説明

ノート

【課題】金属線材を変形させて作られたリングの場合に生じていた不具合を解消し、使用感の良好なノートを提供する。
【解決手段】綴じ穴61を有した複数枚の用紙6をリング4により綴じてなるノートNであって、前記リング4が、前記綴じ穴61にそれぞれ挿通された複数のリング本体41と、これらリング本体41の基端を相互に連結するとともに前記各リング本体41の先端側を保持して各リング本体41を閉環状に維持する連結部42とを具備してなり、前記各リング本体41の先端側と前記連結部42とが接合領域において溶着により接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リングにより綴じられるノートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、綴じ穴を有した複数枚の用紙をリングにより綴じてなるノートが種々知られている(例えば、特許文献1を参照)。このようなものは、ノートを開いて使用する際に、隣接するページ間にリングが露出することとなる。そのため、ノートを使用する際、たとえば筆記中等においては、使用者の手が露出したリングに触れることが少なくない。
【0003】
ところが、従来のリングは、金属線材を折り曲げ加工等して変形させて作られたものが一般的であるので、このようなリングに手が触れると違和感があり、極端な場合には痛いと感じることもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−202354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような課題を解消し、使用感の良好なノートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような構成を採用したものである。すなわち、本発明に係るノートは、綴じ穴を有した複数枚の用紙をリングにより綴じてなるものであって、前記リングが、前記綴じ穴にそれぞれ挿通された複数のリング本体と、これらリング本体の基端を相互に連結するとともに前記各リング本体の先端側を保持して各リング本体を閉環状に維持する連結部とを具備してなり、前記各リング本体の先端側と前記連結部とが接合領域において溶着により接合されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、「用紙」は、ノートとして製本され得るシート状のものであればよく、紙製のものの他、プラスチック製のものも含まれる。また、用紙の用途としては、筆記用のものや貼り付け用のもの等が考えられる。
【0008】
また、「環状」とは、必ずしも滑らかな円形状になっている必要はなく、一部にかどばった部分があるものも含む概念である。
【0009】
「溶着」は、二クロム線等を用いた熱溶着の他、超音波による溶着や高周波による溶着等も考えられる。
【0010】
このようなものであれば、金属線材を折り曲げて作られたリングに比べて、リングに手が触れたときの違和感が軽減されるため、使用者がこのようなノートを使用する際に使用感が良好になる。
【0011】
前記リング本体の素材としては、種々のものを用いることができるが、特に、合成樹脂製のものが好ましい。
【0012】
前記使用者の違和感を少なくするためには、リング本体が、帯状素材を湾曲させてなるものが好ましい。
【0013】
リング本体の好適な態様としては、前記接合領域以外の部位に、当該リング本体の一部を前記連結部に対して起立させるための屈曲部分を有しているものが挙げられる。
【0014】
特に、前記屈曲部分は、前記接合領域の近傍に設けられているものが好ましい。
【0015】
前記屈曲部分は、一つであってもよいが、複数であってもよい。この場合には、複数の屈曲部分が協働して前記リング本体の一部を前記連結部に対して安定的に起立させることができる。
【0016】
また、前記綴じられる用紙の合計厚み寸法をa(mm)、前記用紙の綴じ元側の側縁と前記綴じ穴との最短距離をb(mm)とするとき、前記リング本体は、前記接合領域以外の部位の円周方向の長さを、2π×√{(0.5a)2+b2}から2π×√{(0.5a)2+(b+3.0mm)2}の間に設定されているものが好ましい。
【0017】
リング本体の好適な態様としては、前記接合領域以外の部位に、円周方向に間隔をあけて平行に形成された複数の折り線を備えているものが挙げられる。
【0018】
前記用紙である複数枚の中紙と表紙とをリングにより綴じてなるノートの具体的態様としては、前記連結部を前記中紙と表紙との間に位置させているものが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上のような構成であるから、金属線材を変形させて作られたリングの場合に生じていた不具合を解消し、使用感の良好なノートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態を示すノートの全体図。
【図2】同実施形態の要部を拡大して示す拡大斜視図。
【図3】同実施形態の底面側を拡大して示す拡大底面図。
【図4】同実施形態のリングを形成するリング形成部材を示す説明図。
【図5】同実施形態の用紙とリングとの関係を模式的に示す説明図。
【図6】本発明の第二実施形態にかかるノートの要部を拡大して示す拡大斜視図。
【図7】同実施形態の要部を拡大して示す拡大斜視図。
【図8】本発明の第三実施形態にかかるノートの要部を拡大して示す拡大斜視図。
【図9】同実施形態のリングを形成するリング形成部材を示す説明図。
【図10】本発明の第四実施形態にかかるノートの要部を拡大して示す拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0022】
このノートNは、図1ないし図5に示すように、綴じ穴61を有した複数枚の用紙6である表紙1、2及び中紙3をリング4により綴じてなるものである。具体的には、このノートNは、合成樹脂製のシートや厚紙等により作られた表表紙1及び裏表紙2と、これら表表紙1及び裏表紙2の間に配される筆記用の複数枚の中紙3と、これら表表紙1、裏表紙2、及び中紙3のつづり元に形成された複数の綴じ穴61と、該綴じ穴61を用いてこれら表表紙1、裏表紙2、及び中紙3を綴じるリング4とから構成される。綴じ穴61は矩形状をなす通常のものであり、所定のピッチで複数設けられている。ここで、図1は、最後の中紙3を開いた状態を示しており、図2は、図1の要部を拡大して示す図である。図3は、図2の要部を拡大して示す底面図である。
【0023】
リング4は、図1ないし図3に示すように、前記綴じ穴61にそれぞれ挿通された複数のリング本体41と、これらリング本体41の基端を相互に連結するとともに前記各リング本体41の先端側を保持して各リング本体41を閉環状に維持する連結部42とを具備してなるポリプロピレン等の合成樹脂製のものであり、前記各リング本体41の先端側と前記連結部42とが接合領域40において溶着により接合されているものである。前記リング本体41は、例えば、厚みが0.2mm程度の軟質素材で作られている。前記軟質素材とは、環状部43に使用者の手が触れた際に一時的な弾性変形が生じるが、その外力が解除されると元の閉環状をなす湾曲形状に自己復帰し得る素材で構成されている。
【0024】
詳述すれば、リング本体41は、図1ないし図3に示すように、前記接合領域40以外の部位に、当該リング本体41の一部を前記連結部42に対して起立させるための屈曲部分44、45を有している。このリング本体41の前記接合領域40以外の部位には、第1の屈曲部分44から円周方向に間隔をあけて第2の屈曲部分45を有している。すなわち、このリング本体41は、基端を前記連結部42に一体に連接してなる環状部43と、この環状部43の先端に連続させて設けられ前記連結部42に密着して重なり合う先端部47とを具備してなる。このリング4は、前記環状部43と前記先端部47との境界に第1の屈曲部分44が形成されているとともに、この第1の屈曲部分44から一定距離をおいた部位に第2の屈曲部分45が形成されている。この一定距離は、ノートNの厚み寸法に対応して決められる。そして、この屈曲部分44は、前記接合領域40の近傍に設けられている。
【0025】
また、リング本体41は、図5に示すような考え方に基づいて設計されたものであり、前記接合領域40以外の部位の円周方向の長さが、例えば26mmに設定されている。すなわち、図5に示すように、綴じられる全ての用紙6、すなわち表表紙1、裏表紙2及び中紙3の合計厚み寸法をamm、前記用紙6の綴じ元側の側縁62と前記綴じ穴61の綴じ元側側縁63との最短距離をbmmとする。そのとき、このリング本体41は、前記接合領域40以外の部位の円周方向の長さを、2π×√{(0.5a)2+b2}から2π×√{(0.5a)2+(b+3.0mm)2}の間に設定されている。前記接合領域40以外の部位の円周方向の長さとは、換言すれば、溶着しろを残した後述する横帯状部51の長さ寸法であり、ノートNのリング本体41の環状になっている部分の円周の長さ、すなわち前記環状部43の長さである。本実施形態のノートNは、例えば、表表紙1、裏表紙2及び中紙3の合計厚み寸法を5mm、前記用紙6の綴じ元側の側縁62と前記綴じ穴61の縁部との最短距離を2.3mmとしているので、上記の式にa=5、b=2.3を代入して、前記リング本体41は、前記接合領域40以外の部位の円周方向の長さを、21mmないし37mmになるように設定している。なお、表表紙1、裏表紙2及び中紙3の合計厚み寸法が5mmであって、前記用紙6の綴じ元側の側縁62と前記綴じ穴61の縁部との最短距離が2.3mmのときのリング本体41は、前記接合領域40以外の部位の円周方向の長さを、25mmないし28mmにしているのが好ましい。
【0026】
一方、連結部42は平板状をなすもので、図1ないし図3に示すように、この連結部42を前記中紙3と裏表紙2との間に位置させるようにして、前記リング4が中紙3及び表紙1、2を綴じている。
【0027】
このリング4は、図4に示すようなリング形成部材5により形成されるものである。このリング形成部材5は、合成樹脂製のシート素材を打ち抜き加工を施すことにより作られるものであり、前記リング本体41に対応する複数の横帯状部51と、前記連結部42に対応する縦帯状部52とを備えている。すなわち、複数の横帯状部51と縦帯状部52とは、一体に形成されている。
【0028】
このリング形成部材5を、一定枚数の中紙3及び表紙1、2を揃えた状態で綴じ穴61に横帯状部51をそれぞれ貫通させ、その貫通端部を図示しない治具により保持しつつ縦帯状部52側に巻き上げる。その後、それら各横帯状部51の貫通端部を前記縦帯状部52にそれぞれ溶着により接合することによって、図1ないし図3に示すようなリング4が作られている。
【0029】
以上に述べたように、本実施形態に係るノートNは、矩形状の複数の綴じ穴61を有した複数枚の用紙6である表表紙1、裏表紙2及び中紙3をリング4により綴じてなるものであって、前記リング4が、前記綴じ穴61にそれぞれ挿通された複数のリング本体41と、これらリング本体41の基端を相互に連結するとともに前記各リング本体41の先端側を保持して各リング本体41を閉環状に維持する連結部42とを具備してなる合成樹脂製のものであり、前記各リング本体41の先端側と前記連結部42とが接合領域40において溶着により接合されているので、金属線材を変形させて作る従来のリングの場合に生じていた不具合を解消し、使用感の良好なノートNを提供できる。
【0030】
詳述すれば、使用者が前記ノートNを筆記等の目的で使用する際に、隣接する中紙3間にリング4が露出することになるが、このリング4は、合成樹脂製のものであるため、従来の金属製のリングと比べて比較的軟質であり、使用者の手に食い込むという不快感が抑制されるものである。特に、本実施形態では、リング本体41の環状部43に使用者の手が触れた際に一時的な弾性変形を伴うような素材を使用しているため、使用感が良好なものとなる。さらに、前記環状部43が帯状のものであるので、従来の線状のものと比べて、使用者の手が当たったときの違和感が軽減される。
【0031】
また、複数のリング本体41は、複数設けられた綴じ穴61にそれぞれ対応して挿通されたものであり、本実施形態では、矩形状の綴じ穴61の縦方向の辺の寸法を前記リング形成部材5の横帯状部51の巾寸法にほぼ一致させているため、前記横帯状部51に対応したリング4の環状部43がノートNの長手方向側にずれたり変形したりすることも抑制できる。
【0032】
連結部42は、平板状をなすものであるためノートNの厚みを比較的抑えることができる。この連結部42は、裏表紙2とこの裏表紙2に隣接する中紙3の間に位置させているので、ノートNを閉じた際には、表表紙1側及び裏表紙2側のいずれからも連結部42が隠蔽されることになる。また、ノートNを裏表紙2以外の部分で開いた際にも、前記連結部42は使用者から見えないものとなる。したがって、ノートNを通常使用する際には、リング4のうち環状部43のみが外側に露出することになるため、従来の金属線材のリングの場合と同じような外観を得ることができる。
【0033】
また、リング本体41が連結部42に溶着で接合される際、合成樹脂製のリング本体41の先端部47が塑性変形するため、リング本体41と連結部42とを密着させることができる。
【0034】
さらに、このリング4は、前記環状部43と前記先端部47との境界に第1の屈曲部分44が形成されているとともに、この第1の屈曲部分44から一定距離をおいた部位に第2の屈曲部分45が形成されているので、図3に示すように、この屈曲部分44、45付近において複数枚重なった用紙6の綴じ穴61が整然と揃い、重なった用紙6の横方向へのずれを抑制することができる。
【0035】
詳述すれば、このリング本体41の環状部43は、二箇所の屈曲部分44、45を有しているので、これら屈曲部分44、45間に形成される直線部48と、この直線部48の反対側に形成される湾曲部49とを備えることとなり、全体として底面視ほぼD字形状をなしている。ここで、表紙1、2及び中紙3の合計厚み寸法は、前記直線部48の長さ寸法とほぼ同じ、または若干小さく設定してあるので、図3に示すように、前記表紙1、2及び中紙3の綴じ穴61内にリング本体41の直線部48が入った状態で、前記綴じ穴61が整然と揃うこととなる。そのため、表紙1、2及び中紙3の横方向へのずれを抑制することができる。
【0036】
また、リング本体41が、前記接合領域40以外の部位の円周方向の長さを、2π×√{(0.5a)2+b2}ないし2π×√{(0.5a)2+(b+3.0mm)2}に設定されているものであるので、リング4が前記用紙6に対応して適切な大きさになる。すなわち、リング本体41が、前記接合領域40以外の部位の円周方向の長さを、2π×√{(0.5a)2+b2}よりも小さくしている場合には、リング本体41と綴じ穴61の綴じ元側側縁63とが干渉しやすくなるため、重なった表紙1、2及び中紙3の綴じ穴61が整然と揃わず、それら表紙1、2及び中紙3の横方向へのずれが生じることとなる。換言すれば、表紙1、2及び中紙3の綴じ元側とは反対側の端縁が外側に膨らんだ形状となる。そして、各中紙3のページをめくる際にリング4と綴じ穴61の縁部とがひっかかりやすくなる。一方、リング本体41が、前記接合領域40以外の部位の円周方向の長さを2π×√{(0.5a)2+(b+3.0mm)2}よりも大きくしている場合には、リング4の環状部43が不当に余ってしまい、リング4が座屈により環状が崩れやすくなる。そして、各中紙3のページをめくる際にリング4と綴じ穴61の縁部とがひっかかりやすくなる。しかしながら、本実施形態にかかるリング本体41は、上述した範囲内の長さに設定されているので、このような不具合が生じることを解消し得る。
【0037】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0038】
まず、本発明の第二実施形態にかかるノートを、図6及び図7を参照して説明する。なお、以下の実施形態において上記実施形態に対応する構成要素には同様の符号を付して示すものとし、具体的な説明を省略する。なお、図6は、図2に対応するものであり、最後の中紙3を開いた状態での要部を拡大して示す図である。一方、図7は、ノートNを裏表紙2側から開いた状態の要部を拡大して示している。
【0039】
このリングA4の環状部A43は、前記リング本体A41と前記連結部A42との境界に相当する部位に第1の屈曲部分A44が形成されているとともに、この第1の屈曲部分A44から一定距離をおいた部位に第2の屈曲部分A45が形成されている。この一定距離は、ノートNの厚み寸法に対応して決められる。そして、この屈曲部分A44は、前記接合領域A40の近傍に設けられている。
【0040】
このようなものであるため、この屈曲部分A44、A45付近において複数枚重なった用紙6の綴じ穴61が整然と揃い、重なった用紙6の横方向へのずれを抑制することができる。
【0041】
次に、本発明の第三実施形態にかかるノートを、図8及び図9を参照して説明する。なお、以下の実施形態において上記実施形態に対応する構成要素には同様の符号を付して示すものとし、具体的な説明を省略する。
【0042】
このリングB4は、リング本体B41の環状部B43と先端部B47との境界に屈曲部分B44を設けてなるものである。前記屈曲部分B44は、前記各リング本体B41の先端側と前記連結部B42とが溶着により接合される接合領域B40の近傍に設けられることとなる。詳述すれば、このリング本体B41は、一箇所の屈曲部分B44を有しているので、この屈曲部分B44が角張った形状を有することとなり、全体として底面視ほぼ涙形状をなす。前記表紙1、2及び中紙3の綴じ穴61内にリング本体B41が入った状態で、この屈曲部分B44付近において複数枚重なった用紙6の綴じ穴61が整然と揃い、重なった用紙6の横方向へのずれを抑制することができる。
【0043】
また、このリング本体B41は、図8に示すように、前記接合領域B40以外の部位に、円周方向に間隔をあけて平行に形成された複数の折り線B46を備えていてもよい。すなわち、図9に示すように、横帯状部B51には折り線B56が設けてあるので、図8に示すように、閉環状にした際に環状部B43に折り線B46を有することとなる。本実施形態において環状部B43が合成樹脂製である場合、使用者の手等によってリングB4が変形する方向に大きな力が加わると、その変形部分が白化し、その白化した部分が目立ってしまうという不具合が生じる場合がある。ところが、このような折り線B46を有していれば、白化しても目立ちにくくすることができる。この折り線B46に対応する横帯状部B51に設けられた折り線B56は、前述したシート素材に打ち抜き加工を施してリング形成部材B5が作られる段階で形成されるものである。
【0044】
さらに、接合領域B40についても、帯状に沿って形成されるものに限られず、図8に示すように、帯状に直交して形成されるもの、すなわち、前記連結部B42に沿って形成されるものであってもよい。また、図示しない円形状または楕円形状等に接合領域が形成されるものであってもよい。
【0045】
次に、本発明の第四実施形態にかかるノートを図10に示す。なお、以下の実施形態において上記実施形態に対応する構成要素には同様の符号を付して示すものとし、具体的な説明を省略する。
【0046】
すなわち、このリングC4は、図10に示すような合成樹脂のインジェクション成形によって作られるものである。この図10は、前記先端部C47を前記連結部C42に接合させる前の状態を示している。インジェクション成形によれば、リングC4のリング本体C41を最初から立体的に湾曲させておくことも可能となる。
【0047】
屈曲部は、リング形成部材を打ち抜いた時点で形成されるものに限らず、リング形成部材の横帯状部を用紙の綴じ穴に差し込む途上において、または、リング形成部材の横帯状部の先端を縦帯状部に溶着する途上において、あるいは、溶着後において、表紙または治具を用いて形成するものであってもよい。
【0048】
リング本体の形状は、横断面形状が扁平なほぼ矩形状のものに限られず、円形状、楕円形状、その他の形状のものであってもよい。例えば、横断面形状が円形状であれば、使用者がリングに触れた場合のひっかかりを抑制することができる。すなわち、リングを手にフィットさせることができ、使用者に心地良い使用感を与えることができる。さらに、リング本体の基端部から連結部までの厚み寸法も一定のものに限られず、その厚み寸法が変わるものであってもよい。
【0049】
リング本体41の先端の形状は円弧状に限らず、三角形状や四角形状等であってもよいが、本実施形態のように円弧状であれば、用紙をリング本体の先端に引っ掛かりにくくすることができる。
【0050】
前記リング本体の素材は、環状部43に使用者の手が触れた際に一時的な弾性変形が生じるが、その外力が解除されると元の円環状をなす湾曲形状に自己復帰し得る素材であればどのようなものでもよく、前述した合成樹脂の他、例えば、繊維製、グラスファイバー製、アルミニウムなどの金属、形状記憶合金、繊維を織らずに絡み合わせたシート状の不織布、またはその他適宜の天然素材等であってもよい。以上のような素材でリング本体を作る場合には、使用者がリングに触れた場合の違和感を抑制することができる。
【0051】
ノートには、手帳サイズ、通常のノートサイズの他、種々の大きさが考えられる。また、綴じ穴の形状は、矩形の他、円、楕円、その他の形状であってもよい。
【0052】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0053】
N…ノート
1、2…表紙
3…中紙
4、A4、B4、C4…リング
40、A40、B40…接合領域
41、A41、B41、C41…リング本体
42、A42、B42、C42…連結部
44、45、A44、A45、B44…屈曲部分
B46、B56…折り線
6…用紙
61…綴じ穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
綴じ穴を有した複数枚の用紙をリングにより綴じてなるノートであって、
前記リングが、前記綴じ穴にそれぞれ挿通された複数のリング本体と、これらリング本体の基端を相互に連結するとともに前記各リング本体の先端側を保持して各リング本体を閉環状に維持する連結部とを具備してなり、前記各リング本体の先端側と前記連結部とが接合領域において溶着により接合されていることを特徴とするノート。
【請求項2】
前記リング本体が、合成樹脂製のものである請求項1記載のノート。
【請求項3】
前記リング本体が、帯状素材を湾曲させてなるものである請求項1または2記載のノート。
【請求項4】
前記リング本体が、前記接合領域以外の部位に、当該リング本体の一部を前記連結部に対して起立させるための屈曲部分を有している請求項1、2また3記載のノート。
【請求項5】
前記屈曲部分が、前記接合領域の近傍に設けられている請求項4記載のノート。
【請求項6】
前記屈曲部分が、複数設けられている請求項4または5記載のノート。
【請求項7】
前記綴じられる用紙の合計厚み寸法をa(mm)、前記用紙の綴じ元側の側縁と前記綴じ穴との最短距離をb(mm)とするとき、
前記リング本体が、前記接合領域以外の部位の円周方向の長さを、2π×√{(0.5a)2+b2}から2π×√{(0.5a)2+(b+3.0mm)2}の間に設定されている請求項1、2、3、4、5または6記載のノート。
【請求項8】
前記リング本体が、前記接合領域以外の部位に、円周方向に間隔をあけて平行に形成された複数の折り線を備えている請求項1、2、3、4、5、6または7記載のノート。
【請求項9】
前記用紙である複数枚の中紙と表紙とをリングにより綴じてなるノートであって、
前記連結部を前記中紙と表紙との間に位置させている請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載のノート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−218701(P2011−218701A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91622(P2010−91622)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】