説明

ドライヤー

【課題】 除菌、抗菌及び消臭ができるドライヤーを提供すること。
【解決手段】 一端に吸入口2a及び他端に吹出口2bを有する筒状の本体ケース2の内部3に、送風手段4、5を設けたドライヤーであって、前記本体ケース3内に、銀イオンを含んだミストを発生させるミスト発生装置Swを設けて、吹出口から銀イオンミストを吐出させる。また、ミスト発生装置Swは、内部に水及び銀ペレットを収容し出口に吸水部材7を装着したタンク6と、吸水部材7に接触して吸水部材7から漏出する水をミスト化して噴出させる超音波励振器8とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドライヤーに係り、詳しくは除菌、抗菌及び消臭などができ、しかも手軽に持ち運びができるハンディータイプの小型ドライヤーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
手軽に持ち運びができるハンディータイプの小型ドライヤーとして、例えばヘアドライヤーがある。このヘアドライヤーは、近年、皮膚や毛髪に優しく作用する媒体を送風できるものが開発されて市販されている。例えば、下記特許文献1〜3に開示されているヘアドライヤーは、マイナスイオンを含む温風などを吐出できるものである。
【0003】
以下、図6を参照して、下記特許文献1に開示されたヘアドライヤーを説明する。なお、図6は下記特許文献1に開示されたヘアドライヤーの断面図である。
【0004】
下記特許文献1に開示されたヘアドライヤー20は、筒状のケーシング本体21を有し、このケーシング本体21は、内部に送風ファン22が収容されると共に、この送風ファン22の下流が仕切り板24で仕切られて上下方向にそれぞれ通路23が形成された構成を有している。これらの通路23のうち、上方の通路23aにはヒータ27、下方の通路23bにはオゾン発生装置28がそれぞれ配設されている。
【0005】
このヘアドライヤー20は、電源スイッチSWがオンされると送風ファン22が回転し、この回転により吸気口から空気が吸い込まれて、この吸い込まれた空気が仕切り板24で上下方向の通路23a、23bへそれぞれ分流される。このうち、上方の通路23aを通過する空気は、ヒータ27で加温され、また、下方の通路23bを通過する空気は、オゾン発生装置28からのオゾンが混入されて、これらが吹出口21a部分で合流されて、この吹出口21aからオゾンを含む温風となって吐出されるようになっている。
【0006】
また、下記特許文献2には、同様の筒状のケーシング本体を有し、このハウジング本体は、その内部に空気流路とイオン流路とが別々に設けられたヘアドライヤーが開示されている。更に、下記特許文献3には、イオンミストをナノサイズにして送風できるヘアドライヤーが開示されている。
【特許文献1】特開平8−47415号公報(段落〔0006〕〜〔0013〕、図1)
【特許文献2】特開2002−191426号公報(段落〔0007〕〜〔0011〕、図1)
【特許文献3】特開2005−304961号公報(段落〔0004〕〜〔0006〕、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に開示されたヘアドライヤーは、オゾンを含む温風が送風されるので、このオゾンの作用により毛髪の過度の乾燥を防ぎながら毛髪の損傷を防止できる。また、上記特許文献2、3に開示されたヘアドライヤーは、マイナスイオンを含む温風が送風されるので、毛髪の乾燥やセットだけでなく、マイナスイオンを含む温風によって毛髪のキメ細かなトリートメントをも行うことができる。
【0008】
近年は、生活レベルが向上し、これに伴って個々人の生活様式も多様化して、ユーザからは日常頻繁に使用する身近な機器に対して様々な要求がメーカーに出されている。その要求の根源は、病気にかからずに毎日を健康に過ごすことができ、しかもいつまでも若いときの美肌及び美髪を長く維持したいという願望に基づくものである。そして、メーカーには、このような願望を実現できる製品作りが求められている。
【0009】
上記特許文献1〜3に開示されたヘアドライヤーは、後者の要望に対応した製品の一つとなっており、前者の要望に対しては、各種の除菌剤及び殺菌剤並びに健康器具が開発され既に多く市販されている。
【0010】
一方、日常の生活環境下において、身の回りには、目に見えないたくさんの細菌が存在している。これらの細菌のうち、乳酸菌などは人間に有用なものとなっているが、一方で有害な細菌、例えば大腸菌、サルモネラ菌及び黄色ブドウ球菌などの細菌も多く存在している。これらの有害な細菌は、肉や魚などの食材或いはこれらの食材を料理する道具、さらに、これらの道具などに触れた手或いは被服などに付着して様々なルートを通って感染することがある。このような細菌は、その繁殖が極めて速くしかもその感染ルートも種々雑多となって特定が困難となっているが、感染予防策としては、日常の手洗い或いは調理具などの水洗いが主流となっている。しかしながら、このような水洗いだけで感染予防がし難いのも事実であり、そこで更なる感染予防策としては、各種の除菌剤或いは殺菌剤などが開発されて、これらの除菌剤などを散布するスプレー器具も開発され既に市販されている。
【0011】
また、食器類のうち、例えばスプーン、フォーク、皿などは、銀製のものが古くから使用されている。この銀製食器が古くから好んで使用される理由は、銀が高価で高級品となり一部の富裕層に好んで使用されものである他に、この銀が除菌、抗菌などの作用を有し、この銀の作用により食中毒などが未然に防止することができることも理由となっている。特に銀イオンは、各種のバクテリアなどの細菌に強く吸着して、バクテリアの細胞酵素をブロッキングして死滅させる効能を有するとも言われている。また、この銀イオンは衣類などについたタバコの臭いなどを消す消臭作用をも有している。さらに、この銀イオンは塩素系薬品のような機械の腐食、塩素系薬品特有の皮膚への刺激感や薬品臭の問題及び環境汚染の問題などが無くしかも極めて安全性が高いことなどから、近年は、食器の他に製菓材料、清涼剤或いは浄水器などにも広範囲に使用されている。
【0012】
そこで、本発明者は、このような銀イオンが有する作用・効能に着目して、殆ど毎日身だしなみなどを整えるのに使用するヘアドライヤーに、本来の温風の他に銀イオンを吐出できるようにすれば、髪の毛の乾燥及びトリートメントする際に、生活環境下で多く存在する細菌を除菌・抗菌し、また衣服などに付いた煙草などの臭いなどの消臭が極めて簡単・手軽に行うことがきることから、試行錯誤をした結果、簡単に銀イオンを含むミストを吐出させることが出来る装置を想到し、ヘアドライヤーとしてだけでなくハンディータイプの小型ドライヤーとしても使用できるドライヤーを完成させるに至ったものである。
【0013】
そこで、本発明はこのような背景に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、除菌、抗菌及び消臭ができるドライヤーを提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、除菌、抗菌及び消臭と共に髪の手入れができるドライヤーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のドライヤーの発明は、一端に吸入口及び他端に吹出口を有する筒状の本体ケースの内部に、送風手段を設けたドライヤーにおいて、前記本体ケース内に、銀イオンを含んだミストを発生させるミスト発生装置を設けて、前記吹出口から銀イオンミストを吐出させることを特徴とする。
【0016】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のドライヤーにおいて、前記ミスト発生装置は、内部に水及び銀ペレットを収容し出口に吸水部材を装着したタンクと、前記吸水部材に接触して該吸水部材から漏出する水をミスト化して噴出させる超音波励振器とを有していること特徴とする。
【0017】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載のドライヤーにおいて、前記タンクは、前記本体ケースに着脱自在な固着手段により交換自在に装着されていることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載のドライヤーの発明は、一端に吸入口及び他端に吹出口を有する筒状の本体ケースの内部に、通風路を設けたドライヤーにおいて、前記本体ケースは、前記通風路を仕切り部により、第1吸入口及び第1吹出口を有する第1通風路と、第2吸入口及び第2吹出口を有する第2通風路とに仕切り、前記第1通風路には温風を発生させる温風発生装置、前記第2通風路には銀イオンを含むミストを発生させるミスト発生装置をそれぞれ配設して、これらの温風発生装置及びミスト発生装置を制御装置により制御して、前記第1吹出口から温風又は前記第2吹出口から銀イオンミストを吐出させることを特徴とする。
【0019】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載のドライヤーにおいて、前記温風発生装置は、前記第1吸入口から空気を吸引して前記第1吹出口から吐出させる第1送風手段と、前記第1送風手段から送風された空気を所定温度に加温する加熱手段と、マイナスイオンを発生するイオン発生器とを有し、前記ミスト発生装置は、内部に水及び銀ペレットを収容し出口に吸水部材を装着したタンクと、前記吸水部材に接触して該吸水部材から漏出する水をミスト化して噴出させる超音波励振器とを有していること特徴とする。
【0020】
また、請求項6の発明は、請求項4に記載のドライヤーにおいて、前記第2吹出口の開口面積を前記第1吹出口の開口面積より大きくしたことを特徴とする。
【0021】
また、請求項7の発明は、請求項5に記載のドライヤーにおいて、前記タンクは、前記本体ケースに着脱自在な固着手段により交換自在に装着されていることを特徴とする。
【0022】
請求項8に記載のドライヤーの発明は、一端に吸入口及び他端に吹出口を有する筒状体からなる本体ケースの内部に、通風路を設けたドライヤーにおいて、前記本体ケースは、前記通風路を仕切り部により、第1吹出口を有する第1通風路と、第2吹出口を有する第2通風路とに仕切るとともに、前記仕切り部の一部にシャッタを設け、前記第1通風路には温風を発生させる温風発生装置、前記第2通風路には銀イオンミストを発生させるミスト発生装置をそれぞれ配設して、これらの温風発生装置及びミスト発生装置並びにシャッタを制御装置により制御して、前記第1吹出口から温風又は前記第2吹出口から銀イオンを含むミストを吐出させることを特徴とする。
【0023】
また、請求項9の発明は、請求項8に記載のドライヤーにおいて、前記温風発生装置は、前記吸入口から空気を吸引して前記第1吹出口から吐出させる第1送風手段と、前記第1送風手段から送風された空気を所定温度に加温する加熱手段と、マイナスイオンを発生するイオン発生器とを有し、前記ミスト発生装置は、内部に水及び銀ペレットを収容し出口に吸水部材を装着したタンクと、前記吸水部材に接触して該吸水部材から漏出する水をミスト化して噴出させる超音波励振器とを有していること特徴とする。
【0024】
請求項10の発明は、請求項9に記載のドライヤーにおいて、前記タンクは、前記本体ケースに着脱自在な固着手段により交換自在に装着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明は上記構成を備えることにより、以下の優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、吹出口から銀イオンを含んだミストが吐出されるので、この銀イオンミストを皮膚、毛髪或いは衣服などの対象物に当てることにより、銀イオンが有する作用によって毛髪、皮膚或いは衣服などを効率よく除菌、抗菌或いは消臭することができる。また、除菌、抗菌及び消臭と共に髪の手入れができるヘアドライヤーとしても使用できる。なお、ここでの除菌は対象物から菌を除いて減らすことであり、また抗菌は細菌の増殖を阻止することであり、さらに消臭はタバコの臭いなどを消すことである。
【0026】
請求項2の発明によれば、ミスト発生装置は、内部に水及び銀ペレットを収容し出口に吸水部材を装着したタンクと、この吸水部材に接触して該吸水部材から漏出する水をミスト化して噴出させる超音波励振器とで簡単に構成できる。
【0027】
請求項3の発明によれば、タンクを本体ケースに着脱自在な固着手段により交換自在に装着することにより、タンク内の水が無くなったときに簡単に交換ができる。
【0028】
請求項4〜7の発明によれば、本体ケース内の通風路を第1、第2通風路に仕切ることにより、吹出口から温風又は銀イオンミスト並びに銀イオンミストを含む温風を選択して吐出させることができる。銀イオンミストを皮膚、毛髪或いは衣服などの対象物に当てることにより、銀イオンが有する作用によって毛髪、皮膚或いは衣服などを効率よく除菌、抗菌或いは消臭することができる。また、除菌、抗菌及び消臭と共に髪の手入れができるヘアドライヤーとしても使用できる。特に、請求項6の発明のように、第2吹出口の開口面積を第1吹出口の開口面積より大きくすれば、第2通風路からのみ銀イオンミストを含む温風を送風させる場合は、第2吹出口の開口面積を大きくすると第2吹出口から大量に送風させることができ、また、第1、第2通風路からの送風を併用する場合は、銀イオンを含むミストとの混合比率を多くすることが可能になる。さらに、請求項7の発明のように、タンクを本体ケースに着脱自在な固着手段により交換自在に装着することにより、水がなくなったときの交換が簡単になる。
【0029】
請求項8〜10の発明によれば、第1、第2通風路の仕切り部にシャッタを設けることにより、吹出口から温風又は銀イオンミスト及び銀イオンミストを含む温風を選択して吐出させることができる。特に、シャッタ操作により第1通風路の第1送風手段で第2通風路へ送風できるので、第2通風路の送風手段が不要となり構成が簡単になる。また、銀イオンミストを含む温風を吐出させることにより、上記の作用効果を奏することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのドライヤーとしてヘアドライヤーを例示するものであって、本発明をこのドライヤーに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0031】
図1を参照して、本発明の実施例1に係るヘアドライヤー1の構成を説明する。なお、図1は本発明の実施例1に係るヘアドライヤーの概略断面図、図2は図1のヘアドライヤー内部のミスト発生装置を構成する超音波励振器を示し、図2(a)は超音波励振器の圧電振動子の側面図、図2(b)は図2(a)のX部分を拡大した平面図である。
【0032】
ヘアドライヤー1は、一端に吸入口2aを他端に吹出口2bをそれぞれ設け、内部に空洞3を有する筒状体からなる本体ケース2を有し、この本体ケース2は電気絶縁性の合成樹脂成型体で形成されている。なお、この本体ケース2は、吸入口2a側の一端に手で握って本体ケース2を支持・操作する把持部(図示省略)が一体或いは折り畳み自在に固定されている。この把持部は、片手で握れる程度の筒状体からなり、本体ケースと同じ電気絶縁性の合成樹脂成型体で形成されている。加えて、この把持部には、その内部に各種制御装置が収容され、外壁面には操作スイッチなどが装着されている。また、本体ケース2の先端には、送風方向をコントロールするキャップ11が着脱自在に装着されている。
【0033】
空洞3内には、吸入口2aから空気を吸引して吹出口2bから吐出させるファン4と、このファン4を駆動するモータ5と、銀イオンミストを生成して噴出させるミスト発生装置Swとが配設されている。これらの部品及び装置は、不図示の支持手段を用いて本体ケース2に固定されている。また、ファン4とモータ5とで送風手段を構成している。
【0034】
このミスト発生装置Swは、内部に水及び銀ペレットが収容され出口に吸水部材(フィルタ)7が装着されたタンク6と、この吸水部材7に接触して該吸水部材7から漏出する水をミスト化して噴出させる超音励振器8とで構成されている。
【0035】
タンク6には、その内部に所定量(例えば5cc)の水と銀ペレットとが収容されている。銀ペレットは、例えば銀材を不織布で覆ったもので形成されている。銀ペレットの銀材は、除菌、抗菌及び無臭効果を奏する性質を有している。したがって、水を貯留したタンク6内に銀ペレットを入れると、タンク6内の水が腐敗したり或いは悪臭を発生したりすることがなくなる。また、このタンク6から流出される水は、銀ペレットから発生する銀イオンが含有された銀イオン水となる。タンク6は、一端に水の流出口が形成されている。この流出口には、多孔質の吸水部材7が装着されている。タンク6の流出口に吸水部材7を装着すると、タンク6内の銀イオン水がこの吸水部材7を伝わって外部へ漏出される。この漏出を容易にするために、タンク6の一部に負圧弁が設けられている。また、タンク6は本体ケース2に着脱自在に装着されている。このように着脱自在とすると、このタンク6は水がなくなったときに簡単に交換できる。
【0036】
超音波励振器8は、図2(a)に示すように、内部に貫通穴101が形成されたドーナツ状の圧電素子10と、この圧電素子10の表裏面に装着される一対の電極9A、9Bとを有し、一方の電極9Aは圧電素子10の貫通穴101に対応する箇所が開口し、他方の電極9Bはこの貫通穴を覆う形状を有し、両電極9A、9B間に圧電素子10が挟持固定された構成となっている。電極9Bは、図2(b)に示すように、圧電素子10の貫通穴101と対応する箇所に複数個の微小穴9B1が形成されている。圧電素子10の外径直径D1は例えば10mm、貫通穴101の内径D2は例えば5.0mmであり、電極9Bの肉厚d1は、例えば0.3〜0.17mm、微小穴の直径d2は7〜9μmに設定されている。この超音波励振器8は、空洞3内に微小穴9B1が形成された箇所がタンク6の出口に装着された吸水部材7に当接するように設置される。なお、一対の電極9A、9Bは、不図示の電源に接続されている。
【0037】
この構成の超音波励振器8は、不図示の電源から電極9A、9B間に所定の高周波電圧が印加されると、圧電素子10が励振し電極9Bが振動して超音波が発生する。この超音波振動により、電極9Bの微小穴9B1を設けた箇所が銀イオン水を漏出している吸水部材7に接触及び離反を繰り返す。この電極9Bの接触及び離反の繰り返しにより、微小穴9B1から所定粒径のミストが生成されて噴出される。電極9Bの微小穴9B1は、所定の間隔をあけて略均等に設けてあるので、これらの微小穴9B1から粒径が略均一な微小ミストが生成されて噴出される。
【0038】
次に、この構成のヘアドライヤー1の使用方法を説明する。なお、このヘアドライヤー1は、把持部に装着した不図示の制御装置及びスイッチの制御により使用が行われる。
【0039】
詳しくは、不図示の電源スイッチをオンすると共に、不図示の銀イオンミストを送風するスイッチをオンする。先ず、モータスイッチのオンにより、モータ5が駆動されてファン4が回転し、吸入口2aから空洞3へ空気が送風される。また、銀ミスト送風スイッチのオンにより、超音励振器8が振動して、銀イオンミストが生成されて噴出される。
【0040】
この構成のヘアドライヤーによると、吹出口から銀イオンを含んだミストが吐出されるので、この銀イオンミストを皮膚、毛髪或いは衣服などの対象物に当てることにより、銀ミストが有する作用により、毛髪、皮膚或いは衣服などを効率よく除菌、抗菌或いは消臭することができる。なお、ここでの除菌は、対象物から菌を除いて減らすことであり、また抗菌は、細菌の増殖を阻止することである。このヘアドライヤーは、除菌、抗菌及び消臭ができる手軽に持ち運びが簡単にできるハンディータイプのドライヤーとしても利用することができる。
【実施例2】
【0041】
次に、図3を参照して、本発明の実施例2に係るヘアドライヤー1Aの構成を説明する。なお、図3は本発明の実施例2に係るヘアドライヤーの概略断面図である。
【0042】
ヘアドライヤー1Aは、一端に吸入口を他端に吹出口をそれぞれ設け、内部に空洞3を有する筒状体からなる本体ケース2を有し、この本体ケース2は、その内部が仕切り板Sで2つの第1、第2空洞3A、3Bに仕切られて、これらの第1、第2空洞3A、3Bに吸入口から吸引された空気を吹出口から吐出させる第1、第2通風路V1、V2が形成された構成を有している。この本体ケース2は、電気絶縁性の合成樹脂成型体で形成されている。なお、この本体ケース2は、実施例1のヘアドライヤー1と同様に、一端に把持部(図示省略)を有し、この把持部には各種制御装置が収容され、外壁面には操作スイッチなどが装着されている。また、本体ケース2の先端には、送風方向をコントロールできるキャップ11が着脱自在に装着されている。
【0043】
第1空洞3Aは、一端に第1吸入口2A1及び他端に第1吹出口2A2が設けられている。そしてその内部には、第1吸入口2A1から空気を吸引して第1吹出口2A2から吐出させる第1ファン4Aと、この第1ファン4Aを駆動する第1モータ5Aと、送風された空気を加温するヒータHと、マイナスイオンを発生させるイオン発生器12とが配設されている。これらの部品は、不図示の支持手段を用いて本体ケース2及び仕切り板Sなどに固定されている。第1ファン4Aと第1モータ5Aとで第1送風手段を構成している。
【0044】
イオン発生器12は、不図示の電源と、この電源に一端が接続された第1スイッチと、この第1スイッチの他端に接続された高電圧発生部と、この高電圧発生部に接続された一対のイオン端子と、を有している。このイオン発生器12は、第1スイッチをオンすると、高電圧発生部から高電圧が一対のイオン端子間に印加されて、これらのイオン端子間でコロナ放電が発生するようになっている。なお、ヘアドライヤーの作動時、このコロナ放電発生部分には加温された空気が吹き付けられて、第1吹出口2A2からマイナスイオンを含んだ温風が吐出される。
【0045】
第2空洞3Bは、一端に第2吸入口2B1及び他端に第2吹出口2B2が設けられている。その内部には、第2吸入口2B1から空気を吸引して第2吹出口2B2から吐出させる第2ファン4Bと、この第2ファン4Bを駆動する第2モータ5Bと、銀イオンミストを生成し発生させるミスト発生装置Swと、が配設されている。
【0046】
ミスト発生装置Swは、内部に水及び銀ペレットが収容され出口に吸水部材7が装着されたタンク6と、この吸水部材7に接触して該吸水部材7から漏出する水をミスト化して噴出させる超音励振器8とを有し、実施例1のミスト発生装置と同じ構成となっている。これらの部品は、不図示の着脱自在な固着手段を用いて本体ケース2及び仕切り板Sに固定されている。また、第2ファン4Bと第2モータ5Bとで第2送風手段を構成している。
【0047】
次に、この構成のヘアドライヤー1Aの使用方法を説明する。なお、このヘアドライヤー1Aは、把持部に装着した不図示の制御装置及びスイッチにより制御して、以下の(イ)〜(ハ)に示す3つの状態のいずれかが選択されて使用される。
(イ)マイナスイオンを含む温風の送風
マイナスイオンを含む温風の送風する場合には、不図示の電源スイッチをオンすると共に、不図示のマイナスイオン送風スイッチをオンする。このスイッチのオンにより、第1モータ5A、第1ファン4A、ヒータH及び第1スイッチがオンされて、第1吸入口2A1から第1空洞3A内の第1通風路V1を介して第1吹出口2A2へマイナスイオンを含む温風が吐出される。すなわち、第1空洞3A内では、第1モータ5Aにより第1ファン4Aを回転させると、この第1ファン4Aの回転により第1吸入口2A1から空気を吸い込み、この空気をヒータHで加温し、加温された空気にイオン発生器12からのマイナスイオンが混入されて第1吹出口2A2から吐出される。この吐出されたマイナスイオンを含む温風を毛髪に当てて乾燥或いはトリートメントが行われる。
(ロ)銀イオンミストの送風
銀イオンミストの送風を行う場合には、不図示の電源スイッチをオンすると共に、不図示の銀ミスト送風スイッチをオンする。先ず、電源スイッチのオンにより、第2モータ5Bが駆動されて第2ファン4Bが回転し、第2吸入口2B1から第2空洞3Bへ空気が送風される。また、銀ミスト送風スイッチのオンにより、超音励振器8が振動して、銀イオンミストが生成されて噴出される。すなわち、第2吸入口2B1から第2空洞3B内の第2通風路V2を介して第2吹出口2B2へ銀イオンミストが送風される。
【0048】
この構成のヘアドライヤーによると、吹出口から銀イオンを含んだミストが吐出されるので、この銀イオンミストを皮膚、毛髪或いは衣服などに当てることにより、銀ミストが有する作用によって毛髪、皮膚或いは衣服などを効率よく除菌、抗菌或いは消臭することができる。
(ハ)上記(イ)、(ロ)の同時送風
この場合の使用は、上記(イ)、(ロ)を同時にしたものとなる。すなわち、第1モータ5A、第1ファン4A、ヒータH及び第1スイッチと、第2モータ5B、第2ファン4B及び銀ミスト送風スイッチのオン動作が同時になされることにより、銀イオンミストと温風とが混在した状態で吐出されることになる。
【実施例3】
【0049】
次に、図4を参照して、本発明の実施例3に係るヘアドライヤーの構成を説明する。なお、図4は、本発明の実施例3に係るヘアドライヤーの概略断面図である。
【0050】
このヘアドライヤー1Bは、上記実施例2のヘヤドライヤー1Aに比して吹出口の形状が異なる以外は同じ構成を備えているので、共通する構成要素には同じ符号を付して重複説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0051】
ヘアドライヤー1Bは、上記実施例2のヘヤドライヤー1Aの吹出口の形状を変更して、第2吹出口2B2の開口面積を第1吹出口2A2の開口面積より大きくしたものである。この構成により、第2通風路V2からのみ弱酸性ミストを含む温風を送風させる場合は、第2吹出口2B2の開口面積を大きくすると、第2吹出口2B2から大量に送風させることができ、また、第1、第2通風路V1、V2からの送風を併用する場合は、弱酸性を含むミストとの混合比率を多くすることが可能になる。
【実施例4】
【0052】
次に、図5を参照して、本発明の実施例4に係るヘアドライヤー1Cの構成を説明する。なお、図5は本発明の実施例4に係るヘアドライヤーを示し、図5(a)はシャッタを閉じた状態の概略断面図、図5(b)はシャッタを開いた状態の概略断面図である。
【0053】
このヘアドライヤー1Cは、上記実施例2のヘヤドライヤー1Aに比して主にシャッタ13を設けた構成及びそれに付随する構成が異なる以外は同じ構成を備えているので、共通する構成要素には同じ符号を付して重複説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0054】
本実施例4のヘアドライヤー1Cは、本体ケース2内の通風路が仕切り板Sで仕切られることで第1、第2通風路V1、V2が形成されており、さらに、仕切り板Sの端部に第1、第2通風路V1、V2への送風を切り換えるシャッタ13が設けられた構成となっている。このシャッタ13は、不図示の制御装置により開閉される。
【0055】
第1通風路V1には、吸入口2aから空気を吸引して第1吹出口2A2から吐出させる第1ファン4A及び第1モータ5Aからなる第1送風手段と、この第1送風手段から送風された空気を所定温度に加温するヒータHと、マイナスイオンを発生するイオン発生器12とを有する温風発生手段が配設されている。第2通風路V2には、銀イオンミストを生成し発生させるミスト発生装置Swと、が配設されている。
【0056】
これらの温風発生装置及びミスト発生装置並びにシャッタ13は制御装置により開閉制御され、第1吹出口2A2からマイナスイオンを含む温風又は第2吹出口2B2から銀イオンを含むミストが吐出される。
【0057】
この構成によれば、第1、第2通風路V1、V2の仕切り部分にシャッタ13を設けることにより、第1、第2吹出口2A2、2B2からマイナスイオンを含む温風又は銀イオンを含むミストを選択して吐出させることができる。特に、シャッタ11の操作により第1通風路V1に設けられた第1送風手段で第2通風路V2へ送風できるので、第2通風路V2の送風手段が不要となり、構成が簡単になる。また、銀イオンミストを吐出させることもできるので、上記各実施例と同様の効果を奏することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は本発明の実施例1に係るヘアドライヤーの概略断面図である。
【図2】図2は図1内のミスト発生装置を構成する超音波励振器を示し、図2(a)は超音波励振器の圧電振動子及び振動板の側面図、図2(b)は図2(a)の振動板の平面図である。
【図3】図3は本発明の実施例2に係るヘアドライヤーの概略断面図である。
【図4】図4は本発明の実施例3に係るヘアドライヤーの概略断面図である。
【図5】図5は本発明の実施例4に係るヘアドライヤーを示し、図5(a)はシャッタを閉じた状態の概略断面図、図5(b)はシャッタを開いた状態の概略断面図である。
【図6】図6は従来技術のヘアドライヤーの概略断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1、1A〜1C ヘアドライヤー
2 本体ケース
3 空洞
3A、3B 第1、第2空洞
2a 吸入口
2b 吹出口
2A1 第1吸入口
2A2 第1吹出口
2B1 第2吸入口
2B2 第2吹出口
4 ファン
4A 第1ファン
4B 第2ファン
5 モータ
5A 第1モータ
5B 第2モータ
6 タンク
7 吸水部材
8 超音波励振器
10 圧電素子
11 キャップ
12 イオン発生器
13 シャッタ
H ヒータ
S 仕切り板
Sw ミスト発生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に吸入口及び他端に吹出口を有する筒状の本体ケースの内部に、送風手段を設けたドライヤーにおいて、
前記本体ケース内に、銀イオンを含んだミストを発生させるミスト発生装置を設けて、前記吹出口から銀イオンミストを吐出させることを特徴とするドライヤー。
【請求項2】
前記ミスト発生装置は、内部に水及び銀ペレットを収容し出口に吸水部材を装着したタンクと、前記吸水部材に接触して該吸水部材から漏出する水をミスト化して噴出させる超音波励振器とを有していること特徴とする請求項1に記載のドライヤー。
【請求項3】
前記タンクは、前記本体ケースに着脱自在な固着手段により交換自在に装着されていることを特徴とする請求項2に記載のドライヤー。
【請求項4】
一端に吸入口及び他端に吹出口を有する筒状の本体ケースの内部に、通風路を設けたドライヤーにおいて、
前記本体ケースは、前記通風路を仕切り部により、第1吸入口及び第1吹出口を有する第1通風路と、第2吸入口及び第2吹出口を有する第2通風路とに仕切り、前記第1通風路には温風を発生させる温風発生装置、前記第2通風路には銀イオンを含むミストを発生させるミスト発生装置をそれぞれ配設して、これらの温風発生装置及びミスト発生装置を制御装置により制御して、前記第1吹出口から温風又は前記第2吹出口から銀イオンミストを吐出させることを特徴とするドライヤー。
【請求項5】
前記温風発生装置は、前記第1吸入口から空気を吸引して前記第1吹出口から吐出させる第1送風手段と、前記第1送風手段から送風された空気を所定温度に加温する加熱手段と、マイナスイオンを発生するイオン発生器とを有し、前記ミスト発生装置は、内部に水及び銀ペレットを収容し出口に吸水部材を装着したタンクと、前記吸水部材に接触して該吸水部材から漏出する水をミスト化して噴出させる超音波励振器とを有していること特徴とする請求項4に記載のドライヤー。
【請求項6】
前記第2吹出口の開口面積を前記第1吹出口の開口面積より大きくしたことを特徴とする請求項4に記載のドライヤー。
【請求項7】
前記タンクは、前記本体ケースに着脱自在な固着手段により交換自在に装着されていることを特徴とする請求項5に記載のドライヤー。
【請求項8】
一端に吸入口及び他端に吹出口を有する筒状の本体ケースの内部に、通風路を設けたドライヤーにおいて、
前記本体ケースは、前記通風路を仕切り部により、第1吹出口を有する第1通風路と、第2吹出口を有する第2通風路とに仕切るとともに、前記仕切り部の一部にシャッタを設け、前記第1通風路には温風を発生させる温風発生装置、前記第2通風路には銀イオンミストを発生させるミスト発生装置をそれぞれ配設して、これらの温風発生装置及びミスト発生装置並びにシャッタを制御装置により制御して、前記第1吹出口から温風又は前記第2吹出口から銀イオンを含むミストを吐出させることを特徴とするドライヤー。
【請求項9】
前記温風発生装置は、前記吸入口から空気を吸引して前記第1吹出口から吐出させる第1送風手段と、前記第1送風手段から送風された空気を所定温度に加温する加熱手段と、マイナスイオンを発生するイオン発生器とを有し、前記ミスト発生装置は、内部に水及び銀ペレットを収容し出口に吸水部材を装着したタンクと、前記吸水部材に接触して該吸水部材から漏出する水をミスト化して噴出させる超音波励振器とを有していること特徴とする請求項8に記載のドライヤー。
【請求項10】
前記タンクは、前記本体ケースに着脱自在な固着手段により交換自在に装着されていることを特徴とする請求項9に記載のドライヤー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−136305(P2009−136305A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312159(P2007−312159)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】