説明

ネット又はシート体の吊り張り装置、及びネット又はシート体の吊り張りシステム

【解決する課題】本発明は、その構成が簡易であり、ネットを適切の広げた状態で吊り張りできるネット又はシート体の吊り張り装置、及びネット又はシート体の吊り張りシステムを提供することを課題とする。
【解決手段】空間部に設置した昇降用のウインチと、該昇降用のウインチにより昇降移動する複数本の吊下用ロープと、該吊下用ロープに連結したネット又はシート体から構成されたネット又はシート体の吊張装置において、前記ネット又はシート体の上方側には、ネット又はシート体に並行に架け渡した横調整用ロープと、該横調整用ロープを移動する横調整用のウインチが設けられ、前記横調整用ロープには、吊下用ロープをそれぞれ挿通し、横方向にスライドする挿通体が取り付けられていることである。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば防球用として使用するネット体、空間部を間仕切りするシート体を吊り張りするのに使用するネット又シート体の吊り張り装置、及びネット又はシート体の吊り張りシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋内又は屋外の空間部に防球用として又は間仕切り用としてネット体を吊り張りする。
【0003】
上記ネット体の吊り張り装置としては、空間部の所望の位置(屋内の天井側、側壁、屋外の支柱等)に設置した複数個の巻取方式のウインチと、該ウインチの巻回ドラムの回転駆動で移動する複数本の吊下用ロープ(以下、ワイヤロープ、樹脂製ロープ等の総称としてロープと記載)と、該吊下用ロープを吊り下げるべく上方側に取り付けられた滑車と、該滑車を介して上方より吊り下げられた吊下用ロープの先端に連結されたネット体から構成されている。
【0004】
上記装置は、ウインチの巻回ドラムを回転駆動して各吊下用ロープを巻回ドラムで巻き取ることで、ネット体を上方に移動して空間部に吊り張りし、また吊下用ロープを巻回ドラムより引き出すことでネット体を下方に移動し床側で吊下用ロープより取り外してネット体を収納する。
【0005】
空間部に吊り張りしたネット体はその荷重で上端中央部分が下方に大きく撓むために、例えば、ネット体の上端部に沿って直線状のバトンパイプを取り付け横方向に広げたり、ネット体の両上端側に別体の引張用ロープをそれぞれ連結し、該引張用ロープをウインチ駆動することで引っ張り移動する方法が取られている。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のネット体の吊り張り装置はネット体の荷重を複数本の吊下用ロープで分散しているもののネット体の荷重が直接吊下用ロープにかかるためにウインチの駆動に大きな駆動力を必要とする。
【0007】
また、バトンパイプをネット体に取り付ける場合は、その取り付け作業が煩雑であり、さらにバトンパイプによりネット体の荷重が増すという欠点がある。
【0008】
また、ネット体の両上端側をロープで引っ張る場合は、両ウインチの駆動及び吊下用ロープの移動用のウインチの駆動、されにロープの引っ張り力をそれぞれ調整しながら吊り張りしなければならずその微調整が煩雑である。
【0009】
さらに、空間部に吊り張りするネット体は大面積であるために、空間部に適切の広げた状態で吊り張りすることは煩雑作業を有する。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題を解決するものであって、構成が簡易であり、且つ確実にネット体を広げた状態で空間部に吊り張りできるネット又はシート体の吊り張り装置及びネット又はシート体の吊り張りシステムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明の解決手段としてのネット又はシート体の吊り張り装置は、請求項1に記載のように、空間部に設置した昇降用のウインチと、該昇降用のウインチにより昇降移動する複数本の吊下用ロープと、該吊下用ロープに連結したネット又はシート体から構成されたネット又はシート体の吊り張り装置において、前記ネット又はシート体の上方側には、ネット又はシート体に並行に架け渡した横調整用ロープと、該横調整用ロープを移動する横調整用のウインチが設けられ、該横調整用ロープには吊下用ロープをそれぞれ挿通し、横方向にスライドする挿通体が取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
また、解決手段としてのネット又はシート体の吊り張りシステムは、請求項2に記載のように、空間部に設置した昇降用のウインチを駆動して複数本の吊下用ロープを巻き取り移動し連結したネット又はシート体を上方に移動することで空間部にネット又はシート体を吊り張りするネット又はシート体の吊り張りシステムにおいて、該ネット又はシート体の上方側でネット又はシート体に並行に架け渡した横調整用ロープを横調整用のウインチを駆動して引っ張り移動することで、前記吊下用ロープを挿通した挿通体を横調整用ロープに沿ってネット又はシート体を広げる方向にスライドして空間部にネット又はシート体を吊り張りすることを特徴とする。
【発明の作用及び効果】
【0013】
本発明のネット又はシート体の吊り張り装置、及びネット又はシート体の吊り張りシステムの作用効果について説明する。
【0014】
先ず、空間部のネット又はシート体を吊り張りする位置の一方側、又は両方側に横調整用のウインチを設置し、該横調整用のウインチの巻回ドラムを回転駆動し横調整用ロープを引き出し、ネット又はシート体を吊り張りする空間部の上方側でネット又はシート体の吊り張り方向に並行状態に架け渡す。
【0015】
その後、空間部に昇降用のウインチを設置し、該昇降用のウインチの巻回ドラムを回転駆動して複数本の吊下用ロープを空間部上方に取り付けた滑車を介して下方側に引き出す。
【0016】
この際、前記吊下用ロープは横調整用ロープに取り付けられた挿通体に挿通して引き出すことで、ネット又はシート体の荷重を分散するとともに、吊下用ロープを横調整用ロープに沿ってスライド移動可能となる。
【0017】
次に、前記各吊下用ロープの先端をそれぞれ吊り張りするネット又はシート体の上端側に連結する。
【0018】
次に、前記昇降用のウインチの巻回ドラムを回転駆動して複数の吊下用ロープを巻き取り、横調整用ロープの下方位置に移動するとともに、前記横調整用のウインチの巻回ドラムを回転駆動し横調整ロープを巻き取り緊張することで、吊下用ロープはネット又はシート体への連結位置と直線状になるように挿通体を横調整用ロープに沿ってスライド移動し、横方向にネット又はシート体を広げながら吊り張りする。
【0019】
この際、吊下用ロープは挿通体で高さ方向も調整され、適切な位置でネット又はシート体に連結して吊り張りすることができる。
【0020】
また、昇降用のウインチの巻回ドラムを回転駆動して吊下用ロープを引き出すとともに、横調整用のウインチの巻回ドラムを回転駆動して横調整ロープを引き出すことで、挿通体を上記と逆方向にスライド移動し吊下用ロープの直線状が解除され、スムーズにネット又はシート体を収納する方向に移動する。
【0021】
このように、本発明のネット又はシート体の吊り張り装置、及びネット又はシートの吊り張りシステムは、その構成が簡易であり、常にネット又はシート体を広げた状態で吊り張りできる。
【0022】
また、吊下用ロープと横調整用ロープとでネット又はシート体の荷重を分散できるために、小さな力で昇降用のウインチを駆動できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明に係るネット又はシート体の吊り張り装置、及びネット又はシート体の吊り張りシステムの各実施例を、図面を参照して説明する。
【0024】
図1は本発明のネット又はシート体の吊り張り装置の第1実施例を示す概略説明正面図であり、図2は横調整用ロープに取り付けられた挿通体のスライド移動を示す概略説明正面図であり、図3は図1のネット又はシート体の吊り張り装置の収納状態を示す概略説明正面図であり、図4は本発明のネット又はシート体の吊り張り装置の第2実施例を示す概略説明正面図であり、図5は本発明のネット又はシート体の吊り張り装置の第3実施例を示す概略説明正面図であり、図6は本発明のネット又はシート体の吊り張り装置の第4実施例を示す概略説明正面図であり、図7は本発明のネット又はシート体の吊り張り装置の第5実施例を示す概略説明正面図である。
【0025】
(第1実施例)
本発明のネット又はシート体の吊り張り装置1は、屋内の空間部20の所望の位置に設置する巻取方式(又はエンドレス方式のウインチとリール)の昇降用のウインチ2と、該昇降用のウインチ2の巻回ドラム3に巻回し、途中より複数本に枝分かれした吊下用ロープ4と、該吊下用ロープ4の先端側に連結具(図示せず)を介して連結したネット体(又はシート体)5と、該ネット体5を吊り張りした際、該ネット体5の上方側に位置しネット体5の吊り張り方向に沿って並行に架け渡した横調整用ロープ6と、該横調整用ロープ6を巻回ドラム7に巻回した巻取方式(又はエンドレス方式のウインチとリール)の横調整用のウインチ8から構成されている。
【0026】
前記横調整用ロープ6の先端側は、空間部20の側壁に固定し、横調整用のウインチ8で水平方向に吊り張りする。また、各吊下用ロープ4を挿通し横調整用ロープ6に沿って水平方向にスライド移動する複数個の挿通体9が設けられている。
【0027】
前記吊下用ロープ4はネット体5の大きさに応じて本数が決定され、空間部20の天井側に取り付けられた滑車10を介して取り出される。
【0028】
尚、吊下用ロープ4を移動する昇降用のウインチ2の数は、吊下用ロープ4の本数によって決定される。実施例では1台の昇降用のウインチ2で行う。
【0029】
また、吊下用ロープ4のネット体5への連結において、ネット体5の上端側に沿って等間隔で連結する。
【0030】
ネット体5の上後端側は、前記横調整用ロープ6に一端側を連結した補助横調整用ロープ11の先端側を連結し、前記横調整用のウインチ8で引っ張り移動する。
【0031】
次に、屋内の空間部20に上記ネット又はシート体の吊り張り装置1を用いて防球用として吊り張りする場合について説明する。
【0032】
先ず、ネット体5を吊り張りする空間部20の上方の一方の側面に横調整用のウインチ8を設置し、該横調整用のウインチ8の巻回ドラム7を回転駆動して横調整用ロープ6を引き出し移動し、ネット体5の上方側でネット体5の吊り張り方向に並行に横調整用ロープ6を架け渡し、その先端側を他方の側面に固定する。
【0033】
次に、空間部20の天井側に昇降用のウインチ2を1台設置し、該昇降用のウインチ2の巻回ドラム3を回転駆動し、天井側に取り付けられた滑車10を介して同時に枝分かれした複数本の吊下用ロープ4を床側まで引き出し、ネット体5の上端側の先端部及び上端側に沿って等間隔でそれぞれ連結する。
【0034】
この際、吊下用ロープ4は前記横調整用ロープ6に取り付けられた挿通体9に挿通した後、先端側をネット体5に連結することで、吊下用ロープ4は横調整用ロープ6に沿って横方向にスライド移動自在に取り付けられる。
【0035】
その後、横調整用ロープ6に一端側を連結した補助横調整用ロープ11の先端側を前記ネット体5の上後端側に連結する。
【0036】
次に、昇降用のウインチ2の巻回ドラム7を回転駆動し各吊下用ロープ4を巻き取るとともに、横調整用のウインチ8の巻回ドラム7を回転駆動し横調整用ロープ6を巻き取ることで、吊下用ロープ4を滑車10とネット体5の連結部間が直線状になるように引っ張り、横調整用ロープ6を緊張すべく水平状態に引っ張り、さらに、補助横調整用ロープ11でネット体5を広げるように引っ張る。
【0037】
これにより、挿通体9は横調整用ロープ6に沿ってネット体5が広がる方向に移動し、吊下用ロープ4の直線状の位置に対応することができる。このため、従来のように固定して連結する場合に比し、ネット体5を広げた状態に対応し易く、また、ネット体5の部分的な弛みが少ないという利点がある。
【0038】
また、前記横調整用ロープ6、吊下用ロープ4及び補助横調整用ロープ11によりネット体5の荷重を分散しているために、ネット体5の吊り張り移動をスムーズに行える。
【0039】
次に、空間部20のネット体5を収納する場合は、上記と逆に昇降用のウインチ2の巻回ドラム3を回転駆動し各吊下用ロープ4を下方側に引き出すとともに、横調整用のウインチ8の巻回ドラム7を回転駆動し横調整用ロープ6、及び補助横調整用ロープ11を引き出すことで、挿通体9をフリーの状態にしてネット体5を下方側に移動し、吊下用ロープ4との連結を解除して取り外し収納する。
【0040】
この際、ネット体5の荷重により挿通体9は横調整用ロープ6に沿って中央側に移動し、スムーズに吊下用ロープ4の引き出し移動できる。
【0041】
このように、挿通体9が横調整用ロープ6に沿ってスライド移動するためにネット体5の吊り張り時は、吊下用ロープ4が直線状となるようにスライド移動してネット体5を広げた状態で吊り張りし、ネット体5の収納時は、挿通体9が横調整用ロープ6に沿ってフリーの状態となり、ネット体5を畳みながらスムーズ収納することができる。
【0042】
また、ネット体5の荷重も各ロープで分散しているために、ネット体5を損傷することなく吊り張り移動及び収納移動することができる。
【0043】
(第2実施例)
次に、本発明のネット又はシート体の吊り張り装置1の第2実施例について説明する。特に第1実施例と相違する部分についてその構成及び作用を記載する。
【0044】
実施例1の吊下用ロープ4の先端吊下用ロープ4Aは側壁(横調整用ロープ6の先端を固定した側壁)に取り付けられた滑車17を介して一端側の挿通体9Aに連結し、該挿通体9Aに挿通してネット体5に連結した吊下用ロープ4を巻き取り移動するとともに、横調整用ロープ6を巻き取り移動することで、吊下用ロープ4を直線状に位置する際、先端吊下用ロープ4Aを同時に巻き取ることで、挿通体9Aを外方向(ネット体5が広がる方向)に引っ張り、挿通体9Aのスライド移動を補助する。
【0045】
また、吊下用ロープ吊4の後端側下用ロープ4Bは、他端側の挿通体9Bに連結し、該挿通体9Bに挿通した吊下用ロープ4を巻き取り移動するとともに、横調整用ロープ6を巻き取り移動することで、吊下用ロープ4を直線状に位置する際、後端吊下用ロープ4Bを同時に巻き取ることで、挿通体9Bを外方向(ネット体5が広がる方向)に引っ張り、挿通体9Bのスライド移動を補助する。
【0046】
このように、先端吊下用ロープ4Aと後端吊下用ロープ4Bとをそれぞれ逆方向に挿通体9A,9Bをスライド移動し、スムーズにネット体5を広げる。
【0047】
また、上記挿通体9A、9Bのスライド移動により、他の吊下用ロープ4はスムーズに滑車10とネット体5に連結部を直線状に位置することができる。
【0048】
しかも、上記先端吊下用ロープ4A、後端吊下用ロープ4B及び他の吊下用ロープ4は、ウインチ2の駆動で同時に移動できるので、その構成が簡易であり頻繁なメンテナンスを必要としない。
【0049】
また、上記の構成により第1実施例のようにネット体5の端部に連結し、横調整用ロープ6に連結した補助調整用ロープ11は必要としない。
【0050】
上記構成により、ネット体5を空間部20に吊り張りする場合は、先ず、空間部20の一方側に設置した横調整用のウインチ8の巻回ドラム7を回転駆動し横調整用ロープ6を引き出して先端側を他方側の側面に固定する。
【0051】
次に、空間部2に設置した昇降用のウインチ2の巻回ドラム3を回転駆動し吊下用ロープ4を天井側に取り付けた滑車10を介して引き出し移動し、前記横調整用ロープ6にスライド自在に取り付けた挿通体9に挿通し先端部をネット体5の上部側に連結する。
【0052】
この際、先端吊下用ロープ4Aは、横調整用ロープ6の先端を固定した側壁の上部近傍に取り付けた滑車17を介して一端側の挿通体9Aに連結し、後端吊下用ロープ4Bは、他端側の挿通体9Bに連結する。
【0053】
その後、前記昇降用のウインチ2の巻回ドラム3を回転駆動し吊下用ロープ4を巻き取り移動するとともに、横調整用のウインチ8の巻回ドラム7を回転駆動し横調整用ロープ6を巻き取り移動することで、ネット体5を空間部20に吊り張りする。
【0054】
この際、挿通体9が横調整用ロープ6に沿ってスライド移動し吊下用ロープ4を滑車10とネット体5間で直線状にするとともに、挿通体9Aは連結した先端吊下用ロープ4Aで外方向に引っ張られ、挿通体9Bは連結した後端吊下用ロープ4Bで外方向に引っ張られる。
【0055】
そして、吊下用ロープ4及び横調整用ロープ6により、ネット体5を広げた状態で空間部20に適切に吊り張りする。
【0056】
次に、ネット体5を収納する場合は、昇降用のウインチ2の巻回ドラム3を回転駆動し、吊下用ロープ4を引き出し移動するとともに、横調整用のウインチ8の巻回ドラム7を回転駆動し、横調整用ロープ6を引き出し移動して、ネット体5を空間部20の下方側に移動する。
【0057】
この際、先端吊下用ロープ4A及び後端吊下用ロープ4Bも引き出し移動するために、ネット体5の荷重により挿通体9A、9Bは内側に移動し、スムーズにネット体5を収納できる。
【0058】
このように、吊下用ロープ4で両端側の挿通体9A,9Bを引っ張る方向にスライド移動する作用があることで確実にネット体5を広げた状態で吊り張りできネット体5の大きさに係わらず対応することができる。
【0059】
また、各吊下用ロープ4と横調整用ロープ6とでネット体5の荷重を分散するために、各ロープの移動をスムーズに行える。
【0060】
(第3実施例)
次に、本発明のネット又はシート体の吊り張り装置1の第3実施例について説明する。特に第1実施例と相違する部分について構成及び作用を記載する。
【0061】
第1実施例の吊下用ロープ4は、先端の吊下用ロープ4Aと後端吊下用ロープ4Bは横調整用ロープ6にスライド自在に取り付けた挿通体9A、9Bに挿通してネット体5の上端部に連結し、他の吊下用ロープ4は挿通体9に連結する。該挿通体4は横調整用ロープ6に固定又はスライドすべく構成されている。
【0062】
前記横調整用ロープ6には、ネット体5と連結する複数の補助ロープ18が取り付けられ、横調整用ロープ6の後端側にはネット体5の端部に連結する補助調整用ロープ11が連結されている。
【0063】
これにより、挿通体9A、9Bに挿通した先端吊下用ロープ4Aと後端吊下用ロープ4Bはネット体5の吊り張りにより横調整用ロープ6に沿ってスライド移動し、他の吊下用ロープ4は横調整用ロープ6に連結されているために、横調整用ロープ6に水平位置を維持するとともに、補助ロープ18にかかるネット体5の荷重を分散して支持する。
【0064】
また、補助調整用ロープ11によりネット体5の後端側を引っ張りスムーズに空間部20に広げた状態で吊り張りする。
【0065】
次に、上記構成のネット又はシート体の吊り張り装置1を空間部20に吊り張りする場合について説明する。
【0066】
先ず、空間部20の一端側に設置した横調整用のウインチ8の巻回ドラム7を回転駆動し横調整用ロープ6を引き出し、先端側を他端側の側壁に固定し、補助調整用ロープ11をネット体5の上方後端部に連結し、複数本の補助ロープ18をそれぞれネット体5の上端側に連結する。
【0067】
そして、空間部20に設置した昇降用のウインチ2の巻回ドラム3を回転駆動し各吊下用ロープ4を天井側に取り付けられた滑車10を介して引き出し移動し、先端吊下用ロープ4Aと後端吊下用ロープ4Bは、横調整用ロープ6にスライド自在に取り付けた挿通体9に挿通し先端部をネット体5の上端側に連結し、他の吊下用ロープ4は挿通体9に連結する。
【0068】
次に、昇降用のウインチ2の巻回ドラム3を回転駆動し吊下用ロープ4を巻き取り移動するとともに、横調整用のウインチ8の巻回ドラム7を回転駆動し横調整用ロープ6を巻き取り移動する。
【0069】
この際、先端吊下用ロープ4Aと後端吊下用ロープ4Bは挿通体9A、9Bを横調整用ロープ6に沿ってスライド移動し、滑車10とネット体5間で直線状になるように移動し、他の吊下用ロープ4は連結した挿通体9がスライド移動して滑車10間で直線状になるように移動する。
【0070】
また、補助調整用ロープ11でネット体5の上方端部を引っ張り移動する。
【0071】
これにより、ネット体5は空間部20に適切に広げた状態で吊り張りすることができる。
【0073】
しかも、横調整用ロープ6と吊下用ロープ4及び補助ロープ18でネット体5の荷重を分散してネット体5を吊り張り移動できるのでスムーズな横調整用ロープ6と吊下用ロープ4の移動を可能とする。
【0074】
次に、ネット体5を収納する場合は、昇降用のウインチ2の巻回ドラム3を回転駆動し吊下用ロープ4を下方に移動するとともに、横調整用のウインチ8の巻回ドラム7を回転駆動することで、横調整用ロープ6、及び補助調整用ロープ11を引き出し、挿通体9を内側にスライド移動しながらネット体5を下方側に移動し収納する。
【0075】
このように、本発明のネット又はシートの吊張装置1は、ネット5の荷重を各ロープで分散しながら移動するために少ない駆動力で各ウインチを駆動でき、従来のような頻繁なメンテナンスを必要としない。
【0076】
尚、上記各実施例では、横調整用ロープ6は先端側を側壁に固定したが本発明において側壁の固定に限定されるものでなく、両端側に横調整用のウインチ8を設置し両ウインチ8を駆動することで横調整用ロープ6を引っ張り移動することも可能である。
【0077】
また、上記各実施例では、ネット体5の吊り張り移動として説明したが、本発明において吊り張り移動するのは、ネット体5に限定されずシート体5でも可能である。
【0078】
(第4実施例)
本発明のネット又はシート体の吊り張り装置1は、第1実施例の複数本の吊下用ロープ4をウインチ2に設けられた複数個の径の相違する巻回ドラム7にそれぞれ巻回した構成で、ウインチ2の巻回ドラム7を回転駆動して、各ドラムより吊下用ロープ4を引き出しネット体5を吊り張りする。
【0079】
このため、個々の吊下用ロープ4を個別に移動することができ、束ねて移動する場合に比し、その長さ調整が容易である。
【0080】
上記ウインチ2の設置台数を調整することで、ネット体5の大きさに対応することができる。
【0081】
(第5実施例)
本発明のネット又はシート体の吊り張り装置1は、巻取方式の昇降用のウインチ2と、径の相違する複数個の巻回ドラム7と、該巻回ドラム7に巻回した吊下用ロープ4と、空間部20に沿って並行に吊り張りした横調整用ロープ6と、該横調整用ロープ6を巻回した横調整用のウインチ8と、吊下用ロープ4を挿通し横調整用ロープ6に沿ってスライド移動する挿通体9と、少なくとも2本の吊下用ロープ4の先端側に連結された複数枚のネット5Aで形成されたネット体5から構成されている。
【0082】
尚、ネット体5を複数枚のネット5Aで構成するために、該ネット体5の上端部に取り付けた連結棒20でネット5Aを広げた状態で吊り張りできる。
【0083】
また、個々のネット5Aがそれぞれ相違する吊下用ロープ4に連結しているためにネット5Aの上方の高さを調整することができ、円弧状の空間部に対応することができる。
【0084】
また、ネット体5はネット5A毎にメンテナンス可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明のネット又はシート体の吊り張り装置の第1実施例を示す概略説明正面図
【図2】横調整用ロープに取り付けられた挿通体のスライド移動を示す概略説明正面図
【図3】図1のネット又はシート体の吊り張り装置の収納状態を示す概略説明正面図
【図4】本発明のネット又はシート体の吊り張り装置の第2実施例を示す概略説明正面図
【図5】本発明のネット又はシート体の吊り張り装置の第3実施例を示す概略説明正面図
【図6】本発明のネット又はシート体の吊り張り装置の第4実施例を示す概略説明正面図
【図7】本発明のネット又はシート体の吊り張り装置の第5実施例を示す概略説明正面図
【符号の説明】
【0086】
1−ネット又はシート体の吊り張り装置、2−昇降用のウインチ、4−吊下用ロープ、 5−ネット体(シート体)、6−横調整用ロープ、8−横調整用のウインチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間部に設置した昇降用のウインチと、該昇降用のウインチにより昇降移動する複数本の吊下用ロープと、該吊下用ロープに連結したネット又はシート体から構成されたネット又はシート体の吊り張り装置において、前記ネット又はシート体の上方側には、ネット又はシート体に並行に架け渡した横調整用ロープと、該横調整用ロープを移動する横調整用のウインチが設けられ、前記横調整用ロープには吊下用ロープをそれぞれ挿通し、横方向にスライドする挿通体が取り付けられていることを特徴とするネット又はシート体の吊り張り装置。
【請求項2】
空間部に設置した昇降用のウインチを駆動して複数本の吊下用ロープを巻き取り移動し、該吊下用ロープに連結したネット又はシート体を上方に移動することで空間部にネット又はシート体を吊り張りするネット又はシート体の吊り張りシステムにおいて、前記ネット又はシート体の上方側で横調整用のウインチを駆動してネット又はシート体に並行に架け渡した横調整用ロープを引っ張り移動することで、前記吊下用ロープを挿通した挿通体を横調整用ロープに沿ってネット又はシート体を広げる方向にスライドして空間部にネット又はシート体を吊り張りすることを特徴とするネット又はシート体の吊り張りシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−148048(P2012−148048A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103840(P2011−103840)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(592206156)東田商工株式会社 (54)