説明

ドライパウダー吸入器

ドライパウダー薬剤をブリスターパック1の開いたブリスターポケット3から患者に投与するための吸入器101。ブリスターパック1は、柔軟な細長いストリップの形態を有し、その長さ方向に間隔をあけて設けられた複数の凹部を有するベースシート5と、ベースシート5に剥離可能にシールされて、それぞれ薬剤の規定用量を有する複数のブリスターポケット3を形成するカバーシート7とを備える。吸入器101はまたブリスターパック1の使用済および未使用部分を、薬剤投与機構と共に取り囲むハウジング103、105を備える。ハウジング103、105は、ブリスターパック1の幅方向にのび、カバーシート7の使用済部分をブリスターパック1の未使用部分から分離する内側横壁139を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライパウダー薬剤の用量を患者に投与するためのドライパウダー吸入器に関する。本発明は、特に、薬剤用量がブリスターパックの形態の薬剤キャリア内に貯蔵される形式の吸入器に関する。
【背景技術】
【0002】
吸入によって薬剤を患者に投与するための吸入器がこれまでに知られている。この種の吸入器には、計量式吸入器およびドライパウダー吸入器が含まれる。
【0003】
計量式吸入器は、典型的に、加圧された推進剤および薬剤を少なくとも有する容器と、計量バルブと、液体状薬剤の用量をエアゾールとして投与するためのある種のアクチュエータとを備えている。これとは対照的に、ドライパウダー吸入器は、ドライパウダー薬剤の供給部と、ドライパウダー薬剤を、患者への投与に適した形態にエアゾール化し、分差させるための手段とを備えている。
【0004】
ドライパウダー吸入器は、一般に、計量式吸入器よりも取扱いが容易であると考えられている。なぜなら、計量式吸入器の計量バルブを患者の吸気に合わせて作動させることが難しいからである。さらに、薬剤が患者の吸気による空気流を用いてエアゾール化され、投与されるので、ドライパウダー吸入器は推進剤を必要としない。
【0005】
ドライパウダー薬剤の一定の用量を、効果的にエアゾール化し、分散させて、投与するために、薬剤の含水率が注意深く制御されなければならない。ドライパウダー吸入器において、これは、薬剤の用量を、シールされたブリスターパックから構成されたブリスター内に貯蔵することによって都合良く達成され得る。この装置の使用時には、典型的には、薬剤の用量が吸入のために患者に投与される直前に、ブリスターパックのカバーシートの一部に穴があけられ、その部分が破られ、剥がされることによって、薬剤の用量が解放される。
【0006】
薬剤の用量がブリスターパック内に貯蔵される、このタイプのドライパウダー吸入器は、米国特許第5,590,645号明細書に開示されている。この吸入器のブリスターパックは、柔軟な細長いストリップの形態を有していて、長さ方向に複数の凹部が互いに間隔をあけて設けられたベースシートと、ベースシートに対し剥離可能にシールされ、それぞれが薬剤の同じ用量を有する複数のブリスターポケットを形成するカバーシートとを備えている。
【0007】
米国特許第5,590,645号明細書に記載の吸入器は、吸入器が作動する毎に、ブリスターパックのカバーシートの一部をベースシートから剥がして、ブリスターポケットを開く薬剤投与機構を備えている。この機構は、開かれたポケットを動かして、吸入器のマニホールド内に形成された薬剤孔に整合させるブリスターストリップ割り出し手段を備えており、マニホールドは、患者がそれを通じて吸気できるマウスピースに液体通過可能に連通している。ブリスターストリップの未使用部分と、ベースシートおよびカバーシートの使用済部分とが吸入器の本体内に貯えられる。
【0008】
上述の吸入器が使用されるとき、患者は、カバーを吸入器の本体に対して回転させてマウスピースを露出させた後、引き金を操作して薬剤投与機構を作動させる。次いで、患者は、マウスピースを通じて吸気し、マニホールドを通じて吸入器の本体内部から空気を吸い込む。マウスピースおよびマニホールドを通過する空気流は、開かれたブリスターポケット内に貯えられたドライパウダー薬剤を取り込み、それによって、薬剤がエアゾール化された状態で患者に投与される。吸入器の引き金およびカバーは、その後、元の位置に戻され、それによって、薬剤投与機構がその次の使用に備えてリセットされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,590,645号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
米国特許明細書第5,590,645号明細書に開示された型式のドライパウダー吸入器は、薬剤の一定用量を患者に投与できるように改善はされているものの、薬剤の一定用量を確実に患者に投与できるように改善された吸入器が依然として必要とされている。薬剤の一定用量を、常に過不足なく確実に投与できる吸入器が特に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、ブリスターパックの開いたブリスターポケットから患者にドライパウダー薬剤を投与するための吸入器であって、ブリスターパックは、柔軟な細長いストリップの形態を有していて、長さ方向に間隔をあけて設けられた複数の凹部を有するベースシートと、ベースシートに対し剥離可能にシールされ、それぞれが薬剤の同じ用量を有する複数のブリスターポケットを形成するカバーシートとを備えた吸入器において、ブリスターパックのブリスターポケットを開くための薬剤投与機構を備え、薬剤投与機構は、ブリスターパックのベースシートからカバーシートを剥がすための手段を備えており、吸入器は、さらに、ブリスターパックの使用済部分および未使用部分を、薬剤投与機構と一緒に取り囲むハウジングと、吸入器の使用時に、空気が吸い込まれるマニホールドと、を備え、マニホールドは、外気を取り込むための空気入口と、ブリスターパックの開いたブリスターポケットに連通し、マニホールドを通過する空気によって薬剤を取り込むための少なくとも1つの薬剤アパーチャと、取り込まれた薬剤を患者に供給する空気出口とを有し、記薬剤投与機構は、カバーシートの使用済部分を巻き上げるための駆動カバーシート巻き取りホイールを有し、ハウジングは、ブリスターパックの幅方向にのびて、カバーシートの使用済部分をブリスターパックの未使用部分から分離するための内側横壁を形成していることを特徴とする吸入器が提供される。
【0012】
カバーシートの使用済部分は、薬剤投与機構の前の作動時に生じた残留薬剤を運ぶので、カバーシートの使用済部分をブリスターパックの未使用部分から分離し、ブリスターパックの未使用部分が汚染されることを防止することによって、規定用量を超える量の薬剤が投与されるおそれがなくなる。
【0013】
「分離する」という用語は、内側横壁が、カバーシートの使用済部分から出た薬剤がブリスターパックの未使用部分を汚染することをより困難にすることに役立つことを意味する。
【0014】
薬剤投与機構は、さらに、ベースシートの使用済部分を巻き上げるための駆動ベースシート巻き取りホイールを備え、内側ハウジング部材は、さらに、ブリスターパックの幅方向にのび、ベースシートの使用済部分をブリスターパックの未使用部分から分離するための内側横壁を形成し得る。カバーシートの使用済部分と同様に、ベースシートの使用済部分はまた、残った薬剤を運び、これをブリスターパックの未使用部分から分離し得る。
【0015】
ハウジングの内側横壁は、カバーシートの使用済部分およびベースシートの使用済部分を収容するための独立したコンパートメントを形成し得る。この独立したコンパートメントは、残った薬剤を収容するように、すなわち、残った薬剤がブリスターパックの未使用部分を汚染することを防止するように配置される。ハウジングの内側横壁は、さらに、ブリスターパックの使用済部分を収容するための独立したコンパートメントを形成し得る。
【0016】
好ましい実施例によれば、吸入器のハウジングは、少なくとも1つの外側ハウジング部材の内部に配置された内側ハウジング部材を有している。内側横壁は、内側ハウジング部材によって形成されている。吸入器のマニホールドは、少なくとも1つの外側ハウジング部材によって形成されている。
【0017】
内側横壁は、内側ハウジング部材の底面から垂直にのび得る。内側ハウジング部材の底面は、ブリスターパックの未使用部分の側縁を支持するように配置され、それによって、未使用部分が巻き上げられ得る。こうして、内側ハウジング部材は、事実上、ブリスターパックの使用済部分および未使用部分を収容するための種々のコンパートメントを備えたトレイの形態を有し得る。
【0018】
少なくとも1つの外側ハウジング部材は、ブリスターパックの未使用部分の対向する側縁を支持し得る。外側ハウジング部材および内側ハウジング部材は、ブリスターパックの未使用部分を実質上取り囲むように配置され得る。こうして、ブリスターパックの未使用部分は、カバーシートおよびベースシートの使用済部分によって汚染されないように保護され得る。
【0019】
好ましい実施例によれば、駆動カバーシート巻き取りホイールは、カバーシートの使用済部分に張力を及ぼすように配置され、薬剤投与機構は、ブリスターパックの未使用部分のカバーシートを案内するためのガイド面を有し、ガイド面の一端がマニホールドの外側面に隣接して配置されて、剥ぎ取りエッジを形成する。この場合、吸入器の使用時に、カバーシートが、剥ぎ取りエッジにおいてベースシートから剥がされ、カバーシートの使用済部分が、剥ぎ取りエッジとマニホールドの外側面との間を通過し、開いたブリスターポケットが動いてマニホールドの少なくとも1つの薬剤アパーチャに整合する。マニホールドおよびガイド面は、吸入器の別個のコンポーネントによって形成される。
【0020】
剥ぎ取りエッジを含むガイド面は、内側ハウジング部材によって形成され、マニホールは少なくとも1つの外側ハウジング部材によって形成され、それによって、マニホールドおよびガイド面が別個のコンポーネントによって形成され得る。
【0021】
吸入器の組み立て時、カバーシートの使用済部分が剥ぎ取りエッジとマニホールドとの間の隙間に通され、カバーシート巻き取りホイールに係合せしめられる。ガイド面およびマニホールドが別個のコンポーネントによって形成される吸入器としたことによって、剥ぎ取りエッジおよびマニホールド間の隙間が組み立てられた吸入器においてできるだけ狭くされ得る。例えば、カバーシートの使用済部分は、コンポーネントの組み立て前であって、剥ぎ取りエッジおよびマニホールド間の隙間が比較的大きい間に、当該隙間に通され、その後、コンポーネントがブリスターパックとともに吸入器に組み立てられたとき、当該隙間が狭められ、例えば、カバーシートの厚さよりもわずかに大きくなる程度まで狭められる。典型的には、使用時、マニホールドの外側面および剥ぎ取りエッジは、カバーシートが通過するのに十分な広さの隙間を形成するように配置される。この隙間は、約1mm以下であり、好ましくは約0.8mm以下であり、より好ましくは約0.4mm以下である。好ましくは、隙間は、約0.1mm〜約0.8mmであり、好ましくは約0.2mm〜約0.6mmであり、より好ましくは約0.2mm〜約0.4mmである。好ましくは、隙間は、ベースシートの凹部のそれぞれの幅の1/2よりも小さく、より好ましくは、ベースシートの凹部のそれぞれの幅の1/4よりも小さく、より好ましくは、ベースシートの凹部のそれぞれの幅の1/8よりも小さい。隙間を出来るだけ狭くすることによって、吸入器の使用中であって、ブリスターポケットが剥ぎ取りエッジからマニホールドの少なくとも1つの薬剤アパーチャに整合せしめられたときに、薬剤が開いたブリスターポケットからこぼれ出る危険性が最小限に抑えられる。こうして、規定用量よりも少ない量の薬剤が投与されること(その次は、規定用量よりも多い量の薬剤が投与される可能性が高い)が防止され、装置が詰まりにくくなり、装置は、異なる剤型のものをより容易に収容すべく調節され得る。
【0022】
好ましい実施例によれば、内側ハウジング部材および少なくとも1つの外側ハウジング部材は、内側ハウジング部材を少なくとも1つの外側ハウジング部材に対して位置決めするための手段を備えている。この位置決めするための手段は、正確に制御され、再現可能な隙間を剥ぎ取りエッジとマニホールドの外側面との間に形成する。位置決めするための手段は、内側ハウジング部材および少なくとも1つの外側ハウジング部材に設けられた係合タブおよび凹部を有している。係合タブおよび凹部は、互いに係合することによって、内側ハウジング部材の少なくとも1つの外側ハウジング部材に対する位置を固定する。
【0023】
好ましい実施例によれば、少なくとも1つの外側ハウジング部材は、吸入器の外形を形成する一対の外側ハウジング部材を有している。
【0024】
好ましい実施例によれば、マニホールドおよび一対の外側ハウジング部材の一方が、単一のプラスチックコンポーネントとして形成され、この単一のプラスチックコンポーネントは、使用時に、空気入口が配置される吸入器の外面の少なくとも一部を形成する。空気入口を有するマニホールド、および(空気入口が設けられる)吸入器の外面を形成するハウジング部分を一体形成されたコンポーネントとして形成することによって、空気が吸入器のハウジング内からマニホールドに吸い込まれるおそれがなくなる。ハウジング内部からマニホールドへの空気の吸い込みが防止されることが望ましい。なぜなら、薬剤投与機構の前の動作の際にハウジング内に残された薬剤、例えば吸引されなかった薬剤または不完全に吸引された薬剤が、かかる空気に取り込まれるおそれがあるからである。
【0025】
好ましくは、外気はマニホールドの空気入口からのみ取り込まれ、および/またはマニホールドは、使用時に、空気が専ら空気入口を通じてマニホールドに吸い込まれるように、すなわち、単一のコンポーネント(およびもちろんブリスターパックの開いたブリスターポケット)以外の吸入器のコンポーネントを通じて吸い込まれないように配置される。
【0026】
単一のコンポーネントは、使用時、マニホールドの空気入口を取り囲む吸入器の少なくとも一対の外面を形成し、事実上、空気入口を取り囲む吸入器の全外面を形成し得る。好ましい実施例によれば、空気入口を取り囲む外面は、部分的に、カバー、マウスピースカバーおよびマウスピースインサート等のような別のコンポーネントによって形成され得る。
【0027】
マニホールドの空気入口は、細長い断面形状を有し得る。マニホールドの断面積は、空気流の向きに次第に減少し得る。このような構成によって、マニホールド内の空気流の速度が空気開口において最少となり、それによって、こぼれた薬剤およびその他の汚染物質が空気入口のまわりに取り込まれるおそれがなくなる。
【0028】
マニホールドは、マニホールドの空気流の向きに連続して配置された少なくとも2つの薬剤アパーチャ、すなわち、マニホールドから開いたブリスターポケットに空気を流すための第1の薬剤アパーチャと、開いたブリスターポケットから、取り込まれた薬剤をマニホールドに流すための第2の薬剤アパーチャとを有し得る。この場合、マニホールドは、空気を空気入口から第1の薬剤アパーチャを通って開いたブリスターポケットに向けるとともに、開いたブリスターポケットから、取り込まれた薬剤を第2の薬剤アパーチャを通ってマニホールドに向けるような幾何学的形状を有している。
【0029】
マニホールドの幾何学的形状は、マニホールド内の空気流を第1および第2の薬剤アパーチャ間に制限するための手段を備えることによって、例えば、マニホールドの断面積を局所的に減少させることによって、必要とされる空気流を生じさせるように設計される。このようなマニホールドの断面積の局所的な減少は、マニホールドの壁を薬剤アパーチャの反対側に突出させることによってもたらされ得る。
【0030】
単一のコンポーネントは、さらに、使用時に、マニホールドの空気出口から取り込まれた薬剤を受けるためのマウスピースを形成し得る。マウスピースの先端には、そのまわりを患者が唇で快適に密封できる表面を有するマウスピースカバーまたはインサートが設けられ得る。
【0031】
マニホールドおよびマウスピースは、マウスピース内の空気流の向きがマニホールド内の空気流の向きに垂直になるように配置されるとともに、マウスピース内の空気流が、少なくとも1つの薬剤アパーチャに隣接する位置で曲がることによって、取り込まれた薬剤が、実質上直線状の経路に沿って開いたブリスターポケットから患者に供給され得るように配置され得る。
【0032】
マウスピースの断面積は、空気流の向きに沿って次第に増大し、マウスピースの先細り状の壁は、複数の空気流逸らせ穴を備えている。空気流逸らせ穴は、好ましくは、マニホールドに連通し、使用時に、マニホールドからの空気が空気流逸らせ穴を通じて吸い込まれるようになっている。空気流逸らせ穴は、使用時に、空気が、空気流逸らせ穴をとおって、マウスピースの中心軸に実質上平行な向きに(マウスピースの壁に対して鋭角をなして)吸い込まれ、それによって、取り込まれた薬剤がマウスピース内で横方向に広がりすぎることが防止されるように配置され得る。
【0033】
少なくとも1つの薬剤アパーチャは、取り込まれた薬剤の分散を促進するための障害物を備え得る。障害物は、事実上、各アパーチャを複数のサブアパーチャに分割する分割手段として機能し得る。使用時、分散した薬剤の粒子は、分割手段に衝突してさらに細かく砕かれる。
【0034】
好ましい実施例によれば、単一のコンポーネントは成形されたコンポーネントからなり、成形プラスチック材料から形成され得る。単一のコンポーネントの形成に適した材料は、ポリエチレン、特に、高密度ポリエチレン(HDPE)およびポリプロピレンを含むポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートを含むポリエステル、ナイロンを含むポリアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂、およびポリイミドからなるグループから選択される1のプラスチック材料、または前記グループから選択される2以上のプラスチック材料の混合物またはコポリマーである。
【0035】
吸入器は、さらに、用量カウンタを備え得る。用量カウンタは、一対の外側ハウジング部材の一方の内部に形成された表示アパーチャと、用量カウントインデックスを有する表示エレメントと、を備え、表示エレメントは、ハウジング内に回転可能に取り付けられて、表示エレメントが吸入器の外形の軸のまわりに回転せしめられるときに、一連の用量カウントインデックスが表示アパーチャを通じて順次視認可能になっている。用量カウンタは、さらに、薬剤投与機構の作動に応答して表示エレメントを1単位ずつ回転させるための駆動手段を備えている。
【0036】
このような用量カウンタによって、患者は、薬剤投与機構が何回動作したのかを確実に知ることができ、それによって、規定用量を超える量の吸入または薬剤の多重吸入が回避され得る。
【0037】
外側ハウジング部材に設けられた表示アパーチャは、表示エレメントの用量カウントインデックスを拡大するための拡大レンズを備え得る。こうして、用量カウンタからの情報が患者によってより容易に視認され、および/または多数のインデックスが設けられ得る。拡大レンズは、例えば透明プラスチック材料から形成された凸レンズからなっている。
【0038】
表示エレメントの用量カウントインデックスは拡大表示されるので、これらのインデックスの実際のサイズを比較的小さくすることができ、その結果、表示エレメントは多数のインデックスを備えることができ、また、ただ1つの表示エレメントを配置するだけでよい。この場合、多数の回転可能に取り付けられた表示エレメントを結合するための複雑な機構は不要である。
【0039】
表示エレメントの用量カウントインデックスは、薬剤投与機構が動作したことをその都度表示する単一のインデックスを有している。少なくとも50、好ましくは少なくとも60の一意的な用量カウントインデックスが設けられ、用量カウントインデックスは、数字、好ましくはアラビア数字である。用量カウントインデックスはそれぞれ吸入器によって投与されまたは吸入器に残っている用量数を表示する。
【0040】
好ましい実施例によれば、薬剤投与機構は、薬剤投与機構の動作に応答してブリスターパックを縦方向に割り出しするための手段を有し、ブリスターパックは、ブリスターポケット間のピッチに等しい距離ずつ割り出しされ、それによって、薬剤投与機構が動作する毎に、1つのブリスターが、マニホールドの少なくとも1つの薬剤アパーチャに整合せしめられる。割り出しするための手段は、ブリスターパックのベースシートを収容するための凹部を有する駆動割り出しホイールを備え、駆動割り出しホイールは、薬剤投与機構の動作に応答して予め決定された角度ずつ回転する。割り出しホイールは、薬剤投与機構のガイド面に対向して配置され得る。
【0041】
吸入器は、薬剤投与機構を動作させ、および/またはカバーを吸入器が使用可能な開いた位置と吸入器が使用不能な閉じた位置との間で回転させるための引き金を備え得る。
【0042】
本発明のさらに別の特徴および/または長所が以下に続く本発明の詳細な説明から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】ドライパウダー吸入器とともに使用される公知のブリスターパックの斜視図である。
【図2】図1に示したブリスターパックを備えた公知のドライパウダー吸入器の分解斜視図である。
【図3】図2に示したドライパウダー吸入器の断面図であって、動作原理を説明する図である。
【図4】本発明によるドライパウダー吸入器の分解斜視図であって、明瞭のためにいくつかのコンポーネントを省略した図である。
【図5】図4に示したドライパウダー吸入器の断面図であって、動作原理を説明する図である。
【図6】図4に示したドライパウダー吸入器の外側ハウジング部材の斜視図である。
【図7】図4に示したドライパウダー吸入器の外側ハウジング部材の斜視図である。
【図8】図6および図7に示した外側ハウジング部材の部分的な拡大断面図である。
【図9】図6および図7に示した外側ハウジング部材の正面図である。
【図10】図6および図7に示した外側ハウジング部材の部分的な拡大断面図である。
【図11】図4に示したドライパウダー吸入器のいくつかのコンポーネントの斜視図であり、吸入器の組み立て方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、ドライパウダー薬剤をブリスターパックの開いたブリスターポケットから患者に投与するための吸入器を提供する。ブリスターパックは、柔軟な細長いストリップの形態を有していて、長さ方向に間隔をあけて設けられた複数の凹部を有するベースシートと、ベースシートに対し剥離可能にシールされ、それぞれが薬剤の同じ用量を有する複数のブリスターポケットを形成するカバーシートとを備えている。吸入器は、ブリスターパックのブリスターポケットを開くための薬剤投与機構を備えている。薬剤投与機構は、ブリスターパックのベースシートからカバーシートを剥がすための手段を備えている。吸入器は、また、ブリスターパックの使用済部分および未使用部分を、薬剤投与機構と一緒に取り囲むハウジングと、吸入器の使用時に、空気が吸い込まれるマニホールドを備えている。マニホールドは、外気を取り込むための空気入口と、ブリスターパックの開いたブリスターポケットに連通し、マニホールドを通過する空気によって薬剤を取り込むための少なくとも1つの薬剤アパーチャと、取り込まれた薬剤を患者に供給する空気出口とを有している。
【0045】
薬剤投与機構は、カバーシートの使用済部分を巻き上げるための駆動カバーシート巻き取りホイールを備えている。本発明によれば、ハウジングは、ブリスターパックの幅方向にのび、ブリスターパックのカバーシートの使用済部分を未使用部分から分離するための内側横壁を形成する。
【0046】
図1は、公知の吸入器および本発明による吸入器とともに使用するのに適した公知のブリスターパック1を示している。ブリスターパック1は、柔軟な細長いストリップの形態を有していて、長さ方向に間隔をあけて設けられた一列のブリスターポケット3を有している。ブリスターパック1は、例えば、総計60個または100個のブリスターポケットを有し得る。
【0047】
ブリスターパック1は、ブリスターポケット3に対応する凹部が設けられたベースシート5と、ベースシート5の表面に剥離可能にシールされ、凹部を取り囲むカバーシート7とを有している。ベースシート5およびカバーシート7は、典型的には、プラスチックおよびアルミニウムフィルムからなるラミネートの形態を有している。ベースシート5は、カバーシート7よりも大きな剛性を有し、好ましくは、予め決定された凹部の形状を維持するのに十分な程度の剛性を有している。ベースシート5に設けられた凹部は、ブリスターパック1の幅方向に沿ってのびる細長い形状を有している。
【0048】
カバーシート7は、ヒートシールラッカーによって、ベースシート5に対し剥離可能にシールされる。カバーシート7は、ベースシート5の凹部を覆う部分と、ベースシート5およびカバーシート7の先端部分9、11とを除いたその全表面にわたってベースシート5にシールされる。ブリスターパック1の使用回数が増えるにつれて、ベースシート5およびカバーシート7の先端部9、11が長くなるが、これらの部分を、以下において、「使用済部分」と呼ぶ。ブリスターパック1における、カバーシート7がベースシート5から剥がされていない部分を、以下において、「未使用部分」と呼ぶ。ブリスターパック1は、カバーシート7が順次ベースシート5から剥がされ得るように配置され、それによって、ブリスターポケット3が1個ずつ開かれる。
【0049】
ブリスターパック1のブリスターポケット3はそれぞれ、ベースシート5およびカバーシート7によって規定される閉じた容積を有している。このブリスターによって規定される閉じた容積は、一般に一定であり、患者による吸入に適したドライパウダー薬剤の予め決定された量で満たされている。ブリスターパック1の使用時、カバーシート7の先端部11が、ベースシート5から剥がされて、ブリスターポケット3が開かれる。カバーシート7の先端部には、カバーシート7をベースシート5から剥がすための張力を及ぼすためのループ13が設けられる。
【0050】
ブリスターパック1のより詳細な説明は、米国特許第5,590,645号明細書においてなされており、この文献をここに参考文献として組み入れる。
【0051】
図2および図3は、図1に示したブリスターパック1を備えた公知のドライパウダー吸入器21を示した図である。図2は、吸入器21の分解斜視図であり、図3は、吸入器21の断面図であって、その動作原理を説明する図である。
【0052】
吸入器21は、丸味を帯びた縁と、ブリスターパック1の幅を受け入れるのに十分な厚みを有する円盤状の外形を有している。ブリスターパック1のほかに、吸入器21は、ブリスターパック1の使用済部分および未使用部分を取り囲むためのハウジングと、ブリスターパック1のブリスターポケット3を開くための薬剤投与機構と、吸入器21の使用時に空気が吸い込まれるマニホールドと、吸入器21によって投与された、または吸入器21内に残っている用量数をカウントするための用量カウンタとを備えている。
【0053】
吸入器のハウジングは、一対のハウジング部材、すなわち、上側ハウジング部材23および下側ハウジング部材25を備えている。上側および下側ハウジング部材23、25は、互いにスナップ係合し、吸入器21の外面の主要部を形成する。上側および下側ハウジング部材23、25は、また、内部チャンバを形成する。吸入器21は、付加的にカバー27を備えている。カバー27は、ハウジング部材23、25に旋回可能に取り付けられ、ハウジングのまわりに、図3に示した吸入器21の開いた位置と、(図示しない)吸入器21の閉じた位置との間で回転し得る。
【0054】
吸入器21の薬剤投与機構は、主としてハウジング内に収容され、本質的に、ブリスターパック1のカバーシート7をベースシート5から剥がすための手段と、ブリスターパック1を長さ方向に、ブリスターポケット3の間の長さ方向のピッチに等しい距離ずつ割り出すための手段とを備え、それによって、ドライパウダー薬剤を有する新たに開いたブリスターポケット3をマニホールドに整合させ(これについては以下で説明する)、患者がドライパウダー薬剤を吸入できるようにする。
【0055】
薬剤投与機構は、フィンガータブを有する回転可能に取り付けられた引き金29と、割り出しラチェットホイール33に取り付けられたブリスターパック割り出しホイール31と、ベースシート巻き取りホイール35と、カバーシート巻き取りホイール37a、37bと、ブリスターパック1のカバーシート側を案内するためのガイド面39とを備えている。ガイド面39は、成形プラスチックコンポーネント41によって形成され、ブリスターパック1のカバーシート7をベースシート5から分離するための剥ぎ取りエッジを有している。
【0056】
薬剤投与機構は、また、ハウジングに取り付けられて、ベースシート巻き取りホイール35の歯に係合し、反時計回り(後ろ向き)の回転を防止する爪43を備えている。
【0057】
カバーシート巻き取りホイール37a、37bは、突出する軸方向および非軸方向の平行なシャフトを有するホイール37aの形態の第1の部分と、シャフトから外向きにのびる弾性ウイングを備えた中空茶府とを備えたホイール37bの形態の第2の部分を備えている。ホイール37aの突出するシャフトがホイール37bの中空シャフトに係合することによって、一方のホイールは他方のホイールに対して回転しないようになっている。
【0058】
マニホールドは同一の成形プラスチックコンポーネントによって形成され、薬剤投与機構のガイド面39を形成する。マニホールドはハウジング内から空気を取り込むための空気入口45と、ハウジングによって形成された内部チャンバに連通し、取り込まれた薬剤を吸い込む薬剤アパーチャと、取り込まれた薬剤を患者に供給するための空気出口49とを備えている。空気出口49はマウスピースインサート51を備えたマウスピースに連通する。
【0059】
吸入器の用量カウンタは、下側ハウジング部材25に設けられた表示アパーチャ55と、用量カウントインデックスを有する表示リング53の形態を有する表示エレメントとを備えている。表示リング53が吸入器21の円盤状の外形の軸のまわりに回転せしめられるとき、一連のインデックスが表示アパーチャを通して視認され得る。表示リング53の内縁には、表示リング53を回転駆動させるための歯が設けられる。
【0060】
ブリスターパック1は吸入器21の内部に配置され、未使用部分が、ハウジングによって形成された内部チャンバ内において緩く巻かれている。カバーシート7の先端部が、ループ13によって、カバーシート巻き取りホイール37aの非軸方向のシャフトに取り付けられ、カバーシート7の使用済部分がカバーシート巻き取りホイール37bの弾性ウイングのまわりに巻かれる。ベースシート5の使用済部分は、ベースシート巻き取りホイール35のまわりに緩く巻き付けられる。
【0061】
ブリスターパック1におけるカバーシート7がベースシート5から離れる部分は、ベースシート5の反対側に突出する凹部が、割り出しホイール31の表面の周方向に間隔をあけて配置された凹部に収容されるように配置される。ベースシート5の凹部は、ブリスターパック1のカバーシート側に作用するガイド面39によって、割り出しホイール31の凹部内に保持される。ベースシート5の使用済部分は、マニホールドの薬剤アパーチャ47の正面において、ベースシート巻き取りホイール35に向かう方向にのび、カバーシート7の使用済部分は、ガイド面39の剥ぎ取りエッジおよびマニホールドの外側面間を、カバーシート巻き取りホイール37a、37bに向かう方向に通過する。
【0062】
公知の吸入器21の使用時、患者は、カバー27を、図3に示したように、マウスピースインサート51が露出する開いた位置まで動かす。次いで、患者は、引き金29のフィンガータブを押して、そのアーチ状の面上の1組の歯を回転させる。引き金29の歯は、割り出しラチェットホイール33上の周方向の歯に係合し、それによって、割り出しホイール31が回転せしめられる。割り出しホイール31の回転に伴って、ベースシート巻き取りホイール35と、カバーシート巻き取りホイール37a、37bと、用量カウンタの表示リング53とが回転せしめられる。
【0063】
カバーシート巻き取りホイール37a、37bが回転することによって、カバーシート7の使用済部分に張力が及ぼされ、ブリスターパックのカバーシート7の一部がベースシート5から剥がされ、薬剤の規定用量を有するブリスターポケット3が開かれる。同時に、割り出しホイール31が、ブリスターパック1を長さ方向にブリスターポケット3間のピッチに等しい距離ずつ割り出すために十分な角度だけ回転せしめられ、それによって、開いたブリスターポケット3を動かしてマニホールドの薬剤アパーチャ47に整合させる。
【0064】
用量カウンタの表示リング53が回転することによって、用量カウントインデックスが1単位増やされ、それによって、患者に1用量が投与されたことが知らされる。
【0065】
そして、患者がマウスピースを通じて吸気することでマニホールドの空気入口45を通じて空気を吸い込むことにより、空気が薬剤アパーチャ47を通過して薬剤を取り込み、空気出口49を経て患者に供給され、それによって、患者にドライパウダー薬剤の1用量が投与される。
【0066】
吸入器21の使用後、カバー27が(図示しない)閉じた位置まで回転せしめられ、薬剤投与機構がその次の使用の準備のためにリセットされる。
【0067】
上述のような型式の吸入器は、前述の米国特許第5,590,645号明細書により詳細に記載されている。
【0068】
上述の公知の吸入器は、多くの点で満足し得るものである。特に、剥離可能なブリスターパックを使用することによって、ドライパウダー薬剤の含水率を注意深くコントロールすることができ、これは、剥ぎ取り形式の薬剤投与機構を組み合わせることによって、満足のいく用量サイズを生じさせる。しかしながら、依然として、より改良されたドライパウダー吸入器が必要とされている。
【0069】
図4〜図11は、本発明によるドライパウダー吸入器101を示したものであり、吸入器は図1に示したブリスターパック1を備えている。図4は、吸入器101の分解斜視図であり、明瞭のために、吸入器のいくつかのコンポーネントが省略してある。図5は、吸入器101の断面図である。図6および図7は、吸入器101の外側ハウジング部材の異なる斜視図である。図8は、外側ハウジング部材の部分的な拡大断面図である。図9は、外側ハウジング部材の正面図である。図10は、外側ハウジング部材の部分的な拡大断面図である。図11は、吸入器101のいくつかのコンポーネントの斜視図である。
【0070】
本発明による吸入器101は、多くの点で上述の公知の吸入器21に似ている。以下で特に説明されない吸入器101の特徴は、上述の公知の吸入器21の特徴と同じがまたは類似していると解されたい。
【0071】
図5および図6を特に参照して、本発明による吸入器101は、丸味を帯びた縁と、ブリスターパック1の幅を受け入れるのに十分な厚さを備えた外形を有している。吸入器101は、上述のブリスターパック1と、ブリスターパック1の使用済部分および未使用部分を取り囲むためのハウジングと、ブリスターパック1のブリスターポケット3を開くための薬剤投与機構と、吸入器101の使用時に空気が吸い込まれるマニホールドと、吸入器101によって投与されまたは吸入器101内に残っている用量の個数をカウントする用量カウンタとを備えている。
【0072】
吸入器のハウジングは、一対の外側ハウジング部材、すなわち、上側ハウジング部材103と下側ハウジング部材105を有している。上側および下側ハウジング部材103、105は、互いにスナップ係合することによって、吸入器101の外面の主要部を形成する。上側および下側ハウジング部材103、105はまた内部チャンバを形成する。吸入器101は、付加的に、ハウジングのまわりに開いた位置と閉じた位置との間で回転するように旋回可能に取り付けられたカバー107を備えている。
【0073】
吸入器101の薬剤投与機構は主としてハウジング内に収容されており、ブリスターパック1のカバーシート7をベースシート5から剥がして、ブリスターポケット3を開くための手段と、ブリスターパック1の縦方向に沿って割り出すための手段とを備えている。
【0074】
特に、薬剤投与機構は、フィンガータブを有し旋回可能に取り付けられた引き金109と、ブリスターパック割り出しホイール111と、ベースシート巻き取りホイール113と、カバーシート巻き取りホイール115と、ブリスターパック1のカバーシート側を案内するためのガイド面117とを備えている。ガイド面117は、ブリスターパック1のカバーシート7をベースシート5から分離するための剥ぎ取りエッジ119を有している。
【0075】
吸入器101の用量カウンタは、下側ハウジング部材105に設けられた表示アパーチャ121と、表示リング147の形態を有する表示エレメントとを備えている。表示リング147は用量カウントインデックスを備え、表示リング147が吸入器101の外形の軸のまわりに回転せしめられるときに、表示アパーチャ121を通して一連の表示インデックスが順次視認され得るように配置される。用量カウントインデックスは、数字「60」から数字「0」まで1単位ずつカウントされることで、吸入器101内に残っている用量の個数を表示するアラビア数字から構成される。
【0076】
表示リング147の内縁には、表示リング147を回転駆動させるための歯が設けられる。歯は、薬剤投与機構に結合されたギア列によって駆動される。ギア列は、薬剤投与機構が動作する毎に、表示アパーチャ121を通して視認可能なインデックスが1単位ずつ変更されるように配置される。
【0077】
上側ハウジング部材103に設けられた表示アパーチャ121は、表示リングの用量カウントインデックスから間隔をあけて配置されて、インデックスを拡大表示する凸レンズ123を備えている。凸レンズ123は透明プラスチック材料から形成されている。
【0078】
凸レンズ123を備えたことによって、患者が用量カウンタの用量カウントインデックスを視認することがより容易になり、および/または多数の表示リングを備える必要がなくなる(なぜなら、多数の小さなインデックスを単一のリング上に配置することができるからである。)。
【0079】
図6〜図10を特に参照して、吸入器101のマニホールドは、外気を受け入れるための空気入口125と、ブリスターパック1の開いたポケット3に連通し、マニホールドをつうじて吸い込まれた空気によって薬剤が取り込まれるようにするための一対の薬剤アパーチャ127a、127bと、患者に薬剤を供給するための空気出口129とを備えている。外気は、専ら空気入口125を通じて吸入器101内に吸い込まれる。
【0080】
マニホールドは、上側ハウジング部材103の一部を形成する。言い換えれば、マニホールドおよび上側ハウジング部材103は、単一のコンポーネントとして、特に、高密度ポリエチレン(HDPE)から形成された単一の成形プラスチックコンポーネントとして形成される。
【0081】
吸入器101の使用時(すなわち、カバー107が開いた位置にあるとき)、この単一のコンポーネントは、空気入口125を取り囲む吸入器101の外面の一部を形成する。言い換えれば、単一のコンポーネントは、マニホールドを形成するだけでなく、マニホールドの空気入口125が設けられる吸入器の外面もまた形成する。さらには、空気は、(薬剤アパーチャ127a、127bを通って循環する空気から離れて)空気入口を通じてのみマニホールド内に吸い込まれる。
【0082】
このような構成によって、空気が吸入器のハウジング内からマニホールドに吸い込まれるおそれがなくなる。かかる空気は、薬剤投与機構の前の作動時に残された薬剤を取り込むおそれがある。
【0083】
マニホールドの空気入口125は、吸い込まれた空気流の向きに長さが減少する細長い、円弧状の断面を有している。薬剤アパーチャ127a、127bは、空気流の向きに連続して設けられる。この向きは、吸入器101の外形の軸およびブリスターパック1の幅方向に対して平行である。薬剤アパーチャ127a、127bに対向するマニホールドの壁の突起131は、マニホールド内の空気流を薬剤アパーチャ127a、127b間に制限するために設けられる。こうして、マニホールドを通って吸い込まれた空気は、空気入口125から第1の薬剤アパーチャ127aを通って開いたブリスターポケット3内に向けられ、開いたブリスターポケット3から、取り込まれた薬剤が第2の薬剤アパーチャ127bを通ってマニホールド内に向けられる。
【0084】
マニホールドおよび上側ハウジング部材103を形成する単一のコンポーネントは、また、マニホールドの空気出口129から、取り込まれた薬剤を受けるためのマウスピース133を形成する。マウスピース133は、マニホールドに対し実質上垂直に配置され、それによって、マウスピース133の軸が第2の薬剤アパーチャ127bに整合せしめられる。マウスピース133の先細り状の壁には、マニホールドに連通し、マニホールドを通って吸い込まれた空気に、図10に矢印で示したような別の経路を与えるための空気流逸らせ穴135a、135bが設けられる。空気流逸らせ穴135a、135bは、空気が、マウスピース133内に、その軸に実質上平行な向きに吸い込まれることによって、取り込まれた薬剤が横方向に広がることが防止されるように配置される。
【0085】
薬剤アパーチャ127a、127bはそれぞれ分割手段を備えている。分割手段は、取り込まれた薬剤を砕くことによって薬剤を分散させるように機能する。
【0086】
マウスピース133は、柔軟なプラスチック材料から形成されたマウスピースインサート145を備えている。マウスピースインサート145は、吸入器101の使用時に患者が唇でそのまわりを快適に密封できる表面を備えている。
【0087】
図4、図5および図11を再び参照して、吸入器101は、また、内側ハウジング部材137を備えている。内側ハウジング部材137は、外側ハウジング部材103、105の内部に配置されて、平坦な底面を有するトレイ状の成形プラスチックコンポーネントの形態を有している。そして、内側ハウジング部材137の底面から、横壁が底面に垂直な向き(ブリスターパック1の幅方向に対応する)にのびている。内側ハウジング部材137の底面にはアパーチャが設けられ、薬剤投与機構の各構成要素が正確に機能することを可能にしている。本発明によれば、横壁は、ブリスターパック1の使用済部分を未使用部分から分離する。すなわち、第1の横壁139は、カバーシート7の使用済部分ブリスターパック1の未使用部分から分離し、第2の横壁141は、ベースシート5の使用済部分をブリスターパック1の未使用部分から分離する。
【0088】
内側ハウジング部材137の横壁は、事実上、ブリスターパック1異なる部分を収容する別個のコンポーネントを形成しており、それによって、ベースシート5およびカバーシート7の使用済部分に残された薬剤がブリスターパック1の未使用部分を汚染し、規定用量を超える量の薬剤が投与されることが防止される。
【0089】
内側ハウジング部材137および上側ハウジング部材103は、ブリスターパック1の未使用部分を実質上取り囲むことによって、それを吸入器のハウジング内に含まれた残留薬剤による汚染から保護するための囲い143を形成する。
【0090】
上述の内側ハウジング部分137は、また、薬剤投与機構のガイド面117を形成する。すなわち、内側ハウジング部材137およびガイド面117は、単一のコンポーネントとして形成される。
【0091】
ブリスターパック1は吸入器101内に配置され、未使用部分が、ハウジング部材によって形成された囲い143内において緩く巻かれている。カバーシート7の使用済部分は、カバーシート巻き取りホイール115に巻き取られる。ベースシート5の使用済部分はベースシート巻き取りホイール113に緩く巻かれる。
【0092】
ブリスターパック1における、カバーシート7がベースシート5から離れる部分は、ベースシート5の反対側に突出する凹部が、割り出しホイール111の表面の周方向に間隔をあけて配置された凹部に収容されるように配置される。ベースシート5の凹部は、ブリスターパック1のカバーシート側に作用するガイド面117によって、割り出しホイール111の凹部内に保持される。ベースシート5の使用済部分は、マニホールドの薬剤アパーチャ127a、127bの正面において、ベースシート巻き取りホイール113に向かう方向にのびる。カバーシート7の使用済部分は、ガイド面117の剥ぎ取りエッジ119およびマニホールドの外側面間を、カバーシート巻き取りホイール115に向かう方向に通過する。
【0093】
吸入器101の組み立ての間に、カバーシート7の使用済部分が剥ぎ取りエッジ119およびマニホールドの外側面間の隙間に通され、カバーシート巻き取りホイール115に係合する。ガイド面117およびマニホールドが別個のコンポーネント(すなわち、内側ハウジング部材137および上側ハウジング部材103)によって形成された吸入器101としたことにより、組み立てられた吸入器の剥ぎ取りエッジ119およびマニホールド間の隙間をできるだけ狭くすることができる。特に、カバーシート7の使用済部分が、コンポーネント103、137が組み立てられる前であって、剥ぎ取りエッジおよび万ホールド間の隙間が比較的広い間に、当該隙間に通され、その後、コンポーネント103、137がブリスターパック1とともに吸入器101に組み立てられたとき、当該隙間の幅は、例えばカバーシート7の厚さよりわずかに大きい程度の寸法まで狭くなる。隙間の幅をできるだけ狭くすることによって、吸入器101の使用時に、ブリスターポケット3が剥ぎ取りエッジ119から動いて薬剤アパーチャ127a、127bに整合するときに、薬剤が開いたブリスターポケット3からこぼれることが防止される。こうして、規定用量に不足する量の薬剤が投与されること(そして、それに続く規定用量を超える量の薬剤)が防止される。
【0094】
内側ハウジング部材137および一対の外側ハウジング部材103、105は、内側ハウジング部材137を一対の外側ハウジング部材103、105に対して正確に位置決めするための手段を備えている。位置決め手段は、係合タブ、内側ハウジング部材137および一対の外側ハウジング部材103、105に設けられた係合タブおよび凹部(図示はしない)を備えている。係合タブおよび凹部は、互いに係合することによってコンポーネントの相対位置を固定する。
【0095】
本発明による吸入器101の使用時、患者はカバー107を開いた位置まで動かす。この位置において、マウスピースインサート145が露出する。次いで、患者は引き金109のフィンガータブを押し、そのアーチ形の面に設けられた1組の歯を回転させる。引き金109の歯は(図示しない)割り出しラチェットホイールに設けられた歯に係合し、ラチェットホイールの回転に伴って割り出しホイール111が回転する。そして、割り出しホイール111の回転によって、ベースシート巻き取りホイール113、カバーシート巻き取りホイール115および用量カウンタの表示リング(図示はしない)が回転する。
【0096】
カバーシート巻き取りホイール115の回転によって、カバーシート7の使用済部分に張力が及ぼされ、それによって、ブリスターパックのカバーシート7の一部がベースシート5から剥がされ、1用量のドライパウダー薬剤を有するブリスターポケット3が開かれる。同時に、割り出しホイール111が、ブリスターポケット3間のピッチに等しい距離ずつブリスターパック1を縦方向に割り出すのに十分な角度だけ回転する。それによって、開いたブリスターポケット3が動かされ、マニホールドの薬剤アパーチャ127a、127bに整合せしめられる。
【0097】
用量カウンタの表示リングの回転によって、用量カウントインデックスが1単位増やされ、それによって、患者に薬剤の1用量が投与されたことが知らされる。
【0098】
そして、患者がマウスピース133を通じて吸気することでマニホールドの空気入口125を通じて空気を吸い込むことにより、空気が薬剤アパーチャ127a、127bを通過して薬剤を取り込み、空気出口129を経て患者に供給され、それによって、患者にドライパウダー薬剤の1用量が投与される。
【0099】
吸入器101の使用後、カバー107が閉じた位置まで回転せしめられ、薬剤投与機構がその次の使用の準備のためにリセットされる。
【0100】
本発明の特定の実施例を上で詳細に説明した。これらの実施例に対する種々の構成の変更が、本願の特許請求の範囲に記載した範囲内においてなされ得る。
【符号の説明】
【0101】
1 ブリスターパック
3 ブリスターポケット
5 ベースシート
7 カバーシート
9、11 先端部
13 ループ
21 吸入器
23 上側ハウジング部材
25 下側ハウジング部材
27 カバー
29 引き金
31 ブリスターパック割り出しラチェットホイール
33 割り出しラチェットホイール
35 ベースシート巻き取りホイール
37a、37b カバーシート巻き取りホイール
39 ガイド面
41 成形プラスチックコンポーネント
43 爪
45 空気入口
47 薬剤アパーチャ
49 空気出口
51 マウスピースインサート
53 表示リング
55 表示アパーチャ
101 吸入器
103 上側ハウジング部材
105 下側ハウジング部材
107 カバー
111 ブリスターパック割り出しホイール
113 ベースシート巻き取りホイール
115 カバーシート巻き取りホイール
117 ガイド面
119 剥ぎ取りエッジ
121 表示アパーチャ
123 凸レンズ
125 空気入口
127a、127b 薬剤アパーチャ
129 空気出口
131 突起
133 マウスピース
135a、135b 空気流逸らせ穴
137 内側ハウジング部材
139 第1の横壁
141 第2の横壁
143 囲い
145 マウスピースインサート
147 表示リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリスターパックの開いたブリスターポケットから患者にドライパウダー薬剤を投与するための吸入器であって、前記ブリスターパックは、柔軟な細長いストリップの形態を有していて、長さ方向に間隔をあけて設けられた複数の凹部を有するベースシートと、前記ベースシートに対し剥離可能にシールされ、それぞれが薬剤の同じ用量を有する複数のブリスターポケットを形成するカバーシートとを備えた吸入器において、
前記ブリスターパックの前記ブリスターポケットを開くための薬剤投与機構を備え、前記薬剤投与機構は、前記ブリスターパックの前記ベースシートから前記カバーシートを剥がすための手段を備えており、前記吸入器は、さらに、
前記ブリスターパックの使用済部分および未使用部分を、前記薬剤投与機構と一緒に取り囲むハウジングと、
前記吸入器の使用時に、空気が吸い込まれるマニホールドと、を備え、前記マニホールドは、外気を取り込むための空気入口と、前記ブリスターパックの開いた前記ブリスターポケットに連通し、前記マニホールドを通過する空気によって薬剤を取り込むための少なくとも1つの薬剤アパーチャと、取り込まれた薬剤を患者に供給する空気出口とを有し、
前記薬剤投与機構は、前記カバーシートの使用済部分を巻き上げるための駆動カバーシート巻き取りホイールを有し、前記ハウジングは、前記ブリスターパックの幅方向にのびて、前記カバーシートの使用済部分を前記ブリスターパックの未使用部分から分離するための内側横壁を形成していることを特徴とする吸入器。
【請求項2】
前記薬剤投与機構は、前記ベースシートの使用済部分を巻き上げるための駆動ベースシート巻き取りホイールを有し、前記ハウジングは、前記ブリスターパックの幅方向にのびて、前記ベースシートの使用済部分を前記ブリスターパックの未使用部分から分離するための内側横壁を形成していることを特徴とする請求項1に記載の吸入器。
【請求項3】
前記ハウジングの前記内側横壁は、前記カバーシートの使用済部分および前記ベースシートの使用済部分を収容するための独立したコンパートメントを形成し、前記独立したコンパートメントはこぼれた薬剤を収容することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の吸入器。
【請求項4】
前記ハウジングの前記内側横壁は、前記ブリスターパックの未使用部分を収容するための独立したコンパートメントを形成していることを特徴とする請求項3に記載の吸入器。
【請求項5】
前記ハウジングは、少なくとも1つの外側ハウジング部材の内部に配置された内側ハウジング部材を有し、前記内側横壁は、前記内側ハウジング部材によって形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の吸入器。
【請求項6】
前記マニホールドは前記少なくとも1つの外側ハウジング部材によって形成されていることを特徴とする請求項5に記載の吸入器。
【請求項7】
前記内側横壁は、前記内側ハウジング部材の底面に対し垂直にのび、前記内側ハウジング部材の底面は、前記ブリスターパックの未使用部分の側縁を支持していることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の吸入器。
【請求項8】
前記少なくとも1つの外側ハウジング部材は、前記ブリスターパックの未使用部分の対向する側縁を支持していることを特徴とする請求項7に記載の吸入器。
【請求項9】
前記内側ハウジング部材の表面および前記少なくとも1つの外側ハウジング部材の表面は、前記ブリスターパックの使用済部分を実質上取り囲んでいることを特徴とする請求項8に記載の吸入器。
【請求項10】
前記駆動カバーシート巻き取りホイールは、前記カバーシートの使用済部分に張力を及ぼし、前記薬剤投与機構は、前記ブリスターパックの未使用部分のカバーシートを案内するためのガイド面を有し、前記ガイド面の一端が、前記マニホールドの外側面に隣接して配置されて剥ぎ取りエッジを形成し、それによって、使用時に、前記カバーシートが前記剥ぎ取りエッジにおいて前記ベースシートから剥がされ、前記カバーシートの使用済部分が前記剥ぎ取りエッジと前記マニホールドの外側面との間を通過し、開いたブリスターポケットが動いて前記少なくとも1つの薬剤アパーチャに整合するようになっており、前記マニホールドと前記ガイド面とが前記吸入器の別個のコンポーネントによって形成されていることを特徴とする請求項5〜請求項9のいずれかに記載の吸入器。
【請求項11】
前記剥ぎ取りエッジを含む前記ガイド面が、前記内側ハウジング部材によって形成されていることを特徴とする請求項10に記載の吸入器。
【請求項12】
前記内側ハウジング部材および前記少なくとも1つの外側ハウジング部材が、前記内側ハウジング部材を前記少なくとも1つの外側ハウジング部材に対して位置決めするための手段を有していることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の吸入器。
【請求項13】
前記位置決めするための手段は、前記内側ハウジング部材および前記少なくとも1つの外側ハウジング部材に設けられた係合タブおよび凹部を有し、前記係合タブおよび前記凹部は、互いに係合することによって、前記内側ハウジング部材の前記少なくとも1つの外側ハウジング部材に対する位置を固定することを特徴とする請求項12に記載の吸入器。
【請求項14】
前記少なくとも1つの外側ハウジング部材は、前記吸入器の外形を形成する一対の外側ハウジング部材を有していることを特徴とする請求項5〜請求項13のいずれかに記載の吸入器。
【請求項15】
前記マニホールドおよび前記一対の外側ハウジング部材の一方は、単一の成形プラスチックコンポーネントとして形成され、前記単一の成形プラスチックコンポーネントは、使用時に、前記吸入器の前記空気入口が設けられる外面の少なくとも一部を形成することを特徴とする請求項14に記載の吸入器。
【請求項16】
前記マニホールドは、使用時に、前記空気入口を通じてのみ空気がマニホールドに吸い込まれるように配置されていることを特徴とする請求項15に記載の吸入器。
【請求項17】
前記マニホールドの前記空気入口からのみ、外気が前記吸入器内に吸い込まれることを特徴とする請求項15または請求項16に記載の吸入器。
【請求項18】
前記マニホールドの前記空気入口は、細長い断面形状を有し、前記マニホールドの断面積が空気流の向きに次第に減少していることを特徴とする請求項15〜請求項17のいずれかに記載の吸入器。
【請求項19】
前記マニホールドは、前記マニホールドの空気流の向きに連続して設けられた少なくとも2つの薬剤アパーチャを有し、前記少なくとも2つの薬剤アパーチャのうちの第1の薬剤アパーチャは、空気流を前記マニホールドから開いた前記ブリスターポケットに流すためのものであり、前記少なくとも2つの薬剤アパーチャのうちの第2の薬剤アパーチャは、開いた前記プリスターポケットから、取り込まれた薬剤を前記マニホールド内に流すためのものであることを特徴とする請求項15〜請求項18のいずれかに記載の吸入器。
【請求項20】
前記マニホールドは、空気を前記空気入口から前記第1の薬剤アパーチャを通って開いた前記ブリスターポケット内に向けるとともに、開いた前記ブリスターポケットから、取り込まれた薬剤を前記第2の薬剤アパーチャを通って前記マニホールド内に向けるような幾何学的形状を有していることを特徴とする請求項19に記載の吸入器。
【請求項21】
前記マニホールドは、前記マニホールド内の空気流を前記第1および第2の薬剤アパーチャ間に制限するための手段を有していることを特徴とする請求項20に記載の吸入器。
【請求項22】
前記マニホールド内の空気流を前記第1および第2の薬剤アパーチャ間に制限するための手段は、前記マニホールドの断面積を局所的に減少させることを特徴とする請求項21に記載の吸入器。
【請求項23】
前記単一のコンポーネントは、使用時に、前記マニホールドの前記空気出口から、取り込まれた薬剤を受け入れるためのマウスピースを形成することを特徴とする請求項15〜請求項22のいずれかに記載の吸入器。
【請求項24】
前記マニホールドおよび前記マウスピースは、前記マウスピース内の空気流の向きが前記マニホールド内の空気流の向きに垂直になるように配置されるとともに、前記マウスピース内の空気流が、前記少なくとも1つの薬剤アパーチャに隣接する位置で曲がることによって、取り込まれた薬剤が、実質上直線状の経路に沿って開いた前記ブリスターポケットから患者に供給され得るように配置されることを特徴とする請求項23に記載の吸入器。
【請求項25】
前記マウスピースの断面積が空気流の向きに次第に増大していることを特徴とする請求項23または請求項24に記載の吸入器。
【請求項26】
前記マウスピースの先細り状の壁に複数の空気流逸らせ穴が設けられ、前記空気流逸らせ穴は、前記マニホールドに連通していることによって、使用時に、前記マニホールドからの空気が前記空気流逸らせ穴を通じて吸い込まれることを特徴とする請求項25に記載の吸入器。
【請求項27】
前記空気流逸らせ穴は、使用時に、空気が、前記空気流逸らせ穴を通って前記マウスピースの中心軸に実質上平行な向きに吸い込まれることによって、前記マウスピース内において、取り込まれた薬剤が横方向に広がり過ぎないように配置されていることを特徴とする請求項26に記載の吸入器。
【請求項28】
前記少なくとも1つの薬剤アパーチャは、取り込まれた薬剤を分散させるための少なくとも1つの妨害手段を備えていることを特徴とする請求項15〜請求項27のいずれかに記載の吸入器。
【請求項29】
前記単一のコンポーネントは、成形プラスチック材料から形成されていることを特徴とする請求項15〜請求項28のいずれかに記載の吸入器。
【請求項30】
前記単一のコンポーネントは、ポリエチレン、特に、高密度ポリエチレン(HDPE)およびポリプロピレンを含むポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートを含むポリエステル、ナイロンを含むポリアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂、およびポリイミドからなるグループから選択される1のプラスチック材料、または前記グループから選択される2以上のプラスチック材料の混合物またはコポリマーから形成されていることを特徴とする請求項29に記載の吸入器。
【請求項31】
用量カウンタを備え、前記用量カウンタは、
前記一対の外側ハウジング部材の一方の内部に形成された表示アパーチャと、
用量カウントインデックスを有する表示エレメントと、を備え、前記表示エレメントは、前記ハウジング内に回転可能に取り付けられて、前記表示エレメントが前記吸入器の外形の軸のまわりに回転せしめられるときに、一連の前記用量カウントインデックスが前記表示アパーチャを通じて順次視認可能になっており、前記用量カウンタは、さらに、
前記薬剤投与機構の作動に応答して前記表示エレメントを1単位ずつ回転させるための駆動手段を備えており、前記外側ハウジング部材内に形成された前記表示アパーチャは、前記表示エレメントの前記用量カウントインデックスを拡大表示するための拡大レンズを備えていることを特徴とする請求項14〜請求項30のいずれかに記載の吸入器。
【請求項32】
前記拡大レンズは凸レンズであることを特徴とする請求項31に記載の吸入器。
【請求項33】
前記拡大レンズは透明プラスチック材料から形成されていることを特徴とする請求項31または請求項32に記載の吸入器。
【請求項34】
前記用量カウントインデックスを有するわずか1つの前記回転可能に取り付けられた表示エレメントを有していることを特徴とする請求項31〜請求項33のいずれかに記載の吸入器。
【請求項35】
前記表示エレメントの前記用量カウントインデックスは、前記薬剤投与機構が動作したことをその都度表示する単一のインデックスを有していることを特徴とする請求項31〜請求項34のいずれかに記載の吸入器。
【請求項36】
前記表示エレメントの前記用量カウントインデックスは、少なくとも約10、好ましくは少なくとも約30、より好ましくは少なくとも約50の一意的な用量カウントインデックスを有していることを特徴とする請求項31〜請求項35のいずれかに記載の吸入器。
【請求項37】
前記用量カウントインデックスは、数字、好ましくはアラビア数字であることを特徴とする請求項31〜請求項36のいずれかに記載の吸入器。
【請求項38】
前記用量カウントインデックスは、それぞれ、前記吸入器によって投与された、または前記吸入器に残っている用量数を表示することを特徴とする請求項31〜請求項37のいずれかに記載の吸入器。
【請求項39】
前記薬剤投与機構は、前記薬剤投与機構の動作に応答してブリスターパックを縦方向に割り出しするための手段を有し、前記ブリスターパックは、前記ブリスターポケット間のピッチに等しい距離ずつ割り出しされ、それによって、前記薬剤投与機構が動作する毎に、1つのブリスターが、前記マニホールドの前記少なくとも1つの薬剤アパーチャに整合せしめられることを特徴とする請求項1〜請求項38のいずれかに記載の吸入器。
【請求項40】
前記割り出しするための手段が、前記ブリスターパックの前記ベースシートを収容するための凹部を有する駆動割り出しホイールを備え、前記駆動割り出しホイールは、前記薬剤投与機構の動作に応答して予め決定された角度ずつ回転することを特徴とする請求項39に記載の吸入器。
【請求項41】
前記薬剤投与機構を作動させるための引き金を備えていることを特徴とする請求項39または請求項40に記載の吸入器。
【請求項42】
前記吸入器が使用可能な開いた位置と、前記吸入器が使用不可能な閉じた位置との間で回転し得るカバーを備えていることを特徴とする請求項1〜請求項41のいずれかに記載の吸入器。
【請求項43】
前記ブリスターポケットのそれぞれがドライパウダー薬剤の予め決定された用量を有している前記ブリスターパックを備えていることを特徴とする請求項1〜請求項42のいずれかに記載の吸入器。
【請求項44】
実質上以上に記載しおよび/または添付図面に記載した吸入器または方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−527264(P2012−527264A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511181(P2012−511181)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002994
【国際公開番号】WO2010/133322
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(508008555)ノートン・ヘルスケアー リミテッド (10)