説明

ノズル装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はノズル装置に関し、詳しくは温水洗浄装置に配設されノズル自身を洗浄する機能を備えたノズル装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明の従来技術として、実開昭60−195365号公報に開示されるものが知られている。このものは、図8に示されるように、シリンダ40内にノズル41が配設されており、このノズル41はモーター42によって前後に伸縮運動するようになっている。ノズル41の先端部には洗浄水を噴出する噴出口41aが形成されており、後方側面には洗浄水の供給口43が設けられている。こうしてノズル41が洗浄位置まで伸出すると、供給口43より供給された洗浄水が噴出口41aより噴出されて局部洗浄が行われるようになっている。また、シリンダ40の先端部上方にはノズル洗浄水の吐出口44が配設されており、ノズル自身の洗浄はこの吐出口44よりノズル41に洗浄水が吐出されることによって行われるというものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ノズル自身の洗浄は、吐出口44から吐出される洗浄水の勢いによって洗い流されるだけであり、洗浄水が直接当たるノズル上方を除き、ノズルの側方及び下面は流れ落ちる洗浄水で洗浄されるだけであり、洗浄効果を十分に得ることができなかった。
【0004】そこで、本発明はノズル自身をより確実に洗浄することのできるノズル装置を提供することを技術的課題とするものである。
【0005】
【発明の構成】
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために講じた技術的解決手段は、先端部に洗浄水を噴出する噴出口を備えたノズルと、該ノズルを収納するシリンダと、前記ノズルを前記シリンダの先端部より伸縮運動させる駆動手段と、前記シリンダの先端部に配設されるノズル洗浄手段を有し、該ノズル洗浄手段は、前記シリンダの先端部に配設され中心部に前記ノズルが伸出するための中心穴と該中心穴の周囲に形成される空間部を備えたカバー部材と、該カバー部材の空間部に前記ノズルの外周面を摺動回転するよう配設される羽根手段と、前記カバー部材に設けられ前記空間部にノズル洗浄水を導入する洗浄水導入口と、前記カバー部材に設けられ前記空間部の前記ノズル洗浄水を排出する洗浄水排出口とを備えていることを特徴とするノズル装置である。
【0007】
【作用】上記課題は次のように作用する。すなわち、カバー部材に配設された洗浄水導入口からノズル洗浄水が導入されると、羽根手段はノズル洗浄水の水圧によってノズルの外周面に沿って摺動回転する。こうしてノズルはノズル洗浄水と羽根手段によって洗浄される。
【0008】
【実施例】本発明の一実施例を図1乃至図7に基づいて説明する。本実施例のノズル装置は、温水洗浄装置内に配設され局部洗浄を行うものである。
【0009】図1に本実施例の温水洗浄装置1の斜視図を示す。温水洗浄装置1は便器2の後部上方に固定される本体3と、本体3に後端を回動可能に軸支される便座4及び便蓋5より構成されている。本体3の下方には供給口3cが設けられており、水源より止水栓8a、分岐栓8b、及びパイプ8cを経て送られた洗浄水がこの供給口3cから本体3内の通水管(図示せず)へ供給されるようになっている。
【0010】また、本体3内には、後述する洗浄ノズル10を備えたノズル装置6が配設されており、洗浄水は通水管からこのノズル装置6に供給される。本体3の上面には操作パネル7が設けられており、使用者による洗浄指示はこの操作パネル7によって行われる。
【0011】図2に示すように、本体3はベース3aとカバー3bより構成されており、ベース3a上にはノズル装置6がブラケット(図示せず)を介して所定の角度をもって配設されている。ノズル装置6は、主に、ブラケットに配設されるシリンダ11と、シリンダ11内に伸縮動可能に収納されるノズル10と、ノズル10をシリンダ11の先端より伸縮動させる駆動手段と、シリンダ11の先端部に配設されるノズル洗浄手段20より構成されているものである。本実施例では、ノズル10を伸縮動させる駆動手段として、圧力水が利用されている。
【0012】図3にシリンダ11の断面図を示す。このように、シリンダ11は中央に段部11aの形成された円筒形をなし、後端には洗浄水の供給される供給口12aを備えた嵌合部材12がシール部材13とともに嵌合されている。段部11aの前側には空気穴11bが形成されており、この空気穴11bの外周側にボール弁14が配設されている。
【0013】ノズル10は、シリンダ11内に伸縮動可能に収納されている。ノズル10の後端にはピストン15及び弁機構16が配設され、弁機構16はピストン15の中心部に配設される弁体16bと、弁体16bに当接する弁座16aより構成されている。弁体16aの外周にはスプリング17が配設されており、弁体16aを常に弁体16bに当接する方向に付勢している。ノズル10内には、先端の噴出口10aに連通する通水路10bが形成され、ノズルの10の外周には、一端がピストン15の先端に係止され、他端がシリンダ11内の先端に形成されたスプリング18がノズル10を常にシリンダ11内に収納する方向に付勢している。尚、スプリング18は弁体16aの外周に配設されたスプリング17よりも弱い付勢力を持つものである。
【0014】次に本発明の特徴であるノズル洗浄手段20について、図3乃至図4に基づいて説明する。シリンダ11の先端部には、ノズル洗浄手段20のカバー部材21が配設されている。カバー部材21はシリンダ11の径と同一の径を有し、中心部にはノズル10が伸出するために中心穴21aが、また中心穴21aの周囲には空間部21bが形成され、カバー部材21はタイヤ形状となっている。この空間部21b内には、4枚の羽根22aがリング状に連結された羽根部材22が挿入されている。羽根部材22の羽根22aは、その外端はカバー部材21の内周に、内端はノズル10の外周にそれぞれ摺動可能となっている。カバー部材21の側方には、ノズル洗浄水の導入される洗浄水導入口23が形成され、ここより空間部内21b内にノズル洗浄水が導入される。また、底部にはノズル洗浄水の排出される洗浄水排出口24が穿設されており、ここから洗浄水が便器3内に排出されるようになっている。
【0015】ノズル洗浄水および局部洗浄用の洗浄水は、図6に示すような経路を通って給水源Zよりそれぞれ送水される。すなわち、給水源Zより本体3の供給口3cに供給された洗浄水は、局部洗浄用水路30とノズル洗浄用水路31の2つの水路に分けられる。局部洗浄用水路30に供給された洗浄水は、電磁開閉弁32、絞り弁34、温水タンク35、真空破壊弁36を経て、シリンダ11の後端の供給口12aに送水される。尚、電磁開閉弁32より送水された洗浄水の一部は、リリーフ弁37を通ってドレイン38に排出される。またノズル洗浄用水路31に供給された洗浄水は、電磁開閉弁33を経て洗浄水供給口23に供給されるようになっている。
【0016】次に本実施例の作用について説明する。使用者が操作パネル7を操作して洗浄指示を出すと、電磁開閉弁32が開き、シリンダ11後端の供給口12aより洗浄水が供給される。洗浄水はシリンダ11内に供給され、スプリング18の付勢力よりも強い圧力によってピストン15を押圧し、ノズル10をシリンダ11内より伸出させる。ピストン15の前傾部15aがシリンダ11の段部11bの内壁に当接すると、ノズル10の伸出が止まりノズル10は洗浄位置で停止する。
【0017】さらに洗浄水はピストン15の後端の弁座16aをスプリング17に付勢力に抗して押圧し、ノズル10の通水路10bに進入し、先端の噴出口10aより噴出する(図5)。また、電磁開閉弁32が開くと同時に電磁開閉弁33も開き、ノズル洗浄用通路31を通って洗浄水供給口23に洗浄水が送水される。洗浄水供給口23に送水された洗浄水の水圧によって、羽根手段22はノズル10の外周に摺動しながら回転し、ノズル10の外周を洗浄水とともに洗浄する。洗浄水は洗浄水排出口24より便器2内に排出されるようになっている。図7に示されるように、電磁開閉弁32は、ノズル10が伸出して洗浄位置に到達するまでの時間T1まで開かれ、ノズル10の噴出口10aより洗浄水が噴出されているT1〜T2までの間は閉じられるようになっている。
【0018】使用者によって洗浄終了の指示がなされると、電磁開閉弁32は閉じられてシリンダ11内への洗浄水の供給が止まり、ノズル10後端のスプリング17の付勢力により弁体16aが弁座16bに当接する。こうして噴出口10aからの洗浄水の噴出が終了し、ノズル10はスプリング18の付勢力によってシリンダ11内に収納される。また、電磁開閉弁32の閉弁と同時に電磁開閉弁33は再び開弁されて洗浄水供給口23に洗浄水が送られる。こうして、ノズル10の後退に合わせてノズル10の外周が洗浄される。電磁開閉弁33はノズル10後退の終了時T3を過ぎてもしばらくの間は開弁されているため、ノズル10は図3に示されるような収納状態で、噴出口10aを備える先端部はT3〜T4の間さらに洗浄される。
【0019】このように、本実施例では洗浄水が噴出口10aから噴出される前後で電磁開閉弁33が開かれ、ノズル洗浄手段の羽根手段によりノズルの全周を積極的に洗浄することができる。
【0020】
【発明の効果】本発明のノズル装置によれば、シリンダの先端部に配設されたノズル洗浄手段の羽根手段が、洗浄水とともにノズルの外周を摺動することによって積極的にノズルの全周を洗浄する。従って、ノズルに付着した汚物、汚水等の汚れをより確実に除去することができ、清潔な洗浄を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例のノズル装置を配設した温水洗浄装置の斜視図を示す。
【図2】ノズル装置の配設された本体の断面図を示す。
【図3】ノズルが収納された状態のノズル装置の断面図を示す。
【図4】図3のB−B線断面図を示す。
【図5】ノズルが伸出した状態のノズル装置の断面図を示す。
【図6】本実施例の水回路のブロック図を示す。
【図7】本実施例の電磁開閉弁等の作動のタイムチヤートを示す。
【図8】従来のノズル装置を示す。
【符号の説明】
10 ノズル
10a 噴出口
11 シリンダ
20 ノズル洗浄手段
11 カバー部材
21a 中心穴
21b 空間部
22 羽根手段
23 洗浄水導入口
24 洗浄水排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】 先端部に洗浄水を噴出する噴出口を備えたノズルと、該ノズルを収納するシリンダと、前記ノズルを前記シリンダの先端部より伸縮運動させる駆動手段と、前記シリンダの先端部に配設されるノズル洗浄手段を有し、該ノズル洗浄手段は、前記シリンダの先端部に配設され中心部に前記ノズルが伸出するための中心穴と該中心穴の周囲に形成される空間部を備えたカバー部材と、該カバー部材の空間部に前記ノズルの外周面を摺動回転するよう配設される羽根手段と、前記カバー部材に設けられ前記空間部にノズル洗浄水を導入する洗浄水導入口と、前記カバー部材に設けられ前記空間部の前記ノズル洗浄水を排出する洗浄水排出口とを備えていることを特徴とするノズル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図6】
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【図7】
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【特許番号】第2995932号
【登録日】平成11年(1999)10月29日
【発行日】平成11年(1999)12月27日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−190181
【出願日】平成3年(1991)7月30日
【公開番号】特開平5−33378
【公開日】平成5年(1993)2月9日
【審査請求日】平成10年(1998)6月4日
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【参考文献】
【文献】特開 昭61−204435(JP,A)
【文献】実開 昭60−195365(JP,U)