ナノ結晶金属酸化物を用いた臭気処理
臭気、とりわけ閉鎖環境内の臭気を取り除く方法が提供され、これはナノ結晶金属酸化物および金属水酸化物を用いている。ナノ結晶粒子は閉鎖空間内の壁、床、家具地、などの様な空間内の露出面に接触するように分散され、閉鎖空間内にある臭気原因物質を吸着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2005年10月26日出願の米国仮出願書第60/730341号および2006年1月20日出願の米国仮出願書第60/760802号による利益を主張するとともに本願に引用して明細書とする。
【0002】
本発明はナノ結晶金属酸化物および金属水酸化物粒子を用いて広く臭気、とりわけ閉鎖環境内に存在する臭気の処理に関係する。
【背景技術】
【0003】
一般的な悪臭源には煙/タバコ、人およびペットの糞便、糸状菌およびうどん粉菌、バクテリア、食物、飲料(腐ったミルク)、嘔吐物、および汚れた衣服が含まれる。悪臭には多くの異なる発生源があるが、化学的に言えば、大多数の悪臭は本質的に有機物(炭素含有化合物)である。悪臭は車やビルの様な閉鎖環境内の有機物表面に容易に浸透、貫通、充満しかつ纏わりつくことがある。
【0004】
家庭内では多様な臭気問題が起こる。不愉快な臭気のいくつかの主たる原因は生物学的な汚染の結果である。微生物の有機体が朽ちて腐敗するとそれらはガスおよび有毒蒸気を放出する。悪いことにこれらは単に感性上の問題だけではない。これらおよび他の臭気原因化合物に対する深刻なおよび繰り返し暴露により吐き気から死に至るまでの健康の懸念が起こりうる。EPA(米国環境保護庁)および議会では今や室内空気汚染は米国の第一の環境健康問題と見なされている。アメリカ人の4〜5百万人がすでに化学的に引き起こされた環境疾病の影響を被っていると推定されている。しっかり密閉されたビルや家庭はよりエネルギー効率的であるかもしれないが汚染物および微生物を屋内に閉じこめてしまうこともでき、アレルギー、臭気、カビ、および疾病を引き起こす。
【0005】
さらに、EPAは17年におよぶ研究を実施し、普通の家庭用洗剤を用いることが主な原因で家庭内で働く女性はオフィスで働く者よりガンで死亡する危険が55%高いことを見いだした。アメリカの家庭で見いだされた製品の幾つかには潜在的に有害な化学物質成分を有している。これらの製品にはオーブン用洗剤、ペンキ剥離剤、殺虫剤、溶剤、排水管洗剤、その他が含まれる。
脱臭処理は一般に2つの方向、すなわちマスキングまたは排除により対処される。臭気のマスキングが用いられる場合悪臭の発生源は排除されず、やがて「マスキング」剤がなくなった時点で戻ってくる。多くの場合、悪臭は強烈であるためにマスキング剤には効果がない。一方、排除による処理は、その発生源を除去することにより悪臭を取り除く。排除は物理的に汚染面を置き換えるかまたは臭気原因物質そのものを除去することにより達成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
種々の発生源から臭気を軽減するための多数の化合物および方法が開発されてきている。しかしながらこれらは限られた成功しか収めておらず、それは広範な発生源に関連する臭気が複雑で異なる物質の混合物を構成することができるからで、アンモニアの様な無機塩基、ブチル酸およびイソ吉草酸の様な有機酸、もしくはアセトアルデヒドおよびメチルメルカプタンの様な中性分子が含まれるがこれらに限定されるものではない。これらの物質により引き起こされる臭気を軽減する最も一般的な方法は、(i)臭気マスキング芳香を用いて臭気をマスキングする、(ii)活性炭、重炭酸ナトリウム、および天花粉の様な無機材料を用いて臭気を吸着する、(iii)悪臭物質を作り出すバクテリアを減少させるために二酸化塩素の様な合成物を用いる、ことが含まれる。しかしながらこれらの方法は次の様な問題を呈する:(i)臭気はマスキングされるだけで除去されない、(ii)これら伝統的な吸着剤の吸着能力は限定的である、(iii)酸化剤を用いることにより2次的な汚染物を作り出しかねない、さらに(iv)吸着剤は例えば濡れた環境の様な特定な条件の下でのみ有効である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は表面積が大きく非常に多孔質なナノ結晶金属酸化物および金属水酸化物を用い、臭気および悪臭化合物を作り出す微生物を除去する方法を提供することにより上の諸問題を克服する。本発明はとりわけ区域または空間、特にビル内の部屋または乗り物の内部の様な閉鎖空間の脱臭に適している。
【0008】
実施態様の一つでは、本発明による方法は相当量のナノ結晶粒子を、複数の暴露面を呈しその少なくとも一部が閉鎖空間を規定する様な閉鎖空間内に分散することから構成される。ナノ結晶粒子は閉鎖空間内のバクテリアの様な臭気および臭気原因物質を吸着するのに効果的である。予め決めておいた経過時間の後、悪臭化合物を表面に吸着した粒子の少なくとも一部を閉鎖空間から取り除き、その空間は処理前に比べて脱臭されさわやかな香りになっている。
【0009】
本発明による別の実施態様において、閉鎖空間は先ず清掃して内部の面にある可能性のあるふわふわしたゴミや異物を取り除く場合がある。特定の面はそれから濡らしてもよく、これによりナノ結晶粒子をより適応しやすくする。それから閉鎖空間内に位置する種々の面にナノ結晶粒子を適用することができる。閉鎖空間内に粒子を分散した後、できるだけ多くの粒子を湿式および乾式の清掃技法の組み合わせを用いて除去する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は種々の悪臭の除去/中和のために、広くナノ結晶材料、とりわけナノ結晶金属酸化物/水酸化物、塗膜金属酸化物/水酸化物(例えば、ハロゲン塗膜)、ドープ済み金属酸化物/水酸化物、界面活性剤塗膜ナノ結晶金属酸化物およびこれらの混合物、を使用する方向に向けられている。ここに用いる「金属酸化物」および「金属水酸化物」という用語は全体として、好ましくは主成分として、金属酸化物または金属水酸化物から構成される様な素材を意味する。
【0011】
本発明に関連して好まれるナノ結晶材料にはMg、Sr、Ba、Ca、Ti、Zr、Fe、V、Mn、Ni、Cu、Al、Si、Zn、Ag、Mo、Sb、およびこれらの混合物の金属酸化物および金属水酸化物が含まれる。その外で好まれるナノ結晶材料には米国特許第6093236号および第5759939号(他の金属酸化物で塗膜された金属酸化物)で開示されている様な塗膜付ナノ結晶材料、米国特許第6653519号、第6087294号および第6057488号 (ナノ結晶材料でその表面に活性原子を固定して持ち、活性原子が酸素イオン成分、オゾン、ハロゲン類、および第1類金属を含む) で開示されている様なハロゲン化粒子、および米国特許第6887302号および第6860924号(ナノ結晶材料で界面活性剤、ワックス、油、シリル、合成または天然のポリマー、または樹脂で塗膜されている)に記載されている空気中で安定しているナノ結晶材料が含まれ、これらのすべてを本願に引用して本明細書とする。ナノ結晶材料は結晶子寸法が約25nm未満であることが好ましく、20nm未満がより好ましく、10nm未満が最も好ましい。ナノ結晶粒子はBranauer、Emmett、Teller(BET)法による多点表面積が少なくとも約15m2/gあることが好ましく、少なくとも約70m2/gあることがより好ましく、約100〜850m2/gあることが最も好ましい。代表的なナノ結晶材料はNanoActiveTMの名称でカンザス州マンハッタンのNanoScale Materials社から入手できる。
【0012】
ナノ結晶材料はとりわけ物体、ならびに閉鎖された移動および固定環境の臭気を除去するためのクリーニング作業に有用である。臭気マスキング方法とは対照的に、ナノ結晶材料は臭気原因物質に接触し、吸着し、それから中和する。さらに本発明はこのクリーニング作業中のナノ結晶材料の搬送システムを提供する。特定の作業に対する適切な搬送方法は関係する物体、面または区域に大きく依存する。以下において種々のクリーニングシステムおよびナノ結晶材料を搬送する方法についてより詳細に論じる。
【0013】
本発明による方法およびシステムは多くの移動式および固定式の両方の閉鎖環境を脱臭することに使用することができる。典型的な閉鎖的移動環境には車およびトラック、レクリエーション用車輌(RV車)、ヨット、飛行機、などが含まれる。典型的な閉鎖的固定環境には家庭、オフィス、死体安置所および葬儀場、学校、レストラン、保健施設、病院、公共建築物、寄宿舎、ホテル、モーテル、動物保護施設、工業プラント、ゴミ集積場/収集箱、などが含まれる。かくして、ナノ結晶材料はこれらの脱臭作業に使用できる様な幾つかの製品に組み込まれる場合がある。このような製品には一般にカーペット脱臭剤、ペット脱臭製品、車用脱臭製品、冷蔵庫脱臭剤、工業用清掃製品、および人間臭気除去製品が含まれる。
【0014】
ナノ結晶材料を用いて多種多様な悪臭およびその発生源を処理することができる。処理可能な典型的な悪臭(およびその発生源)には:動物臭、動物排泄物臭、アスファルトヒューム、黒こげ物質、洗浄用化学物質、腐敗している死体、腐敗植物、洗剤、おしめ、排気ガス、燃料(すなわち、ガソリン/ディーゼル)、揮発性物質、有機化合物ヒューム(例えば、ペンキ、ワニス、および溶剤臭)、湿気や洪水による臭気(例えば、糸状菌およびうどん粉菌)、人体臭(すなわち、汗、細菌感染症、尿および糞便臭)、狩猟臭(すなわち、鹿の尿)、台所臭(すなわち、冷蔵庫臭、焦げた食物、料理臭、魚、家禽、ニンニク、タマネギ、悪臭のする油)、薬品臭、下水溝ガス、煙(例えば、タバコの煙臭)および生ゴミが含まれる。
【0015】
カーペット、地下室、および戸棚は不快な臭気の発生源となるバクテリアの主たる繁殖場所である。これらの汚れた面および濡れた環境がグラム陰性有機体である大腸菌およびグラム陽性の黄色ブドウ状球菌の様なバクテリアの成長を助長する。ナノ結晶金属酸化物および金属水酸化物、とりわけ酸化亜鉛は大腸菌(ATCC#10536)およびより旺盛でより殺すのが難しいグラム陽性のブドウ状球菌(ATCC#6538)を殺すのに効果的である。透過電子顕微鏡(TEM)画像ではナノ結晶金属酸化物および金属水酸化物で処理したバクテリアは2分間の接触時間で、細胞膜が破裂して破壊されることを示した。
【0016】
うどん粉菌およびある種の真菌もまた問題となる様な臭気を作り出すことができる。これらの臭気を効果的に除去するためには、湿度および真菌の成長をコントロールしなくてはならない。NanoActiveTM ZnOを用いた抗真菌効果研究が真菌有機体を含む液状媒体を満たした試験管内で実施された。ナノ結晶ZnOが真菌有機体の成長を抑制しこれにより真菌が作り出す悪臭を減少することが見いだされた。
【0017】
ナノ結晶金属酸化物および金属水酸化物はさらに殺虫剤および揮発性有機化合物(VOC)の様な広範囲の望ましくない化学物質を化学的に分解する能力を持っている。合衆国では91%を超える所帯で殺虫剤が用いられている。殺虫剤による屋内汚染は極めてありふれている。大多数の人間の殺虫剤に対する暴露の80%は屋内でおこなわれ、家庭内の空気からは1ダースもの測定可能レベルの殺虫剤が見いだされていることが示唆されている。その理由には外から流れ込みまたは足につけて運び込まれる汚染された土壌またはホコリ、保管されている殺虫剤容器、および殺虫剤を取り込みそれから放出する家庭内の面が含まれる。
【0018】
これらの殺虫剤の内、半数を超えるものは有機リン酸系化合物から成ると推定されている。すべての有機リン酸化合物(OP)は亜リン酸類から誘導され、部類としては一般に脊椎動物にとってはすべての殺虫剤中で最も有毒である。有機リン酸化合物は「神経ガス」に類似した化学構造を示す場合があり、したがってその挙動もまた比較的類似している。OPの殺虫剤特性は第2次大戦中にドイツで極めて有毒なOP神経ガスのサリン、ソマン、およびタブンの研究の中で初めて観察された。
【0019】
有機リン化合物は神経系の重要な酵素、具体的にはコリンエステラーゼを抑制することにより作用する。酵素は殺虫剤のリン部分に取り付くとリン酸化し、この結合は不可逆である。この抑制はニューロン/ニューロンおよびニューロン/筋肉(神経筋)接合部またはシナプスにおけるアセチルコリンの蓄積をもたらし、随意筋の急激な痙攣を引き起こしやがては麻痺させる。さらに例え低レベルのOP殺虫剤でも長期の暴露はペットや人、とりわけ家庭内では殺虫剤の最大濃度である床に直接接して時間の大部分を過ごしがちな小さな子供に対しては健康に有害な影響を引き起こす。
【0020】
ナノ結晶金属酸化物および水酸化物はその強化された化学反応性によりこれら非常に有毒な化合物の多数を化学的に分解することができる。以下のものはナノ結晶材料により破壊することが可能な一般的な殺虫剤の代表的なリストである:アセフェート、アジンホスメチル、ベンスリド、カズサホス、クロレトキシホス、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、クロルチオホス、クマホス、ジアリフロル、ダイアジノン、ジクロルボス(DDVP)、ジクロトホス、ジメトエート、ジオキサチオン、ジスルホトン、エチオン、エトプロプ、エチルパラチオン、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンチオン、ホノホス、イサゾホスメチル、イソフェンホス、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、メチルパラチオン、メビンホス、モノクロトホス、ナレド、オキシデメトンメチル、パラチオン、ホレート、ホサロン、ホスメト、ホスファミドン、ホステブピリム、ピリミホスメチル、プロフェノホス、プロペタムホス、スルホテップ、スルプロホス、テメホス、テルブホス、テトラクロルビンホス、トリブホス(DEF)、およびトリクロルホン。
【0021】
図1はナノ結晶金属酸化物および典型的な有機リン殺虫剤であるパラチオンの間で起こる代表的な化学反応を示す。パラチオンをナノ結晶材料に曝すと、リンと酸素の間の化学結合が壊れ断片はナノ結晶材料の表面に吸着される。
有機化学物質は種々の家庭用製品の成分として広く用いられている。ペンキ、ワニス、およびワックスのすべてが有機溶剤を含み、多くの洗浄、消毒、化粧、脱脂、および趣味用の製品も同様である。さらにすべての種類の燃料は有機化学物質からできている。これらの製品は使用中に、さらにはある程度までは保管中にも、揮発性有機化合物(VOC)を放出しうる。
【0022】
EPAによる「全暴露量評価の系統的分類(TEAM)」に関する研究では1ダースほどのありふれた有機汚染物質のレベルは屋外より屋内の方が、その家庭が田園にまたは高度工業地域に位置するかに関わりなく、2から5倍高いことを見いだした。TEAMの補足研究では、人々は有機化学物質を含む製品を使用する際に本人および他人を非常に高い汚染レベルに曝すことがあることを示した。有機化学物質のこれらの高い濃度は作業が終了した後も長い間空気中に持続することがある。
【0023】
揮発性有機化学物質は化合物の範囲の広い範囲を包含する。これらの化学物質はいくらか有害な有機溶剤から上は非常に有毒かつ腐食性の酸にまでおよぶ。以下のものはありふれたVOCおよび他の有毒化合物の代表的なリストである:アクロレイン、アセトアルデヒド、アセトン、アンモニア、エタノールアミン、ディーゼル燃料、ホルムアルデヒド、塩酸、フッ化水素酸、メタノール、メチレンクロリド、亜酸化窒素、硝酸、ニトロベンゼン、リン酸、ポリビニルアルコール、硫酸、チオ尿素、トルエン、トリエタノールアミン、メチルアクリレート、酢酸、メチルピラジン類、アクリロニトリル、非揮発性ニトロソアミン類、クロトンアルデヒド、N−ニトロソアミン類、カルボン酸類、フェノール類、DDT/デリリン、ピロリジン、ジメチルニトロソアミン、ステアリン酸、エチルアミン、トリメチルアミン、塩化ビニール、およびフルフラール。
【0024】
ナノ結晶金属酸化物および水酸化物材料はこれらの有毒な化合物を屋内空間、工程の流れ、貯蔵施設、およびこれらの有害な化合物が発生する可能性のある他のすべての場所から除去することにとりわけ適している。炭化水素の安定性を受け継いでいるため、ナノ結晶材料はこれらの化合物を化学的に改質しようとはせず、むしろ物理的にこれらを吸収しようとする。しかしながら、ナノ結晶材料はVOCの大多数を化学的に分解することができる。
【0025】
VOCの分解の一例として、アセトンとナノ結晶金属酸化物吸着剤との反応が図2に示されている。見るとおり、反応はカルボニル基と表面部位の相互作用を介して進みこれに金属水素の解離が続く。
ナノ結晶材料はさらに酸を安全で無害な副産物に分解することにより種々の酸を中和するのに用いることができる。一例として無害な塩である金属フッ化物を形成する、金属酸化物を用いたフッ化水素酸の吸着/中和を示す。
MO + 2HF → MF2 + H2O
【0026】
ナノ結晶材料、とりわけナノ結晶金属酸化物は多くの家庭用洗剤内に存在するアンモニアの様な塩基性化合物を中和するのに用いることができる。いかなる特定の仮説にとらわれるまでもなく、吸着はアンモニアと吸着剤の表面の水酸基との間の相互作用により起きるものとされている。
一般に、本発明による悪臭を除去する方法は悪臭を起こしている化学物質をナノ結晶材料と接触させることから構成される。さらに、悪臭の化学物質が生物有機体から作られているなら、有機体をナノ結晶材料と接触させ悪臭の発生源を除去することが好ましい。
【0027】
本発明による方法は閉鎖空間の脱臭にとりわけ有用である。悪臭は一般に閉鎖環境を規定する壁、床、天井、または他の面の中に浸透し残存する傾向がある。さらに、閉鎖空間内のすべての建具も悪臭を捕捉し閉鎖空間の脱臭をいっそう困難にしている。したがって、本発明は全体として金属酸化物および金属水酸化物から成る群から選択された相当量のナノ結晶粒子を閉鎖空間内に分散し、少なくともその一部が閉鎖空間の境界を規定することを助けている内部の露出面に接触させることから構成される。分散される粒子は上で述べたどのようなものであってもよいが、しかしながら、一般に粒子は中和する特定の臭気およびこれを分散する閉鎖環境の性質に基づいて選定される。
【0028】
ナノ結晶粒子の分散に続いて、粒子は一般に閉鎖環境内に予め決められた経過時間だけ存在するように放置され、臭気原因化学物質および生物学的物体を吸着し中和する。予め決められた経過時間が切れた時点で、粒子、(および臭気原因物質)は閉鎖空間から取り除かれる。
【0029】
ナノ結晶粒子は閉鎖環境内に幾つかの方法で分散することができる。分散の方式の選定は主に閉鎖場所の性質に基づく。例えば、閉鎖空間が固定環境(ビルの部屋または家庭の様な)の場合、粒子を閉鎖空間内へ直接スプレーしたり、閉鎖空間内の少なくとも一部の露出面上に直接スプレーしたり、または霧滴に組み込んで閉鎖空間内へ分散することもできる。粒子が霧滴に組み込まれる場合、閉鎖環境に分散する際に、粒子は閉鎖空間内部でかなり均一になる様に分散されることが好ましい。粒子は霧滴内に、少なくとも初期には、約0.1〜100g/m3の間で存在することが好まれ、約1〜75g/m3の間がより好ましく、約5〜50g/m3の間が最も好ましい。粒子を単に粉末または顆粒として閉鎖空間内の露出面部に振りかけて分散することも本発明の範囲内である。
【0030】
さらに粒子は閉鎖空間内の露出面に分散液として塗布することもできる。分散液は面にスプレーして、拭いて、または流れを適用して塗布することもできる。分散液は本質的に水性で約10〜500g/Lの間のナノ結晶粒子を含むことが好ましく、約15〜300g/Lの間がより好ましく、約20〜200g/Lの間が最も好ましい。分散液は粒子の分散を安定化しバランスのとれたpHを維持するために随意的に界面活性剤を含む場合もある。TWEEN80は本発明において用いる代表的な界面活性剤であるが、どのような界面活性剤も、とりわけ親水性で非イオン性界面活性剤を用いることができる。界面活性剤は分散液中に約0.1〜10g/Lの間で存在することが好ましく、約0.5〜7g/Lの間がより好ましい。
【0031】
本発明による好まれる方法には閉鎖空間の最高の脱臭を確実にすることを助ける捕捉的な清掃工程の実施が含まれる。ナノ結晶粒子により閉鎖空間内の露出面を処理する前に、それら露出面の少なくとも一部を清掃しそこのふわふわしたゴミまたは異物を取り除く。このような清掃はありふれた清掃用具および/または水でおこなえる。ふわふわしたゴミまたは異物の除去により面と適用した際のナノ結晶粒子とのより良好な接触が可能となる。閉鎖空間内の露出面の少なくとも一部が織物素材、とりわけカーペット、家具地、布地、紙製品、皮革、およびこれらの混合物から成る群から選択された織物素材で構成されている場合もある。閉鎖空間であることから、他のすべての面はプラスチック、金属、木材、乾式壁、ペンキ、発泡体、およびこれらの混合物の様な非織物素材から構成される。ふわふわしたゴミまたは異物の除去は露出面を掃き掃除、真空掃除機がけ、拭き掃除、水洗い、散水、またはこすり洗いすることで達成できる。これらの作業には閉鎖空間内のカーペット、敷物、または他の家具地の真空掃除機がけおよび/または蒸気洗浄、窓洗い、およびホコリ払いも含まれる。
【0032】
ある適用例では、織物素材に対してはナノ結晶粒子と接触してしまう前に濡らしておくことが好ましい。かくして、ふわふわしたゴミおよび異物を取り除く最初の清掃の後、織物素材面は水および、随意的に洗剤で濡らされる。従来からどのようなある洗剤でも織物素材と相性がよく、これを損なうことがない限り用いることができる。織物素材面は湿ったまま置かれることが好ましく、これによりナノ結晶粒子を濡れた面に塗布することができる。濡れた面によりナノ結晶粒子が織物素材の繊維にくっつきやすくなる。さらに、織物素材を濡らすことはある種のバクテリアおよび微生物の活動を増大させ、これによりナノ結晶粒子により殺されやすくする。
【0033】
織物素材をナノ結晶粒子で上に述べた様なやり方の一つにより処理した後、織物表面を水で処理し、このことにより悪臭を表面に吸着したナノ結晶粒子の少なくとも一部を取り除くことが好ましい。この水処理工程は上に記載したどの方法を用いておこなうこともできるが、この工程がスチームクリーナーまたは湿式真空掃除機を用いて実施されることが好ましい。
【0034】
閉鎖空間内の他の面(すなわち、非−織物面)は織物表面と同時にナノ結晶粒子で処理することができる。この様な同時処理は噴霧法または上で述べた他の技法の一つによりおこなうことができる。また、粒子適用方法は織物および非−織物の双方に対して同じ必要はない。例えば、織物表面には粉末の散布によりナノ結晶粒子を適用し、非−織物表面に対してはナノ粒子の分散液をスプレーしてもよい。
【0035】
粒子は予め決めておいた経過時間だけ放置され閉鎖空間内の露出面と接触する。的確な時間の長さは処理の前に閉鎖空間内の悪臭の濃度および性質に基づき選定することができる。しかしながら、ナノ結晶粒子は露出面に少なくとも約1分間接触して放置されることが好まれ、少なくとも約5分間がより好ましく、少なくとも約15分間が、最も好ましい。
【0036】
面がナノ結晶粒子で処理され引き続き織物面が水で処理されて粒子の少なくとも一部が取り除かれた後、面は放置されて乾燥する。一般にこの乾燥工程では織物面の少なくとも一部に粒子の粉末残渣が残る。粒子は非−織物表面にも同様にわずかに残ることもあるし、または閉鎖空間内の比較的水平な面に留まる場合もある。
この場合は織物素材面上の粉末残渣は乾式真空掃除機、圧縮空気、または同様の手段で除去することができる。非−織物表面に付着または沈着して残った粒子は少なくとも面の一部を従来型の洗剤(石けんと水の様な)で清掃して除去できる。
【0037】
粉末残渣が織物の表面から除去された後、必要ならば、織物の表面は再び水で処理して織物素材内に残っているさらなる量の粒子を取り除くこともできる。上に述べた様に、このような水処理はスチームクリーナーまたは湿式真空掃除機を用いておこなわれることが好ましい。臭気が特に強烈な場合は、上に述べた処理を臭気が十分に取り除かれるまで複数回繰り返す必要がある場合もある。
【0038】
本発明による別の実施態様では、ナノ結晶粒子は予防的な感覚、すなわち閉鎖空間の内部で悪臭が形成または蓄積することを防ぐために使われることもある。ナノ結晶材料は閉鎖空間を作り上げている素材に埋め込むこともできる。例えば、車、トラック、ボート、汽車および飛行機の座席に用いられる家具地または詰め物材料の繊維はこれとともにナノ結晶粒子を組み入れて製造することもできる。したがって、織物そのものが悪臭を吸着することができる。さらに、種々の建築材料または建具が作られる材料にもナノ結晶材料を含ませ悪臭が蓄積することを防ぐことができる。例えば、閉鎖空間内で用いられる乾式工法の壁または敷物材料内にナノ結晶粒子を組み込むこともできる。さらにナノ結晶粒子は閉鎖空間内の空気が通って循環するろ過媒体に組み込むこともできる。
【0039】
本発明は靴の中で用いる足の脱臭製品に組み込むこともできる。そのような製品には靴の敷き皮およびスプレーを含めることができる。ナノ結晶金属酸化物粒子は非毒性であり、したがって人体に近接して用いても安全である。
本発明が実施できる温度の範囲は氷点下から、周辺環境を経て、上は数百oFまでである。本発明は周辺環境の、大気温度および圧力条件下で実施されることが好ましい。
【0040】
本発明に伴って用いられるナノ結晶材料および処方は通常は別添加の芳香または香料を含まない。このような香料は一般に臭気をマスキングするために用いられ、対照的に本発明は臭気を完全に除去しようと努めている。ナノ結晶材料は重炭酸ナトリウムまたは他の従来からある臭気吸着材料を含まないことが好ましい。さらに、ナノ結晶材料およびナノ結晶材料を含む処方には有機溶媒を含まないことが好ましい。ある実施態様では、ナノ結晶吸着剤の系全体が有機材料を全く含まず、これにより系全体を無機にしている。
【0041】
実施例
以下の実施例ではナノ結晶金属酸化物材料を用いて悪臭を発生する種々の化学物質および生物的物質を吸着する種々の実験を説明する。しかしながら、これらの実施例は説明のために提供するもので、その中のいかなるものも本発明を制約するものと見なされるべきものではないのは当然である。
【0042】
<実施例1>
本実施例においては、NanoActiveTMの名称でNanoScale Materials社から入手できる種々のナノ結晶金属酸化物による臭気原因物質であるイソ吉草酸の除去効能について検討した。イソ吉草酸は一般に人間の汗ばんだ足の悪臭に関連した化学物質である。バクテリアおよび真菌類は汗による過剰な湿度で成長し「臭い足」の臭気をつくりだす。足が汗ばむと発汗による湿度および靴の中の暖かい温度(102oFまで達する)がイソ吉草酸を作り出すバクテリアに対する肥沃な繁殖場を作り出す。湿度が高い程バクテリアの増殖の条件がよく、足および靴内の臭気が強くなる。最も一般的なイソ吉草酸の発生源の2つはコリネバクテリアおよびミクロコックバクテリアである。足および靴の臭気を成功裏に処理することはこれらの有機体を全滅させイソ吉草酸を破壊することにかかっている。
【0043】
テスト系ではwt/wt比で10:1の溶媒に対するイソ吉草酸および10分間の接触時間を用いた。実験は2つの異なる条件で実施した:(i)乾き環境および(ii)濡れ環境。濡れた環境でおこなう実験は人間の足の条件を模倣したもので必要な水を供給して幾つかの市販されている粉体に含まれる臭気中和剤を活性化した。イソ吉草酸の除去/中和を測定するために2種類の試験方法を適用した:(i)「臭気試験」により処理後の残存イソ吉草酸を定性的に判定する、および(ii)ヘッドスペースGC/MC分析をおこない処理後のイソ吉草酸の除去および/または中和を鑑定し定量する。
【0044】
本実施例で用いた実験装置には研究室用ドラフト、秤、エッペンドルフ型ピペット、ボルテックスミキサー、5972HP質量分析計ディテクターまたは水素炎イオン化検出器を伴ったアルテックEC−WAX(部品#19655)カラム付ヒューレットパッカードシリーズII5890Aガスクロが含まれた。
【0045】
40mLの蓋および中隔付のバイアル瓶を定性分析用に用い、20mLの蓋および中隔付のヘッドスペースGCバイアル瓶を定量分析用に用いた。以下の吸着剤を試験した:NanoActiveTM ZnO(ロット#05−0103)、NanoActiveTM MgO(ロット#02−0117)、NanoActiveTM MgOプラス(ロット#01−0105)、NanoActiveTM ZnOスラリー(水中に7wt%)、MicrogardeTM フットウェアパウダー(Bernard Technologies アジアパシフィック社)、Gold BondTM フットパウダー(CHATTEM社、ロット#0073554−01)、EquateTM フットパウダー(Wal−Mart Stores社)、Odor−EatersTM (Combe社、Dist.ロット#4464518)、Total BodyTM フットパウダー(Total Body Products社、ロット#M3907)、Dr.Scholl'sTM フットパウダー(Schering−Plough HealthCare Products社、50976−03)。イソ吉草酸はSigma− Aldrich社(ロット#0191SPC)から入手した。
【0046】
臭気テストには、それぞれの吸着剤1.0gをバイアル瓶に入れた(乾き法にはすすぎなしのバイアル瓶を使用し濡れ法には水ですすいだバイアル瓶を使用した)。イソ吉草酸100μLを加え直ちにバイアル瓶にフタをして20秒間振盪した。振盪後、それぞれのサンプルを10分間立てて放置したのちに7人の官能検査員により臭覚強度を格付けした。吸着剤はないが同量のイソ吉草酸(100μL)の入ったバイアル瓶をコントロールとして用いた。
【0047】
7人の官能検査員がナノ結晶金属酸化物のイソ吉草酸を除去する効能を評価し、市販されている対照品と比較した。官能検査員は測定値を知覚強度として評価基準上に格付けした。表1には乾きおよび濡れ環境の両方のサンプルで官能検査員が知覚した臭覚強度を示している。官能検査員はナノ結晶金属酸化物で処理された乾きおよび濡れ条件の両方のサンプルからは全く臭気を感知しなかった。NanoActiveTM ZnOスラリーで処理したイソ吉草酸は弱い甘い果実臭を生じた。乾き条件では官能検査員は市販されている対照品から弱から強に至る「臭い足」の臭気を記録した。濡れ条件では市販されている対照品はイソ吉草酸の臭気は軽減したが他のタイプの不快なにおいをつくりだした。
【0048】
【表1】
【0049】
ヘッドスペースGCVMS分析ではそれぞれの吸着剤は3重にテストして最大限の統計学的な信頼性を与えた。それぞれの吸着剤1グラム(1.0g)を20mLヘッドスペースGCバイアル瓶に入れた(乾き法にはすすぎなしのバイアル瓶を用い濡れ法には水ですすいだバイアル瓶を使用した)。イソ吉草酸100μLを加え直ちにバイアル瓶にフタをして20秒間振盪した。振盪後、それぞれのサンプルを接触時間および/または平衡時間として10分間室内条件で立てて放置した。コントロールとして吸着剤はないが同量のイソ吉草酸(100μL)の入ったバイアル瓶を用いた。5mLの気密シリンジで1mLのヘッドスペースサンプルを採った。次いでそれぞれのサンプルを直ちにGCに直接注入した。
【0050】
コントロールのピークサイズ(ピーク面積)を吸着剤で処理したサンプルのピークサイズと比較し取り除かれた物質のパーセントとして記録した。それぞれ3重の試行でサンプルの平均および標準偏差をMicrosoft ExcelTM で使われている方程式AVERAGEおよびSTDEVにより計算した。
【0051】
乾き条件の下でナノ結晶金属酸化物がイソ吉草酸の99%超を取り除いたのに対し、市販の対照品は約0から34.9%の臭気の取り除きを達成した。濡れ条件の下では、ナノ結晶金属酸化物はイソ吉草酸を除去する効能を保ち、98.1から99.6%を取り除き、やはり市販の対照品より優れていた。市販されているフットパウダーは同様の条件の下で約58.5から96.2%の範囲でイソ吉草酸を取り除いた。それぞれの吸着剤のそれぞれ3重の試行の平均値は表2に記録されている。
【0052】
【表2】
【0053】
それぞれの吸着剤に対するイソ吉草酸を取り除いたパーセントは図3および4に図示してある。ナノ結晶金属酸化物は乾き条件下でイソ吉草酸に挑んだ場合、図3に見るとおり市販されている対照品を凌いでいる。濡れ環境の試験(図4)ではナノ結晶金属酸化物が臭気除去能力の優位を保っていることを示している。
【0054】
ナノ結晶金属酸化物吸着剤に曝されたイソ吉草酸の化学分解過程を図5に図解してある。官能検査員に知覚された臭覚強度の結果はヘッドスペースGC/MS分析とナノ結晶金属酸化物が濡れおよび乾きの両環境で臭気を完全に除去した唯一の処方であるという点で一致している。官能検査員はナノ結晶金属酸化物で処理したサンプルからは臭気を知覚しなかった。ヘッドスペースGC分析の結果によるとナノ結晶金属酸化物で処理したサンプルからはイソ吉草酸のピークが検出限界未満であったことを示した。
【0055】
NanoActive金属酸化物の高い化学反応性および高い吸着能力がこれらを市販されている対照品とは明確に異なるものにしている。ナノ結晶金属酸化物は単に臭気をマスクしただけでなく、さらにイソ吉草酸を化学反応により分解していた。
【0056】
<実施例2>
本実施例においては、ナノ結晶金属酸化物処方の乾燥および水性系における幾つかの悪臭標的化合物の臭気除去能力を検討した。選定した標的化合物は異なる臭気系統群を代表するもので、酸性、pH中性、および塩基性化合物を含んでいる。調査に含まれた他の臭気除去処方は市販されているMicroGardeTM および重炭酸ナトリウムであった。MicroGardeTM は特に臭気を除去する様に設計された二酸化塩素放出剤である。重炭酸ナトリウムはよくある臭気除去物質で、以前から多くの臭気除去製品に活性成分として用いられてきている。
【0057】
本実施例において用いた種々の機材には研究室用ドラフト、秤、エッペンドルフ型ピペット、ボルテックスミキサー、5972HP質量分析検出器または水素炎イオン化検出器を伴ったアルテックEC−WAX(部品#19655)カラム付ヒューレットパッカードシリーズII5890Aガスクロ、および液体窒素冷却検出器を装備したElectron Nicolet 6700 FTIRが含まれた。
試験した標的の物質にはイソ吉草酸(CAS#503−74−2、Sigma Aldrichロット#0191 SPC)、エチルメルカプタン(CAS#75−08−1、Acrosロット#A020001801)、カダベリン(1,5−ジアミノペンタン、95%、CAS#462−94−2、Sigma Aldrichロット#13322JD)、水酸化アンモニウム、(28〜30%Sigma Aldrich品、CAS#1336−21−6、ロット#14015HC)、およびアセトアルデヒド(CAS #75−07−0、Sigma Aldrichバッチ#00163−AD)が含まれた。
【0058】
標的物質は以下の吸着剤処方で試験された:NanoActiveTM 金属酸化物の7%水性処方、重炭酸ナトリウム乾燥粉末(CAS#144−55−8、Sigma Aldrichロット#094K0066)、重炭酸ナトリウムの7%水性処方、脱イオン水、およびMicroGardeTM。
選択した吸着剤処方の臭気除去能力を評価するために2種類の分析系を用いた。最初の分析系には水素炎イオン化検出器を装備したヘッドスペースガスクロマトグラフ系が含まれた。2番目の分析系には液体窒素冷却MCT検出器を装備したThermo Scientific Nicolet 6700 FT−IR分光計内に設けられた10cmガスセルが含まれた。
【0059】
GC−FIDによるヘッドスペース分析の準備で、ヘッドスペースバイアル瓶(20mL)にラベルを付けて吸着剤処方1g充填し(試験用バイアル瓶)または空のままとした(ブランク用バイアル瓶)。次いですべてのバイアル瓶に予め決めた量の悪臭課題物質を充填した。充填後バイアル瓶に直ちにフタをして10秒間振盪し物質とテスト物を混合した。充填したヘッドスペースバイアル瓶はヘッドスペースGC/FIDで分析する前に10分間立てて放置し平衡にした。アセトアルデヒドの場合は、貯蔵のアセトアルデヒドをJulabo冷却浴内で−15℃に維持した。ヘッドスペースバイアル瓶は30秒間液体窒素内で冷却した後に冷却したミクロリットルシリンジを用いて50μLのアセトアルデヒドを充填した。これらの過程は取扱中の蒸発によるアセトアルデヒドのロスを最小とするために必要であった。エチルメルカプタンおよびカダベリンは取扱中に同様の冷却技法を必要とはしなかった。それぞれのヘッドスペースバイアル瓶(テスト用およびブランク用)には50μLのエチルメルカプタンまたはカダベリンが入り直ちにフタをし、振盪し、次いで分析の前に平衡にさせた。すべてのサンプルおよびブランクは3重におこなわれた。アセトアルデヒド、エチルメルカプタンおよびカダベリンに関するガスクロマトグラフィー法のパラメータは表3および4に与えられている。
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
FT−IRによるガス相分析の準備のため、10cmガスセル装置を窒素ガスで5〜10分間パージした。パージ期間に続いて分解能8.0で集めた256スキャンを平均してバックグラウンドスペクトルを記録した。次に、100μlの水酸化アンモニウム(28〜30%アンモニアを水に入れる)をガスセル装置のゴム中隔ポートを介して丸底フラスコに入れ、10分間放置して平衡にした。平衡化の後、分解能8.0で集めた256スキャンを平均してアンモニアのベースラインスペクトルを記録した。963および927cm−1 に位置するバンドを積分しピーク面積をベースライン値として記録した。アンモニアのベースラインスペクトルを入手した後、ゴム中隔ポートを介して吸着剤調合物1gをきれいなガスセル装置内に入れてサンプルを分析した。次に、水酸化アンモニウム100μlをフラスコに加え混合物を20秒間振盪した。混合物を10分間放置して平衡にし、その後赤外スペクトルを記録した。963および927cm−1 に位置するバンドを積分しピーク面を記録した。すべてのサンプルおよびブランクは3重に試験された。
【0063】
GC−FIDおよびGC−MS分析については、除去パーセントを計算するために次の式を用いた:
ここに:
S=サンプルのピーク面積の平均値
B=ブランクのピーク面積の平均値
FT−IR分析については除去パーセントを計算するために次の式を用いた:
Ii=963cm−1のサンプルの平均ピーク強度
Ki=963cm−1のブランクの平均ピーク強度
Iii=927cm−1のサンプルの平均ピーク強度
Kii=927cm−1のブランクの平均ピーク強度
【0064】
アセトアルデヒドに挑戦した際は、図6に描かれている様に、ナノ結晶金属酸化物処方の方が市販されている対照品(重炭酸ナトリウムおよびMicroGardeTM)より優れていた。ナノ結晶金属酸化物処方はヘッドスペースから物質の99.9%超を除去したが、一方重炭酸ナトリウムおよびMicroGardeTM は全く効果がなくアセトアルデヒドの1%未満しか除去できなかった。水性をベースとした金属酸化物処方は乾燥粉末処方に比べて成績はわずかに低下し、テスト系のヘッドスペースからアセトアルデヒドの87.6%を除去した。一方で重炭酸ナトリウムは水性ベースの処方で挑戦した場合には著しい改善を示した。水性をベースとした重炭酸ナトリウム処方はアセトアルデヒドの84.5%を除去したが重炭酸ナトリウムの乾燥粉末はアセトアルデヒドの1%未満しか除去できなかった。図7に示す様に、水性をベースとした重炭酸ナトリウム処方の成績は水単独と等しかった。したがって、水性の形における著しい改善は重炭酸ナトリウムによるものではなく、アセトアルデヒドの水に対する親和性に帰することができる。水単独が用いられた場合にヘッドスペース濃度は低減するが、図8では加熱によりアセトアルデヒドがヘッドスペース内に解放されて戻ってしまうことを示している。25℃では水はアセトアルデヒドの90.5%を除去するが、75℃まで加熱するとわずか45.9%だけが除去される。
【0065】
図9に描かれているとおり、ナノ結晶金属酸化物の乾燥粉末がカダベリンに挑戦した場合、ヘッドスペースのカダベリンの濃度を下げるうえで市販の対照品の乾燥粉末より効果的であった。アセトアルデヒドの挑戦と同様に、重炭酸ナトリウムの乾燥粉末はテスト系のヘッドスペースからカダベリンを除去するためには効果がなく、スラリー状で用いた場合にのみ効果があった。カダベリンは、アセトアルデヒドと同様に、水または水性ベースの処方で処理した場合に同等の量がヘッドスペースから除去された。この傾向はカダベリンの水に対する親和性に帰することができる。アセトアルデヒドと同様に、カダベリンのヘッドスペース濃度は水単独で低減されるもので、しかし加熱または圧力低下が起きると簡単にヘッドスペース内に解放されて戻ってしまう。
【0066】
図10に描かれているとおり、エチルメルカプタンに挑戦した場合、ナノ結晶金属酸化物処方はその市販されている対照品(重炭酸ナトリウムおよびMicroGardeTM)より優れていた。ナノ結晶金属酸化物処方はテスト系のヘッドスペースからエチルメルカプタンの99.9+%を取り除いたが、一方重炭酸ナトリウムおよびMicroGardeTM が取り除いたのはそれぞれ43.3%および12.0%であった。エチルメルカプタンに挑戦した場合、水性ベースのナノ結晶金属酸化物処方は重炭酸ナトリウムより優位を示した。エチルメルカプタンは、アセトアルデヒドおよびカダベリンとは異なり、ほんの少ししか水に溶解しない(0.1〜1%)。溶解性が低いということは図7に示す様に、テスト系のヘッドスペースからエチルメルカプタンを取り除くうえで水はほとんど寄与しないことになる。かくして、エチルメルカプタンの87.6%を取り除いたのはスラリー処方中に存在するナノ結晶金属酸化物のせいで、水ではないとすることができる。
【0067】
アンモニアに挑戦した場合では、図11に描かれている様に、乾燥粉末ナノ結晶金属酸化物処方(79.2%除去)は水性ベースのナノ結晶金属酸化物処方(84.4%除去)に比べ効果が少なかった。スラリー状の重炭酸ナトリウムはテスト系のヘッドスペースからアンモニアの86.1%を取り除き全体で最高の達成者であった。全体として、水性ベースの処方がより効果を現し、乾燥粉末ナノ結晶金属酸化物処方よりわずかに良好であった。最も効果がなかった処方は乾燥粉末重炭酸ナトリウム(53.0%除去)でMicroGardeTM(62.4%除去)がこれに続いた。
【0068】
<実施例3>
本実施例においては、上の実施例1および2で試験したナノ結晶金属酸化物を用いて喫煙者が以前運転していた2004ホンダシビックを処理した。車両は処理に先立ち清掃し隅々まで掃除されたが、それとわかるタバコの煙臭が存在した。ナノ結晶金属酸化物の粉体処方品(53.3グラム)を家具地、カーペット、およびダッシュボードを含む車の内部のあらゆる面に散布した。ナノ結晶金属酸化物粒子の水性懸濁液(約1リットル)を車のヘッドライナー(天井板部分)、垂直面(車座席家具地を除く)、硬質面、トランク内側、および座席の下など手の届きにくい場所にスプレーした。車には床マットは全くなかった。粉体は家具地にすり込まれ車を閉めて一晩(15時間)放置して脱臭した。実験中の温度は施工時の55oFから下は夜間の30oFであった。
一晩の処理の後、車は4人の人間がタバコ臭レベルの改善について評価した。すべての者が車の臭気が著しく改善されたことに気付いた。
【0069】
<実施例4>
本実施例においては、大腸菌(ATCC#10536)および黄色ブドウ状球菌(ATCC#6538)に対するNanoActiveTM ZnOの抗菌特性を試験した。本実施例に用いた消毒した試験管のそれぞれのセットを適切な栄養ブイヨンで満たし、望ましい量のNanoActiveTM ZnOを加えた。準備ができ次第、有機体の保存培養株をそれぞれの試験管に加えた。試験管にフタをしてそっとかき混ぜた。管をそれから37℃の培養器に初期培養期間(24時間)おいた。培養後、管を濁り(曇り)について目視検査し部分標本を抜き出して新しい培養液に入れた。さらに約24時間の培養期間の後(合計48時間の培養時間)、管を検査してバクテリアの成長の有無について確認した。
【0070】
表5に示すとおり、NanoActiveTM ZnOの48時間の継代培養管は低濃度の吸着剤(1.00%から0.25%の範囲)でも全く成長を示さず、NanoActiveTM ZnOが大腸菌を殺すのに有効であることを証明している。より旺盛でより殺しにくいブドウ状球菌に対しては、NanoActiveTM ZnOは4%の濃度で有効であった。
【0071】
【表5】
【0072】
特定の仮説にこだわるまでもなく、亜鉛イオンはマグネシウムイオンに置き換わり糖分解酵素を抑制することによりバクテリアの酵素系を混乱させるとされている。さらに、この金属はバクテリア細胞膜のペプチドグリカンに見いだされるイオウに対して高い親和性および誘因力を持ち、ジスルフィド結合の混乱を導く。これらイオウ結合の減少がタンパク質の変性を引き起こし、細胞が酸素を移送することを妨げ、かくしてバクテリアの酸素を代謝する能力を不能にする。
【0073】
<実施例5>
うどん粉菌およびある種の真菌類は、家庭内のような多くの閉鎖環境で問題となるような臭気を持っている。本実施例においては、白癬菌および青カビに対するNanoActiveTM ZnOの抗真菌性活性度を試験した。ナノ結晶ZnOを液体肉汁培地で満たした試験管に希望量だけ加えた。培地をゆっくりかき混ぜZnOを培地管全体に分散させ次いで菌株懸濁液を接種した。培養物懸濁液を成長のため24時間放置し、それから新たな培地内に移しさらに24時間培養した。管は目視により成長を検査した。
結果は表6に示してある。ナノ結晶ZnOの48時間継代培養管は吸着剤濃度4.0%で成長を示さなかった。
【0074】
【表6】
【0075】
<実施例6>
本実施例においては、さらなる抗菌試験をスタキーボツリスおよびアルタナリア菌糸体に対してNanoActiveTM ZnOを用いて実施した。適切な増殖培養地のペトリ板を用意し真菌類を接種した。有機体を放置して成長させた。芝生(様)に成長を終えたところで真菌類をナノ結晶ZnOで処理した。75分間の接触時間が経過した後、処理した芝生板からプラグ(サンプル)を取り出し新しい培地板に置いた。板は正の制御で十分な成長が認められるまで放置された。
【0076】
ナノ結晶ZnOはアルタナリアの90%近くの成長低減を達成した。スタキーボツリス菌糸体を用いた研究ではナノ結晶ZnOは、1週間の試験でサンプルの約18%で真菌類の成長を完全に抑制し残りの72%のサンプルの成長を著しく低下させた。
【0077】
<実施例7>
本実施例においては、青カビ(ATCC#11797)に対するペレット形状のNanoActiveTM ZnOの抗菌能力を試験した。青カビを接種した寒天培地板にナノ結晶ZnOを置いた。真菌類の成長パターンを監視しコントロール(ペレット無し/不活性ペレット)のそれと比較した。ナノ結晶ZnOは効果的に有機体の成長を抑制することができ、このことはペレットの周りに抑制域ができたことおよびペレット上では一度も成長が確定しなかった(30日間実験)ことから観察された。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】有機リン系殺虫剤のパラチオンがナノ結晶金属酸化物に曝された場合の化学分解過程を描いている。
【図2】アセトンがナノ結晶金属酸化物に曝された場合の化学分解過程を描いている。
【図3】何種類かの吸着剤による乾き条件下で除去されたイソ吉草酸のパーセントのグラフである。
【図4】何種類かの吸着剤による濡れ条件下で除去されたイソ吉草酸のパーセントのグラフである。
【図5】ナノ結晶金属酸化物に曝されたイソ吉草酸の化学分解過程を描いている。
【図6】種々の吸着剤物質により除去されたアセトアルデヒドのパーセントのグラフである。
【図7】水、水性基調処方のナノ結晶金属酸化物、および水性処方の重炭酸ソーダを用いた場合の3種類の悪臭化合物に対する臭気除去を比較したグラフである。
【図8】異なる温度において水単独による臭気除去を比較したグラフである。
【図9】何種類かの吸着剤物質によるカダベリンの除去パーセントのグラフである。
【図10】何種類かの吸着剤物質によるエチルメルカプタンの除去パーセントのグラフである。
【図11】何種類かの吸着剤物質によるアンモニアの除去パーセントのグラフである。
【図12】何種類かの吸着剤物質によるパラオクソンの除去を比較したグラフである。
【図13】何種類かの吸着剤物質によるアセトアルデヒドの吸着を比較したグラフである。
【技術分野】
【0001】
本出願は2005年10月26日出願の米国仮出願書第60/730341号および2006年1月20日出願の米国仮出願書第60/760802号による利益を主張するとともに本願に引用して明細書とする。
【0002】
本発明はナノ結晶金属酸化物および金属水酸化物粒子を用いて広く臭気、とりわけ閉鎖環境内に存在する臭気の処理に関係する。
【背景技術】
【0003】
一般的な悪臭源には煙/タバコ、人およびペットの糞便、糸状菌およびうどん粉菌、バクテリア、食物、飲料(腐ったミルク)、嘔吐物、および汚れた衣服が含まれる。悪臭には多くの異なる発生源があるが、化学的に言えば、大多数の悪臭は本質的に有機物(炭素含有化合物)である。悪臭は車やビルの様な閉鎖環境内の有機物表面に容易に浸透、貫通、充満しかつ纏わりつくことがある。
【0004】
家庭内では多様な臭気問題が起こる。不愉快な臭気のいくつかの主たる原因は生物学的な汚染の結果である。微生物の有機体が朽ちて腐敗するとそれらはガスおよび有毒蒸気を放出する。悪いことにこれらは単に感性上の問題だけではない。これらおよび他の臭気原因化合物に対する深刻なおよび繰り返し暴露により吐き気から死に至るまでの健康の懸念が起こりうる。EPA(米国環境保護庁)および議会では今や室内空気汚染は米国の第一の環境健康問題と見なされている。アメリカ人の4〜5百万人がすでに化学的に引き起こされた環境疾病の影響を被っていると推定されている。しっかり密閉されたビルや家庭はよりエネルギー効率的であるかもしれないが汚染物および微生物を屋内に閉じこめてしまうこともでき、アレルギー、臭気、カビ、および疾病を引き起こす。
【0005】
さらに、EPAは17年におよぶ研究を実施し、普通の家庭用洗剤を用いることが主な原因で家庭内で働く女性はオフィスで働く者よりガンで死亡する危険が55%高いことを見いだした。アメリカの家庭で見いだされた製品の幾つかには潜在的に有害な化学物質成分を有している。これらの製品にはオーブン用洗剤、ペンキ剥離剤、殺虫剤、溶剤、排水管洗剤、その他が含まれる。
脱臭処理は一般に2つの方向、すなわちマスキングまたは排除により対処される。臭気のマスキングが用いられる場合悪臭の発生源は排除されず、やがて「マスキング」剤がなくなった時点で戻ってくる。多くの場合、悪臭は強烈であるためにマスキング剤には効果がない。一方、排除による処理は、その発生源を除去することにより悪臭を取り除く。排除は物理的に汚染面を置き換えるかまたは臭気原因物質そのものを除去することにより達成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
種々の発生源から臭気を軽減するための多数の化合物および方法が開発されてきている。しかしながらこれらは限られた成功しか収めておらず、それは広範な発生源に関連する臭気が複雑で異なる物質の混合物を構成することができるからで、アンモニアの様な無機塩基、ブチル酸およびイソ吉草酸の様な有機酸、もしくはアセトアルデヒドおよびメチルメルカプタンの様な中性分子が含まれるがこれらに限定されるものではない。これらの物質により引き起こされる臭気を軽減する最も一般的な方法は、(i)臭気マスキング芳香を用いて臭気をマスキングする、(ii)活性炭、重炭酸ナトリウム、および天花粉の様な無機材料を用いて臭気を吸着する、(iii)悪臭物質を作り出すバクテリアを減少させるために二酸化塩素の様な合成物を用いる、ことが含まれる。しかしながらこれらの方法は次の様な問題を呈する:(i)臭気はマスキングされるだけで除去されない、(ii)これら伝統的な吸着剤の吸着能力は限定的である、(iii)酸化剤を用いることにより2次的な汚染物を作り出しかねない、さらに(iv)吸着剤は例えば濡れた環境の様な特定な条件の下でのみ有効である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は表面積が大きく非常に多孔質なナノ結晶金属酸化物および金属水酸化物を用い、臭気および悪臭化合物を作り出す微生物を除去する方法を提供することにより上の諸問題を克服する。本発明はとりわけ区域または空間、特にビル内の部屋または乗り物の内部の様な閉鎖空間の脱臭に適している。
【0008】
実施態様の一つでは、本発明による方法は相当量のナノ結晶粒子を、複数の暴露面を呈しその少なくとも一部が閉鎖空間を規定する様な閉鎖空間内に分散することから構成される。ナノ結晶粒子は閉鎖空間内のバクテリアの様な臭気および臭気原因物質を吸着するのに効果的である。予め決めておいた経過時間の後、悪臭化合物を表面に吸着した粒子の少なくとも一部を閉鎖空間から取り除き、その空間は処理前に比べて脱臭されさわやかな香りになっている。
【0009】
本発明による別の実施態様において、閉鎖空間は先ず清掃して内部の面にある可能性のあるふわふわしたゴミや異物を取り除く場合がある。特定の面はそれから濡らしてもよく、これによりナノ結晶粒子をより適応しやすくする。それから閉鎖空間内に位置する種々の面にナノ結晶粒子を適用することができる。閉鎖空間内に粒子を分散した後、できるだけ多くの粒子を湿式および乾式の清掃技法の組み合わせを用いて除去する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は種々の悪臭の除去/中和のために、広くナノ結晶材料、とりわけナノ結晶金属酸化物/水酸化物、塗膜金属酸化物/水酸化物(例えば、ハロゲン塗膜)、ドープ済み金属酸化物/水酸化物、界面活性剤塗膜ナノ結晶金属酸化物およびこれらの混合物、を使用する方向に向けられている。ここに用いる「金属酸化物」および「金属水酸化物」という用語は全体として、好ましくは主成分として、金属酸化物または金属水酸化物から構成される様な素材を意味する。
【0011】
本発明に関連して好まれるナノ結晶材料にはMg、Sr、Ba、Ca、Ti、Zr、Fe、V、Mn、Ni、Cu、Al、Si、Zn、Ag、Mo、Sb、およびこれらの混合物の金属酸化物および金属水酸化物が含まれる。その外で好まれるナノ結晶材料には米国特許第6093236号および第5759939号(他の金属酸化物で塗膜された金属酸化物)で開示されている様な塗膜付ナノ結晶材料、米国特許第6653519号、第6087294号および第6057488号 (ナノ結晶材料でその表面に活性原子を固定して持ち、活性原子が酸素イオン成分、オゾン、ハロゲン類、および第1類金属を含む) で開示されている様なハロゲン化粒子、および米国特許第6887302号および第6860924号(ナノ結晶材料で界面活性剤、ワックス、油、シリル、合成または天然のポリマー、または樹脂で塗膜されている)に記載されている空気中で安定しているナノ結晶材料が含まれ、これらのすべてを本願に引用して本明細書とする。ナノ結晶材料は結晶子寸法が約25nm未満であることが好ましく、20nm未満がより好ましく、10nm未満が最も好ましい。ナノ結晶粒子はBranauer、Emmett、Teller(BET)法による多点表面積が少なくとも約15m2/gあることが好ましく、少なくとも約70m2/gあることがより好ましく、約100〜850m2/gあることが最も好ましい。代表的なナノ結晶材料はNanoActiveTMの名称でカンザス州マンハッタンのNanoScale Materials社から入手できる。
【0012】
ナノ結晶材料はとりわけ物体、ならびに閉鎖された移動および固定環境の臭気を除去するためのクリーニング作業に有用である。臭気マスキング方法とは対照的に、ナノ結晶材料は臭気原因物質に接触し、吸着し、それから中和する。さらに本発明はこのクリーニング作業中のナノ結晶材料の搬送システムを提供する。特定の作業に対する適切な搬送方法は関係する物体、面または区域に大きく依存する。以下において種々のクリーニングシステムおよびナノ結晶材料を搬送する方法についてより詳細に論じる。
【0013】
本発明による方法およびシステムは多くの移動式および固定式の両方の閉鎖環境を脱臭することに使用することができる。典型的な閉鎖的移動環境には車およびトラック、レクリエーション用車輌(RV車)、ヨット、飛行機、などが含まれる。典型的な閉鎖的固定環境には家庭、オフィス、死体安置所および葬儀場、学校、レストラン、保健施設、病院、公共建築物、寄宿舎、ホテル、モーテル、動物保護施設、工業プラント、ゴミ集積場/収集箱、などが含まれる。かくして、ナノ結晶材料はこれらの脱臭作業に使用できる様な幾つかの製品に組み込まれる場合がある。このような製品には一般にカーペット脱臭剤、ペット脱臭製品、車用脱臭製品、冷蔵庫脱臭剤、工業用清掃製品、および人間臭気除去製品が含まれる。
【0014】
ナノ結晶材料を用いて多種多様な悪臭およびその発生源を処理することができる。処理可能な典型的な悪臭(およびその発生源)には:動物臭、動物排泄物臭、アスファルトヒューム、黒こげ物質、洗浄用化学物質、腐敗している死体、腐敗植物、洗剤、おしめ、排気ガス、燃料(すなわち、ガソリン/ディーゼル)、揮発性物質、有機化合物ヒューム(例えば、ペンキ、ワニス、および溶剤臭)、湿気や洪水による臭気(例えば、糸状菌およびうどん粉菌)、人体臭(すなわち、汗、細菌感染症、尿および糞便臭)、狩猟臭(すなわち、鹿の尿)、台所臭(すなわち、冷蔵庫臭、焦げた食物、料理臭、魚、家禽、ニンニク、タマネギ、悪臭のする油)、薬品臭、下水溝ガス、煙(例えば、タバコの煙臭)および生ゴミが含まれる。
【0015】
カーペット、地下室、および戸棚は不快な臭気の発生源となるバクテリアの主たる繁殖場所である。これらの汚れた面および濡れた環境がグラム陰性有機体である大腸菌およびグラム陽性の黄色ブドウ状球菌の様なバクテリアの成長を助長する。ナノ結晶金属酸化物および金属水酸化物、とりわけ酸化亜鉛は大腸菌(ATCC#10536)およびより旺盛でより殺すのが難しいグラム陽性のブドウ状球菌(ATCC#6538)を殺すのに効果的である。透過電子顕微鏡(TEM)画像ではナノ結晶金属酸化物および金属水酸化物で処理したバクテリアは2分間の接触時間で、細胞膜が破裂して破壊されることを示した。
【0016】
うどん粉菌およびある種の真菌もまた問題となる様な臭気を作り出すことができる。これらの臭気を効果的に除去するためには、湿度および真菌の成長をコントロールしなくてはならない。NanoActiveTM ZnOを用いた抗真菌効果研究が真菌有機体を含む液状媒体を満たした試験管内で実施された。ナノ結晶ZnOが真菌有機体の成長を抑制しこれにより真菌が作り出す悪臭を減少することが見いだされた。
【0017】
ナノ結晶金属酸化物および金属水酸化物はさらに殺虫剤および揮発性有機化合物(VOC)の様な広範囲の望ましくない化学物質を化学的に分解する能力を持っている。合衆国では91%を超える所帯で殺虫剤が用いられている。殺虫剤による屋内汚染は極めてありふれている。大多数の人間の殺虫剤に対する暴露の80%は屋内でおこなわれ、家庭内の空気からは1ダースもの測定可能レベルの殺虫剤が見いだされていることが示唆されている。その理由には外から流れ込みまたは足につけて運び込まれる汚染された土壌またはホコリ、保管されている殺虫剤容器、および殺虫剤を取り込みそれから放出する家庭内の面が含まれる。
【0018】
これらの殺虫剤の内、半数を超えるものは有機リン酸系化合物から成ると推定されている。すべての有機リン酸化合物(OP)は亜リン酸類から誘導され、部類としては一般に脊椎動物にとってはすべての殺虫剤中で最も有毒である。有機リン酸化合物は「神経ガス」に類似した化学構造を示す場合があり、したがってその挙動もまた比較的類似している。OPの殺虫剤特性は第2次大戦中にドイツで極めて有毒なOP神経ガスのサリン、ソマン、およびタブンの研究の中で初めて観察された。
【0019】
有機リン化合物は神経系の重要な酵素、具体的にはコリンエステラーゼを抑制することにより作用する。酵素は殺虫剤のリン部分に取り付くとリン酸化し、この結合は不可逆である。この抑制はニューロン/ニューロンおよびニューロン/筋肉(神経筋)接合部またはシナプスにおけるアセチルコリンの蓄積をもたらし、随意筋の急激な痙攣を引き起こしやがては麻痺させる。さらに例え低レベルのOP殺虫剤でも長期の暴露はペットや人、とりわけ家庭内では殺虫剤の最大濃度である床に直接接して時間の大部分を過ごしがちな小さな子供に対しては健康に有害な影響を引き起こす。
【0020】
ナノ結晶金属酸化物および水酸化物はその強化された化学反応性によりこれら非常に有毒な化合物の多数を化学的に分解することができる。以下のものはナノ結晶材料により破壊することが可能な一般的な殺虫剤の代表的なリストである:アセフェート、アジンホスメチル、ベンスリド、カズサホス、クロレトキシホス、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、クロルチオホス、クマホス、ジアリフロル、ダイアジノン、ジクロルボス(DDVP)、ジクロトホス、ジメトエート、ジオキサチオン、ジスルホトン、エチオン、エトプロプ、エチルパラチオン、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンチオン、ホノホス、イサゾホスメチル、イソフェンホス、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、メチルパラチオン、メビンホス、モノクロトホス、ナレド、オキシデメトンメチル、パラチオン、ホレート、ホサロン、ホスメト、ホスファミドン、ホステブピリム、ピリミホスメチル、プロフェノホス、プロペタムホス、スルホテップ、スルプロホス、テメホス、テルブホス、テトラクロルビンホス、トリブホス(DEF)、およびトリクロルホン。
【0021】
図1はナノ結晶金属酸化物および典型的な有機リン殺虫剤であるパラチオンの間で起こる代表的な化学反応を示す。パラチオンをナノ結晶材料に曝すと、リンと酸素の間の化学結合が壊れ断片はナノ結晶材料の表面に吸着される。
有機化学物質は種々の家庭用製品の成分として広く用いられている。ペンキ、ワニス、およびワックスのすべてが有機溶剤を含み、多くの洗浄、消毒、化粧、脱脂、および趣味用の製品も同様である。さらにすべての種類の燃料は有機化学物質からできている。これらの製品は使用中に、さらにはある程度までは保管中にも、揮発性有機化合物(VOC)を放出しうる。
【0022】
EPAによる「全暴露量評価の系統的分類(TEAM)」に関する研究では1ダースほどのありふれた有機汚染物質のレベルは屋外より屋内の方が、その家庭が田園にまたは高度工業地域に位置するかに関わりなく、2から5倍高いことを見いだした。TEAMの補足研究では、人々は有機化学物質を含む製品を使用する際に本人および他人を非常に高い汚染レベルに曝すことがあることを示した。有機化学物質のこれらの高い濃度は作業が終了した後も長い間空気中に持続することがある。
【0023】
揮発性有機化学物質は化合物の範囲の広い範囲を包含する。これらの化学物質はいくらか有害な有機溶剤から上は非常に有毒かつ腐食性の酸にまでおよぶ。以下のものはありふれたVOCおよび他の有毒化合物の代表的なリストである:アクロレイン、アセトアルデヒド、アセトン、アンモニア、エタノールアミン、ディーゼル燃料、ホルムアルデヒド、塩酸、フッ化水素酸、メタノール、メチレンクロリド、亜酸化窒素、硝酸、ニトロベンゼン、リン酸、ポリビニルアルコール、硫酸、チオ尿素、トルエン、トリエタノールアミン、メチルアクリレート、酢酸、メチルピラジン類、アクリロニトリル、非揮発性ニトロソアミン類、クロトンアルデヒド、N−ニトロソアミン類、カルボン酸類、フェノール類、DDT/デリリン、ピロリジン、ジメチルニトロソアミン、ステアリン酸、エチルアミン、トリメチルアミン、塩化ビニール、およびフルフラール。
【0024】
ナノ結晶金属酸化物および水酸化物材料はこれらの有毒な化合物を屋内空間、工程の流れ、貯蔵施設、およびこれらの有害な化合物が発生する可能性のある他のすべての場所から除去することにとりわけ適している。炭化水素の安定性を受け継いでいるため、ナノ結晶材料はこれらの化合物を化学的に改質しようとはせず、むしろ物理的にこれらを吸収しようとする。しかしながら、ナノ結晶材料はVOCの大多数を化学的に分解することができる。
【0025】
VOCの分解の一例として、アセトンとナノ結晶金属酸化物吸着剤との反応が図2に示されている。見るとおり、反応はカルボニル基と表面部位の相互作用を介して進みこれに金属水素の解離が続く。
ナノ結晶材料はさらに酸を安全で無害な副産物に分解することにより種々の酸を中和するのに用いることができる。一例として無害な塩である金属フッ化物を形成する、金属酸化物を用いたフッ化水素酸の吸着/中和を示す。
MO + 2HF → MF2 + H2O
【0026】
ナノ結晶材料、とりわけナノ結晶金属酸化物は多くの家庭用洗剤内に存在するアンモニアの様な塩基性化合物を中和するのに用いることができる。いかなる特定の仮説にとらわれるまでもなく、吸着はアンモニアと吸着剤の表面の水酸基との間の相互作用により起きるものとされている。
一般に、本発明による悪臭を除去する方法は悪臭を起こしている化学物質をナノ結晶材料と接触させることから構成される。さらに、悪臭の化学物質が生物有機体から作られているなら、有機体をナノ結晶材料と接触させ悪臭の発生源を除去することが好ましい。
【0027】
本発明による方法は閉鎖空間の脱臭にとりわけ有用である。悪臭は一般に閉鎖環境を規定する壁、床、天井、または他の面の中に浸透し残存する傾向がある。さらに、閉鎖空間内のすべての建具も悪臭を捕捉し閉鎖空間の脱臭をいっそう困難にしている。したがって、本発明は全体として金属酸化物および金属水酸化物から成る群から選択された相当量のナノ結晶粒子を閉鎖空間内に分散し、少なくともその一部が閉鎖空間の境界を規定することを助けている内部の露出面に接触させることから構成される。分散される粒子は上で述べたどのようなものであってもよいが、しかしながら、一般に粒子は中和する特定の臭気およびこれを分散する閉鎖環境の性質に基づいて選定される。
【0028】
ナノ結晶粒子の分散に続いて、粒子は一般に閉鎖環境内に予め決められた経過時間だけ存在するように放置され、臭気原因化学物質および生物学的物体を吸着し中和する。予め決められた経過時間が切れた時点で、粒子、(および臭気原因物質)は閉鎖空間から取り除かれる。
【0029】
ナノ結晶粒子は閉鎖環境内に幾つかの方法で分散することができる。分散の方式の選定は主に閉鎖場所の性質に基づく。例えば、閉鎖空間が固定環境(ビルの部屋または家庭の様な)の場合、粒子を閉鎖空間内へ直接スプレーしたり、閉鎖空間内の少なくとも一部の露出面上に直接スプレーしたり、または霧滴に組み込んで閉鎖空間内へ分散することもできる。粒子が霧滴に組み込まれる場合、閉鎖環境に分散する際に、粒子は閉鎖空間内部でかなり均一になる様に分散されることが好ましい。粒子は霧滴内に、少なくとも初期には、約0.1〜100g/m3の間で存在することが好まれ、約1〜75g/m3の間がより好ましく、約5〜50g/m3の間が最も好ましい。粒子を単に粉末または顆粒として閉鎖空間内の露出面部に振りかけて分散することも本発明の範囲内である。
【0030】
さらに粒子は閉鎖空間内の露出面に分散液として塗布することもできる。分散液は面にスプレーして、拭いて、または流れを適用して塗布することもできる。分散液は本質的に水性で約10〜500g/Lの間のナノ結晶粒子を含むことが好ましく、約15〜300g/Lの間がより好ましく、約20〜200g/Lの間が最も好ましい。分散液は粒子の分散を安定化しバランスのとれたpHを維持するために随意的に界面活性剤を含む場合もある。TWEEN80は本発明において用いる代表的な界面活性剤であるが、どのような界面活性剤も、とりわけ親水性で非イオン性界面活性剤を用いることができる。界面活性剤は分散液中に約0.1〜10g/Lの間で存在することが好ましく、約0.5〜7g/Lの間がより好ましい。
【0031】
本発明による好まれる方法には閉鎖空間の最高の脱臭を確実にすることを助ける捕捉的な清掃工程の実施が含まれる。ナノ結晶粒子により閉鎖空間内の露出面を処理する前に、それら露出面の少なくとも一部を清掃しそこのふわふわしたゴミまたは異物を取り除く。このような清掃はありふれた清掃用具および/または水でおこなえる。ふわふわしたゴミまたは異物の除去により面と適用した際のナノ結晶粒子とのより良好な接触が可能となる。閉鎖空間内の露出面の少なくとも一部が織物素材、とりわけカーペット、家具地、布地、紙製品、皮革、およびこれらの混合物から成る群から選択された織物素材で構成されている場合もある。閉鎖空間であることから、他のすべての面はプラスチック、金属、木材、乾式壁、ペンキ、発泡体、およびこれらの混合物の様な非織物素材から構成される。ふわふわしたゴミまたは異物の除去は露出面を掃き掃除、真空掃除機がけ、拭き掃除、水洗い、散水、またはこすり洗いすることで達成できる。これらの作業には閉鎖空間内のカーペット、敷物、または他の家具地の真空掃除機がけおよび/または蒸気洗浄、窓洗い、およびホコリ払いも含まれる。
【0032】
ある適用例では、織物素材に対してはナノ結晶粒子と接触してしまう前に濡らしておくことが好ましい。かくして、ふわふわしたゴミおよび異物を取り除く最初の清掃の後、織物素材面は水および、随意的に洗剤で濡らされる。従来からどのようなある洗剤でも織物素材と相性がよく、これを損なうことがない限り用いることができる。織物素材面は湿ったまま置かれることが好ましく、これによりナノ結晶粒子を濡れた面に塗布することができる。濡れた面によりナノ結晶粒子が織物素材の繊維にくっつきやすくなる。さらに、織物素材を濡らすことはある種のバクテリアおよび微生物の活動を増大させ、これによりナノ結晶粒子により殺されやすくする。
【0033】
織物素材をナノ結晶粒子で上に述べた様なやり方の一つにより処理した後、織物表面を水で処理し、このことにより悪臭を表面に吸着したナノ結晶粒子の少なくとも一部を取り除くことが好ましい。この水処理工程は上に記載したどの方法を用いておこなうこともできるが、この工程がスチームクリーナーまたは湿式真空掃除機を用いて実施されることが好ましい。
【0034】
閉鎖空間内の他の面(すなわち、非−織物面)は織物表面と同時にナノ結晶粒子で処理することができる。この様な同時処理は噴霧法または上で述べた他の技法の一つによりおこなうことができる。また、粒子適用方法は織物および非−織物の双方に対して同じ必要はない。例えば、織物表面には粉末の散布によりナノ結晶粒子を適用し、非−織物表面に対してはナノ粒子の分散液をスプレーしてもよい。
【0035】
粒子は予め決めておいた経過時間だけ放置され閉鎖空間内の露出面と接触する。的確な時間の長さは処理の前に閉鎖空間内の悪臭の濃度および性質に基づき選定することができる。しかしながら、ナノ結晶粒子は露出面に少なくとも約1分間接触して放置されることが好まれ、少なくとも約5分間がより好ましく、少なくとも約15分間が、最も好ましい。
【0036】
面がナノ結晶粒子で処理され引き続き織物面が水で処理されて粒子の少なくとも一部が取り除かれた後、面は放置されて乾燥する。一般にこの乾燥工程では織物面の少なくとも一部に粒子の粉末残渣が残る。粒子は非−織物表面にも同様にわずかに残ることもあるし、または閉鎖空間内の比較的水平な面に留まる場合もある。
この場合は織物素材面上の粉末残渣は乾式真空掃除機、圧縮空気、または同様の手段で除去することができる。非−織物表面に付着または沈着して残った粒子は少なくとも面の一部を従来型の洗剤(石けんと水の様な)で清掃して除去できる。
【0037】
粉末残渣が織物の表面から除去された後、必要ならば、織物の表面は再び水で処理して織物素材内に残っているさらなる量の粒子を取り除くこともできる。上に述べた様に、このような水処理はスチームクリーナーまたは湿式真空掃除機を用いておこなわれることが好ましい。臭気が特に強烈な場合は、上に述べた処理を臭気が十分に取り除かれるまで複数回繰り返す必要がある場合もある。
【0038】
本発明による別の実施態様では、ナノ結晶粒子は予防的な感覚、すなわち閉鎖空間の内部で悪臭が形成または蓄積することを防ぐために使われることもある。ナノ結晶材料は閉鎖空間を作り上げている素材に埋め込むこともできる。例えば、車、トラック、ボート、汽車および飛行機の座席に用いられる家具地または詰め物材料の繊維はこれとともにナノ結晶粒子を組み入れて製造することもできる。したがって、織物そのものが悪臭を吸着することができる。さらに、種々の建築材料または建具が作られる材料にもナノ結晶材料を含ませ悪臭が蓄積することを防ぐことができる。例えば、閉鎖空間内で用いられる乾式工法の壁または敷物材料内にナノ結晶粒子を組み込むこともできる。さらにナノ結晶粒子は閉鎖空間内の空気が通って循環するろ過媒体に組み込むこともできる。
【0039】
本発明は靴の中で用いる足の脱臭製品に組み込むこともできる。そのような製品には靴の敷き皮およびスプレーを含めることができる。ナノ結晶金属酸化物粒子は非毒性であり、したがって人体に近接して用いても安全である。
本発明が実施できる温度の範囲は氷点下から、周辺環境を経て、上は数百oFまでである。本発明は周辺環境の、大気温度および圧力条件下で実施されることが好ましい。
【0040】
本発明に伴って用いられるナノ結晶材料および処方は通常は別添加の芳香または香料を含まない。このような香料は一般に臭気をマスキングするために用いられ、対照的に本発明は臭気を完全に除去しようと努めている。ナノ結晶材料は重炭酸ナトリウムまたは他の従来からある臭気吸着材料を含まないことが好ましい。さらに、ナノ結晶材料およびナノ結晶材料を含む処方には有機溶媒を含まないことが好ましい。ある実施態様では、ナノ結晶吸着剤の系全体が有機材料を全く含まず、これにより系全体を無機にしている。
【0041】
実施例
以下の実施例ではナノ結晶金属酸化物材料を用いて悪臭を発生する種々の化学物質および生物的物質を吸着する種々の実験を説明する。しかしながら、これらの実施例は説明のために提供するもので、その中のいかなるものも本発明を制約するものと見なされるべきものではないのは当然である。
【0042】
<実施例1>
本実施例においては、NanoActiveTMの名称でNanoScale Materials社から入手できる種々のナノ結晶金属酸化物による臭気原因物質であるイソ吉草酸の除去効能について検討した。イソ吉草酸は一般に人間の汗ばんだ足の悪臭に関連した化学物質である。バクテリアおよび真菌類は汗による過剰な湿度で成長し「臭い足」の臭気をつくりだす。足が汗ばむと発汗による湿度および靴の中の暖かい温度(102oFまで達する)がイソ吉草酸を作り出すバクテリアに対する肥沃な繁殖場を作り出す。湿度が高い程バクテリアの増殖の条件がよく、足および靴内の臭気が強くなる。最も一般的なイソ吉草酸の発生源の2つはコリネバクテリアおよびミクロコックバクテリアである。足および靴の臭気を成功裏に処理することはこれらの有機体を全滅させイソ吉草酸を破壊することにかかっている。
【0043】
テスト系ではwt/wt比で10:1の溶媒に対するイソ吉草酸および10分間の接触時間を用いた。実験は2つの異なる条件で実施した:(i)乾き環境および(ii)濡れ環境。濡れた環境でおこなう実験は人間の足の条件を模倣したもので必要な水を供給して幾つかの市販されている粉体に含まれる臭気中和剤を活性化した。イソ吉草酸の除去/中和を測定するために2種類の試験方法を適用した:(i)「臭気試験」により処理後の残存イソ吉草酸を定性的に判定する、および(ii)ヘッドスペースGC/MC分析をおこない処理後のイソ吉草酸の除去および/または中和を鑑定し定量する。
【0044】
本実施例で用いた実験装置には研究室用ドラフト、秤、エッペンドルフ型ピペット、ボルテックスミキサー、5972HP質量分析計ディテクターまたは水素炎イオン化検出器を伴ったアルテックEC−WAX(部品#19655)カラム付ヒューレットパッカードシリーズII5890Aガスクロが含まれた。
【0045】
40mLの蓋および中隔付のバイアル瓶を定性分析用に用い、20mLの蓋および中隔付のヘッドスペースGCバイアル瓶を定量分析用に用いた。以下の吸着剤を試験した:NanoActiveTM ZnO(ロット#05−0103)、NanoActiveTM MgO(ロット#02−0117)、NanoActiveTM MgOプラス(ロット#01−0105)、NanoActiveTM ZnOスラリー(水中に7wt%)、MicrogardeTM フットウェアパウダー(Bernard Technologies アジアパシフィック社)、Gold BondTM フットパウダー(CHATTEM社、ロット#0073554−01)、EquateTM フットパウダー(Wal−Mart Stores社)、Odor−EatersTM (Combe社、Dist.ロット#4464518)、Total BodyTM フットパウダー(Total Body Products社、ロット#M3907)、Dr.Scholl'sTM フットパウダー(Schering−Plough HealthCare Products社、50976−03)。イソ吉草酸はSigma− Aldrich社(ロット#0191SPC)から入手した。
【0046】
臭気テストには、それぞれの吸着剤1.0gをバイアル瓶に入れた(乾き法にはすすぎなしのバイアル瓶を使用し濡れ法には水ですすいだバイアル瓶を使用した)。イソ吉草酸100μLを加え直ちにバイアル瓶にフタをして20秒間振盪した。振盪後、それぞれのサンプルを10分間立てて放置したのちに7人の官能検査員により臭覚強度を格付けした。吸着剤はないが同量のイソ吉草酸(100μL)の入ったバイアル瓶をコントロールとして用いた。
【0047】
7人の官能検査員がナノ結晶金属酸化物のイソ吉草酸を除去する効能を評価し、市販されている対照品と比較した。官能検査員は測定値を知覚強度として評価基準上に格付けした。表1には乾きおよび濡れ環境の両方のサンプルで官能検査員が知覚した臭覚強度を示している。官能検査員はナノ結晶金属酸化物で処理された乾きおよび濡れ条件の両方のサンプルからは全く臭気を感知しなかった。NanoActiveTM ZnOスラリーで処理したイソ吉草酸は弱い甘い果実臭を生じた。乾き条件では官能検査員は市販されている対照品から弱から強に至る「臭い足」の臭気を記録した。濡れ条件では市販されている対照品はイソ吉草酸の臭気は軽減したが他のタイプの不快なにおいをつくりだした。
【0048】
【表1】
【0049】
ヘッドスペースGCVMS分析ではそれぞれの吸着剤は3重にテストして最大限の統計学的な信頼性を与えた。それぞれの吸着剤1グラム(1.0g)を20mLヘッドスペースGCバイアル瓶に入れた(乾き法にはすすぎなしのバイアル瓶を用い濡れ法には水ですすいだバイアル瓶を使用した)。イソ吉草酸100μLを加え直ちにバイアル瓶にフタをして20秒間振盪した。振盪後、それぞれのサンプルを接触時間および/または平衡時間として10分間室内条件で立てて放置した。コントロールとして吸着剤はないが同量のイソ吉草酸(100μL)の入ったバイアル瓶を用いた。5mLの気密シリンジで1mLのヘッドスペースサンプルを採った。次いでそれぞれのサンプルを直ちにGCに直接注入した。
【0050】
コントロールのピークサイズ(ピーク面積)を吸着剤で処理したサンプルのピークサイズと比較し取り除かれた物質のパーセントとして記録した。それぞれ3重の試行でサンプルの平均および標準偏差をMicrosoft ExcelTM で使われている方程式AVERAGEおよびSTDEVにより計算した。
【0051】
乾き条件の下でナノ結晶金属酸化物がイソ吉草酸の99%超を取り除いたのに対し、市販の対照品は約0から34.9%の臭気の取り除きを達成した。濡れ条件の下では、ナノ結晶金属酸化物はイソ吉草酸を除去する効能を保ち、98.1から99.6%を取り除き、やはり市販の対照品より優れていた。市販されているフットパウダーは同様の条件の下で約58.5から96.2%の範囲でイソ吉草酸を取り除いた。それぞれの吸着剤のそれぞれ3重の試行の平均値は表2に記録されている。
【0052】
【表2】
【0053】
それぞれの吸着剤に対するイソ吉草酸を取り除いたパーセントは図3および4に図示してある。ナノ結晶金属酸化物は乾き条件下でイソ吉草酸に挑んだ場合、図3に見るとおり市販されている対照品を凌いでいる。濡れ環境の試験(図4)ではナノ結晶金属酸化物が臭気除去能力の優位を保っていることを示している。
【0054】
ナノ結晶金属酸化物吸着剤に曝されたイソ吉草酸の化学分解過程を図5に図解してある。官能検査員に知覚された臭覚強度の結果はヘッドスペースGC/MS分析とナノ結晶金属酸化物が濡れおよび乾きの両環境で臭気を完全に除去した唯一の処方であるという点で一致している。官能検査員はナノ結晶金属酸化物で処理したサンプルからは臭気を知覚しなかった。ヘッドスペースGC分析の結果によるとナノ結晶金属酸化物で処理したサンプルからはイソ吉草酸のピークが検出限界未満であったことを示した。
【0055】
NanoActive金属酸化物の高い化学反応性および高い吸着能力がこれらを市販されている対照品とは明確に異なるものにしている。ナノ結晶金属酸化物は単に臭気をマスクしただけでなく、さらにイソ吉草酸を化学反応により分解していた。
【0056】
<実施例2>
本実施例においては、ナノ結晶金属酸化物処方の乾燥および水性系における幾つかの悪臭標的化合物の臭気除去能力を検討した。選定した標的化合物は異なる臭気系統群を代表するもので、酸性、pH中性、および塩基性化合物を含んでいる。調査に含まれた他の臭気除去処方は市販されているMicroGardeTM および重炭酸ナトリウムであった。MicroGardeTM は特に臭気を除去する様に設計された二酸化塩素放出剤である。重炭酸ナトリウムはよくある臭気除去物質で、以前から多くの臭気除去製品に活性成分として用いられてきている。
【0057】
本実施例において用いた種々の機材には研究室用ドラフト、秤、エッペンドルフ型ピペット、ボルテックスミキサー、5972HP質量分析検出器または水素炎イオン化検出器を伴ったアルテックEC−WAX(部品#19655)カラム付ヒューレットパッカードシリーズII5890Aガスクロ、および液体窒素冷却検出器を装備したElectron Nicolet 6700 FTIRが含まれた。
試験した標的の物質にはイソ吉草酸(CAS#503−74−2、Sigma Aldrichロット#0191 SPC)、エチルメルカプタン(CAS#75−08−1、Acrosロット#A020001801)、カダベリン(1,5−ジアミノペンタン、95%、CAS#462−94−2、Sigma Aldrichロット#13322JD)、水酸化アンモニウム、(28〜30%Sigma Aldrich品、CAS#1336−21−6、ロット#14015HC)、およびアセトアルデヒド(CAS #75−07−0、Sigma Aldrichバッチ#00163−AD)が含まれた。
【0058】
標的物質は以下の吸着剤処方で試験された:NanoActiveTM 金属酸化物の7%水性処方、重炭酸ナトリウム乾燥粉末(CAS#144−55−8、Sigma Aldrichロット#094K0066)、重炭酸ナトリウムの7%水性処方、脱イオン水、およびMicroGardeTM。
選択した吸着剤処方の臭気除去能力を評価するために2種類の分析系を用いた。最初の分析系には水素炎イオン化検出器を装備したヘッドスペースガスクロマトグラフ系が含まれた。2番目の分析系には液体窒素冷却MCT検出器を装備したThermo Scientific Nicolet 6700 FT−IR分光計内に設けられた10cmガスセルが含まれた。
【0059】
GC−FIDによるヘッドスペース分析の準備で、ヘッドスペースバイアル瓶(20mL)にラベルを付けて吸着剤処方1g充填し(試験用バイアル瓶)または空のままとした(ブランク用バイアル瓶)。次いですべてのバイアル瓶に予め決めた量の悪臭課題物質を充填した。充填後バイアル瓶に直ちにフタをして10秒間振盪し物質とテスト物を混合した。充填したヘッドスペースバイアル瓶はヘッドスペースGC/FIDで分析する前に10分間立てて放置し平衡にした。アセトアルデヒドの場合は、貯蔵のアセトアルデヒドをJulabo冷却浴内で−15℃に維持した。ヘッドスペースバイアル瓶は30秒間液体窒素内で冷却した後に冷却したミクロリットルシリンジを用いて50μLのアセトアルデヒドを充填した。これらの過程は取扱中の蒸発によるアセトアルデヒドのロスを最小とするために必要であった。エチルメルカプタンおよびカダベリンは取扱中に同様の冷却技法を必要とはしなかった。それぞれのヘッドスペースバイアル瓶(テスト用およびブランク用)には50μLのエチルメルカプタンまたはカダベリンが入り直ちにフタをし、振盪し、次いで分析の前に平衡にさせた。すべてのサンプルおよびブランクは3重におこなわれた。アセトアルデヒド、エチルメルカプタンおよびカダベリンに関するガスクロマトグラフィー法のパラメータは表3および4に与えられている。
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
FT−IRによるガス相分析の準備のため、10cmガスセル装置を窒素ガスで5〜10分間パージした。パージ期間に続いて分解能8.0で集めた256スキャンを平均してバックグラウンドスペクトルを記録した。次に、100μlの水酸化アンモニウム(28〜30%アンモニアを水に入れる)をガスセル装置のゴム中隔ポートを介して丸底フラスコに入れ、10分間放置して平衡にした。平衡化の後、分解能8.0で集めた256スキャンを平均してアンモニアのベースラインスペクトルを記録した。963および927cm−1 に位置するバンドを積分しピーク面積をベースライン値として記録した。アンモニアのベースラインスペクトルを入手した後、ゴム中隔ポートを介して吸着剤調合物1gをきれいなガスセル装置内に入れてサンプルを分析した。次に、水酸化アンモニウム100μlをフラスコに加え混合物を20秒間振盪した。混合物を10分間放置して平衡にし、その後赤外スペクトルを記録した。963および927cm−1 に位置するバンドを積分しピーク面を記録した。すべてのサンプルおよびブランクは3重に試験された。
【0063】
GC−FIDおよびGC−MS分析については、除去パーセントを計算するために次の式を用いた:
ここに:
S=サンプルのピーク面積の平均値
B=ブランクのピーク面積の平均値
FT−IR分析については除去パーセントを計算するために次の式を用いた:
Ii=963cm−1のサンプルの平均ピーク強度
Ki=963cm−1のブランクの平均ピーク強度
Iii=927cm−1のサンプルの平均ピーク強度
Kii=927cm−1のブランクの平均ピーク強度
【0064】
アセトアルデヒドに挑戦した際は、図6に描かれている様に、ナノ結晶金属酸化物処方の方が市販されている対照品(重炭酸ナトリウムおよびMicroGardeTM)より優れていた。ナノ結晶金属酸化物処方はヘッドスペースから物質の99.9%超を除去したが、一方重炭酸ナトリウムおよびMicroGardeTM は全く効果がなくアセトアルデヒドの1%未満しか除去できなかった。水性をベースとした金属酸化物処方は乾燥粉末処方に比べて成績はわずかに低下し、テスト系のヘッドスペースからアセトアルデヒドの87.6%を除去した。一方で重炭酸ナトリウムは水性ベースの処方で挑戦した場合には著しい改善を示した。水性をベースとした重炭酸ナトリウム処方はアセトアルデヒドの84.5%を除去したが重炭酸ナトリウムの乾燥粉末はアセトアルデヒドの1%未満しか除去できなかった。図7に示す様に、水性をベースとした重炭酸ナトリウム処方の成績は水単独と等しかった。したがって、水性の形における著しい改善は重炭酸ナトリウムによるものではなく、アセトアルデヒドの水に対する親和性に帰することができる。水単独が用いられた場合にヘッドスペース濃度は低減するが、図8では加熱によりアセトアルデヒドがヘッドスペース内に解放されて戻ってしまうことを示している。25℃では水はアセトアルデヒドの90.5%を除去するが、75℃まで加熱するとわずか45.9%だけが除去される。
【0065】
図9に描かれているとおり、ナノ結晶金属酸化物の乾燥粉末がカダベリンに挑戦した場合、ヘッドスペースのカダベリンの濃度を下げるうえで市販の対照品の乾燥粉末より効果的であった。アセトアルデヒドの挑戦と同様に、重炭酸ナトリウムの乾燥粉末はテスト系のヘッドスペースからカダベリンを除去するためには効果がなく、スラリー状で用いた場合にのみ効果があった。カダベリンは、アセトアルデヒドと同様に、水または水性ベースの処方で処理した場合に同等の量がヘッドスペースから除去された。この傾向はカダベリンの水に対する親和性に帰することができる。アセトアルデヒドと同様に、カダベリンのヘッドスペース濃度は水単独で低減されるもので、しかし加熱または圧力低下が起きると簡単にヘッドスペース内に解放されて戻ってしまう。
【0066】
図10に描かれているとおり、エチルメルカプタンに挑戦した場合、ナノ結晶金属酸化物処方はその市販されている対照品(重炭酸ナトリウムおよびMicroGardeTM)より優れていた。ナノ結晶金属酸化物処方はテスト系のヘッドスペースからエチルメルカプタンの99.9+%を取り除いたが、一方重炭酸ナトリウムおよびMicroGardeTM が取り除いたのはそれぞれ43.3%および12.0%であった。エチルメルカプタンに挑戦した場合、水性ベースのナノ結晶金属酸化物処方は重炭酸ナトリウムより優位を示した。エチルメルカプタンは、アセトアルデヒドおよびカダベリンとは異なり、ほんの少ししか水に溶解しない(0.1〜1%)。溶解性が低いということは図7に示す様に、テスト系のヘッドスペースからエチルメルカプタンを取り除くうえで水はほとんど寄与しないことになる。かくして、エチルメルカプタンの87.6%を取り除いたのはスラリー処方中に存在するナノ結晶金属酸化物のせいで、水ではないとすることができる。
【0067】
アンモニアに挑戦した場合では、図11に描かれている様に、乾燥粉末ナノ結晶金属酸化物処方(79.2%除去)は水性ベースのナノ結晶金属酸化物処方(84.4%除去)に比べ効果が少なかった。スラリー状の重炭酸ナトリウムはテスト系のヘッドスペースからアンモニアの86.1%を取り除き全体で最高の達成者であった。全体として、水性ベースの処方がより効果を現し、乾燥粉末ナノ結晶金属酸化物処方よりわずかに良好であった。最も効果がなかった処方は乾燥粉末重炭酸ナトリウム(53.0%除去)でMicroGardeTM(62.4%除去)がこれに続いた。
【0068】
<実施例3>
本実施例においては、上の実施例1および2で試験したナノ結晶金属酸化物を用いて喫煙者が以前運転していた2004ホンダシビックを処理した。車両は処理に先立ち清掃し隅々まで掃除されたが、それとわかるタバコの煙臭が存在した。ナノ結晶金属酸化物の粉体処方品(53.3グラム)を家具地、カーペット、およびダッシュボードを含む車の内部のあらゆる面に散布した。ナノ結晶金属酸化物粒子の水性懸濁液(約1リットル)を車のヘッドライナー(天井板部分)、垂直面(車座席家具地を除く)、硬質面、トランク内側、および座席の下など手の届きにくい場所にスプレーした。車には床マットは全くなかった。粉体は家具地にすり込まれ車を閉めて一晩(15時間)放置して脱臭した。実験中の温度は施工時の55oFから下は夜間の30oFであった。
一晩の処理の後、車は4人の人間がタバコ臭レベルの改善について評価した。すべての者が車の臭気が著しく改善されたことに気付いた。
【0069】
<実施例4>
本実施例においては、大腸菌(ATCC#10536)および黄色ブドウ状球菌(ATCC#6538)に対するNanoActiveTM ZnOの抗菌特性を試験した。本実施例に用いた消毒した試験管のそれぞれのセットを適切な栄養ブイヨンで満たし、望ましい量のNanoActiveTM ZnOを加えた。準備ができ次第、有機体の保存培養株をそれぞれの試験管に加えた。試験管にフタをしてそっとかき混ぜた。管をそれから37℃の培養器に初期培養期間(24時間)おいた。培養後、管を濁り(曇り)について目視検査し部分標本を抜き出して新しい培養液に入れた。さらに約24時間の培養期間の後(合計48時間の培養時間)、管を検査してバクテリアの成長の有無について確認した。
【0070】
表5に示すとおり、NanoActiveTM ZnOの48時間の継代培養管は低濃度の吸着剤(1.00%から0.25%の範囲)でも全く成長を示さず、NanoActiveTM ZnOが大腸菌を殺すのに有効であることを証明している。より旺盛でより殺しにくいブドウ状球菌に対しては、NanoActiveTM ZnOは4%の濃度で有効であった。
【0071】
【表5】
【0072】
特定の仮説にこだわるまでもなく、亜鉛イオンはマグネシウムイオンに置き換わり糖分解酵素を抑制することによりバクテリアの酵素系を混乱させるとされている。さらに、この金属はバクテリア細胞膜のペプチドグリカンに見いだされるイオウに対して高い親和性および誘因力を持ち、ジスルフィド結合の混乱を導く。これらイオウ結合の減少がタンパク質の変性を引き起こし、細胞が酸素を移送することを妨げ、かくしてバクテリアの酸素を代謝する能力を不能にする。
【0073】
<実施例5>
うどん粉菌およびある種の真菌類は、家庭内のような多くの閉鎖環境で問題となるような臭気を持っている。本実施例においては、白癬菌および青カビに対するNanoActiveTM ZnOの抗真菌性活性度を試験した。ナノ結晶ZnOを液体肉汁培地で満たした試験管に希望量だけ加えた。培地をゆっくりかき混ぜZnOを培地管全体に分散させ次いで菌株懸濁液を接種した。培養物懸濁液を成長のため24時間放置し、それから新たな培地内に移しさらに24時間培養した。管は目視により成長を検査した。
結果は表6に示してある。ナノ結晶ZnOの48時間継代培養管は吸着剤濃度4.0%で成長を示さなかった。
【0074】
【表6】
【0075】
<実施例6>
本実施例においては、さらなる抗菌試験をスタキーボツリスおよびアルタナリア菌糸体に対してNanoActiveTM ZnOを用いて実施した。適切な増殖培養地のペトリ板を用意し真菌類を接種した。有機体を放置して成長させた。芝生(様)に成長を終えたところで真菌類をナノ結晶ZnOで処理した。75分間の接触時間が経過した後、処理した芝生板からプラグ(サンプル)を取り出し新しい培地板に置いた。板は正の制御で十分な成長が認められるまで放置された。
【0076】
ナノ結晶ZnOはアルタナリアの90%近くの成長低減を達成した。スタキーボツリス菌糸体を用いた研究ではナノ結晶ZnOは、1週間の試験でサンプルの約18%で真菌類の成長を完全に抑制し残りの72%のサンプルの成長を著しく低下させた。
【0077】
<実施例7>
本実施例においては、青カビ(ATCC#11797)に対するペレット形状のNanoActiveTM ZnOの抗菌能力を試験した。青カビを接種した寒天培地板にナノ結晶ZnOを置いた。真菌類の成長パターンを監視しコントロール(ペレット無し/不活性ペレット)のそれと比較した。ナノ結晶ZnOは効果的に有機体の成長を抑制することができ、このことはペレットの周りに抑制域ができたことおよびペレット上では一度も成長が確定しなかった(30日間実験)ことから観察された。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】有機リン系殺虫剤のパラチオンがナノ結晶金属酸化物に曝された場合の化学分解過程を描いている。
【図2】アセトンがナノ結晶金属酸化物に曝された場合の化学分解過程を描いている。
【図3】何種類かの吸着剤による乾き条件下で除去されたイソ吉草酸のパーセントのグラフである。
【図4】何種類かの吸着剤による濡れ条件下で除去されたイソ吉草酸のパーセントのグラフである。
【図5】ナノ結晶金属酸化物に曝されたイソ吉草酸の化学分解過程を描いている。
【図6】種々の吸着剤物質により除去されたアセトアルデヒドのパーセントのグラフである。
【図7】水、水性基調処方のナノ結晶金属酸化物、および水性処方の重炭酸ソーダを用いた場合の3種類の悪臭化合物に対する臭気除去を比較したグラフである。
【図8】異なる温度において水単独による臭気除去を比較したグラフである。
【図9】何種類かの吸着剤物質によるカダベリンの除去パーセントのグラフである。
【図10】何種類かの吸着剤物質によるエチルメルカプタンの除去パーセントのグラフである。
【図11】何種類かの吸着剤物質によるアンモニアの除去パーセントのグラフである。
【図12】何種類かの吸着剤物質によるパラオクソンの除去を比較したグラフである。
【図13】何種類かの吸着剤物質によるアセトアルデヒドの吸着を比較したグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の露出面を呈しその少なくとも一部が閉鎖空間を規定する前記閉鎖空間を脱臭する方法で、前記方法が
(a)金属酸化物および金属水酸化物から成る群から選択された相当量のナノ結晶粒子 を前記閉鎖空間内に分散し、前記粒子が前記露出面と接触して前記閉鎖空間内の 臭気および臭気原因物質を吸着し、前記粒子の結晶子の平均寸法が約25nm未 満および平均表面積が少なくとも15m2/gであり、かつ
(b)予め決めておいた経過時間の後、前記閉鎖空間から前記粒子の少なくともいくら かを除去する
工程を含む、前記閉鎖空間を脱臭する方法。
【請求項2】
さらに前記方法が、
(c)工程(a)の前に前記閉鎖空間内の前記露出面の少なくとも一部を清掃しその上 のふわふわしたゴミまた異物を除去する
ことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記露出面の少なくとも一部が織物素材から構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記織物素材がカーペット、家具地、布地、皮革、紙製品、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法がさらに、
(d)工程(c)の後で、かつ工程(a)に先だって、前記織物素材面の少なくとも一 部分を水および随意的に、洗剤で処理する
ことを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)を行っている間、前記織物表面が濡らされている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程(b)が前記粒子の少なくとも一部を前記織物素材から除去するために前記織物表面を水で処理することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記織物表面を水で処理する工程がスチームクリーナーまたは湿式真空掃除機を用いて実施される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記織物表面を水で処理した後、前記閉鎖空間内のすべての面を乾燥し、これにより前記粒子の粉末残渣を少なくとも一部の前記織物表面に残す、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
工程(b)がさらに乾式真空掃除機または圧縮空気を用いて前記粉末残渣の少なくとも一部を除去する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程(b)がさらに織物素材から構成されない前記露出面の少なくとも一部に、洗剤による掃除を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程(b)が前記織物表面から前記粉末残渣を除去した後、さらに前記織物表面の少なくとも一部を水で処理して前記織物素材中に残存する粒子の量をさらに除去することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記粒子が前記閉鎖空間内に粉体として分散される、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記粒子が前記露出面に前記粒子を直接噴霧することにより、または前記閉鎖空間内に前記粒子の霧を発生せることにより分散されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記粒子が前記閉鎖空間内において比較的均一に分散されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記粒子の霧を作り出すことにより前記閉鎖空間内に実質的に均一に前記粒子が分散されていて、前記粒子が前記霧内に約0.1〜100g/m3の間のレベルで存在している、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
工程(a)が前記閉鎖空間内の前記露出面の少なくとも一部に対して前記粒子を含む液体散布を適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記分散液が水性媒体中に分散した約10〜500g/Lの間の前記粒子および約0.1〜10g/Lの界面活性剤を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記閉鎖空間が閉鎖固定環境および閉鎖移動環境から成る群から選択されている、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記粒子がMg、Sr、Ba、Ca、Ti、Zr、Fe、V、Mn、Ni、Cu、Al、Si、Zn、Ag、Mo、Sb、およびこれらの混合物の金属酸化物および水酸化物から成る群から選択されている、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
空間を脱臭するために前記空間内に存在する悪臭物質を除去する方法で:前記悪臭物質を金属酸化物および金属水酸化物から成る群から選択された相当量のナノ結晶粒子と前記物質を吸着させるために接触させる、前記粒子が約25nm未満の平均結晶子寸法および少なくとも15m2/gの平均表面積を呈する、前記悪臭物質が尿、糞便、汗、腐敗している生体物質、農薬、有機溶剤、揮発性有機化合物、およびこれらの混合物から成る群から選択されている、ことを含む空間を脱臭する方法。
【請求項22】
前記農薬がアセフェート、アジンホスメチル、ベンスリド、カズサホス、クロレトキシホス、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、クロルチオホス、クマホス、ジアリフロル、ダイアジノン、ジクロルボス(DDVP)、ジクロトホス、ジメトエート、ジオキサチオン、ジスルホトン、エチオン、エトプロプ、エチルパラチオン、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンチオン、ホノホス、イサゾホスメチル、イソフェンホス、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、メチルパラチオン、メビンホス、モノクロトホス、ナレド、オキシデメトンメチル、パラチオン、ホレート、ホサロン、ホスメト、ホスファミドン、ホステブピリム、ピリミホスメチル、プロフェノホス、プロペタムホス、スルホテップ、スルプロホス、テメホス、テルブホス、テトラクロルビンホス、トリブホス(DEF)、トリクロルホン、およびこれらの混合物から成る群から選択されている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記悪臭物質がアクロレイン、アセトン、エタノールアミン、ディーゼル燃料、ホルムアルデヒド、フッ化水素酸、メタノール、メチレンクロリド、硝酸、ニトロベンゼン、リン酸、ポリビニルアルコール、硫酸、チオ尿素、トルエン、トリエタノールアミン、メチルアクリレート、酢酸、メチルピラジン類、アクリロニトリル、非揮発性ニトロソアミン類、クロトンアルデヒド、N−ニトロソアミン類、カルボン酸類、フェノール類、DDT/デリリン、ピロリジン、ジメチルニトロソアミン、ステアリン酸、エチルアミン、トリメチルアミン、塩化ビニール、フルフラール、およびこれらの混合物から成る群から選択されている、請求項21に記載の方法。
【請求項1】
複数の露出面を呈しその少なくとも一部が閉鎖空間を規定する前記閉鎖空間を脱臭する方法で、前記方法が
(a)金属酸化物および金属水酸化物から成る群から選択された相当量のナノ結晶粒子 を前記閉鎖空間内に分散し、前記粒子が前記露出面と接触して前記閉鎖空間内の 臭気および臭気原因物質を吸着し、前記粒子の結晶子の平均寸法が約25nm未 満および平均表面積が少なくとも15m2/gであり、かつ
(b)予め決めておいた経過時間の後、前記閉鎖空間から前記粒子の少なくともいくら かを除去する
工程を含む、前記閉鎖空間を脱臭する方法。
【請求項2】
さらに前記方法が、
(c)工程(a)の前に前記閉鎖空間内の前記露出面の少なくとも一部を清掃しその上 のふわふわしたゴミまた異物を除去する
ことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記露出面の少なくとも一部が織物素材から構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記織物素材がカーペット、家具地、布地、皮革、紙製品、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法がさらに、
(d)工程(c)の後で、かつ工程(a)に先だって、前記織物素材面の少なくとも一 部分を水および随意的に、洗剤で処理する
ことを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)を行っている間、前記織物表面が濡らされている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程(b)が前記粒子の少なくとも一部を前記織物素材から除去するために前記織物表面を水で処理することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記織物表面を水で処理する工程がスチームクリーナーまたは湿式真空掃除機を用いて実施される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記織物表面を水で処理した後、前記閉鎖空間内のすべての面を乾燥し、これにより前記粒子の粉末残渣を少なくとも一部の前記織物表面に残す、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
工程(b)がさらに乾式真空掃除機または圧縮空気を用いて前記粉末残渣の少なくとも一部を除去する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程(b)がさらに織物素材から構成されない前記露出面の少なくとも一部に、洗剤による掃除を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程(b)が前記織物表面から前記粉末残渣を除去した後、さらに前記織物表面の少なくとも一部を水で処理して前記織物素材中に残存する粒子の量をさらに除去することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記粒子が前記閉鎖空間内に粉体として分散される、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記粒子が前記露出面に前記粒子を直接噴霧することにより、または前記閉鎖空間内に前記粒子の霧を発生せることにより分散されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記粒子が前記閉鎖空間内において比較的均一に分散されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記粒子の霧を作り出すことにより前記閉鎖空間内に実質的に均一に前記粒子が分散されていて、前記粒子が前記霧内に約0.1〜100g/m3の間のレベルで存在している、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
工程(a)が前記閉鎖空間内の前記露出面の少なくとも一部に対して前記粒子を含む液体散布を適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記分散液が水性媒体中に分散した約10〜500g/Lの間の前記粒子および約0.1〜10g/Lの界面活性剤を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記閉鎖空間が閉鎖固定環境および閉鎖移動環境から成る群から選択されている、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記粒子がMg、Sr、Ba、Ca、Ti、Zr、Fe、V、Mn、Ni、Cu、Al、Si、Zn、Ag、Mo、Sb、およびこれらの混合物の金属酸化物および水酸化物から成る群から選択されている、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
空間を脱臭するために前記空間内に存在する悪臭物質を除去する方法で:前記悪臭物質を金属酸化物および金属水酸化物から成る群から選択された相当量のナノ結晶粒子と前記物質を吸着させるために接触させる、前記粒子が約25nm未満の平均結晶子寸法および少なくとも15m2/gの平均表面積を呈する、前記悪臭物質が尿、糞便、汗、腐敗している生体物質、農薬、有機溶剤、揮発性有機化合物、およびこれらの混合物から成る群から選択されている、ことを含む空間を脱臭する方法。
【請求項22】
前記農薬がアセフェート、アジンホスメチル、ベンスリド、カズサホス、クロレトキシホス、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、クロルチオホス、クマホス、ジアリフロル、ダイアジノン、ジクロルボス(DDVP)、ジクロトホス、ジメトエート、ジオキサチオン、ジスルホトン、エチオン、エトプロプ、エチルパラチオン、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンチオン、ホノホス、イサゾホスメチル、イソフェンホス、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、メチルパラチオン、メビンホス、モノクロトホス、ナレド、オキシデメトンメチル、パラチオン、ホレート、ホサロン、ホスメト、ホスファミドン、ホステブピリム、ピリミホスメチル、プロフェノホス、プロペタムホス、スルホテップ、スルプロホス、テメホス、テルブホス、テトラクロルビンホス、トリブホス(DEF)、トリクロルホン、およびこれらの混合物から成る群から選択されている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記悪臭物質がアクロレイン、アセトン、エタノールアミン、ディーゼル燃料、ホルムアルデヒド、フッ化水素酸、メタノール、メチレンクロリド、硝酸、ニトロベンゼン、リン酸、ポリビニルアルコール、硫酸、チオ尿素、トルエン、トリエタノールアミン、メチルアクリレート、酢酸、メチルピラジン類、アクリロニトリル、非揮発性ニトロソアミン類、クロトンアルデヒド、N−ニトロソアミン類、カルボン酸類、フェノール類、DDT/デリリン、ピロリジン、ジメチルニトロソアミン、ステアリン酸、エチルアミン、トリメチルアミン、塩化ビニール、フルフラール、およびこれらの混合物から成る群から選択されている、請求項21に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−513284(P2009−513284A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538173(P2008−538173)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/060275
【国際公開番号】WO2007/051145
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(504450626)ナノスケール マテリアルズ アイエヌシー. (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/060275
【国際公開番号】WO2007/051145
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(504450626)ナノスケール マテリアルズ アイエヌシー. (11)
【Fターム(参考)】
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