説明

ドレン管開通装置及びドレン管開通方法

【課題】閉塞したドレン管を開通させることができると共に、配管内の液体を外部の所定の場所に排出させることができるドレン管開通装置及びドレン管開通方法を提供する。
【解決手段】ドレン管開通装置1は、管体10、シール部材20及びロッド30を備えている。管体10は、ドレン管41の開口端41aに接続される接続管11、接続管11に対して側方に延在する延在管13、及び接続管11と延在管13とを連結する連結管12を有している。連結管12の側壁には貫通孔が設けられている。シール部材20は、挿入部31を摺動自在に保持し、かつ挿入部31と貫通孔との間を液密に封止する。ロッド30は、貫通孔14から接続管11を介してドレン管41に挿入される挿入部31、及び挿入部31に対して側方に延在するハンドル部32を有している。ハンドル部32には、グリップ33が取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が流通する配管に設置されたドレン管が閉塞した場合に、当該ドレン管を開通させるためのドレン管開通装置及びドレン管開通方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、配管内を流通する排水等に所定の流れを発生させて、配管の詰まり等を未然に防止する装置が記載されている。この装置では、配管内部の閉塞しやすい箇所より上流側に羽根車を配置し、その羽根車を回転させることにより旋回流れを発生させる。これにより、配管の内面に沿う流速が速くなり、配管の内面への異物の付着が防止され、かつ付着した異物が除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−58991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液体が流通する配管に設置されたドレン管が閉塞した場合には、ドレン管の開口端から針金等を挿入してドレン管を開通させることがある。しかし、そのような場合、ドレン管が開通すると同時に、ドレン管の開口端から液体が噴出するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、閉塞したドレン管を開通させることができると共に、配管内の液体を外部の所定の場所に排出させることができるドレン管開通装置及びドレン管開通方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のドレン管開通装置は、液体が流通する配管に設置されたドレン管が閉塞した場合に、当該ドレン管を開通させるためのドレン管開通装置であって、ドレン管の開口端に接続される接続管、接続管に対して側方に延在する延在管、及び接続管と延在管とを連結する連結管を有し、ドレン管の開口端に対向するように側壁に貫通孔が設けられた管体と、貫通孔から接続管を介してドレン管に挿入される挿入部、及び挿入部に対して側方に延在するハンドル部を有するロッドと、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のドレン管開通方法は、液体が流通する配管に設置されたドレン管が閉塞した場合に、当該ドレン管を開通させるためのドレン管開通方法であって、ドレン管の開口端に接続される接続管、接続管に対して側方に延在する延在管、及び接続管と延在管とを連結する連結管を有し、ドレン管の開口端に対向するように側壁に貫通孔が設けられた管体を準備し、ドレン管の開口端に接続管を接続する第1の工程と、第1の工程の後、貫通孔から接続管を介してドレン管に挿入される挿入部、及び挿入部に対して側方に延在するハンドル部を有するロッドを準備し、貫通孔から接続管を介してドレン管に挿入部を挿入する第2の工程と、第2の工程の後、ハンドル部を操作することにより、ドレン管内において挿入部を回動及び往復動させ、接続管、連結管及び延在管を介して液体を排出させる第3の工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
これらのドレン管開通装置及びドレン管開通方法においては、ドレン管の開口端に管体の接続管を接続し、貫通孔から接続管を介してドレン管にロッドの挿入部を挿入する。そして、ロッドのハンドル部を操作して、ドレン管内において挿入部を回動及び往復動させることにより、閉塞物の少なくとも一部を除去してドレン管を開通させることができる。さらに、接続管、連結管及び延在管を介して、配管内の液体を外部の所定の場所に排出させることができる。
【0009】
ここで、貫通孔には、貫通孔に挿入された挿入部を摺動自在に保持し、かつ貫通孔に挿入された挿入部と貫通孔の内面との間を液密に封止するシール部材が配置されていることが好ましい。この構成によれば、挿入部と貫通孔の内面との間から液体が漏出するのを防止しつつ、ドレン管内において挿入部を回動及び往復動させることができる。
【0010】
また、ハンドル部には、グリップが取り付けられていることが好ましい。この構成によれば、ドレン管内において挿入部を回動又は往復動させるためのハンドル部の操作を容易に実施することができる。さらに、たとえ挿入部と貫通孔の内面との間から液体が漏出して、ハンドル部を伝ってきたとしてもグリップを把持した手に付着するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、閉塞したドレン管を開通させることができると共に、配管内の液体を外部の所定の場所に排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態のドレン管開通装置の正面図である。
【図2】図1に示されたドレン管開通装置の縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態のドレン管開通方法の一工程におけるドレン管開通装置の縦断面図である。
【図4】本発明の一実施形態のドレン管開通方法の一工程におけるドレン管開通装置の縦断面図である。
【図5】本発明の一実施形態のドレン管開通方法の一工程におけるドレン管開通装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1及び図2に示されるように、ドレン管開通装置1は、油等の液体が流通する配管43に設置されたドレン管41が閉塞した場合に、当該ドレン管41を開通させるための装置である。ドレン管41は、配管43の所定の位置から鉛直下方に延在しており、ドレン管41には、その流路を開閉するドレン弁42が設けられている。
【0015】
ドレン管開通装置1は、L字状に延在しかつ横断面が円環状である金属製の管体10を備えている。管体10は、ドレン管41の開口端41aに接続される接続管11、接続管11に対して側方に延在する延在管13、及び接続管11と延在管13とを連結する連結管12を有している。接続管11と連結管12とは一体的に形成されており、連結管12は管体10のエルボ部となっている。連結管12の側壁にはドレン管41の開口端41aに対向するように、貫通孔14が設けられている。延在管13と連結管12とは、溶接等によって固定されており、延在管13は水平方向に延在している。なお、接続管11は、ドレン管41の開口端41aにねじ等によって着脱自在に接続される。
【0016】
また、ドレン管開通装置1は、L字状に延在しかつ横断面が円形状である金属製のロッド30を備えている。ロッド30は、貫通孔14から接続管11を介してドレン管41に挿入される挿入部31、及び挿入部31に対して側方に延在するハンドル部32を有している。挿入部31とハンドル部32とは一体的に形成されており、挿入部31は鉛直上方に延在し、ハンドル部32は水平方向に延在している。ハンドル部32の端部には、樹脂製のグリップ33が取り付けられている。
【0017】
また、貫通孔14に挿入された挿入部31と貫通孔14の内面との間には樹脂製のシール部材20が配置されている。このシール部材20は、貫通孔14に挿入された挿入部31を摺動自在に保持し、かつ貫通孔14に挿入された挿入部31と貫通孔14の内面との間を液密に封止する。
【0018】
以上のように構成されたドレン管開通装置1によって実施されるドレン管開通方法について説明する。まず、図3(a)に示されるように、ドレン管41が閉塞物44によって閉塞し、ドレン弁42を開いてもドレン管41から液体45が排出されない場合には、図3(b)に示されるように、管体10を準備し、ドレン管41の開口端41aに接続管11を接続する(第1の工程)。
【0019】
続いて、図4(a)に示されるように、ロッド30を準備し、貫通孔14から接続管11を介してドレン管41に挿入部31を挿入する(第2の工程)。ドレン管41の開口端41aと管体10の接続管11との接続は、管体10の貫通孔14にロッド30の挿入部31を挿入した状態で行ってもよい。また、ドレン弁42を閉じた状態でドレン管41の開口端41aと接続管11との接続を行い、その後にドレン弁42を開いてもよい。
【0020】
続いて、図4(b)に示されるように、グリップ33を握ってハンドル部32を操作することによりドレン管41内において、挿入部31をその中心線31a回りに回動させると共に、その中心線31a方向に往復動させる。これにより、閉塞物44の少なくとも一部が除去されてドレン管41が開通する。ドレン管41が開通すると、図5に示されるようにドレン管41から接続管11、連結管12及び延在管13を介して外部の所定の場所に液体45が排出される(第3の工程)。
【0021】
以上説明したように、ドレン管開通装置1及びそれによって実施されるドレン管開通方法では、ドレン管41の開口端41aに管体10の接続管11を接続し、貫通孔14から接続管11を介してドレン管41にロッド30の挿入部31を挿入する。そして、ロッド30のハンドル部32を操作して、ドレン管41内において挿入部31を回動及び往復動させることにより、閉塞物44の少なくとも一部を除去してドレン管41を開通させることができる。さらに、接続管11、連結管12及び延在管13を介して、配管43内の液体45を外部の所定の場所に排出させることができる。
【0022】
また、ドレン管開通装置1には、貫通孔14に挿入された挿入部31を摺動自在に保持し、かつ貫通孔14に挿入された挿入部31と貫通孔14の内面との間を液密に封止するシール部材20が配置されている。この構成によれば、挿入部31と貫通孔14の内面との間から液体45が漏出するのを防止しつつ、ドレン管41内において挿入部31を回動及び往復動させることができる。
【0023】
また、ハンドル部32には、グリップ33が取り付けられている。この構成によれば、ドレン管41内において挿入部31を回動又は往復動させるためのハンドル部32の操作を容易に実施することができる。さらに、たとえ挿入部31と貫通孔14の内面との間から液体45が漏出してハンドル部32を伝ってきたとしても、グリップ33を把持した手に液体45が付着するのを防止することができる。
【符号の説明】
【0024】
1…ドレン管開通装置、10…管体、11…接続管、12…連結管、13…延在管、14…貫通孔、30…ロッド、31…挿入部、32…ハンドル部、41…ドレン管、41a…開口端、43…配管、45…液体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流通する配管に設置されたドレン管が閉塞した場合に、当該ドレン管を開通させるためのドレン管開通装置であって、
前記ドレン管の開口端に接続される接続管、前記接続管に対して側方に延在する延在管、及び前記接続管と前記延在管とを連結する連結管を有し、前記ドレン管の前記開口端に対向するように側壁に貫通孔が設けられた管体と、
前記貫通孔から前記接続管を介して前記ドレン管に挿入される挿入部、及び前記挿入部に対して側方に延在するハンドル部を有するロッドと、
を備えることを特徴とするドレン管開通装置。
【請求項2】
前記貫通孔には、前記貫通孔に挿入された前記挿入部を摺動自在に保持し、かつ前記貫通孔に挿入された前記挿入部と前記貫通孔の内面との間を液密に封止するシール部材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のドレン管開通装置。
【請求項3】
前記ハンドル部には、グリップが取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のドレン管開通装置。
【請求項4】
液体が流通する配管に設置されたドレン管が閉塞した場合に、当該ドレン管を開通させるためのドレン管開通方法であって、
前記ドレン管の開口端に接続される接続管、前記接続管に対して側方に延在する延在管、及び前記接続管と前記延在管とを連結する連結管を有し、前記ドレン管の前記開口端に対向するように側壁に貫通孔が設けられた管体を準備し、前記ドレン管の前記開口端に前記接続管を接続する第1の工程と、
前記第1の工程の後、前記貫通孔から前記接続管を介して前記ドレン管に挿入される挿入部、及び前記挿入部に対して側方に延在するハンドル部を有するロッドを準備し、前記貫通孔から前記接続管を介して前記ドレン管に前記挿入部を挿入する第2の工程と、
前記第2の工程の後、前記ハンドル部を操作することにより、前記ドレン管内において前記挿入部を回動及び往復動させ、前記接続管、前記連結管及び前記延在管を介して前記液体を排出させる第3の工程と、
を備えることを特徴とするドレン管開通方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−87844(P2012−87844A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233651(P2010−233651)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)