説明

ネット支持構造体及びネットセット

【課題】 部品点数が多い、ネットに皺が生じる、ネットの張りが弱い、ネットの張設状態が不安定である、といった問題を解決できる簡易なネット支持構造体を提供すること。
【解決手段】
ネット20の張設面と平行な水平方向に設置される左右方向フレーム1a〜1dと、ネット20の張設面と交差する方向に設置される前後方向フレーム2a〜2dと、上下方向に設置される支柱フレーム3a〜3dとを互いに連結し、さらに前記支柱フレーム3a〜3dを外側へ傾斜した状態で前記左右方向フレーム1a〜1dと連結することで、前記支柱フレーム3a〜3dと前記左右方向フレーム1a〜1dの弾性復元力により前記支柱フレーム3a〜3dの上端側を外側に開くように付勢してネット20を張設できるようにしたネット支持構造体10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バドミントン、テニス、バレーなどのネットを用いるスポーツまたは遊技に使用できるネット支持構造体であって、ネット自体が実質的に伸縮性を有していない場合にもネットを張設可能であり、部品点数が少なく軽量で構造が簡易であり、ネットの張設に手間がかかったりネットに皺が生じることも無く、どのような場所でネットを設置する場合においてもネットの張設状態が常時強く安定しているネット支持構造体に関するものである。
【0002】
さらに、本発明は、上記ネット支持構造体とネットとからなるネットセットであって、特にネットの支柱付近の端部において皺が生じることの無いネットセットに関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来、二本の支柱の先端から引き出した弾性ゴム紐によりネットの左右の端部を引っ張ることでネットを張設するようにしたネットサポートの構造が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかし、かかる従来のネットサポートの構造においては、ネットを張った状態にするために必要な弾性ゴム紐や、ネット自体に組み込まれている柔軟な弾性材料(ゴム)により、部品点数が増大するといった問題や、ゴムの経時変化の影響を避けることができないためにネットの張設状態が不安定であるといった問題や、特にネットのサイドの部分などに自然と皺が生じてしまうという根本的な欠点があった。
【0005】
また、支柱を支えるために支柱と地面との間に張り渡される張り綱を用いるネット装置においても、部品点数が多いといった問題や、ネットの張設に手間がかかるといった問題及びネットの張りが弱いといった問題があった(特許文献2参照)。
【0006】
さらに、特許文献2に記載のネット装置においては、地面にペグを打ち込んだり、水や砂などを入れた袋や容器によるおもしを張り綱固定棒の上に置く必要があり、これらの条件を満たせない場所ではネットを設置できないという問題があった。
【0007】
また、2本の支柱を保持するために立柱サポート伸縮架を用いるネットサポート構造においては、構造が複雑で部品点数が多くなり重量も増大するという問題や、支柱の間隔が定まらずネットの張設状態が不安定であるという問題があった(特許文献3参照)。
【0008】
そこで、2本の支柱の下端部間を連結する連結パイプの中央部に張設補助支柱を設けてネットの張設を図るスポーツ用ネットが提案されているが、かかる構造によってはネットに加えられる張力が微弱であるといった問題や、張設補助支柱により構造が複雑化し部品点数が増大するといった問題及び組み立てに手間がかかるといった問題や、両端部の支柱の設置面の高さと張設補助支柱の設置面の高さを正しく揃える必要があるなど、ネットの設置場所によってはネットの張設状態が不安定になるという問題があった(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第3100716号公報
【特許文献2】特開平8−71189号公報
【特許文献3】実用新案登録第3143234号公報
【特許文献4】特開2004−166884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ゴムなどの柔軟な弾性材料、張り綱、伸縮架または張設補助支柱などを用いてネットを張設することにより部品点数が多くなり構造が複雑になったり重量が増大すること、ネットの張設に手間がかかること、ネットに皺が生じること、ネットの張りが弱いこと、及び、ネットの張設状態が経時変化や設置場所によって不安定となったりネットの設置自体が困難になることであり、本発明の目的は、それらの問題を解決する簡易なネット支持構造体を提供することにある。
【0011】
さらに、本発明の目的は、前記の問題を解決する簡易なネット支持構造体とネットとからなるネットセットであって、軽量で持ち運びに便利であり、どのような場所でネットを設置するに際してもネットの張設状態が常時強く安定しており、特にネットの支柱付近の端部において皺が生じることが無く、かつ、組み立ても容易なネットセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ネット自体には特にネットを張るための弾性部材を使用しなくてもネットを強く張設可能とするものであり、前後方向フレーム、左右方向フレーム及び支柱フレームを互いに連結したネット支持構造体であって、前記支柱フレームを外側へ傾斜した状態で前記左右方向フレームと連結することで、前記支柱フレームと前記左右方向フレームの弾性復元力により前記支柱フレームの上端側を外側に開くように付勢可能とし、ネットを張設できるようにしたことを最も主要な特徴とするものである。
【0013】
前記左右方向フレームは、上に凸となる弓なりの状態となっていてもよく、また、前記支柱フレームは、前記左右方向フレームと93度〜100度の鈍角にて連結されているとよい。
【0014】
前記左右方向フレームは、2以上の部分に分離可能となっており、その接合部は相対回動不能に嵌合するようになっていてもよい。
【0015】
さらに、本発明は、(1)前記のネット支持構造体と、(2)当該ネット支持構造体の前記支柱フレームを内方に引き戻しながら、前記支柱フレームを挿入可能な筒状部を左右の端部に設けたネットであって、前記筒状部内において前記支柱フレームの上端面に対応する部分を袋縫いすることなく、前記支柱フレームの上端面が当接する別体の布を前記筒状部の上端部に固定したネットとから構成したネットセットを主要な特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のネット支持構造体は、支柱フレームを外側へ傾斜した状態で左右方向フレームと互いに連結することにより、ネット自体には特にネットを張るための弾性部材を使用しなくてもネットを強く張ることができ、しかも支柱間の距離に狂いが生じることが無く、いつどのような場所でネットを設置するに際してもネットの張設状態が常時強く安定しており、部品点数を増大させることもない。
【0017】
本発明のネット支持構造体は、前記左右方向フレームを上に凸となる弓なりの状態としたり、前記支柱フレームを前記左右方向フレームと93度〜100度の鈍角にて連結することで、構造が簡易でありながら、ネットを強く張った状態に維持することができるという利点がある。
【0018】
本発明のネット支持構造体は、前記左右方向フレームを2以上の部分に分離可能とすることで収納が容易となり、さらには前記左右方向フレームの接合部を相対回動不能に嵌合して連結することで、前記支柱フレームと前記左右方向フレームの弾性復元力により前記支柱フレームの上端側を外側に開くように確実に付勢できる。
【0019】
本発明のネットセットは、前記支柱フレームを挿入可能なネットの筒状部内において、前記支柱フレームの上端面に対応する部分を袋縫いすることなく、前記支柱フレームの上端面が当接する別体の布を前記筒状部の上端部に固定したネットとから構成したため、ネットの左右の端部において皺が生じることが無く、ネットを正確にしかも強くきれいに張ることができ、当該筒状部に記載した文字やロゴなどの見栄えを害することもない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は本発明のネット支持構造体とネットを示す斜視図である。(実施例1)
【図2】図2は本発明のネット支持構造体を組み付ける際の様子を示す斜視図である。(実施例1)
【図3】図3は本発明のネット支持構造体の左右方向フレームを示す斜視図である。(実施例1)
【図4】図4は本発明のネット支持構造体の左右方向フレームの中央部の連結部を示す斜視図である。(実施例1)
【図5】図5は本発明のネット支持構造体の左右方向フレームと支柱フレームとからなる剛性フレームの弾性変形の様子を示す正面図である。(実施例1)
【図6】図6は本発明のネット支持構造体の各フレームを分離して収納した状態を示す斜視図である。(実施例1)
【図7】図7は本発明のネット支持構造体とネットをバドミントンまたはバレー用に組み立てた状態を示す斜視図である。(実施例1)
【図8】図8は本発明のネット支持構造体とネットをテニス用に組み立てた状態を示す斜視図である。(実施例1)
【図9】図9は本発明の支柱付近のネットの端部(筒状部など)を示す斜視図である。(実施例1)
【図10】図10は本発明のネットの筒状部の内部構造を示す斜視図である。(実施例1)
【図11】図11は本発明のネット支持構造体の左右方向フレームと支柱フレームとからなる剛性フレームの弾性変形の様子を示す正面図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0021】
ネットの張設面と平行な水平方向に設置される左右方向フレームと、ネットの張設面と交差する方向に設置される前後方向フレームと、上下方向に設置される支柱フレームと
を互いに連結してなるネット支持構造体において、前記支柱フレームを外側へ傾斜した状態で前記左右方向フレームと連結することで、前記支柱フレームと前記左右方向フレームの弾性復元力により前記支柱フレームの上端側を外側に開くように付勢可能とし、ネットを張設できるようにすることで、最小の部品点数で、構造が簡易でありながら、どのような設置場所においても常時ネットが強く張られた状態を安定して得られるネット支持構造体を実現した。
【0022】
さらに、(1)前記のネット支持構造体と、(2)当該ネット支持構造体の前記支柱フレームを内方に引き戻しながら、前記支柱フレームを挿入可能な筒状部を左右の端部に設けたネットであって、前記筒状部内において前記支柱フレームの上端面に対応する部分を袋縫いすることなく、前記支柱フレームの上端面が当接する別体の布を前記筒状部の上端部に固定したネットとからネットセットを構成し、組み立てが容易であり、かつ、ネットの左右の端部において皺が生じることが無く、ネットを正確にしかも強くきれいに張ることができ、当該筒状部に記載した文字やロゴなどの見栄えを害することもないネットセットを実現した。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明を具体化したネット支持構造体10とネット20とからなるネットセットの一実施例を示す斜視図であって、1a〜1dはネットの張設面と平行な水平方向に設置される左右方向フレーム、2a〜2dはネットの張設面と交差する方向に設置される前後方向フレーム、3a〜3dは上下方向に設置される支柱フレームである。
【0024】
まず、本実施例のネット支持構造体10について説明すると、前記各フレーム1a〜1d,2a〜2d,3a〜3dは、直径が19mm〜22mm、厚みが1mm〜1.2mmの扱い易さ、入手容易性、強度及び重量の点などで有利な鉄製のパイプから構成されており、互いに連結されることでネット20を支える剛性強度を備えるとともに、ネット20を強く張る弾性復元力を発揮できるようになっている。
【0025】
図1及び図2において、右端に配置されている前記左右方向フレーム1aは、その右端部に前後方向及び上方を向いた計3本のパイプを溶接してなる接続管部4を備え、前記前後方向フレーム2a,2bの内端部及び下側の支柱フレーム3aの下端部を嵌め込んで互いに連結することができるようになっている。
【0026】
そして、この接続管部4の上側に連結された支柱フレーム3aと、左右方向フレーム1aとの為す角度θ1は、約95度の鈍角となっており、前記支柱フレーム3a及びその上端部に接続される支柱フレーム3bを外側へ傾斜した状態で前記左右方向フレーム1aと連結するようになっている。
【0027】
また、前記接続管部4の前後に連結された前記各前後方向フレーム2a,2bと、前記支柱フレーム3aとの為す角度θ2は、約97.5度の鈍角となっており、前記接続管部4が水平な設置面から若干浮き上がり(本実施例では約4cm)、前記前後方向フレーム2a,2bの外端部(より詳細には外端部に嵌め込まれた樹脂製のキャップ)のみが設置面と接触して脚として作用するようになっている。
【0028】
同様に、図1及び図2において、左端に配置されている前記左右方向フレーム1cは、その左端部に前後方向及び上方を向いた計3本のパイプを溶接してなる接続管部4を備え、前記前後方向フレーム2c,2dの内端部及び下側の支柱フレーム3cの下端部を嵌め込んで互いに連結することができるようになっている。
【0029】
そして、この接続管部4の上側に連結された支柱フレーム3cと、左右方向フレーム1cとの為す角度θ1は、約95度の鈍角となっており、前記支柱フレーム3c及びその上端部に接続される支柱フレーム3dを外側へ傾斜した状態で前記左右方向フレーム1cと連結するようになっている。
【0030】
前記支柱フレーム3a(3c)と、前記左右方向フレーム1a(1c)とは、その接続角度θ1が93度〜100度の鈍角にて連結されることが、ネット20に適度の張りを加え、ネット20を見栄えよく安定的に張設する上で好ましい。
【0031】
また、前記接続管部4の前後に連結された前記各前後方向フレーム2c,2dと、前記支柱フレーム3cとの為す角度θ2は、約97.5度の鈍角に設定されており、前記接続管部4が水平な設置面から若干浮き上がり(本実施例では約4cm)、前記前後方向フレーム2c,2dの外端部(より詳細には外端部に嵌め込まれた樹脂製のキャップ)のみが設置面と接触して脚として作用するようになっている。従って、ネットの設置面が平らでない場合においてもネットが安定するようになっている。
【0032】
図1及び図2において、中央より右側に配置されている前記フレーム1a,1b,2a,2b,3a,3bは、ネット支持構造体10を組み付ける際にフレームの組み付け手順に迷うことがないように、かつ、フレームの組付状態を維持できるように、さらには、フレームの収納の際の便宜のために、弾性ゴム紐5によって互いに引き合って各フレーム同士の結合状態を維持するように連結されている。
【0033】
同様に、図1及び図2において、中央より左側に配置されている前記フレーム1c,1d,2c,2d,3c,3dは、弾性ゴム紐5によって互いに結合状態を維持するように連結されている。なお、図3に示すビス5aは、弾性ゴム紐5の端部を固定するためのものであり、他のフレームにおいても公知の固定手段にて弾性ゴム紐5の端部が固定されている。
【0034】
ネットの両端に配置される前記左右方向フレーム1a(1c)の内端部は、図3に示すように縮径部6となっており、その上側に内端部から長手方向に延びる凹溝6aが形成されている。そして、前記縮径部6がより内側に配置される左右方向フレーム1b(1d)の外端部に嵌挿されると、それらの左右方向フレーム1b(1d)に陥没形成された凹溝6bの底部を受容するようになっている。
【0035】
従って、前記左右方向フレーム1a(1c)と、その内側に配置される前記左右方向フレーム1b(1d)との接合部は、凹溝6aの上面と凹溝6bの裏面(凹溝6bによって左右方向フレーム1b(1d)の内部に形成される突条)とが両フレームの長手方向に沿って互いに係合することで、相対回動不能に嵌合する。
【0036】
さらに、内側に配置される前記左右方向フレーム1b,1dは、他のフレームが直線状であるのと異なり、(前記凹溝6bが形成された部分が上側となるように、)上に凸となるR3000(mm)の曲率にて湾曲形成されている。
【0037】
ネットの中央部に配置される前記左右方向フレーム1bの内端部は、図4に示すように縮径部7となっており、その上側に係止突起7aが下方からバネにて上方へ付勢された状態で突出形成されている。そして、当該係止突起7aを押さえ込んで縮径部7がネットの中央部に配置される他方の左右方向フレーム1dの内端部に嵌挿されると、左右方向フレーム1dの上側に透設された係合孔7bに係止突起7aが係合するようになっている。
【0038】
従って、ネットの中央部に対応する前記左右方向フレーム1bと前記左右方向フレーム1dとの接合部は、前記係止突起7aと係合孔7bとが互いに係合することで、相対回動不能に嵌合して連結され、4本の左右方向フレーム1a〜1dが剛性を有する一本のパイプとなるように一体化し、その両端部間の長さが約3mとなるように設定されている。
【0039】
このように相対回動不能の状態で互いに連結された前記左右方向フレーム1a〜1dは、図5(a)に示すように上に凸となる弓なりの状態となり、さらに前記支柱フレーム3a,3b及び前記支柱フレーム3c,3dを外側へ傾斜した状態で支持している(支柱フレーム3b,3dの先端部においてそれぞれ外側へ約15cm傾いた状態。)。
【0040】
そして、これら4本の前記支柱フレーム3a〜3dと4本の前記左右方向フレーム1a〜1dは、互いに連結されて一体化することで剛性を有するネット支持構造となり、前記支柱フレーム3a,3b及び前記支柱フレーム3c,3dが図5(b)に示すように(先端部においてそれぞれ約15cmづつ引き戻されて)直立した状態となることで発揮される、前記支柱フレーム3a〜3dと前記左右方向フレーム1a〜1dの弾性復元力(剛性のあるフレームが弾性変形した状態から元の状態に戻ろうとする復元力)により、前記支柱フレーム3a〜3dの上端側を外側に開くように付勢可能となっている。
【0041】
なお、前後方向フレーム2b,2dには、面ファスナー8が固定されており、図6に示すように、ネット支持構造体10を収納する際に右側半分の各フレーム1a,1b,2a,2b,3a,3bと、左側半分の各フレーム1c,1d,2c,2d,3c,3dとを個別にまとめて収納・運搬できるようになっている。
【0042】
上記構成されたネット支持構造体10は、図7に示すように、下側の前記支柱フレーム3a,3cの上側に支柱フレーム3b,3dを接続した状態では支柱の高さが約155cmとなり、ネット20を取り付けることでバドミントン、バレーの練習その他の遊技などに使用することができる。
【0043】
そして、図7に示すようにネット20を張設した状態で、前記支柱フレーム3a〜3dと前記左右方向フレーム1a〜1dの有する剛性により発揮される弾性復元力は、約2.5kgとなり、ネット20を強く張った状態に常時安定して維持できるものである。
【0044】
一方、支柱の下側を構成する前記支柱フレーム3a,3cから、支柱の上側を構成する支柱フレーム3b,3dを外した状態では、支柱の高さが約91.4cmとなり、図8に示すようにネット20を取り付けることでテニスの練習などに使用することができる。
【0045】
そして、図8に示すようにネット20を張設した状態で、支柱下側の2本の前記支柱フレーム3a,3cと4本の前記左右方向フレーム1a〜1dの有する剛性により発揮される弾性復元力は、約5kgとなり、ネット20を強く張った状態に維持できるものである。
【0046】
即ち、本実施例のネット支持構造体10は、ネット20自体が実質的に伸縮性を有していない場合にも場所を選ぶことなくネット20を容易に張設可能であり、かつ、支柱の高さを変更して対応できるスポーツや遊技を簡単に多様化することができる。
【0047】
次に、本実施例のネット支持構造体10と好適に用いることができるネット20の細部の構造について説明する。
【0048】
本実施例のネット20は、伸縮性に欠ける樹脂糸を編んで形成したネット本体21と、その左右の端部(長手方向の端部)に縫い付けられ文字またはロゴなどを表示するのに適し伸縮性に欠ける布製の筒状部22とから構成されている。
【0049】
即ち、本実施例のネット20は、ネット自体にゴムなどの柔軟な弾性材料を用いることなく構成されており、常時ゴムの収縮による皺が生じることが無く、かつ、経時変化によるゴム弾性の劣化の影響を受けることが無く、寸法変化がほとんど生じずネット20の張設状態が常時安定するようになっている。
【0050】
前記筒状部22は、その下端部が開放状態となっており、図1、図7〜図9に示すように、筒状部22の下端側から上側の支柱フレーム3b,3d、又は、連結を解除して重ね合わせた支柱フレーム3a,3b若しくは支柱フレーム3c,3dを、その弾性復元力に抗して内方に引き戻しながら挿入できるようになっている。
【0051】
一方、前記筒状部22の上端部は、その内側に逆三角形状の補強布23が縫い付けられており、さらに前記支柱フレーム3b,3dの上端面(より正確には支柱フレーム3b,3dの上端に嵌められた樹脂製のキャップ9の上端面)に対応する部分のみを袋縫いすることなく開放している。
【0052】
そして、前記支柱フレーム3b,3dの上端部に対応する筒状部22内面には、図10に示すように、前記支柱フレーム3b,3d(図8に示すテニス用のネットとした場合は支柱フレーム3a,3c)の上端面が当接する帯状の別体の布24が逆U字状に折り曲げられて縫い付けられ、固定されている。
【0053】
前記ネット20は、上記の形態を採用したため、支柱に取り付けた際において、筒状部22の上端部に変形が生じて皺が生じることが無く、ネット20全体を正確にしかも強くきれいに張ることができ、前記筒状部22に記載した文字、ロゴ、商標などの見栄えを害することもない。
【実施例2】
【0054】
図11に示す実施例2のネット支持構造体30は、前記実施例1のネット支持構造体10と同様に分離された複数のフレームを連結することで一体化できるように構成されているが、左右方向フレーム31が連結状態にてほぼ直線状となるように形成されており、ネット20が取り付けられていない状態においては、図11(a)に示すように、両端の支柱フレーム33が外側に傾斜する状態で接続されている。
【0055】
そして、左右方向フレーム31と支柱フレーム33との接続角度θ1は、前記実施例1と同様に約95度となっており、両支柱フレーム33が外側に傾斜している(好ましくはそれぞれ約10cm〜20cm程度外側に傾いた状態)が、図11(b)に示すように、支柱を直立させてネット20を取り付けた状態では、左右方向フレーム31は若干下に凸となるように弾性変形した状態となる。
【0056】
そして、外側に傾斜した支柱フレーム33を、図11(b)に示すように内側に引き戻してネット20を張設した状態で、前記支柱フレーム33と前記左右方向フレーム31の有する剛性により発揮される弾性復元力は、やはり前記実施例1と同様に約2.5kg程度となり、ネット20を強く張った状態に維持できるものである。
【0057】
前記実施例1及び実施例2においては、支柱フレーム3a,3c,33として直線状のものを用いたが、外側に開くように湾曲した支柱フレーム3a,3c,33を用い、左右方向フレーム1a,1c(31)との接続角度θ1を90度〜95度程度として実施することも可能である。
【0058】
この場合、支柱フレーム3a,3c,33の接続部には相対回動を不能とする構成(例えば凹溝6a,6bまたは係止突起7aと係合孔7bを用いるような構成)を適宜採用する。
【0059】
また、前記実施例1及び実施例2においては、両端部の左右方向フレーム1a,1c(31)に接続管部4を設けて実施したが、支柱フレーム3a,3c(33)の下端部に同様の接続管部を設けて実施したり、前後方向フレーム2a〜2dに接続管部を設けて実施し、その接続管部に他のフレームを連結するようにして実施してもよい。
【0060】
本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で前記フレーム1a〜1d,2a〜2d,3a〜3cの材質、寸法、強度、接続角度または連結方法などを適宜変更したり、弾性ゴム紐5を省略して実施したり、パイプ材に代えて中実の棒材を使用することも可能である。
【0061】
なお、図7に示すようにネット20を張設した状態で、前記支柱フレーム3a〜3dと前記左右方向フレーム1a〜1dの有する剛性により発揮される弾性復元力としては、約2〜4kg程度が好適であり、各フレームの強度及びネット20のサイズや重量などを考慮して適宜選択できるものである。
【0062】
また、本発明のネット支持構造体は、ネット自体にゴムなどの柔軟な弾性材料を組み込むことなく、ネットを強く長期間安定して張設できるものであるが、ゴムなどの柔軟な弾性材料を組み込んだネットの使用を排除するものではなく、そのようなネットであってもネットを張設できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、バドミントン、テニス、バレーなどのネットを用いるスポーツまたは遊技に使用できるネット支持構造体及びネットセットの製造において好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1a〜1d 左右方向フレーム
2a〜2d 前後方向フレーム
3a〜3d 支柱フレーム
4 接続管部
5 弾性ゴム紐
6 縮径部
6a 凹溝
6b 凹溝
7 縮径部
7a 係止突起
7b 係合孔
8 面ファスナー
9 キャップ
10 ネット支持構造体(実施例1)
20 ネット
21 ネット本体
22 筒状部
23 補強布
24 別体の布
30 ネット支持構造体(実施例2)
31 左右方向フレーム
33 支柱フレーム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットの張設面と平行な水平方向に設置される左右方向フレームと、
ネットの張設面と交差する方向に設置される前後方向フレームと、
上下方向に設置される支柱フレームと
を互いに連結してなるネット支持構造体において、
前記支柱フレームを外側へ傾斜した状態で前記左右方向フレームと連結することで、前記支柱フレームと前記左右方向フレームの弾性復元力により前記支柱フレームの上端側を外側に開くように付勢可能とし、ネットを張設できるようにしたことを特徴とするネット支持構造体。
【請求項2】
前記左右方向フレームは、上に凸となる弓なりの状態となっていることを特徴とする請求項1に記載のネット支持構造体。
【請求項3】
前記支柱フレームは、前記左右方向フレームと93度〜100度の鈍角にて連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のネット支持構造体。
【請求項4】
前記左右方向フレームは、2以上の部分に分離可能となっており、その接合部は相対回動不能に嵌合するようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のネット支持構造体。
【請求項5】
(1)ネットの張設面と平行な水平方向に設置される左右方向フレームと、
ネットの張設面と交差する方向に設置される前後方向フレームと、
上下方向に設置される支柱フレームと
を互いに連結してなるネット支持構造体であって、
前記支柱フレームを外側へ傾斜した状態で前記左右方向フレームと連結することで、前記支柱フレームと前記左右方向フレームの弾性復元力により前記支柱フレームの上端側を外側に開くように付勢可能とし、ネットを張設できるようにしたネット支持構造体と、
(2)当該ネット支持構造体の前記支柱フレームを内方に引き戻しながら、前記支柱フレームを挿入可能な筒状部を左右の端部に設けたネットであって、
前記筒状部内において前記支柱フレームの上端面に対応する部分を袋縫いすることなく、前記支柱フレームの上端面が当接する別体の布を前記筒状部の上端部に固定したネットと
から構成したことを特徴とするネットセット。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−24660(P2011−24660A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170954(P2009−170954)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(303011275)株式会社ジャパーナ (43)