説明

ハンズフリー通話装置

【課題】番号通知を伴う着信があったとき、外部端末のアドレス情報を報知することのできるハンズフリー通話装置を提供する。
【解決手段】外部端末と通信可能な複数台の端末と信号の送受信を行う送受信部を備え、前記複数の端末のうち1台の端末を制御して前記外部端末とハンズフリー通話を行うハンズフリー通話装置において、前記外部端末から番号通知を伴う着信があったとき、前記着信を受けた前記端末に登録されているアドレス情報から、前記外部端末に対応したアドレス情報を検索する検索部を備え、該検索部は、前記外部端末に対応するアドレス情報が検索できないとき、他の前記端末に登録されているアドレス情報から前記外部端末に対応したアドレス情報を検索し、検索により前記アドレス情報が取得できた場合、取得した前記アドレス情報を報知部を介して報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンズフリー通話装置に関し、特に、登録されている受信端末を制御して送信端末とハンズフリー通話を行うハンズフリー通話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話の著しい普及乃至高機能化に伴い、歩行中に携帯電話を使用するだけでなく、車両による移動中やパソコンでの作業中に携帯電話を使用する状況が増加している。しかしながら、特に車両による移動中にドライバが携帯電話を使用することは、安全面において非常に問題となり、法令により禁止事項とされている。
【0003】
このような状況に対処するため、ハンズフリーの状態で通話を行うことのできるハンズフリー通話装置が開発されている。例えば、下記特許文献1(特開2002−223288号公報)には、車両に搭載可能なハンズフリー通話装置が開示されている。このハンズフリー通話装置では、携帯電話の電話番号を用いて複数の携帯電話をハンズフリー通話用の携帯電話として登録し、いずれかの携帯電話に着信があったとき、登録されている携帯電話の1つを選択してハンズフリー通話を行うことができる。
【0004】
一方、携帯電話には、送信端末の電話番号等を受信端末である携帯電話のディスプレイに表示させる番号通知の機能がある。下記特許文献2(特開2009−81525号公報)には、この番号通知の機能を利用し、送信端末から携帯電話に番号通知を伴う着信があったとき、携帯電話が接続されてハンズフリー通話を行うことのできる車載装置に、送信端末の電話番号に対応する送信者の名称等のユーザ情報を送信し、その情報を表示装置に表示することのできる車載装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−223288号公報(段落[0022]、[0036]〜[0038])
【特許文献2】特開2009−81525号公報(段落[0050]〜[0052])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2の場合、表示のためのユーザ情報が携帯電話に登録されていることが前提となる。従って、送信端末のユーザ情報が未登録の場合、例えば、受信者が携帯電話のアドレス帳を更新していない場合や、送信者が受信者の友人から取得した電話番号に基づいて電話を掛けてきた場合には、ユーザ情報を表示させることができないため、受信者は送信者を確認することができない。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解消することを課題とするものであり、番号通知を伴う着信があったとき、送信端末のユーザ情報を報知することのできるハンズフリー通話装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、外部端末と通信可能な複数台の端末と信号の送受信を行う送受信部を備え、前記複数の端末のうち1台の端末と前記外部端末との通話を制御するハンズフリー通話装置において、
前記外部端末から番号通知を伴う着信があったとき、前記着信を受けた前記端末に登録されているアドレス情報から、前記外部端末に対応したアドレス情報を検索する検索部を備え、該検索部は、前記外部端末に対応するアドレス情報が検索できないとき、他の前記端末に登録されているアドレス情報から前記外部端末に対応したアドレス情報を検索し、検索により前記アドレス情報が取得できた場合、取得した前記アドレス情報を報知部を介して報知することを特徴とする。
【0009】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1記載のハンズフリー通話装置において、登録されている前記受信端末毎の前記アドレス情報を記憶する記憶部を備え、前記検索部は、前記記憶部に記憶されている前記アドレス情報を検索することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1にかかる発明においては、外部端末と通信可能な複数台の端末と信号の送受信を行う送受信部を備え、前記複数の端末のうち1台の端末と前記外部端末との通話を制御するハンズフリー通話装置において、
前記外部端末から番号通知を伴う着信があったとき、前記着信を受けた前記端末に登録されているアドレス情報から、前記外部端末に対応したアドレス情報を検索する検索部を備え、該検索部は、前記外部端末に対応するアドレス情報が検索できないとき、他の前記端末に登録されているアドレス情報から前記外部端末に対応したアドレス情報を検索し、検索により前記アドレス情報が取得できた場合、取得した前記アドレス情報を報知部を介して報知する。
【0011】
このように構成することにより、着信のあった端末に外部端末のアドレス情報が登録されていない場合であっても、他の端末に登録されている外部端末のアドレス情報を取得してユーザに報知することができる。これにより、外部端末のアドレス情報が登録されておらず、あるいは、アドレス情報が更新されていない場合であっても、外部端末のユーザ情報を確認することが可能となる。
【0012】
請求項2にかかる発明においては、請求項1に記載のハンズフリー通話装置において、登録されている複数の受信端末のアドレス情報を記憶部に記憶させておき、これらのアドレス情報から該当する外部端末のアドレス情報を取得してユーザに報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例にかかる車両に搭載されるハンズフリー通話装置の説明図である。
【図2】本発明の実施例にかかるハンズフリー通話装置の構成ブロック図である。
【図3】本発明の実施例にかかるハンズフリー通話装置により制御される携帯端末の構成ブロック図である。
【図4】本発明の実施例にかかるハンズフリー通話装置によるハンズフリー通話の処理フローチャートである。
【図5】本発明の実施例にかかるハンズフリー通話装置によるハンズフリー通話の処理フローチャートである。
【図6】本発明の実施例にかかるハンズフリー通話装置によるハンズフリー通話の処理フローチャートである。
【図7】本発明の実施例にかかるハンズフリー通話装置におけるメニュー画面の説明図である。
【図8】本発明の実施例にかかるハンズフリー通話装置に登録されている受信端末の登録画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するためのハンズフリー通話装置を例示するものであって、本発明をこのハンズフリー通話装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のハンズフリー通話装置にも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明の実施例にかかるハンズフリー通話装置の説明図である。ハンズフリー通話装置は、車両10に搭載されるナビゲーション装置11であり、ナビゲーション装置11を介して、複数台の携帯電話A、B(登録端末)と、外部の携帯電話C(外部端末)とが通信可能に構成される。携帯電話A、Bは、予めナビゲーション装置11に登録され、車両10に持ち込まれる端末である。
【0016】
ナビゲーション装置11を介して、外部の携帯電話Cとハンズフリー通話を行うためには、ナビゲーション装置11に対して、携帯電話A、Bを事前に登録しておく必要がある。
【0017】
ハンズフリー機能を有したナビゲーション装置11は、車両のエンジンONに伴い、装置が起動されると、常時、周辺機器(携帯電話A、B)から送信される信号を待ち受ける状態となり(周辺機器の存在を監視する状態)、また、ハンズフリー機能を有した携帯電話A、Bにおいては、ハンズフリー機能の設定がON(ユーザによる任意設定)の状態であれば、常時、周辺に対して信号を送信し続ける。従って、ハンズフリー機能の設定がON状態である携帯電話A、Bが、ハンズフリー機能を有したナビゲーション装置11の近辺(例えば、車両10内)にある場合、ナビゲーション装置11は、携帯電話A、Bの存在を検知することができる。そして、車両10内にある携帯電話A、Bに対して外部の携帯電話Cから着信があった場合、携帯電話A、Bと接続し、ハンズフリー通話を開始することが可能となるのだが、このとき、接続された携帯電話A、Bのユーザがハンズフリー機能を使用する意思がない場合もある。
【0018】
例えば、ハンズフリー通話を行うと、携帯電話Cのユーザの声が車両10内に聞こえてしまうため、同乗者がいるような場合、携帯電話Cのユーザとの会話を聞かれたくないと思うユーザもいる。
【0019】
このため、ナビゲーション装置11を介したハンズフリー通話を行う意思があるユーザについては、所有する携帯電話A、Bをナビゲーション装置11に対して事前に登録しておき、登録された携帯電話A、Bへの着信時のみハンズフリー通話を許可する仕組みとなっている。
【0020】
図2は、ナビゲーション装置11の構成ブロック図であり、図3は、ナビゲーション装置11に接続可能な携帯電話A、Bの構成ブロック図である。
【0021】
ナビゲーション装置11は、車両10の現在位置を検出して地図画像とともに表示部23に表示し、ユーザが目的地まで移動するための支援を行う機能を備えるとともに、車両10に持ち込まれた携帯電話A、Bとの間でハンズフリーによる通話制御を行うハンズフリー通話装置である。
【0022】
ナビゲーション装置11は、制御部14、現在位置検出部15、経路探索部16、地図情報記憶部17、アドレス情報記憶部18(記憶部)、携帯電話登録情報記憶部19、アドレス情報検索部20(検索部、要求部)、近距離無線通信部21(送受信部)、操作部22、表示部23(報知部)、マイク24及びスピーカ25(報知部)を備えて構成される。
【0023】
制御部14は、CPU26、ROM27、RAM28を備えて構成され、ROM27及び/またはRAM28に記憶された制御プログラムをCPU26が実行することにより、ナビゲーション装置11の各部の動作を制御・統括する。
【0024】
現在位置検出部15は、地球上空を周回している複数のGPS衛星からの信号を所定の時間間隔で受信し、この信号に含まれている時刻情報及び衛星位置情報に基づいて車両10の現在位置を算出する。
【0025】
経路探索部16は、ユーザが入力した経路探索条件に従い、地図情報記憶部17に記憶されている地図情報を参照して最適な経路(案内経路)を探索するものである。経路探索部16は、出発地または現在位置に対応する道路のノードから目的地に対応するノードに至るまでのリンクをダイクストラ法等の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間を累積し、総リンク長(走行距離)または総所要時間が最短となる経路を案内経路として探索する。なお、経路探索部16は、外部の情報提供サーバから通信手段を介して地図情報を取得し、経路探索を行うものであってもよい。また、地図情報とともに経路探索部を外部の情報提供サーバに設置し、ナビゲーション装置11が外部から案内経路を取得するように構成することもできる。
【0026】
また、本実施例では、経路探索部16をCPU26とは別の構成として設けているが、これに限るものではなく、CPU26が、ROM27に記憶された経路探索プログラムに基づき、地図情報記憶部17に記憶された地図情報を参照して最適な経路を探索するものであってもよい。
【0027】
地図情報記憶部17は、道路データ、建物データ、背景データ及びテキストデータから構成される地図情報を保持する。道路データは、道路をその屈曲点、分岐点等の結節点をノードとするノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとしたリンクデータとから構成される。ノードデータは、ノード番号、ノードの位置座標、交差点情報や交差点名称を示す情報等のノード属性、接続リンク本数、接続リンク番号のデータを含んで構成される。リンクデータは、リンクの始点及び終点となるノード番号、高速道路や一般道や街路等を区別するための道路種別、それぞれの道路の本線や連結路、分岐路を区別するための道路種別、距離及び/または所要時間、国道○号線のような道路名称、進行方向のデータを含んで構成される。
【0028】
リンクデータには、上記に加えて、リンク属性として、橋、トンネル、踏切、料金所等のデータが付与される。建物データは、建物の位置座標、駅、ビル、民家等の建物の種別、表示色のデータを含んで構成される。背景データは、海岸線、湖沼、河川形状、山林等の背景画像データとなる位置座標、表示色のデータを含んで構成される。テキストデータは、それぞれの地名や河川名等の文字(名称)、及びその座標のデータを含んで構成される。
【0029】
アドレス情報記憶部18は、ナビゲーション装置11に登録された携帯電話のアドレス情報(ユーザ情報)を記憶する。アドレス情報は、携帯電話Cの電話番号、氏名等を記録したものであり、携帯電話A、Bから発信する際には、アドレス情報から所望の通話先(携帯電話C)を選択するために用いられる一方、携帯電話Cから着信があったとき、携帯電話Cのアドレス情報を表示部23及び/又はスピーカ25によりユーザに報知するために用いられる。
【0030】
携帯電話登録情報記憶部19は、ナビゲーション装置11に登録された複数台の携帯電話A、Bにかかる登録情報を記憶する。
【0031】
図8は、ナビゲーション装置11に登録されている4台の携帯電話にかかる登録情報を示す。登録情報には、登録されている携帯電話A、Bの識別情報、携帯電話A、Bがナビゲーション装置11に接続されているか否かを示す接続有無、携帯電話A、Bのキャリア、携帯電話A、Bに対して割引対象に設定されている通話先の携帯電話の電話番号等が記憶される。
【0032】
なお、携帯電話A、Bの識別情報としては、例えば、機器ID、アドレス、電話番号等であり、携帯電話A、Bを特定することができるものであれば何でもよい。
【0033】
ナビゲーション装置11に接続されているか否かを示す情報とは、ナビゲーション装置11との間でハンズフリー接続を行い、実際に外部の携帯電話Cとハンズフリー通話を行う設定がされているか否かの情報である。
【0034】
ナビゲーション装置11を介して外部の携帯電話Cとハンズフリー通話を行うためには、携帯電話をナビゲーション装置11に登録したうえで、さらにナビゲーション装置11との間でハンズフリー接続を行う必要がある。
【0035】
アドレス情報検索部20は、ナビゲーション装置11に登録されている携帯電話A、Bに対して、外部の携帯電話Cから番号通知を伴う着信があったとき、着信を受信した携帯電話A、Bに対応するアドレス情報をアドレス情報記憶部18から読み出し、着信先である携帯電話Cからの着信信号に含まれる識別情報に一致する識別情報を有するアドレス情報を検索するものである。なお、アドレス情報は、必ずしもナビゲーション装置11のアドレス情報記憶部18に記憶されている必要はなく、検索を行う際に、個々の携帯電話A、Bのアドレス情報記憶部37(図3)にアクセスして検索するようにしてもよい。
【0036】
近距離無線通信部21は、車両10に持ち込まれた携帯電話A、Bとの間で無線通信を行い、携帯電話A、Bからアドレス情報及び登録情報を取得するとともに、携帯電話A、Bを介して、外部の携帯電話Cと通話のための音声情報の送受信を行うものである。近距離無線通信部21には、例えば、bluetooth、WiFiを利用することができる。
【0037】
操作部22は、ナビゲーション装置11の各種操作、例えば、経路探索のための出発地、目的地、経由地等の経路探索条件を入力する手段、携帯電話A、Bからアドレス情報を含む必要な情報を取得するための指示を行う手段、携帯電話A、Bの登録情報を設定する手段、使用する携帯電話A、Bを選択する手段等として機能するものであり、例えば、キーやタッチパネルから構成される。
【0038】
表示部23は、車両10の現在位置、地図画像、案内経路等を表示する手段、通話先のアドレス情報を表示する手段、操作部22を用いた作業に必要な操作画像を表示する手段等として機能するものであり、例えば、液晶表示パネルから構成される。
【0039】
マイク24は、ナビゲーション装置11に対して音声による指示を行い、また、携帯電話A、Bを介して発信先とハンズフリー通話を行う手段である。スピーカ25は、経路案内情報にかかる音声情報を出力する手段、通話先のアドレス情報を報知する手段、携帯電話A、Bを介して通話先の音声を出力する手段である。
【0040】
図3において、ナビゲーション装置11に接続される携帯電話A、Bは、制御部30、操作部31、表示部32、マイク33、スピーカ34、通話送受信部35、近距離無線通信部36、及びアドレス情報記憶部37を備えて構成される。
【0041】
制御部30は、CPU38、ROM39、RAM40を備えて構成され、ROM39及び/またはRAM40に記憶された制御プログラムをCPU38が実行することにより、携帯電話A、Bの各部の動作を制御・統括する。
【0042】
操作部31は、携帯電話A、Bの各種操作、例えば、通話先である携帯電話Cの電話番号を入力する手段、ナビゲーション装置11に対してアドレス情報を送信する指示を行う手段等として機能するものであり、例えば、キーやタッチパネルから構成される。表示部32は、操作部31用いた作業に必要な操作画像を表示する手段等として機能するものであり、例えば、液晶表示パネルから構成される。マイク33は、発信先と通話を行う手段であり、スピーカ34は、発信先からの音声を出力する手段である。
【0043】
通話送受信部35は、外部の携帯電話Cと通話のための信号の送受信を行うものである。
【0044】
近距離無線通信部36は、ナビゲーション装置11との間で無線通信を行い、携帯電話A、Bのアドレス情報及び登録情報をナビゲーション装置11に送信するものである。また、近距離無線通信部36は、ナビゲーション装置11との間で通話のための音声情報の送受信を行うものである。近距離無線通信部36には、例えば、bluetooth、WiFiを利用することができる。
【0045】
アドレス情報記憶部37は、各携帯電話A、Bに登録されているアドレス情報を記憶する。
【0046】
次に、以上のように構成されるハンズフリー通話装置であるナビゲーション装置11の動作について説明する。
【0047】
先ず、ナビゲーション装置11による経路探索の動作について簡単に説明する。ユーザが、操作部22を用いて出発地、経由地及び目的地を入力すると、経路探索部16は、地図情報記憶部17に記憶されている地図情報に基づき、出発地から経由地を経由して目的地までの最適な案内経路を探索し、その案内経路を地図画像とともに表示部23に表示する。また、表示部23には、現在位置検出部15により検出された車両10の現在位置が案内経路とともに表示される。ユーザは、表示されたこれらの情報に従い、目的地まで容易に移動することが可能となる。
【0048】
次に、ナビゲーション装置11を用いてハンズフリー通話を行う場合につき、図4〜図6のフローチャートに従って説明する。
【0049】
ハンズフリー通話を行うためには、ハンズフリー通話を行う携帯電話A、Bがナビゲーション装置11に事前に登録されており、且つ、その携帯電話A、Bとナビゲーション装置11とが接続可能な状態である必要がある。この場合、「接続可能な状態」とは、携帯電話A、Bの近距離無線通信部36がナビゲーション装置11の近距離無線通信部21と通信可能な状態(例えば、ハンズフリー設定がONの状態)に設定されていることをいう。
【0050】
ナビゲーション装置11の電源がONとされると、制御部14は、携帯電話登録情報記憶部19に登録されている携帯電話A、Bが、ナビゲーション装置11の近傍に存在するか否かの探索処理を開始する(ステップS101)。なお、携帯電話A、Bの登録は、図7に示すメニュー画面の「設定」ボタンを選択して事前に登録を行うことができる。図8は、登録された携帯電話の一覧を示しており、図8では、4台の携帯電話が登録されている場合を例示する。
【0051】
なお、以下の説明では、2台の携帯電話A、Bがナビゲーション装置11に登録されているものとして説明する。
【0052】
先ず、制御部14は、登録されている携帯電話Aがナビゲーション装置11の近傍、例えば、車両10内にあるか否かを探索する(ステップS102)。この場合、ナビゲーション装置11の近距離無線通信部21は、所定の範囲内にある周辺機器からの信号を待ち受ける状態にあり、近距離無線通信部21が周辺機器から信号を受信すると、制御部14は、その信号に含まれる情報(識別情報)と、携帯電話登録情報記憶部19に登録されている携帯電話Aの登録情報とを照合し、受信した信号が携帯電話Aからの信号であると判定すると(ステップS103、YES)、携帯電話Aがナビゲーション装置11の近傍に存在するものとして、その存在情報を制御部14のRAM28に一時的に記憶させ(ステップS104)。ステップS105の処理へ進む。
【0053】
なお、ステップS103の処理で、携帯電話Aがナビゲーション装置11の近傍に存在しないと判定した場合は、ステップS104の処理を行わずしてステップS105の処理へ進む。
【0054】
ステップS105の処理では、制御部14は、登録されている携帯電話Bがナビゲーション装置11の近傍、例えば、車両10内にあるか否かを探索する(ステップS105)。受信した信号が携帯電話Bからの信号であると判定すると(ステップS106、YES)、携帯電話Bがナビゲーション装置11の近傍に存在するものとして、その存在情報を制御部14のRAM28に一時的に記憶させ(ステップS107)、ステップS108の処理へ進む。
【0055】
なお、ステップS106の処理で、携帯電話Bがナビゲーション装置11の近傍に存在しないと判定した場合は、ステップS107の処理を行わずしてステップS108の処理へ進む。
【0056】
ステップS103及びS106における判定結果において、ナビゲーション装置11の近傍に登録されている携帯電話A、Bのいずれか一方のみが存在し、あるいは、いずれも存在しない場合(ステップS108、NO)、図5に示すステップS201の処理に移行する。
【0057】
ナビゲーション装置11の近傍に携帯電話Aのみが存在する場合(ステップS201、YES)、ナビゲーション装置11は、携帯電話Aをハンズフリー通話可能な端末として接続する(ステップS202)。また、ナビゲーション装置11の近傍に携帯電話Bのみが存在する場合(ステップS203、YES)、ナビゲーション装置11は、携帯電話Bをハンズフリー通話可能な端末として接続する(ステップS204)。さらに、ナビゲーション装置11の近傍にいずれの携帯電話A、Bも存在しない場合には(ステップS203、NO)、ステップS102の処理に戻り、再び携帯電話A、Bの探索処理を行うことになる。
【0058】
次に、携帯電話A、Bのいずれか一方がナビゲーション装置11に接続されている場合おいて、接続されている携帯電話A、Bとの通信が維持できる状態か否かを判定する(ステップS205)。例えば、接続されている携帯電話Aを所持したユーザが車両10の外に移動し、携帯電話Aとの通信ができないと判定されたとき(ステップS205、NO)、制御部14は、他の携帯電話Bとの通信が可能か否かを判定する(ステップS206)。他の携帯電話Bとの通信が可能と判定されたとき(ステップS206、YES)、制御部14は、接続先を携帯電話Bに切り替える(ステップS207)。他の携帯電話Bとも通信ができない場合には(ステップS206、NO)、ステップS102の処理に戻り、再び携帯電話A、Bの探索処理を行うことになる。
【0059】
また、ステップS205において、接続されている何れかの携帯電話A、Bと通信を維持できる状態であると判定した場合には、その携帯電話A、Bとのハンズフリー接続を維持し、ナビゲーション装置11の電源がOFFにされたとき(ステップS208、YES)、ハンズフリー接続を終了する。
【0060】
一方、ステップS103及びS106における判定結果において、ナビゲーション装置11の近傍に登録されている携帯電話A、Bの両方が存在する場合(ステップS108、YES)、携帯電話Aがナビゲーション装置11との間でハンズフリー接続を行なう端末として事前に設定されている場合であれば(ステップS109、YES)、携帯電話Aをナビゲーション装置11に接続し(ステップS110)、携帯電話Bがナビゲーション装置11との間でハンズフリー接続を行なう端末として事前に設定されている場合であれば(ステップS109、NO)、携帯電話Bをナビゲーション装置11に接続する(ステップS111)。
【0061】
このようにして、携帯電話A又はBをナビゲーション装置11に接続した後、外部の携帯電話Cからの着信を待つ。以下、携帯電話Aがナビゲーション装置11に接続されているものとして説明する。
【0062】
そこで、携帯電話Cから番号通知を伴う着信が接続されている携帯電話Aに有ると(ステップS301、YES、図6)、携帯電話Aは、番号通知を含む着信情報を近距離無線通信部36からナビゲーション装置11の近距離無線通信部21に送信する。
【0063】
ナビゲーション装置11のアドレス情報検索部20は、携帯電話Aから受信した着信情報に含まれる携帯電話Cの識別情報と、アドレス情報記憶部18に記憶されている携帯電話Aのアドレス情報の識別情報とを照合する。照合の結果、携帯電話Cの識別情報に対応するアドレス情報が検索された場合(ステップS302、YES)、携帯電話Cのアドレス情報を表示部23に表示するとともに、必要に応じて、スピーカ25を駆動して音声により携帯電話Cのアドレス情報をユーザに報知する(ステップS303)。なお、報知されるアドレス情報は、例えば、アドレス情報記憶部18に記憶されている携帯電話Cの所有者の名前とすることができる。ユーザは、報知されたアドレス情報に従い、誰から着信があったのかを確認することができる。
【0064】
一方、携帯電話Cの識別情報に対応するアドレス情報が、携帯電話Aのアドレス情報から検索できない場合(ステップS302、NO)、アドレス情報検索部20は、携帯電話Bにアドレス情報を要求して、携帯電話Bのアドレス情報を取得し(ステップS304)、着信情報に含まれる携帯電話Cの識別情報と、取得した携帯電話Bのアドレス情報の識別情報とを照合する。照合の結果、携帯電話Cの電話番号に対応するアドレス情報が検索された場合(ステップS305、YES)、検索された携帯電話Cのアドレス情報を表示部23に表示するとともに、必要に応じて、スピーカ25を駆動して音声により携帯電話Cのアドレス情報をユーザに報知する(ステップS303)。
【0065】
このようにして、例えば、携帯電話Aのアドレス情報が更新されておらず、携帯電話Cのアドレス情報を検索できない場合であっても、他の携帯電話Bのアドレス情報を用いて携帯電話Cのアドレス情報を取得して報知することができる。
【0066】
ユーザは、番号通知を伴う携帯電話Cからの着信に従って報知されたアドレス情報に基づき、着信に応答するか否かを判断することができる。ユーザが着信に応答した場合(ステップS306、YES)、ナビゲーション装置11を介したハンズフリー通話を行うことができる(ステップS307)。この場合、ナビゲーション装置11のマイク24に入力されたユーザの音声は、近距離無線通信部21から接続されている携帯電話Aの近距離無線通信部36に音声信号として送信された後、通話送受信部35から外部の携帯電話Cに送信される。一方、外部の携帯電話Cからの音声信号は、携帯電話Aの通話送受信部35により受信された後、近距離無線通信部36からナビゲーション装置11の近距離無線通信部21に送信され、次いで、ナビゲーション装置11のスピーカ25から相手方の音声が出力される。
【0067】
また、ユーザが着信に応答せず(ステップS306、NO)、そのまま着信を終了させることもできる(ステップS308、YES)。
【0068】
通話終了後(ステップS307、YES)、または着信応答をしなかった後(ステップS308、YES)、ナビゲーション装置11の電源がOFFにされると、ハンズフリー接続が終了する(ステップS309)。
【0069】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
【0070】
例えば、携帯電話Aのアドレス情報は、携帯電話Aから読み込んでナビゲーション装置11のアドレス情報記憶部18に記憶させているものとして説明したが、携帯電話A、Bがナビゲーション装置11に接続可能な状態にあるのであれば、携帯電話Cから着信があった時点で、各携帯電話A、Bからアドレス情報を読み込み、そのアドレス情報に含まれる電話番号と携帯電話Cの電話番号とを照合するようにしてもよい。また、携帯電話Bのアドレス情報は、携帯電話Cのアドレス情報を検索できない場合、携帯電話Bにアドレス情報を要求するものとして説明したが、アドレス情報記憶部18に携帯電話Bのアドレス情報を記憶させておき、アドレス情報記憶部18に携帯電話Bのアドレス情報を要求して取得するようにしてもよい。
【0071】
また、ハンズフリー通話装置としては、車両10に搭載されるナビゲーション装置11に限られるものではなく、端末と通信可能なものであれば、パソコンを含む種々の装置を適用することができる。また、ハンズフリー通話装置に接続される端末としては、外部の端末と通信を行うものであれば、携帯電話A、B以外の通信機器でもよい。
【符号の説明】
【0072】
10・・・車両
11・・・ナビゲーション装置
14、30・・・制御部
15・・・現在位置検出部
16・・・経路探索部
17・・・地図情報記憶部
18、37・・・アドレス情報記憶部
19・・・携帯端末登録情報記憶部
20・・・アドレス情報検索部
21、36・・・近距離無線通信部
22、31・・・操作部
23、32・・・表示部
24、33・・・マイク
25、34・・・スピーカ
35・・・通話送受信部
A〜C・・・携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端末と通信可能な複数台の端末と信号の送受信を行う送受信部を備え、前記複数の端末のうち1台の端末と前記外部端末との通話を制御するハンズフリー通話装置において、
前記外部端末から番号通知を伴う着信があったとき、前記着信を受けた前記端末に登録されているアドレス情報から、前記外部端末に対応したアドレス情報を検索する検索部を備え、該検索部は、前記外部端末に対応するアドレス情報が検索できないとき、他の前記端末に登録されているアドレス情報から前記外部端末に対応したアドレス情報を検索し、検索により前記アドレス情報が取得できた場合、取得した前記アドレス情報を報知部を介して報知することを特徴とするハンズフリー通話装置。
【請求項2】
請求項1記載のハンズフリー通話装置において、
複数の前記端末毎の前記アドレス情報を記憶する記憶部を備え、前記検索部は、前記記憶部に記憶されている前記アドレス情報を検索することを特徴とするハンズフリー通話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−160842(P2012−160842A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18186(P2011−18186)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】