ハンドノズル及び人体洗浄装置
【課題】人体洗浄装置に取り付けられたハンドノズルの操作性を向上させる。
【解決手段】洗浄水を吐水する吐水口を有するノズル先端部と、前記ノズル先端部に接続され、前記吐水口からの吐水と止水とを切り替える開閉弁を操作するための操作部と、前記操作部を操作する使用者が把持する把持部と、を有する本体部と、を備え、前記吐水口の側からみて裏側において、前記ノズル先端部の表面から前記本体部の把持部分の先端までが連続面を形成していることを特徴とするハンドノズルが提供される。
【解決手段】洗浄水を吐水する吐水口を有するノズル先端部と、前記ノズル先端部に接続され、前記吐水口からの吐水と止水とを切り替える開閉弁を操作するための操作部と、前記操作部を操作する使用者が把持する把持部と、を有する本体部と、を備え、前記吐水口の側からみて裏側において、前記ノズル先端部の表面から前記本体部の把持部分の先端までが連続面を形成していることを特徴とするハンドノズルが提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明の態様は、ハンドノズル及び人体洗浄装置に関し、具体的には被介護者の「おしり」などを水で洗浄するハンドノズル及び人体洗浄装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
例えば、洋式腰掛便器に腰掛けた被介護者の「おしり」などを水で洗浄する場合には、温水洗浄便座装置の吐水ノズルを便器内に進出させ、便座に座った被介護者の「おしり」などに向けて水を噴射させる。そうすると、被介護者の局部を洗浄することができる。
【０００３】
しかしながら、排泄の際に、汚物が広い範囲に亘って付着すると、人体局部の洗浄を主な目的とした温水洗浄便座装置の吐水ノズルでは、十分に汚れを落とすことができない場合がある。これは、例えば、臀部（肛門周辺）の筋肉が弱く、その部分の肉が垂れ下がっている高齢者などが排泄を行った場合、あるいは被介護者が、失禁などのように、おむつを含む衣類を着衣した状態で排泄行為を行った場合などが挙げられる。あるいは、被介護者の着座位置がずれている場合にも、温水洗浄便座装置の吐水ノズルでは、十分に汚れを落とすことができない場合がある。
【０００４】
そこで、臀部や陰部の広い範囲を洗浄するために、例えば介護者などが容器を押すことにより洗浄水を任意の位置に吐水できるボトル式の洗浄容器がある。また、臀部や陰部の広い範囲を洗浄可能な携帯型の局部洗浄装置が提案されている（特許文献１）。
【０００５】
しかしながら、特許文献１に記載された洗浄装置では、ノズルの根元に突起がある。そして、便座に着座した被洗浄者の臀部と便座との隙間に前記洗浄装置を挿入して洗浄作業を行うと、当該突起の存在によって洗浄装置が便座に引っ掛かってしまう。これにより、洗浄装置の操作性が悪いという問題が生じている。また、このような不具合は、ノズルの根本に段差がある場合でも十分に起こりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開２０００−１５７４４１号公報（図２）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明の課題は、上記問題点を解決することであり、操作性のよいハンドノズル及び人体洗浄装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の一態様によれば、洗浄水を吐水する吐水口を有するノズル先端部と、前記ノズル先端部に接続され、前記吐水口からの吐水と止水とを切り替える開閉弁を操作するための操作部と、前記操作部を操作する使用者が把持する把持部と、を有する本体部と、を備え、前記吐水口の側からみて裏側において、前記ノズル先端部の表面から前記本体部の把持部分の先端までが連続面を形成していることを特徴とするハンドノズルが提供される。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、ハンドノズル及び人体洗浄装置の操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【００１０】
【図１】本発明の実施の形態に係わる人体洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
【図２】トイレ装置に取り付けられたハンドノズルを表す斜視模式図である。
【図３】ハンドノズルの側面模式図である（その１）。
【図４】ハンドノズルの側面模式図である（その２）。
【図５】ハンドノズルの連続面を説明するための模式図である。
【図６】介護者がハンドノズルを把持した状態を示す図である。
【図７】便座の前方から便器内に向かいハンドノズルを差し込んだ状態を説明する模式図である（その１）。
【図８】便座の前方から便器内に向かいハンドノズルを差し込んだ状態を説明する模式図である（その２）。
【図９】便座の前方から便器内に向かいハンドノズルを差し込んだ状態を説明する模式図である（その３）。
【図１０】便座の前方から便器内に向かいハンドノズルを差し込んだ比較例を説明する模式図である。
【図１１】ハンドノズルを回転させる動作を説明するための模式図である。
【図１２】本実施形態のハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
【図１３】本実施形態に係わる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【００１１】
本発明を実施するための形態を説明するのに先立って、本発明の作用効果について説明する。
第１の発明として、洗浄水を吐水する吐水口を有するノズル先端部と、前記ノズル先端部に接続され、前記吐水口からの吐水と止水とを切り替える開閉弁を操作するための操作部と、前記操作部を操作する使用者が把持する把持部と、を有する本体部と、を備え、前記吐水口の側からみて裏側において、前記ノズル先端部の表面から前記本体部の把持部分の先端までが連続面を形成していることを特徴とするハンドノズルが提供される。
このような発明によれば、洗浄作業の際に、介護者が前記ハンドノズルを前記便座内に向かい挿入しても、前記ハンドノズルの下側において、前記ノズル先端部の表面と前記把持部分の先端までが滑らかな連続面を形成しているため、前記ノズル先端部及び太幅部が前記便座の端部に引っかかり難いという効果が得られ、ハンドノズルの操作性が向上する。
【００１２】
また、第２の発明では、第１の発明において、前記連続面は、前記把持部から前記ノズル先端部に向かう方向に対して直交する方向に湾曲した曲面を形成していることを特徴とする。
このような発明によれば、本体部の操作部とは反対側の部分及び反対側の部分に接続されたノズル先端部の表面が曲面となり、ノズルの回転動作（ロール動作）を行う場合でも、前記ノズル先端部及び太幅部が前記便座の端部に引っかかり難いという効果が得られ、ハンドノズルの操作性が向上する。
【００１３】
また、第３の発明では、第１の発明または第２の発明において、前記操作部から前記吐水口への方向に対して略垂直な方向の前記ノズル先端部の断面が扁平していることを特徴とする。
このような発明によれば、操作部から吐水口への方向に対して略垂直な方向のノズル先端部の断面が扁平しているため、洗浄作業の際に、介護者が前記ハンドノズルを前記便座内に向かい被介護者の身体の隙間からの挿入する操作において、狭い隙間での作業が容易であること、かつ洗浄部位との間隔も広くなるため、汚水を浴びにくくなり、ハンドノズルの操作性および衛生性が向上する。更に、扁平面を眺めただけで洗浄水が吐水される方向が即座に分かるという効果も得られる。
【００１４】
また、第４の発明として、第１〜第３の発明のいずれか１つにおいて、洗浄水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器により加熱された洗浄水を前記ハンドノズルに導水するホースと、を備えたことを特徴とする人体洗浄装置が提供される。
このような発明によれば、洗浄水が熱交換器により加熱され、熱交換器により加熱された洗浄水が第１〜第３の発明のいずれか１つのハンドノズルに導水され、人体洗浄装置の操作性が向上する。
【００１５】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図１は、本発明の実施の形態に係わる人体洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
また、図２は、トイレ装置に取り付けられたハンドノズルを表す斜視模式図である。
【００１６】
図１に表したトイレ装置は、洋式腰掛け便器（以下、説明の便宜上、単に「便器」と称する）５００と、その上に設けられた人体洗浄装置１００と、便蓋３００と、便座４００と、を備える。便蓋３００および便座４００は、例えば人体洗浄装置１００に対して開閉自在に軸支されている。また、便器５００の洗浄機構としては、いわゆる「ロータンク式」でもよく、あるいはロータンクを用いない「水道直圧式」であってもよく、その他の各種の洗浄機構を採用することができる。なお、便座４００としては、所謂Ｏ型のものを例示しているが、Ｕ型であってもよい。
【００１７】
本実施形態に係わる人体洗浄装置１００は、水の温度を調節する熱交換器（温度調節器）１１０と、熱交換器１１０からの水を導水するホース１２０と、ホース１２０の一端に取り付けられたハンドノズル１３０と、ハンドノズル１３０を収納する収納部１６０と、を有する。熱交換器１１０は、人体洗浄装置１００のケーシング１０１内に設けられたタンクと、その中に貯留された水を加熱する図示しないヒータと、を有する。そして、熱交換器１１０により加熱された洗浄水は、ホース１２０を介してハンドノズル１３０に供給される。
【００１８】
なお、本発明は、タンクに貯留された水をヒータで加熱する、いわゆる「貯湯式」の熱交換器１１０を有するものには限定されない。例えば、供給された水を瞬間的に温めて送出する、いわゆる「瞬間式」の熱交換器１１０を有するものも、本発明の範囲に包含される。また、本願明細書において「水」という場合には、加熱されたお湯も含むものとする。
【００１９】
また、本実施形態に係わる人体洗浄装置１００は、便座４００への被介護者の着座を検知する着座センサ１７０と、トイレ室への被介護者の入室を検知する入室検知センサ１８０と、制御部１５０と、をさらに有する。着座センサ１７０および入室検知センサ１８０としては、例えば、焦電センサや、測距センサなどの赤外線投光式のセンサ、超音波センサ、またはドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いることができる。なお、焦電センサは、被介護者の接近を迅速に検知できる点で入室検知センサ１８０により適している。そして、着座センサ１７０は、便座４００への被介護者の着座を検知すると、制御部１５０に検知信号を送信できる。これと同様に、入室検知センサ１８０は、トイレ室への被介護者の入室を検知すると、制御部１５０に検知信号を送信できる。
【００２０】
図２に示すハンドノズル１３０は、本体部２００と、ノズル先端部２０１と、を有する。ハンドノズル１３０の内部には開閉弁（図２では不図示）が内蔵され、当該開閉弁により、洗浄水の吐水および止水が切り替えられる。本体部２００には、開閉弁１３９を開閉させる操作部１３１が設けられ、ノズル先端部２０１には吐水部１３６が設けられている。操作部１３１は、ハンドノズル１３０の本体部２００の把持部１３７に設けられている。また、吐水部１３６には、洗浄水を吐水可能な吐水口１３５が設けられている。把持部１３７は、ハンドノズル１３０を操作する使用者が手で把持する部分である。すなわち、使用者は、把持部１３７を把持し、操作部１３１を操作することにより、吐水口１３５からの洗浄水の吐止水を制御することができる。操作部１３１は、軸１３２において回動自在に軸支されており、その裏面側には開閉スイッチ１３３が設けられている。開閉スイッチ１３３は、図示しないばね等により矢印Ａとは反対方向に付勢されている。これと同様に、操作部１３１は開閉スイッチ１３３により矢印Ａとは反対方向に付勢されている。
【００２１】
例えば、介護者などが操作部１３１を矢印Ａの方向に押すと、開閉スイッチ１３３は操作部１３１により矢印Ａの方向に押される。そうすると、ハンドノズル１３０内に設けられた開閉弁１３９が開放され、洗浄水が吐水口１３５から噴射される。
一方、介護者などが操作部１３１から手を離すと、操作部１３１および開閉スイッチ１３３は、矢印Ａとは反対方向に付勢されているため、矢印Ａとは反対方向に押し上げられる。そうすると、開閉弁１３９は閉止され、吐水口１３５からの洗浄水の噴射は停止される。このように、ハンドノズル１３０の把持部１３７には、吐水口１３５からの吐水または止水を切り替える切替手段が設けられている。
あるいは、開閉弁１３９は、制御部１５０からの制御信号により適宜開閉することも可能である。
【００２２】
次に、このようなハンドノズル１３０の側面模式図を、図３及び図４に示す。ここで、図３は、図２において矢印Ｘの方向から眺めたハンドノズル１３０の側面であり、図４は、図２において矢印Ｙの方向から眺めたハンドノズル１３０の側面である。
ハンドノズル１３０の把持部１３７と太幅部（支持部）１３４を含めた部位を本体部２００とし、太幅部１３４から延在されたハンドノズル１３０の部位をノズル先端部２０１とすると、図３に示すように、本体部２００とノズル先端部２０１の境界Ｂ付近において、それぞれの表面に段差が設けられていない。また、境界Ｂには、凸状の突起も設けられていない。
【００２３】
すなわち、ハンドノズル１３０は、上述したように、洗浄水を吐水する吐水口１３５を備えたノズル先端部２０１と、ノズル先端部２０１に接続され、吐水口１３５からの吐水または洗浄水の止水とを切り替える開閉弁を操作する操作部１３１を備えた本体部２００と、を有しているものの、ノズル先端部２０１と本体部２００との境界Ｂにおける、ノズル先端部２０１の表面と本体部２００の表面とが連続となっている。
【００２４】
また、図４（ａ）に示すように、本体部２００の表面及びノズル先端部２０１の表面が共に、曲面を形成している。すなわち、操作部１３１から吐水口１３５への方向の略垂直な方向に本体部２００及びノズル先端部２０１を切断すると、本体部２００の下側及び両側、並びにノズル先端部２０１の下側及び両側は、例えば円弧状の曲面を形成している。 また、ノズル先端部２０１は、図４（ｂ）に示すように、その断面（矢印Ｙの方向から眺めた断面）においては、円形状とは限らず、扁平形状（例えば、楕円状）であってよい。このような形態では、ノズル先端部２０１の上側扁平面と吐水口１３５が配置された領域が同じ向きであるために、洗浄中に当該上側扁平面を眺めただけで、吐水口１３５から吐水される洗浄水の方向が即座に分かる。
【００２５】
なお、操作部１３１は、ハンドノズル１３０の把持部１３７の上側（吐水口１３５の側）に設けるほか、把持部１３７の側部（図４参照）に設けてもよく、把持部１３７の下側（図４参照）に設けてもよい。
【００２６】
図５は、ハンドノズルの連続面を説明するための模式図である。
上述したハンドノズル１３０は、操作部１３１が取り付けられている側をハンドノズル１３０の上側とした場合、境界Ｂ付近においては、当該上側とは反対側のハンドノズル１３０の下側、並びにハンドノズル１３０の両側（上側から下側にかかるハンドノズル１３０の側部）において、本体部２００の表面とノズル先端部２０１の表面とが滑らかな連続面を形成している。
【００２７】
具体的には、吐水口１３５側から見て、ハンドノズル１３０の反対側の領域ＡＲ（図５（ａ）に示す斜線を引いた領域ＡＲ、及び図５（ｂ）に示す領域ＡＲ）は、滑らかな連続面を形成している。すなわち、ノズル先端部２０１の表面から操作部１３１の把持部１３７の先端１３７ｆにかけての領域ＡＲには、段差や凸部が実質的になく、滑らかな連続面を形成している。また、この連続面は、把持部１３７からノズル先端部２０１に向かう方向（図５（ａ）において、向かって左側から右側へ向かう方向、あるいは、図５（ｂ）において、紙面奥側から紙面手前側に向かう方向）に対して直交する方向に湾曲した曲面を形成している。
【００２８】
そして、このような形態のハンドノズル１３０を用いれば、以下のような効果を有する。
【００２９】
図６は、介護者（使用者）がハンドノズルを把持した様子を表す。
介護者は、介護者の手ｈにより、本体部２００の把持部１３７を把持することができる。例えば、親指ｔｈｆを操作部１３１上に載置して、他の指を把持部１３７の裏側（吐水口１３５から見て反対側）に回して、手ｈにより把持部１３７全体を把持することができる。
【００３０】
そして、親指ｔｈｆにより操作部１３１を押したり、離したりすることにより、介護者は、吐水口１３５から洗浄水を吐水させたり、止水させたりすることができる。
また、介護者は、このような把持状態で、ハンドノズル１３０を便座４００の前方から便器５００内に向かい差し込むことができる。
図７は、便座の前方から便器内に向かいハンドノズルを差し込んだ状態を説明する模式図である。
ハンドノズル１３０では、便座４００の前方から便器５００内に向かいハンドノズル１３０を差し込んでも、ハンドノズル１３０が便座４００の端部４００ｅに引っかかり難い。
【００３１】
すなわち、介護者が把持部１３７を把持し、人体洗浄装置１００の上方に操作部１３１を向けながら、ノズル先端部２０１、太幅部１３４の順にハンドノズル１３０を便座４００内に向かい挿入しても、ノズル先端部２０１の表面から操作部１３１の把持部１３７の先端１３７ｆにかけての上記領域ＡＲには、段差や凸部がなく、滑らかな連続面を形成していることから、ノズル先端部２０１及び太幅部１３４が便座４００の端部４００ｅに引っかかり難い。
【００３２】
また、一旦、便座４００内に挿入したハンドノズル１３０を便座４００内から取り出すときにも、ノズル先端部２０１及び太幅部１３４が便座４００の端部４００ｅに引っかかり難い。
これにより、ハンドノズル１３０を便器５００内に挿入したり、便器５００内から引き抜いたりする所謂ストローク動作の操作性が向上する。
【００３３】
また、図８は、便座の前方から便器内に向かいハンドノズルを差し込んだ状態を説明する別の模式図である。ここで、図８での前方とはハンドノズル１３０のノズル先端部２０１から本体部２００に向かう方向をいう。
【００３４】
ハンドノズル１３０では、ノズル先端部２０１並びに太幅部１３４を便座４００の上方から便器５００内に向かって挿入した後、ハンドノズル１３０の中心軸Ｃを軸とした回転動作（ロール動作）を施しても、ハンドノズル１３０が便座４００の端部４００ｅに引っかかり難い。
すなわち、ハンドノズル１３０の下側及び両側において、本体部２００及びノズル先端部２０１の表面が共に曲面を形成していることから、ハンドノズル１３０の中心軸Ｃを軸とした回転動作を施しても、ハンドノズル１３０は、便座４００の端部４００ｅに引っかかり難い。
【００３５】
なお、回転角θとしては、例えば、θ＝１４０°とする。この回転角θでの回転動作を施せば、吐水口１３５から吐水される水を便器５００の下方から便座４００の開口領域に満遍なく行き渡らせることができる。
ただし、θとしては、例示した数値に限定されるものではなく、便器５００のサイズに応じて適宜変えればよい。
【００３６】
また、図９は、便座の前方から便器内に向かいハンドノズルを差し込んだ状態を説明するさらに別の模式図である。
ハンドノズル１３０が便座４００に引っかかり難いことから、図９中の矢印Ｄで表したような首振り動作（ヨー動作）においても容易に実行し易い。
このように、ハンドノズル１３０のストローク動作、回転動作、首振り動作の何れにおいても、その操作性が向上し、介護者、被介護者にストレスを与えない。
【００３７】
これに対し、本体部２００とノズル先端部２０１の境界Ｂ付近において、突起があったり、それぞれの表面に段差があるハンドノズルを用いた場合の比較例を、図１０に示す。
【００３８】
図１０は、便座の前方から便器内に向かいハンドノズルを差し込んだ比較例を説明する模式図である。
まず、図１０（ａ）に表したように、境界Ｂに突起２０２があるハンドノズル１３０Ａを用いた場合には、当該突起２０２によってハンドノズル１３０Ａが便座４００の端部４００ｅに引っ掛かかり易い。そして、このような引っ掛かりが生じると、吐水口１３５から吐水される水の向きが定まらず、人体の被洗浄部分以外の部分に水が不意に衝突してしまう場合もある。また、ハンドノズル自体が人体に不意に当たる場合もある。
すなわち、ハンドノズル１３０Ａでは、スムーズにその作動を行うことができず、その操作性が著しく悪くなってしまい、介護者、被介護者はストレスを受け易い。
【００３９】
また、図１０（ｂ）に表したように、本体部２００とノズル先端部２０１の境界Ｂに段差２０３があるハンドノズル１３０Ｂを用いた場合でも、上記と同様の引っかかり現象が起き易い。すなわち、吐水口１３５から吐水される水の向きが定まらず、人体の被洗浄部分以外の部分に水が不意に衝突してしまう場合もある。また、ハンドノズル自体が人体に不意に当たる場合もある。
【００４０】
また、図１１には、ハンドノズル１３０を便座の端部４００ｅ上で回転させた場合の状態が示されている。
上述したように、ノズル先端部２０１から把持部１３７の先端までの領域ＡＲ（図５参照）は滑らかな連続面であり、把持部１３７からノズル先端部２０１に向かう方向に対して直交する方向に湾曲した曲面を形成している。こうすることにより、便座４００（または便器５００）の端部４００ｅ上で、ハンドノズル１３０の長手方向を軸として、スムーズに回転させることができる。スムーズに回転できる回転角θとしては、通常の使用態様においては、概ね１４０°以上であれば良好な使い勝手が得られ、１８０°までスムーズに回転させることができればさらによい。
【００４１】
すなわち、ハンドノズル１３０Ｂでは、スムーズにその作動を行うことができず、その操作性が著しく悪くなってしまう。すなわち、ハンドノズル１３０Ｂを用いた場合、介護者、被介護者はストレスを受け易い。
このように、ハンドノズル１３０を用いると、ハンドノズル１３０のストローク動作、回転動作、振り込み動作の何れにおいても、その操作性が向上し、介護者、被介護者にストレスを与えない。
【００４２】
なお、図２に示すノズル先端部２０１の形態としては、ストレート形状のものを例示したが、ノズル先端部２０１は、反った形態であってもよく、その一部が屈曲した形態であってもよい。
また、ノズル先端部２０１と太幅部１３４とは、一体の構造であってもよく、ノズル先端部２０１が太幅部１３４に着脱可能な構造であってもよい。
一体構造とした場合は、部品点数及び組み立て工数の低減により、少ないコストで製作することが出るという利点を有する。
一方、ノズル先端部２０１が着脱可能な別部品とした場合は、汚水を浴びやすいノズル先端部２０１を取り外しての洗浄作業を容易に行うことが出来るほか、定期的に交換して清浄な状態を保つことができるという利点を有する。
【００４３】
次に、人体洗浄装置１００の他の部材について補説する。
図１に示す収納部１６０は、その上面に設けられた開口部１６１と、その内部に設けられた収納孔１６３と、ハンドノズル１３０の吐水口１３５からの水を外部へ排出する排水路１６５と、を有する。ハンドノズル１３０は、使用されていないときには、その収納部１６０に収納されている。より具体的には、ハンドノズル１３０の少なくとも一部は、開口部１６１から挿入され、収納部１６０の内部、すなわち収納孔１６３に収納されている。なお、収納部１６０は、便器５００に付設されていてもよいし、あるいは便器５００に付設されていなくともよい。
【００４４】
ホース１２０は、その一端においてハンドノズル１３０に接続され、その他端においてケーシング１０１に接続されている。また、ホース１２０は、図１に表したように、所定の長さを有するため、介護者などはハンドノズル１３０の把持部１３７を手で持ちつつ、少なくとも吐水口１３５の部分を便座４００に座った被介護者の臀部や陰部近傍に移動させることができる。そして、介護者などは、ハンドノズル１３０の把持部１３７を手で持ち、操作部１３１を矢印Ａの方向に押しつつ、便座４００に座った被介護者の臀部や陰部の任意の位置にハンドノズル１３０を移動させて吐水させることにより、臀部や陰部の広い範囲を洗浄できる。また、前述したように、熱交換器１１０はヒータを有するため、本実施形態に係わる人体洗浄装置１００は、加熱された洗浄水を吐水できる。
【００４５】
ここで、ハンドノズル１３０の吐水口１３５は、便器５００の内部に挿入された状態で局部に洗浄水を噴射するため、吐水部１３６あるいはその近傍には汚水や汚物が付着するおそれがある。ハンドノズル１３０に汚水や汚物が付着したまま収納部１６０に収納され放置されると、汚水や汚物が固着するため衛生上好ましくない。これに対して、本実施形態に係わる人体洗浄装置は、収納部１６０に収納された状態のハンドノズル１３０の少なくとも吐水部１３６を洗浄できる。ハンドノズル１３０の使用後には、そのハンドノズル１３０は、ほぼ必ず収納部１６０に収納される。そのため、本実施形態に係わる人体洗浄装置は、収納部１６０においてハンドノズル１３０を洗浄することにより、そのハンドノズル１３０を清潔な状態に確保することができる。以下、収納部１６０に収納された状態のハンドノズル１３０を洗浄する動作について、図面を参照しつつ説明する。
【００４６】
図１２は、本実施形態のハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
本実施形態のハンドノズル１３０は、図２に表したように、吐水部１３６よりも幅が大きい太幅部（支持部）１３４を有する。太幅部１３４は、吐水口１３５よりもホース１２０側に設けられ、吐水口１３５側からホース１２０側に向かうにつれて幅が大きくなるように形成されている。
【００４７】
一方、収納部１６０の開口部１６１の開口面積は、ハンドノズル１３０の吐水部１３６の最外形よりも大きく、太幅部１３４の少なくとも一部の外形よりも小さい。そのため、ハンドノズル１３０をその先端１３８側から開口部１６１に挿入し、収納部１６０に収納すると、図１２に表したように、太幅部１３４の少なくとも一部は収納部１６０の開口部１６１に引っ掛かる。その結果、ハンドノズル１３０は、これよりも収納部１６０の内部には進入できない。
【００４８】
収納部１６０の内部、すなわち収納孔１６３の高さＨは、ハンドノズル１３０が収納された状態、すなわち太幅部１３４が開口部１６１に引っ掛かった状態において、収納部１６０の内部に進入したハンドノズル１３０の部分の長さよりも大きい。つまり、収納部１６０の収納孔１６３の高さＨは、太幅部１３４が開口部１６１に支持された状態において、ハンドノズル１３０の先端１３８が収納孔１６３の底面１６２に当接しないように適宜設定されている。
【００４９】
そして、収納部１６０に設けられた図示しない赤外線投光式センサやリミットスイッチなどと呼ばれる開閉式スイッチが、収納部１６０に収納されたハンドノズル１３０を検知すると、制御部１５０はハンドノズル１３０内に設けられた開閉弁１３９を開放し吐水口１３５から洗浄水を吐水させる。そうすると、吐水口１３５から吐水された洗浄水６１０は、図１２に表したように、収納孔１６３に一時貯留される。つまり、吐水口１３５から吐水された洗浄水６１０が、収納孔１６３に一時貯留されるように、排水路１６５の形状が適宜設定されている。
洗浄水６１０が収納孔１６３に一時貯留されると、図１２に表したように、ハンドノズル１３０の吐水部１３６は、洗浄水６１０に浸される。そうすると、ハンドノズル１３０の吐水部１３６は、洗浄水６１０により洗浄される。
【００５０】
このとき、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していないため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。つまり、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２から離間しているため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、円滑に流れ排水路１６５から便器５００内に排出される。なお、排水路１６５から流出した洗浄水６１０は、必ずしも便器５００内に排出されなくともよく、例えば排水路１６５の先端あるいは先端近傍に設けられた図示しない受け皿などの容器に排出されてもよい。
【００５１】
そのため、洗浄水６１０により洗い落とされた汚水や汚物が、ハンドノズル１３０の吐水部１３６あるいはその近傍により進路を遮られるおそれは少なく、再び吐水口１３５の部分に付着するおそれは少ない。また、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、ハンドノズル１３０の先端１３８と、収納孔１６３の底面１６２と、の間を円滑に流れるため、洗浄性を向上させることができる。これにより、本実施形態に係わる人体洗浄装置１００は、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。
【００５２】
なお、赤外線投光式センサや開閉式スイッチの検知結果に基づいて、吐水口１３５から洗浄水６１０を吐水する場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されるわけではない。例えば、介護者などがハンドノズル１３０を収納した後に、介護者自身が操作部１３１を操作して吐水口１３５から洗浄水６１０を吐水させてもよい。あるいは、介護者などが、図示しないリモコンに設けられた洗浄スイッチを操作することにより、制御部１５０が開閉弁１３９を開放し、吐水口１３５から洗浄水６１０を吐水させてもよい。
【００５３】
一方、吐水口１３５からの洗浄水６１０を止水する場合には、制御部１５０のタイマ制御機能を利用できる。制御部１５０は、タイマ制御機能を有し、開閉弁１３９を開放させてから所定時間が経過すると、開閉弁１３９を閉止できる。そうすると、開閉弁１３９を開放させてから所定時間が経過した後に、吐水口１３５からの洗浄水６１０を止水することができる。
【００５４】
あるいは、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０の透明度を検知する濁度センサなどの検知結果に基づいて、吐水口１３５から洗浄水６１０を止水させてもよい。ハンドノズル１３０に付着した汚水や汚物が洗浄水６１０により洗い落とされると、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０の透明度は低下するが、洗浄水６１０が排水路１６５から排出されるにつれて上昇する。そして、図示しない濁度センサが、洗浄水６１０の透明度が所定値以上に達したことを検知すると、制御部１５０は開閉弁１３９を閉止して吐水口１３５からの洗浄水６１０を止水することができる。
【００５５】
また、ハンドノズル１３０の太幅部１３４は、吐水口１３５側からホース１２０側に向かうにつれて幅が大きくなるように形成されているが、これだけに限定されるわけではない。つまり、ハンドノズル１３０は、その先端１３８が収納孔１６３の底面１６２から離間できるように、収納部１６０に支持され得る形状を有していればよい。
【００５６】
次に、本実施形態に係わる人体洗浄装置１００の構成の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図１３は、本実施形態に係わる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【００５７】
本実施形態に係わる人体洗浄装置１００では、まず、給水源としての水道から継手１０３を介して、水が給水弁１９０に供給される。給水弁１９０は、熱交換器１１０よりも上流側に設けられ、制御部１５０からの制御信号に応じて開閉できる。給水弁１９０が開放されている場合には、熱交換器のタンクに水が供給され、給水弁１９０が閉止されている場合には、熱交換器のタンクへの水の供給は停止される。
【００５８】
続いて、水道からの水が給水弁１９０を介して熱交換器１１０に供給されると、熱交換器１１０に貯留され加熱されていた洗浄水は、継手１０５を介してホース１２０に供給される。続いて、ホース１２０に供給された水は、ハンドノズル１３０内の開閉弁１３９に供給される。開閉弁１３９が開放されている場合には、吐水口１３５から洗浄水６１０が吐水され、開閉弁１３９が閉止されている場合には、吐水口１３５からの洗浄水６１０は止水される。
【００５９】
そして、開閉弁１３９が開放され、吐水口１３５から洗浄水６１０が吐水されると、その洗浄水６１０は、収納孔１６３に一時貯留される。このとき、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していないため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。つまり、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２から離間しているため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、円滑に流れ排水路１６５から便器５００内に排出される。そのため、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。
【００６０】
なお、本具体例では、水道の圧力を利用して熱交換器１１０に水を供給する場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されず、ポンプを設けてもよい。これによれば、水道の圧力だけではなく、ポンプによって与えられた圧力を利用して熱交換器１１０に水を供給することができる。
【００６１】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、ハンドノズル１３０などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや収納部１６０の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、ハンドノズル１３０を収納部１６０に収納すると、操作部１３１は、開閉弁１３９を閉止させる状態から開放させる状態へと遷移されてもよい。これによれば、ハンドノズル１３０が収納部１６０に収納された状態では、開閉弁１３９は常に開放されることになるため、制御部１５０は、開閉弁１３９を制御しなくとも、給水弁１９０を制御するだけで、吐水口１３５から洗浄水６１０を収納孔１６３内に供給できる。
【００６２】
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【００６３】
１００ 人体洗浄装置
１０１ ケーシング
１０３、１０５ 継手
１１０ 熱交換器
１２０ ホース
１３０、１３０Ａ、１３０Ｂ ハンドノズル
１３１ 操作部
１３２ 軸
１３３ 開閉スイッチ
１３４ 太幅部
１３５ 吐水口
１３６ 吐水部
１３７ 把持部
１３８ 先端
１３９ 開閉弁
１５０ 制御部
１６０ 収納部
１６１ 開口部
１６２ 底面
１６３ 収納孔
１６５ 排水路
１６７ 突起部
１７０ 着座センサ
１８０ 入室検知センサ
１９０ 給水弁
２００ 本体部
２０１ ノズル先端部
２０２ 突起
２０３ 段差
３００ 便蓋
４００ 便座
４００ｅ 端部
５００ 便器
６１０ 洗浄水
Ａ、Ｘ、Ｙ、Ｄ 矢印
Ｂ 境界
Ｃ 中心軸
Ｈ 高さ
【技術分野】
【０００１】
本発明の態様は、ハンドノズル及び人体洗浄装置に関し、具体的には被介護者の「おしり」などを水で洗浄するハンドノズル及び人体洗浄装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
例えば、洋式腰掛便器に腰掛けた被介護者の「おしり」などを水で洗浄する場合には、温水洗浄便座装置の吐水ノズルを便器内に進出させ、便座に座った被介護者の「おしり」などに向けて水を噴射させる。そうすると、被介護者の局部を洗浄することができる。
【０００３】
しかしながら、排泄の際に、汚物が広い範囲に亘って付着すると、人体局部の洗浄を主な目的とした温水洗浄便座装置の吐水ノズルでは、十分に汚れを落とすことができない場合がある。これは、例えば、臀部（肛門周辺）の筋肉が弱く、その部分の肉が垂れ下がっている高齢者などが排泄を行った場合、あるいは被介護者が、失禁などのように、おむつを含む衣類を着衣した状態で排泄行為を行った場合などが挙げられる。あるいは、被介護者の着座位置がずれている場合にも、温水洗浄便座装置の吐水ノズルでは、十分に汚れを落とすことができない場合がある。
【０００４】
そこで、臀部や陰部の広い範囲を洗浄するために、例えば介護者などが容器を押すことにより洗浄水を任意の位置に吐水できるボトル式の洗浄容器がある。また、臀部や陰部の広い範囲を洗浄可能な携帯型の局部洗浄装置が提案されている（特許文献１）。
【０００５】
しかしながら、特許文献１に記載された洗浄装置では、ノズルの根元に突起がある。そして、便座に着座した被洗浄者の臀部と便座との隙間に前記洗浄装置を挿入して洗浄作業を行うと、当該突起の存在によって洗浄装置が便座に引っ掛かってしまう。これにより、洗浄装置の操作性が悪いという問題が生じている。また、このような不具合は、ノズルの根本に段差がある場合でも十分に起こりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開２０００−１５７４４１号公報（図２）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明の課題は、上記問題点を解決することであり、操作性のよいハンドノズル及び人体洗浄装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の一態様によれば、洗浄水を吐水する吐水口を有するノズル先端部と、前記ノズル先端部に接続され、前記吐水口からの吐水と止水とを切り替える開閉弁を操作するための操作部と、前記操作部を操作する使用者が把持する把持部と、を有する本体部と、を備え、前記吐水口の側からみて裏側において、前記ノズル先端部の表面から前記本体部の把持部分の先端までが連続面を形成していることを特徴とするハンドノズルが提供される。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、ハンドノズル及び人体洗浄装置の操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【００１０】
【図１】本発明の実施の形態に係わる人体洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
【図２】トイレ装置に取り付けられたハンドノズルを表す斜視模式図である。
【図３】ハンドノズルの側面模式図である（その１）。
【図４】ハンドノズルの側面模式図である（その２）。
【図５】ハンドノズルの連続面を説明するための模式図である。
【図６】介護者がハンドノズルを把持した状態を示す図である。
【図７】便座の前方から便器内に向かいハンドノズルを差し込んだ状態を説明する模式図である（その１）。
【図８】便座の前方から便器内に向かいハンドノズルを差し込んだ状態を説明する模式図である（その２）。
【図９】便座の前方から便器内に向かいハンドノズルを差し込んだ状態を説明する模式図である（その３）。
【図１０】便座の前方から便器内に向かいハンドノズルを差し込んだ比較例を説明する模式図である。
【図１１】ハンドノズルを回転させる動作を説明するための模式図である。
【図１２】本実施形態のハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
【図１３】本実施形態に係わる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【００１１】
本発明を実施するための形態を説明するのに先立って、本発明の作用効果について説明する。
第１の発明として、洗浄水を吐水する吐水口を有するノズル先端部と、前記ノズル先端部に接続され、前記吐水口からの吐水と止水とを切り替える開閉弁を操作するための操作部と、前記操作部を操作する使用者が把持する把持部と、を有する本体部と、を備え、前記吐水口の側からみて裏側において、前記ノズル先端部の表面から前記本体部の把持部分の先端までが連続面を形成していることを特徴とするハンドノズルが提供される。
このような発明によれば、洗浄作業の際に、介護者が前記ハンドノズルを前記便座内に向かい挿入しても、前記ハンドノズルの下側において、前記ノズル先端部の表面と前記把持部分の先端までが滑らかな連続面を形成しているため、前記ノズル先端部及び太幅部が前記便座の端部に引っかかり難いという効果が得られ、ハンドノズルの操作性が向上する。
【００１２】
また、第２の発明では、第１の発明において、前記連続面は、前記把持部から前記ノズル先端部に向かう方向に対して直交する方向に湾曲した曲面を形成していることを特徴とする。
このような発明によれば、本体部の操作部とは反対側の部分及び反対側の部分に接続されたノズル先端部の表面が曲面となり、ノズルの回転動作（ロール動作）を行う場合でも、前記ノズル先端部及び太幅部が前記便座の端部に引っかかり難いという効果が得られ、ハンドノズルの操作性が向上する。
【００１３】
また、第３の発明では、第１の発明または第２の発明において、前記操作部から前記吐水口への方向に対して略垂直な方向の前記ノズル先端部の断面が扁平していることを特徴とする。
このような発明によれば、操作部から吐水口への方向に対して略垂直な方向のノズル先端部の断面が扁平しているため、洗浄作業の際に、介護者が前記ハンドノズルを前記便座内に向かい被介護者の身体の隙間からの挿入する操作において、狭い隙間での作業が容易であること、かつ洗浄部位との間隔も広くなるため、汚水を浴びにくくなり、ハンドノズルの操作性および衛生性が向上する。更に、扁平面を眺めただけで洗浄水が吐水される方向が即座に分かるという効果も得られる。
【００１４】
また、第４の発明として、第１〜第３の発明のいずれか１つにおいて、洗浄水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器により加熱された洗浄水を前記ハンドノズルに導水するホースと、を備えたことを特徴とする人体洗浄装置が提供される。
このような発明によれば、洗浄水が熱交換器により加熱され、熱交換器により加熱された洗浄水が第１〜第３の発明のいずれか１つのハンドノズルに導水され、人体洗浄装置の操作性が向上する。
【００１５】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図１は、本発明の実施の形態に係わる人体洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
また、図２は、トイレ装置に取り付けられたハンドノズルを表す斜視模式図である。
【００１６】
図１に表したトイレ装置は、洋式腰掛け便器（以下、説明の便宜上、単に「便器」と称する）５００と、その上に設けられた人体洗浄装置１００と、便蓋３００と、便座４００と、を備える。便蓋３００および便座４００は、例えば人体洗浄装置１００に対して開閉自在に軸支されている。また、便器５００の洗浄機構としては、いわゆる「ロータンク式」でもよく、あるいはロータンクを用いない「水道直圧式」であってもよく、その他の各種の洗浄機構を採用することができる。なお、便座４００としては、所謂Ｏ型のものを例示しているが、Ｕ型であってもよい。
【００１７】
本実施形態に係わる人体洗浄装置１００は、水の温度を調節する熱交換器（温度調節器）１１０と、熱交換器１１０からの水を導水するホース１２０と、ホース１２０の一端に取り付けられたハンドノズル１３０と、ハンドノズル１３０を収納する収納部１６０と、を有する。熱交換器１１０は、人体洗浄装置１００のケーシング１０１内に設けられたタンクと、その中に貯留された水を加熱する図示しないヒータと、を有する。そして、熱交換器１１０により加熱された洗浄水は、ホース１２０を介してハンドノズル１３０に供給される。
【００１８】
なお、本発明は、タンクに貯留された水をヒータで加熱する、いわゆる「貯湯式」の熱交換器１１０を有するものには限定されない。例えば、供給された水を瞬間的に温めて送出する、いわゆる「瞬間式」の熱交換器１１０を有するものも、本発明の範囲に包含される。また、本願明細書において「水」という場合には、加熱されたお湯も含むものとする。
【００１９】
また、本実施形態に係わる人体洗浄装置１００は、便座４００への被介護者の着座を検知する着座センサ１７０と、トイレ室への被介護者の入室を検知する入室検知センサ１８０と、制御部１５０と、をさらに有する。着座センサ１７０および入室検知センサ１８０としては、例えば、焦電センサや、測距センサなどの赤外線投光式のセンサ、超音波センサ、またはドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いることができる。なお、焦電センサは、被介護者の接近を迅速に検知できる点で入室検知センサ１８０により適している。そして、着座センサ１７０は、便座４００への被介護者の着座を検知すると、制御部１５０に検知信号を送信できる。これと同様に、入室検知センサ１８０は、トイレ室への被介護者の入室を検知すると、制御部１５０に検知信号を送信できる。
【００２０】
図２に示すハンドノズル１３０は、本体部２００と、ノズル先端部２０１と、を有する。ハンドノズル１３０の内部には開閉弁（図２では不図示）が内蔵され、当該開閉弁により、洗浄水の吐水および止水が切り替えられる。本体部２００には、開閉弁１３９を開閉させる操作部１３１が設けられ、ノズル先端部２０１には吐水部１３６が設けられている。操作部１３１は、ハンドノズル１３０の本体部２００の把持部１３７に設けられている。また、吐水部１３６には、洗浄水を吐水可能な吐水口１３５が設けられている。把持部１３７は、ハンドノズル１３０を操作する使用者が手で把持する部分である。すなわち、使用者は、把持部１３７を把持し、操作部１３１を操作することにより、吐水口１３５からの洗浄水の吐止水を制御することができる。操作部１３１は、軸１３２において回動自在に軸支されており、その裏面側には開閉スイッチ１３３が設けられている。開閉スイッチ１３３は、図示しないばね等により矢印Ａとは反対方向に付勢されている。これと同様に、操作部１３１は開閉スイッチ１３３により矢印Ａとは反対方向に付勢されている。
【００２１】
例えば、介護者などが操作部１３１を矢印Ａの方向に押すと、開閉スイッチ１３３は操作部１３１により矢印Ａの方向に押される。そうすると、ハンドノズル１３０内に設けられた開閉弁１３９が開放され、洗浄水が吐水口１３５から噴射される。
一方、介護者などが操作部１３１から手を離すと、操作部１３１および開閉スイッチ１３３は、矢印Ａとは反対方向に付勢されているため、矢印Ａとは反対方向に押し上げられる。そうすると、開閉弁１３９は閉止され、吐水口１３５からの洗浄水の噴射は停止される。このように、ハンドノズル１３０の把持部１３７には、吐水口１３５からの吐水または止水を切り替える切替手段が設けられている。
あるいは、開閉弁１３９は、制御部１５０からの制御信号により適宜開閉することも可能である。
【００２２】
次に、このようなハンドノズル１３０の側面模式図を、図３及び図４に示す。ここで、図３は、図２において矢印Ｘの方向から眺めたハンドノズル１３０の側面であり、図４は、図２において矢印Ｙの方向から眺めたハンドノズル１３０の側面である。
ハンドノズル１３０の把持部１３７と太幅部（支持部）１３４を含めた部位を本体部２００とし、太幅部１３４から延在されたハンドノズル１３０の部位をノズル先端部２０１とすると、図３に示すように、本体部２００とノズル先端部２０１の境界Ｂ付近において、それぞれの表面に段差が設けられていない。また、境界Ｂには、凸状の突起も設けられていない。
【００２３】
すなわち、ハンドノズル１３０は、上述したように、洗浄水を吐水する吐水口１３５を備えたノズル先端部２０１と、ノズル先端部２０１に接続され、吐水口１３５からの吐水または洗浄水の止水とを切り替える開閉弁を操作する操作部１３１を備えた本体部２００と、を有しているものの、ノズル先端部２０１と本体部２００との境界Ｂにおける、ノズル先端部２０１の表面と本体部２００の表面とが連続となっている。
【００２４】
また、図４（ａ）に示すように、本体部２００の表面及びノズル先端部２０１の表面が共に、曲面を形成している。すなわち、操作部１３１から吐水口１３５への方向の略垂直な方向に本体部２００及びノズル先端部２０１を切断すると、本体部２００の下側及び両側、並びにノズル先端部２０１の下側及び両側は、例えば円弧状の曲面を形成している。 また、ノズル先端部２０１は、図４（ｂ）に示すように、その断面（矢印Ｙの方向から眺めた断面）においては、円形状とは限らず、扁平形状（例えば、楕円状）であってよい。このような形態では、ノズル先端部２０１の上側扁平面と吐水口１３５が配置された領域が同じ向きであるために、洗浄中に当該上側扁平面を眺めただけで、吐水口１３５から吐水される洗浄水の方向が即座に分かる。
【００２５】
なお、操作部１３１は、ハンドノズル１３０の把持部１３７の上側（吐水口１３５の側）に設けるほか、把持部１３７の側部（図４参照）に設けてもよく、把持部１３７の下側（図４参照）に設けてもよい。
【００２６】
図５は、ハンドノズルの連続面を説明するための模式図である。
上述したハンドノズル１３０は、操作部１３１が取り付けられている側をハンドノズル１３０の上側とした場合、境界Ｂ付近においては、当該上側とは反対側のハンドノズル１３０の下側、並びにハンドノズル１３０の両側（上側から下側にかかるハンドノズル１３０の側部）において、本体部２００の表面とノズル先端部２０１の表面とが滑らかな連続面を形成している。
【００２７】
具体的には、吐水口１３５側から見て、ハンドノズル１３０の反対側の領域ＡＲ（図５（ａ）に示す斜線を引いた領域ＡＲ、及び図５（ｂ）に示す領域ＡＲ）は、滑らかな連続面を形成している。すなわち、ノズル先端部２０１の表面から操作部１３１の把持部１３７の先端１３７ｆにかけての領域ＡＲには、段差や凸部が実質的になく、滑らかな連続面を形成している。また、この連続面は、把持部１３７からノズル先端部２０１に向かう方向（図５（ａ）において、向かって左側から右側へ向かう方向、あるいは、図５（ｂ）において、紙面奥側から紙面手前側に向かう方向）に対して直交する方向に湾曲した曲面を形成している。
【００２８】
そして、このような形態のハンドノズル１３０を用いれば、以下のような効果を有する。
【００２９】
図６は、介護者（使用者）がハンドノズルを把持した様子を表す。
介護者は、介護者の手ｈにより、本体部２００の把持部１３７を把持することができる。例えば、親指ｔｈｆを操作部１３１上に載置して、他の指を把持部１３７の裏側（吐水口１３５から見て反対側）に回して、手ｈにより把持部１３７全体を把持することができる。
【００３０】
そして、親指ｔｈｆにより操作部１３１を押したり、離したりすることにより、介護者は、吐水口１３５から洗浄水を吐水させたり、止水させたりすることができる。
また、介護者は、このような把持状態で、ハンドノズル１３０を便座４００の前方から便器５００内に向かい差し込むことができる。
図７は、便座の前方から便器内に向かいハンドノズルを差し込んだ状態を説明する模式図である。
ハンドノズル１３０では、便座４００の前方から便器５００内に向かいハンドノズル１３０を差し込んでも、ハンドノズル１３０が便座４００の端部４００ｅに引っかかり難い。
【００３１】
すなわち、介護者が把持部１３７を把持し、人体洗浄装置１００の上方に操作部１３１を向けながら、ノズル先端部２０１、太幅部１３４の順にハンドノズル１３０を便座４００内に向かい挿入しても、ノズル先端部２０１の表面から操作部１３１の把持部１３７の先端１３７ｆにかけての上記領域ＡＲには、段差や凸部がなく、滑らかな連続面を形成していることから、ノズル先端部２０１及び太幅部１３４が便座４００の端部４００ｅに引っかかり難い。
【００３２】
また、一旦、便座４００内に挿入したハンドノズル１３０を便座４００内から取り出すときにも、ノズル先端部２０１及び太幅部１３４が便座４００の端部４００ｅに引っかかり難い。
これにより、ハンドノズル１３０を便器５００内に挿入したり、便器５００内から引き抜いたりする所謂ストローク動作の操作性が向上する。
【００３３】
また、図８は、便座の前方から便器内に向かいハンドノズルを差し込んだ状態を説明する別の模式図である。ここで、図８での前方とはハンドノズル１３０のノズル先端部２０１から本体部２００に向かう方向をいう。
【００３４】
ハンドノズル１３０では、ノズル先端部２０１並びに太幅部１３４を便座４００の上方から便器５００内に向かって挿入した後、ハンドノズル１３０の中心軸Ｃを軸とした回転動作（ロール動作）を施しても、ハンドノズル１３０が便座４００の端部４００ｅに引っかかり難い。
すなわち、ハンドノズル１３０の下側及び両側において、本体部２００及びノズル先端部２０１の表面が共に曲面を形成していることから、ハンドノズル１３０の中心軸Ｃを軸とした回転動作を施しても、ハンドノズル１３０は、便座４００の端部４００ｅに引っかかり難い。
【００３５】
なお、回転角θとしては、例えば、θ＝１４０°とする。この回転角θでの回転動作を施せば、吐水口１３５から吐水される水を便器５００の下方から便座４００の開口領域に満遍なく行き渡らせることができる。
ただし、θとしては、例示した数値に限定されるものではなく、便器５００のサイズに応じて適宜変えればよい。
【００３６】
また、図９は、便座の前方から便器内に向かいハンドノズルを差し込んだ状態を説明するさらに別の模式図である。
ハンドノズル１３０が便座４００に引っかかり難いことから、図９中の矢印Ｄで表したような首振り動作（ヨー動作）においても容易に実行し易い。
このように、ハンドノズル１３０のストローク動作、回転動作、首振り動作の何れにおいても、その操作性が向上し、介護者、被介護者にストレスを与えない。
【００３７】
これに対し、本体部２００とノズル先端部２０１の境界Ｂ付近において、突起があったり、それぞれの表面に段差があるハンドノズルを用いた場合の比較例を、図１０に示す。
【００３８】
図１０は、便座の前方から便器内に向かいハンドノズルを差し込んだ比較例を説明する模式図である。
まず、図１０（ａ）に表したように、境界Ｂに突起２０２があるハンドノズル１３０Ａを用いた場合には、当該突起２０２によってハンドノズル１３０Ａが便座４００の端部４００ｅに引っ掛かかり易い。そして、このような引っ掛かりが生じると、吐水口１３５から吐水される水の向きが定まらず、人体の被洗浄部分以外の部分に水が不意に衝突してしまう場合もある。また、ハンドノズル自体が人体に不意に当たる場合もある。
すなわち、ハンドノズル１３０Ａでは、スムーズにその作動を行うことができず、その操作性が著しく悪くなってしまい、介護者、被介護者はストレスを受け易い。
【００３９】
また、図１０（ｂ）に表したように、本体部２００とノズル先端部２０１の境界Ｂに段差２０３があるハンドノズル１３０Ｂを用いた場合でも、上記と同様の引っかかり現象が起き易い。すなわち、吐水口１３５から吐水される水の向きが定まらず、人体の被洗浄部分以外の部分に水が不意に衝突してしまう場合もある。また、ハンドノズル自体が人体に不意に当たる場合もある。
【００４０】
また、図１１には、ハンドノズル１３０を便座の端部４００ｅ上で回転させた場合の状態が示されている。
上述したように、ノズル先端部２０１から把持部１３７の先端までの領域ＡＲ（図５参照）は滑らかな連続面であり、把持部１３７からノズル先端部２０１に向かう方向に対して直交する方向に湾曲した曲面を形成している。こうすることにより、便座４００（または便器５００）の端部４００ｅ上で、ハンドノズル１３０の長手方向を軸として、スムーズに回転させることができる。スムーズに回転できる回転角θとしては、通常の使用態様においては、概ね１４０°以上であれば良好な使い勝手が得られ、１８０°までスムーズに回転させることができればさらによい。
【００４１】
すなわち、ハンドノズル１３０Ｂでは、スムーズにその作動を行うことができず、その操作性が著しく悪くなってしまう。すなわち、ハンドノズル１３０Ｂを用いた場合、介護者、被介護者はストレスを受け易い。
このように、ハンドノズル１３０を用いると、ハンドノズル１３０のストローク動作、回転動作、振り込み動作の何れにおいても、その操作性が向上し、介護者、被介護者にストレスを与えない。
【００４２】
なお、図２に示すノズル先端部２０１の形態としては、ストレート形状のものを例示したが、ノズル先端部２０１は、反った形態であってもよく、その一部が屈曲した形態であってもよい。
また、ノズル先端部２０１と太幅部１３４とは、一体の構造であってもよく、ノズル先端部２０１が太幅部１３４に着脱可能な構造であってもよい。
一体構造とした場合は、部品点数及び組み立て工数の低減により、少ないコストで製作することが出るという利点を有する。
一方、ノズル先端部２０１が着脱可能な別部品とした場合は、汚水を浴びやすいノズル先端部２０１を取り外しての洗浄作業を容易に行うことが出来るほか、定期的に交換して清浄な状態を保つことができるという利点を有する。
【００４３】
次に、人体洗浄装置１００の他の部材について補説する。
図１に示す収納部１６０は、その上面に設けられた開口部１６１と、その内部に設けられた収納孔１６３と、ハンドノズル１３０の吐水口１３５からの水を外部へ排出する排水路１６５と、を有する。ハンドノズル１３０は、使用されていないときには、その収納部１６０に収納されている。より具体的には、ハンドノズル１３０の少なくとも一部は、開口部１６１から挿入され、収納部１６０の内部、すなわち収納孔１６３に収納されている。なお、収納部１６０は、便器５００に付設されていてもよいし、あるいは便器５００に付設されていなくともよい。
【００４４】
ホース１２０は、その一端においてハンドノズル１３０に接続され、その他端においてケーシング１０１に接続されている。また、ホース１２０は、図１に表したように、所定の長さを有するため、介護者などはハンドノズル１３０の把持部１３７を手で持ちつつ、少なくとも吐水口１３５の部分を便座４００に座った被介護者の臀部や陰部近傍に移動させることができる。そして、介護者などは、ハンドノズル１３０の把持部１３７を手で持ち、操作部１３１を矢印Ａの方向に押しつつ、便座４００に座った被介護者の臀部や陰部の任意の位置にハンドノズル１３０を移動させて吐水させることにより、臀部や陰部の広い範囲を洗浄できる。また、前述したように、熱交換器１１０はヒータを有するため、本実施形態に係わる人体洗浄装置１００は、加熱された洗浄水を吐水できる。
【００４５】
ここで、ハンドノズル１３０の吐水口１３５は、便器５００の内部に挿入された状態で局部に洗浄水を噴射するため、吐水部１３６あるいはその近傍には汚水や汚物が付着するおそれがある。ハンドノズル１３０に汚水や汚物が付着したまま収納部１６０に収納され放置されると、汚水や汚物が固着するため衛生上好ましくない。これに対して、本実施形態に係わる人体洗浄装置は、収納部１６０に収納された状態のハンドノズル１３０の少なくとも吐水部１３６を洗浄できる。ハンドノズル１３０の使用後には、そのハンドノズル１３０は、ほぼ必ず収納部１６０に収納される。そのため、本実施形態に係わる人体洗浄装置は、収納部１６０においてハンドノズル１３０を洗浄することにより、そのハンドノズル１３０を清潔な状態に確保することができる。以下、収納部１６０に収納された状態のハンドノズル１３０を洗浄する動作について、図面を参照しつつ説明する。
【００４６】
図１２は、本実施形態のハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
本実施形態のハンドノズル１３０は、図２に表したように、吐水部１３６よりも幅が大きい太幅部（支持部）１３４を有する。太幅部１３４は、吐水口１３５よりもホース１２０側に設けられ、吐水口１３５側からホース１２０側に向かうにつれて幅が大きくなるように形成されている。
【００４７】
一方、収納部１６０の開口部１６１の開口面積は、ハンドノズル１３０の吐水部１３６の最外形よりも大きく、太幅部１３４の少なくとも一部の外形よりも小さい。そのため、ハンドノズル１３０をその先端１３８側から開口部１６１に挿入し、収納部１６０に収納すると、図１２に表したように、太幅部１３４の少なくとも一部は収納部１６０の開口部１６１に引っ掛かる。その結果、ハンドノズル１３０は、これよりも収納部１６０の内部には進入できない。
【００４８】
収納部１６０の内部、すなわち収納孔１６３の高さＨは、ハンドノズル１３０が収納された状態、すなわち太幅部１３４が開口部１６１に引っ掛かった状態において、収納部１６０の内部に進入したハンドノズル１３０の部分の長さよりも大きい。つまり、収納部１６０の収納孔１６３の高さＨは、太幅部１３４が開口部１６１に支持された状態において、ハンドノズル１３０の先端１３８が収納孔１６３の底面１６２に当接しないように適宜設定されている。
【００４９】
そして、収納部１６０に設けられた図示しない赤外線投光式センサやリミットスイッチなどと呼ばれる開閉式スイッチが、収納部１６０に収納されたハンドノズル１３０を検知すると、制御部１５０はハンドノズル１３０内に設けられた開閉弁１３９を開放し吐水口１３５から洗浄水を吐水させる。そうすると、吐水口１３５から吐水された洗浄水６１０は、図１２に表したように、収納孔１６３に一時貯留される。つまり、吐水口１３５から吐水された洗浄水６１０が、収納孔１６３に一時貯留されるように、排水路１６５の形状が適宜設定されている。
洗浄水６１０が収納孔１６３に一時貯留されると、図１２に表したように、ハンドノズル１３０の吐水部１３６は、洗浄水６１０に浸される。そうすると、ハンドノズル１３０の吐水部１３６は、洗浄水６１０により洗浄される。
【００５０】
このとき、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していないため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。つまり、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２から離間しているため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、円滑に流れ排水路１６５から便器５００内に排出される。なお、排水路１６５から流出した洗浄水６１０は、必ずしも便器５００内に排出されなくともよく、例えば排水路１６５の先端あるいは先端近傍に設けられた図示しない受け皿などの容器に排出されてもよい。
【００５１】
そのため、洗浄水６１０により洗い落とされた汚水や汚物が、ハンドノズル１３０の吐水部１３６あるいはその近傍により進路を遮られるおそれは少なく、再び吐水口１３５の部分に付着するおそれは少ない。また、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、ハンドノズル１３０の先端１３８と、収納孔１６３の底面１６２と、の間を円滑に流れるため、洗浄性を向上させることができる。これにより、本実施形態に係わる人体洗浄装置１００は、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。
【００５２】
なお、赤外線投光式センサや開閉式スイッチの検知結果に基づいて、吐水口１３５から洗浄水６１０を吐水する場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されるわけではない。例えば、介護者などがハンドノズル１３０を収納した後に、介護者自身が操作部１３１を操作して吐水口１３５から洗浄水６１０を吐水させてもよい。あるいは、介護者などが、図示しないリモコンに設けられた洗浄スイッチを操作することにより、制御部１５０が開閉弁１３９を開放し、吐水口１３５から洗浄水６１０を吐水させてもよい。
【００５３】
一方、吐水口１３５からの洗浄水６１０を止水する場合には、制御部１５０のタイマ制御機能を利用できる。制御部１５０は、タイマ制御機能を有し、開閉弁１３９を開放させてから所定時間が経過すると、開閉弁１３９を閉止できる。そうすると、開閉弁１３９を開放させてから所定時間が経過した後に、吐水口１３５からの洗浄水６１０を止水することができる。
【００５４】
あるいは、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０の透明度を検知する濁度センサなどの検知結果に基づいて、吐水口１３５から洗浄水６１０を止水させてもよい。ハンドノズル１３０に付着した汚水や汚物が洗浄水６１０により洗い落とされると、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０の透明度は低下するが、洗浄水６１０が排水路１６５から排出されるにつれて上昇する。そして、図示しない濁度センサが、洗浄水６１０の透明度が所定値以上に達したことを検知すると、制御部１５０は開閉弁１３９を閉止して吐水口１３５からの洗浄水６１０を止水することができる。
【００５５】
また、ハンドノズル１３０の太幅部１３４は、吐水口１３５側からホース１２０側に向かうにつれて幅が大きくなるように形成されているが、これだけに限定されるわけではない。つまり、ハンドノズル１３０は、その先端１３８が収納孔１６３の底面１６２から離間できるように、収納部１６０に支持され得る形状を有していればよい。
【００５６】
次に、本実施形態に係わる人体洗浄装置１００の構成の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図１３は、本実施形態に係わる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【００５７】
本実施形態に係わる人体洗浄装置１００では、まず、給水源としての水道から継手１０３を介して、水が給水弁１９０に供給される。給水弁１９０は、熱交換器１１０よりも上流側に設けられ、制御部１５０からの制御信号に応じて開閉できる。給水弁１９０が開放されている場合には、熱交換器のタンクに水が供給され、給水弁１９０が閉止されている場合には、熱交換器のタンクへの水の供給は停止される。
【００５８】
続いて、水道からの水が給水弁１９０を介して熱交換器１１０に供給されると、熱交換器１１０に貯留され加熱されていた洗浄水は、継手１０５を介してホース１２０に供給される。続いて、ホース１２０に供給された水は、ハンドノズル１３０内の開閉弁１３９に供給される。開閉弁１３９が開放されている場合には、吐水口１３５から洗浄水６１０が吐水され、開閉弁１３９が閉止されている場合には、吐水口１３５からの洗浄水６１０は止水される。
【００５９】
そして、開閉弁１３９が開放され、吐水口１３５から洗浄水６１０が吐水されると、その洗浄水６１０は、収納孔１６３に一時貯留される。このとき、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していないため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。つまり、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２から離間しているため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、円滑に流れ排水路１６５から便器５００内に排出される。そのため、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。
【００６０】
なお、本具体例では、水道の圧力を利用して熱交換器１１０に水を供給する場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されず、ポンプを設けてもよい。これによれば、水道の圧力だけではなく、ポンプによって与えられた圧力を利用して熱交換器１１０に水を供給することができる。
【００６１】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、ハンドノズル１３０などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや収納部１６０の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、ハンドノズル１３０を収納部１６０に収納すると、操作部１３１は、開閉弁１３９を閉止させる状態から開放させる状態へと遷移されてもよい。これによれば、ハンドノズル１３０が収納部１６０に収納された状態では、開閉弁１３９は常に開放されることになるため、制御部１５０は、開閉弁１３９を制御しなくとも、給水弁１９０を制御するだけで、吐水口１３５から洗浄水６１０を収納孔１６３内に供給できる。
【００６２】
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【００６３】
１００ 人体洗浄装置
１０１ ケーシング
１０３、１０５ 継手
１１０ 熱交換器
１２０ ホース
１３０、１３０Ａ、１３０Ｂ ハンドノズル
１３１ 操作部
１３２ 軸
１３３ 開閉スイッチ
１３４ 太幅部
１３５ 吐水口
１３６ 吐水部
１３７ 把持部
１３８ 先端
１３９ 開閉弁
１５０ 制御部
１６０ 収納部
１６１ 開口部
１６２ 底面
１６３ 収納孔
１６５ 排水路
１６７ 突起部
１７０ 着座センサ
１８０ 入室検知センサ
１９０ 給水弁
２００ 本体部
２０１ ノズル先端部
２０２ 突起
２０３ 段差
３００ 便蓋
４００ 便座
４００ｅ 端部
５００ 便器
６１０ 洗浄水
Ａ、Ｘ、Ｙ、Ｄ 矢印
Ｂ 境界
Ｃ 中心軸
Ｈ 高さ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
洗浄水を吐水する吐水口を有するノズル先端部と、
前記ノズル先端部に接続され、前記吐水口からの吐水と止水とを切り替える開閉弁を操作するための操作部と、前記操作部を操作する使用者が把持する把持部と、を有する本体部と、
を備え、
前記吐水口の側からみて裏側において、前記ノズル先端部の表面から前記本体部の把持部分の先端までが連続面を形成していることを特徴とするハンドノズル。
【請求項２】
前記連続面は、前記把持部から前記ノズル先端部に向かう方向に対して直交する方向に湾曲した曲面を形成していることを特徴とする請求項１に記載のハンドノズル。
【請求項３】
前記操作部から前記吐水口への方向に対して略垂直な方向の前記ノズル先端部の断面が扁平していることを特徴とする請求項１または２に記載のハンドノズル。
【請求項４】
請求項１〜３のいずれか１つに記載のハンドノズルと、
洗浄水を加熱する熱交換器と、
前記熱交換器により加熱された洗浄水を前記ハンドノズルに導水するホースと、
を備えたことを特徴とする人体洗浄装置。
【請求項１】
洗浄水を吐水する吐水口を有するノズル先端部と、
前記ノズル先端部に接続され、前記吐水口からの吐水と止水とを切り替える開閉弁を操作するための操作部と、前記操作部を操作する使用者が把持する把持部と、を有する本体部と、
を備え、
前記吐水口の側からみて裏側において、前記ノズル先端部の表面から前記本体部の把持部分の先端までが連続面を形成していることを特徴とするハンドノズル。
【請求項２】
前記連続面は、前記把持部から前記ノズル先端部に向かう方向に対して直交する方向に湾曲した曲面を形成していることを特徴とする請求項１に記載のハンドノズル。
【請求項３】
前記操作部から前記吐水口への方向に対して略垂直な方向の前記ノズル先端部の断面が扁平していることを特徴とする請求項１または２に記載のハンドノズル。
【請求項４】
請求項１〜３のいずれか１つに記載のハンドノズルと、
洗浄水を加熱する熱交換器と、
前記熱交換器により加熱された洗浄水を前記ハンドノズルに導水するホースと、
を備えたことを特徴とする人体洗浄装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【公開番号】特開２０１０−１８７９６７（Ｐ２０１０−１８７９６７Ａ）
【公開日】平成２２年９月２日（２０１０．９．２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−３６３５０（Ｐ２００９−３６３５０）
【出願日】平成２１年２月１９日（２００９．２．１９）
【出願人】（００００１００８７）ＴＯＴＯ株式会社 (3,889)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年９月２日（２０１０．９．２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年２月１９日（２００９．２．１９）
【出願人】（００００１００８７）ＴＯＴＯ株式会社 (3,889)
【Ｆターム（参考）】
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