で隠れるようになっている。ここで、前記開閉パネル25は、前記戸当り杆7を外すことにより着脱可能となっている。また、前記フレーム23の上杆には前記ユニット挿入空間部10から点検パネル5の内部に配線可能な挿通孔29を形成し、フレーム23の下杆にも挿通孔を形成している。
【0021】
そして、前記制御ユニットパネル6は、四角形のフレーム30の表裏両面にパネル板31,31をその上下縁を前記両突部14,14に嵌合してネジ止めして取付ける。前記フレーム30のドア側の縦杆の切欠部には電気錠11Bを嵌合し、ドア側からネジ止めしている。また、前記カードリーダ11Aを一方のパネル板31に内側から固定する。前記フレーム30の上下杆には上下に貫通した挿通孔33を形成している。ドア側の前記縦杆には前記嵌合部19を形成するとともに、上下に延長して前記固定部15,15を形成し、該固定部15,15は、前記固定パネル4の嵌合部17と前記点検パネル5の嵌合部18に外嵌し、重なり部分を側面からネジ16,…で連結できるようになっている。
【0022】
そして、前記制御ユニットパネル6をドア側から上下の固定パネル4と点検パネル5間にスライド係合し、それらの上下方向に直列に並んだ各嵌合部17,18,19に同時に前記戸当り杆7を外嵌し、ドア側からネジ20,…で取付けて一体化するのである。前記戸当り杆7を装着した後、従来通り前記ドア2を他方の縦ドア枠8に蝶番34,34にて取付ける。ドア2のノブ35と前記電気錠11Bを連係させて完成するのである。
【0023】
前記制御ユニットパネル6を修理・点検時に取り外すには、ドア2を開いた状態で、前記戸当り杆7のネジ20,…を外し、更に制御ユニットパネル6を取付けているネジ16,…を外し、ドア側へ引き出すだけで簡単に行うことができる。
【0024】
前記固定パネル4を前記縦ドア枠8と上ドア枠9に取付ける構造を簡単に説明する。図3、図4、図7及び図8に示すように、倒L字形の連結金具36の一片を前記上ドア枠9に下方からネジ止めし、垂下した他片を固定パネル4の上端開放部から嵌合部17の内部に受け入れ、該嵌合部17の側面からネジ止めする。一方、前記固定パネル4の縦ドア枠8側の下端に下方へ取付片37を突設し、該取付片37を前記縦ドア枠8に固定した係止部材21に係合し、前記ユニット挿入空間部10内からネジ止めする。
【0025】
最後に、前記点検パネル5を縦ドア枠8と床面Fに取付ける構造を図2〜図4及び図9に基づいて簡単に説明する。前記点検パネル5の一側部に設けた係合片27を前記縦ドア枠8に固定した係止部材21に係合するとともに、下端部は床面Fにアンカーボルト等で固定した断面コ字形の受部材38の凹溝内に落とし込み係合させ、面外方向への変位を規制している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るドア装置を用いて構成した間仕切装置の簡略斜視図である。
【図2】本発明の係るドア装置の正面図である。
【図3】同じく制御ユニットパネルを取付ける様子を示した分解正面図である。
【図4】本発明のドア装置の要部の分解斜視図である。
【図5】制御ユニットパネルの省略正面図である。
【図6】同じく制御ユニットパネルの省略平面図である。
【図7】固定パネルの正面図である。
【図8】同じく固定パネルの平面図である。
【図9】点検パネルの省略平面図である。
【図10】同じく点検パネルの省略平面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 ドア枠、
2 ドア、
3 補助パネル、
4 固定パネル、
5 点検パネル、
6 制御ユニットパネル、
7 戸当り杆、
8 縦ドア枠、
9 上ドア枠、
10 ユニット挿入空間部、
11 開閉制御装置(入退室管理装置)、
11A カードリーダ、
11B 電気錠、
12 凹溝部、
13 凹溝部、
14 突部、
15 固定部、
16 ネジ、
17 嵌合部、
18 嵌合部、
19 嵌合部、
20 ネジ、
21 係止部材、
22 縁部、
23 フレーム、
24 固定板、
25 開閉パネル、
26 縁部、
27 係合片、
28 取付片、
29 挿通孔、
30 フレーム、
31 パネル板、
33 挿通孔、
34 蝶番、
35 ノブ、
36 連結金具、
37 取付片、
38 受部材、
F 床面。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側の縦ドア枠の上端間を上ドア枠で連結して形成したドア枠内に、ドアと補助パネルとを配置し、前記補助パネルは、一方の縦ドア枠に沿って上部の固定パネルと下部の点検パネルとの間にユニット挿入空間部を設け、ドアの開閉制御装置を組み込んだ制御ユニットパネルを、前記ユニット挿入空間部にドア側から嵌挿するとともに、前記固定パネル、制御ユニットパネル及び点検パネルに亘って戸当り杆をドア側からネジ止めしたことを特徴とするドア装置。
【請求項2】
前記固定パネルと点検パネルは一方の縦ドア枠に側縁を固定し、前記固定パネルの上端は前記上ドア枠に固定し、前記点検パネルの下端は床面に固定してなる請求項1記載のドア装置。
【請求項3】
前記固定パネルの下縁と前記点検パネルの上縁には凹溝部を形成し、前記制御ユニットパネルの上下縁には前記凹溝部にスライド係合する突部を形成するとともに、ドア側端部に上下に延びた固定部を延設し、該固定部を前記固定パネルと点検パネルの側縁に嵌合し、ネジ止めしてなる請求項1又は2記載のドア装置。
【請求項4】
前記固定パネル、点検パネル及び制御ユニットパネルの側端部に設けた各嵌合部に、平面視略コ字形の前記戸当り杆を外嵌するとともに、該戸当り杆をドア側から各嵌合部にネジ止めしてなる請求項1〜3何れかに記載のドア装置。
【請求項5】
前記点検パネルの少なくとも片面に、前記戸当り杆を外すことにより着脱可能な開閉パネルを設けるとともに、前記ユニット挿入空間部から点検パネルの内部に配線可能な挿通孔を形成してなる請求項1〜4何れかに記載のドア装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−102854(P2009−102854A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274502(P2007−274502)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】