説明

ドップラーセンサ内蔵電球型LED照明器具

【課題】 多様な白熱灯照明器具の電球と交換するだけで、確実に人体の検知を行うことのできる、省エネでスペース上の制約が生じることのないドップラーセンサ内蔵電球型LED照明器具を提供することを目的とする。
【解決手段】 アウターケースの上部に透光性素材からなるドームカバーを備えるとともに、該アウターケースの下部に電球のソケットに装着可能な口金を備えて外観を電球形状とした照明器具本体であって、該照明器具本体の内部に、LEDを備えるとともに中央部に四角形の開口部を備えたアルミナ基板と、該アルミナ基板の下方には、マイクロ波を送受信するドップラーモジュールを備えるとともに時間調整部と感度ボリュームを備えた該LEDの点灯制御を行うモジュール基板と、該モジュール基板の駆動電圧を供給するAC−DCユニットを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電球型のLED照明器具に関し、特に人体を検知するドップラーセンサを内蔵した電球型のLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、人体を検知して点灯する照明器具は、人体を検知するために赤外線センサが用いられている。人体の検知に適したセンサは該赤外線センサ以外に、超音波センサが知られているが、超音波センサの前面をガラスや樹脂でカバーすると検知が不可能であるために、このような照明器具においては、ほとんど赤外線センサが用いられている。赤外線センサは、人体が赤外線センサの検知エリアに入ったことをセンシングし、該センシング信号により照明回路を制御して照明器具を点灯する。赤外線センサは赤外線を検知するセンサであるので、電球の熱の影響を受けて人体が検知されないことを防止するために電球とは離間して備えられている。発熱する電球と赤外線センサを同一空間に格納すると、電球の熱が空間内にこもるとともにカバー部自体も熱を持つため人体の検知が不可能となる。
【0003】
例えば特開2007−265836号公報(特許文献1)「センサ付電球装着装置」は、口金3bおよびソケット3aを備えた電球装着部3と、電球装着部3に装着される電球の点灯/消灯を制御するための人感センサモジュール30と、人感センサモジュール30を電球装着部3から離れた位置に支持する延長ケース6とを備えたものである。
【0004】
また、照明とセンサを一体にした、電球型の照明器具がある。このような電球型の照明器具は、既設のソケットに電球と交換して使用することが可能であり、形状も電球と同一でセンサを別体にしていないため、使い勝手に優れたものである。例えば、特開2003−132704号公報(特許文献2)の「電球形蛍光ランプ」は、人体検知センサをランプに内蔵させて、人体検知センサを後付けする必要がなく、また設置場所も必要とせず、さらに人体検知センサと照明器具との配線も不要になる電球形蛍光ランプとしたものである。
【0005】
さらに、実用新案登録第3110293号(特許文献3)の「赤外線センサ付き電球」は、赤外線センサの別途取付が不要な、赤外線センサの寿命が伸長され、検知領域の狭隘化を招くこと無くランプシェードの取付が可能な赤外線センサ付き電球で、ランプソケットと、電力供給制御用電気回路を備えた回路基板と、中心に赤外線センサが取り付けられ、その赤外線センサの周囲にLEDが配設された取付基板と、赤外線センサを被覆するフォーカスカバーと、中央に孔が形成されたランプシェードとからなる。回路基板、取付基板及びフォーカスカバーはこの順序でランプソケットに収容されるとともに、回路基板の電気回路と取付基板の赤外線センサ及びLEDは電気的に接続され、ランプシェードはランプソケットの開口面を遮蔽するように取り付けられ、フォーカスカバーの先端はランプシェードの中央の孔から外に突出して構成したものである。
【0006】
前記した赤外線センサを用いて人体を検知したときに点灯するようにした照明器具は、消し忘れによる無駄な点灯を抑止して、省エネルギー及び電気代節約の効果があるので、近年多く使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】 特開2007−265836号公報
【特許文献2】 特開2003−132704号公報
【特許文献3】 実用新案登録第3110293号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1「センサ付電球装着装置」は、人感センサモジュール30を電球装着部3から離れた位置に支持する延長ケース6とで構成しているので、既設のソケットの周囲のスペースの制約によって取り付けが困難な場合が生じる。例えば、電気スタンドなどソケット部分に近接してランプシェードがある場合は、スペース上の制約から取り付けが困難である。
【0009】
特許文献2「電球形蛍光ランプ」は、人体検知センサをランプに内蔵させて、人体検知センサを後付けする必要がなく、また設置場所も必要とせず、さらに人体検知センサと照明器具との配線も不要として、特許文献1の課題であるスペース上の制約を解消したものである。しかしながら、当該公報において、人体検知センサの具体な種類については、特に記載されておらず、人体検知センサの位置については、3個のU形の蛍光ランプを環状に組み合わせた場合に形成される中央部の空間の先端付近に配置されている(段落番号0016)とあるが、人体の存在を検知することができ、かつ蛍光ランプの配光特性を損なう恐れの少ない部位であれば、発光管2の何処でもよいとあるが、図面及び従来技術から赤外線センサと判断され、蛍光ランプの熱による誤作動については言及されていない。
【0010】
特許文献3「赤外線センサ付き電球」は、前記特許文献2と同様に、人体検知センサをランプ内の基板に備えて、スペース上の制約を解消したものである。しかしながら、人体検知センサとして赤外線センサが用いられており、LEDから発生する熱の対策と、奥まった位置に備えられた赤外線センサの検知領域不足を先端の内側に形成したカット面でカバーして拡大するために、敢えてフォーカスカバーで被覆し、単に是正処置を行っているに過ぎないものである。
【0011】
また、前記した特許文献2及び3の赤外線センサ付きの電球型照明装置は、既存の白熱灯照明器具に使用している電球と交換して使用することが重要な要素の一つである。既存の白熱灯照明器具には、電球がそのまま露出しているタイプと、ガラスや樹脂カバーで覆われているタイプに大別できる。電球がそのまま露出しているタイプに装着するのであれば、赤外線センサの前面には障害物がないので問題なく人体を検知できるが、特にガラスのカバーで覆われているタイプの場合では、赤外線センサは、人体の検知をすることができない。樹脂であれば検知可能であるが、厚みによっては著しく感度が低下し人体の検知に障害が出るため、既存の電球と交換して使用するにも一定の制約が課せられる。
【0012】
本発明は、前記課題を解決するために、多様な白熱灯照明器具の電球と交換するだけで、確実に人体の検知を行うことのできる、省エネでスペース上の制約が生じることのないドップラーセンサ内蔵電球型LED照明器具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は本発明の請求項1によれば、アウターケースの上部に透光性素材からなるドームカバーを備えるとともに、該アウターケースの下部に電球のソケットに装着可能な口金を備えて外観を電球形状とした照明器具本体であって、該照明器具本体の内部に、LEDを備えるとともに中央部に四角形の開口部を備えたアルミナ基板と、該アルミナ基板の下方には、マイクロ波を送受信するドップラーモジュールを備えるとともに時間調整部と感度ボリュームを備えた該LEDの点灯制御を行うモジュール基板と、該モジュール基板の駆動電圧を供給するAC−DCユニットを備えたことで解決される。
【0014】
また、上記課題は本発明の請求項2によれば、該ドップラーモジュールが被反射体に向けて受発信するマイクロ波の該被反射体から跳ね返ってきた反射波の、該被反射体が移動したことにより生じる該反射波の周波数変動分を検知することで、該被反射体が接近したか、離反したかを判断してLEDの点灯制御をすることで解決する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1によれば、外観を電球形状とした照明器具本体の内部に、LEDを備えるとともに中央部に四角形の開口部を備えたアルミナ基板と、該アルミナ基板の下方には、マイクロ波を送受信するドップラーモジュールを備えるとともに時間調整部と感度ボリュームを備えた該LEDの点灯制御を行うモジュール基板と、該モジュール基板の駆動電圧を供給するAC−DCユニットを備えたので、既存の白熱灯照明器具に使用している電球と交換するだけで、容易に人体を検知して照明器具の点灯・消灯ができるこれによりスイッチ操作の煩わしさを解消するとともに、消し忘れによる無駄な点灯を抑止して、省エネルギー及び電気代節約を可能とした。また、ドップラーモジュールを用いることにより、既存の白熱灯照明器具で電球がガラスのカバーなどのシェードで覆われているようなものであっても確実に人体を検知してLEDの点灯制御を行うことができるので、使用する白熱灯照明器具の態様を問わず広範囲に使用することを可能とした。
【0016】
本発明の請求項2によれば、ドップラーモジュールが被反射体に向けて受発信するマイクロ波の該被反射体から跳ね返ってきた反射波の、該被反射体の移動により生じる該反射波の周波数変動分を検知することで、該被反射体が接近したか、離反したかを判断してLEDの点灯制御をするように構成したので、ドップラーモジュールを備えた本発明の照明器具本体に、上方から急激に手のひらを近づけたときに点灯させるようにし、逆に照明器具本体の直ぐ上方からさらに上方に手のひらを離反したときに消灯するように制御(その逆でも良い)することができるので、既存の多様な照明器具の電球と交換するだけで、照明器具本体に手を触れることなく手の動きだけで照明器具の点灯・消灯を行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ドップラーセンサ内蔵電球型LED照明器具本体の中央縦断面図である。
【図2】ドップラーセンサ内蔵電球型LED照明器具本体の分解斜視図である。
【図3】第2の実施例を示す図である。
【発明を実施させるための形態】
【0018】
【実施例1】
【0019】
以下、本発明の第1の実施例を、図面を参照して説明する。図1は、ドップラーセンサ内蔵電球型LED照明器具本体(1)(以下、本体(1)という)の中央縦断面図、図2は本体(1)の分解斜視図である。
【0020】
本体(1)は、透明または半透明のABSやポリカーボネートなどの透光性樹脂素材からなるドームカバー(2)、ABSなどの樹脂素材やアルミなどで形成されるアウターケース(3)、既存のソケットに装着可能な口金(4)とからなり、ドームカバー(2)の下縁円周部に備えたネジ部(2a)とアウターケース(3)の上縁円周部に備えたネジ部(3a)とで螺合結合される。また、アウターケース(3)の下縁円周部に備えたネジ部(3a)と口金(4)の上縁円周部に備えたネジ部(4a)とで螺合結合され、その外観を一般的な電球形状として構成する。
【0021】
電球形状として構成された本体(1)は、その内部にアルミナ基板(5)、モジュール基板(6)、AC−DCユニット(7)を内蔵して備える。アルミナ基板(5)は、アウターケース(3)の上縁円周部に備えられたネジ部(3a)の下端に嵌装され、放熱性に優れた特性を有し、その表面に複数個備えられた超高輝度の表面実装型LED(5a)の放熱板として高い効果を有する。また、中央にはドップラーモジュールからのマイクロ波を送受信するための長方形の開口部(5b)を開口して備える。
【0022】
モジュール基板(6)は、該アルミナ基板(5)の下に位置し、本体(1)の点灯制御を行う。モジュール基板(6)には、マイクロ波を送受信するドップラーモジュール(6a)をその送受信口を上に向けて開口するように備え、人体の検知信号を受けてLED(5a)の点灯制御を行う。また、時間調整部(6b)と感度ボリューム(6c)を備え、時間調整部(6b)は、ドップラーモジュール(6a)が人体の検知を終了した時点から消灯するまでの時間を調整する。該感度ボリューム(6c)は検知エリアの広さに応じて適正に調整するためのものである。検知エリアが広い場合は、感度ボリューム(6c)を上げればエリア隅々まで人体を検知することができ、エリアが狭い場合は絞れば良い。
【0023】
AC−DCユニット(7)は、該モジュール基板(6)の下に位置し、口金内側と接続されたリード線で、電源100Vが入力され、モジュール基板(6)に駆動電圧を出力する。
【0024】
以上のように構成された本体(1)は、白熱灯電球と同一形状として構成されているので、既存の白熱灯照明器具に使用している電球と交換して装着される。例えば家庭のトイレの照明器具として使用した場合は、人体がトイレに入室した際に、ドップラーモジュール(6a)が人体を検知し、検知信号によりLED(5a)が点灯する。ドップラーモジュール(6a)が人体を検知し続けている状態ではLED(5a)は連続して点灯するが、人体がトイレから退出することでドップラーモジュール(6a)が人体の検知を終了したことで、時間調整部(6b)によって設定された時間後にLED(5a)が消灯する。これにより、自動で点灯・消灯するので、消し忘れによる無駄な点灯を抑止して、省エネルギー及び電気代節約を可能とした。
【0025】
また、トイレに設置されている既存の白熱灯照明器具が電球をガラスのカバーで覆っているタイプであっても、ドップラーモジュール(6a)を用いていることから確実に人体を検知してLED(5a)を点灯することができるので、使用する白熱灯照明器具の種類を問わず広範囲に使用することも可能とした。
【実施例2】
【0026】
第2の実施例を説明する。図3は、第2の実施例を示す図である。第2の実施例においては、本体(1)を白熱灯照明器具(8)に装着した状態を示している。ドップラーモジュール(6a)から発信したマイクロ波は、被反射体(人体)に跳ね返って反射波としてドップラーモジュール(6a)で受信する。このとき反射波に含まれる被反射体が移動したことにより生じる周波数変動分を感知することができる。被反射体がドップラーモジュール(6a)に近づくと、反射波の周波数は高くなり、逆に被反射体がドップラーモジュール(6a)から遠ざかると反射波の周波数は低くなる。この周波数の変化を監視することで、被反射体が接近したか、あるいは離反したかを判断することができる。第2の実施例はこれを応用したもので、例えばドップラーモジュール(6a)を備えた本体(1)に、上方から急激に手のひらを近づけたときに点灯させるようにし、逆に本体(1)の直ぐ上方からさらに上方に手のひらを遠ざけたときに消灯するように制御することが可能となり、その逆も容易に制御することが可能である。これは、ドップラーセンサを用いたからこそ可能となったものであり、既存の多様な照明器具の電球と交換して本体(1)を装着するだけで、照明器具本体に手を触れることなく手の動きだけで照明器具の点灯・消灯を行うことができる。
【符号の説明】
【0027】
1 ドップラーセンサ内蔵電球型LED照明器具本体
2 ドームカバー
2a ネジ部
3 アウターケース
3a ネジ部
4 口金
4a ネジ部
5 アルミナ基板
5a LED
5b 開口部
6 モジュール基板
6a ドップラーモジュール
6b 時間調整部
6c 感度ボリューム
7 AC−DCユニット
8 白熱灯照明器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウターケースの上部に透光性素材からなるドームカバーを備えるとともに、該アウターケースの下部に電球のソケットに装着可能な口金を備えて外観を電球形状とした照明器具本体であって、該照明器具本体の内部に、LEDを備えるとともに中央部に四角形の開口部を備えたアルミナ基板と、該アルミナ基板の下方には、マイクロ波を送受信するドップラーモジュールを備えるとともに時間調整部と感度ボリュームを備えた該LEDの点灯制御を行うモジュール基板と、該モジュール基板の駆動電圧を供給するAC−DCユニットを備えたことを特徴とするドップラーセンサ内蔵電球型LED照明器具。
【請求項2】
該ドップラーモジュールが被反射体に向けて受発信するマイクロ波の該被反射体から跳ね返ってきた反射波の、該被反射体が移動したことにより生じる該反射波の周波数変動分を検知することで、該被反射体が接近したか、離反したかを判断してLEDの点灯制御をすることを特徴とする請求項1に記載のドップラーセンサ内蔵電球型LED照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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