説明

ハードディスク欠陥領域の検出および分類のための振幅ベースの方法

【課題】ハードディスク欠陥領域の検出および分類のための振幅ベースの方法を提供すること。
【解決手段】ハードディスクドライブにおいて、2つの統計的基準を生成することによって、ハードディスク上の欠陥領域がサーマル・アスペリティ(TA)または媒体欠陥(MD)のどちらに対応するかを分類する。第1の基準(例えば、α)は、(i)信号値(例えば、等化器入力もしくは出力信号値)およびそれら信号値に対応する期待値の一方または両方の大きさと、(ii)信号値および期待信号値の一方または両方の符号とに基づく。第2の基準(例えば、α)は、信号値または期待信号値どちらかの符号ではなく、信号値および期待信号値の一方または両方の大きさに基づく。次に、2つの基準を比較して、欠陥領域がTAまたはMDに対応するかが判断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願の主題は、2005年12月28日出願の米国特許出願第11/319,319号、2008年4月29日出願の米国特許出願第12/111,255号、および2010年2月18日出願の米国特許出願第12/707,820号の主題に関連し、それら出願の教示全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、ハードディスクドライブに関し、特に、ハードディスクドライブのハードディスク上における欠陥領域を検出し、その欠陥領域がサーマル・アスペリティまたは媒体欠陥に対応するかを分類する技術に関する。
【背景技術】
【0003】
本項では、本発明のさらなる理解を容易にする助けとなり得る態様について紹介する。したがって、本項の記述はこの観点から読まれるべきであり、何が従来技術で何が従来技術でないかに関する容認として理解されるべきではない。
【0004】
ハードディスクドライブの理想的なハードディスクは、完全に平坦であって材料組成が完全に均一なデータ記憶表面を有する。しかし、実際には、ハードディスクは完全に平坦ではなく、材料組成は様々である。この結果、また製造上の理由から、異なるタイプの欠陥がハードディスク上に存在する可能性がある。欠陥領域から読み取られたデータを回復させるのは困難な場合があり、困難の度合いは欠陥のタイプによって変わる。ドロップアウト型の欠陥領域では、読取りヘッドのアナログ出力信号の振幅は、比較的平坦で材料組成が比較的均一な正常領域の場合の読取りヘッド出力信号の振幅よりも大幅に低い。読取りヘッド出力信号が、読取りヘッド出力信号を処理するエレクトロニクスによって適切に増幅され調整された場合、かかる欠陥領域に書き込まれたデータは回復されることがある。本明細書では、そのようなドロップアウト型の欠陥を「媒体欠陥」(MD)と呼ぶ。それらのMD領域から読み取られた信号を適切に処理してデータを正確に回復できるように、ハードディスク上のMD領域の場所を決定することが望ましい。
【0005】
場合によっては、ハードディスク領域のトポグラフィが様々であるために、読取りヘッドが旋回するハードディスクのそれらの領域の上に位置付けられたとき、ディスク上に存在するアスペリティによって、読取りヘッドが特定の領域と物理的に接触することになる。そのような領域は、読取りヘッドと均一でないハードディスクとの間の物理的接触によって発生する摩擦熱により、サーマル・アスペリティ(TA)領域と呼ばれる。データ書込みおよびデータ読取り両方の動作中にそれらの領域を回避して、読取りヘッドに対する損傷を防ぐことができるように、ハードディスク上のTA領域の場所を決定することが望ましい。
【0006】
現行および以前のハードディスクドライブは、MR(磁気抵抗)読取りヘッドまたはGMR(巨大MR)読取りヘッドを用いていた。そのような読取りヘッドの場合、MD領域に対応する読取りヘッド出力信号の振幅は正常領域の信号振幅よりも大幅に小さく、TA領域に対応する読取りヘッド出力信号の振幅は、TA効果によってもたらされるベースラインのずれにより、正常領域の信号振幅よりも大幅に大きい。そのため、信号振幅が正常よりも低い領域を探すことによって、MR/GMR読取りヘッドを用いるハードディスクドライブのハードディスク上のMD領域を見つけることができ、信号振幅が正常な領域に比べて信号ベースラインの大幅な上昇を探すことによって、ハードディスク上のTA領域を見つけることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第11/319,319号明細書
【特許文献2】米国特許出願第12/111,255号明細書
【特許文献3】米国特許出願第12/707,820号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
より新しいハードディスクドライブはTMR(トンネルMR)読取りヘッドを用いている。TMR読取りヘッドの場合、MD領域およびTA領域両方に対応する読取りヘッド出力信号の振幅は正常領域の信号振幅よりも大幅に小さいので、TA領域がMD領域と誤認される可能性がある。そのため、MR/GMR読取りヘッドを用いるハードディスクドライブのMDおよびTA領域を検出し分類するのに使用される従来の信号処理技術を使用して、TMR読取りヘッドを用いるハードディスクドライブのMDおよびTA領域を検出し分類することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態では、本発明は、ハードディスク上の欠陥領域をサーマル・アスペリティ(TA)または媒体欠陥(MD)のどちらかと関連するものとして分類する機械実施型の(machine-implemented)方法である。機械は、(i)欠陥領域に対応する信号値およびそれに対応する期待信号値(expected signal values)の一方または両方の大きさと、(ii)信号値および期待信号値の一方または両方の符号とに基づいて、第1の基準を生成する。機械は、信号値または期待信号値どちらかの符号ではなく、信号値および期待信号値の一方または両方の大きさに基づいて第2の基準を生成する。機械は、第1および第2の基準を比較し、その比較に基づいて欠陥領域がTAまたはMDと関連しているかを判断する。
【0010】
本発明の他の態様、特徴、および利点は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、および添付図面により、さらに十分に明白になるであろう。図面中、類似の参照番号は同様または同一の要素を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による、トンネル磁気抵抗(TMR)読取りヘッドを用いるハードディスクドライブの読取りチャネルを示すハイレベル・ブロック図である。
【図2】本発明の1つの可能な実現例による、図1のMD/TA検出および分類(D&C)サブシステムを示すハイレベル・ブロック図である。
【図3】MDまたはTAのどちらかに対応するものとして領域を分類する1つの可能なスキームを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施形態による、トンネル磁気抵抗(TMR)読取りヘッドを用いるハードディスクドライブの読取りチャネル100のハイレベル・ブロック図を示す。読取りチャネル100の(従来の)主信号処理経路は、TMR読取りヘッド(図示なし)からアナログ読取りヘッド出力信号105を受け取り、二値(硬判定)出力データ信号145を出力する。
【0013】
図1に示されるように、読取りチャネル100は、前置増幅器110、アナログ・フロント・エンド(AFE)120、アナログ・デジタル変換器(ADC)130、およびデジタル・バック・エンド(DBE)140を含む。前置増幅器110は、読取りヘッド出力信号105を増幅し調整して、信号の振幅および周波数成分がAFE120によって処理される指定範囲内にあることを確保し、前置増幅器110からの前置増幅された信号(pre-amplified signal)115をさらに増幅し調整する。ADC130は、AFE出力信号129をデジタル化して、二値出力データ信号145を生成するDBE140によるデジタル信号処理のため、マルチビット・デジタル信号X(ADC出力サンプルx[n]から成る)を作り出す。
【0014】
図1に示されるように、AFE120は、高域フィルタ122、可変利得増幅器124、磁気抵抗非対称(magneto resistive asymmetry)(MRA)補償モジュール126、および連続時間低域フィルタ(continuous-time low-pass filter)128を含み、DBE140は、パーシャルレスポンス(PR)等化器142、および軟判定(例えば、ビタビ)検出器144を含む。本発明にとって特に興味深いことに、PR等化器142は、デジタル化されたADC出力信号XをADC130から受け取り、マルチビット等化信号Y(等化器出力サンプルy[n]から成る)を生成し、それを軟判定検出器144が処理して、二値出力データ信号145を生成する。PR等化器142は、デジタル有限インパルス応答(DFIR)フィルタとして実装することができるが、必ずしもそうでなくてもよい。
【0015】
それに加えて、TMR読取りチャネル100は、媒体欠陥(MD)/サーマル・アスペリティ(TA)検出および分類サブシステム150を含み、これは、信号147をDBE140から受け取って処理して、ハードディスク上の欠陥領域の場所を検出し、検出された欠陥領域それぞれがMD領域またはTA領域のどちらであるかを分類し、その情報は信号155の形で表される。一実現例では、信号147はADC130によって生成されるADC出力信号Xを含む。別の実現例では、信号147はPR等化器142によって生成される等化信号Yを含む。
【0016】
図2は、本発明の1つの可能な実現例による、図1のMD/TAの検出および分類(D&C)サブシステム150のハイレベル・ブロック図を示す。この特定の実現例では、D&Cサブシステム150は、図1の信号Yの等化器出力サンプルy[n]を処理して、ハードディスク上の欠陥領域を検出し分類する。特に、D&Cサブシステム150は、等化器出力サンプルy[n]を処理して欠陥領域の場所および持続時間を検出する欠陥検出器202と、欠陥検出器202によって生成された統計を処理して、検出された欠陥領域それぞれがMD領域またはTA領域のどちらであるかを分類する欠陥分類器(defect classifier)204とを含む。
【0017】
D&Cサブシステム150は、次の式(1)および(2)それぞれにしたがって等化器出力サンプルy[n]を特性付ける2つの統計的基準αおよびαを生成する。
【数1】

式中、
【数2】

(以下、「y^[n]」と表記。他の変数も同様)はマルチビット等化器出力サンプルy[n]の期待値であり、関数E[・]は予想関数を表し、関数sign(・)はオペランドの符号を戻す。
【0018】
特定の実現例に応じて、期待サンプル値y^[n]は多くの異なるやり方で生成することができる。1つのやり方は、適切な目標多項式(target polynomial)を用いて、軟判定検出器144によって生成された出力信号145の硬判定ビット(1および−1によって表される)を畳み込むことによって、y^[n]を構築するというものである。
【0019】
別のやり方は、異なる短期ビット・パターンに対して等化器出力サンプルy[n]の長期平均値を生成するというものである。例えば、ハードディスクに書き込まれたテスト・データが2T配列(即ち、11001100…)と続く場合、異なるローカル・ビット・パターンの中心にあるビット値に対して異なる長期平均値を生成することができる。特に、ローカルな3ビットのパターン「110」の中心のビットに対して1つの長期平均値を生成し、「100」に対して別の平均値、「001」に対して別の平均値、「011」に対してさらに別の平均値を生成することができる。その結果、例えばルックアップ・テーブルに格納される適切な長期平均を、式(1)および(2)の期待サンプル値y^[n]に使用することができる。期待サンプル値y^[n]は、正常領域(即ち、MDまたはTAと関連しない領域)に格納されたデータに対して生成されることに留意されたい。当業者であれば、期待サンプル値y^[n]を生成する他のやり方があってもよいことを理解するであろう。
【0020】
正常な(即ち、欠陥のない)領域の場合、また「期待」という用語によって示唆されるように、等化器出力サンプルy[n]は期待サンプル値y^[n]とほぼ等価(符号および大きさの両方において)である。しかし、上述したように、欠陥領域(MDかTAのどちらかと関連する)では、等化器出力サンプルy[n]の大きさは期待サンプル値y^[n]の大きさよりも大幅に小さい。
【0021】
さらに、実質的には読取りヘッド出力信号105が欠陥のない領域の場合に考えられる信号が減衰されたものであるMD欠陥領域の場合、等化器出力サンプルy[n]の符号は、一般的に期待サンプル値y^[n]の符号と一致する。しかし、読取りヘッド出力信号105が非常に多くのノイズを含むTA欠陥領域の場合、等化器出力サンプルy[n]の符号は実質的に不規則であり、期待サンプル値y^[n]の符号とは良好に相関しない。
【0022】
欠陥領域と欠陥のない領域との間、およびMD欠陥領域とTA欠陥領域との間のこれらの異なる特性を、統計的基準αおよびαを生成する式を設計するにあたって利用した。具体的には、式(1)の統計的基準αは、等化器出力サンプルy[n]および期待サンプル値y^[n]両方の符号と大きさ両方の関数であり、式(2)の統計的基準αは、それら2つの値の大きさの関数であるが、符号の関数ではない。等化器出力サンプルy[n]および期待サンプル値y^[n]の符号が良好に相関していない場合、統計的基準αの大きさは統計的基準αの大きさよりも小さくなる。
【0023】
図2の欠陥検出器202は、統計的基準αを、1よりも小さく、好ましくは0に近い規定の閾値Tと比較することによって、欠陥領域を検出することができる。(α<T)の場合、欠陥検出器202は欠陥領域が検出されていると判断し、そうでなければ欠陥領域は検出されない。代替実現例では、同じ閾値Tまたは別の閾値とともに、統計的基準αの代わりに統計的基準αを使用することができる。
【0024】
欠陥検出器202が欠陥領域を検出すると、欠陥分類器204は、2つの統計的基準αおよびαを互いに比較して、欠陥領域がMD領域またはTA領域のどちらであるかを分類する。具体的には、(α<<α)の場合、検出された欠陥領域はTA領域であると判断される。そうでなければ、
【数3】

であり、検出された欠陥領域はMD領域であると判断される。αおよびαの比較を実現する1つのやり方は、αをαの指定された整数分の一(1よりも小さい適切な値)と比較するというものである。αがαのその指定された整数分の一よりも小さい場合、検出された欠陥領域はTA領域であり、そうでなければMD領域である。比較を実現する別のやり方は、αとαの比を、例えば同じ指定された整数分の一に等しい閾値と比較するというものである。比が閾値よりも小さい場合、検出された欠陥領域はTA領域であり、そうでなければMD領域である。
【0025】
一実現例では、式(1)および(2)を操作することによって、次の式(3)を使用して欠陥分類器204の比較を行うことができる。
【数4】

別の実現例では、欠陥分類器204の比較は、次の式(4)を使用して単純な手法で行うことができる。
【数5】

【0026】
図3(a)は、ハードディスクの等化器出力サンプルy[n]の例示的な配列を表すグラフであり、X軸はサンプル指数を表し、Y軸はサンプル振幅を表す。この例では、ハードディスクは、(i)サンプル番号200とサンプル番号300との間に発生しているTA欠陥領域と、(ii)サンプル番号500とサンプル番号600との間に発生しているMD欠陥領域とを有する。図3(b)は、Y軸において、図3(a)の対応するサンプルに関する、式(1)の統計的基準αと式(2)の統計的基準αとの比を表すグラフである。図3(a)で分かるように、TA欠陥領域およびMD欠陥領域両方の等化器出力サンプルy[n]の振幅は低減されている。そのため、サンプル振幅を特性付けることによって、TA/MD欠陥領域の存在を検出するための容認可能なスキームが得られるかも知れないが、検出された欠陥領域がTA欠陥領域またはMD欠陥領域のどちらであるかを分類するための十分に正確なスキームは得られないことがある。しかし、図3(b)で分かるように、統計的基準の比はTA欠陥領域とMD欠陥領域との間で大きく異なる。このことは、統計的基準の比に基づくスキーム(または、式(3)および(4)によって表されるものなど、それらの統計的基準の特性に基づいて導き出される代替のスキーム)を有効に使用して、検出された欠陥領域がTA欠陥領域またはMD欠陥領域のどちらであるかを分類することができることを示唆している。
【0027】
一般に、検出された欠陥領域は、それらの信号に対する信号値(例えば、x[n]もしくはy[n])および期待値(例えば、x^[n]もしくはy^[n])を使用して、TAまたはMD欠陥領域のどちらであるかを分類することができる。例えば、式(1)および(2)のスキーム、式(3)のスキーム、および式(4)のスキームと同様に、信号値は等化器出力信号値y[n]であることができ、期待信号値は期待される等化器出力信号値y^[n]であることができる。他の例示的実施形態では、信号値は等化器入力信号値(例えば、ADC出力信号値x[n])であることができ、期待信号値は、期待される等化器入力信号値(例えば、期待されるADC出力信号値x^[n])であることができる。
【0028】
いずれの場合も、大きさおよび符号に依存する第1の基準と、符号ではなく大きさのみに依存する第2の基準という、(少なくとも)2つの統計的基準が生成される。次に、2つの統計的基準を比較して、検出された欠陥領域がTAまたはMDに対応するかが判断される。
【0029】
式(1)および(2)に基づく例示的なスキームでは、式(1)の基準αは、信号値y[n]および期待信号値y^[n]両方の大きさと符号両方に依存し、式(2)の基準αは、信号値y[n]および期待信号値y^[n]の大きさに依存し、符号には依存しない。式(3)に基づく例示的なスキームでは、式(3)の左辺は、信号値y[n]および期待信号値y^[n]両方の大きさと符号両方に依存する基準であり、式(3)の右辺は、信号値y[n]および期待信号値y^[n]両方の大きさに依存し、どちらの符号にも依存しない基準である。式(4)に基づく例示的なスキームでは、式(4)の左辺は、信号値y[n]の大きさと符号両方に依存し、期待信号値y^[n]については符号のみに依存する基準であり、式(4)の右辺は、信号値y[n]のみの大きさのみに依存する基準である。
【0030】
特定のスキームの場合、2つの基準はそれぞれ、必ずしも信号値とそれら信号値の期待値の両方に基づいていなくてもよいことに留意されたい。例えば、式(4)のスキームでは、右辺は期待信号値y^[n]ではなく信号値y[n]に基づいている。さらに、式(4)の左辺は、信号値y[n]の符号および大きさに基づいているが、期待信号値y^[n]については符号のみに基づいている。
【0031】
これらの異なる例示的なスキームから一般化すると、第1の基準は、(i)信号値および期待信号値の一方または両方の大きさと、(ii)信号値および期待信号値の一方または両方の符号とに基づいており、第2の基準は、信号値および期待信号値の一方または両方の大きさに基づいているが、どちらの符号にも基づいていない。
【0032】
MD/TA D&Cサブシステム150の1つの可能な実現例では、1つの欠陥領域の終了と次の欠陥領域の開始との間のギャップが指定距離未満のとき、それら2つの欠陥領域およびその間にある正常領域は、分類処理のために結合されて、第1の欠陥領域の開始から第2の欠陥領域の終了までに及ぶ1つの組み合わされた欠陥領域となる。
【0033】
高データレート動作を支援するため、比を、例えば4ビット単位で一旦計算することができ、その結果、各ビットに対して基準が生成される上述の通常レートでの実施に比べて4分の1レートでの実施となる。
【0034】
TMR(トンネル磁気抵抗)読取りヘッドの読取りチャネルに関連して本発明を記載してきたが、当業者であれば、MR(磁気抵抗)読取りヘッドまたはGMR(巨大MR)読取りヘッドを含むがそれらに限定されない他のタイプの読取りヘッドに関連して、本発明を実現できることを理解するであろう。
【0035】
本発明は、単一集積回路(ASICもしくはFPGAなど)、マルチチップ・モジュール、単一カード、またはマルチカード回路パックとしての可能な実現例を含む、(アナログ、デジタル、もしくはアナログとデジタル両方の混成)回路ベースのプロセスとして実現されてもよい。当業者には明白であるように、回路要素の様々な機能はまた、ソフトウェア・プログラムにおける処理ブロックとして実現されてもよい。そのようなソフトウェアは、例えば、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、または汎用コンピュータで用いられてもよい。
【0036】
本発明は、方法およびそれらの方法を実施する装置の形態で具体化することができる。本発明はまた、磁気記録媒体、光記録媒体、固体記憶装置、フロッピー・ディスケット、CD−ROM、ハードドライブ、または他のあらゆる機械可読記憶媒体など、有形の媒体において具体化されるプログラム・コードの形態で具体化することができ、その場合、プログラム・コードがコンピュータなどの機械にロードされ、それによって実行されると、その機械が本発明を実施する装置となる。本発明はまた、例えば、記憶媒体に格納されるか、あるいは機械にロードされ、かつ/またはそれによって実行されるプログラム・コードの形態で実現することができ、その場合、プログラム・コードがコンピュータなどの機械にロードされ、それによって実行されると、その機械が本発明を実施する装置となる。
汎用プロセッサに実装すると、プログラム・コード・セグメントはプロセッサと結合して、特定の論理回路と似た動作をする独自のデバイスとなる。
【0037】
特段の明示がない限り、数値および範囲はそれぞれ、「約」または「およそ」という語句がその数値または範囲の値に優先するものとして、近似的であると解釈されるものとする。
【0038】
本発明の本質について説明するために記載し図示してきた部品の詳細、材質、および配列は、以下の特許請求の範囲に表されるような本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって様々に変更されてもよいことがさらに理解されるであろう。
【0039】
クレームにおける図番および/または図面の参照符号の使用は、クレームの解釈を容易にするため、請求される主題の1つまたは複数の可能な実施形態を特定することを意図する。そのような使用は、それらクレームの範囲を、対応する図面に示される実施形態に必然的に限定するものとして解釈すべきではない。
【0040】
本明細書に記載される例示的な方法のステップは、必ずしも記載順に実行することを必要としないことを理解すべきであり、かかる方法のステップの順序は例示に過ぎないことを理解すべきである。同様に、かかる方法に追加のステップが含まれてもよく、本発明の様々な実施形態と一致する方法において、特定のステップが省略または結合されてもよい。
【0041】
以下の方法クレームに要素が含まれる場合、クレームの列挙がそれら要素の一部またはすべてを実現する特定の順序を別の形で示唆しない限り、それらは対応する符号と併せて特定の順序で列挙されるが、それら要素がその特定の順序で実現されることに限定されることを必ずしも意図しない。
【0042】
本明細書において、「一実施形態」または「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。「一実施形態では」という語句が明細書の様々な場所に出現するが、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているのではなく、別個の実施形態または代替実施形態が他の実施形態と必ずしも相互に排他的であるのでもない。同じことが「実現例」という用語にも該当する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードディスク上の欠陥領域をサーマル・アスペリティ(TA)または媒体欠陥(MD)のどちらかと関連するものとして分類する機械実施型の方法であって、
(a)(i)前記欠陥領域に対応する信号値(例えば、x[n]もしくはy[n])およびそれに対応する期待信号値(例えば、x^[n]もしくはy^[n])の一方または両方の大きさと、(ii)前記信号値および前記期待信号値の一方または両方の符号とに基づいて、第1の基準を機械が生成することと、
(b)前記信号値または前記期待信号値どちらかの符号ではなく、前記信号値および前記期待信号値の一方または両方の大きさに基づいて、第2の基準を前記機械が生成することと、
(c)前記第1および第2の基準を前記機械が比較することと、
(d)ステップ(c)の前記比較に基づいて、前記欠陥領域がTAまたはMDと関連するかを前記機械が判断することとを含む、方法。
【請求項2】
前記信号値が、(i)アナログ・デジタル変換器(ADC)出力値(例えば、x[n])、(ii)等化器入力値(例えば、x[n])、または(iii)等化器出力値(例えば、y[n])である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(i)前記第1の基準が前記第2の基準の指定された整数分の一(指定された整数分の一は1未満)よりも小さいかを判断するか、または(ii)前記第1の基準と前記第2の基準の比を規定の閾値と比較することによって、前記機械が前記第1および第2の基準を比較する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記期待信号値が前記信号値の平均値であり、前記平均値が、前記信号値および1つまたは複数の隣接した信号値と関連するビット・パターンの関数である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記期待信号値が前記信号値に対応する硬判定値から再構築される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記期待信号値が目標多項式を用いて前記硬判定値を畳み込むことによって再構築される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(I)前記第1の基準(例えば、α)が、(i)信号値とそれに対応する期待信号値との積の期待値(例えば、E[y[n]y^[n]])と、(ii)前記対応する期待信号値の平方の期待値(例えば、E[y^[n]y^[n]])との比に基づくか、
(II)前記第1の基準(例えば、α)が、(i)信号値とそれに対応する期待信号値の符号との積の期待値(例えば、E[y[n]sign(y^[n])])と、(ii)前記対応する期待信号値の大きさの期待値(例えば、E[|y^[n]|])との比に基づくか、
(III)前記第2の基準(例えば、α)が、(i)前記信号値の大きさの期待値(例えば、E[|y[n]|])と、(ii)それに対応する期待信号値の大きさの期待値(例えば、E[|y^[n]|])との比に基づくか、
(IV)(a)前記第1の基準が、(i)信号値とそれに対応する期待信号値との積の期待値(例えば、E[y[n]y^[n]])と、(ii)前記対応する期待信号値の大きさの期待値(例えば、E[|y^[n]|])との積であり、かつ、
(b)前記第2の基準が、(i)前記対応する期待信号値の平方の期待値(例えば、
E[y^[n]y^[n]])と、(ii)前記信号値の大きさの期待値(例えば、E[|y[n]|])との積であるか、あるいは、
(V)(a)前記第1の基準が、信号値とそれに対応する期待信号値の符号との積の期待値(例えば、E[y[n]sign(y^[n])])であり、かつ、
(b)前記第2の基準が、前記信号値の絶対値(例えば、E[|y[n]|])である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の基準および前記第2の基準の一方を規定の閾値と比較することによって、前記欠陥領域の場所を検出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ハードディスク上の欠陥領域をサーマル・アスペリティ(TA)または媒体欠陥(MD)のどちらかと関連するものとして分類する機械であって、
(a)(i)前記欠陥領域に対応する信号値(例えば、x[n]もしくはy[n])およびそれに対応する期待信号値(例えば、x^[n]もしくはy^[n])の一方または両方の大きさと、(ii)前記信号値および前記期待信号値の一方または両方の符号とに基づいて、第1の基準を生成する手段と、
(b)前記信号値または前記期待信号値どちらかの符号ではなく、前記信号値および前記期待信号値の一方または両方の大きさに基づいて、第2の基準を生成する手段と、
(c)前記第1および第2の基準を比較する手段と、
(d)手段(c)の前記比較に基づいて、前記欠陥領域がTAまたはMDと関連するかを判断する手段とを備える、機械。
【請求項10】
前記機械が(i)デジタル信号プロセッサ、または(ii)ハードディスクドライブである、請求項9に記載の機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−198457(P2011−198457A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63505(P2011−63505)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(508243639)エルエスアイ コーポレーション (124)
【Fターム(参考)】