説明

ネットワーク管理システム、メディア・ゲートウェイ装置、メディア・ゲートウェイ装置の障害通知方法、およびプログラム

【課題】MGWからMGCへの障害通知方式を改善することにより、障害発生中の新規呼・コネクション確立時の呼損の発生を防止できる仕組みを備えたネットワーク管理システムを提供する。
【解決手段】MGC6が、メディアのフォーマット変換を行うMGW4に対して、H.248/Megacoプロトコルを使用して呼・コネクション制御を行う。このとき、MGW4の装置管理部30がMGW4の回線カードおよび回線ポートの状態を監視して障害/復旧情報をMGC6のMGCブレード6a,6b,6cへ通知する。すると、MGC6のMGCブレード6a,6b,6cは、MGW4から障害/復旧情報を受信してMGW4の呼・コネクション制御を行う。さらに、MGW4は、MGC6によって制御されたる呼・コネクションを管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディア・ゲートウェイ装置における障害・復旧の状況を管理するネットワーク管理システム、メディア・ゲートウェイ装置、メディア・ゲートウェイ装置の障害通知方法、およびその方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来のメディア・ゲートウェイ装置における障害通知方式を示すネットワーク管理システムのブロック図である。図4に示すように、従来、メディア・ゲートウェイ装置(MGW:Media Gate Way)11とメディア・ゲートウェイ・コントローラ装置(MGC:Media Gateway Controller)12との間の通信方式では、メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置(MGC)12内の複数のMGCブレード12a,12b,12cが、メディア・ゲートウェイ装置(MGW)11内の呼制御管理部11a内の呼制御管理ブレードとITU−T(International Telecommunication Union−Telecommunication Standardization Sector:国際電気通信連合・電気通信標準化部門)勧告のH.248/Megacoプロトコルを使用して呼・コネクション制御を行っている。
【0003】
図5は、H.248/Megacoプロトコルによるメディア・ゲートウェイ装置(MGW)11に対する呼・コネクションのリソース捕捉例を示す図である。図5に示すように、H.248/Megacoプロトコルのコネクションは、複数のContext(Context♯1、Context♯2、Context♯3)と複数のTermination(Ta1、Ta2、Ta3、T1、T2、T3)というリソースで構成されている。
【0004】
Terminationは、ATM(Asynchronous Transfer Mode;非同期転送モード)回線、IP(Internet Protocol)回線に対して別々に割り当てられ、Contextは、加入者単位に割り当てられる。Contextは、2つ又は2つ以上のTermination(例えば、Ta1とT1)の括り付けを管理する。また、ContextおよびTerminationは、それぞれID(Identification)として番号管理される。図5の例では、ContextIDは#1〜#3、IP回線のTerminationIDはT1〜T3、ATM回線のTerminationIDはTa1〜3が、それぞれ採番されている。
【0005】
図6は、TerminationIDのフィールド定義を示す図である。ATM回線の場合、スロット番号はATM回線カードの実装位置、ポート番号はATM回線カード内の回線番号として管理される。例えば、図6に示すように、typeは29,30,31、classは27,28、スロット番号は20,21…というように所定の番号が割り当てられる。
【0006】
図4に示すような形態でメディア・ゲートウェイ・コントローラ装置(MGC)12がメディア・ゲートウェイ装置(MGW)11に対して呼・コネクション確立を要求する場合は、図5に示すように、H.248/Megacoプロトコルを使用して前述のContextID、IP回線、ATM回線のTerminationIDを決定する。その際、ContextID、TerminationIDは共にメディア・ゲートウェイ装置(MGW)11にて払い出しを行う。但し、TerminaionIDの払い出しはメディア・ゲートウェイ・コントロール装置(MGC)12にて上位16ビットを指定、下位16ビットのチャネル番号のみメディア・ゲートウェイ装置(MGW)11にて払い出しを行う。
【0007】
メディア・ゲートウェイ・コントロール装置(MGC)12は、上位16ビットにてATM回線、IP回線共に使用する回線カード、ポート番号を指定すると共にATM回線の場合はメディア情報にて使用するATM回線のVPI(Virtual Path Indicator)、VCI(Virtual Channel Indicator)、CID(Channel ID)を指定する。H.248/MegacoプロトコルではService Change信号を使ってメディア・ゲートウェイ装置(MGW)11内の障害通知をメディア・ゲートウェイ・コントローラ装置(MGC)12に対して行う。但し、ATM回線やIP回線などの論理回線に対する障害通知は、Contextを払い出している場合にしか通知することができないため、メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置(MGC)12が呼・コネクション確立要求を行う際に、2重障害の発生により使用不可となったATMカードやATM回線番号等を払い出しの対象外にすることができない。その結果、確立要求に対してエラー応答が返却され、呼損が発生していた。なお、TerminationIDの再選択と呼・コネクションの再確立により呼損を低減させることは可能であるが、呼損をゼロにすることは不可能である。
【0008】
また、通信ネットワーク上において、管理装置が被管理装置側の障害の発生/復旧を適時に認識して画面上に即時表示を行うことにより、より効率的にネットワーク管理を実現できる通信ネットワークシステムの技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、管理装置において、被管理装置をアイコン化して表示画面上に表示させると共に、被管理装置からの自律通知に基づいて、この自律通知元の被管理装置のアイコンに対して、被管理装置側の障害の発生または復旧に対応するそれぞれの色を反映させるようにしたため、管理者は、管理装置における表示画面上の表示内容(つまり、アイコンの色)から、被管理装置の障害の内容や復旧時刻を適時に認識することができるので、効率的にネットワーク管理を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−306108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
すなわち、前記従来のメディア・ゲートウェイ装置の障害通知方式においては、メディア・ゲートウェイ装置(MGW)のH.248/Megacoプロトコルによる障害通知は確立中の呼・コネクションに対する通知のみであるため、メディア・ゲートウェイ・コントロール装置(MGC)における新規呼・コネクションの確立時の呼損を防止することができない。
【0011】
また、前記特許文献1の技術においては、管理装置(メディアゲートウェイコントロール装置)が被管理装置(メディアゲートウェイ装置)の障害/復旧を管理する点では前記従来技術と同じ内容であるので、前述の従来技術と同様に、新規呼・コネクションの確立時の呼損を防止することはできない。さらに、前記特許文献1の技術では、被管理装置(メディアゲートウェイ装置)の管理で通常使用される汎用プロトコル(H.248/Megacoプロトコル)を利用しながら、対応できない障害・復旧のパターンに関して、他の通知手段(例えば、SNMPプロトコル)を利用して被管理装置と管理装置が連携することで、通信サービスへの影響を最小限に抑える技術に展開することはできない。
【0012】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、メディア・ゲートウェイ装置(MGW)のメディア・ゲートウェイ・コントロール装置(MGC)への障害通知方式の改善を行うことにより、障害発生中の新規呼・コネクション確立時の呼損の発生を防止できる仕組みを備えたネットワーク管理システム、メディア・ゲートウェイ装置、メディア・ゲートウェイ装置の障害通知方法、およびその方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係るネットワーク管理システムは、メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置が、メディアのフォーマット変換を行うメディア・ゲートウェイ装置に対して、汎用プロトコルを使用して呼・コネクション制御を行うネットワーク管理システムであって、メディア・ゲートウェイ装置が、自己の回線状態に基づいて障害/復旧に関する詳細情報をメディア・ゲートウェイ・コントローラ装置へ通知するように構成されている。
【0014】
本発明の好適な実施形態としては、メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置が、メディアのフォーマット変換を行うメディア・ゲートウェイ装置に対して、汎用プロトコルを使用して呼・コネクション制御を行うネットワーク管理システムであって、メディア・ゲートウェイ装置は、メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置による呼・コネクション制御を管理する呼制御管理部と、メディア・ゲートウェイ装置の回線状態を監視してメディア・ゲートウェイ装置の障害/復旧情報をメディア・ゲートウェイ・コントローラ装置へ通知する装置管理部とを備え、メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置は、装置管理部からメディア・ゲートウェイ装置の回線状態に基づく障害/復旧情報を受信して、メディア・ゲートウェイ装置の呼・コネクション制御を行うブレードを備える構成を採っている。
【0015】
また、本発明の別の好適な実施形態としては、メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置が、メディアのフォーマット変換を行うメディア・ゲートウェイ装置に対して、汎用プロトコルを使用して呼・コネクション制御を行うネットワーク管理システムであって、メディア・ゲートウェイ・コントロール装置は、メディア・ゲートウェイ装置との間の呼・コネクションの確立とは別に、メディア・ゲートウェイ装置からの障害検出単位であらかじめ呼・コネクションを登録するように構成されている。
【0016】
また、本発明はメディア・ゲートウェイ装置を提供することもできる。すなわち、メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置により、汎用プロトコルを使用して呼・コネクション制御が行われるメディア・ゲートウェイ装置であって、メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置による呼・コネクション制御を管理する呼制御管理部と、メディア・ゲートウェイ装置の回線状態を監視して、そのメディア・ゲートウェイ装置の障害/復旧情報をメディア・ゲートウェイ・コントローラ装置へ通知する装置管理部とを備えるメディア・ゲートウェイ装置を提供することもできる。
【0017】
また、本発明はメディア・ゲートウェイ装置の障害通知方法を提供することもできる。すなわち、メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置が、メディアのフォーマット変換を行うメディア・ゲートウェイ装置に対して、汎用プロトコルを使用して呼・コネクション制御を行うメディア・ゲートウェイ装置の障害通知方法であって、メディア・ゲートウェイ装置が、自己の回線状態を監視して障害/復旧情報をメディア・ゲートウェイ・コントローラ装置へ通知する第1のステップと、メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置が、メディア・ゲートウェイ装置から回線状態に基づく障害/復旧情報を受信して、メディア・ゲートウェイ装置の呼・コネクション制御を行う第2のステップと、メディア・ゲートウェイ装置が、メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置によって制御されたる呼・コネクションを管理する第3のステップとを含むメディア・ゲートウェイ装置の障害通知方法を提供することもできる。
【0018】
また、本発明は、メディア・ゲートウェイ装置の障害通知方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供することもできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、メディア・ゲートウェイ装置内の回線状態(例えば、回線カードおよび回線ポートの状態)を監視する装置管理部を搭載した専用ブレードを用意し、メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置へ回線カードおよび回線ポートの状態に基づく障害および復旧通知を行うことで、メディア・ゲートウェイ装置の障害発生中の呼損を防ぐことができる。すなわち、メディア・ゲートウェイ装置が、回線カードおよび回線ポートの状態に基づいて障害/復旧情報を詳細に通知しているので、メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置は障害による呼損を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係るネットワーク管理システムの通信網を示す概念図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るメディア・ゲートウェイ装置における障害通知方式を示すネットワーク管理システムのブロックである。
【図3】本発明の第1実施形態に係るメディア・ゲートウェイ装置の詳細な構成図である。
【図4】従来のメディア・ゲートウェイ装置における障害通知方式を示すネットワーク管理システムのブロックである。
【図5】H.248/Megacoプロトコルによるメディア・ゲートウェイ装置に対する呼・コネクションのリソース捕捉例を示す図である。
【図6】TerminationIDのフィールド定義を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係るネットワーク管理システムは、メディア・ゲートウェイ装置(MGW)内の回線状態(例えば、回線カードおよび回線ポートの状態)を監視する装置管理部を搭載した専用ブレードを用意し、メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置(MGC)へ障害および復旧の通知を行うことで障害発生中の呼損を防ぐことを可能にしている。以下、図面を参照しながら、本発明に係るメディア・ゲートウェイ装置の障害通知方法の実施形態について詳細に説明する。なお、各実施形態を説明するための全図において、同一要素は原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
本発明に係るネットワーク管理システムは、ATM回線およびIP回線を終端して音声パケット等のメディア変換を行うメディア・ゲートウェイ装置(MGW)とメディア・ゲートウェイ・コントローラ装置(MGC)との間の障害通知および回線選択方式を改善することで呼損の発生頻度を低減させている。
【0023】
《第1実施形態》
図1は、本発明の第1実施形態に係るネットワーク管理システムの通信網を示す概念図である。すなわち、図1は、メディア・ゲートウェイ装置の障害通知方式を実現するネットワーク管理システムの通信網を示している。図1に示すように、ネットワーク管理システム1は、交換機2とメディア・ゲートウェイ装置(MGW)4とメディア・ゲートウェイ・コントローラ装置(MGC)6とを備えた構成となっている。
【0024】
また、通信回線としては、交換機2から回線交換網3を介してメディア・ゲートウェイ装置(MGW)4が接続され、交換機2から共通線信号網5を介してメディア・ゲートウェイ・コントローラ装置(MGC)6が接続され、さらに、IP網7を介してメディア・ゲートウェイ装置(MGW)4とメディア・ゲートウェイ・コントローラ装置(MGC)6とが接続された構成となっている。
【0025】
すなわち、本発明の第1実施形態に係るネットワーク管理システム1は、既存の回線交換網3とIP網5との間で各種メディアのフォーマット変換を行うメディア・ゲートウェイ装置(MGW)4と、このメディア・ゲートウェイ装置(MGW)4を制御して回線交換網3とIP網7との間の呼・コネクション制御を行うメディア・ゲートウェイ・コントローラ装置(MGC)6とからなる構成によって実現される。
【0026】
図2は、本発明の第1実施形態に係るメディア・ゲートウェイ装置における障害通知方式を示すネットワーク管理システムのブロックである。すなわち、図2は、メディア・ゲートウェイ装置(MGW)4とメディア・ゲートウェイ・コントローラ装置(MGC)6との間の通信方式を示している。図2に示すように、メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置(MGC)6は複数のMGCブレード6a,6b,6cから構成され、MGCカードはメディア・ゲートウェイ装置(MGW)4と汎用プロトコルであるITU−T勧告のH.248/Megacoプロトコルを使用して呼・コネクション制御を行うように構成されている。また、メディア・ゲートウェイ装置(MGW)4は、呼制御管理ブレードを有していて呼の制御を行う呼制御管理部20と、メディア・ゲートウェイ装置(MGW)4の配下に存在する全てのブレード装置の管理および回線状態の管理を行う装置管理部30とを備えている。
【0027】
メディア・ゲートウェイ装置(MGW)4の障害発生は、SNMP(Simple Network Management Protocol)トラップ信号を使用してメディア・ゲートウェイ・コントローラ装置(MGC)6に通知される。本実施形態では、従来のH.248/Megacoプロトコルによる通信に加えて、メディア・ゲートウェイ装置(MGW)4内の障害発生情報をより詳細に通知することで、メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置(MGC)6がH.248/Megacoプロトコルで呼・コネクションのリソースを捕捉する際に、メディア・ゲートウェイ装置(MGW)4内の障害発生により使用できない回線カードおよび回線ポートの捕捉を対象外にすることが可能となり、呼損の発生を防ぐことができる。メディア・ゲートウェイ装置(MGW)4とメディア・ゲートウェイ・コントローラ装置(MGC)6との間の障害発生の通知方式には、特に制限はないが、以降では、標準プロトコルSNMPによるトラップ信号で通知することを前提にして説明を行う。
【0028】
図3は、本発明の第1実施形態に係るメディア・ゲートウェイ装置(MGW)4の詳細な構成図である。図3において、メディア・ゲートウェイ装置(MGW)4は、それぞれ機能の異なる多数のブレード装置20、30、40、41、50、51、52を備えている。それぞれのブレード装置の機能については以下に説明する。
【0029】
ATM回線処理部40、41はATM回線を終端するブレードであり、IP回線処理部50、51、52はIP回線を終端するブレードであり、いずれもメディア変換処理を行うブレードである。また、呼制御管理部20は、メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置(MGC)6およびIP回線処理部50,51,52と通信をして呼制御を行うブレードである。この呼制御管理部20は、MGC6と外部通信用ネットワーク82を経由して、H.248/Megacoプロトコルで通信を行うと共に、配下のIP回線処理部50、51,52の各ブレードに対して制御系内部ネットワーク80を経由してH.248/Megacoプロトコルで制御を行う。
【0030】
IP回線処理部50,51,52の各ブレードは、呼制御管理部20のブレードからの呼・コネクション制御の指示に従って、ATM回線処理部40,41の各ブレードへ制御系内部ネットワーク80を経由して、独自のプリミティブでATM回線の捕捉・解除の指示を行う。ATM回線処理部40,41の各ブレードとIP回線処理部50,51,52の各ブレードは、導通系内部ネットワーク81を経由してフルメッシュで接続されており、呼・コネクション制御の指示で確立したコネクションを通して、図1に示す回線交換網3とIP網7との間のパケット導通およびメディア変換の処理を行う。
【0031】
なお、呼処理の詳細動作については周知の技術であり、かつ本発明とは直接関係ないため、詳細な説明は省略する。また、装置管理部30のブレードは、制御系内部ネットワーク80を経由して、MGW4内の全ての配下のブレード20,40,41,50,51,52の装置および回線状態の管理を行う。また、通信サービスに影響のある障害が発生した場合は、外部通信用ネットワーク82を経由してMGC6へSNMPトラップ信号にて通知を行う。
【0032】
MGW4内の装置および回線はシングルポイントで障害が発生しても通信サービスへの影響が発生しないように並列冗長の構成を採っている。図6の例では、ATM回線処理部40、41のセットで二重化の構成を採り、act/sby(Active/Standby:主/副)冗長を行っている。
【0033】
また、ATM回線処理部40、41はそれぞれ2つのATM回線ポートを収容しており、回線番号1に属するポート40_1とポート41_1、回線番号2に属するポート40_2とポート41_2は隣接ノードとAPS(Auto Protection Switching:自動バックアップ切替)モードによる冗長構成を採っている。さらに、IP回線処理部50、51、52はN対の運用系と1対の予備系でN+1冗長構成を採っている。IP回線処理部50、51、52の各ブレードは、0系ポート(50_0、51_0、52_0)、1系ポート(50_1、51_1、52_1)の2つのIP回線ポートを収容し、IP回線処理部50、51、52の各ブレード内の0系、1系ポート間でact/sby冗長の構成を採っている。
【0034】
また、呼制御管理部20および装置管理部30の各ブレードは2重化されたact/sby冗長で構成されている。このような冗長構成をとる呼制御管理部20および装置管理部30の各ブレードおよび各回線ポートでは、運用系/予備系もしくは0系/1系が共に正常に動作している条件であれば、運用系で障害が発生した場合には、自動的かつ可能な限り最短時間で系統の切り替えを実行することで、通信サービスへの影響を抑えて、継続した通信サービスが可能な状態に遷移する。
【0035】
次に、通信サービスに影響が発生し得る両系障害が発生した場合の呼損の回避方法について説明する。図6においてATM回線処理部40の回線40_1かつATM回線処理部41の回線41_1にて共に回線障害が発生したと想定する。障害はATM回線処理部40、41より装置管理部30へ通知される。装置管理部30は呼制御管理部20に対して特定のATM回線が両系障害となったことを呼制御管理部20へ通知する。該当するATM回線を使用した呼・コネクションが確立されていた場合には、H.248/MegacoプロトコルのService Change信号にて障害となったATM回線を使用中の該当呼のTerminationIdをメディア・ゲートウェイ・コントローラ装置(MGC)6に対して通知する。さらに、装置管理部30は特定のATM回線の両系障害をSNMPトラップ信号にてMGC6に対して通知する。MGC6はこれらの障害通知情報を元に障害発生箇所に関連する確立中の呼・コネクションを強制解放すると共に、新規の呼・コネクション確立に際して、障害発生中のATM回線を捕捉対象外とすることができるため、呼・コネクション確立の失敗、つまり呼損を防ぐことが可能となる。
【0036】
《第2実施形態》
第2実施形態に係るネットワーク管理システムは、図4で示す従来のネットワーク管理システムの構成によって本発明のメディア・ゲートウェイ装置の障害通知方式を実現している。すなわち、図4の構成において、障害通知は既存システムと同様、H.248/Megacoプロトコルのみで通知する構成とし、他の手段(例えば、SNMPトラップ信号など)での障害通知は必要としないが、下記に述べる手段により、通信サービス提供用の呼・コネクション確立に関係なく、メディア・ゲートウェイ装置(MGW)の障害/復旧をメディア・ゲートウェイ・コントロール装置(MGC)に通知することが可能となるため、障害中の呼損を防止することが可能となる。
【0037】
すなわち、図4において、メディア・ゲートウェイ・コントロール装置(MGC)12はユーザに提供する通信サービスのため、呼・コネクション確立とは別に障害検出単位(例えば、ATM回線のVP(Virtual Path:仮想伝送路)ごと)に予め呼・コネクション登録を実施しておく。これにより、新たな障害通知方法(例えば、SNMPトラップ信号など)を追加しなくても、H.248/Megacoプロトコルのみで障害/復旧を通知することが可能となる。第2実施形態では、従来の障害通知方法(つまり、H.248/Megacoプロトコル)を利用しているので、メディア・ゲートウェイ装置(MGW)11およびメディア・ゲートウェイ・コントロール装置(MGC)12において新たな考慮をする必要がないという効果が得られる。
【0038】
以上、本発明によるメディア・ゲートウェイ装置の障害通知方法を2つの実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0039】
なお、本発明によるメディア・ゲートウェイ装置の障害通知方法は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、本発明によるメディア・ゲートウェイ装置の障害通知方法の処理が行われる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリなどをいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0040】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、メディア・ゲートウェイ装置(MGW)の障害および復旧時に呼損の発生を防止することができるので、通信事業者が提供する有線および無線の通信施設などに有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 ネットワーク管理システム
2 交換機
3 回線交換網
4、11 メディア・ゲートウェイ装置(MGW)
5 共通線信号網
6、12 メディア・ゲートウェイ・コントロール装置(MGC)
6a、6b、6c、12a、12b、12c MGCブレード
7 IP網
11a、20 呼制御管理部
30 装置管理部
40、41 ATM回線処理部
50、51、52 IP回線処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置が、メディアのフォーマット変換を行うメディア・ゲートウェイ装置に対して、汎用プロトコルを使用して呼・コネクション制御を行うネットワーク管理システムであって、
前記メディア・ゲートウェイ装置が、自己の回線状態に基づいて障害/復旧に関する詳細情報を前記メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置へ通知することを特徴とするネットワーク管理システム。
【請求項2】
メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置が、メディアのフォーマット変換を行うメディア・ゲートウェイ装置に対して、汎用プロトコルを使用して呼・コネクション制御を行うネットワーク管理システムであって、
前記メディア・ゲートウェイ装置は、
前記メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置による呼・コネクション制御を管理する呼制御管理部と、
前記メディア・ゲートウェイ装置の回線状態を監視して該メディア・ゲートウェイ装置の障害/復旧情報をメディア・ゲートウェイ・コントローラ装置へ通知する装置管理部とを備え、
前記メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置は、前記装置管理部から前記メディア・ゲートウェイ装置の回線状態に基づく障害/復旧情報を受信して、該メディア・ゲートウェイ装置の呼・コネクション制御を行うブレードを備える
ことを特徴とするネットワーク管理システム。
【請求項3】
前記メディア・ゲートウェイ装置の障害/復旧情報は、SNMPトラップ信号を使用して前記メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置へ通知されることを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワーク管理システム。
【請求項4】
前記メディア・ゲートウェイ装置の内部回線は並列冗長で構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のネットワーク管理システム。
【請求項5】
前記並列冗長はAPSモードで実現されることを特徴とする4項に記載のネットワーク管理システム。
【請求項6】
メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置が、メディアのフォーマット変換を行うメディア・ゲートウェイ装置に対して、汎用プロトコルを使用して呼・コネクション制御を行うネットワーク管理システムであって、
前記メディア・ゲートウェイ・コントロール装置は、前記メディア・ゲートウェイ装置との間の呼・コネクションの確立とは別に、該メディア・ゲートウェイ装置からの障害検出単位であらかじめ呼・コネクションを登録することを特徴とするネットワーク管理システム。
【請求項7】
メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置により、汎用プロトコルを使用して呼・コネクション制御が行われるメディア・ゲートウェイ装置であって、
前記メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置による呼・コネクション制御を管理する呼制御管理部と、
前記メディア・ゲートウェイ装置の回線状態を監視して、前記メディア・ゲートウェイ装置の障害/復旧情報を前記メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置へ通知する装置管理部と
を備えることを特徴とするメディア・ゲートウェイ装置。
【請求項8】
前記障害/復旧情報は、SNMPトラップ信号を使用して前記メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置へ通知されることを特徴とする請求項7に記載のメディア・ゲートウェイ装置。
【請求項9】
内部回線が並列冗長で構成されていることを特徴とする請求項7又は8に記載のメディア・ゲートウェイ装置。
【請求項10】
前記並列冗長はAPSモードで実現されることを特徴とする9項に記載のメディア・ゲートウェイ装置。
【請求項11】
メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置が、メディアのフォーマット変換を行うメディア・ゲートウェイ装置に対して、汎用プロトコルを使用して呼・コネクション制御を行うメディア・ゲートウェイ装置の障害通知方法であって、
前記メディア・ゲートウェイ装置が、自己の回線状態を監視して障害/復旧情報をメディア・ゲートウェイ・コントローラ装置へ通知する第1のステップと、
前記メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置が、前記メディア・ゲートウェイ装置から回線状態に基づく障害/復旧情報を受信して、該メディア・ゲートウェイ装置の呼・コネクション制御を行う第2のステップと、
前記メディア・ゲートウェイ装置が、前記メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置によって制御されたる呼・コネクションを管理する第3のステップと
を含むことを特徴とするメディア・ゲートウェイ装置の障害通知方法。
【請求項12】
前記メディア・ゲートウェイ装置の障害/復旧情報は、SNMPトラップ信号を使用して前記メディア・ゲートウェイ・コントローラ装置へ通知されることを特徴とする請求項11に記載のメディア・ゲートウェイ装置の障害通知方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のメディア・ゲートウェイ装置の障害通知方法をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−212964(P2010−212964A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56480(P2009−56480)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】