説明

ドラム式洗濯機

【課題】ドラムの前部に位置した洗濯物を後側に変位させる効果に優れ、ドラム及び水槽の振動を充分に小さくすることのできるドラム式洗濯機を提供する。
【解決手段】ドラム11の内周部に設けるバッフル13の前側13aを、後側13bよりドラム11の回転中心Oに対する角度を大きくして設けた(θa>θb)。これにより、ドラム11の前部に位置した洗濯物Wを後側により確実に変位させることができる。かくして、モータに後部を連結されて該後部でいわば片持ちされたドラム11の反モータ側のアンバランス負荷を充分に小さくできて、ドラム11及びそれを収容して前面の開口部をベローズで外箱の洗濯物出入口に軟的に連結された水槽の振動を充分に小さくできるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッフルを改良したドラム式洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドラム式洗濯機においては、前面に洗濯物出入口を有する外箱の内部に、水槽が軸方向を前後とする状態に弾性支持して配設され、この水槽の前面の開口部と外箱の前記洗濯物出入口とがベローズで連結されている。又、水槽の後部にはモータが取付けられており、水槽の内部にドラムが軸方向を前後とする状態に配設され、その後部が上記モータに連結されて、該モータによりドラムが駆動されるようになっている。そして、ドラムの内周部には、洗濯物掻き上げ用の複数個のバッフルがそれぞれ軸方向に延ばして設けられており、かかる構成で、洗濯物の洗濯と脱水とが行われるようになっている。
【0003】
詳細には、洗濯物の洗濯(洗い、すすぎ)は、水槽からドラムの内部に所定量の水を供給し、その後に、ドラムをモータにより低速で正逆両方向に交互に回転させることで行われ、脱水は、ドラム及び水槽の内部から排水をし、その後に、ドラムを一方向(正方向)に高速回転させることで行われるようになっている。
【0004】
このように洗濯物の洗濯と脱水とが行われるとき、ドラムに収容された洗濯物は、洗濯時には、ドラムの回転方向のみに移動してバッフルにより下から上へ、そして上から下へと変位されるものであり、脱水時には、ドラムの回転が高速になるまで洗濯時と同様に変位され、高速になってからはドラムの内周面に張り付く。
【0005】
しかして、脱水時、ドラムの内部における洗濯物の分布に片寄り(アンバランス)があると、ドラムが振動し、それと共に水槽が振動する。特に、ドラムの前部にバスタオルやGパン等の重い洗濯物がドラムの周方向の一部に片寄って位置すると、前記モータに後部を連結されて該後部でいわば片持ちされたドラムの反モータ側のアンバランス負荷が大きくなってモーメントが大きくなることと、水槽が前面の開口部をベローズで外箱の洗濯物出入口に軟的に連結されていることとで、ドラム及び水槽の振動が大きくなり、最悪の場合には水槽が外箱に衝突するほどになる。又、この場合、一般にはドラム及び水槽の振動を検知し、その大きな振動が検知されると、運転が一時中断されて、給水し、更にドラムを低速回転させてアンバランスを修正する修正行程が実行されるようになっているから、それによる運転時間の延長や、更には、それでもなお発生するドラム及び水槽の振動により運転が中止されてエラー報知されるというようなこともあった。
【0006】
これに対して、前記バッフルをドラムの回転中心に対して傾斜状に設けたものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公平8−1748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の、バッフルをドラムの回転中心に対して傾斜状に設けたものでは、脱水時、ドラムをバッフルの前側の傾斜方向に回転させることにより、ドラムの前部に位置した洗濯物を後側に変位させることが可能である。
しかしながら、上述のもののバッフルは直線状に傾斜させたものであり、ドラムの前部に位置した洗濯物を後側に変位させる効果に乏しく、従って、ドラム及び水槽の振動を充分に小さくすることができないものであった。
【0009】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、ドラムの前部に位置した洗濯物を後側に変位させる効果に優れ、ドラム及び水槽の振動を充分に小さくすることのできるドラム式洗濯機を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のドラム式洗濯機においては、前面に洗濯物出入口を有する外箱と、この外箱の内部に軸方向が前後となる状態に弾性支持して配設され、前面が開口した水槽と、この水槽の前面の開口部と前記外箱の洗濯物出入口とを連結したベローズと、前記水槽の後部に取付けた駆動装置と、前記水槽の内部に軸方向が前後となる状態に配設され、後部を前記駆動装置に連結して該駆動装置により駆動されるドラムと、
このドラムの内周部に軸方向に延ばして設けられたバッフルとを具備し、洗濯物の洗濯と脱水とを行うものにおいて、前記バッフルの前側を、後側より前記ドラムの回転中心に対する角度を大きくして設けたことを特徴とする(請求項1の発明)。
【発明の効果】
【0011】
上記手段によれば、バッフルの前側を、後側よりドラムの回転中心に対する角度を大きくして設けたことで、ドラムの前部に位置した洗濯物を後側に変位させる効果に優れるようにできる。よって、それにより、ドラム及び水槽の振動を充分に小さくすることができる。
【0012】
又、この場合、バッフルの後側は前側よりドラムの回転中心に対する角度が小さくなるので、ドラムの前部に位置した洗濯物が後側に変位されるに伴って生じる洗濯物の捩れによる絡みを後側では少なくでき、その絡みによるアンバランス負荷の発生を少なくして、ドラム及び水槽の振動を更に小さくすることができる。
【0013】
加えて、ほぐし行程や、洗濯行程、及びすすぎ行程では、ドラムが低速で正逆両方向に交互に回転されることにより、その各正方向の回転でバッフルにより後側に変位された洗濯物が、各逆方向の回転でバッフルにより前側に変位され、要するに前後に変位されて混ざり合うようになるので、ほぐし行程では、ほぐし効果に優れ、アンバランスの低減に効果を奏する。又、洗濯行程及びすすぎ行程では、洗浄性能の向上に効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施例を示す主要部分の展開平面図
【図2】ドラム式洗濯機全体の破断斜視図
【図3】ドラム式洗濯機全体の縦断側面図
【図4】運転の制御内容を示すフローチャート
【図5】主要部分の作用を表した正面図
【図6】本発明の第2実施例を示す図1相当図
【図7】本発明の第3実施例を示す図1相当図
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う断面図
【図9】図7のIX−IX線に沿う断面図
【図10】本発明の第4実施例を示す図1相当図
【図11】図10のXI−XI線に沿う断面図
【図12】図10のXII−XII線に沿う断面図
【図13】本発明の第5実施例を示す図4相当図
【図14】ほぐし行程におけるドラムの回転時間の長さを表したタイムチャート
【図15】本発明の第6実施例を示す図4相当図
【図16】洗い行程及びすすぎ行程におけるドラムの回転時間の長さを表したタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第1実施例(第1の実施形態)につき、図1ないし図5を参照して説明する。
まず、図2及び図3には、ドラム式洗濯機の全体構造を示しており、外箱1を外殻としている。この外箱1は、詳細には、合成樹脂製の基台1aと、これに被着結合した箱本体1bとから成るもので、そのうちの箱本体1bの前面部(図3で左側)のほゞ中央部に、洗濯物出入口2を形成し、該出入口2を開閉する扉3を設けている。又、箱本体1bの前面部の上部には、操作パネル4を設けており、その裏側(外箱1内)に制御装置5を設けている。
【0016】
外箱1の内部には水槽6を配設している。この水槽6は、軸方向が前後(図3で左右)となり、加えて前上がり傾斜となる状態に、左右一対(一方のみ図示)のサスペンション7によって弾性支持している。
水槽6の後部には、モータ8を取付けている。このモータ8は、この場合、例えば直流のブラシレスモータから成るもので、アウターロータ形であり、ステータ8aを水槽6の背部に取付け、ロータ8bの中心部に結合した回転軸8cを、軸受ブラケット9に内装した軸受10を介して水槽6の内部に挿通している。
【0017】
水槽6の内部にはドラム11を配設している。このドラム11は、後部の中心部を上記モータ8の回転軸8cの先端部に連結することにより、水槽6と同軸状にて、軸方向が前後となり、加えて前上がり傾斜となる状態に支持している。又、その結果、ドラム11はモータ8により直に回転されるようになっており、従って、モータ8は、ドラム11を回転させる駆動装置として機能するようになっている。
ドラム11の周側部(胴部)には、小孔12を全域にわたって多数(図3には一部のみ図示)形成すると共に、洗濯物掻き上げ用のバッフル13を複数(例えば3個)設けている。このバッフル13は後に詳述する。
【0018】
ドラム11及び水槽6は、ともに前面が開口しており、そのうちのドラム11の開口部14の周囲部内側には、例えば液体封入形の回転バランサ16を設け、水槽6の開口部15を、環状の弾性材例えばゴムから成るベローズ17により前記洗濯物出入口2に連結している。この結果、洗濯物出入口2は、ベローズ17、水槽6の開口部15、及びドラム11の開口部14を介して、ドラム11の内部に連なっている。
【0019】
水槽6の底部中の最低部、この場合、最後部には、排水口18を形成しており、この排水口18に機内排水ホース19の基端部を接続し、機内排水ホース19の先端部を、前記外箱1の基台1aの前部に配設したフィルタケース20の機内排水ホース接続口21に接続している。
【0020】
フィルタケース20は、上記機内排水ホース接続口21を上部に有しており、前端部にキャップ22を装着していて、このキャップ22と一体のリントフィルタ(図示せず)を内部に収納している。又、フィルタケース20の後側の下部側方には排水弁24を接続しており、この排水弁24の出口部に排水パイプ25を接続している。排水パイプ25の先端部は、外箱1の基台1aから機外に臨み、図示しない機外排水ホースを接続するようになっている。
【0021】
一方、フィルタケース20の後端部には循環ポンプ26を設けている。この循環ポンプ26は、フィルタケース20、機内排水ホース19、及び排水口18を介して水槽6内の水を吸引するもので、周側部(図で上部)に吐出口27を有しており、この吐出口27に送水ホース28の基端部を接続している。送水ホース28は、中間部を前記ベローズ17の周側方から上方へと配管しており、先端部を、水槽6の前記開口部15の上部に設けた噴水ノズル29に接続して、前記ドラム11の内部に臨ませている。
【0022】
この結果、循環ポンプ26は、前記排水口18から機内排水ホース19−フィルタケース20(リントフィルタ)−循環ポンプ26の経路で吸入した水槽6内の水を、送水ホース28を通じて圧送し、噴水ノズル29からドラム11の内部にシャワー状に供給するもので、シャワー給水装置30を構成している。
【0023】
更に、フィルタケース20の前部の上部には、エアトラップ31を連設しており、このエアトラップ31と、外箱1内の最上部に配設した水位センサ32との間を、エアチューブ33により接続している。従って、水位センサ32は、水槽6内の水位を、機内排水ホース19、フィルタケース20、エアトラップ31、及びエアチューブ33を介して検知するようになっており、水位検知手段として機能するようになっている。
【0024】
このほか、外箱1内の最上部には、給水弁34と、給水ケース35を配設している。このうち、給水弁34は、入口部に図示しない水道の蛇口に接続した機外給水ホース(これも図示せず)を接続するようになっており、出口部を接続パイプ36を介して給水ケース35に接続している。給水ケース35は、内部に洗剤貯留部(これも図示せず)を有しており、その内部を機内給水ホース37を介して水槽6内にその上部から連通させている。従って、給水弁34は、給水ケース35を介して水槽6内に通じるものであり、これらの給水弁34と給水ケース35とにより水槽6内に給水する通常の給水装置38を構成している。
【0025】
さて、ここで図1は、前記バッフル13を一つで代表して詳細に示しており、この図1で明らかなように、バッフル13は、ドラム11の内周部に主として軸方向に延ばして設けており、且つ、その前側13aを、後側13bよりドラム11の回転中心Oに対する角度を大きくして設けている(θa>θb)。又、このバッフル13は、後に図8、図9で明らかとなるように、両側面部13c,13dが中央稜部13eに向かってせり上がる山脈形を成している。
更に、このバッフル13の形状に合わせて、前記小孔12は、バッフル13で塞がれることのないように、該バッフル13と平行な並びで設けている。
【0026】
次に、上記構成のものの作用を述べる。
図4は制御装置5の運転制御内容を示しており、これは、操作パネル4に対する使用者の操作に基づくもので、使用者が運転を開始させる操作をすると、制御装置5が運転を開始させて、最初に洗濯物重量の検知をする(ステップS1)。洗濯物重量の検知は、ドラム11を所定の回転速度まで回転させ、それに要した時間と、その後、モータ8によるドラム11の駆動を停止させてドラム11を惰性回転させ、それによってドラム11の回転速度が所定の回転速度まで下降するのに要した時間とから、洗濯物の重量をモータ8の回転負荷でもって検知するものである。
【0027】
この後、上記洗濯物重量の検知結果から、洗濯物重量の判定と、それに応じた、洗い行程及びすすぎ行程における水位の決定をし、その後、洗い行程用に決定した水位(洗濯物が浸される水位)までの水道水の供給をする(ステップS3)。この水道水の供給は、通常の給水装置38により行うもので、このとき、給水ケース35の洗剤貯留部にあらかじめ貯留した洗剤の投入が給水と併せて行われる。
【0028】
次いで、洗い行程を実行する(ステップS4)。この洗い行程は、ドラム11を約50〔rpm〕の低速で正逆両方向に交互に回転させることにより行うもので、それにより、ドラム11内にあらかじめ収容された洗濯物がバッフル13により上げられてから落とされること(タンブリング)を繰り返し、洗浄される。
この後、排水を行う(ステップS5)。この排水は、排水弁24を開放させることにより、水槽6内(ドラム11内)の水を、水槽6の排水口18から機内排水ホース19−フィルタケース20(リントフィルタ)−排水弁24−排水パイプ25−機外排水ホースを通じて排出する内容で行われる。
【0029】
そして、その後に、脱水行程前のほぐし行程を実行する(ステップS6)。このほぐし行程は、ドラム11を前記洗い行程同様の約50〔rpm〕の低速で正逆両方向に交互に例えば2周期回転させることにより行うもので、それにより、ドラム11内にあらかじめ収容された洗濯物がバッフル13により上げられてから落とされることをドラム11回転の正逆両方向で繰り返し、ほぐされる。
【0030】
この後、脱水行程を実行する(ステップS7)。この脱水行程は、上記排水弁24を開放させたまま、ドラム11を、図1に矢印Aで示すように、バッフル13の前側13aが傾斜した一方向(正方向)に最高で約1300〔rpm〕の高速回転をさせることで、ドラム11内の洗濯物の遠心脱水をするものであり、このときにアンバランスの検知もする。
次いで、すすぎ行程用に決定した水位までの水道水の供給をする(ステップS8)。この水道水の供給は、前記ステップS3と同様に行うが、このとき、給水ケース35の洗剤貯留部には洗剤はなく、従って、水道水のみが水槽6内に供給される。
【0031】
この後、すすぎ行程を実行する(ステップS9)。このすすぎ行程は、前記洗い行程と同様に行われる。
その後、前記ステップS5〜S9同様の排水、ほぐし行程、脱水行程、給水、すすぎ行程の各動作を実行し(ステップS10〜S14)、更に、ステップS10〜S12同様の排水、ほぐし行程、脱水行程の各動作を実行して(ステップS15〜S17)、運転を終了する。
【0032】
図1及び図5は、上述のように運転が行われる中の、脱水行程における洗濯物の様子を示しており、ドラム11の前部に位置した洗濯物Wを、ドラム11の矢印Aで示した方向の回転により、バッフル13の前側13aで後側に変位させるが、このとき、バッフル13の前側13aを、後側13bよりドラム11の回転中心Oに対する角度を大きくして設けていることで、ドラム11の前部に位置した洗濯物Wを後側に変位させる効果に優れる。すなわち、ドラム11の前部に位置した洗濯物Wを後側により確実に変位させることができる。かくして、モータ8に後部を連結されて該後部でいわば片持ちされたドラム11の反モータ8側のアンバランス負荷を充分に小さくでき、ドラム11及び水槽6の振動を充分に小さくすることができる。
【0033】
又、この場合、バッフル13の後側13bは前側13aよりドラム11の回転中心Oに対する角度が小さくなっているので、特に少容量時、ドラム11の前部に位置した洗濯物Wが後側に変位されるに伴って生じる洗濯物Wの捩れによる絡みを後側13bでは少なくでき、その絡みによるアンバランス負荷の発生を少なくできて、ドラム11及び水槽6の振動を更に小さくすることができる。
【0034】
加えて、ほぐし行程と、洗濯行程、及びすすぎ行程では、ドラム11が低速で正逆両方向に交互に回転されることにより、その各正方向の回転でバッフル13により後側に変位された洗濯物Wが、各逆方向の回転でバッフル13により前側に変位され、要するに前後に変位されて混ざり合うようになるので、ほぐし行程では、ほぐし効果に優れ、アンバランスの低減に効果を奏する。又、洗濯行程及びすすぎ行程では、洗浄性能の向上に効果を奏する。
【0035】
以上に対して、図6ないし図16は本発明の第2ないし第6実施例(第2ないし第6の実施形態)を示すもので、それぞれ、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。
【0036】
[第2実施例]
図6に示す第2実施例においては、バッフル13の後側13bを、ドラム11の回転中心Oと平行にした、すなわち、バッフル13の後側13bの、ドラム11の回転中心Oに対する角度を0°にしている。
このようにすることにより、ドラム11の前部に位置した洗濯物Wが後側に変位されるに伴って生じる洗濯物Wの捩れによる絡みを後側13bでは更に少なくでき、その絡みによるアンバランス負荷の発生を更に少なくできて、ドラム11及び水槽6の振動を一段と小さくすることができる。
【0037】
[第3実施例]
図7ないし図9に示す第3実施例においては、バッフル13の前側13aの側面部13c,13dの傾斜角αを、後側13bの側面部13c,13dの傾斜角βより小さくしている(α<β)。すなわち、バッフル13の前側13aの側面部13c,13dが、後側13bの側面部13c,13dより立つようにしている。
【0038】
このようにすることにより、ドラム11の前部に位置した洗濯物Wを後側に変位させる効果に一段と優れる。すなわち、ドラム11の前部に位置した洗濯物Wを後側に一段と確実に変位させることができるものであり、かくして、ドラム11及び水槽6の振動より充分に小さくすることができる。
なお、この場合、バッフル13は、後側13bをドラム11の回転中心Oと平行にしてもいるが、第1実施例同様の角度をつけても良い。
【0039】
[第4実施例]
図10ないし図12に示す第4実施例においては、バッフル13の前側13aの高さHを、後側13bの高さHより大きくしている(H>H)。
このようにしても、ドラム11の前部に位置した洗濯物Wを後側に変位させる効果に一段と優れるもので、すなわち、ドラム11の前部に位置した洗濯物Wを後側に一段と確実に変位させることができるものであり、かくして、ドラム11及び水槽6の振動より充分に小さくすることができる。
【0040】
なお、この場合も、バッフル13は、後側13bをドラム11の回転中心Oと平行にしているが、第1実施例同様の角度をつけても良い。又、バッフル13の前側13aの側面部13c,13dの傾斜角αを、後側13bの側面部13c,13dの傾斜角βより小さくもしているが、それらは第1実施例同様に同角度としても良い。
【0041】
[第5実施例]
図13及び図14に示す第5実施例においては、各ほぐし行程におけるバッフル13の前側13aの角度を大きくした方向(正転方向)のドラム11の回転量を、それとは反対の方向(逆転方向)のドラム11の回転量より多くする制御を実行するようにしている(図はドラム11の正転と逆転の1周期分のみを表している)。この場合、ドラム11の回転量は、回転時間の長さT(正転),T(逆転)を変えることで異ならせるようにしている(T>T)が、回転速度を変えることで異ならせるようにしても良い。
【0042】
このようにしても、ドラム11の前部に位置した洗濯物Wを後側に変位させる効果に一段と優れるもので、すなわち、ドラム11の前部に位置した洗濯物Wを後側に一段と確実に変位させることができるものであり、かくして、ほぐし行程後の各脱水行程におけるドラム11及び水槽6の振動より充分に小さくすることができる。
【0043】
[第6実施例]
図15及び図16に示す第6実施例においては、洗濯を行う際、すなわち、洗い行程とすすぎ行程とを実行する際に、バッフル13の前側13aの角度を大きくした方向(正転方向)のドラム11の回転量を、それとは反対の方向(逆転方向)のドラム11の回転量より多くする制御を実行するようにしている(図はドラム11の正転と逆転の1周期分のみを表している)。この場合も、ドラム11の回転量は、回転時間の長さT(正転),T(逆転)を変えることで異ならせるようにしている(T>T)が、回転速度を変えることで異ならせるようにしても良い。
【0044】
このようにしても、ドラム11の前部に位置した洗濯物Wを後側に変位させる効果に一段と優れるもので、すなわち、ドラム11の前部に位置した洗濯物Wを後側に一段と確実に変位させることができるものであり、かくして、洗い行程後及びすすぎ行程後の各脱水行程におけるドラム11及び水槽6の振動より充分に小さくすることができる。
このほか、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【符号の説明】
【0045】
図面中、1は外箱、2は洗濯物出入口、6は水槽、8はモータ(駆動装置)、11はドラム、13はバッフル、13aはバッフルの前側、Oはドラムの回転中心、θaはドラムの回転中心に対するバッフルの前側の角度、13bはバッフルの後側、θbはドラムの回転中心に対するバッフルの後側の角度、17はベローズ、13c,13dはバッフルの側面部、αはバッフルの前側の側面部の傾斜角、βはバッフルの後側の側面部の傾斜角、Hはバッフルの前側の高さ、Hはバッフルの後側の高さ、T,Tはほぐし行程におけるドラムの回転時間の長さ(回転量)、T,Tは洗い行程及びすすぎ行程におけるドラムの回転時間の長さ(回転量)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に洗濯物出入口を有する外箱と、
この外箱の内部に軸方向が前後となる状態に弾性支持して配設され、前面が開口した水槽と、
この水槽の前面の開口部と前記外箱の洗濯物出入口とを連結したベローズと、
前記水槽の後部に取付けた駆動装置と、
前記水槽の内部に軸方向が前後となる状態に配設され、後部を前記駆動装置に連結して該駆動装置により駆動されるドラムと、
このドラムの内周部に軸方向に延ばして設けられたバッフルとを具備し、
洗濯物の洗濯と脱水とを行うものにおいて、
前記バッフルの前側を、後側より前記ドラムの回転中心に対する角度を大きくして設けたことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項2】
バッフルの後側を、ドラムの回転中心と平行にしたことを特徴とする請求項1記載のドラム式洗濯機。
【請求項3】
バッフルの前側の側面部の傾斜角を、後側の側面部の傾斜角より小さくしたことを特徴とする請求項1又は2記載のドラム式洗濯機。
【請求項4】
バッフルの前側の高さを、後側の高さより大きくしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のドラム式洗濯機。
【請求項5】
洗濯物の脱水を行う直前に、バッフルの前側の角度を大きくした方向のドラムの回転量を、それとは反対の方向のドラムの回転量より多くする制御内容のほぐし行程を実行することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のドラム式洗濯機。
【請求項6】
洗濯物の洗濯を行う際に、バッフルの前側の角度を大きくした方向のドラムの回転量を、それとは反対の方向のドラムの回転量より多くする制御を実行することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のドラム式洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−207450(P2010−207450A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57852(P2009−57852)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】