説明

ニンニクを利用した天然接着剤及びその製造方法

本発明は、坑菌能力の高いニンニクを主原料とした高接着性の無公害天然接着剤及びその製造方法に関し、製造の全過程の中で一切の化合物質の使用を排除することにより、揮発性の有機化合物による色々な被害を効果的に防止すると共に、保存性及び接着性の高い無毒性、高機能の天然接着剤に関する。具体的に、本発明は、粉砕されたニンニクと水の混合物から得られた抽出液をろ過及び濃縮させて製造されたニンニクを利用した天然接着剤を提供し、(a)ニンニクを準備して粉砕する段階と、(b)上記粉砕されたニンニクに溶媒を添加する段階と、(c)上記粉砕されたニンニクと溶媒の混合物から抽出液を抽出する段階と、(d)上記抽出液をろ過する段階と、(e)上記ろ過された抽出液を濃縮する段階とを含むニンニクを利用した天然接着剤の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニンニク(garlic)を利用した天然接着剤(natural adhesive)及びその製造方法に関する。より具体的には、坑菌能力の高いニンニクを主原料とする高接着性の無公害天然接着剤として、製造の全過程において一体の化合物質の使用を排除することにより、揮発性の有機化合物による色々な被害を効果的に防止すると共に、接着性の高い無毒性高機能の天然接着剤、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、接着剤(adhesive)は、同種又は異種の物体の結合のために使用する物質を総称し、初期には液状であるが、時間が経過すれば、固化されることにより、被着物に緊密に「接着」されると共に、それ自体が破壊されない高分子の物質を指す。
【0003】
この時、接着剤の「接着」は、湿潤(wetting)を伴うという点で、「接合(join)」と違いを見せるが、「湿潤」とは、接着剤と被着物との間の相互類似性により誘発される現象であり、液状の接着剤は、被着物と「接触」すれば、「湿潤」により均等に侵入した後、接着強度の発生因子、例えば、投錨(anchor)、ジッパー(zipper)、毛細管現象などの力学的及び化学的接着力を発揮することにより、接着物に「結合」及び固化され、一度固化されると、温度、湿度、圧力などの外力にもかかわらず、その接着状態を緊密に維持する。
【0004】
従って、優秀な接着剤は、「接触」、「湿潤」、「結合」、及び「維持」のすべての特性が優れなければならない。現在、主に使用される接着剤は、大きく無機接着剤と有機接着剤とに分けられ、主成分によっては、下記の表1のように細分化される。
【0005】
【表1】

【0006】
一方、最近になって環境汚染が激しくなりながら、安楽な住居環境に対する関心が徐々に高まっており、シックハウス症候群(sick house syndrome)を始めとして、ホルムアルデヒド(formaldehyde)のような有害化学物質による頭痛、アトピー皮膚炎、喘息などの被害を減らそうとする努力が続いている。ここで、シックハウス症候群とは、ホルムアルデヒド以外にも、ベンゼン(benzene)、トルエン(toluene)、キシレン(xylene)、エチルベンゼン(etylbenzene)、アセトアルデヒド(acetaldehyde)、ジクロロベンゼン(dichlorobenzene)、スチレン(styrene)などの揮発性の有機化合物(VOCs)により現れる現象であり、当該化学物質が含まれている接着剤、建築資材などからその原因を探すことができる。
【0007】
これにより、最近には、揮発性の有機化合物の添加及び使用をできるだけ排除した接着剤として、いわゆる「天然接着剤」に対する需要が増加しているが、製造及び生産の全過程の中に、揮発性の有機化合物の使用を一切排除すれば、保存性が低下して、細菌などにより簡単に変質される欠点を示す。そこで、現在、市販されている大部分の天然接着剤には、たとえ少量でもホルムアルデヒドのような防腐剤の成分が含まれており、さらに、天然接着剤の構成成分である樹脂、溶媒、触媒、硬化剤、添加剤などの製造及び保管中には、何の制約なしに揮発性の有機化合物が使用される。
【0008】
その結果、天然接着剤の乾燥及び硬化過程の中に、揮発性の有機化合物が増発することにより、相変わらず発癌物質の生成はもちろん、頭痛、アトピー皮膚炎、喘息などのシックハウス症候群のような疾患による被害を誘発しており、更に進んで、光化学スモッグによるオゾン層の破壊や地球温暖化を引き起こしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−2084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題点を解決するために案出されたものであり、製造及び保管の全過程の中に、揮発性の有機化合物の使用を一切排除することにより、環境親和的であり、接着性に優れた天然接着剤、及びその製造方法を提供することに目的がある。
【0011】
当該目的を達成するために、具体的に、本発明は、坑菌能力に優れたニンニクを主原料とした天然接着剤として、製造及び保管の全過程の中に、化合物質の使用を一切排除することにより、揮発性の有機化合物による色々な被害を効果的に防止することができる一方、高い接着強度で作業性が高く、保存性に優れた無毒性、高機能の天然接着剤、及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような目的を達成するために、本発明は、粉砕されたニンニクと水の混合物から得られた抽出液を、ろ過及び濃縮させて製造されたニンニクを利用した天然接着剤を提供する。この時、上記ニンニクは、上記粉砕後、乾燥されることを特徴とし、上記水は、上記ニンニクの1g当に2〜3mlの割合で混合され、上記抽出液は、上記水の混合後、80〜100℃の温度で、5〜7時間を経過した後に抽出され、上記濃縮は、55〜65℃の温度で、9〜10倍率で濃縮されることを特徴とする。
【0013】
更に、本発明は、(a)ニンニクを準備して粉砕する段階と、(b)上記粉砕されたニンニクに溶媒を添加する段階と、(c)上記粉砕されたニンニクと溶媒との混合物から抽出液を抽出する段階と、(d)上記抽出液をろ過する段階と、(e)上記ろ過された抽出液を濃縮する段階とを含むニンニクを利用した天然接着剤の製造方法を提供する。
【0014】
この時、上記(a)段階と上記(b)段階との間に、上記ニンニクを80〜100℃で、23〜25時間を乾燥する段階を更に含むことを特徴とし、上記(b)段階において、上記溶媒は、水であり、上記(b)段階において、上記水は、上記粉砕されたニンニク1g当に2〜3mlの割合で添加されることを特徴とし、上記(b)段階と上記(c)段階との間に、上記粉砕されたニンニクと溶媒との混合液を、80〜100℃の温度で、5〜7時間を放置する段階を更に含み、上記(c)段階は、80〜100℃の温度で進行されることを特徴とし、上記(e)段階は、55〜65℃温度で、9〜10倍率で濃縮されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る天然接着剤は、製造及び保管の全過程の中に、一体の揮発性の有機化合物の使用を排除し、接着性が優秀で、親環境的であり、安全な特性を示す。特に、本発明に係る天然接着剤は、坑菌能力に優れたニンニクを主原料として使用することにより、保存性が高く、坑菌特性が優れるので、壁紙用接着剤などの内装材に適用される場合、より安全な使用が可能な長所を示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施例に係る天然接着剤の製造方法を示す順序図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係る天然接着剤の製造方法を示す順序図である。
【図3】本発明に係る天然接着剤の坑菌特性を示す写真である。
【図4】本発明に係る天然接着剤の坑菌特性を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本格的な説明に先立ち、本発明に係る「ニンニクを利用した天然接着剤」(以下、簡略に「天然接着剤」という。)は、具体的な様態によって二つの実施例に区分されることができるので、それぞれを第1及び第2の実施例に区分して説明し、便宜上共通された内容に対しては、第1の実施例において詳しく説明する代わりに、第2の実施例においては、差異点に対して主に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の第1の実施例に係る天然接着剤の製造の順序を示す図面である。
【0020】
示されるように、ニンニクを準備し洗浄する(st1)。この時、ニンニクは、市販されている通常の生のニンニクとして、任意的に韓国南海産のニンニクを使用する。このニンニクの皮をはがした後、水で洗浄して、土、根、枝、葉などの不純物を除去する。
【0021】
次に、洗浄されたニンニクを粉砕する(st2)。この時、ニンニクの粉砕のためには、均質器(homogenizer)が使われることができ、できるだけ精密に粉砕し、粒子の大きさを小さくする。
【0022】
次に、粉砕されたニンニクに溶媒を添加する(st3)。この時、溶媒としては、水が一番適切であり、ニンニク1g当に2〜3ml、好ましくは、ニンニク1g当に2.5mlの割合で添加する。
【0023】
次に、粉砕されたニンニクと水の混合物から液体成分を抽出しろ過する(st4、st5)。この時、液体成分の抽出は、溶媒の添加後、5〜7時間、好ましくは、6時間が経過した後に行われ、抽出の温度は、80〜100℃、好ましくは、90℃であることが適切である。抽出後及びろ過前に、抽出液を遠心分離(7,000rpm/30min)して上等液を取った後、適切なフィルター(whatmanNo 2 filter paper)でろ過する。
【0024】
次に、抽出液を濃縮する(st5)。この時、濃縮には回転蒸発器(rotary evaporator)が使われることができ、濃縮の温度は、55〜65℃、好ましくは、60℃で、9〜10倍率、好ましくは、10倍率で濃縮する。
【0025】
その結果、本発明の第1の実施例に係る天然接着剤が得られ、これは、粉砕されたニンニクと水の混合物から得られた抽出液をろ過し濃縮した形態を示す。
【実施例2】
【0026】
図2は、本発明の第2の実施例に係る天然接着剤の製造方法を示す順序図である。図1と比較すると、ニンニクの粉砕(st2)と、溶媒の添加(st3)との間に、粉砕されたニンニクを乾燥する段階(st2′)が追加されていることが分かる。即ち、本発明の第2の実施例に係る天然接着剤の製造方法は、第1の実施例とは異なり、ニンニクを粉砕(st2)し、粉砕したニンニクを乾燥(st2′)してから始めて溶媒を添加(st3)する。この時、ニンニクの乾燥には、乾燥オーブンが使われることができ、乾燥温度は、80〜100℃、好ましくは、90℃で、23〜25時間の間に乾燥が行われる。そして、その後は、第1の実施例と同様に、抽出、ろ過、及び濃縮の段階を進行する(st4、st5、st6)。
【0027】
これにより、本発明の第2の実施例に係る天然接着剤が得られ、これは、粉砕し乾燥したニンニクと水の混合物から得られた抽出液を、ろ過し濃縮した形態を示す。
【0028】
上述したように、本発明の第1及び第2の実施例に係る天然接着剤は、建築分野、特に、壁紙などの内装材に適用される場合、最も大きい効果を示す。以下、(1)指触乾燥時間、(2)pH、(3)粘度、(4)不揮発分、(5)密度、(6)接着性能など、本発明に係る天然接着剤の物性及び接着の特性を調べ、便宜上本発明の第1及び第2の実施例に係る天然接着剤をそれぞれ第1及び第2の標準試料という。
【0029】
即ち、第1の標準試料は、本発明の第1の実施例に係る天然接着剤であり、生のニンニクを洗浄し、均質器で粉砕した後、粉砕したニンニク2kgに水5Lを添加して、90℃の温度雰囲気で、6時間を経過した後、液体成分を抽出し、抽出液を遠心分離(7,000rpm/30min)して、上等液を取ってろ過した後、60℃の温度で、回転蒸発器を利用して10倍率で濃縮した。一方、第2の標準試料は、本発明の第2の実施例に係る天然接着剤であり、その他の過程は、上記と同様であるが、粉砕したニンニク2kgを90℃の乾燥オーブンにおいて、24時間の間に乾燥する段階を追加した。
(1)指触乾燥時間(candles drying time)
【0030】
指触乾燥時間は、液体の乾燥時間を調べてみるためのことであり、液体の塗布面を触ってみて、手につかなくなる時までの時間を意味する。本発明においては、通常の接着剤又は塗料対象の検査方法を選択する。具体的には、普通の板ガラスとして、無色透明であり、両面が清潔なものを選んで、指触乾燥時間測定用のガラス板(165×60mm)として選択し、その切れた断面を金剛砂の砥石で整えてまるくした後、石鹸、洗剤、及びアルカリ溶液の熱湯で水洗した後、エチルアルコールとトルエンとの混合液で洗浄して、埃がつかないようにする。一方、新たな板ガラスを使用する場合、重クロム酸カリウムと濃硫酸との混合溶液に、24時間以上浸漬した後に洗浄した。そして、このように清潔に調整されたガラス板に、第1及び第2の標準試料をそれぞれ3gずつ落とした後、均等な力及び速度(150mm/sec)のフィルムアプリケータを利用して均一な厚さに塗布した後、一定の温度(20℃、40℃、60℃)と、一定の湿度とを維持しながら、一定の時間の間隔ごとに指で触ってみて、粘着性が感じられない時間を測定した。
(2)pH
【0031】
第1及び第2の標準試料のそれぞれを同量の蒸溜水で薄めた後、25±1℃で、pH測定器(pH meter)で数回測定し、測定値の平均を少数点の第一の桁で示した。
(3)粘度(consistency viscosity)
【0032】
接着剤の粘度は、作業性に直結する要因であって、不揮発分、平均分子量と密接な連関があり、粘度の変化は、貯蔵安定性の尺度となる。本発明においては、20℃の室温を維持しながら、粘度計(Brookfield Model DV−I+、回転数100rpm(スピンドルNo2))を利用して、第1及び第2の標準試料のそれぞれの粘度を2回測定し、その平均値をセンチポイズ(cP=P/100)で示した。
(4)不揮発分(nonvolatile content)
【0033】
不揮発分とは、接着剤を加熱して、揮発性の物質を除去した後、残る物質の重量で、実際の接着力を発揮する物質である。本発明においては、直径4〜5cmのアルミニウムホイールの皿を準備して、その重量(W0(g))を正確に測定し、当該皿に第1及び第2の標準試料をそれぞれ1.5g載せた後、重量(W1(g))を測定し、105±1℃の熱風循環式の恒温度で180±5分間乾燥した後、乾燥剤が含まれているデシケーターで冷却した後、重量(W3(g))を測定する過程を、第1及び第2の標準試料のそれぞれに対して2回以上実施し、下記の式1に応じた結果の平均値を有効数字2桁で示した。
【0034】
式1:不揮発分(%)={(W2−W0)/(W1−W0)}×100
【0035】
この時、特に、不揮発分の検査は、第1及び第2の標準試料以外に、第1から第8の比較試料に対して追加的に行われた。第1から第4の比較試料は、それぞれ本発明の第1の実施例に係る天然接着剤の製造工程において粉砕されたニンニクに溶媒を添加した後、30分、1時間、3時間、及び24時間が経過した後、抽出する以外の段階は、全て同一である。第5から第8の比較試料は、それぞれ本発明の第2の実施例に係る天然接着剤の製造工程において粉砕されたニンニクに溶媒を添加した後、30分、1時間、3時間、及び24時間が経過した後、抽出する以外の段階は、全て同一である。
(5)密度(density)
【0036】
20±0.5℃の温度を維持したまま、重量を知っているメスシリンダ(100ml)に、第1及び第2の標準試料をそれぞれ起泡なしに100mlまで入れた後、天秤(称量500g、減量0.5g)で重量を測定して下記の式2により算出する。
【0037】
式2:S=(W1−W2)/100
(S:密度(g/m)、W1:標準試料とメスシリンダとの重量(g)、W2:メスシリンダの重量(g))
(6)接着性能:180°剥離強度
【0038】
本発明においては、KSF3217の壁紙用でんぷん系接着剤の検査方法を使用した。即ち、割れた隙や傷のない厚さ5mm合板(125×150mm)を準備した後、ブラシなどで第1及び第2の標準試料を50g/mに均一に塗布し、5分後175×150mmの綿布(117g/m)を覆い、ローラで49Nの荷重を加えながら往復しないように一方向にのみ5回圧着した後、20℃の環境を維持しながら48時間放置した。そして、切断機のような鋭い刃物で幅25mm間隔に合板面まで切ることで、5個の試験片を作り、試験片の一方の綿布を約50mm剥離して、当該の部分の合板と綿布をそれぞれ引張試験器のジグに付着した後、200mm/minの速度で試験片の接着部粉が約10mmとなるまで、ジグの間隔を広げて、試験片の剥離に応じた引張荷重値を測定し、波状部の最大値平均を180°剥離強度とし、N/25mmに表示する。この時、試験片の破壊荷重は、引張試験器の容量の15〜80%範囲内に入ることが望ましく、特に本接着性能検査は、第1及び第2の標準試料以外に、第1から第8の比較試料に対して追加的に行われた。第1から第4の比較試料は、それぞれ本発明の第1の実施例に係る天然接着剤の製造工程において、上記不揮発分の検査と同様に、粉砕されたニンニクに溶媒を添加した後、30分、1時間、3時間、24時間が経過した後抽出した。第5から第8の比較試料は、それぞれ本発明の第2の実施例に係る天然接着剤の製造工程において、上記不揮発分の検査と同様に、粉砕されたニンニクに溶媒を添加した後、30分、1時間、3時間、24時間が経過した後抽出した。
【0039】
下記の表2は、第1及び第2の標準試料に対する指触乾燥時間、PH、粘度、不揮発分、密度測定の結果を示したものである。
【0040】
【表2】

【0041】
示されたように、第1及び第2の標準試料の不揮発分においては、第2の標準試料が若干高かったが、実質的な差はなく、密度は同じである。また、粘度においては、第1の標準試料が第2の標準試料より高く、第1の標準試料は中性を、第2の標準試料は酸性を示し、指触乾燥時間は、温度が高まるほど速い傾向を示し、20℃で第2の標準試料が第1の標準試料より指触乾燥時間が速い。その結果、本発明の第1及び第2の実施例に係る天然接着剤は、20℃程度の日常条件で20余分内に乾燥が可能であり、特に既存のでんぷん系樹脂の粘度が、粘度計で測定することができないほど高いのと比較すると、ずっと低くて作業性に優れていることがわかる。
【0042】
下記の表3は、本発明に係る第1及び第2の標準試料と、第1から第8の比較試料との不揮発分及び接着性能の検査結果を表したものであり、不揮発分が高まれば、接着強度が増加する傾向を示し、不揮発分60%までは、第1の標準試料が第2の標準試料に比べて多少良好な特徴を示す。
【0043】
【表3】

【0044】
その他にも、本発明においては、第1及び第2の標準試料とその他の工程は同一であるが、粉砕されたニンニク又は粉砕後乾燥したニンニクに、水以外の溶媒として、EtOH MeOH、Hexane、CHCl、BuOHのうちから一つをそれぞれ5L添加して得られた試料を検査したが、これらは、濃縮後、接着剤として使用することができるほどの接着力を示すことができなかった。また、水を溶媒として使用する場合にも、生ニンニク:水の比率を、1:1、1:2、2:2等に多様に変化しながら検査を行ったが、生ニンニク:水の比率が1:2.5の時の抽出収率が一番高かった。その結果、本発明の第1及び第2の実施例に係る天然接着剤の製造工程、換言すれば、第1及び第2の標準試料の製造工程が、製造収率及び接着力において最適であることを確認することができた。
【0045】
参考として、下記の表4と表5は、それぞれ既存の壁紙用接着剤のうち、でんぷん系、微生物製剤であるプルラン、マイクロカプセル化されたエッセンシャルオイル、PVAc(Polyvinyl Acetate)に対する接着性能及び不揮発分の検査結果である。
【0046】
【表4】

【0047】
【表5】

【0048】
上記表4により知ることが出来るように、本発明に係る第1及び第2の標準試料の接着強度は、でんぷん系接着剤より優れる反面、PVAcよりは多少低いことを確認することができる。表5を共に参照すれば、第1及び第2の標準試料と既存の接着剤とは、不揮発分において相当な違いが生じ、特に既存製品の場合に作業性の悪化により、更にこれ以上の不揮発分の使用が不可能であると予測されるので、これを考慮すれば、第1及び第2の標準試料の性能が相対的に優秀であることがわかる。
【0049】
一方、本発明の第1及び第2の実施例に係る天然接着剤は、ニンニクを主原料とすることにより、坑菌能力に優れた特徴を示すところ、以下、本発明の第1及び第2の実施例に係る天然接着剤として、第1及び第2の標準試料それぞれの(7)細菌に対する坑菌特性と、(8)かび菌に対する坑菌特性とを調べる。
(7)細菌に対する坑菌活性
【0050】
本発明においては、agar diffusion method法に基づいて測定した。即ち、0.6%soft agarが含まれているMueller Hinton培地に、表6の有害微生物液体培養液を、それぞれ50mlずつ接種してよく混合した後、予め準備しておいたMueller Hinton平板培地に重層した後、任意に第1の標準試料を、paper disc(Toyo Rhosikaisha、Ltd、8mm)に1、3、5、7、及び9mg/mlずつ吸着させて、重層培地の上に載せ、35℃の恒温器で培養して、有害微生物の生育阻害を示すclear zoneを測定した。
【0051】
【表6】

【0052】
その結果を図3に示すが、検査に使用された細菌は、次のようであり、図面上の小文字aからeは、それぞれ天然接着剤の量として、(a)1mg/ml、(b)3mg/ml、(c)5mg/ml、(d)7mg/ml、及び(e)9mg/mlである。
【0053】
A、Bacillus cereus KCCM‐11204
B、Escherichia coli ATCC−25922
C、Pseudomonas aeruginosa ATCC‐15442
D、StapHylococcus aureus KCTC‐1927
E、Salmonella typHiumurium KCTC‐2208
F、Vibrio parahaemolyticus
【0054】
該当する図面を参照すれば、本発明に係る天然接着剤は、全般的に高い坑菌活性を示すことを確認することができる。特に、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Salmonella typhiumuriumなどに高い坑菌活性を示し、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Salmonella typhiumuriumの場合には、1mg/mlから坑菌力を表し始めて、3〜9mg/mlに至るまで非常に高い坑菌力を維持し、Bacillus cereus、Staphylococcus aureus、Vibrio parahaemolyticusの場合には、3mg/mlから坑菌力を示す。
(8)かびに対する坑菌活性
【0055】
また、本発明においては、agar diffusion method法に基づいて測定した。即ち、平板培地に培養した表7のかび菌株に、滅菌蒸溜水を9mlずつ分注した後、胞子を縣濁して胞子液1mlを0.6%soft agarが含まれているPDA重層培地に重層し、任意に本発明に係る第1の標準試料を、paper disc(Toyo Rhosikaisha、Ltd、8mm)に1、3、5、及び7mg/mlずつ吸着させて、重層培地の上に載せ、35℃の恒温器で培養しながら有害微生物の生育阻害を示すclear zoneを測定した。
【0056】
【表7】

【0057】
その結果を図4に示すが、検査に使用されたかびは、次のようであり、図面上の小文字a乃至eは、天然接着剤の量として、(a)1mg/ml、(b)3mg/ml、(c)5mg/ml、及び(d)7mg/mlである。
【0058】
A、Mucor javanicus AM‐2
B、Penicillium sp.
C、Aspergillus niger IFO‐31125
D、Rhizopus microsporus KCTC‐6969
【0059】
該当する図面を参照すれば、本発明に係る天然接着剤は、かび菌に対して全般的に高い活性を示すことを確認することができる。特に、5mg/mlの濃度で最も高い活性を示すが、Penicilliumの場合には、7mg/mlの濃度で最も高い活性を示す。
【0060】
一方、本発明の第1及び第2の実施例に係る天然接着剤を、既存の接着剤と混合し使用する場合に対する検査結果を以下に示す。下記の表8は、第1及び第2の標準試料に、それぞれ既存の壁紙用接着剤のうち、でんぷん系とプロラン系を色々な割合で混合し、接着性能を検査した結果として、作業状況を勘案して平均25℃の環境で進行した。
【0061】
【表8】

【0062】
上記の結果により知ることが出来るように、本発明に係る第1及び第2の標準試料は、既存製品の添加比率が高まれば、むしろ接着強度が減少する傾向を示し、マイクロカプセル化されたエッセンシャルオイルの場合に接着性能が略発揮されなく、検査が不可能であった。
【0063】
下記の表9は、本発明に係る第1及び第2の標準試料に既存製品であるでんぷん系とPVAcを互いに異なる割合で添加し、接着性能を検査した結果である。本発明に係る第1及び第2の天然接着剤は、単独で使われる時、最も優れた接着性能を示す。従って、本発明の第1及び第2の実施例に係る天然接着剤の使用の際に、有機化合物を添加する余地が希薄であるので、製造及び使用の全過程の中で有機化合物の使用を一切排除すると共に、接着性が優秀であり、親環境的であり、安全な特性を示し、坑菌能力に優れて保存性が高くて使用者の健康に有益な長所を有する。
【0064】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕されたニンニクと水の混合物から得られた抽出液をろ過及び濃縮させて製造されたニンニクを利用した天然接着剤。
【請求項2】
上記ニンニクは、上記粉砕された後乾燥されたニンニクを利用する
ことを特徴とする請求項1に記載の天然接着剤。
【請求項3】
上記水は、上記ニンニク1g当たり2〜3mlの割合で混合され、上記抽出液は、上記水の混合後、80〜100℃の温度で5〜7時間経過した後抽出され、上記濃縮は、55〜65℃の温度で9〜10倍率で濃縮されるニンニクを利用する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の天然接着剤。
【請求項4】
(a)ニンニクを準備して粉砕する段階と、
(b)上記粉砕されたニンニクに溶媒を添加する段階と、
(c)上記粉砕されたニンニクと溶媒の混合物から抽出液を抽出する段階と、
(d)上記抽出液をろ過する段階と、
(e)上記ろ過された抽出液を濃縮する段階とを含む
ニンニクを利用した天然接着剤の製造方法。
【請求項5】
上記(a)段階と上記(b)段階との間に、上記ニンニクを80〜100℃で23〜25時間乾燥する段階を更に含む
ことを特徴とする請求項4に記載のニンニクを利用した天然接着剤の製造方法。
【請求項6】
上記(b)段階の上記溶媒は、水であり、上記(b)段階において、上記水は、上記粉砕されたニンニク1g当たり2〜3ml割合で添加される
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のニンニクを利用した天然接着剤の製造方法。
【請求項7】
上記(b)段階と上記(c)段階との間に、上記粉砕されたニンニクと溶媒の混合液を、80〜100℃の温度で5〜7時間放置する段階を更に含み、上記(c)段階は、80〜100℃の温度で行われる
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のニンニクを利用した天然接着剤の製造方法。
【請求項8】
上記(e)段階は、55〜65℃の温度で、9〜10倍率で濃縮される
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のニンニクを利用した天然接着剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−531382(P2010−531382A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514630(P2010−514630)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国際出願番号】PCT/KR2008/003753
【国際公開番号】WO2009/002127
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(510000242)
【Fターム(参考)】