説明

ニューカッスル病ウイルスの投与

腫瘍を有する哺乳動物被験体は、有効量のニューカッスル病ウイルスを投与する工程を包含する方法により処置され、そのウイルスは、その被験体に、1回以上のサイクルで投与され;少なくとも1サイクルは、患者の表面積1平方メートルあたり1.8×1010PFU〜4.8×1010PFUのウイルスの1回以上の初期用量を逐次的に投与し、続いて患者の表面積1平方メートルあたり2.4×1010PFU〜1.2×1011PFUのウイルスの1回以上の次の用量を投与する工程、を包含する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
より高い後の用量の前の、腫瘍崩壊性ウイルスの脱感作用量の投与は、WO 00/62735(35−36頁)に開示されている。Pecoraら、J.Clin.Oncol.(2002年5月)20(9):2251−2266;およびBergslandら、J.Clin.Oncol.(2002年5月)20(9):2220−2222もまた参照のこと。
【0002】
4分〜24時間のクールにわたる(例えば、20〜60分のクールにわたる)静脈内ポンプ、シリンジポンプ、点滴静注または緩徐注射を用いた腫瘍崩壊性ウイルスの投与が、WO 00/62735(36頁、16−19行)に開示されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、腫瘍を有する哺乳動物被験体を処置するための方法を提供し、この方法は、その被験体に、その被験体を処置するために有効な一定量のニューカッスル病ウイルスを投与する工程を包含し、ここで、このウイルスは、その被験体に、1回以上のサイクルで投与され;少なくとも1サイクルは、患者の表面積1平方メートルあたり1.8×1010PFU〜4.8×1010PFUのウイルスの1回以上の初期用量を逐次的に投与し、続いて患者の表面積1平方メートルあたり2.4×1010PFU〜1.2×1011PFUのそのウイルスの1回以上の次の用量を投与する工程を包含する。
【0004】
本発明は、ニューカッスル病ウイルスが、高い初期用量(例えば、2.4×1010PFU/m)を用いる投与レジメンにおいて、成功裏に投与され得るという知見に基づく。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
(発明の詳細な説明)
本明細書中で使用される場合、転換用語「を含む(comprising)」は、開放型(open−ended)である。この語を利用する請求項は、そのような請求項で記載される構成要素に加えて、構成要素を含み得る。従って、例えば、その請求項は、その記載された構成要素またはそれらの等価物が存在する限り、その請求項で具体的に記載されていない他の治療剤または治療ウイルス用量をも含む処置レジメンと解釈され得る。
【0006】
本明細書中で用いられる場合、「NDV」は、ニューカッスル病ウイルスについての略語である。本明細書中で用いられる場合、「DLT」は、用量制限毒性についての略語である。本明細書中で用いられる場合、用語「プラーク形成単位」(PFU)は、1個の感染性ウイルス粒子を意味する。本明細書中で用いられる場合、「BPFU」は、10億PFUを意味する。本明細書中で用いられる場合、「PP」は、プラーク精製されたを意味する。従って、例えば、PPMK107は、プラーク精製されたニューカッスル病ウイルスMK107株を意味する。本明細書中で用いられる場合、「PFU/m」は、投薬量を表す標準的な単位であり、患者の表面積1平方メートルあたりのPFUを意味する。本明細書中で用いられる場合、用語「複製能力のある」ウイルスとは、癌細胞において感染性の子孫を生成するウイルスをいう。
【0007】
本発明の実施形態では、上記1回以上の初期用量が脱感作用量であり、上記1回以上の次の用量が増加(escalated)用量であり、各増加用量における前記ウイルスの量は、各脱感作用量におけるウイルスの量よりも多い。より具体的な実施形態では、上記1回以上の脱感作用量は、患者の表面積1平方メートルあたり約2.4×1010PFUであり、上記1回以上の増加用量は、患者の表面積1平方メートルあたり約4.8×1010PFUである。
【0008】
本発明の別の実施形態では、上記1回以上の初期用量は、患者の表面積1平方メートルあたり2.4×1010PFU〜4.8×1010PFUの上記ウイルスである。本発明の別の実施形態では、上記次の用量は、患者の表面積1平方メートルあたり4.8×1010PFU〜1.2×1011PFUの上記ウイルスである。
【0009】
本発明の方法に従って、利用され得る治療用ニューカッスル病ウイルスは、低い(長潜伏性(lentogenic))ビルレンス、中程度(亜病原性(mesogenic))ビルレンスまたは高い(短潜伏性(velogenic))ビルレンスのものであり得る。ビルレンスの程度は、卵内平均死亡時間(Mean Death Time in Eggs)(MDT)試験に従って決定される(Alexander,「Chapter 27:Newcastle Disease」,Laboratory Manual for the Isolation and Identification of Avian Pathogens,第3版,Purchaseら編(Kendall/Hunt,Iowa),117頁)。ウイルスは、MDT試験によって、長潜伏性(MDT>90時間);亜病原性(60〜90時間のMDT);および短潜伏性(MDT<60時間)として分類される。
【0010】
本発明に従って、被験体にウイルスを投与するための任意の従来の経路および任意の従来の技術が利用され得る。本発明の1つの実施形態では、このウイルスは、全身投与(例えば、静脈内投与)される。本発明に従う治療ウイルスの静脈内投与については、好ましくは、このウイルスは、ニューカッスル病ウイルスの亜病原性株である。
【0011】
このウイルスが静脈内に投与される場合、上記第1の初期用量の後に流体を静脈内に投与することにより、副作用が低減され得ることが見出されている。この効果はその流体の特定の組成よりはむしろその流体の体積に基づいているので、静脈投与に適した任意の従来の流体が、本発明に従って与えられ得る。一般に、少なくとも1リットルの流体で十分であるが、4リットル以上が好ましい。
【0012】
このウイルスが投与される速度を制御することにより、望ましくない副作用が低減され得ることが見出されている。ニューカッスル病ウイルスの亜病原性株を静脈内経路によって投与する場合、このウイルスの用量が、24時間までの投与時間にわたって投与されることが好ましく、そしてこの用量は、投与時間内の任意の10分間のサンプリング時間において患者の表面積1平方メートルあたり7.0×10PFUまでの速度で投与されることが好ましい。より好ましくは、この用量が投与される速度は、投与時間内の任意の10分間のサンプリング時間において、患者の表面積1平方メートルあたり2.0×10PFUまでである。一般に、投与時間が少なくとも1時間であるような投与速度を選択することが便利である。一層少ない副作用は、この投与時間が少なくとも3時間である場合に一般的に観察される。このウイルスの第1脱感作用量が投与される速度を制御することが特に有用である。
【0013】
本発明に従って処置される被験体は、ヒト被験体または非ヒト哺乳動物被験体のいずれであってもよい。本発明に従って、任意の腫瘍が処置され得、その腫瘍としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:直腸癌、骨盤癌、結腸癌、カルチノイド、黒色腫、卵巣癌、肉腫、胃食道接合部の癌、胃癌、食道癌、肝臓癌、および頚部癌。
【0014】
この処置をモニタリングすることは本発明の必須の局面ではないが、処置の治療効果を測定するための技術が存在する。これらとしては、このウイルスの投与後の腫瘍のサイズを測定することが挙げられ、腫瘍サイズの減少は、前向きな結果である。
【0015】
本発明は、以下の実施例を参照することにより、よりよく理解される。以下の実施例は、本明細書中に記載される本発明を例示するが限定しない。以下の実施例では、用いられるNDVは、国際特許公報WO 00/62735(2000年10月26日公開)(Pro−Virus,Inc.)により十分に記載されている、ニューカッスル病ウイルスのMK107株の三重プラーク精製弱毒化(亜病原性)バージョンであった。WO 00/62735の内容全体は、本明細書中に参考として援用される。
【実施例】
【0016】
(実施例1)
(方法)
(投薬スケジュールおよび投与量)
(クール1〜6)
第1の2つのクールに対しては、21日間のサイクルに対して、2週間の時間にわたって6回の用量を癌患者に与え、続いてNDVの処置なしで1週間を経過させた。
【0017】
スケジュール
用量1 0日目 3時間にわたって静脈内注入により投与
用量2 3日目 1時間にわたって静脈内注入により投与
用量3 7日目 1時間にわたって静脈内注入により投与
用量4 9日目 1時間にわたって静脈内注入により投与
用量5 11日目 1時間にわたって静脈内注入により投与
用量6 14日目 1時間にわたって静脈内注入により投与
次の4つのクールに対しては、21日間のサイクルに対して、2週間の時間にわたって6回の用量を癌患者に与え、続いてNDVの処置なしで1週間を経過させた。
【0018】
スケジュール
用量1 0日目 1時間にわたって静脈内注入により投与
用量2 2日目 1時間にわたって静脈内注入により投与
用量3 4日目 1時間にわたって静脈内注入により投与
用量4 7日目 1時間にわたって静脈内注入により投与
用量5 9日目 1時間にわたって静脈内注入により投与
用量6 11日目 1時間にわたって静脈内注入により投与
(クール7+)
NDVの7番目のクールを始めとして、引き続くクールは、4週サイクルの間、1週間のうちに与えられる3回だけの用量、次のクールを始める前に、NDVを受取ることのない3週間からなった。
【0019】
用量1 0日目 1時間にわたって静脈内注入により投与
用量2 2日目 1時間にわたって静脈内注入により投与
用量3 4日目 1時間にわたって静脈内注入により投与
(コホートによる投与量:)
【0020】
【化1】

この実験では、用量1は、コホート2の患者においてこの用量で観察された無症候性の低血圧および中熱に起因して、240億PFU/mよりも高く上昇させなかった。しかしながら、480億PFU/mもの多さの初期用量は、病院用設定では与え得る。なぜなら病院は、そのような初期用量に伴なう予期される症候性の低血圧および熱の十分な管理を提供し得るからである。
【0021】
第1クールの第1の用量の前に:
アセトアミノフェン(650mg)を投与の直前に与えた。
【0022】
患者2304(コホート番号3の最後の患者)を始めとして、さらなるイブプロフェン用量(400mg)を、熱のさらなる予防的制御のために、用量1の直前に与えた。
【0023】
患者2201(コホート番号2の第1の患者)を始めとして、オンダンセトロン(ondasetron)(8mg)の静脈内用量もまた、吐気の予防的制御のために、投薬の直前に与えた。
【0024】
第1のクールの患者らの第1の用量の後:
アセトアミノフェン(650mg)を、投薬の4時間後、投薬の8時間後、および投薬の12時間後に与えた。イブプロフェン(400mg)を、投薬の6時間後、投薬の12時間後、投薬の18時間後、および投薬の24時間後に与えた。オンダンセトロン(8mg)を、投薬の12時間後および投薬の24時間後に与えた。患者を、モニタリングのために一晩病院内に留め、患者にIV流体を200cc/hで24時間与え、それを予備投薬を与えた時に開始した。解放の翌日に対して、家で、患者にもう1リットルのIV流体を与えた。
【0025】
第1のクールの第2の用量の前に:
アセトアミノフェン(650mg)を、投薬の直前に与えた。患者2201を始めとして、IVドラセトロン(Dolasetron)(100mg)を、投薬の直前に与えた。患者2304を始めとして、イブプロフェン(400mg)をも、投薬の直前に与えた。
【0026】
第1のクールの第2の用量の後に:
アセトアミノフェン(650mg)を、投薬の4時間後、投薬の8時間後、および投薬の12時間後に与えた。イブプロフェン(400mg)を、投薬の6時間後、投薬の12時間後、投薬の18時間後、投薬の24時間後に与えた。患者に、投薬とともに500ml〜1リットルのIV流体を与えた。その次の3日間の各々に対して、患者に、家で、もう1リットルのIV流体を与えた。
【0027】
第1のクールの連続する各用量の前に:
アセトアミノフェン(650mg)を、投薬の直前に与えた。患者2304を始めとして、イブプロフェン(400mg)をも、投薬の直前に与えた。
【0028】
第1のクールの連続する各用量の後に:
アセトアミノフェン(650mg)を、投薬の4時間後、投薬の8時間後、および投薬の12時間後に与えた。イブプロフェン(400mg)を、投薬の6時間後、投薬の12時間後、投薬の18時間後、投薬の24時間後に与えた。
【0029】
(患者の説明)
(コホート1(12/24×5))
患者2101(結腸癌を有する59歳の女性);6ヶ月以上安定した疾患。
【0030】
与えられた最初の用量:2002年7月8日
受けたクールの番号:8
説明:NDV処置の後、この患者は、この患者の嚢胞性骨盤腫瘍塊に関連する骨盤中の嚢胞性流体を増加させた。他の転移(met)のすべては、腫瘍の減少を示した(しかし、応答を招くには十分ではない)。骨盤塊に関連する流体を吸出し、悪性細胞の証拠がなく、壊死性物質および炎症性細胞のみであることを明らかにした。この患者は、(全8クールのNDVを受取った後)6ヶ月間安定した疾患を有し、次いで腫瘍の進行の証拠を有した(嚢胞性骨盤塊および水腎の継続した増殖に証明されるように)。
【0031】
患者2102(悪性カルチノイドを有する63歳の女性);わずかのX線写真での応答;主要な生物化学的応答が進行中;現在、8ヶ月以上の間研究中。
【0032】
与えられた最初の用量:2002年7月22日
受けたクールの番号:10+
説明:この患者は、カルチノイド症候群(主に、下痢および少しの潮紅を伴なう疲労)を有し、下痢の不完全な制御とともに研究を始める前に、オクトレオチド(octreotide)服用中であった。NDV処置を始めた後、この患者は、以下を有したことが注記される:
1)完全な症状の改善。この患者は、オクトレオチドを止め、100日間、下痢/潮紅の症状なくオクトレオチドから遠ざかったままであった。100日目での症状の再発時における、この患者の長期作用する注射は、さらなる114日間の症状の完全な不在を生じた。
【0033】
2)オクトレオチドを伴なうNDV処置前のレベルとオクトレオチドから離れていた間のNDV処置後のレベルとを比較して、5HIAAが43%低下。
【0034】
3)この患者の腸間膜塊における90%より多い低下(この患者の肝臓転移の大きさの最小の変化を基準として、全体としてのわずかな応答)。
【0035】
この患者は、まだ研究中である。
【0036】
患者2103(腹膜転移を伴なう境界型卵巣癌を有する40歳の女性);4ヶ月間の安定した疾患;次いで、腫瘍の進行(3つの新しい腫瘍の小節)。
【0037】
与えられた最初の用量:2002年7月29日
受けたクールの番号:6
説明:最初のクールの後、CA−125は、50%の減少を示した。
【0038】
((コホート2)(24/48×5))
患者2201(直腸癌を有する61歳の男性);確認され、進行中の部分的応答;現在、7ヶ月以上の間、研究中。
【0039】
与えられた最初の用量:2002年8月19日
また研究中か?:はい
受けたクールの番号:7+
説明:最初のCTスキャンの後、50%の腫瘍の減少が確認された。PRは、第2のスキャンで確認された。第3のスキャンは、腫瘍の大きさにおいて、ベースラインから75%の全体としての減少を示した。この患者のCEAはまた、初期に70%の減少を示した。
【0040】
患者2202(直腸癌および骨盤転移を有する35歳の男性);腫瘍の大きさが50%減少(部分応答)、まだ研究中。
【0041】
与えられた最初の用量:2002年9月9日
受けたクールの番号:5
説明:この患者は、クール1の用量1のあと敗血症になった。その血液培養物は、viridans strep(Strep salivarius)を示した。この患者は、用量1の前に、精力的な歯のクリーニングを受けており、これが、この経口細菌からの敗血症に対する可能性のある源である。クール1の間のこの患者の用量の残りは、差し控えられた。抗生物質治療に対する応答の後、この患者はNDV処置を再開した。クール2の間、この患者は、坐骨神経痛の悪化を発症し、そして高用量高頻度のジラウジド(Dilaudid)(ヒドロモルホン)で開始され、十分な糞便軟化剤を摂取しなかった。この患者は、続いて、小腸閉塞を発症し、引き続いて大腸菌による感染症を併発し、これは、恐らくこの患者の回腸フィステル形成の非無菌のケアに起因すると考えられる。この患者は、最近、直腸フィステルを発症し、手術による修復を受けた。5サイクル後でかつ手術の前の追跡スキャンは、腫瘍の大きさの全体としての50%減少(部分応答)を示し、そしてこの患者は継続して研究中である。
【0042】
患者2203−名簿に登録されたが、投与されなかった。
【0043】
患者2204(結腸癌を有する50歳の男性);2ヶ月は安定、その後腫瘍の進行を発症
与えられた最初の用量:2002年10月7日
受けたクールの番号:3
患者2205(咽頭癌を有する45歳の男性);軽度の応答が進行中;現在、5ヶ月間以上、研究中。
【0044】
与えられた最初の用量:2002年10月21日
受けたクールの番号:6+
説明:この患者の咽頭腫瘍は、2サイクル後にベースラインから30%減少した。現在、6サイクル後の評価を待っている。
【0045】
患者2206(転移中の転移性黒色腫を有する56歳の女性);部分応答が進行中;現在、4ヶ月間以上、研究中。
【0046】
与えられた最初の用量:2002年10月28日
受けたクールの番号:6+
説明:この患者は、30を超える転移中の皮膚転移(skin met)を有し、そのうちの最も大きいもの10個を、大きさについて追跡した。これらは、この腫瘍面積の合計において約67%の減少を示し、いくつかの病変は完全に退縮した。興味深いことに、この患者は、投与の翌日に病変が炎症を起こし(赤化)、これはその翌日までに消散した。この患者は、現在、治ったと感じている。
【0047】
患者2207(結腸癌を有する58歳の男性):最近、2サイクルを完了した;いまだ研究中。
【0048】
与えられた最初の用量:2002年11月4日
受けたクールの番号:6
説明:この患者は、出来事もなくNDVの6サイクルを完了し、この患者の最初のスキャンの際に安定な疾患を有していた。
【0049】
(コホート3(24/96×5)
患者2301(卵巣癌を有する67歳の女性);2サイクル後、腫瘍が進行し、患者は研究からはずれた。
【0050】
与えられた最初の用量:2002年11月18日
受けたクールの番号:2
患者2302−名簿に登録されたが、処置されなかった。
【0051】
患者2303(卵巣癌を有する45歳の女性):安定な疾患を伴なって、3ヶ月間、研究中。
【0052】
与えられた最初の用量:2002年12月2日
受けたクールの番号:4+
説明:この患者の3回目の、960億PFU/m2という高い用量の間、この患者は、硬直および硬直に関連する低酸素症を伴なう猛烈な胸の痛みを経験した(2003年1月3日、サイクル2の用量4)。注入が終了したとき、その痛みは消散した。この患者はまた、デメロール(Demerol)、ニトロスプレー(nitrospray)および酸素を用いて処置された。この患者の次のいくつかの用量に対して、この患者は、予防用のベネドリル(Benedryl)を与えられ、注入時間は2時間に延ばされ、そしてこの患者は、その後この注入に関連する副作用の再発を経験しなかった。この患者は、現在、予備処置のベネドリルを必要とせず、注入時間は1時間である。この患者は、現在、3ヶ月以上の間、安定な疾患を有している。
【0053】
患者2304(右大腿の円形細胞肉腫および骨盤の骨への転移を有する45歳の男性):最近、2クールを完了した。評価は係属中である。この患者は、この患者の骨への転移に関連する痛みの制御に入ることを必要とする。
【0054】
与えられた最初の用量:2003年1月20日
受けたクールの番号:2
(コホート4(24/120×5))
患者2401(GE(胃−食道)接合部の癌および肝臓への転移を有する62歳の男性)。最近、2クールを完了した。この患者は、転移が位置する肝臓に痛みを有している。この患者はまた、嘔吐を続けており、食欲を減退させている。この患者は、脱水症の予防のために、間欠性の、継続中の家庭での水分補給を必要としている。評価は係属中である。
【0055】
与えられた最初の用量:2003年2月3日
受けたクールの番号:2
患者2402(再発した頚部癌を有する33歳の女性)。最近、最初のクールを完了し、処置を十分に許容した。軽度の疲労および吐気が唯一の症状であった。
【0056】
与えられた最初の用量:2003年2月17日
与えられたクールの番号:1+
患者2403 患者は名簿に登録されたが、処置されなかった。
【0057】
患者2404(結腸癌および肝臓への転移を有する52歳の男性)。この患者は、最近、NDV処置の第1のクールを完了し、中程度の疲労およびいくらかの嘔吐のみを伴ない、処置を十分に許容した。
【0058】
与えられた最初の用量:2003年2月24日
与えられたクールの番号:1
患者2405(結腸癌および肝臓への転移を有する53歳の女性)。この患者は、最近、この患者の第1のクールを開始した。中程度の疲労が確認された。この患者は、3回目の用量の間に、軽い注入反応を経験し、この注入反応はベナドリルおよびより長い注入時間により消散した。5回目の用量とともに、ベナドリルは与えられなかったが、このより長い注入時間は維持された。
【0059】
与えられた最初の用量:2003年3月3日
与えられたクールの番号:1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍を有する哺乳動物被験体を処置するための方法であって、該方法は、
該被験体に、該被験体を処置するために有効な一定量のニューカッスル病ウイルスを投与する工程
を包含し、ここで、
該ウイルスは、該被験体に、1回以上のサイクルで投与され;
少なくとも1サイクルは、患者の表面積1平方メートルあたり1.8×1010PFU〜4.8×1010PFUの該ウイルスの1回以上の初期用量を逐次的に投与し、続いて患者の表面積1平方メートルあたり2.4×1010PFU〜1.2×1011PFUの該ウイルスの1回以上の次の用量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記1回以上の初期用量が、脱感作用量であり、前記次の用量が、増加用量であり、各増加用量における前記ウイルスの量が、各脱感作用量におけるウイルスの量よりも多い、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記1回以上の脱感作用量が、患者の表面積1平方メートルあたり約2.4×1010PFUであり、前記1回以上の増加用量が、患者の表面積1平方メートルあたり約4.8×1010PFUである、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記1回以上の初期用量が、患者の表面積1平方メートルあたり2.4×1010PFU〜4.8×1010PFUの該ウイルスである、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記1回以上の次の用量が、患者の表面積1平方メートルあたり4.8×1010PFU〜1.2×1011PFUの該ウイルスである、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記ウイルスが、ニューカッスル病ウイルスの亜病原性株である、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記ウイルスが全身投与される、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記ウイルスが静脈内投与される、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記投与されるウイルスが、ニューカッスル病ウイルスの亜病原性株である、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記ウイルス用量が、24時間までの投与時間にわたって投与され;そして該用量が、該投与時間内の任意の10分間のサンプリング時間に、患者の表面積1平方メートルあたり7.0×10PFUまでの速度で投与される、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記速度が、前記投与時間内の任意の10分間のサンプリング時間に、患者の表面積1平方メートルあたり2.0×10PFUまでである、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、前記投与時間が少なくとも1時間である、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記投与時間が少なくとも3時間である、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、前記被験体がヒト被験体である、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、前記被験体が非ヒト哺乳動物である、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、前記腫瘍の大きさが、前記ウイルスの投与後に減少する、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、前記腫瘍が、直腸癌、骨盤癌、結腸癌、カルチノイド、黒色腫、卵巣癌、肉腫、胃食道接合部の癌、胃癌、食道癌、肝臓癌、および頚部癌からなる群より選択される、方法。
【請求項18】
請求項8に記載の方法であって、前記被験体に、第1の前記1回以上の初期用量の投与の後、流体を静脈内投与する工程をさらに包含する、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記被験体がヒトであり、そして前記第1の初期用量後24時間以内に、少なくとも4リットルのIV流体が投与される、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍を有する哺乳動物被験体を処置するための薬学的組成物であって、該薬学的組成物は、
被験体を処置するために有効な量のニューカッスル病ウイル
を含有し、ここで、
該ウイルスは、該被験体への、1回以上のサイクルで投与のために処方され;
ここで、少なくとも1サイクルは、患者の表面積1平方メートルあたり1.8×1010PFU〜4.8×1010PFUの該ウイルスの1回以上の初期用量を逐次的に投与し、続いて患者の表面積1平方メートルあたり2.4×1010PFU〜1.2×1011PFUの該ウイルスの1回以上の次の用量を投与する工程を包含する、薬学的組成物
【請求項2】
請求項1に記載の薬学的組成物であって、前記1回以上の初期用量が、脱感作用量であり、前記次の用量が、増加用量であり、各増加用量における前記ウイルスの量が、各脱感作用量におけるウイルスの量よりも多い、薬学的組成物
【請求項3】
請求項2に記載の薬学的組成物であって、前記1回以上の脱感作用量が、患者の表面積1平方メートルあたり約2.4×1010PFUであり、前記1回以上の増加用量が、患者の表面積1平方メートルあたり約4.8×1010PFUである、薬学的組成物
【請求項4】
請求項1に記載の薬学的組成物であって、前記1回以上の初期用量が、患者の表面積1平方メートルあたり2.4×1010PFU〜4.8×1010PFUの該ウイルスである、薬学的組成物
【請求項5】
請求項1に記載の薬学的組成物であって、前記1回以上の次の用量が、患者の表面積1平方メートルあたり4.8×1010PFU〜1.2×1011PFUの該ウイルスである、薬学的組成物
【請求項6】
請求項1に記載の薬学的組成物であって、前記ウイルスが、ニューカッスル病ウイルスの亜病原性株である、薬学的組成物
【請求項7】
請求項1に記載の薬学的組成物であって、前記ウイルスが全身投与のために処方される、薬学的組成物
【請求項8】
請求項7に記載の薬学的組成物であって、前記ウイルスが静脈内投与のために処方される、薬学的組成物
【請求項9】
請求項8に記載の薬学的組成物であって、前記投与されるウイルスが、ニューカッスル病ウイルスの亜病原性株である、薬学的組成物
【請求項10】
請求項1に記載の薬学的組成物であって、前記用量が、24時間までの投与時間にわたって投与され;そして該用量が、該投与時間内の任意の10分間のサンプリング時間に、患者の表面積1平方メートルあたり7.0×10PFUまでの速度で投与される、薬学的組成物
【請求項11】
請求項10に記載の薬学的組成物であって、前記速度が、前記投与時間内の任意の10分間のサンプリング時間に、患者の表面積1平方メートルあたり2.0×10PFUまでである、薬学的組成物
【請求項12】
請求項10に記載の薬学的組成物であって、前記投与時間が少なくとも1時間である、薬学的組成物
【請求項13】
請求項12に記載の薬学的組成物であって、前記投与時間が少なくとも3時間である、薬学的組成物
【請求項14】
請求項1に記載の薬学的組成物であって、前記被験体がヒト被験体である、薬学的組成物
【請求項15】
請求項1に記載の薬学的組成物であって、前記被験体が非ヒト哺乳動物である、薬学的組成物
【請求項16】
請求項1に記載の薬学的組成物であって、前記腫瘍の大きさが、前記ウイルスの投与後に減少する、薬学的組成物
【請求項17】
請求項1に記載の薬学的組成物であって、前記腫瘍が、直腸癌、骨盤癌、結腸癌、カルチノイド、黒色腫、卵巣癌、肉腫、胃食道接合部の癌、胃癌、食道癌、肝臓癌、および頚部癌からなる群より選択される、薬学的組成物
【請求項18】
請求項8に記載の薬学的組成物であって、ここで、前記1回以上のサイクルが、前記被験体に、第1の前記1回以上の初期用量の投与の後、流体を静脈内投与する工程をさらに包含する、薬学的組成物
【請求項19】
請求項18に記載の薬学的組成物であって、前記被験体がヒトであり、そして前記第1の初期用量後24時間以内に、少なくとも4リットルのIV流体が投与される、薬学的組成物
【請求項20】
腫瘍を有する非ヒトの哺乳動物被験体を処置するための方法であって、該方法は、
該被験体に、該被験体を処置するために有効な量のニューカッスル病ウイルスを投与する工程
を包含し、ここで、
該ウイルスは、該被験体に、1回以上のサイクルで投与され;
ここで、少なくとも1サイクルは、患者の表面積1平方メートルあたり1.8×1010PFU〜4.8×1010PFUの該ウイルスの1回以上の初期用量を逐次的に投与し、続いて患者の表面積1平方メートルあたり2.4×1010PFU〜1.2×1011PFUの該ウイルスの1回以上の次の用量を投与する工程を包含する、方法。

【公表番号】特表2006−521384(P2006−521384A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508942(P2006−508942)
【出願日】平成16年3月2日(2004.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/006159
【国際公開番号】WO2005/013920
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(504397480)ウェルスタット バイオロジクス コーポレイション (13)
【Fターム(参考)】