説明

ハンモック支持構造体

【課題】 使用場所の状況に応じて容易に大きさを調節可能なハンモックを提供する。
【解決手段】 ハンモック支持構造体11は、床上に載置されて前後方向に延びるベース部材12と、その下端部がベース部材12の前方端部および後方端部に回動可能に連結されて上下方向に延びる1対の柱部材13,14と、各柱部材13,14上を上下方向にスライド可能に設けられた1対のスライド部材15,16と、その上端部がスライド部材15,16に回動可能に連結され、その下端部がベース部材12に回動可能に連結された1対の角度調整部材17,18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハンモックを場所を問わず使用可能とするハンモック支持構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のハンモックは、例えば、特開平7−194431号公報(特許文献1)に記載されている。このハンモック支持構造体1は、図1に示すように、床上に載置されて前後方向に延びるベース部材2と、下端部がベース部材2の前方端部および後方端部に回動可能に連結されて上下方向に延びる柱部材3と、柱部材の上端に係止され、左右に揺動可能なハンモック4とを備える。
【0003】
上記構成のハンモック支持構造体1は、ハンモック4を係止するために柱や樹木等を必要としないので、場所を選ばずに使用可能であると記載されている。また、各構成部品毎に分解することにより、持ち運びおよび収納時にはコンパクトになり便利である旨が記載されている。
【特許文献1】特開平7−194431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報に記載されているハンモック1は、屋外での使用には問題はないが、長手方向の寸法を調節できないので、スペースの制約のある屋内での使用には適していない。また、収納時には各構成部品毎に分解するという煩雑な作業が必要であり、再使用時にも同様の作業が発生する。
【0005】
そこで、この発明の目的は、使用場所の状況に応じて容易に大きさを調節可能なハンモックを提供することである。また、この発明の他の目的は、容易に使用状態と収納状態とに切替可能なハンモックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、ハンモック本体を吊るすためのハンモック支持構造体である。具体的には、床上に載置されて前後方向に延びるベース部材と、その下端部がベース部材の前方端部および後方端部に回動可能に連結されて上下方向に延びる1対の柱部材と、各柱部材上を上下方向にスライド可能に設けられた1対のスライド部材と、その上端部がスライド部材に回動可能に連結され、その下端部がベース部材に回動可能に連結された1対の角度調整部材と、各柱部材に対する各スライド部材の動きを禁止するロック手段とを備える。そして、各柱部材は、ベース部材に対して鈍角をなす位置から、ベース部材上に重なる位置にまで回動可能である。
【0007】
上記構成のハンモック支持構造体は、長手方向の寸法を任意に調整可能であるので、屋外はもちろん、スペースに制約のある屋内においても使用可能となる。また、ハンモック支持構造体を使用しないときには1対の柱部材をベース部材上に重なるように折り畳むことができるので、収納場所の省スペース化を図ることもできる。
【0008】
好ましくは、ベース部材の前方端部および後方端部は、それぞれ、上方に向かって曲がった形状を有している。さらに好ましくは、ベース部材の一方の端部の上方への曲がり量は、他方の端部の曲がり量よりも大きい。これにより、折り畳んだ状態で、2つの柱部をベース部材上にきれいに重なり合わせることができる。
【0009】
各柱部材は、例えば、上下方向に間隔をあけて設けられた複数の係合穴を有し、ロック手段は、係合穴に係合し得るようにスライド手段に支持されたロックピンを備える。さらに好ましくは、ロック手段は、ロックピンを係合穴に向かって移動させるように付勢する弾性部材を備える。
【0010】
上記構成の角度調整機構は、ベース部材および柱部材との連結状態を保ったままベース部材と柱部材との角度を調整することができる。その結果、構成部品の着脱等の煩雑な作業を伴わずに、長手方向の寸法を容易に変更可能なハンモック支持構造体を得ることができる。
【0011】
ベース部材は、例えば、間隔をあけて平行に配置された2本の水平棒を含み、各柱部材は、その下端部が水平棒に回動可能に連結され、その上端部が互いに連結されて逆V字状の形態を呈する2本の縦棒を含む。そして、2本の縦棒を、V字状の使用形態から、平行に位置する折畳み形態にまで変更することを可能にするように、2本の縦棒の上端部を接続するヒンジと、屈曲可能な構造を有し、その両端が2本の縦棒に連結された幅寸法規制部材とを備えることが好ましい。
【0012】
上記構成の幅寸法規制部材は、柱部材の2本の縦棒の幅が所定寸法以上に広がるのを防止できるので、ハンモックを安全に利用することができる。さらに、高さ方向に加えて、幅方向にも小さく折り畳むことが可能な構造となるので、収納状態においてさらにコンパクトなハンモック支持構造体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図2および図3を参照して、この発明の一実施形態に係るハンモック支持構造体11を説明する。
【0014】
図2(a)に示すハンモック支持構造体11は、床上に載置されて前後方向に延びるベース部材12と、その下端部がベース部材12の前方端部12aおよび後方端部12bに回動可能に連結されて上下方向に延びる1対の柱部材13,14と、各柱部材13,14上を上下方向にスライド可能に設けられた1対のスライド部材15,16と、その上端部がスライド部材15,16に回動可能に連結され、その下端部がベース部材12に回動可能に連結された1対の角度調整部材17,18とを備える。そして、ハンモックの両端を柱部材13,14の上端の係止部13f,14fに係止して使用する。
【0015】
図2に示す実施形態において、ベース部材12は、間隔をあけて平行に配置された2本の水平棒を含み、各柱部材13,14は、その下端部が水平棒に回動可能に連結され、その上端部が互いに連結されて逆V字状の形態を呈する2本の縦棒を含む。
【0016】
上記構成のハンモック支持構造体11は、スライド部材15,16の位置をずらして角度調整部材17,18の角度を変更することにより、柱部材13,14のベース部材12に対する角度を任意に調整することができる。
【0017】
図2は、使用状態で長手方向に最も短い状態、すなわちベース部材12と柱部材13,14とが直角になった状態であるが、柱部材13を、ベース部材12に対して鈍角をなす位置、例えば、図中13a,13b,13cで示す角度位置にして使用することもできる。なお、柱部材14も同様である。
【0018】
さらに、柱部材13,14をベース部材12上に重なる位置、すなわち図中13d,14dに示す位置とすることにより、高さ方向に小さくして折り畳むことも可能である。このとき、2つの柱部材13,14をベース部材12上にきれいに重ね合わせるように、ベース部材12の前方端部12aおよび後方端部12bを上方に向かって曲げて、前方端部12aの上方への曲がり量を、後方端部12bの曲がり量よりも大きく設定する。
【0019】
さらに、柱部材13は、2本の縦棒の上端部を接続するヒンジ19と、幅寸法規制部材としての屈曲可能なリンク20を有し、2本の縦棒を、図3(a)に示すようなV字状の使用形態と、図3(b)に示すような平行に位置する折畳み形態にまで変更することを可能にする。なお、この構造は、柱部材14についても同様である。
【0020】
上記構成のハンモック支持構造体11は、長手方向の寸法を任意に調整可能であるので、屋外はもちろん、スペースに制約のある屋内においても使用可能となる。また、ハンモック支持構造体11を使用しないときには小さく折り畳んで収納可能であるので、収納場所の省スペース化を図ることもできる。
【0021】
次に、図4(a)および(b)を参照して、ハンモック支持構造体11に使用されるスライド部材15の一例について説明する。
【0022】
スライド部材15は、図4(a)に示すように、柱部材13に嵌合するスライダ本体15aと、角度調整部材17を回動自在に連結する連結ピン15dと、柱部材13の所定位置からの動きを禁止するロック手段とを有する。
【0023】
ロック手段の一例としては、例えば、図4(b)に示すように、柱部材13は、上下方向に間隔をあけて設けられた複数の係合穴13eを有する。スライド部材15は、係合孔13eに係合し得るようなロックピン15eと、スライダ本体15aに固定ピン15cで固定され、ロックピン15eを係合穴13eに向かって移動させるように付勢する弾性部材としての板ばね15bとを備える。
【0024】
このスライド部材15は、ロックピン15eを外側に引くと係合穴13eとの係合が解けて、柱部材13に沿って移動可能となる。そして、任意の係合穴13e上でロックピン15eを離すと板ばね15bの弾性力によってロックピン15eと係合穴13eとが再び係合する。
【0025】
これにより、角度調整部材17の角度を調整することができる。具体的には、スライド部材15を柱部材13に沿って上に動かすと長手方向寸法が短くなり、下に動かすと長手方向寸法が長くなる。なお、スライド部材16についても同様である。
【0026】
上記構成の角度調整機構は、ベース部材12および柱部材13との連結状態を保ったままベース部材12と柱部材13との角度を調整することができる。その結果、構成部品の着脱等の煩雑な作業を伴わずに、長手方向の寸法を容易に変更可能なハンモック支持構造体11を得ることができる。
【0027】
なお、上記の実施形態においては、スライド部材15のロックピン15eと柱部材13の係合穴13eとを係合させることにより、スライド部材15の位置決めをする例を示したが、これに限ることなく、例えば、スライド部材15と柱部材13の表面との摩擦によって位置決めすることとしてもよい。この場合には、ロックピン15eに代えてスライド部材15に柱部材13の表面に当接するねじを設け、ねじのねじ込みによって摩擦力を調整することとしてもよい。
【0028】
次に、図5(a)および(b)を参照して、ハンモック支持構造体11の柱部材13に使用される幅寸法規制部材の一例を説明する。
【0029】
幅寸法規制部材としてのリンク20は、2つのリンク棒20aの一端20cを互いに屈曲可能に連結し、他端20dを柱部材13の縦棒にそれぞれ回動自在に連結する。図5(a)に示すのは、柱部材13の縦棒を逆V字状に保持した使用状態を示す図である。
【0030】
また、リンク棒20a同士の連結端20cの上側にリンク20が下向きに屈曲するのを防止する屈曲規制部材20bを設ける。これにより、ハンモックに人が乗っても柱部材13の角度がこれ以上大きくなることがないので、ハンモック支持構造体11を安全に利用することができる。
【0031】
一方、ハンモック支持構造体11を幅方向に折り畳む場合には、図5(b)に示すように、リンク20を上向きに屈曲させて、柱部材13を平行に保持することにより行う。なお、使用状態においてもリンク20は上向きには自由に屈曲可能であるが、重力等により自然に上向きに屈曲することはないので、使用状態において問題となることはない。
【0032】
上記構成の幅寸法規制機構も、構成部品の着脱等を伴わずに柱部材13の幅を調整可能であるので、容易に使用状態と収納状態とに切替可能なハンモック支持構造体11を得ることができる。なお、幅寸法規制機構は、柱部材13,14の縦棒が所定幅以上に広がるのを防止できればよいので、例えば、2本の縦棒に紐を渡すようなものであってもよい。
【0033】
また、上記構成のハンモック支持構造体11の他の効果として、角度調整部材により寝床部材14の撓み量を用途に応じて調整することができる。具体的には、図6(a)に示すように、撓み量を少なくしてハンモックとして使用する場合や、図6(b)に示すように、撓み量を大きくして揺り籠として使用する場合等が考えられる。または、図6(c)に示すように、乳児期や幼児期においては、ハンモック支持構造体11をベビーベット支持構造体として使用し、成長に応じて用途を変更することにより、継続して使用可能となる。
【0034】
なお、本明細書中で用いた「ハンモック」という用語は、図6(a)および(b)で示したような布製、または網製の吊床だけでなく、支持フレームによって支えられる、例えば、ボックス上のベッド等をも含むものとして理解されねばならない。
【0035】
また、上記の実施形態におけるハンモック支持構造体は、ハンモックを支持するだけでなく、柱部材13,14の上端に鉄棒の両端をそれぞれ連結することにより、鉄棒支持構造体としても使用可能であり、さらに、鉄棒にブランコを吊り下げることによりブランコ支持構造体としても使用可能である。
【0036】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
この発明は、屋外および屋内のいずれでも使用可能なハンモックに有利に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】従来のハンモックを示す斜視図である。
【図2】この発明の一実施形態に係るハンモックの正面図である。
【図3】この発明の一実施形態に係るハンモックの側面図であって、(a)は使用状態、(b)は折り収納状態を示す図である。
【図4】この発明の角度調整機構に使用されるスライド部材の一例であって、(a)は正面図、(b)は側断面図である。
【図5】この発明のハンモック支持構造体に使用される幅寸法規制部材の一例であって、(a)は使用状態、(b)は収納状態を示す図である。
【図6】この発明の一実施形態に係るハンモック支持構造体の使用例を示す図であって、(a)はハンモックとして、(b)は揺り籠として、(c)はベビーベットとして使用する状態を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1,11 ハンモック支持構造体、2,12 ベース部材、12a 前方端部、12b 後方端部、3,13,13a,13b,13c,13d,14,14a,14b,14c,14d 柱部材、13e 係合穴、13f,14f 係止部、4、 ハンモック、15,16 スライド部材、15a スライダ本体、15b 板ばね、15c 固定ピン、15d 連結ピン、15e ロックピン、17,18 角度調整部材、19 ヒンジ、20 幅寸法規制部材、20a リンク棒、20b 屈曲規制部材、20c,20d リンク棒端部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンモック本体を吊るすためのハンモック支持構造体であって、
床上に載置されて前後方向に延びるベース部材と、
その下端部が前記ベース部材の前方端部および後方端部に回動可能に連結されて上下方向に延びる1対の柱部材と、
前記各柱部材上を上下方向にスライド可能に設けられた1対のスライド部材と、
その上端部が前記スライド部材に回動可能に連結され、その下端部が前記ベース部材に回動可能に連結された1対の角度調整部材と、
前記各柱部材に対する前記各スライド部材の動きを禁止するロック手段とを備える、ハンモック支持構造体。
【請求項2】
前記各柱部材は、前記ベース部材に対して鈍角をなす位置から、ベース部材上に重なる位置にまで回動可能である、請求項1に記載のハンモック支持構造体。
【請求項3】
前記ベース部材の前方端部および後方端部は、それぞれ、上方に向かって曲がった形状を有している、請求項1または2に記載のハンモック支持構造体。
【請求項4】
前記ベース部材の一方の端部の上方への曲がり量は、他方の端部の曲がり量よりも大きい、請求項3に記載のハンモック支持構造体。
【請求項5】
前記各柱部材は、上下方向に間隔をあけて設けられた複数の係合穴を有し、
前記ロック手段は、前記係合穴に係合し得るように前記スライド手段に支持されたロックピンを備える、請求項1〜4のいずれかに記載のハンモック支持構造体。
【請求項6】
前記ロック手段は、前記ロックピンを前記係合穴に向かって移動させるように付勢する弾性部材を備える、請求項5に記載のハンモック支持構造体。
【請求項7】
前記ベース部材は、間隔をあけて平行に配置された2本の水平棒を含み、
前記各柱部材は、その下端部が前記水平棒に回動可能に連結され、その上端部が互いに連結されて逆V字状の形態を呈する2本の縦棒を含む、請求項1〜6のいずれかに記載のハンモック支持構造体。
【請求項8】
前記2本の縦棒を、V字状の使用形態から、平行に位置する折畳み形態にまで変更することを可能にするように、前記2本の縦棒の上端部を接続するヒンジと、
屈曲可能な構造を有し、その両端が前記2本の縦棒に連結された幅寸法規制部材とを備える、請求項7に記載のハンモック支持構造体。
【請求項9】
前記ハンモック支持構造体は、鉄棒支持構造体およびブランコ支持構造体として使用可能である、請求項1〜8のいずれかに記載のハンモック支持構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−44211(P2007−44211A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231145(P2005−231145)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(390006231)アップリカ育児研究会アップリカ▲葛▼西株式会社 (97)