説明

ハンドカバーと、洗浄具付きハンドカバー

【課題】 スポンジ等の洗浄具を手に持って物を洗浄する際、手の保護の為に一般的に利用されるのは、ゴム手袋などであるが、着脱の煩わしさ、物を掴んだ時の感覚の鈍さ、清潔に保つことの面倒くささといった、使い勝手の悪いものである。
【解決手段】 薄くて、防水性、柔軟性のある材質の物を使用し、洗剤液や泡がつく部分のみを覆う丈の短いハンドカバーを作った。特に手の甲側面の広がりは、この面により形成される開口部が広くなる様に必要最小限のものにし、着脱が非常にしやすいカバーを実現した。そして、カバー内部に洗剤液が入り込まないよう、手の挿入口の周囲にフリルや、反転部材を設け、また、着脱の煩わしさを感じない物にする為に、手の甲側の開口部周囲にあたる部分に、線状あるいは細い帯状の厚みをもたせて、挿入口が全開の状態を保つようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリエチレンやナイロンの様な薄くて丈夫、かつ、柔軟で防水性のある材質のもので作られたハンドカバーと、そのカバーの洗い面に洗浄具を固着させたハンドカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、水仕事などによる手荒れを防ぐ道具としてゴム手袋などが一般的であり、それに洗浄具であるスポンジなどを固着させたものが数多く考案されている。
【特許文献1】実開昭62−199048号公報
【特許文献2】実開昭63−062076号公報
【特許文献3】実開平05−074455号公報
【特許文献4】実開平06−038851号公報
【特許文献5】実開平09−000172号公報
【特許文献6】実開昭61−164658号公報
【特許文献7】実開昭62−000370号公報
【特許文献8】実開平02−004549号公報
【特許文献9】実登3125394号公報 また、洗浄具本体であるスポンジ等にも、形状など工夫されたものが考案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、すでに考案されている手袋は、洗剤液はもちろん水も手にかからないようにとの発想から、丈が長く手首まで覆う様な長さのもので、それゆえ着脱の煩わしさという難点がある。特に安価なものではそうなのだが、湿った手で着脱するときのまとわりつきは、主婦など日頃よく経験している者なら、その煩わしさには共感できるだろう。
また、手袋内部に水が入ってしまったり、湿気でカビがきたりするのだが、考案されたものは指の部分が3本や5本に分かれているものがほとんどで、そのため裏返すのに手間がかかり、手袋の内部を常に清潔に保つのは、かなり面倒である。
また、洗浄具本体で工夫されたものも、洗剤液が手につかない様にとの考慮が欠けており、構造的にみても、作業中に手指と洗浄具との擦れ合いから、むしろ、手荒れをひどくさせる恐れがある。
本発明は、前述したような着脱の煩わしさゆえに、つい手袋をささないで作業し、手荒れを起こしてしまうといった事のないような、使い勝手のよいハンドカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
市販の米袋に使用されている様な、ポリエチレンなどの柔軟性、防水性のある材質のものでできたミトン状と袋状の2つのタイプのハンドカバーにおいて、片手でも着脱可能にする為に、自然に放置した状態で開口部が全開の状態を保持するように、手の甲側の面の開口部周囲に、細い帯状、あるいは2本ほどの線状に厚みを与えて強化し、また開口部の全周囲に洗剤液や泡を遮断するために、ミトン状ハンドカバーでは、カバー面から続く素材を、花が開くように広がりをもたせた部材を設けた。袋状のハンドカバーでは、素材を外側に反転させた部分を設けた。
また、当該ハンドカバーに、スポンジのみ、あるいはネットで覆われたスポンジを固着することで、ハンドカバーと洗浄具を一体化した。
また、洗浄具を持つ手に対し、もう片方の洗浄の対象を把持する手を保護する為、またすすぎの際のハンドカバーとして、当該ハンドカバーにネットのみを固着した。
【発明の効果】
【0005】
本発明の効果として、片手でも着脱が可能なハンドカバーであるので、作業中何度着脱しても煩わしさを感じずに済み、したがってハンドカバーの着脱率が高くなり、手荒れを防ぐ事ができる。さらに、そのハンドカバーに洗浄具本体を取り付け一体化させることにより、着用が徹底されることになる。また、シンプルな構造であるから、清潔に保つのも容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、水は100%カットしなくてもよいという発想に立って考案されている。なぜなら、手荒れの原因は、洗剤液であり使用量と頻度によるからであり、また洗浄物と手指との直接の擦れ合いによるからである。ところで、スポンジ等の洗浄具を直接手に持った場合、洗浄液やその泡がつくのは手の平全面と、図1斜線部に示したように手の甲側での指の部分である。本発明の丈の短いハンドカバーによりこの範囲の洗剤液と泡を100%近く遮断できる。洗浄物と手指の直接の擦れ合いも防げる。また、すすぎの為の流水の大部分が、直接手にあたらないような丈ももたせた。長い手袋は雑巾を絞る作業等に際しては必要であるが、スポンジ等の洗浄具を使用する作業では必要ではないのであり、それよりも丈を短くすることで使い勝手をよくし、着用を徹底させる方が結果はよいと考えるものである。
以上の様な考えに基づいて考案された請求項1のハンドカバーについて次に説明する。
【0007】
図2のミトン状のハンドカバーであるが、手の平全面を覆うカバー面1は平面であり、手の甲のカバー面2は曲面である。図3に示すように手の平側の面1は手首のところまでの長さである。手の甲側の面2であるが、親指側の端Aは、手と手首との境目あたりの位置であり、小指側の端Bは、小指のつけ根より1cmないし2cmの位置である。このAとBを結ぶ線が開口部の周囲となるような、広がりをもつ曲面とする。これがミトン状のハンドカバーに次のような特質を持たせる。
開口部面積を広くし手の出し入れが片手でも可能である。
カバー内部に入った水を排水させやすい。
例えば、食器などをすすぐ場合、その流水は手の平や甲にかかるが、手の甲の場合、図3でいえばAからBの方向の流れであり、BからAの方向の流れは考えなくてもよいだろう。また、流水の大部分はAまでの範囲におさまり、したがってAより上部の手首まで覆う必要はない。流水の一部がカバー内にはいるが、作業中は、手を連続的にさまざまな方向に動かしているので、流れ込んだ水は、自然と外に出てしまうし、また、開口部を下に向ければ、簡単に排水できるので、作業しづらい等の不便を感じる事はない。
すすぐ時の流水が手のどの範囲に、どの方向に向けてあたるのか観察し、試作品を作って実験し考察した結果、必然的に求まったのが図3のハンドカバーの面積であり、これが必要最小限の面積である。従来考案されているものとの決定的な違いである。また上述の様にカバー内にすすぎの水が入るので、手が濡れるが、手荒れは水によるものではないので問題ない。既存のゴム手袋などでは、手が濡れていたり湿っていたりすると、一度きちんと水気を拭く必要があったが、本カバーでは、手が濡れたままで着用できるので、手が濡れる他の作業を平行してすることができるのでむしろ便利である。
図4の断面図において、手の平の面1と手の甲の面2の距離Dは、挿し込んだ手5がハンドカバーをつかんで握りこんだ時、面2が手の甲に沿って当たりはするが、つっぱった感じにならない様に適切にとり、使い心地の良いものにしなければならない。試作品では他方の手を重ねて図4の点線で示す位置6まで入れるゆとりがあった。カバー面を2枚から作るか、一体形成にするか等は、前述の特質を備えておればよいので問わない。
次に開口部の全周囲に設ける洗剤液を遮断する為の部材について述べる。この部材は、例えばフリル状にしてもよい。図2の3のように、フリルは開口部の周囲に、開口部に対して内にすぼむのではなく、やや外に開く様に設けられている。フリルは当該ハンドカバーの丈の短さを補うものであり、カバー内に流れ込もうとする洗剤液や水を押し戻す機能をもつものであるので、カバー面の延長線と角度をなすものであるが25°から30°位がよいだろう。また、フリルの巾は2.5cm位がよい。またフリルは巾の半分くらいに出るようにし、水が乱反射しない様に大きなフリルにしない方がよい。また、フリルは花が開くようにやや外に開いているので、フリルをつけない場合よりも手の挿し込みがしやすくなる。
さて図2の4は、開口部を全開に保つ為に強化した部分である。手の甲側面にフリルに沿って3mm巾程の細い帯状、あるいは、2〜3本の細い線状に厚みをもたせ、手の甲側の面が立ち上がるようにするのだが、洗浄時に、作業の邪魔にならない様、最小限の巾と、強度のもたせ方にする。
【0008】
請求項2のハンドカバーについて説明する。請求項1では、食器洗浄の様に、洗浄の対象を把持する必要がある場合を想定して、ミトン状のカバーとしたが、これは、洗浄の対象が浴槽や、自動車、タイル壁等の場合のカバーである。この場合、スポンジ等の洗浄具だけを把持すればよく、すすぎはシャワーやホースであろうから、ミトン状の必要はなく、むしろよりシンプルな形状がよい。図5がその斜視図である。
図6に示すように、手の平を広げて、そのままスポンジを掴めるような形である。図5に戻り、手の平全面を覆う1は平面であり、その中央部に図5、図6の7に示す様な中指を挿し込むところを設ける。長さは3cmないし4cm位がよい。これによりカバーを手に固定させることができ、作業しやすくなる。手の甲側の面2は曲面で、この面により形成される開口部が手首から手の甲にむけて弓形になるような広がりのものにする。これにより開口部が広くなり手の出し入れが容易になる。また、この手の甲側面の開口部に沿って、開口部を全開に保つ為の強化部4を設けるのは、請求項1のミトン状ハンドカバーと同じである。開口部は手をすぼめて、片手でスムーズに着脱できる程度の広さが良く、横に広すぎる開口部は、手のフィット感が失われる為、かえって使用感が劣ってしまう。また図7に示すように、挿し込んだ手を手の平面のカバーと一緒に握り込んでも、手の甲の面が、手の甲にあたり、つっぱった感じになる事のない様に距離Dを適切にとる必要がある。
洗剤液を遮断する工夫であるが、図7の様に、手の甲側の開口部周囲の素材を反転させ、表に向いたEの部分にフリルが出る様にする。手の平側のフリル3は、手の平側のカバー面と60度位の角度をもたせる様にし、手の甲側フリルと自然につなげる。この様に反転部材をとりつける事により、洗浄具を肩の線あたりより上に持っていった時でも、洗浄液が腕にそのままつたい落ちたりしない様にする。フリルの巾は、手の甲側のフリルは図7においてEの部分であるが2cm位でよいだろう。手の平側のフリルの巾は、スポンジの厚さに応じて適宜調節すればよい。また、この部材は、洗剤液を遮断する機能と、手の挿し入れを、しやすくするという目的のあるもので、必ずしもフリル状である必要はない。
【0009】
請求項3について述べる。上述の請求項1及び、請求項2に示した2つのタイプのハンドカバーに、用途に応じてスポンジのみ、あるいはネット材で覆ったスポンジをハンドカバーの洗い面に固着させ、ハンドカバーと洗浄具を一体にしたものである。
スポンジの厚さや、ハンドカバーに対するスポンジの大きさ、形などは、用途により変えればよい。例えば、請求項1のミトン状のカバーで食器用洗浄具を作る場合、スポンジの厚さを図8の様に中心部Fは8mm程にして周辺部Gにかけて薄くするとよい。また手首に近い部分は力の入れ方からして不要であり、洗浄液や泡が内部に入らない様にする為にも、フリルより2cm位上で止めておくのがよい。ネット材は、フリルを除くカバー全面に取り付けるようにする。試作品では、考案者は、ミシンしか持たない為、カバー面1と2を縫着し、その縫い代に、ネットで覆ったスポンジを、縫着した。このように洗浄具とハンドカバーを一体化させることにより、カバーの着用を徹底させることができるし、ミトン状であるので5本指に分かれた手袋よりも、スポンジなどの洗浄具を把持し辛いという難点も解消される。
【0010】
請求項4について述べる。請求項1、請求項2のハンドカバーに、ネットのみをとりつけたものである。これは洗浄具を持つ手に対し、もう片方の手を保護するハンドカバーであり、ネットのもつざらつきによる抵抗を滑り止めとして利用する。ネットはハンドカバーの手の平面全面に取り付ける。また、食器などのすすぎの段階で、両手を保護するハンドカバーとして、このネットを取り付けたものを利用すれば、手荒れを防止することはもちろん、素手ですすぐよりも、ネット材による方が、楽に、素早くすすぎができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】スポンジを持った時、洗浄液や泡がつく範囲
【図2】請求項1の斜視図
【図3】請求項1のカバー面と挿入した手との関係
【図4】請求項1のハンドカバーに手を挿入した際の断面図
【図5】請求項2の斜視図
【図6】請求項2のカバー面と挿入した手との関係
【図7】請求項2のハンドカバーに手を挿入した際の断面図
【図8】請求項1のハンドカバーの手の平側の面と、スポンジの関係
【図9】試作品の実物大型紙 実線は手の平面 点線は手の甲面、ただしフリル部分は除く
【符号の説明】
【0012】
1 手の平側カバー面
2 手の甲側カバー面
3 フリル
4 帯状または線状強化部
5 ハンドカバーに挿入した手
6 5の手に、もう片方の手を重ねて入れた時の手の位置
7 中指を挿入するところ
A ミトン状ハンドカバーの手の甲側面親指側の端
B ミトン状ハンドカバーの手の甲側面小指側の端
D 手の平側面と甲側面の距離
E 請求項2における手の甲側面のフリルの出る巾

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンやナイロンの様な薄くて丈夫で、柔軟性、防水性のある素材でできたミトン状のハンドカバーにおいて、その手の平側面は、平面であり、手の甲側面は曲面で、この甲側の面で形成される開口部周囲が、手の甲を斜めに走るような広がりをもつ面であることと、手の甲側面の開口部周囲にあたる部分に、細い帯状あるいは線状に素材に厚みをもたせて強化したことと、開口部の全周囲に沿って素材をやや外側に向けて張り出させて、洗剤液を遮断する為の部材としたことを特徴とするハンドカバー。
【請求項2】
請求項1に述べた素材で作られた袋状のハンドカバーにおいて、その中央に中指を挿し込むところをもつ平面状の手の平側面と、開口部が手首から手の甲にむけて弓形になるように、指と手の甲の一部を覆うような広がりを持つ曲面状の手の甲側面と、手の平側面の開口部に沿った部分に細い帯状のあるいは線状に厚みをもたせた部分と、開口部全周囲に沿ってカバー素材を外側に反転させ、洗剤液を遮断する機能をもつ部材としたことを特徴とするハンドカバー。
【請求項3】
スポンジ、あるいは、ネットで覆われたスポンジを、手の平側洗い面に固着した、請求項1及び請求項2記載のハンドカバー。
【請求項4】
ネットのみを手の平側洗い面に固着させた請求項1及び請求項2記載のハンドカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−184709(P2008−184709A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−19221(P2007−19221)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(303033716)
【Fターム(参考)】