説明

ハーブティー混合物の突然の体積膨張を解消するハーブティーマシン

本発明は、ハーブティー茶葉と水の混合物を受容するための貯槽(12)を有するハーブティーマシン(11)を提案する。前記貯槽(12)は水およびハーブ成分を導入するための開口(21)を伴う。前記ハーブティーマシン(11)は沸騰を達成するための加熱装置を備える。泡立ちによる吹きこぼれを防止するために、貯槽(12)に伝達される熱は沸騰の開始時に低減され、沸騰は低減された熱の下で発生する。本発明はさらに、ハーブティー成分の浸出効果を向上すべく、ハーブ成分を水中に下降させるための手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にハーブティーを入れるように適応されたティーマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
ラズベリー葉、サンザシ、カノコソウ、イラクサ、タンポポ、ニワトコの花、イチゴ葉、ブラックベリー葉、および他多数のようなハーブティーは出願人の国で幅広く消費されている。これらは一般的に非自動的に、単純にハーブティー茶葉をポット内で火にかけて沸騰させることによって入れられる。ジェズベ(cezve)と呼ばれる長柄付きの小さいポットで入れられるトルココーヒーの場合と同様に、ハーブティーも通常、同様に開口上部を有するポットで入れられる。トルココーヒーの場合、コーヒーがちょうど沸騰し始めたときに、ポットを火から降ろしてコーヒーをカップに注ぐ。したがって、口当たりをよくすると言われるコーヒーの泡が維持される。沸点付近で泡立ちが発生し、ポット内の液位は、ポットから溢流し得るほどまで上昇する。
【0003】
コーヒーについて上述したことはハーブティーにも当てはまる。ポット内の湯中で沸騰したハーブ成分は体積が膨張するので、吹きこぼれを防止するために監視する必要がある。レンジに注意を向けながら、泡立ち中に溢流する前に、レンジの火をすぐに消すか、あるいはポットをレンジから降ろす必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、沸騰温度付近でハーブ葉と水の混合物の温度を素早く測定し、次いで体積の急激な膨張を防止するため予め定められた水準まで伝達エネルギーを低減するように意図された加熱装置を有する、ハーブティーマシンを提供する。低減された熱の下で発生する沸騰はしたがって、泡立ちによる吹きこぼれを防止する。加熱装置はさらに、沸騰したハーブ含有物を保温する効果をももたらす。
【0005】
本発明はさらに、ハーブ成分の浸出効果を向上すべく、ハーブ成分を水中に下降させるための手段を備える。
【0006】
本発明の目的の1つは、毎秒熱発生度(degree of heat generated per second)すなわち熱源のパワー損失に応じてハーブティー混合物の突然の体積膨張を防止する、ハーブティーマシンを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、ハーブティー混合物を素早く沸騰させ、ハーブティー混合物の突然の体積膨張を防止し、かつ沸騰したハーブ含有物を保温する、ハーブティーマシンを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、ハーブティー浸出効果を向上させるように、使用者がろ過手段を変位させることを可能にする、ハーブティーマシンを提供することである。
【0009】
本発明は、ハーブティー茶葉と水の混合物を受容するための貯槽を有するハーブティーマシンを提案する。前記貯槽は、水およびハーブ成分を導入するための開口を伴う。前記ハーブティーマシンは、沸騰を達成するための加熱装置を備える。泡立ちによる吹きこぼれを防止するために、貯槽に伝達される熱は沸騰の開始時に低減され、沸騰は低減された熱の下で発生する。本発明はさらに、ハーブ成分浸出効果を向上すべく、ハーブ成分を水中に下降させるための手段を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るハーブティーマシンの斜視図を示す。
【図2】本発明に係るハーブティーマシンの側面図を示す。
【図3】下部ろ過手段が下降したときの本発明に係るハーブティーマシンの側面断面図を示す。
【図4】本発明に係るハーブティーマシンのカップの斜視図を示す。
【図5】両方のろ過手段が下降したときの本発明に係るハーブティーマシンの断面側面図を示す。
【図6】本発明に係るろ過手段とカップの斜視図を示す。
【図7】両方のろ過手段が上昇したときの本発明に係るハーブティーマシンの断面側面図を示す。
【図8】固定された上部ろ過手段を有する本発明に係るハーブティーマシンの断面側面図を示す。
【図9】本発明に係るハーブティーマシンの電気回路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面は、以下で詳細に説明するハーブティーマシンを例証することだけを目的として提供する。
【0012】
本発明は、ハーブティー茶葉と水の混合物を受容するための貯槽(12)を有するハーブティーマシン(11)を提案する。前記貯槽(12)は、水およびハーブ成分を導入するための開口(21)を伴う。前記貯槽(12)は、前記開口(21)を組み込んだ固定上部(26)を含む。
【0013】
前記開口は、図3に示す通り、中心を下面でロッド(14)に接続された円形の取外し可能なキャップ(13)によって閉鎖されるように設計される。前記ロッド(14)は、以下で説明するように、その他端を上部ろ過手段キャップ(15)に連結される。前記キャップ(13)はさらに、前記キャップ(13)を締め付けるための直径方向ハンドリング手段(16)を有する。
【0014】
前記ハーブティーマシンは、1対のろ過手段すなわち上部および下部ろ過手段(それぞれ17および18)を備える。共通シャフト(20)上を誘導される上部ろ過手段(17)は、前記上部ろ過手段キャップ(15)に連結された前記キャップ(13)が挿入される入口漏斗(19)の一体部分である。したがって、前記キャップ(13)は前記漏斗(19)の上端を被覆し、図5に示す通り、前記漏斗は前記貯槽(12)内に移動可能である。
【0015】
本発明では、前記上部ろ過手段(17)は、ハーブティー成分浸出効果を刺激すべく、ハーブティー成分をより深く押し込む目的で、前記共通シャフト(20)に沿って前記貯槽(12)内に投入可能である。前記上部(17)および下部(18)ろ過手段は、前記入口漏斗(19)の上端の開口(21)を介して到達可能な内部領域を画定する。前記開口(21)は、図6に示す通り、通常は前記キャップ(13)によって閉鎖される。したがって前記入口漏斗(19)を介して充填されたハーブティー含有物は、前記上部および下部ろ過手段(17および18)によって垂直方向に区切られる前記領域に到達する。任意選択的に、ハーブ含有物は最初から、または沸騰した後で初めて添加して、煎出してもよい。
【0016】
両方のろ過手段(17、18)は、周縁に沿って環状センタリングばね(22)が設けられた対向基部を有する円錐台の形状に設計される。前記センタリングばね(22)は、前記ろ過手段(17、18)の変位の間中ずっと、前記貯槽(12)の内面と面一である。前記上部ろ過手段(17)は前記キャップ(13)または直径方向ハンドリング手段(16)によって前記共通シャフト(20)上を変位するが、前記下部ろ過手段(18)は、前記共通シャフト(20)の終端にヒンジ(24)を介して直接連結されたプランジロッド(23)によって前記貯槽(12)に対して上下動するように、前記共通シャフト(20)に連結される。ヒンジは、前記共通シャフト(20)に直交する軸線を中心とする回転をもたらす。凹部(24)を有する前記キャップ(13)上で前記ヒンジ(24)を中心に屈曲する前記プランジロッド(23)は、図7に示すように前記下部ろ過手段(18)をその上昇位置でロックする。
【0017】
前記円錐台形のろ過手段(17、18)は、円錐台の切頭面および側面の両方に窓(25)を備える。これらの窓をそれぞれ25aおよび25bと呼ぶ。前記ろ過手段(17、18)における全ての窓(25)は金網(図示せず)により被覆される。
【0018】
前記ハーブティーマシン(11)は、沸騰を達成するための加熱装置を備える。泡立ちによる吹きこぼれを防止するために、貯槽(12)に伝達される熱は沸騰の開始時に低減され、沸騰は低減された熱の下で発生する。加熱装置は第1および第2加熱手段(27および28)を含む。加熱装置はさらに、以下で説明するように、有効な加熱段階、沸騰段階、連続沸騰段階、および保温段階で動作する、PTC抵抗の形の第3加熱手段(29)を含む。
【0019】
キロワットの出力範囲の第1加熱手段(27)は、温度が特定の高さに達するまで貯槽を効果的に加熱する。サーモスタット(31)は、沸点前の88〜92℃の間で前記第1加熱手段(27)の電流を遮断し、かつ前記第1加熱手段(27)の出力範囲の約3分の1の出力範囲を有する第2加熱手段(28)に電力を供給するために使用される。代替的に、図9の回路にあるように、予め定められた温度まで両方の加熱手段(27、28)が動作し、次いで前記第2加熱手段(28)が単独で動作する。前記第2加熱手段(28)は第1加熱手段(27)に対してより低い消費電力で沸騰を達成し、したがってハーブ/水混合物の泡立ち効果を低減し、突然の体積膨張を解消するように意図されている。
【0020】
沸騰すると、典型的には貯槽(12)のハンドルに配設された蒸気センサ(32、図5には明示せず)が、ダイオードのため半波半値電力で動作するように前記第2加熱手段(28)で消費される電力を低下させるか、あるいは電力の供給を完全に遮断し、その間、前記第3加熱手段(29)が依然として動作し、第3加熱手段がずっと低い消費電力を提供する。PTC素子は素子自体のサーモスタットとして働き、素子の最大温度に達すると電流を切る。使用者によって設定可能な制御スイッチ(30)は、半値電力の前記第2加熱手段(28)またはずっと低い電力の前記第3加熱手段(29)のどちらが動作するかを決定する。
【0021】
半値電力の前記第2加熱手段(28)が連続沸騰を達成する一方、ずっと低い電力で動作する前記第3加熱手段(29)はハーブ/水混合物を保温し、それによってゆっくりと煎出する。
【0022】
本発明の好適な実施形態では、上部および下部ろ過手段(17、18)は両方とも前記貯槽(12)に対して移動可能である。しかし、前記下部ろ過手段(18)は移動可能であるが、前記上部ろ過手段(17)は固定することも可能である。この構成では、前記上部ろ過手段(17)は、円錐台形ではなく、円筒形になる。この目的のために、前記入口漏斗(19)は、好適な実施形態に係る移動可能な上部ろ過手段(17)のように半径が拡大した上部(33、図7)を有する代わりに、貯槽(12)の前記固定上部(26)と一体的な単なる円筒状の筒体の形に設計される。
【0023】
要約すると、本発明は、水およびハーブ成分を導入するための開口(21)を伴う貯槽(12)を備えたハーブティーマシン(11)を提案する。前記貯槽(12)は、前記開口(21)を組み込んだ固定上部(26)を含む。前記ハーブティーマシン(11)はさらに、前記貯槽(12)内の前記ハーブティー成分を沸騰させて煎出するための加熱装置を備える。前記加熱装置は、沸騰前の飲用混合物の予め定められた温度まで動作可能な第1加熱手段(27)と、前記第1加熱手段(27)に対してより低い消費電力で沸騰を達成するように動作可能な第2加熱手段(28)とを含む。前記加熱装置はさらに、沸騰後に前記第2加熱手段(28)に対してかなり低い消費電力で動作可能な第3加熱手段(29)を含む。前記加熱装置は、沸騰後に蒸気センサ(32)の信号を介して前記第2加熱手段(28)の消費電力を半値電力まで降下させる制御手段を含む。
【0024】
第1加熱手段(27)が沸騰前の予め定められた温度まで効果的な加熱を達成し、第2加熱手段(28)が前記第1加熱手段(27)に対してより低い消費電力で沸騰を達成するように動作可能であり、かつ第3加熱手段(29)が沸騰後に前記第2加熱手段(28)に対してかなり低い消費電力で保温するという本発明の加熱原理は、原理的には、電気鍋、調理用深鍋、やかん、長柄付きトルココーヒー用ジェズベ等のような任意の食品加工器具に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水およびハーブ成分を導入するための開口(21)を伴う貯槽(12)を備え、前記貯槽(12)が前記開口(21)を組み込んだ固定上部(26)を含むハーブティーマシン(11)であって、前記貯槽(12)内の前記ハーブティー成分を沸騰して煎出するための加熱装置をさらに備え、前記加熱装置が、飲用混合物の予め定められた沸騰前の温度まで動作可能であり効果的な加熱を達成する第1加熱手段(27)と、前記第1加熱手段(27)に対してより低い消費電力で沸騰を達成するように動作可能な第2加熱手段(28)とを含む、ハーブティーマシン(11)。
【請求項2】
前記加熱装置が、沸騰後に前記第2加熱手段(28)に対してかなり低い消費電力で動作可能な保温用の第3加熱手段(29)を備える、請求項1に記載のハーブティーマシン(11)。
【請求項3】
沸騰後に前記第2加熱手段(28)の消費電力が、連続沸騰を達成するための蒸気センサ(32)の信号によって半値電力に降下される、請求項1に記載のハーブティーマシン(11)。
【請求項4】
前記ハーブティーマシン(11)が、前記貯槽(12)内に投入可能でありかつハーブ成分を受容するための内部容積を画定するろ過手段(18)を備える、請求項2または3に記載のハーブティーマシン(11)。
【請求項5】
前記貯槽における前記ろ過手段(18)の位置を制御するために、前記ろ過手段(18)が、前記貯槽(12)の外側のプランジロッド(23)と連絡している共通シャフト(20)に連結されている、請求項4に記載のハーブティーマシン(11)。
【請求項6】
前記貯槽(12)の外側の前記プランジロッド(23)が、前記ろ過手段(18)の位置をロックするために固定されるようにヒンジ(24)を中心に屈曲可能である、請求項5に記載のハーブティーマシン(11)。
【請求項7】
前記共通シャフト(20)が前記貯槽(12)内の中心位置で長手方向に延びる、請求項5または6に記載のハーブティーマシン(11)。
【請求項8】
前記ろ過手段(18)が基部を有し、その外縁に沿って環状センタリングばね(22)が、前記ろ過手段(18)の変位の間中ずっと前記貯槽(12)の内面と面一になるように設けられた、請求項5または7に記載のハーブティーマシン(11)。
【請求項9】
前記ハーブティーマシン(11)が、前記第1ろ過手段(18)によって画定される内部容積と対向する内部容積を画定する第2ろ過手段(17)を備える、請求項4または8に記載のハーブティーマシン(11)。
【請求項10】
前記第2ろ過手段(17)が前記貯槽(12)の固定上部(26)と一体的である、請求項9に記載のハーブティーマシン(11)。
【請求項11】
前記第2ろ過手段(17)が、前記貯槽(12)の上部(26)のキャップ(13)によって前記共通シャフト(20)上を誘導されて変位する、請求項1または9に記載のハーブティーマシン(11)。
【請求項12】
前記第2ろ過手段(17)が基部を有し、その外縁に沿って、前記第1ろ過手段(18)の前記センタリングばね(22)と同様の環状センタリングばね(22)が、前記第1ろ過手段(18)の前記センタリングばね(22)と対面するように設けられた、請求項9または11に記載のハーブティーマシン(11)。
【請求項13】
前記ろ過手段(17、18)が、2つのろ過手段(17、18)によって画定される内部領域により分離される対向切頭面を有する円錐台の形状に設計されている、請求項9または12に記載のハーブティーマシン(11)。
【請求項14】
前記第2ろ過手段(17)が入口漏斗(19)の一体部分であり、前記第2ろ過手段(17)が前記キャップ(13)によって前記貯槽(12)内に移動可能になるように前記キャップ(13)が前記入口漏斗(19)に固定される、請求項13に記載のハーブティーマシン(11)。
【請求項15】
前記入口漏斗(19)が前記上部(26)の開口(21)を前記第2ろ過手段(18)の内部容積に接続する、請求項14に記載のハーブティーマシン(11)。
【請求項16】
前記プランジロッド(23)が前記キャップ(13)の凹部(24)に固定される、請求項6または15に記載のハーブティーマシン(11)。
【請求項17】
前記入口漏斗(19)が、水およびハーブ成分を前記貯槽(12)内に導入するために半径が拡大した上部(33)を有する、請求項16に記載のハーブティーマシン(11)。
【請求項18】
前記円錐台形のろ過手段(17、18)が円錐台の切頭面および側面の両方に窓(25)を含む、請求項1〜17のいずれかに記載のハーブティーマシン(11)。
【請求項19】
前記ろ過手段(17、18)の前記窓(25)が金網により被覆される、請求項18に記載のハーブティーマシン(11)。
【請求項20】
物質の沸騰温度前の予め定められた温度まで効果的な加熱を達成する第1加熱手段(27)と、前記第1加熱手段(27)に対しより低い消費電力で沸騰を達成するように動作可能な第2加熱手段(28)と、沸騰後に前記第2加熱手段(28)に対しかなり低い消費電力で保温するための第3加熱手段(29)とを有する、人間が消費可能な物質を加工するユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2013−521025(P2013−521025A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555305(P2012−555305)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052572
【国際公開番号】WO2011/107142
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(512227465)
【Fターム(参考)】