説明

ハンマードリルのビットアダプタ

【課題】 比較的高い個所の穴開け作業を低所からでも行えるハンマードリルを得る。
【解決手段】 ハンマードリル本体Dに挿着するシャンク部1bと、ドリルビットbの挿着手段を備えたアダプタ主体1aを所要長さの内筒1cを介して互いに接続する。前記内筒1cの外側には手先で保持できる長さの有る外筒3を遊嵌する。また、アダプタ主体1aの外径より外筒3の内径を小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンマードリル本体に取付けて、例えば径の異なる種々のビットを選択的に用いることができるようにしたハンマードリルのビットアダプタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一端(基端)側にシャンク部を、該シャンク部に連続する他端(先端)側をドリルビットを挿着する挿着穴を備えたアダプタ本体とした構造のものが一般である(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】実開平4−5911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来例は、いわば、アダプタ本体の後端にシャンク部を突設した構成を採るため比較的短い形態を成し、たとえば、軒天ボルトのために天井に穴を開ける場合など床面からとどかない高所の穿設作業を行うときには脚立等の足場を利用して作業しなければならず、足場不安定な個所での作業は危険でもある。
【0005】
本発明は、斯様な常況を勘案し、比較的高い個所の穴開け作業を低所からでも行えるハンマードリルを提供すべく創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ハンマードリル本体に挿着するシャンク部と、ドリルビットの挿着手段を備えたアダプタ主体を所要長さの内筒を介して互いに接続すると共に、前記内筒の外側には手先で保持できる長さの有る外筒を遊嵌した、構成としたものである。
【0007】
なお、この構成に、アダプタ主体の外径より外筒の内径を小さくした点を付加することにより、外筒をアダプタ主体に押し付けて該主体に挿着するビットに推進力を与えて穿孔作業を効率的に行えるハンマードリルを得ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、内筒を比較的長くしても外筒を手先で保持できるから穿孔操作に不都合のないビットアダプタを提供できる。従って、内筒を充分な長さにして、比較的高い箇所の孔開けに際しても脚立など必要としないハンマードリルを得ることができ、好適である。
【実施例】
【0009】
図面は本発明に係る、ハンマードリルのビットアダプタの一実施例を示し、図1はビットアダプタAの本体で、アダプタ本体1は、ドリルビットbの挿着手段を備えたアダプタ主体1aとシャンク部1bを内筒1cで互いに接続(実施例では互いに螺合してあるが、この螺合手段に代えて熔接などの他の手段でも良い)して構成し、前記ビットアダプタAは、このアダプタ本体1に、該本体1の外側に係合させるようにして、前記挿着手段の操作筒2と外筒3を軸線に沿わせて移動自在に組付けて構成させる。
【0010】
アダプタ主体1aは後端側の小径部1a´を前記内筒1cに螺入して内筒1cと接続し、前記の挿着手段を備えたものである。
【0011】
挿着手段は、先端面を開口して、前記ドリルビットbをシャンク部において挿入する挿着穴4と、該挿着穴4の周壁に出没自在に支持させたロックピン5と、該ロックピン5を押圧して前記挿着穴4内のビットbの前記シャンク部の凹部に係合させる前記操作筒2および該操作筒2とアダプタ主体1aとの間に介在され、操作筒2によるロックピン5の押圧状態を保持するコイルばね8とで構成され、ドリルビットbの挿着時にはばね8の付勢によって操作筒2によるロックピン5の挿着穴4内のビットbに対する係合状態を保ち、ビットbの取外し時には、コイルばね8の付勢に抗する操作筒2の、アダプタ主体1a先端側から後方への後退移動によってロックピン5の規制が解放される。
【0012】
シャンク部1bは、後部側にドリル本体Dに備えたチャックなどの支持手段が係合する凹入部を備え、先端にはアダプタ主体1aと同様に小径部1b´を備え、この小径部1b´を前記内筒1cの後端に螺入して内筒1cに接続してアダプタ主体1aとで前記の通りアダプタ本体1を構成する。
【0013】
アダプタ本体1は、主体部1aとシャンク部1bを長い内筒1c(鋼管製)で接続して前記の通り構成し、シャンク部1bによってハンマードリル本体Dに取付けることによって、ドリル本体Dと主体部1aに取付けるドリルビットbとの間の距離を長くし、いわばハンマードリル用延長棒として適用して、天井面などこれまで脚立を使用しなければできなかった高所の作業を床面上からもできるようにしたもので、実施例の場合、前記内筒1cは1155mmの長さを有する(通常のビットアダプタよりドリルビットbの長さを1155mm長くしたことになる)。
【0014】
前記外筒(鋼管製)3は、内筒1cとほぼ同長にして内筒1cの外側にして内筒1c乃至アダプタ本体1に対し回動自在に組付け、その内径を主体部1aとシャンク部1b(小径部1a´,1b´を除く)の外径より小さくし、主体部1aとシャンク部1bに小径部1a´,1b´を設けて形成される段部12,12´に係止して、その前後の移動が規制されると共に、外筒3を段部12に押圧係止することによって主体部1aに挿着されたビットbを間接的に押圧し、後方から押圧されるビットbは、推進力を得て穿孔動作を効率的に行う。
【0015】
そして、実施例のビットアダプタAは、ハンマードリル本体1にシャンク部1bに於いて組付け、アダプタ主体1aにドリルビットbを挿着して用い、必要に応じて外筒3を手先で保持し、外筒3を押圧することによって主体1に取付けたドリルビットbを被穿孔体に押し付けるようにして用いるのである。
【0016】
なお、外筒3の内径をアダプタ主体1aの外径より小さくする(狭くする)ということは、外筒3がアダプタ主体1aに接して移動できない、ということを意味し、主体1aに部分的に突出部を設けて外筒3からの押圧を受圧する場合もこれに含まれる。
【0017】
また、外筒3はその長さに対応してビットbとドリル本体Dが離開して、作業者から離開した個所の穿孔を行えるが、長すぎると、重量が嵩んだり(内筒1cが筒体であるのは軽量化を図った結果である)して支障が来たすので、注意すべきであり、その長さは内筒と同長の必要はなく、少なくも手先で保持できる程度にはすべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ビットアダプタの断面図。
【符号の説明】
【0019】
1a アダプタ主体
1b シャンク部
1c 内筒
3 外筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンマードリル本体に挿着するシャンク部と、ドリルビットの挿着手段を備えたアダプタ主体を所要長さの内筒を介して互いに接続すると共に、前記内筒の外側には手先で保持できる長さの有る外筒を遊嵌した、ハンマードリルのビットアダプタ。
【請求項2】
アダプタ主体の外径より外筒の内径を小さくした、請求項1記載のハンマードリルのビットアダプタ。

【図1】
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【公開番号】特開2010−29953(P2010−29953A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191826(P2008−191826)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(390003436)株式会社山下工業研究所 (9)
【Fターム(参考)】