説明

ニオイ測定装置およびニオイ測定方法

【課題】測定感度が高く、微量のニオイ分子を検出、測定することのできるニオイ測定装置およびニオイ測定方法を提供する。
【解決手段】所定のニオイ分子の吸着により共振周波数が変化するように構成されるニオイセンサー10と、内部にニオイセンサー10が設置される測定室20と、測定室20の内部を所定の真空度にする真空ポンプ42と、を備え、所定の真空度にされた測定室20の内部に、所定のニオイ分子が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係るいくつかの態様は、所定のニオイ分子の濃度または質量を測定するニオイ測定装置およびニオイ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のニオイ測定装置として、溶液中に含有されたニオイ分子を気化させる気化手段と、この気化手段の出力気体中の水分を除去する乾燥器と、乾燥器の出力気体が供給されるセンサーセル内に設置されたニオイセンサーとを備えたもの(例えば特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−273984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、膜式の乾燥器で気化手段の出力気体中に含まれる水分を除去すると、水分子とともにニオイ分子も少なからず取り除かれてしまっていた。そのため、特許文献1に記載のニオイ測定装置は、ニオイ分子の測定感度が低く、溶液中に微量に存在するニオイ分子を検出することができないという問題があった。
【0005】
本発明のいくつかの態様は前述の問題に鑑みてなされたものであり、微量のニオイ分子を検出することのできるニオイ測定装置およびニオイ測定方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るニオイ測定装置は、所定のニオイ分子の吸着により共振周波数が変化するように構成されるニオイセンサーと、内部にニオイセンサーが設置される測定室と、測定室の内部を所定の真空度にする真空ポンプと、を備え、前述の所定の真空度にされた測定室の内部に、前述の所定のニオイ分子が供給される。
【0007】
かかる構成によれば、所定の真空度にされた測定室の内部に、所定のニオイ分子が供給される。ここで、所定のニオイ分子の平均自由行程が長くなれば、所定のニオイ分子は、測定室内の他の分子に衝突することなく、ニオイセンサーに到達して吸着される蓋然性が高まる。よって、所定のニオイ分子の平均自由行程は、測定室の圧力に反比例するので、測定室の圧力を低下させ、測定室の内部を所定の真空度にすることにより、測定室内は、ニオイセンサーにとってノイズ成分となる物質、例えば、水分子などが非常に少ない(極力排除された)測定環境になり、高感度のニオイセンサーを設置(使用)することが可能となる。
【0008】
また、共振周波数の変化量は、共振周波数の2乗に比例するので、ニオイセンサーの検出感度は、共振周波数が大きいほど高い(高感度である)といえる。一方、ニオイセンサーの検出感度が高いと測定環境に敏感になるので、測定対象であるニオイ分子以外の物質がノイズ成分となって表れ得る。そのため、従来のニオイ測定装置のように、大気中でニオイ分子を測定する場合、ニオイセンサーからノイズ成分の少ない安定した検出信号を得るために、例えば、共振周波数が30[MHz]の水晶振動子を使用していた。その結果、従来のニオイ測定装置は、100[ppb](十億分の一)の桁数(オーダー)の濃度のニオイ分子を測定していた。
【0009】
これに対し、本発明のニオイ測定装置では、測定室内が、ニオイセンサーにとってノイズ成分となる物質が非常に少ない(極力排除された)測定環境になるので、例えば、共振周波数が600[MHz]の水晶振動子を使用するができる。これにより、本発明のニオイ測定装置は、100[ppt](一兆分の一)の桁数(オーダー)の濃度のニオイ分子を測定することができ、従来のニオイ測定装置と比較して、約1000倍の測定感度を得ることができる。これにより、測定感度を高めることができ、微量のニオイ分子を検出、測定することができる。
【0010】
好ましくは、内部に前記の所定のニオイ分子を含む試料が配置されるロードロック室をさらに備え、ロードロック室は、測定室と連通する開閉自在の開口部を有し、真空ポンプは、前記ロードロック室の内部の圧力を低下させる。
【0011】
かかる構成によれば、内部に所定のニオイ分子を含む試料が配置されるロードロック室が、測定室と連通し、開閉自在に開口部を有する。これにより、ロードロック室の内部に試料を配置した後に、開口部を開くことで、試料に含まれる所定のニオイ分子が測定室に供給される。また、ロードロック室に試料を配置する際に、ロードロック室の内部が大気(外気)に開放されるおそれがあるので、真空ポンプがロードロック室の内部の圧力を低下させ、大気圧からの真空引きを行うことで、開口部を開く場合でも測定室の真空度が保たれる(維持される)。これにより、測定室の内部の真空度を保ちつつ(維持しつつ)、所定のニオイ分子を供給するロードロック室を容易に実現することができる。
【0012】
好ましくは、前述の試料は、固相抽出により採取した前述の所定のニオイ分子を含む。
【0013】
かかる構成によれば、前述した試料には、固相抽出により採取した所定のニオイ分子が含まれる。これにより、所定のニオイ分子以外の分子を分離した試料がロードロック室の内部に配置されるので、高濃度(高純度)の所定のニオイ分子を測定室の内部に供給することができる。これにより、測定感度をさらに高めることができ、さらに微量のニオイ分子を検出、測定することができる。
【0014】
好ましくは、ロードロック室は、前述の試料を加熱するヒーターをさらに有する。
【0015】
かかる構成によれば、ロードロック室が、ロードロック室の内部に配置された試料を加熱するヒーターをさらに有する。これにより、試料に含まれる所定のニオイ分子が放出され易くなるので、測定室の内部に設置されたニオイセンサー10に所定のニオイ分子が吸着する蓋然性を高めることができる。これにより、測定感度をさらに高めることができ、さらに微量のニオイ分子を検出、測定することができる。
【0016】
好ましくは、測定室の内部の気体は、所定の速度で排出される。
【0017】
かかる構成によれば、測定室の内部の気体が、所定の速度で排出される。これにより、ニオイセンサーに吸着した所定のニオイ分子を取り除くことができる。これにより、異なるニオイを連続的に測定することができる。
【0018】
好ましくは、前述の所定の真空度は、10-4Pa以上、かつ、10-2Pa以下の圧力である。
【0019】
かかる構成によれば、測定室の内部の所定の真空度は10-4[Pa]以上、かつ、10-2[Pa]以下の圧力である。これにより、真空ポンプを、例えば、ロータリーポンプおよびターボ分子ポンプなどで構成することより、測定室の内部の真空状態を保つ(維持する)ことが可能となる。これにより、装置の大型化およびコスト増加を防止することができるとともに、測定感度を高めることができ、微量のニオイ分子を検出、測定することができるニオイ測定装置を容易に実現することができる。
【0020】
好ましくは、測定室の内部の寸法は、ニオイセンサーの寸法と同一または略同一である。
【0021】
かかる構成によれば、測定室の内部の寸法は、ニオイセンサーの寸法と同一または略同一である。これにより、測定室の内部が最低限の容積(体積)になるので、測定室の内部を容易に所定の真空度にすることができるとともに、測定室の内部に設置されるニオイセンサーが、所定のニオイ分子を吸着する蓋然性を高めることができる。これにより、測定感度をさらに高めることができ、さらに微量のニオイ分子を検出、測定することができる。
【0022】
好ましくは、ニオイセンサーは、水晶基板を含む水晶振動子と、前述の所定のニオイ分子を吸着する吸着膜と、を有し、吸着膜は、真空中において、水晶基板の少なくとも一方の面に形成される。
【0023】
かかる構成によれば、吸着膜が、真空中において、水晶基板の少なくとも一方の面に形成される。これにより、ニオイセンサーを真空中に設置したときに、吸着膜に吸着した所定のニオイ分子がガス放出されるのを防止することができる。これにより、測定感度をさらに高めることができ、さらに微量のニオイ分子を検出、測定することができる。
【0024】
好ましくは、複数の前述のニオイセンサーを備え、複数のニオイセンサーのそれぞれは、互いに異なる前述の所定のニオイ分子の吸着により共振周波数が変化するように構成される。
【0025】
かかる構成によれば、複数のニオイセンサーのそれぞれが、互いに異なる所定のニオイ分子の吸着により共振周波数が変化するように構成される。ここで、一般に、ニオイは、複数のニオイ分子によって構成されており、それぞれのニオイ分子の構成割合(構成比率)によって特定(または分類)することができる。よって、互いに異なる所定のニオイ分子の吸着により共振周波数が変化するように構成された複数のニオイセンサーを設置することにより、複数の所定のニオイ分子の構成割合(構成比率)を測定することができる。これにより、複数のニオイ分子によって構成されるニオイを特定(または分類)することができ、ニオイを識別することができる。
【0026】
本発明に係るニオイ測定方法は、所定のニオイ分子の吸着により共振周波数が変化するニオイセンサーを設置した測定室の内部を、所定の真空度にするステップと、前述の測定室に前述の所定のニオイ分子を供給するステップと、を備える。
【0027】
かかる構成によれば、所定の真空度にされた測定室の内部に、所定のニオイ分子が供給される。ここで、所定のニオイ分子の平均自由行程が長くなれば、所定のニオイ分子は、測定室内の他の分子に衝突することなく、ニオイセンサーに到達して吸着される蓋然性が高まる。よって、所定のニオイ分子の平均自由行程は、測定室の圧力に反比例するので、測定室の圧力を低下させ、測定室の内部を所定の真空度にすることにより、測定室内は、ニオイセンサーにとってノイズ成分となる物質、例えば、水分子などが非常に少ない(極力排除された)測定環境になり、高感度のニオイセンサーを設置(使用)することが可能となる。
【0028】
また、共振周波数の変化量は、共振周波数の2乗に比例するので、ニオイセンサーの検出感度は、共振周波数が大きいほど高い(高感度である)といえる。一方、ニオイセンサーの検出感度が高いと測定環境に敏感になるので、測定対象であるニオイ分子以外の物質がノイズ成分となって表れ得る。そのため、従来のニオイ測定方法のように、大気中でニオイ分子を測定する場合、ニオイセンサーからノイズ成分の少ない安定した検出信号を得るために、例えば、共振周波数が30[MHz]の水晶振動子を使用していた。その結果、従来のニオイ測定方法は、100[ppb](十億分の一)の桁数(オーダー)の濃度のニオイ分子を測定していた。
【0029】
これに対し、本発明のニオイ測定方法では、測定室内が、ニオイセンサーにとってノイズ成分となる物質が非常に少ない(極力排除された)測定環境になるので、例えば、共振周波数が600[MHz]の水晶振動子を使用するができる。これにより、本発明のニオイ測定方法は、100[ppt](一兆分の一)の桁数(オーダー)の濃度のニオイ分子を測定することができ、従来のニオイ測定方法と比較して、約1000倍の測定感度を得ることができる。これにより、測定感度を高めることができ、微量のニオイ分子を検出、測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るニオイ測定装置の一例を説明する概略構成図である。
【図2】図1に示したニオイセンサーの断面図である。
【図3】ニオイの構成割合の一例を説明するグラフである。
【図4】図1に示した測定室の他の例を説明する概略構成図である。
【図5】図1に示したSPMEホルダーを用いて試料を採取する方法を説明する側面図である。
【図6】図5に示したSPMEホルダーをロードロック室の内部に配置した状態を説明する図である。
【図7】図6に開口部を開いた状態を説明する図である。
【図8】図6および図7に示したニオイセンサーにおける共振周波数の時間変化の一例を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。なお、以下の説明において、図面の上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」という。
【0032】
図1ないし図8は、本発明に係るニオイ測定装置およびニオイ測定方法の一実施形態を示すためのものである。まず、図1ないし図4を参照してニオイ測定装置の構成について説明する。
【0033】
図1は、本発明に係るニオイ測定装置の一例を説明する概略構成図である。図1に示すように、ニオイ測定装置100は、複数のニオイセンサー10が設置された測定室20と、各ニオイセンサー10に電気的に接続された測定部30と、測定室20の一端部(図1において右端部)に取り付けられた真空ユニット40と、測定室の他端部(図1において左端部)に取り付けられたロードロック室50と、を含んで構成される。
【0034】
図2は、図1に示したニオイセンサーの断面図である。図2に示すように、ニオイセンサー10は、水晶振動子11と、吸着膜15と、を含んで構成される。水晶振動子11は、水晶基板12と、水晶基板12の両面(図2において上面および下面)に配置された2つの電極13と、それぞれが電極13に電気的に接続された2つの信号線14と、を含んで構成される。
【0035】
水晶振動子11は、例えば、ATカット型の水晶振動子である。水晶振動子11は、水晶基板12の両面に設けた電極13間に電圧を印加すると、水晶基板12の両面が互いにずれるように振動する、いわゆる厚みすべり振動モードで動作する。水晶振動子11の共振周波数(共振振動数)f0は、電極13間に挟まれた水晶基板12の厚さtに反比例し、以下の式(1)で表すことができる。
0=1670/t …(1)
但し、水晶基板12の厚さtの単位は[μm]であり、水晶振動子11の共振周波数f0の単位は[MHz]である。
【0036】
この水晶振動子11を用いたニオイセンサー10において、質量変化量ΔMと、共振周波数の変化量Δfとの関係は、以下のSauerbreyの式(2)で表すことができる。
【0037】
【数1】

但し、ρは水晶の密度、μは水晶のせん断弾性定数、Aは有効振動面積であって、略電極面積である。
【0038】
吸着膜15は、所定のニオイ分子を吸着する材料、例えば、有機ポリマー材料で構成される。吸着膜15は、水晶基板12の両面(図2において上面および下面)を、電極13を含んで被覆するように、形成される。
【0039】
吸着膜15の形成方法としては、例えば、スピンコートや噴霧などにより塗布する方法が挙げられる。より好ましくは、真空蒸着やスパッタリングなどの方法により、真空中において、水晶基板12の少なくとも一方の面に吸着膜15を形成する。これにより、ニオイセンサー10を真空中に設置したときに、吸着膜15に吸着した所定のニオイ分子がガス放出されるのを防止することができる。
【0040】
このように構成されたニオイセンサー10では、吸着膜15に所定のニオイ分子が吸着すると、ニオイセンサー10の質量が変化し、前述した式(2)に従って共振周波数が変化する。
【0041】
図1に示す測定部30は、ニオイセンサー10の共振周波数の変化量Δfに基づいて、所定のニオイ分子を検出し、その質量またはその濃度を測定するためのものである。測定部30には、各ニオイセンサー10の信号線14が接続されており、ニオイセンサー10に所定のニオイ分子が吸着すると、当該ニオイセンサー10から共振周波数の変化量Δfに基づく検出信号が入力される。
【0042】
本実施形態では、測定室20内に4つのニオイセンサー10を設置する例を示したが、これに限定されず、ニオイセンサー10を測定室20内に1つ設置するようにしてもよいし、2つ、3つ、または5つ以上設置するようにしてもよい。
【0043】
なお、図1に示すように、測定室20の内部に複数のニオイセンサー10を設置する場合、複数のニオイセンサー10のそれぞれは、互いに異なる所定のニオイ分子の吸着により共振周波数が変化するように構成するのが好ましい。具体的には、それぞれのニオイセンサー10において、吸着膜15として、互いに異なる所定のニオイ分子に対して感応性を有する材料を選択すればよい。
【0044】
図3は、ニオイの構成割合の一例を説明するグラフである。なお、図3は、ch1からch16と表記された16個のニオイセンサー10を使用してバジルのニオイを測定したときのグラフであって、前述した共振周波数の変化量Δfに基づいてプロットしたものである。図3に示すように、ch1、ch2、およびch16のニオイセンサー10は、所定のニオイ分子を多く検出(ニオイ分子に大きく反応)している。一方、ch8およびch11のニオイセンサー10は、所定のニオイ分子を検出(ニオイ分子に反応)していないか、または、所定のニオイ分子を微少に検出(ニオイ分子にわずかに反応)している。ここで、一般に、ニオイは、複数のニオイ分子によって構成されており、それぞれのニオイ分子の構成割合(構成比率)によって特定(または分類)することができる。よって、例えば、互いに異なる所定のニオイ分子の吸着により共振周波数が変化するように構成された16個のニオイセンサー10を設置することにより、図3に示すように、16個の所定のニオイ分子の構成割合(構成比率)を測定することができる。
【0045】
図1に示す真空ユニット40は、排気管41と、真空ポンプ42と、を有する。排気管41は、測定室20と外部とを連通する配管である。真空ポンプ42は、排気管41に設置されており、図1中にブロック矢印で示すように、排気管41を介して測定室20内の気体を外部(大気中)に排出する。これにより、測定室20の内部の圧力を低下させ(減圧し)、測定室20の内部を所定の真空度にすることができる。
【0046】
測定室20の内部の所定の真空度は、例えば、10-4[Pa]以上、かつ、10-2[Pa]以下の圧力である。これにより、真空ポンプ42を、例えば、ロータリーポンプおよびターボ分子ポンプなどで構成することより、測定室20の内部の真空状態を保つ(維持する)ことが可能となる。
【0047】
また、所定の真空度にされた測定室20の内部には、後述するように、ロードロック室50から所定のニオイ分子が供給される。
【0048】
ここで、測定室20の内部において、所定のニオイ分子の平均自由行程λは、測定室20の温度T、測定室20の圧力P、および所定のニオイ分子の直径Dを用いて、以下の式(3)で表される。
λ=3.11×10-24×T/(P×D) …(3)
但し、測定室20の温度Tの単位は[K]であり、測定室20の圧力Pの単位は[Pa]であり、所定のニオイ分子の直径Dの単位は[m]であり、所定のニオイ分子の平均自由行程λの単位は[m]である。
【0049】
所定のニオイ分子の平均自由行程λが長くなれば、所定のニオイ分子は、測定室20内の他の分子に衝突することなく、ニオイセンサー10に到達して吸着される蓋然性が高まる。よって、前述した式(3)に表されているように、所定のニオイ分子の平均自由行程λは、測定室20の圧力Pに反比例するので、測定室20の圧力Pを低下させ、測定室20の内部を所定の真空度にすることにより、測定室20内は、ニオイセンサー10にとってノイズ成分となる物質、例えば、水分子などが非常に少ない(極力排除された)測定環境になり、高感度のニオイセンサー10を設置(使用)することが可能となる。
【0050】
ここで、前述した式(2)に表されているように、共振周波数の変化量Δfは、水晶振動子11の共振周波数f0の2乗に比例するので、ニオイセンサー10の検出感度は、水晶振動子11の共振周波数f0が大きいほど高い(高感度である)といえる。一方、ニオイセンサー10の検出感度が高いと測定環境に敏感になるので、測定対象であるニオイ分子以外の物質がノイズ成分となって表れ得る。そのため、従来のニオイ測定装置およびニオイ測定方法のように、大気中でニオイ分子を測定する場合、ニオイセンサーからノイズ成分の少ない安定した検出信号を得るために、例えば、共振周波数が30[MHz]の水晶振動子を使用していた。その結果、従来のニオイ測定装置およびニオイ測定方法は、100[ppb](十億分の一)の桁数(オーダー)の濃度のニオイ分子を測定していた。
【0051】
これに対し、本発明のニオイ測定装置100およびニオイ測定方法では、測定室20内が、ニオイセンサー10にとってノイズ成分となる物質が非常に少ない(極力排除された)測定環境になるので、例えば、共振周波数f0が600[MHz]の水晶振動子を使用するができる。これにより、本発明のニオイ測定装置100およびニオイ測定方法は、100[ppt](一兆分の一)の桁数(オーダー)の濃度のニオイ分子を測定することができ、従来のニオイ測定装置およびニオイ測定方法と比較して、約1000倍の測定感度を得ることができる。
【0052】
図4は、図1に示した測定室20の他の例を説明する概略構成図である。また、測定室20の内部の、縦、横、および高さの寸法は、複数のニオイセンサー10の縦、横、および高さの寸法と同一であるか、または、図4に示すように、わずかに大きい略同一であることが好ましい。これにより、測定室20の内部が最低限の容積(体積)になるので、測定室の内部を容易に所定の真空度にすることができるとともに、測定室20の内部に設置されるニオイセンサー10が、所定のニオイ分子を吸着する蓋然性を高めることができる。
【0053】
なお、測定室20の内部に1つのニオイセンサー10を設置する場合も、同様に、測定室20の内部の、縦、横、および高さの寸法は、1つのニオイセンサー10の縦、横、および高さの寸法と同一であるか、または、わずかに大きい略同一であることが好ましい。
【0054】
図1に示すロードロック室50は、測定室20の内部を真空に保ち(維持し)つつ、所定のニオイ分子を含む試料を出し入れ(交換)するためのものである。一方、図1に示すSPME(Solid Phase Micro Extraction)ホルダー60は、所定のニオイ分子を含む試料が吸着されたSPMEファイバー61を有する。このSPMEホルダー60をロードロック室50の内部に設置することにより、所定のニオイ分子を含む試料がロードロック室50の内部に配置される。
【0055】
ロードロック室50は、開口部51と、排気管52と、を有する。開口部51は、ロードロック室50と測定室20との接続部分に設けられ、ロードロック室50と測定室20とを連通する。また、開口部51は、開閉自在に構成されており、制御部(図示省略)の制御信号に基づいて開閉される。これにより、ロードロック室50の内部に試料を配置した後に、開口部51を開くことで、試料に含まれる所定のニオイ分子が測定室20に供給される。
【0056】
排気管52は、前述した真空ポンプ42に接続されている。真空ポンプ42は、ロードロック室50の内部の圧力を低下させ(減圧し)、ロードロック室50の内部を真空状態にする。これにより、ロードロック室50に試料を配置する際に、ロードロック室50の内部が大気(外気)に開放されるおそれがあるので、真空ポンプ42がロードロック室50の内部の圧力を低下させ、大気圧からの真空引きを行うことで、開口部51を開く場合でも測定室20の真空度が保たれる(維持される)。
【0057】
本実施形態では、ロードロック室50が排気管52を有する例を示したが、これに限定されない。例えば、ロードロック室50は、真空ポンプ42とは別に、ロードロック室50の内部の圧力を低下させるポンプを有するようにしてもよい。
【0058】
ロードロック室50は、さらにヒーター53を有する。ヒーター53は、ロードロック室50の内部に配置された試料を加熱する。これにより、試料に含まれる所定のニオイ分子が放出され易くなるので、測定室20の内部に設置されたニオイセンサー10に所定のニオイ分子が吸着する蓋然性を高めることができる。
【0059】
次に、図5ないし図8を参照して、所定のニオイ分子の濃度を測定する方法について説明する。
【0060】
図5は、図1に示したSPMEホルダー60を用いて試料を採取する方法を説明する側面図である。最初に、図1に示す真空ポンプ42は、測定室20の内部の気体を排出し、あらかじめ測定室20の内部を所定の真空度にしておく。一方、図5に示すように、ニオイを発するニオイ物質Aを、ガラス製などのニオイの残らない(吸着の少ない)容器70に封入する。つぎに、この容器70内に、SPMEファイバー61を含むSPMEホルダー60の先端部を挿入する。そして、一定時間、例えば、1分から60分程度の時間が経過すると、ニオイ物質Aから発せられる所定のニオイ分子がSPMEファイバー61に十分に吸着され、所定のニオイ分子が固体化され、抽出(固相抽出)された試料を採取することができる。これにより、所定のニオイ分子以外の分子を分離した試料がロードロック室50の内部に配置されるので、高濃度(高純度)の所定のニオイ分子を測定室20の内部に供給することができる。
【0061】
なお、SPMEホルダー60の先端部を容器70内に挿入する際に、容器70内の温度を、ニオイ物質Aから発せられる所定のニオイ分子がSPMEファイバー61に吸着するのに適した温度、例えば、室温以上80[℃]以下の温度に設定してもよい。
【0062】
SPMEファイバー61の材料としては、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリアクリレート(PA)、ジビニルベンゼン(DVB)、ポリエチレングリコール(PEG)、または、これらの組み合わせなどが挙げられる。なお、SPMEファイバー61の材料は、抽出する所定のニオイ分子に応じて選択される。
【0063】
図6は、図5に示したSPMEホルダー60をロードロック室50の内部に配置した状態を説明する図である。次に、図6に示すように、SPMEファイバー61に所定のニオイ分子を含む試料が吸着されたSPMEホルダー60を、ロードロック室50の内部に設置する。このとき、ロードロック室50の内部の温度は室温であり、開口部51は閉じた状態である。また、真空ポンプ42は、ロードロック室50の内部の圧力を低下させ、大気圧からの真空引きを行う。
【0064】
次に、ヒーター53は、ロードロック室50の内部に設置されたSPMEホルダー60、特に、所定のニオイ分子を含む試料が吸着されたSPMEファイバー61を、例えば、200[℃]以上350[℃]以下の温度で加熱する。
【0065】
図7は、図6に開口部51を開いた状態を説明する図である。次に、開口部51を開いて、ロードロック室50から測定室20の内部に所定のニオイ分子を供給する。なお、開口部51を開く前までに、真空ポンプ42は、測定室20の内部の気体を排出し、測定室20の内部を所定の真空度にしておく。また、真空ポンプ42は、開口部51を開いた後も継続して、測定室20の内部の気体を排出する。
【0066】
測定室20の内部を移動する所定のニオイ分子が、ニオイセンサー10の吸着膜15に吸着すると、共振周波数の変化量Δfに基づく検出信号が、信号線14を介して測定部30に入力される。測定部30は、この検出信号に基づいて、所定のニオイ分子の濃度を測定(算出)する。
【0067】
所定のニオイ分子の濃度を測定後、図6に示すように、開口部71を閉じる。なお、真空ポンプ42は、開口部51を閉じた後も継続して、測定室20の内部の気体を排出する。このとき、真空ポンプ42は、測定室20の内部の気体を、所定の速度または流量、例えば60[sccm]で、排出することが好ましい。これにより、ニオイセンサー10に吸着した所定のニオイ分子を取り除くことができる。
【0068】
図8は、図6および図7に示したニオイセンサー10における共振周波数の時間変化の一例を説明するグラフである。図8に示すように、時間t1において、開口部51を開いて測定室20の内部に所定のニオイ分子が供給されると、ニオイセンサー10に所定のニオイ分子が吸着し、所定の値f1であったニオイセンサー10の共振周波数は、時間t1から時間t2までの間、変化する。そして、時間t2において、開口部51を閉じ、測定室20の内部の気体が所定の速度で排出されると、ニオイセンサー10に吸着した所定のニオイ分子が取り除かれる。その結果、ニオイセンサー10の共振周波数は、別の所定の値f2から変化する。
【0069】
このように、本実施形態のニオイ測定装置100によれば、所定の真空度にされた測定室20の内部に、所定のニオイ分子が供給される。ここで、所定のニオイ分子の平均自由行程λが長くなれば、所定のニオイ分子は、測定室20内の他の分子に衝突することなく、ニオイセンサー10に到達して吸着される蓋然性が高まる。よって、前述した式(3)に表されているように、所定のニオイ分子の平均自由行程λは、測定室20の圧力Pに反比例するので、測定室20の圧力Pを低下させ、測定室20の内部を所定の真空度にすることにより、測定室20内は、ニオイセンサー10にとってノイズ成分となる物質、例えば、水分子などが非常に少ない(極力排除された)測定環境になり、高感度のニオイセンサー10を設置(使用)することが可能となる。
【0070】
また、前述した式(2)に表されているように、共振周波数の変化量Δfは、水晶振動子11の共振周波数f0の2乗に比例するので、ニオイセンサー10の検出感度は、水晶振動子11の共振周波数f0が大きいほど高い(高感度である)といえる。一方、ニオイセンサー10の検出感度が高いと測定環境に敏感になるので、測定対象であるニオイ分子以外の物質がノイズ成分となって表れ得る。そのため、従来のニオイ測定装置のように、大気中でニオイ分子を測定する場合、ニオイセンサーからノイズ成分の少ない安定した検出信号を得るために、例えば、共振周波数が30[MHz]の水晶振動子を使用していた。その結果、従来のニオイ測定装置は、100[ppb](十億分の一)の桁数(オーダー)の濃度のニオイ分子を測定していた。
【0071】
これに対し、本発明のニオイ測定装置100では、測定室20内が、ニオイセンサー10にとってノイズ成分となる物質が非常に少ない(極力排除された)測定環境になるので、例えば、共振周波数f0が600[MHz]の水晶振動子を使用するができる。これにより、本発明のニオイ測定装置100は、100[ppt](一兆分の一)の桁数(オーダー)の濃度のニオイ分子を測定することができ、従来のニオイ測定装置と比較して、約1000倍の測定感度を得ることができる。これにより、測定感度を高めることができ、微量のニオイ分子を検出、測定することができる。
【0072】
また、本実施形態のニオイ測定装置100によれば、内部に所定のニオイ分子を含む試料が配置されるロードロック室50が、測定室20と連通し、開閉自在に開口部51を有する。これにより、ロードロック室50の内部に試料を配置した後に、開口部51を開くことで、試料に含まれる所定のニオイ分子が測定室20に供給される。また、ロードロック室50に試料を配置する際に、ロードロック室50の内部が大気(外気)に開放されるおそれがあるので、真空ポンプ42がロードロック室50の内部の圧力を低下させ、大気圧からの真空引きを行うことで、開口部51を開く場合でも測定室20の真空度が保たれる(維持される)。これにより、測定室20の内部の真空度を保ちつつ(維持しつつ)、所定のニオイ分子を供給するロードロック室50を容易に実現することができる。
【0073】
また、本実施形態のニオイ測定装置100によれば、前述した試料には、固相抽出により採取した所定のニオイ分子が含まれる。これにより、所定のニオイ分子以外の分子を分離した試料がロードロック室50の内部に配置されるので、高濃度(高純度)の所定のニオイ分子を測定室20の内部に供給することができる。これにより、測定感度をさらに高めることができ、さらに微量のニオイ分子を検出、測定することができる。
【0074】
また、本実施形態のニオイ測定装置100によれば、ロードロック室50が、ロードロック室50の内部に配置された試料を加熱するヒーター53をさらに有する。これにより、試料に含まれる所定のニオイ分子が放出され易くなるので、測定室20の内部に設置されたニオイセンサー10に所定のニオイ分子が吸着する蓋然性を高めることができる。これにより、測定感度をさらに高めることができ、さらに微量のニオイ分子を検出、測定することができる。
【0075】
また、本実施形態のニオイ測定装置100によれば、測定室20の内部の気体が、所定の速度で排出される。これにより、ニオイセンサー10に吸着した所定のニオイ分子を取り除くことができる。これにより、異なるニオイを連続的に測定することができる。
【0076】
また、本実施形態のニオイ測定装置100によれば、測定室20の内部の所定の真空度は10-4[Pa]以上、かつ、10-2[Pa]以下の圧力である。これにより、真空ポンプ42を、例えば、ロータリーポンプおよびターボ分子ポンプなどで構成することより、測定室20の内部の真空状態を保つ(維持する)ことが可能となる。これにより、装置の大型化およびコスト増加を防止することができるとともに、測定感度を高めることができ、微量のニオイ分子を検出、測定することができるニオイ測定装置100を容易に実現することができる。
【0077】
また、本実施形態のニオイ測定装置100によれば、測定室20の内部の寸法は、ニオイセンサー10の寸法と同一または略同一である。これにより、測定室20の内部が最低限の容積(体積)になるので、測定室20の内部を容易に所定の真空度にすることができるとともに、測定室20の内部に設置されるニオイセンサー10が、所定のニオイ分子を吸着する蓋然性を高めることができる。これにより、測定感度をさらに高めることができ、さらに微量のニオイ分子を検出、測定することができる。
【0078】
また、本実施形態のニオイ測定装置100によれば、吸着膜15が、真空中において、水晶基板12の少なくとも一方の面に形成される。これにより、ニオイセンサー10を真空中に設置したときに、吸着膜15に吸着した所定のニオイ分子がガス放出されるのを防止することができる。これにより、測定感度をさらに高めることができ、さらに微量のニオイ分子を検出、測定することができる。
【0079】
また、本実施形態のニオイ測定装置100によれば、複数のニオイセンサー10のそれぞれが、互いに異なる所定のニオイ分子の吸着により共振周波数が変化するように構成される。ここで、一般に、ニオイは、複数のニオイ分子によって構成されており、それぞれのニオイ分子の構成割合(構成比率)によって特定(または分類)することができる。よって、例えば、互いに異なる所定のニオイ分子の吸着により共振周波数が変化するように構成された16個のニオイセンサー10を設置することにより、図3に示すように、16個の所定のニオイ分子の構成割合(構成比率)を測定することができる。これにより、複数のニオイ分子によって構成されるニオイを特定(または分類)することができ、ニオイを識別することができる。
【0080】
また、本実施形態のニオイ測定方法によれば、所定の真空度にされた測定室20の内部に、所定のニオイ分子が供給される。ここで、所定のニオイ分子の平均自由行程λが長くなれば、所定のニオイ分子は、測定室20内の他の分子に衝突することなく、ニオイセンサー10に到達して吸着される蓋然性が高まる。よって、前述した式(3)に表されているように、所定のニオイ分子の平均自由行程λは、測定室20の圧力Pに反比例するので、測定室20の圧力Pを低下させ、測定室20の内部を所定の真空度にすることにより、測定室20内は、ニオイセンサー10にとってノイズ成分となる物質、例えば、水分子などが非常に少ない(極力排除された)測定環境になり、高感度のニオイセンサー10を設置(使用)することが可能となる。
【0081】
また、前述した式(2)に表されているように、共振周波数の変化量Δfは、水晶振動子11の共振周波数f0の2乗に比例するので、ニオイセンサー10の検出感度は、水晶振動子11の共振周波数f0が大きいほど高い(高感度である)といえる。一方、ニオイセンサー10の検出感度が高いと測定環境に敏感になるので、測定対象であるニオイ分子以外の物質がノイズ成分となって表れ得る。そのため、従来のニオイ測定方法のように、大気中でニオイ分子を測定する場合、ニオイセンサーからノイズ成分の少ない安定した検出信号を得るために、例えば、共振周波数が30[MHz]の水晶振動子を使用していた。その結果、従来のニオイ測定方法は、100[ppb](十億分の一)の桁数(オーダー)の濃度のニオイ分子を測定していた。
【0082】
これに対し、本発明のニオイ測定方法では、測定室20内が、ニオイセンサー10にとってノイズ成分となる物質が非常に少ない(極力排除された)測定環境になるので、例えば、共振周波数f0が600[MHz]の水晶振動子を使用するができる。これにより、本発明のニオイ測定方法は、100[ppt](一兆分の一)の桁数(オーダー)の濃度のニオイ分子を測定することができ、従来のニオイ測定方法と比較して、約1000倍の測定感度を得ることができる。これにより、測定感度を高めることができ、微量のニオイ分子を検出、測定することができる。
【0083】
なお、前述した実施形態の構成を組み合わせたり、あるいは、一部の構成部分を入れ替えたりしてもよい。また、本発明の構成は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0084】
10…ニオイセンサー、20…測定室、30…測定部、42…真空ポンプ、50…ロードロック室、51…開口部、53…ヒーター、60…SPMEホルダー、100…ニオイ測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のニオイ分子の吸着により共振周波数が変化するように構成されるニオイセンサーと、
内部に前記ニオイセンサーが設置される測定室と、
前記測定室の内部を所定の真空度にする真空ポンプと、を備え、
前記所定の真空度にされた測定室の内部に、前記所定のニオイ分子が供給される
ことを特徴とするニオイ測定装置。
【請求項2】
内部に前記所定のニオイ分子を含む試料が配置されるロードロック室をさらに備え、
前記ロードロック室は、前記測定室と連通する開閉自在の開口部を有し、
前記真空ポンプは、前記ロードロック室の内部の圧力を低下させる
ことを特徴とする請求項1に記載のニオイ測定装置。
【請求項3】
前記試料は、固相抽出により採取した前記所定のニオイ分子を含む
ことを特徴とする請求項2に記載のニオイ測定装置。
【請求項4】
前記ロードロック室は、前記試料を加熱するヒーターをさらに有する
ことを特徴とする請求項2または3に記載のニオイ測定装置。
【請求項5】
前記測定室の内部の気体は、所定の速度で排出される
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のニオイ測定装置。
【請求項6】
前記所定の真空度は、10-4Pa以上、かつ、10-2Pa以下の圧力である
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のニオイ測定装置。
【請求項7】
前記測定室の内部の寸法は、前記ニオイセンサーの寸法と同一または略同一である
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のニオイ測定装置。
【請求項8】
前記ニオイセンサーは、水晶基板を含む水晶振動子と、前記所定のニオイ分子を吸着する吸着膜と、を有し、
前記吸着膜は、真空中において、前記水晶基板の少なくとも一方の面に形成される
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載のニオイ測定装置。
【請求項9】
複数の前記ニオイセンサーを備え、
前記複数のニオイセンサーのそれぞれは、互いに異なる前記所定のニオイ分子の吸着により共振周波数が変化するように構成される
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載のニオイ測定装置。
【請求項10】
所定のニオイ分子の吸着により共振周波数が変化するニオイセンサーを設置した測定室の内部を、所定の真空度にするステップと、
前記測定室に前記所定のニオイ分子を供給するステップと、を備える
ことを特徴とするニオイ測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−225842(P2012−225842A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95235(P2011−95235)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)