説明

ネット体又はシート体の移動システム

【課題】ウインチの駆動に大きな駆動力を必要とせず、最適な位置にウインチを設置することができ、風にも対応することのできるネット又はシート体の移動装置を提供する。
【解決手段】空間部に取り付けた複数の滑車2と、該滑車間でエンドレス状に架け渡した吊張ロープ3と、該吊張ロープに直接又はガイド用ロープ4を介して取り付けられたネット5又はシート体と、前記吊張ロープの滑車への取り込み側又は取り出し側に連結した駆動用ロープ6と、該駆動用ロープを巻回ドラムに巻回した駆動用のウインチ7から構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内外の空間部にロープを介して吊り張りしたネットをウインチにより吊張移動及び収納移動するネット又はシート体の移動装置に関する。
【技術の背景】
【0002】
従来、ネット体を吊張移動及び収納移動するための装置として、下記のような装置が知られている。
【0003】
屋内施設で防球用として使用するネット体の移動装置としては、ネット体を吊り張りする空間部に沿って取り付けられたウインチ及び複数の滑車と、該ウインチの巻回ドラムと滑車間にエンドレス状に架け渡した駆動用ロープ(本発明においてロープとは、ワイヤロープ、樹脂製のロープ等の総称として使用する)と、該駆動用ロープに直接又は間接的(ガイド用のロープにネット体を移動自在に挿通し、該ネット体の先端側を駆動用ロープに連結する)に、取り付けたネット体から構成され、ウインチの巻回ドラムを回転駆動することで駆動用ロープを滑車間で移動し、該駆動用ロープに連結したネット体を空間部に吊り張り移動、又は空間部より収納移動する。
【0004】
また、屋外施設のネットの移動装置としては、空間部の周囲に立設した複数の支柱と、該支柱の上方に取り付けた滑車と、支柱の下方側に取り付けたウインチと、該ウインチの巻回ドラムと滑車との間に架け渡した駆動用ロープと、該駆動用ロープに並行に架け渡したガイド用ロープと、該ガイド用ロープに移動自在に挿通し、先端側を駆動用ロープに連結したネット体から構成され、ウインチの巻回ドラムを回転駆動して、駆動用ロープを移動することで、ガイド用のロープに沿ってネット体を上下動して空間部にネット体を吊り張り移動、又は収納移動する。
【0005】
また、上記装置においてメンテナンス等でネット体を取り外す場合は、駆動用ロープ及びガイド用ロープをそれぞれ取り外すことでネット体を取り外していた。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のネット体の移動装置は、ネット体の取り付けられた駆動用ロープに直接ネット体の荷重がかかるために、駆動用ロープの移動に大きな駆動力を必要とし、該駆動力に対応する大きさのウインチを設置しなければならない。
【0007】
また、大きな駆動力で駆動用ロープを移動するために駆動用ロープの磨耗も発生し易く、頻繁なメンテナンスを必要とする。
【0008】
さらに、駆動用ロープはウインチの巻回ドラムと滑車間に架け渡しているために、ウインチの設置位置はロープの架け渡した範囲に限定され、設置位置が制限される欠点ある。
【0009】
また、駆動用ロープは強い張力で架け渡しているために、風が強い日にネットが風の影響を受けるとネット体による荷重の増加により、駆動用ロープの移動が困難となる、という欠点があった。
【0010】
また、ネット体をメンテナンス等で取り外す場合は、駆動用ロープ及びガイド用ロープをそれぞれ滑車とウインチより取り外さなければならずその作業が煩雑であり作業性に問題があった。
【0011】
そこで、本発明はウインチの駆動に大きな駆動力を必要とせず、最適な位置にウインチを設置することができ、風にも対応することのできるネット又はシート体の移動装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明が上記課題を解決するための第1の解決手段は、請求項1に記載のように、空間部に取り付けた複数の滑車と、該滑車間でエンドレス状に架け渡した吊張用ロープと、該吊張用ロープに直接又はガイド用ロープを介して取り付けられたネット又はシート体と、前記吊張用ロープの滑車への取り込み側又は滑車よりの取り出し側に連結した駆動用ロープと、該駆動用ロープを巻回ドラムに巻回した駆動用のウインチから構成されていることを特徴とする。
【0013】
また、第2の解決手段は、請求項2に記載のように、空間部に取り付けた複数の滑車と、該滑車間でエンドレス状に架け渡した吊張用ロープと、該吊張用ロープに直接又はガイド用ロープを介して取り付けられたネット又はシート体と、吊張用ロープの滑車への取り込み側及び/又は滑車よりの取り出し側の所望の位置に両端側をそれぞれ連結した駆動用ロープと、該駆動用ロープを巻回ドラムに巻回した駆動用のウインチから構成されていることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0014】
次に、本発明のネット又はシート体の移動装置の作用及び効果について説明する。
【0015】
先ず、請求項1に記載のネット又はシート体の移動装置は、空間部の所望の位置に滑車を取り付け、該滑車間に吊張用ロープをエンドレス状に架け渡した後、該吊張用ロープに直接又はロープに並行に架け渡したガイド用ロープにネット又はシート体の上端側にリング等を介して移動自在に挿通し、該ネット又はシート体の先端側を吊張用ロープに連結する。
【0016】
次に、駆動用のウインチの巻回ドラムに巻回した駆動用ロープの先端側を吊張用ロープの滑車への取り込み側、又は滑車よりの取り出し側に連結する。
【0017】
この際、駆動用のウインチは吊張用ロープを直接巻回していないために、その設置位置を最適な位置に自在に決定できる。
【0018】
ネット又はシート体を吊り張りする場合は、駆動用のウインチの巻回ドラムを回転駆動し駆動用ロープを巻き取り移動することで、吊張用ロープを滑車間で移動しネット又はシート体を上方に移動することで吊り張りする。
【0019】
また、ネット又はシート体を収納する場合は、駆動用のウインチの巻回ドラムを回転駆動し駆動用ロープを引き出し移動することで、吊張用ロープを滑車間で移動しネット又はシート体を下方側に移動することで収納する。
【0020】
この際、駆動用ロープはネット又はシート体に直接連結していないために小さな駆動力でスムーズに移動できる。
【0021】
また、駆動用ロープの磨耗が少なく頻繁なメンテナンスを必要としない。
【0022】
次に、請求項2に記載のネット又はシート体の移動装置は、空間部の所望の位置に滑車を取り付け、該滑車間に吊張用ロープをエンドレス状に架け渡し、該吊張用ロープに直接又はロープに並行に架け渡したガイド用ロープにネット又はシート体の上端側にリング等を介して移動自在に挿通し、該ネット又はシート体の先端側を吊張用ロープに連結する。
【0023】
そして、駆動用のウインチの巻回ドラムに巻回した駆動用ロープの両端側を上記吊張用ロープの滑車を挟んで滑車への取り込み側及び滑車よりの取り出し側の所望の位置に連結する。
【0024】
または、駆動用ロープの両端側を滑車の取り込み側の所望の位置(両端側が近傍する位置、両端側が交差する位置等)に連結する。
【0025】
この際、駆動用のウインチはネット又はシート体の連結した吊張用ロープを直接巻回していないために、その設置位置を最適な位置に自在に決定できる。
【0026】
次に、駆動用のウインチを駆動して駆動用ロープを移動し該駆動用ロープの移動距離に応じて滑車間の吊張用ロープを移動し、該吊張用ロープに連結したネット又はシート体を吊り張り移動および収納移動する。
【0027】
この際、駆動用ロープはネット又はシート体に直接連結していないために、小さな駆動力でスムーズに移動できる。
【0028】
また、駆動用ロープの移動距離が少なく、小さな駆動力で移動するために、駆動用ロープ及び吊張用ロープの磨耗が少なく頻繁なメンテナンスを必要としない。
【0029】
このように、本発明のネット又はシート体の移動装置は、駆動用ロープが直接ネット又はシート体に連結されていないために、滑車間でネット又はシート体を吊り張りした状態で取り外して収納でき、装置のメンテナンスを安全に行うことができる。
【0030】
また、駆動用ロープは強い張力で架け渡す必要がないので、風の強い日でもスムーズに移動することができる。
【0031】
また、駆動用ロープで吊張用ロープを移動するために、従来のように強く緊張した状態で吊張用ロープを滑車間に架け渡す必要がなく、滑車間での吊張用ロープの移動がスムーズである。
【0032】
さらに、吊張用ロープ及び滑車の耐久性が高くなり、頻繁なメンテナンスを必要としない。
【発明を実施するための最良の実施の形態】
【0033】
以下、本発明のネット又はシート体の移動装置の各実施例について図面に沿って説明する。
【0034】
図1は本発明のネット又はシート体の移動装置の第1実施例を示す概略説明正面図であり、図2は駆動用ロープと吊張用ロープの連結を示す概略説明正面図であり、図3は図1のネット又はシート体の移動装置の吊張移動を示す概略説明正面図であり、図4は図2のネット又はシート体の移動装置の収納移動を示す概略説明正面図であり、図5は本発明のネット又はシート体の移動装置の第2実施例を示す概略説明正面図であり、図6は本発明のネット又はシート体の移動装置の第3実施例を示す概略説明正面図であり、図7は本発明のネット又はシート体の移動装置の第4実施例を示す概略説明正面図であり、図8は本発明のネット又はシート体の移動装置の第5実施例を示す概略説明正面図であり、図9、図10、図11は図8の駆動用ロープの連結を示す概略説明正面図であり、図12は本発明のネット又はシート体の移動装置の第6実施例を示す概略説明正面図であり、図13は図12のネット又はシート体の移動装置の吊張移動を示す概略説明正面図であり、図14は図12のネット又はシート体の移動装置の収納移動を示す概略説明正面図であり、図15は本発明のネット又はシート体の移動装置の第7実施例を示す概略説明正面図であり、図16は本発明のネット又はシート体の移動装置の第8実施例を示す概略説明正面図であり、図17は本発明のネット又はシート体の移動装置の第9実施例を示す概略説明正面図である。
【0035】
(第1実施例)
本発明のネット又はシート体の移動装置1は、空間部の対向する両側面に取り付けた一対の滑車2と、該滑車2間にエンドレス状に架け渡した吊張用ロープ3と、該吊張用ロープ3の下方近傍で並行に架け渡した一本のガイド用ロープ4と、該ガイド用ロープ4に移動自在に挿通し、先端側を吊張用ロープ3に固定連結したネット体(又はシート体)5と、前記吊張用ロープ3にその両端側を連結した駆動用ロープ6と、該駆動用ロープ6を巻回ドラム11に巻回したエンドレス方式の駆動用のウインチ7から構成されている。
【0036】
前記ネット体5は上端側に取り付けられた複数のリング8をガイド用ロープ4に挿通することで移動自在に取り付けられる。
【0037】
前記駆動用ロープ6の両端側の連結は、移動方向の相違する滑車2への吊張用ロープ3の取り込み側及び滑車3より吊張用ロープ3の取り出し側に連結具9を介して連結する。
【0038】
この際、駆動用ロープ6はより戻し10を用いて連結することで、移動時に発生する駆動用ロープ6の捩れ等を解消しながら移動することができる。
【0039】
上記駆動用ロープ6は、ウインチ7の巻回ドラム11に巻回し、該巻回ドラム11を正方向(時計方向)又は逆方向に回転駆動することで、駆動用ロープ6を移動し、該駆動用ロープ6の移動距離に応じて吊張用ロープ3を移動する。
【0040】
このため、ウインチ7は駆動用ロープ6のみを移動し、小さな駆動力で十分にネット体5の移動を行うことができる。
【0041】
また、駆動用ロープ6の長さはウインチ7の設置位置と吊張用ロープ3の連結部間の距離で十分で、従来のように滑車間に架け渡す長さを必要としない。
【0042】
また、駆動用ロープ6は吊張用ロープ3に連結して移動するために、ウインチ7はネット体5の吊張方向に限定されることなく、例えば屋内空間部では床面側、屋外空間部では地面側に設置する等、最適な位置に設置することができる。
【0043】
さらに、駆動用ロープ6は直接ネット体5を連結していないために、従来のように強い張力で架け渡す必要がなく、その取り付け及び取り外しが容易であり、また、スムーズな移動を可能とする。
【0044】
次に、上記ネット又はシート体の移動装置1を屋内施設に設置し、使用する場合について説明する。
【0045】
先ず、屋内施設のネット体5を吊り張りする空間部20に沿って対向する位置に滑車2を水平方向に2個取り付け、該滑車2間に吊張用ロープ3をエンドレス状に架け渡し、該吊張用ロープ3に沿って下方側近傍に並行にガイド用ロープ4を架け渡し、該ガイド用ロープ4にネット体5の上端側に取り付けられたリング8を介して移動自在に挿通し、その先端側を前記吊張用ロープ3に固定連結する。
【0046】
その後、上記吊張用ロープ3の滑車2への取り込み側および滑車2よりの取り出し側、即ち滑車2を介して移動方向が相違する側に駆動用ロープ6の両端側をそれぞれ連結具9を介して連結する。
【0047】
尚、前記駆動用ロープ6は駆動用のウインチ7の巻回ドラム11に巻回し巻回ドラム11の回転駆動により移動する。
【0048】
この際、駆動用ロープ6は吊張用ロープ3に連結して移動するためにネット体5の吊張方向に関係することなく空間部20に架け渡すことができ、駆動用のウインチ7は空間部20の下方側等の適切な位置に設置できる。
【0049】
次に、駆動用のウインチ7を駆動し巻回ドラム11を正方向に回転すると駆動用ロープ6はX方向(図3参照)に移動し、該駆動用ロープ6の移動に沿って吊張用ロープ3は滑車2間で移動しネット体5の先端側を引っ張りながらネット体5をガイド用ロープ4に沿って空間部20に吊り張り移動する。
【0050】
また、駆動用のウインチ7を駆動し巻回ドラム11を逆方向に回転すると、駆動用ロープ6はY方向(図4参照)に移動し、該駆動用ロープ6の移動に沿って吊張用ロープ3は滑車2間で上記と逆方向に移動して、ネット体5の先端側を逆方向に引っ張りながらネット体5をガイド用ロープ4に沿って収納移動する。
【0051】
この際、駆動用ロープ6は、吊張用ロープ3を移動するだけでネット体5を移動することができ、その荷重が直接駆動用ロープ6にかからないために、小さな駆動力でウインチ7を駆動することができ、スムーズなネット体5の移動が可能である。
【0052】
また、駆動用ロープ6にネット体5の荷重が直接かからないために、移動時に駆動用ロープ6の捩れ等が発生しにくく、駆動用ロープ6の磨耗が少ない。
【0053】
また、吊張用ロープ3は駆動用ロープ6で移動するために、直接駆動移動する場合に比してスムーズに移動し、滑車2への負荷も少ない。
【0054】
しかも、駆動用ロープ6を移動するウインチ7の設置を最適な場所に設置できるのでそのメンテナンスが容易である。
【0055】
(第2実施例)
本発明のネット又はシート体の移動装置1の第2実施例について説明する。
【0056】
本発明の実施例は、屋内の空間部20に複数のネット5を吊り張りし同時に吊り張り移動及び収納移動するのに使用する。
【0057】
上記ネット又はシート体の移動装置1(図5を参照)は、空間部20に取り付けた複数の滑車2と、該滑車2間に略E字エンドレス状に架け渡した吊張用ロープ3と、該吊張用ロープ3に直接移動自在に挿通し先端側を吊張用ロープ3に固定連結した3枚のネット体5と、前記吊張用ロープ3の移動方向が相違する部分に両端側をそれぞれ連結した駆動用ロープ6と、該駆動用ロープ6を巻回ドラム11に巻回したエンドレス方式の駆動用のウインチ7から構成されている。
【0058】
そして、駆動用のウインチ7の巻回ドラム11を正方向に回転駆動し駆動用ロープ6を移動することで、該駆動用ロープ6に直接連結された3枚のネット体5を同時に吊り張り移動する。
【0059】
また、上記巻回ドラム11を逆方向に回転駆動し、駆動用ロープ6を移動することで、該駆動用ロープ6に直接連結された3枚のネット体5を収納移動する。
【0060】
この際、駆動用ロープ6はネット体5に直接連結していないために、小さな駆動力で複数枚のネット体5をスムーズに同時に移動することができる。
【0061】
また、ウインチ7の設置位置も最適な位置に設置でき、メンテナンスが容易である。
【0062】
(第3実施例)
本発明のネット又はシート体の移動装置1は、屋外の空間部20の外周に沿って立設した複数の支柱21に取り付けられ、空間部20の防球用としてのネット体5を昇降移動するのに使用する。
【0063】
上記ネット又はシート体の移動装置1(図6参照)は、支柱21の上下方向に取り付けられた滑車2と、該滑車2間にエンドレス状に架け渡した吊張用ロープ3と、該吊張用ロープ3に沿って並行に架け渡したガイド用ロープ4と、該ガイド用ロープ4に移動自在に挿通し、上端側を吊張用ロープ3に連結したネット体5と、前記吊張用ロープ3の滑車2を介して移動方向が相違する側にその両端部をそれぞれ連結した駆動用ロープ6と、該駆動用ロープ6を巻回ドラム11に巻回したエンドレス方式の駆動用のウインチ7から構成されている。
【0064】
上記ウインチ7は、支柱21の下端側に自在に設置できるために、ネット体5の邪魔にならない位置に設置できる。
【0065】
次に、ネット体5を昇降移動する場合は、ウインチ7の巻回ドラム11を回転駆動して駆動用ロープ6を移動し、吊張用ロープ3を滑車2間で移動してネット体5の先端側を上方側に引っ張りガイド用ロープ4に沿ってネット体5を上昇移動する。これによりネット体5を支柱21に沿って吊張移動する。
【0066】
また、前記ウインチ7の巻回ドラム11を逆方向に回転駆動し、ネット体5の先端側を下方側に引っ張りガイド用ロープ4に沿ってネット体5を下降移動する。これにより、ネット体5を支柱21に沿って収納移動する。
【0067】
このように、吊張用ロープ3を上下方向に移動する場合であっても少ない駆動力でウインチ7を駆動できる。
【0068】
このため、吊張用ロープ3及び駆動用ロープ6の磨耗が少なく頻繁なメンテナンスを必要としない。
【0069】
また、ネット体5が風の影響を受けても、吊張用ロープ3でその荷重を受け、駆動用ロープ6は該吊張用ロープ3の移動のみに使用するために、状来に比しスムーズにネット体5を下降移動することができる。
【0070】
上記ウインチ7をキャプスタン方式のウインチに取替え、駆動用ロープ6を鼓形のキャプスタン(図示せず)の外周面に複数回巻き付けて移動することも可能である。
【0071】
(第4実施例)
本発明のネット又はシート体の移動装置1は、屋内の空間部20の対向する側面間に設けられたネット体5を取り外して収納移動するのに使用する。
【0072】
上記ネット又はシート体の移動装置(図7参照)1は、空間部20の対向する側面に設けられた滑車2と、該滑車2間にエンドレス状に架け渡した吊張用ロープ3と、該吊張用ロープ3に移動自在に挿通し先端側を連結したネット体5と、前記吊張用ロープ3の滑車2への取り込み側及び滑車2よりの取り出し側に両端側をそれぞれ連結した駆動用ロープ6と、該駆動用ロープ6を巻回ドラム11に巻回したエンドレス方式の駆動用のウインチ7と、各滑車2の近傍に設けられた巻回した移動用ロープ12の先端側を滑車2に連結した巻き取り方式の移動用のウインチ14と、他方のウインチ7又は他方の滑車2に連結した移動用ロープ16を巻回した移動用のウインチ15から構成されている。
【0073】
前記滑車2は取り外し可能に取り付けられ、ネット体5を収納時に取り外す。この際、滑車2に連結した移動用ロープ12を引き出すことで、取り外した滑車2ごと下方に移動して装置1全体を取り外しできる。
【0074】
先ず、ネット体5を収納移動する場合は、駆動用のウインチ7の巻回ドラム11を回転駆動し、駆動用ロープ6を移動して、ネット体5を吊張用ロープ3とともに一方の滑車2側に移動する。
【0075】
その後、駆動用ロープ6の一端側の連結部を連結具9より解除し滑車2をそれぞれ空間部20の取り付け位置より取り外す。
【0076】
そして、一方の移動用のウインチ14を駆動し移動用ロープ12を引き出すことともに、他方の移動用のウインチ15を駆動し移動用ロープ16を引き出して、ネット体5の連結された状態で滑車2間、又は滑車2とウインチ7間で空間部20の下方側に移動する。
【0077】
そして、上記空間部20の下方に移動した滑車2は連結した移動用ロープ12を取り外し、ネット体5を収納する。また、ネット体5のメンテナンス作業時においても同様にネット体5を下方に移動してそのメンテナンスを行う。
【0078】
このように、本発明のネット又はシート体の移動装置1は、滑車2間を吊張用ロープ3を架け渡し、該吊張用ロープ3でネット体5を移動するために、駆動用ロープ6を取り外すだけで、ネット体5部分の取り外しが容易に行える。
【0079】
また、駆動用ロープ6にかかる負担が少ないので、風の影響を受けても小さな駆動力で駆動用のウインチ7を駆動して駆動用ロープ6を移動することができる。
【0080】
(第5実施例)
本発明のネット又はシート体の移動装置1は、屋外の空間部20の外周に沿って立設した複数の支柱21に取り付けられ、空間部20の防球用としてのネット体5を昇降移動するのに使用する。
【0081】
上記ネット又はシート体の移動装置1(図8参照)は、支柱21の上下方向に取り付けられた滑車2と、該滑車2間にエンドレス状に架け渡した吊張用ロープ3と、該吊張用ロープ3に沿って平衡に架け渡したガイド用ロープ4と、該ガイド用ロープ4に移動自在に挿通し、上端側を吊張用ロープ3に連結したネット体5と、前記吊張用ロープ3のネット体5側にその両端側をそれぞれ連結した駆動用ロープ6と、該駆動用ロープ6を巻回ドラム11に巻回したエンドレス方式の駆動用のウインチ7から構成されている。
【0082】
上記駆動用ロープ6は、前記滑車2の上方に取り付けられた滑車2Aを介して一端側6Aを架け渡してネット体5側の吊張用ロープ6に連結している。
【0083】
駆動用ロープ6の吊張用ロープ3への連結は、その両端側6A、6Bを近接して連結する場合(図9参照)、両端側6A、6Bを交差して連結する場合(図10参照)、又は両端側6A、6B間に補強体6Cを設ける場合(図11参照)等、ネット体5の荷重、空間部20の面積等に応じて決定する。
【0084】
次に、ネット体5を昇降移動する場合は、ウインチ7の巻回ドラム11を回転駆動して駆動用ロープ6を滑車2A間で移動することで吊張用ロープ3を滑車2間で移動してネット体5の先端側を上方側に引っ張りガイド用ロープ4に沿ってネット体を上昇移動する。これにより、スムーズにネット体5を支柱21に沿って吊り張り移動する。
【0085】
また、前記ウインチ7の巻回ドラムを逆方向に回転駆動し、ネット体5の先端側を下方側に引っ張りガイド用ロープ4に沿ってネット体5を下降移動する。これにより、ネット体5を支柱21に沿って収納移動する。
【0086】
上記、ネット体5の吊り張り及び収納移動時に、吊張用ロープ3の架け渡し方向に沿って駆動用ロープ6が設けられるために、ネット体5の荷重を分散して移動できる。また、吊張用ロープ3を強く緊張することなく架け渡すことができるので、スムーズな移動を可能とする。
【0087】
(第6実施例)
本発明のネット又はシート体の移動装置1は、巻き取り方式のウインチ7を用いてネット体5を移動する。
【0088】
上記ネット又はシート体の移動装置1(図12参照)は、支柱21の上下方向に取り付けた滑車2と、該滑車2間にエンドレス状に架け渡した吊張用ロープ3と、該吊張用ロープ3に沿って並行に架け渡したガイド用ロープ4と、該ガイド用ロープ4に移動自在に挿通しその先端側を吊張用ロープ3に連結したネット体5と、前記吊張用ロープ3にその先端側を連結した駆動用ロープ6と、該駆動用ロープ6を巻回ドラム11に巻き取りした巻き取り方式の駆動用のウインチ7Aから構成されている。
【0089】
上記ネット又はシート体の移動装置1を用いてネット体5を吊り張りする場合は、先ず、ウインチ7Aの巻回ドラム11を回転駆動し駆動用ロープ6を滑車2間で巻き取ることで、吊張用ロープ3を移動し該吊張用ロープ3に先端側を連結したネット体5をガイド用ロープ4に沿って上方に移動し空間部20に吊り張りする。
【0090】
また、ウインチ7の巻回ドラム11を回転駆動し駆動用ロープ6を滑車2間で引き出すことで、吊張用ロープ3を移動しネット体5をガイド用ロープ4に沿って下方側に移動する。
【0091】
上記装置1は、ウインチ7Aを小さな駆動力で駆動できるので、駆動用ロープ6の磨耗が少なくスムーズに移動することができる。
【0092】
また、駆動用ロープ6の吊張用ロープ3への連結はその先端側を滑車2間で連結するだけなので、その連結が容易であり、またメンテナンスにおいても容易に行える。
【0093】
尚、上記ウインチ7Aは巻き取り方式に限定されるものでなく、エンドレス方式のウインチ7とリールを用いて駆動用ロープ6を巻き取り及び引き出し移動することも可能である。
【0094】
(第7実施例)
本発明のネット又はシート体の移動装置1(図15参照)は、第5実施例におけるウインチ7Aの駆動用ロープ6を滑車2を越えて移動すべく滑車2を二重滑車2として形成し、ネット体5側近傍又は直接連結した構成で、ネット体5を吊張用ロープ3とともに移動することで、より安全にネット体5を昇降移動する。
【0095】
このように、本発明のネット又はシート体の移動装置1は、その取り付けが容易であり、しかも小さな駆動力で駆動用ロープ6を移動することができる。
【0096】
また、ネット体5の移動において、吊張用ロープ3と駆動用ロープ6が分離しているために、ネット体5の昇降時にトラブルが発生しても、その発生箇所の特定が容易であり、且つ補修も行ない易い利点がある。
【0097】
(第8実施例)
本発明のネット又はシート体の移動装置1(図16参照)は、滑車2間に水平方向に架け渡した吊張用ロープ3と、該吊張用ロープ3の相違する移動方向にその両端側を連結した駆動用ロープ6と、該駆動用ロープ6を巻回ドラム11に巻回したエンドレス方式のウインチ7と、前記吊張用ロープ6に先端を連結し、レール32に沿って移動する立設した複数本の支持棒31と、該支持棒31に取り付けられたシート体5から構成されている。
【0098】
上記ウインチ7を駆動して駆動用ロープ6を移動することで、滑車2間で吊張用ロープ3を移動して支持棒31をレール32に沿って移動してシート体5を広げて空間部の上方にシート体5を吊り張り又はシート体5を一方側に収納する。
【0099】
このように、駆動用ロープ6が支持棒31に直接連結していないためにシート体5をスムーズに移動することができる。
【0100】
また、駆動用ロープ6の取り付け及びメンテナンスが容易である。
【0101】
(第9実施例)
本発明のネット又はシート体の移動装置1(図17参照)は、滑車2間に架け渡した吊張用ロープ3に一端側を連結した複数本の吊下用ロープ26と、滑車25を介して吊り下げた吊下用ロープ26の他端側に連結したネット体5から構成され、上記吊張用ロープ3に両端側を連結された駆動用ロープ6をウインチ7で移動することで、滑車2間で吊張用ロープ3を移動し同時に複数本の吊下用ロープ26を上方又は下方側に移動してネット体5を吊り張り及び収納移動する。
【0102】
このように、吊張用ロープ3にネット体5の過重がかかる場合であっても駆動用ロープ6が別体であるために、スムーズに吊張用ロープ3を移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明のネット又はシート体の移動装置の第1実施例を示す概略説明正面図
【図2】駆動用ロープの連結を示す概略説明正面図
【図3】図1のネット又はシート体の移動装置の吊張移動を示す概略説明正面図
【図4】図1のネット又はシート体の移動装置の収納移動を示す概略説明正面図
【図5】本発明のネット又はシート体の移動装置の第2実施例を示す概略説明正面図
【図6】本発明のネット又はシート体の移動装置の第3実施例を示す概略説明正面図
【図7】本発明のネット又はシート体の移動装置の第4実施例を示す概略説明正面図
【図8】本発明のネット又はシート体の移動装置の第5実施例を示す概略説明正面図
【図9】図8の駆動用ロープの吊張用ロープへの連結を示す概略説明正面図
【図10】図8の駆動用ロープの吊張用ロープへの連結を示す概略説明正面図
【図11】図8の駆動用ロープの吊張用ロープへの連結を示す概略説明正面図
【図12】本発明のネット又はシート体の移動用装置の第6実施例を示す概略説明正面図
【図13】図12のネット又はシート体の移動装置の吊張移動を示す概略説明正面図
【図14】図12のネット又はシート体の移動装置の収納移動を示す概略説明正面図
【図15】本発明のネット又はシート体の移動装置の第7実施例を示す概略説明正面図
【図16】本発明のネット又はシート体の移動装置の第8実施例を示す概略説明正面図
【図17】本発明のネット又はシート体の移動装置の第9実施例を示す概略説明正面図
【符号の説明】
【0104】
1−ネット又はシート体の移動装置、2−滑車、3−吊張用ロープ、5−ネット体(シート)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間部に取り付けた複数の滑車と、該滑車間でエンドレス状に架け渡した吊張用ロープと、該吊張用ロープに直接又はガイド用ロープを介して取り付けられたネット又はシート体と、前記吊張用ロープの滑車への取り込み側又は滑車よりの取り出し側に連結した駆動用ロープと、該駆動用ロープを巻回ドラムに巻回した駆動用のウインチから構成されていることを特徴とするネット又はシート体の移動装置。
【請求項2】
空間部に取り付けた複数の滑車と、該滑車間でエンドレス状に架け渡した吊張用ロープと、該吊張用ロープに直接又はガイド用ロープを介して取り付けられたネット又はシート体と、前記吊張用ロープの滑車への取り込み側及び/又は滑車よりの取り出し側の所望の位置にそれぞれ両端側を連結した駆動用ロープと、該駆動用ロープを巻回ドラムに巻回した駆動用のウインチから構成されていることを特徴とするネット又はシート体の移動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−136353(P2012−136353A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91561(P2011−91561)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【特許番号】特許第4904605号(P4904605)
【特許公報発行日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【出願人】(592206156)東田商工株式会社 (54)