説明

バイオマス熱分解オイルの製造装置及び製造方法

【課題】本発明は、バイオマスから、炭素回収率が高く、原料を乾燥する必要がないバイオマス熱分解オイル製造装置及び製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のバイオマス熱分解オイルの製造装置は、バイオマス、炭素材料、及び水を混練してバイオマス原料を製造し、バイオマス原料を、マイクロ波を吸収しない材質で形成され、圧力制御手段を備えるマイクロ波反応管に圧送し、マイクロ波反応管中のバイオマス原料をマイクロ波加熱装置で120℃〜347℃の温度範囲に加熱して粗バイオマス熱分解オイルを製造する手段と、粗バイオマス熱分解オイルを、圧力制御器から固液分離器に吐出し、固液分離器の気体出口に連結して設けられ、バイオマス熱分解オイルを凝縮する凝縮手段と、バイオマス熱分解オイルと固体の炭素材料を分離する分離手段と、を有するを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス熱分解オイルの製造装置及び製造方法に係り、より詳しくは、バイオマスと水とをマイクロ波加熱装置を用い熱分解してバイオマス熱分解オイルを製造し、製造したバイオマス熱分解オイルを連続的にガス化させるバイオマス熱分解オイルの製造装置及び製造及方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭、石油、又は天然ガスのような化石燃料の代替として、バイオマスを燃料あるいは工業用原料として利用する方法の開発が進められている。
バイオマスを燃料或いは工業原料として利用するためには、固体のバイオマスを液体または気体に変換することが重要である。
【0003】
固体燃料から工業原料を製造するためのアプローチとしては、石炭を水蒸気の存在下に不完全燃焼させて一酸化炭素と水素を含む「水性ガス」を製造する方法が、石炭化学の基礎反応として19世紀から20世紀前半にかけて確立された。ドイツにおいて、第2次世界大戦中には石炭から航空機燃料が製造され、南アフリカ連邦共和国において、アパルトヘイトによる石油禁輸中にガソリンが製造されたこともある。
【0004】
水性ガスを製造する反応をバイオマスに応用して、バイオマスから合成ガスを製造し、燃料や工業原料を製造することが試みられている。例えば、バイオマスから水素と一酸化炭素を含む水性ガスを製造する際に、生成するタールを分解するために用いる、ペロブスカイト型型複合酸化物に金属を担持した触媒が開示されている(例えば特許文献1を参照)。バイオマスから製造した水性ガスから、メタノール(例えば特許文献2を参照)、エタノール、ジメチルエーテル(例えば特許文献3を参照)等を製造する方法は、既に開示されている。
現在でも、「水性ガス」は、バイオマスから工業原料を製造するために有望な共通原料とみなすことができる。
【0005】
なお、「水性ガス」は、狭義には、コークスなどの炭素化合物と水蒸気を900℃以上で反応させて得られる水素ガスと一酸化炭素を含む混合ガス(合成ガスともいう)のことを指すが、本発明では水素ガスと一酸化炭素とを含む混合ガスを「水性ガス」と称するものとする。本発明では、後述するように、炭素化合物と水蒸気との反応で生成した混合ガスから水性ガスを製造し、水素ガスと一酸化炭素それぞれを膜分離装置を用いて別個の取り出し、成分比を調整後混合して「水性ガス」として用いる。
【0006】
水性ガスを製造する従来法は、反応温度が900℃以上で行われるため、反応温度を保つためにバイオマスの一部を燃料として使用しなければならなかった。このために水性ガスの反応収率が低下するという問題点があった。また、水性ガス反応は、基本的には不完全燃焼反応なので、反応が不安定で制御が難しく、特に生成する一酸化炭素と水素の混合比率の調整が困難であるという問題点があった。
【0007】
近年の技術として、バイオマスをマイクロ波加熱装置で加熱して炭素材料を製造する方法が提案されている(例えば特許文献4を参照)。また、マイクロ波加熱装置を使用して炭素材料から「水性ガス」を製造する方法が報告されている(例えば特許文献5を参照)。しかし、これらの方法もマイクロ波加熱装置で使用するエネルギー量が大きいために炭素収率及びエネルギー回収率が低く、この方法は経済的理由で工業化できないと言われている。
バイオマスから「水性ガス」を工業的に製造する方法は、まだ確立されていない。
【0008】
木質バイオマスを高温高圧の熱水で処理し、含まれるセルロースを加水分解してグルコースを製造し、グルコースから発酵法によってバイオエタノールを製造する方法において、バイオマスから製造した固体酸触媒を用いてセルロースを加水分解する方法が開示されている(例えば引用文献6を参照)。しかし、この方法は、加水分解速度を促進するすることはできても、エタノールの収率を工業的実用段階まで上げることはできていない。
【0009】
バイオマス等を工業利用可能な素材に変換する第3の方法として、バイオマスの液化がある。バイオマスと水に金属塩を加えてマイクロ波を照射してバイオマスを急速に加熱して液化して、「バイオマス熱分解オイル」と、非凝縮性成分(気体成分)と、固体の炭素材料と、を製造する方法が開示されている(例えば特許文献7を参照)。この方法の「バイオマス熱分解オイル」中の炭素収率は80〜90%にすることが可能であり、原料の性状が変化しても、生成するバイオマスは性状の変化が少ないと言われている。
しかし生成する「バイオマス熱分解オイル」は、不安定で、水を多く含むために単位重量当たりの発熱量が低く、そのために用途がボイラー燃料などに限定されている。
【0010】
バイオマスを工業原料として利用するためには、バイオマス特有の次のような諸問題を解決しなければならない。
(1)バイオマスは、化石燃料に比べて単位重量当たりの発熱量が低く、不純物を多く含み純度が低い。
(2)バイオマスは、大部分が多品種、少量で体積が嵩張る固体であって輸送が困難である。
(3)バイオマスは多量の水分を含むものがある。
【0011】
バイオマスは、共通の問題点のため、バイオマスを工業原料として利用する方法は、下記に定義する炭素収率(%)は、20%が限度とも言われている。
炭素収率 = (生産物中の炭素原子数/原料中の炭素原子数) ×100 (1)
(但し、製造工程で消費するエネルギー量は、同量の燃焼エネルギーを有する炭素量に換算し、生成物中の炭素量から差し引く。)
【0012】
また、バイオマスの、下記に定義するエネルギー回収率も0.2が限度であると言われている。
エネルギー回収率 = 生産物のもつエネルギー/(原料のエネルギー + 製造工程で消費するエネルギー)
バイオマスから水性ガスを製造する工業的に実施可能な方法は、現在までのところ実用化されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−238012号公報
【特許文献2】特開2005−132739号公報
【特許文献3】特開2003−64016公報
【特許文献4】特開2002−161278号公報
【特許文献5】特開2007−146115号公報
【特許文献6】特開2006−257234号公報
【特許文献7】特表2009−543926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
かかる課題を解決するためになされた本発明の目的は、バイオマスから、炭素回収率が高く、原料を乾燥する必要がなく、工業的利用が可能なバイオマス熱分解オイルの製造装置及び製造方法を提供することにある。
【0015】
また、バイオマス熱分解オイル製造工程に熱分解オイルガス化工程を連結して連続的にバイオマスから水性ガスを連続製造することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる課題を解決するための本発明のバイオマス熱分解オイルの製造装置は、バイオマス、炭素材料、及び水と混練してバイオマス原料を製造するバイオマス原料製造手段と、バイオマス原料を、マイクロ波を吸収しない材質で形成され、圧力制御手段を備えるマイクロ波反応管に圧送する原料供給手段と、マイクロ波反応管中のバイオマス原料をマイクロ波加熱装置で120℃〜347℃の温度範囲に加熱して粗バイオマス熱分解オイルを製造するマイクロ波加熱手段と、を有することを特徴とする。
【0017】
また本発明は、バイオマス、炭素材料、固体酸触媒、及び水を混練してバイオマス原料を製造するバイオマス原料製造手段と、バイオマス原料を、マイクロ波を吸収しない材質で形成され、圧力制御弁を備えるマイクロ波反応管に圧送する原料供給手段とマイクロ波反応管中のバイオマス原料をマイクロ波加熱装置で120℃〜347℃の温度範囲に加熱して粗バイオマス熱分解オイルを製造するマイクロ波加熱手段と、を有することが好ましい。
【0018】
また本発明は、固体酸触媒が、炭素系酸触媒であることが好ましい。
また本発明は、バイオマス原料を加熱し、前処理済みバイオマスを製造する前処理手段と、前処理済みバイオマス原料をマイクロ波反応管に圧送する原料供給手段と、を有することが好ましい。
【0019】
また本発明のマイクロ波加熱手段は、マイクロ波発振器と、少なくとも内面が金属製の円筒形空間を有する容器を備え、空間内に、向きが空間の中心軸に平行で、大きさが空間の中心軸方向及び空間の円周方向に一定な軸対称マイクロ波電磁界を有するマイクロ波共振器と、マイクロ波を吸収しない材質で形成されたマイクロ波反応管と、を有し、
マイクロ波反応管が、マイクロ波共振器の中心軸と中心軸を共有してマイクロ波共振器の内部を貫通し、一端で原料供給手段連結し、他端に圧力制御弁が設けられることが好ましい。
【0020】
また本発明は、前処理済みバイオマスから、固体酸触媒を除去する手段を更に有することが好ましい。
【0021】
また本発明は、粗バイオマス熱分解オイルを、圧力制御器から固液分離器に吐出する吐出手段と、固液分離器の気体出口に連結して設けられ、バイオマス熱分解オイルを凝縮する凝縮手段と、バイオマス熱分解オイルと固体の炭素材料を分離する分離手段と、を有することが好ましい。
【0022】
また本発明は、粗バイオマス熱分解オイルを、圧力制御弁から、水素透過膜手段と、高周波電磁誘導式加熱装置と、発熱体と、を備える熱分解オイルガス化手段に吐出する吐出段階と、高周波電磁誘導式加熱装置と発熱体とによって粗バイオマス熱分解オイルを加熱し、粗バイオマス熱分解オイルを熱分解して水素ガスと一酸化炭素とを製造する熱分解オイルガス化手段と、を有することが好ましい。
【0023】
また本発明の熱分解オイルガス化手段は、非磁性体で形成された筒状の容器であって、その一端に設けられ、高温で加圧された粗バイオマス熱分解オイルを供給する入口と、粗バイオマス熱分解オイルを常圧で気化させる膨脹部と、容器の他端に設けられた出口と、を有し、外周に高周波電磁誘導コイルが卷回された外管と、外管の内部に設けられ、水素透過膜を有し、外管の一部を貫通する水素ガス出口を有する1以上の内管と、磁性体の材料で形成され外管と内管との間の空間を加熱する発熱体と、を有することが好ましい。
を有すること
【0024】
また本発明の熱分解オイルガス化手段は、粗バイオマス熱分解オイルの分解を促進する触媒を更に有することが好ましい。
また本発明は、触媒が、ニッケルをドープしたペロブスカイト酸化物触媒であることが好ましい。
【0025】
また本発明は、水素透過膜手段が、水素透過性を有するゼオライト膜を含んで形成され、更に水素ガスと水蒸気の中の何れか一方のみを透過させる分離生成手段を備えることが好ましい。
また本発明は、水素透過膜手段が、水素透過性金属膜含んで形成され、水素透過性金属膜が発熱体として作用することが好ましい。
【0026】
また本発明は、水素透過性を有する金属膜が、白金と、パラジウムと、バナジウムと、ニオブと、タングステンと、モリブデンと、の中から選ばれる1以上の金属元素を含む金属膜であることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明のバイオマス熱分解オイルの製造方法によれば、少量多種類のバイオマスから、高収率で工業的連続生産に利用可能な「液体」としてバイオマス熱分解オイルを製造することができる。
【0028】
バイオマス熱分解オイルの炭素収率は、80〜90%という高率である。
【0029】
バイオマス熱分解オイルは、水を溶媒とする分散液であるから、原料のバイオマスを乾燥することなく用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態に係るバイオマス熱分解オイル製造装置を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係るバイオマス熱分解オイル製造装置を示す概略図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係るバイオマス熱分解オイル製造装置を示す概略図である。
【図4】本発明の第3実施形に係るバイオマス熱分解オイル製造装置の熱分解オイルガス化装置の図である。
【図5】本発明の第3実施例に係るバイオマス熱分解オイル製造装置の分離・精製装置の図である。
【図6】本発明の第3実施例に係るバイオマス熱分解オイル製造装置の水性ガス成分調整装置の図である。
【図7】本発明の第3実施形に係るバイオマス熱分解オイル製造装置の熱分解オイルガス化装置の図である。
【図8】本発明の第3実施例に係るバイオマス熱分解オイル製造装置の分離・精製装置の図である。
【図9】ジメチルエーテル製造装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、バイオマスからバイオマス熱分解オイルを製造するバイオマス熱分解オイルの製造装置及び製造方法に関する。
「バイオマス」という語は、生物由来の有機性資源をいうことが多いが、本発明ではより広く、「化石燃料を除く再生可能な有機性資源全般」を含むものとする。
バイオマスの具体例としては、木材、竹材、稲わら、麦わら、草本、農産物、海藻、生ごみ、家庭廃棄物、糞尿、工業廃棄物、農産廃棄物、畜産廃棄物、活性汚泥廃棄物を挙げることができる。
【0032】
「バイオマス熱分解オイル」は、水を溶媒とする暗色の溶液であって、原料の種類と分解の程度によって組成が異なる複雑な混合物である。しかし「バイオマス熱分解オイル」は、水溶液ではなく微粒子成分の分散液であると推測される。製造条件によっては、水性成分と油性成分との2層に分離することがある。
【0033】
バイオマス熱分解オイルは、以下のような特徴を有する。
(1)バイオマス熱分解オイルは、多様なバイオマスから工業的連続生産に利用可能な「液体」として得られる。
(2)バイオマス熱分解オイルの炭素収率は、80〜90%という高率である。
(3)バイオマス熱分解オイルは、水を溶媒とする分散液であるから、原料のバイオマスを乾燥することなく用いることができる。
(4)バイオマス熱分解オイルが不安定であるという問題点は、バイオマス熱分解オイル製造工程とを次段の製造工程とを連続反応にすることによって解消される。
【0034】
バイオマス熱分解オイルは、バイオマスを水中、無酸素状態でマイクロ波加熱装置によって[℃/ミリ秒]オーダーの速さで急速加熱処理することによってバイオマスを熱分解し炭化することによって製造される。
木質バイオマスを高温高圧の熱水で処理し、セルロースを加水分解してグルコース、キシロースなどの単糖を製造する反応は公知であるが、本発明のバイオマス熱分解オイルの生成反応はこれとは異なる反応である。
【0035】
バイオマス熱分解オイルの製造反応は、
(1)バイオマスを急速加熱することによって、バイオマス分子内の脱水反応が、バイオマスと水分子との2分子間反応による加水分解反応に優先して起こるものと推測され、
(2)副反応として、水素ガスを生成する水性ガス反応及び水性ガスシフト反応を伴うので、還元条件下の反応であり、
(3)バイオマスは、主成分であるセルロースを始めC6化合物が多いことから6員環を生成し、
(4)炭素6員環が縮合した縮合芳香環化合物を主生成物として与えるものと推測される。
【0036】
バイオマス熱分解オイルに含まれる縮合芳香環化合物は、反応中間体やリグニンなどに由来する多種類の側鎖を有するものと推定される。
セルロースの分子内脱水反応の例として、例えば特許文献6に、セルロースを不活性ガス気流中で250℃で15時間加熱するとベンゼン環が多数個縮合した炭化水素骨格を有する縮合芳香環化合物が得られることが記載されている。
【0037】
縮合芳香環化合物は、熱に対して安定であって無酸素雰囲気で更に高温高圧で加熱すれば更に高分子化し、最終的グラファイト構造を有する炭素を生成するものと推定される。バイオマス熱分解オイルの炭素回収率が高いのは、安定な縮合芳香環化合物を形成することによると推定される。
【0038】
以下にマクロな視点から、バイオマス熱分解オイル製造反応について概説明する。
バイオマスは有機性資源であるから、主として炭素、水素、及び酸素から構成される。従って、バイオマスを模式的に(C)と記すことができる。但し、m、n、およびpは整数ではないことが多い。
バイオマス熱分解オイルの生成反応は、水酸基の脱離反応(脱水反応)をトリガーとして還元条件下で進行するので酸素含有量の少ない重質炭化水素化合物(C)が主成分になる。
バイオマスの主成分であるセルロースは炭素原子6個をを有する化合物なので、脱水反応によって炭素6原子のユニットを生成し、縮合芳香環化合物(nC)が生成する。この反応を模式的に記載すれば下式(化1)のようになる。
【化1】

【0039】
縮合芳香環化合物を形成する反応は、例えば特許文献6に記載されている。
一方、縮合芳香環形成反応で生じた反応中間体のフラグメントが、更に分解して炭素(C)、炭酸ガス、一酸化炭素、水素ガス、メタンなどの非凝縮性ガスを生成するものと推定される。
従って、バイオマス(C)からバイオマス熱分解オイルの生成反応は、近似的に次のように表わすことができる。
【0040】
【化2】

【0041】
(本発明のバイオマス熱分解オイル製造方法について)
本発明のバイオオイルの製造方法は、バイオマスを水中に分散させ、加熱手段としてマイクロ波加熱装置を用い急速加熱して熱分解する。
しかし、水はマイクロ波を吸収して発熱するが、吸収・発熱効率は良くない。また、本発明は反応領域として100℃以上の温度範囲を含むが、水蒸気はマイクロ波を吸収しない。
【0042】
本発明の第1実施形態によるバイオマス熱分解オイルの製造方法は、マイクロ波の吸収効率を良くするために発熱体を添加する。本発明で用いる発熱材は、本発明の主旨に支障のない限り、マイクロ波を吸収して発熱する材料であれば何れの材料であっても使用できる。
ここで、本発明は、発熱材として炭素材料を用いることを第2の特徴とする。炭素材料は、効率よくマイクロ波を吸収して発熱すると共に、それ自体が水と反応して一酸化炭素と水素ガスを生成するという長所を有する。更に、本発明では、炭素材料は以前の製造で回収した炭素材料20を再利用することができる。
【0043】
本発明の第2実施形態よるバイオマス熱分解オイルの製造方法は、バイオマスと炭素材料との混合物に炭素材料を用いた固体酸触媒を添加し、バイオマスと炭素材料との混合物を加熱処理する前処理部を備えることを特徴とする。バイオマスと炭素材料との混合物のスラリーを前処理することによって、スラリーの粘度を下げ、加熱温度を低下させ、加熱時間を短縮して収率を向上させることが可能である。
【0044】
(バイオマス熱分解オイルのガス化)
次に、バイオマス熱分解オイルのガス化について説明する。
縮合芳香環化合物から水素ガスと一酸化炭素を製造する反応は、バイオマス熱分解オイルに含まれるバイオマス分解物を過熱水蒸気で分解する気体反応である。
バイオマス熱分解オイルのガス化反応の主反応は、式(3)のように表わすことができる。
【化3】

【0045】
上記[3]式の(C)の重量を1とした場合、(C)を一酸化炭素と水素ガスに分解するのに必要な水蒸気の重量は(C)の重量の1.3〜1.5倍になる。従って、濃度の高いバイオマス熱分解オイルを製造すれば、溶媒の水は、バイオマス熱分解オイルの分解反応によって消費される。即ち、本反応は、水中の反応であり、溶媒の水及び原料のバイオマスに含まれている水分は、バイオマス熱分解オイルの中に取り込まれるので、原料のバイオマスに含まれていた水を生成物の水性ガスの原料として利用することができる。従って、原料のバイオマスを乾燥する必要がなく、エネルギー効率が良くなる。
【0046】
本発明の第3実施形態によるバイオマス熱分解オイルの製造方法は、製造直後の高温高圧のバイオマス熱分解オイルを、水素透過膜と増感熱触媒と高周波電磁加熱装置と発熱体とを備える熱分解オイルガス化装置に供給し、加熱することによって、連続的に一酸化炭素と水素ガスを含む水性ガスを製造することを特徴とする。ガス化反応には、ニッケルをドープしたペロブスカイト酸化物触媒を用いることが好ましい。
【0047】
本発明の第4実施形態よるバイオマス熱分解オイルの製造方法は、熱分解オイルガス化装置において、水素透過膜に水素透過性金属膜を使用して発熱体の機能も持たせたことを特徴とする。
【0048】
以下に添付した図面を参照して本発明のバイオマス熱分解オイル製造装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、装置の説明及び図面において、各装置に共通する構成要素に同じ符号を附し、説明の重複を省略することがある。
【0049】
図1は、本発明の第1実施形態に係るバイオマス熱分解オイル製造装置の構成を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態に係るバイオマス熱分解オイル製造装置100は、湿式粉砕機111と、バイオマス熱分解オイル製造装置本体120と、熱分解オイル受器190と、を含んで構成される。
湿式粉砕機111は、バイオマス10と炭素材料20と水15とを混練してバイオマスと炭素材料20とが水に分散したスラリー状のバイオマス原料12を製造する。
【0050】
バイオマス10と炭素材料20それぞれは、粒度を10〜200メッシュに粉砕することが好ましく、30〜100メッシュに粉砕することがより好ましい。バイオマス10と炭素材料20の粒度は、細かければ細かいほど良いが、本実施形態では200メッシュ以上に細粉化してもそれ以上効果がないので経済的ではなく、10メッシュ以下の粒度では流動性を有する分散体が形成されないので好ましくない。
加える炭素材料20の量は、バイオマス10の乾燥重量と炭素材料20の重量との和を100重量%とした場合に、5重量%〜50重量%の範囲であることが好ましく、10重量%〜40重量%の範囲であることがより好ましい。炭素材料20が5重量%以下では、マイクロ波を吸収して発熱する作用が十分に得られず、50重量%以上では、それ以上の発熱効果が得られない。
【0051】
本発明では、なるべく少量の水を用いてバイオマスと発熱材とをバイオマス熱分解オイル製造装置本体120に供給することが好ましい。湿式粉砕機111においては、バイオマス10と炭素材料20とに加える水15の量は、用いるバイオマスの性状とバイオマスの含水量によって決定される。例えば海藻のように水分含量が多いバイオマスを用いる場合は、水分含量の少ないバイオマスを加えて水分含量を調整することが好ましい。
【0052】
本実施例においては、全成分の重量を100重量%とした時に、水、水蒸気、及びバイオマスに含まれる水分の和が、25重量%〜60重量%の範囲であることが好ましい。水の分量が25重量%以下では、バイオマス原料12をバイオマス熱分解オイル製造装置本体に供給するのが困難であり、水分量が60重量%以上では、バイオマスの含有量が低すぎて経済的に不利である。但し、用いるバイオマスが廃棄物であって、廃棄処理を主目的とする場合は、水分量が60重量%以上で操作することも可能である。
【0053】
湿式粉砕機111に水蒸気30を供給し、バイオマス原料12を予熱することが好ましい。加熱する温度は60℃〜100℃の範囲が好ましく、80℃〜98℃の範囲がより好ましい。バイオマス原料12を予熱することによって、スラリー状態のバイオマス原料12の粘度を低下させることができるとともに、バイオマス熱分解オイル製造装置本体120の負荷を軽減できる。
【0054】
湿式粉砕機111から供給されるバイオマス原料12は、供給温度において、5000cP〜50000cP、より好ましくは10000cP〜30000cPの範囲の粘度を有することが好ましい。粘度が低いことは反応には支障ないが、例えば5000cP以下の場合はより水分を減らしてバイオマスの量を増やす方が経済的に有利である。また粘度が50000cPより高いと、バイオマス熱分解オイル製造装置本体120内部の圧力が上がりすぎて好ましくない。
【0055】
バイオマス熱分解オイル製造装置本体120は、湿式粉砕機111と連結する加圧フィーダー121と、加圧フィーダー121と連結するマイクロ波反応管130と、反応管の他端に設けられた圧力制御弁132と、マイクロ波反応管130を加熱するマイクロ波加熱装置122と、を備えることが好ましい。
【0056】
加圧フィーダー121は、スラリー状のバイオマス原料12をマイクロ波反応管130に圧送できる装置であれば形式は限定されない。好ましい加圧フィーダー121の例として、スクリューフィーダー、歯車ポンプ、トコロイドポンプ、ピストンポンプを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
マイクロ波反応管130は、一端で加圧フィーダー121と連結し、他端で圧力制御弁132と連結する。マイクロ波反応管130の材質は、マイクロ波を吸収しない材質を有し本発明で用いることができるものであれば何れでも良い。好ましい例として、セラミックス、石英、サファイヤ、アルミナ、窒化ケイ素等を挙げることができる。より好ましい実例として、セラミックス、を示すことができる。
【0058】
マイクロ波加熱装置122は、マイクロ波をマイクロ波反応管130に照射し、マイクロ波反応管130内部のバイオマス原料12を加熱することができるものであれば、形式は制限されない。反応効率を上げるためには、マイクロ波発振器123と、マイクロ波共振器129と、を備えるマイクロ波加熱装置122が好ましい。
【0059】
より好ましい実例として、図1に示す、マイクロ波発振器123と、内面が金属製の円筒形空間126を有し、円筒形空間126の内部に、磁界の向きが円筒形空間126の中心軸128に平行で磁界の大きさが円筒形空間126の中心軸方向及び円周方向に一定な軸対称のマイクロ波電磁界を発生させるマイクロ波共振器129と、マイクロ波共振器129と中心軸を共有するように設置されたマイクロ波反応管130と、を有するバイオマス熱分解オイル製造装置本体120を挙げることができる。
【0060】
マイクロ波反応管130にマイクロ波加熱装置122からマイクロ波を照射すると、バイオマス原料12に含まれる炭素材料がマイクロ波を吸収し発熱してバイオマス原料12を加熱することができる。バイオマス原料12の加熱温度は、120℃〜347℃の温度範囲が好ましく、より好ましくは、150℃〜347℃の範囲であり、更に好ましくは200℃〜347℃の温度範囲を例示することができる。
【0061】
バイオマス原料12は、120℃〜347℃の温度範囲に加熱されることによって粗バイオマス熱分解オイル59に変換される。バイオマス10は水分を含むので水が沸騰し、マイクロ波反応管130内は加圧状態となる。圧力は、2〜22MPaの範囲であることが好ましい。
マイクロ波発振器123は被照射物を急速に加熱できるので、反応時間は10秒〜600秒の範囲であることができる。
生成した高温高圧の粗バイオマス熱分解オイル59は、圧力制御弁132から、常圧の熱分解オイル受器190へ放出される。
【0062】
熱分解オイル受器190は、圧力制御弁132に連結し、高温高圧の粗バイオマス熱分解オイル59が放出される熱分解オイル放出部185と、熱分解オイル放出部185の底部に設けられた熱分解オイル出口188と、ろ過器189と、加圧水蒸気を凝縮させる凝縮器186と、非凝縮成分出口187と、を備えることが好ましい。
圧力制御弁132から熱分解オイル放出部185に放出された高温高圧の粗バイオマス熱分解オイル59は、不揮発成分が熱分解オイル放出部185の下部へ移動し、気化していた凝縮成分61が凝縮器186で凝縮されて熱分解オイル放出部185へ還流し、非凝縮成分62が非凝縮成分出口187を通過して排出される。不揮発成分と凝縮成分61は、熱分解オイル出口188からろ過器189を通過し、バイオマス熱分解オイル60と回収した炭素材料20に分離される。
【0063】
図2は、本発明の第2実施形態に係るバイオマス熱分解オイル製造装置の構成を示す概略図である。
本発明の第2実施形態は、炭素材料の一部を固体酸触媒22に置き換えて使用する。
固体酸触媒は、本発明の主旨に適うものであれば種類は特に制限されないが、好ましい実例として炭素材料をスルホン化した固体酸触媒を挙げることができる。スルホン化した固体酸触媒も本反応の原料となる。
【0064】
スルホン化した固体酸触媒としては、例えば特許文献6に記載された固体酸触媒をより好ましい実例として示すことができる。また、回収した炭素材料を、例えば特許文献6に記載された方法で、スルホン化して用いることもできる。
【0065】
図2に示すように、本実施形態に係るバイオマス熱分解オイル製造装置100は、バイオマス前処理部110と、バイオマス熱分解オイル製造装置本体120と、熱分解オイル受器190と、を含んで構成される。
バイオマス前処理部110は、湿式粉砕機111と前処理部112とを備える。
湿式粉砕機111は、バイオマス10、炭素材料20、固体酸触媒22、及び水15を混練してバイオマスと炭素材料とが水に分散した分散系であるバイオマス原料12を製造し、前処理部112は、バイオマス原料12を加熱してバイオマスを部分的に加水分解することによって、バイオマスと発熱材とが水に分散した高粘度の流体である前処理済バイオマス13を製造する。
【0066】
炭素材料20は、マイクロ波を吸収して発熱し、反応混合物を加熱するために添加される。炭素材料20は、効率よくマイクロ波を吸収して発熱すると共に、それ自体が反応原料となり、不純物を生成しないという長所を有する。更に、本発明では、炭素材料20は以前の製造で回収した炭素材料20を再利用することができる。
【0067】
バイオマス10、炭素材料20、及び固体酸触媒22それぞれは、粒度を10〜200メッシュに粉砕することが好ましく、30〜100メッシュに粉砕することがより好ましい。バイオマス10、炭素材料20、及び固体酸触媒22の粒度は、細かければ細かいほど良いが、本実施形態では200メッシュ以上に細粉化してもそれ以上効果がないので経済的ではなく、10メッシュ以下の粒度では流動性を有する分散体が形成されないので好ましくない。
【0068】
本実施形態で用いる固体酸触媒22は、炭素材料20にスルホン酸基を導入したものなので、両方を加えて用いる場合、炭素材料20と固体酸触媒22の合計量を炭素材料の量とすることが好ましい。即ち、バイオマスの乾燥重量と、炭素材料の重量と、固体酸触媒の重量との和を100重量%とした場合に、炭素材料の重量と、固体酸触媒の重量との和が5重量%〜50重量%の範囲であることが好ましく、10重量%〜40重量%の範囲であることがより好ましい。
炭素材料20と固体酸触媒22との和が5重量%以下では、マイクロ波を吸収して発熱する作用が十分に得られず、50重量%以上では、それ以上の発熱効果が得られない。
この内、固体酸触媒22の重量は、0.5重量%〜40重量%の範囲であることが好ましく、1重量%〜30重量%の範囲であることがより好ましい。固体酸触媒22の重量が0.50.5重量%では十分な触媒作用が得られず、40重量%以上では、それ以上の触媒効果が得られない。
【0069】
本発明では、なるべく少量の水を用いてバイオマス10と炭素材料20と固体酸触媒22とをバイオマス熱分解オイル製造装置本体120に供給することが好ましい。湿式粉砕機111においては、バイオマス10と炭素材料20と固体酸触媒22とに加える水15の量は、用いるバイオマスの性状とバイオマスの含水量によって決定される。例えば海藻のように水分含量が多いバイオマスを用いる場合は、水分含量の少ないバイオマスを加えて水分含量を調整することが好ましい。
【0070】
本実施例においては、反応に投入される全成分の重量を100重量%とした時に、水、水蒸気、及びバイオマスに含まれる水分の和が、25重量%〜60重量%の範囲であることが好ましい。水の分量が25重量%以下では、バイオマス原料12をバイオマス熱分解オイル製造装置本体に供給するのが困難であり、水分量が60重量%以上では、バイオマスの含有量が低すぎて経済的に不利である。但し、用いるバイオマスが廃棄物であって、廃棄処理を主目的とする場合は、水分量が60重量%以上で操作することも可能である。
【0071】
湿式粉砕機111に過熱水蒸気32を供給し、バイオマス原料12を予熱することが好ましい。加熱する温度は60℃〜100℃の範囲が好ましく、80℃〜98℃の範囲がより好ましい。バイオマス原料12を予熱することによって、スラリー状態のバイオマス原料12の粘度を低下させることができるとともに、バイオマス原料12の温度と前処理部112の温度との差を小さくできる。
【0072】
前処理部112は、湿式粉砕機111から供給されるバイオマス原料12を過熱水蒸気32を用いて所定温度に所定時間加熱し、バイオマス原料12を部分的に加水分解して前処理済バイオマス13を製造する反応装置であることが好ましい。
供給する水蒸気は90℃〜150℃(4.7MPa)の範囲の過熱水蒸気が好ましい。加熱温度が90℃以下では加水分解が進まず、150℃以上では加水分解が進みすぎて低沸点成分や非凝縮成分が多く生成し、目的物の収率が低下することがある。
【0073】
バイオマス原料12の滞留時間は、反応温度に反比例し、反応温度が高温であれば比較的短時間で済み、低温であれば長時間が必要である。反応時間は3分〜300分の範囲が好ましく、10分〜150分の範囲がより好ましい。滞留時間が3分以下では、加水分解反応が十分に進行せず、300分以上では、加水分解反応が進みすぎて、非凝縮成分が多く生成して炭素収率が低下するようになる。
前処理部112から供給される前処理済バイオマス13は、供給温度において、50000cP以下、より好ましくは30000cPの範囲の粘度を有することが好ましい。
【0074】
前処理済バイオマス13は、前処理部112からバイオマス熱分解オイル製造装置本体120に供給される。
図2に示すように、バイオマス熱分解オイル製造装置本体120は、前処理部112と連結する加圧フィーダー121と、加圧フィーダー121と連結するマイクロ波反応管130と、反応管の他端に設けられた圧力制御弁132と、マイクロ波反応管130を加熱するマイクロ波加熱装置122と、を備えることが好ましい。
【0075】
加圧フィーダー121は、前処理済バイオマス13に過熱水蒸気を加圧して供給し、所定量の前処理済バイオマス13をマイクロ波反応管130に圧送することが好ましい。過熱水蒸気の温度は120℃(2.0MPa)〜180℃(10MPa)の範囲が好ましく、120℃〜150℃の範囲がより好ましい。
過熱水蒸気の温度は2.0MPa(120℃)より低いと、圧力が不足して前処理済バイオマス13を搬送できないことがあり、10MPa(180℃)より高いと前処理済バイオマス13の分解反応が進行しすぎて分解物が生成し、収率が低下することがある。
【0076】
マイクロ波反応管130は、一端で加圧フィーダー121と連結し、他端で圧力制御弁132と連結する。マイクロ波反応管130の材質は、マイクロ波を吸収しない材質を有し本発明で用いることができるものであれば何れでも良い。好ましい例として、セラミックス、石英、サファイヤ、アルミナ、窒化ケイ素を挙げることができる。より好ましい実例として、セラミックスを示すことができる。
【0077】
マイクロ波加熱装置122は、マイクロ波をマイクロ波反応管130に照射しマイクロ波反応管130を加熱することができるものであれば、形式は制限されない。反応効率を上げるためには、マイクロ波発振器123と、マイクロ波共振器129と、を備えるマイクロ波加熱装置122が好ましい。
より好ましい実例として、図1に示す、、マイクロ波発振器123と、内面が金属製の円筒形空間126を有し、円筒形空間126の内部に磁界の向きが円筒形空間126の中心軸128に平行で磁界の大きさが円筒形空間126の円筒の中心軸方向及び円周方向に一定な軸対称のマイクロ波電磁界を発生させるマイクロ波共振器129と、マイクロ波共振器129と中心軸を共有するように設置されたマイクロ波反応管130と、を有するバイオマス熱分解オイル製造装置本体120を挙げることができる。
【0078】
マイクロ波反応管130にマイクロ波加熱装置122からマイクロ波を照射すると、前処理済バイオマス13に含まれる炭素材料がマイクロ波を吸収し発熱して前処理済バイオマス13を加熱することができる。前処理済バイオマス13の加熱温度は、120℃〜347℃の温度範囲が好ましく、より好ましくは、150℃〜347℃の範囲であり、更に好ましくは200℃〜347℃の温度範囲を例示することができる。
前処理済バイオマス13は、120℃〜347℃の温度範囲に加熱されることによって粗バイオマス熱分解オイル59に変換される。バイオマス10は水分を含むので水が沸騰し、マイクロ波反応管130内は加圧状態となる。圧力は、2〜22MPaの範囲であることが好ましい。
マイクロ波発振器123は被照射物を急速に加熱できるので、反応時間は10秒〜600秒の範囲であることができる。
生成した高温高圧の粗バイオマス熱分解オイル59は、圧力制御弁132から、常圧の熱分解オイル受器190へ放出される。
【0079】
熱分解オイル受器190は、圧力制御弁132に連結し、高温高圧の粗バイオマス熱分解オイル59が放出される熱分解オイル放出部185と、熱分解オイル放出部185の底部に設けられた熱分解オイル出口188と、ろ過器189と、加圧水蒸気を凝縮させる凝縮器186と、非凝縮成分出口187と、を備えることが好ましい。
圧力制御弁132から熱分解オイル放出部185に放出された高温高圧の粗バイオマス熱分解オイル59は、不揮発成分が熱分解オイル放出部185の下部へ移動し、気化していた凝縮成分61が凝縮器186で凝縮されて熱分解オイル放出部185へ還流し、非凝縮成分62が非凝縮成分出口187を通過して排出される。不揮発成分と凝縮成分61は、熱分解オイル出口188からろ過器189を通過し、バイオマス熱分解オイル60と回収した炭素材料20に分離される。
【0080】
固体酸触媒22を添加することによって、バイオマス前処理部110における加水分解反応、及びバイオマス熱分解オイル製造装置本体120におけるバイオマスの分解反応を促進することができるので、バイオマス前処理部110及びバイオマス熱分解オイル製造装置本体120の反応温度を低下させることが可能になり、炭素材料及び非凝縮成分の生成量を減少させ、収率を向上することが可能である。
しかし、固体酸触媒22はスルホン酸を含む物質であって、構成元素として硫黄元素を含む。本実施例では、スルホン酸は触媒毒を有さず、試験製造においても水素透過性金属膜やペロブスカイト触媒の活性の低下は見られなかった。しかし、固体酸触媒22の分解による触媒毒の発生や、不純物によって触媒毒が混入するのを防ぐ注意が必要となる。
【0081】
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態に係るバイオマス熱分解オイル製造装置を示す概略図である。本発明の第3実施形態は、製造したバイオマス熱分解オイルを熱分解オイルガス化装置に連続的に供給することを特徴とする。
図3に示すように、本発明の第3実施形態で用いるバイオマス熱分解オイル製造装置100は、バイオマス前処理部110と、バイオマス熱分解オイル製造装置本体120と、熱分解オイルガス化装置150と、分離精製装置160と、を含んで構成されることが好ましい。
バイオマス前処理部110とバイオマス熱分解オイル製造装置本体120とは、図1又は2に示した第1実施形態又は第2実施形態の装置と同様なので説明を省略する。
【0082】
熱分解オイルガス化装置150は、バイオマス熱分解オイル製造装置本体120で製造されたバイオマス熱分解オイル60を、過熱水蒸気中で加熱して水素ガス40と一酸化炭素50とを含む水性ガス52に変換する装置であり、分離精製装置160は、バイオマス熱分解オイル製造装置本体120で生成したガスと回収した炭素材料20それぞれを分離精製する装置であることが好ましい。
【0083】
図4は、本発明の第3実施形に係るバイオマス熱分解オイル製造装置の熱分解オイルガス化装置の図である。
図4に示すように、本発明の第3実施形の熱分解オイルガス化装置151は、圧力制御弁132と連通する外管157と内管159とを有するインライン式高周波誘導加熱装置であることが好ましい。所望によって、圧力制御弁132と熱分解オイルガス化装置150との間に、濾過装置を設けることができる。
【0084】
外管157は、非磁性体で形成された筒状の容器であって、外管157の一端に設けられ、バイオマス熱分解オイル製造装置本体120の出口である圧力制御弁132と連通するガス化装置入口154と、バイオマス熱分解オイルを常圧で気化させる膨脹部141と、外管157の内部に設けられ磁性体で形成された発熱体156と、外管157の他端に設けられ、固体・気体分離器162に連通するガス化装置出口155と、外管157の外周に卷回された高周波電磁誘導コイル158と、を備え、外管と内管の間に増感熱触媒142を充填することが好ましい。
【0085】
内管159は、前記外管の内部に設けられた1以上の管であって、水素透過膜222から形成され、外管157の側壁を貫通して水素ガス出口218と連通することが好ましい。
内管159を形成する水素透過膜222は、水素透過性を有するゼオライト膜226と多孔質体で形成された支持体220とを含んで形成されることができる。ゼオライト膜226は、SODゼオライトが好ましい。
【0086】
増感熱触媒142は、気化したバイオマス熱分解オイルに含まれる炭素材料20などの固体成分を分解するための触媒である。増感熱触媒142は、本発明の目的にかなうものであれば何れでも支障ないが、特に好ましい例として、ニッケルをドープしたペロブスカイト触媒を挙げることができる。
【0087】
増感熱触媒142としては、鉄、マンガン、亜鉛、銅、ニッケル等の遷移金属を含む触媒が好ましい。これらの中で、ニッケルをドープしたペロブスカイト酸化物触媒が特に好ましい。
ペロブスカイト酸化物とは、ペロブスカイト(灰チタン石、CaTiO3)と同じ結晶構造からなる遷移金属酸化物である。
【0088】
SODゼオライトは、水素ガス40と水蒸気30とを共に通過させるので、SODゼオライト膜226を有する水素透過膜222から形成された内管159を用いる場合は、更に、水素ガス40と水蒸気30との中の何れか一方のみを通過させる水蒸気分離器170を備えることが好ましい。
【0089】
磁性体で形成された発熱体156は、外管157の外周に卷回された高周波電磁誘導コイル158から発信される高周波によって誘導電流を発生して発熱する磁性体であればよい。外管内部の温度分布を均一にするためには均一に配置されることが好ましく、外管内部の圧力損失が少ないことが望ましく、伝熱効果を上げるためには表面積の広いものが好ましい。
本実施例で用いた高周波電磁誘導コイル158は、基本構造として第一高周波工業株式会社製のインラインヒーターを用いた。
【0090】
バイオマス熱分解オイル製造装置本体120で製造された高温高圧のバイオマス熱分解オイルは、圧力制御弁132から常圧の膨張部141に放出されることによって気化する。この時気化熱と断熱膨張とによる反応温度の低下を補うために500〜1000℃の過熱水蒸気32を供給することができる。
【0091】
バイオマス熱分解オイルは、380℃以上に加熱すると発熱しながら自己分解する。従って、反応開始時は高周波誘導加熱装置で加熱し、反応が定常状態になった後は温度制御を行えばよい。反応温度は380〜850℃の範囲が好ましく、より好ましくは500〜800℃の範囲である。380℃以下では自発分解が進行せず、450℃以下では、下記(1)に示す逆シフト反応が進行して、一酸化炭素の含有量が減少する。850℃より高温では、自己分解反応が急速に進みすぎる。
【0092】
【化4】

【0093】
図5は本発明の第3実施形に係るバイオマス熱分解オイル製造装置の分離精製装置を示す図である。
図5に示すように、分離精製装置160は、ガス化装置出口155に連通するサイクロン式の固体・気体分離器162と、水素ガス出口218に連結された水蒸気分離器170を備えることが好ましい。
【0094】
水蒸気分離器170に適用される水蒸気分離膜は、本発明の目的にかなうものであれば特に制限されないが、好ましい例としてSOD型ゼオライト膜及び白金又はニオブを主成分とする水素透過性金属膜を挙げることができる。水蒸気分離器170を通過して水素ガス40が得られる。純粋な水素を得るためには、水素透過性金属膜を有する水蒸気分離器170が好ましい。この場合のSOD型ゼオライト膜は、水素透過膜として作用するが、水蒸気も一部通過させる。
【0095】
サイクロン式の固体・気体分離器162は、炭素材料20と、気体成分を分離する。炭素材料出口164から得られた炭素材料20は回収して再使用する。
固体・気体分離器162の気体成分出口166に連通して、水蒸気通過膜を備える水蒸気分離器170が連結される。水蒸気通過膜としては、SOD型ゼオライト膜が好ましい。この場合のSOD型ゼオライト膜は、水蒸気透過膜として作用し、水蒸気と一酸化炭素とを分離し、一酸化炭素が水蒸気通過膜を透過しなかった気体の出口である一酸化炭素出口177から得られる。
【0096】
サイクロン式の固体・気体分離器162の気体成分出口166と水蒸気分離器170との間に微粒子を除去する除塵器180と硫黄分を除去する脱硫器181を連結することができる。また、一酸化炭素出口177に連通して、SOD型ゼオライト膜を備える炭酸ガス分離器184を連結することができる。
【0097】
ジメチルエーテルを製造するのに用いる水性ガスは、水素ガスと一酸化炭素ガスの比率が2:1である。一方、炭素から水性ガスを製造する場合、生成する水素ガスと一酸化炭素ガスの比率は、化学量論的には1:1であり、炭化水素から水性ガスを製造する場合の比率は2:1である。水性ガスは、一般的に水素ガスの比率が低すぎることが多い。
【0098】
図6は、本発明の第4実施例に係るバイオマス熱分解オイル製造装置の水性ガス成分調整装置の図である。図6に示すように、本実施例では、水性ガス成分調整装置192は、脱硫器181と水蒸気分離器170を連通する管路194に分岐管195を設け、管路194を通過する気体成分70の一部を岐管195に分流する。分流された気体成分70中の一酸化炭素50を、逆シフト反応器183を用いて水素ガスに変換し、生成した水素ガスを水素選択性金属膜を有する水素分離器196を用いて分離して水素ガス40を製造する。これによって水素ガスの比率を増大させ、製造した水性ガスの成分比を調整することができる。
【0099】
図7は本発明の第4実施形に係る熱分解オイルガス化装置である。
本発明の第4実施形態は、図3に示すバイオマス熱分解オイル製造装置を示す概略図において、熱分解オイルガス化装置150の内管159が、水素透過性を有する金属膜を含んで形成されることを特徴とする。
【0100】
図7に示すように、熱分解オイルガス化装置152は、圧力制御弁132と連通する外管157と内管159とを有するインライン式高周波誘導加熱装置であることが好ましい。所望によって、圧力制御弁132と熱分解オイルガス化装置150との間に、濾過装置を設けることができる。
【0101】
外管157は、非磁性体で形成された筒状の容器であって、外管157の一端に設けられ、バイオマス熱分解オイル製造装置本体120の出口である圧力制御弁132と連通するガス化装置入口154と、バイオマス熱分解オイルを常圧で気化させる膨脹部141と、外管157の他端に設けられ、固体・気体分離装置160に連通するガス化装置出口155と、外管157の外周に卷回された高周波電磁誘導コイル158と、を備える。
【0102】
内管159は、前記外管の内部に設けられた1以上の管であって、水素透過膜223から形成され、外管157の側壁を貫通して水素ガス出口と連通することが好ましい。
内管159を形成する水素透過膜223が、水素透過性金属膜224と多孔質体で形成された支持体220とを含んで形成されることを特徴とする。
【0103】
白金又はニオブを主成分とする水素透過性金属膜224を挙げることができる。水素透過性金属膜224は、白金と、パラジウムと、バナジウムと、ニオブと、タングステンと、モリブデンと、の中から選ばれる1以上の金属元素を含む金属膜であることが好ましく、水素透過性金属膜224が、白金と、パラジウムと、ニオブにタングステン又は及びモリブデンを添加した合金と、の中から選ばれる金属膜であることがより好ましい。
水素透過性金属膜224は、高周波電磁誘導加熱装置の発熱体を兼ねるので、本実施例の熱分解オイルガス化装置152は別途の発熱体は必要ない。
【0104】
外管と内管の間に増感熱触媒142を充填することが好ましい。増感熱触媒142は、気化したバイオマス熱分解オイルに含まれる炭素材料20などの固体成分を分解するための触媒である。増感熱触媒142は、本発明の目的にかなうものであれば何れでも支障ないが、特に好ましい例として、ニッケルを%ドープしたペロブスカイト触媒を挙げることができる。
【0105】
磁性体で形成された発熱体156は、外管157の外周に卷回された高周波電磁誘導コイル158から発信される高周波によって誘導電流を発生して発熱する磁性体であればよい。外管内部の温度分布を均一にするためには均一に配置されることが好ましく、外管内部の圧力損失が少ないことが望ましく、伝熱効果を上げるためには表面積の広いものが好ましい。
本実施例で用いた高周波電磁誘導コイル158は、基本構造として第一高周波工業株式会社製のインラインヒーターを用いた。
【0106】
バイオマス熱分解オイル製造装置本体120で製造された高温高圧のバイオマス熱分解オイルは、圧力制御弁132から常圧の膨張部141に放出されることによって気化する。この時気化熱と断熱膨張とによる反応温度の低下を補うために500〜1000℃の過熱水蒸気32を供給することができる。
【0107】
図8は本発明の第5実施形に係るバイオマス熱分解オイル製造装置の分離精製装置を示す図である。
図8に示すように、分離精製装置160は、ガス化装置出口155に連通するサイクロン式の固体・気体分離器162を備えることが好ましい。第5実施形に係るバイオマス熱分解オイル製造装置152は、内管に水素透過性金属膜224を備えるので、水素ガス出口218からは純度が高い水素ガスが得られから、別途の水素ガス精製設備は必要ないことが多い。
【0108】
サイクロン式の固体・気体分離器162は、炭素材料20と、気体成分を分離する。炭素材料出口164から得られた炭素材料20は回収して再使用する。
固体・気体分離器162の気体成分出口166に連通して、水蒸気通過膜を備える水蒸気分離器170が連結される。水蒸気通過膜としては、SOD型ゼオライト膜が好ましい。この場合のSOD型ゼオライト膜は、水蒸気透過膜として作用し、水蒸気と一酸化炭素とを分離し、一酸化炭素が水蒸気通過膜を透過しなかった気体の出口である一酸化炭素出口177から得られる。
【0109】
サイクロン式の固体・気体分離器162の気体成分出口166と水蒸気分離器170との間に微粒子を除去する除塵器180と硫黄分を除去する脱硫器181を連結することができる。また、一酸化炭素出口177に連通して、SOD型ゼオライト膜を備える炭酸ガス分離器184を連結することができる。
【0110】
ジメチルエーテルを製造するのに用いる水性ガスは、水素ガスと一酸化炭素ガスの比率が2:1である。一方、炭素から水性ガスを製造する場合、生成する水素ガスと一酸化炭素ガスの比率は、化学量論的には1:1であり、炭化水素から水性ガスを製造する場合の比率は2:1である。水性ガスは、一般的に水素ガスの比率が低すぎることが多い。
【0111】
図6は、本発明の第3実施例に係るバイオマス熱分解オイル製造装置の水性ガス成分調整装置の図である。図6に示すように、本実施例では、水性ガス成分調整装置192は、脱硫器181と水蒸気分離器170を連通する管路194に分岐管195を設け、管路194を通過する気体成分70の一部を岐管195に分流しする。分流された気体成分70中の一酸化炭素50を、逆シフト反応器183を用いて水素ガスに変換し、生成した水素ガスを水素選択性金属膜を有する水素分離器196を用いて分離して水素ガス40を製造する。これによって水素ガスの比率を増大させ、製造した水性ガスの成分比を調整することができる。
【0112】
図9は、ジメチルエーテル製造装置の概略図である。
図9に示すように、ジメチルエーテル製造装置300は、水素ガス40と一酸化炭素50を混合して水性ガス52を製造してメタノール製造装置302に供給して、Cu、Zn、Cr、Al、Au、又はZrの何れかの元素を1種類以上含む触媒を用いて、マイクロ波加熱によって120〜300℃で加熱してメタにールを製造し、メタノールをアルミナ、シリカ等の公知の脱水触媒を用いて、マイクロ波加熱装置を備えるエーテル化装置303で200〜350℃に加熱することによってジメチルエーテルを製造することができる。
【0113】
(製造例1)
ニッケルドープペロブスカイト酸化物触媒の製造
クエン酸63gとエチレングリコール56mlを約350mlの水に溶かし、この水溶液に炭酸カルシウム10gを徐々に溶解後、全量を水で500mlとした溶液をカルシウム原液とした。クエン酸63gとエチレングリコール56mlを約350mlの水に溶かし、この水溶液に炭酸ストロンチウムは14.8gを徐々に溶解後、全量を水で500mlとした溶液をストロンチウム原液とした。クエン酸105gとエチレングリコール112mlを約350mlの水に溶かし、この水溶液にオルトチタン酸テトライソプロピル28.4gを加える。溶液を激しく撹拌すると、生じた白色沈殿は溶解して透明な溶液となる。これに水を加えて全量を500mlとしたものをチタン原液とした。クエン酸42gとエチレングリコール56mlを約250mlの水に溶かし、これに硝酸ニッケル6水和物29.1gを加えて、ロータリーエバポレーター中90℃で撹拌する。数時間後黄褐色のガスが発生し、このガスの発生が止まった時点で、液体に水を加えて全量を250mlとし、これをニッケル原液とした。
カルシウム原液40ml、ストロンチウム原液10ml、チタン原液50ml及びニッケル原液5mlを混合し、減圧下に濃縮した後にホットプレート上で乾固した。これを電気炉に入れて空気中300℃に加熱して、白煙の発生が止まった時点で、温度を500℃まで上げて5時間焼成した。ここで得られた固形物を乳鉢で粉末にし、良く混合した。再度空気中850℃で10時間焼成し、ニッケルドープペロブスカイト酸化物触媒を得た。
【0114】
(製造例2)
(1)グルコースからのスルホン酸基導入無定形炭素の製造
10gのD−グルコースを不活性ガス気流中、250℃で15時間加熱し、茶褐色の有機物粉末〔半値幅(2θ)が30°である(002)面の回折ピークが観察される。〕を得た。この粉末5gを200mLの96%硫酸に加え、これに窒素ガスを30ml/minで吹き込みながら150℃で15時間加熱することによって黒色の固体を得た。この黒色固体を300mLの蒸留水で洗浄し、洗浄後の蒸留水中の硫酸が元素分析の検出限界以下になるまでこの操作を繰り返し、スルホン酸基導入無定形炭素を得た。得られたスルホン酸基導入無定形炭素粉末の13C核磁気共鳴スペクトルの130ppm付近には縮合芳香族炭素6員環による化学シフトが現れ、140ppm付近にはスルホン酸基が結合した縮合芳香族炭素6員環による化学シフトが現れた。得られたスルホン酸基導入無定形炭素粉末の粉末X線回折パターンでは、炭素(002)面の回折ピークが確認された。(002)面の回折ピークの半値幅(2θ)は20°であった。また、このスルホン酸残基導入無定形炭素のスルホン酸密度は4.5mmol/gであった。
【0115】
(実施例1)
1563.8kgのおが屑10と、250kgの固体酸触媒22、及び210kgの炭素材料20と、を混合機111で均一に混合してバイオマス原料12を製造した。
バイオマス原料12に、流混合機112を用い、163.3kgの500℃の過熱水蒸気32を供給して、バイオマス原料12を加熱すると共に搬送気体として用いて加圧フィーダー121に輸送した。
バイオマス原料12を、加圧フィーダー121を用い、268.7kgの500℃の加熱水蒸気32、を加え、3.0MPaに加圧して内径20mmで長さ1000mmのセラミック管であるマイクロ波反応管130に、乾燥バイオマス供給量に換算して25kg/hrの速度で供給した。マイクロ波反応管130中のバイオマス原料12に、マイクロ波加熱装置122を用いてマイクロ波を印加した。
炭素材料20及び固体酸触媒22がマイクロ波を吸収して発熱し、バイオマス原料12は200℃に加熱され、バイオマスが重質タール成分に分解され、粗バイオマス熱分解オイル59が生成した。
マイクロ波加熱装置122は、連続式マイクロ波処理装置(日本化学機械製造株式会社製、マイクロ波出力5.0KW)を用いた。
バイオマス熱分解オイル製造装置の出口に設けられた圧力制御弁132から、高温高圧の粗バイオマス熱分解オイル59を、バイオマス熱分解オイル放出部185へ排出し、2022kgのバイオマス熱分解オイル60、及び306.2kgの非凝縮成分62を得た。非凝縮成分は、153.1kgの一酸化炭素、43.7kgのメタン、及び109.4kgの炭酸ガスを含んでいた。
原料のバイオマス、及び製造したバイオマス熱分解オイル60の元素分析を行い、元素分析値から燃焼熱量を計算したところ、それぞれ16.7MJ/kg(Dry)及び15.0MJ/kg(Dry)であったので、バイオマス熱分解オイル60のバイオマス原料12に対するエネルギー回収率は69.7%であった。
【0116】
(実施例2)
1563.8kgのおが屑10、250kgの固体酸触媒22、及び210kgの炭素材料20を湿式粉砕機111で均一に混合してバイオマス原料12を製造した。
バイオマス原料12を前処理部112で163.3kgの500℃の過熱水蒸気32を供給して、95〜98℃で1時間加熱し、前処理済バイオマス13とした。
前処理済バイオマス13を、加圧フィーダー121を用い、268.7kgの500℃の加熱水蒸気32、を加え、3.0MPaに加圧して内径20mmで長さ1000mmのセラミック管であるマイクロ波反応管130に、乾燥バイオマス供給量に換算して25kg/hrの速度で供給した。マイクロ波反応管130中のバイオマス原料12に、マイクロ波加熱装置122を用いてマイクロ波を印加した。炭素材料20及び固体酸触媒がマイクロ波を吸収して発熱し、バイオマス原料12は190〜200℃に加熱され、バイオマスが重質タール成分に分解され、粗バイオマス熱分解オイル59が生成した。
マイクロ波加熱装置122は、連続式マイクロ波処理装置(日本化学機械製造株式会社製、マイクロ波出力5.0KW)を用いた。
バイオマス熱分解オイル製造装置の出口に設けられた圧力制御弁132から、高温高圧の粗バイオマス熱分解オイル59を、熱分解オイル受器185へ排出し、2149.6kgのバイオマス熱分解オイル60、及び306.2kgの非凝縮成分62を得た。非凝縮成分は、153.1kgの一酸化炭素、43.7kgのメタン、及び109.4kgの炭酸ガスを含んでいた。
原料のバイオマス、及び製造したバイオマス熱分解オイル60の元素分析を行い、元素分析値から燃焼熱量を計算したところ、それぞれ16.7MJ/kg(Dry)及び15.0MJ/kg(Dry)であったので、バイオマス熱分解オイル60のバイオマス原料12に対するエネルギー回収率は74.1%であった。
【0117】
(実施例3)
バイオマス原料12は、実施例1と同様に、1500kgのオガ屑10と、250kgの固体酸触媒22と、210kgの炭素材料20と、を湿式粉砕機111で均一に混合して調製した。バイオマス原料12を、実施例1と同様に、図3に示すバイオマス熱分解オイル製造放置本体202を用いて分解し、1580.3kgの粗バイオマス熱分解オイル59を得た。
次いで、図4に示すように、バイオマス熱分解オイル製造装置本体202の圧力制御弁132を、バイオマス熱分解オイル改質装置152のバイオマス熱分解オイル改質装置入口154に連結し、高温高圧の粗バイオマス熱分解オイルを膨脹部141に放出し常圧で気化させた。粗バイオマス熱分解オイル59は、水分が気化し、過熱水蒸気32にバイオマス分解物の粉末が水蒸気に浮遊するエアロゾルとなった。
熱分解オイルガス化装置152の外管157の外周に卷回された高周波電磁誘導コイル158から高周波を印加し、内管159を形成するニオブを主成分とする水素透過性金属膜224が高周波誘導加熱し、バイオマス分解物を700℃に加熱した。粗バイオマス熱分解オイル59に含まれていたバイオマス分解物中の重質タール成分は、過熱水蒸気32によって粉体輸送されつつ、ペロブスカイト担持Ni触媒と接触して一酸化炭素50と水素ガス40に分解された。
水素ガス40は、内管159の水素透過性金属膜224を透過し内管159の出口である水素ガス出口143から排出された。水素ガスの収量は135.9kgであり、原料のバイオマスがセルロースであるとして換算すると、水素ガス30の収率は53.6重量%であった。
外管157の出口であるガス化装置出口155から得られた生成物を、図5に示す分離精製装置160に送った。
固体・気体分離器162において183.7kgの炭素材料20及び1810kgの気体成分70を得た。
気体成分を除塵器180を通過させて炭素材料175.7kgを回収し、脱硫器181を通過させて硫黄成分を除去した後、水蒸気透過膜を備える水蒸気分離器170を通過させ、水蒸気透過膜を通過した水蒸気、及び水蒸気透過膜を通過しなかった気体成分に分離した。
水蒸気透過膜を通過しなかった気体は、ガスクロマトグラフィー分析によれば、一酸化炭素1281.3kg、炭酸ガス402.8kg、及びメタン39.7kgを含んでいた。
水蒸気透過膜を通過しなかった気体を、炭酸ガス分離器184を通過させて純度94.2重量%の一酸化炭素1360.20kgを得た。純度換算後の一酸化炭素の収量は1281.3kgであり、主な不純物は4.4重量%のメタンであった。一酸化炭素の収率は72.2重量%であった。
【0118】
(実施例4)
本実施例は、実施例2で用いた分離精製装置160に、更に、図6に示す水性ガス成分調整装置192をを備える。水性ガス成分調整装置192は、脱硫器181と水蒸気分離器170を連通する管路194に設けた分岐管195、成分調整弁193、逆シフト反応器183、及び水素選択性金属膜を有する水素分離器196を備える。水素分離器196を透過した水素ガスは、バイオマス熱分解オイルガス化装置150の水素ガス出口143から供給される水素ガスに合流され、水素分離器196を通過した排ガスは大気中に排気される。
実施例2と同様に、2000kgのオガ屑10と、3000kgの固体酸触媒22と、及び240kgの炭素材料20と、から調製したバイオマス原料12を、バイオマス熱分解オイル製造放置本体202を用いて分解し粗バイオマス熱分解オイル59を製造し、バイオマス熱分解オイル製造装置200を用いて水素ガス40と一酸化炭素50を製造した。
本実施例では、脱硫器181と水蒸気分離器170を連通する管路194に分岐管195を設け、管路194を通過する気体成分70の12.9%を分岐管195に分流した。
分流された気体成分70中の一酸化炭素50を、逆シフト反応器183を用いて水素ガスに変換し、生成した水素ガスを水素選択性金属膜を有する水素分離器196を用いて分離し、バイオマス熱分解オイル改質装置150の水素ガス出口143から供給される水素ガスに合わせ、合計で212.6kgの水素ガス40を得た。
残部の気体成分70は、実施例3と同様に処理し、純粋な一酸化炭素に換算して1488.3kgの一酸化炭素50を得た。得られた水素ガス40と一酸化炭素50の収率は62.9%であり、モル比は2:1であった。
【符号の説明】
【0119】
10 バイオマス
12 バイオマス原料
13 前処理済バイオマス
15 水
20 炭素材料
22 固体酸触媒
25 発熱材
30 水蒸気
32 過熱水蒸気
40 水素ガス
44 炭酸ガス
50 一酸化炭素
52 水性ガス
59 粗バイオマス熱分解オイル
60 バイオマス熱分解オイル
61 凝縮成分
62 非凝縮成分
70 気体成分
100 バイオマス熱分解オイル製造装置
110 バイオマス前処理部
111 湿式粉砕機
112 前処理部
120 バイオマス熱分解オイル製造装置本体
121 加圧フィーダー
122 マイクロ波加熱装置
123 マイクロ波発振器
126 円筒形空間
128 中心軸
129 マイクロ波共振器
130 マイクロ波反応管
132 圧力制御弁
141 膨脹部
142 増感熱触媒
143 水素ガス出口
150〜152 熱分解オイルガス化装置
154 ガス化装置入口
155 ガス化装置出口
156 発熱体
157 外管
158 高周波電磁誘導コイル
159 内管
160 分離精製装置
162 固体・気体分離器
164 炭素材料出口
166 気体成分出口
170 水蒸気分離器
171 水素ガス出口
177 一酸化炭素出口
180 除塵器
181 脱硫器
183 逆シフト反応器
184 炭酸ガス分離器
185 熱分解オイル放出部
186 凝縮器
187 非凝縮成分出口
188 熱分解オイル出口
189 ろ過器
190 熱分解オイル受器
192 水性ガス成分調整装置
193 成分調整弁
194 管路
195 分岐管
196 水素分離器
218 水素ガス出口
220 支持体
222 水素透過膜
223 水素透過膜
224 水素透過性金属膜
226 ゼオライト膜
300 ジメチルエーテル製造装置
301 ジメチルエーテル
302 メタノール製造装置
303 エーテル化装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス、炭素材料、及び水を混練してバイオマス原料とするバイオマス原料製造手段と、
前記バイオマス原料を、マイクロ波を吸収しない材質で形成され、圧力制御手段を備えるマイクロ波反応管に圧送する原料供給手段と、
前記マイクロ波反応管中のバイオマス原料をマイクロ波加熱装置で120℃〜347℃の温度範囲に加熱して粗バイオマス熱分解オイルを製造するマイクロ波加熱手段と、
前記粗バイオマス熱分解オイルからバイオマス熱分解オイルを分離する分離手段と、
を有することを特徴とするバイオマス熱分解オイルの製造装置。
【請求項2】
バイオマス、炭素材料、固体酸触媒、及び水を混練してバイオマス原料を製造するバイオマス原料製造手段と、
前記バイオマス原料を、マイクロ波を吸収しない材質で形成され、圧力制御手段を備えるマイクロ波反応管に圧送する原料供給手段と
前記マイクロ波反応管中のバイオマス原料をマイクロ波加熱装置で120℃〜347℃の温度範囲に加熱して粗バイオマス熱分解オイルを製造するマイクロ波加熱手段と、
を有することを特徴とするバイオマス熱分解オイルの製造装置。
【請求項3】
前記固体酸触媒が、炭素系酸触媒であることを特徴とする請求項2に記載のバイオマス熱分解オイルの製造装置。
【請求項4】
前記バイオマス原料製造手段と、前記原料供給手段と、の間に、前記バイオマス原料を加熱し、前処理済みバイオマスを製造する前処理手段を有することを特徴とする請求項2又は3に記載のバイオマス熱分解オイルの製造装置。
【請求項5】
前記マイクロ波加熱手段は、
マイクロ波発振器と、少なくとも内面が金属製の円筒形空間を有する容器を備え、前記円筒形空間内に、向きが前記円筒形空間の円筒の中心軸に平行で、大きさが前記円筒形空間の中心軸方向及び前記円筒形空間の円周方向に一定な軸対称マイクロ波電磁界を有するマイクロ波共振器と、を備えるマイクロ波加熱装置と、
マイクロ波を吸収しない材質で形成された前記マイクロ波反応管と、を有し、
前記マイクロ波反応管が、前記円筒形空間の中心軸と中心軸を共有して前記マイクロ波共振器の内部を貫通し、一端で前記原料供給手段に連結し、他端に前記圧力制御手段が設けられることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のバイオマス熱分解オイルの製造装置。
【請求項6】
前記前処理済みバイオマスから、前記固体酸触媒を除去する手段を更に有することを特徴とする請求項4に記載のバイオマス熱分解オイルの製造装置。
【請求項7】
前記粗バイオマス熱分解オイルを、前記圧力制御手段から固液分離器に吐出する吐出手段と、
前記固液分離器の気体出口に連結して設けられ、バイオマス熱分解オイルを凝縮する凝縮手段と、
前記バイオマス熱分解オイルと前記粗バイオマス熱分解オイルに含まれていた炭素材料とを分離する分離手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のバイオマス熱分解オイルの製造装置。
【請求項8】
前記粗バイオマス熱分解オイルを、前記圧力制御手段から、水素透過膜、高周波電磁誘導式加熱装置、及び発熱体を備える熱分解オイルガス化手段に吐出する吐出手段と、
前記高周波電磁誘導式加熱装置と前記発熱体とによって前記粗バイオマス熱分解オイルを加熱し、前記粗バイオマス熱分解オイルを熱分解して水素ガスと一酸化炭素とを製造するガス化手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のバイオマス熱分解オイルの製造装置。
【請求項9】
前記ガス化手段は、非磁性体で形成された筒状の容器であって、その一端に設けられ、前記粗バイオマス熱分解オイルが供給される入口と、前記粗バイオマス熱分解オイルが常圧に開放されて気化される膨脹部と、前記容器の他端に設けられた出口と、を有し、外周に高周波電磁誘導コイルが卷回された外管と、
前記外管の内部に設けられ、水素透過膜を有し、前記外管の一部を貫通する水素ガス出口を有する1以上の内管と、
磁性体の材料で形成され前記外管と前記内管との間の空間を加熱する発熱体と、
を有することを特徴とする請求項8に記載のバイオマス熱分解オイルの製造装置。
【請求項10】
前記ガス化手段は、前記粗バイオマス熱分解オイルの分解を促進する触媒を更に備えることを特徴とする請求項8または9に記載のバイオマス熱分解オイルの製造方法。
【請求項11】
前記触媒が、ニッケルをドープしたペロブスカイト酸化物触媒であることを特徴とする請求項10に記載のバイオマス熱分解オイルの製造装置。
【請求項12】
前記水素透過膜は、水素透過性ゼオライト膜を含んで形成され、更に水素ガスと水蒸気の中の何れか一方のみを透過させる分離手段を備えることを特徴とする請求項9乃至11の何れか1項に記載のバイオマス熱分解オイルの製造装置。
【請求項13】
前記水素透過膜は、、水素透過性金属膜含んで形成され、前記水素透過性金属膜が高周波電磁誘導式加熱装置の発熱体として作用することを特徴とする請求項9乃至11の何れか1項に記載のバイオマス熱分解オイルの製造装置。
【請求項14】
前記水素透過性金属膜が、白金と、パラジウムと、バナジウムと、ニオブと、タングステンと、モリブデンと、の中から選ばれる1以上の金属元素を含む金属膜であることを特徴とする請求項13に記載のバイオマス熱分解オイルの製造装置。
【請求項15】
バイオマス、炭素材料、及び水を混練してバイオマス原料とするバイオマス原料製造段階と、
前記バイオマス原料を、マイクロ波を吸収しない材料で形成され、圧力制御手段を備えるマイクロ波反応管に圧送する原料供給段階と、
前記マイクロ波反応管中のバイオマス原料をマイクロ波加熱装置で120℃〜347℃の温度範囲に加熱して粗バイオマス熱分解オイルを製造するマイクロ波加熱段階と、
前記粗バイオマス熱分解オイルからバイオマス熱分解オイルを分離する分離段階と、
を有することを特徴とするバイオマス熱分解オイルの製造方法。
【請求項16】
バイオマス、炭素材料、固体酸触媒、及び水を混練してバイオマス原料を製造するバイオマス原料製造段階と、
前記バイオマス原料を、マイクロ波を吸収しない材料で形成され、圧力制御手段を備えるマイクロ波反応管に圧送する原料供給段階と、
前記マイクロ波反応管中のバイオマス原料をマイクロ波加熱装置で120℃〜347℃の温度範囲に加熱して粗バイオマス熱分解オイルを製造するマイクロ波加熱段階と、
を有することを特徴とするバイオマス熱分解オイルの製造方法。
【請求項17】
前記固体酸触媒が、炭素系酸触媒であることを特徴とする請求項16に記載のバイオマス熱分解オイルの製造方法。
【請求項18】
前記バイオマス原料製造段階と、前記原料供給段階との間に、前記バイオマス原料を加熱し前処理済みバイオマスを製造する前処理段階とを有することを特徴とする請求項16又は17に記載のバイオマス熱分解オイルの製造方法。
【請求項19】
前記マイクロ波加熱手段は、
マイクロ波発振器と、少なくとも内面が金属製の円筒形空間を有する容器を備え、前記円筒形空間内に、向きが前記円筒形空間の中心軸に平行で、大きさが前記円筒形空間の円筒の中心軸方向及び前記円筒形空間の円周方向に一定な軸対称マイクロ波電磁界を有するマイクロ波共振器と、を備えるマイクロ波加熱装置と、
マイクロ波を吸収しない材質で形成された前記マイクロ波反応管と、を有し、
前記マイクロ波反応管が、前記円筒形空間の中心軸と中心軸を共有して前記マイクロ波共振器の内部を貫通し、一端で前記原料供給手段に連結し、他端に前記圧力制御手段が設けられることを有することを特徴とする請求項15乃至18の何れか1項に記載のバイオマス熱分解オイルの製造方法。
【請求項20】
前記前処理済みバイオマスから、前記固体酸触媒を除去する段階を更に有することを特徴とする請求項18に記載のバイオマス熱分解オイルの製造方法。
【請求項21】
前記粗バイオマス熱分解オイルを、前記圧力制御手段から固液分離器に吐出する吐出段階と、
前記固液分離器の気体出口に連結して設けられ、前記バイオマス熱分解オイルを凝縮する凝縮手段でバイオマス熱分解オイルを凝縮する凝縮段階と、
前記バイオマス熱分解オイルと前記粗バイオマス熱分解オイルに含まれていた炭素材料とを分離する分離段階と、
を有することを特徴とする請求項15乃至20の何れか1項に記載のバイオマス熱分解オイルの製造方法。
【請求項22】
前記粗バイオマス熱分解オイルを、前記圧力制御手段から、水素透過膜、高周波電磁誘導式加熱装置、及び発熱体を備える熱分解オイルガス化手段に供給する吐出段階と、
前記高周波電磁誘導式加熱装置と前記発熱体とによって前記粗バイオマス熱分解オイルを加熱し、前記粗バイオマス熱分解オイルを熱分解して水素ガスと一酸化炭素とを製造するガス化段階と、
を有することを特徴とする請求項15乃至20の何れか1項に記載のバイオマス熱分解オイルの製造方法。
【請求項23】
前記ガス化段階は、非磁性体で形成された筒状の容器であって、その一端に設けられ、前記粗バイオマス熱分解オイルが供給される入口と、前記粗バイオマス熱分解オイルが常圧に開放されて気化される膨脹部と、前記容器の他端に設けられた出口と、を有し、外周に高周波電磁誘導コイルが卷回された外管と、
前記外管の内部に設けられ、水素透過膜を有し、前記外管の一部を貫通する水素ガス出口を有する1以上の内管と、
磁性体の材料で形成され前記外管と前記内管との間の空間を加熱する発熱体と、
を有する熱分解オイルガス化手段によって前記粗バイオマス熱分解オイルを加熱し、前記粗バイオマス熱分解オイルを熱分解する段階であることを特徴とする請求項22に記載のバイオマス熱分解オイルの製造方法。
【請求項24】
前記ガス化手段は、前記粗バイオマス熱分解オイルの分解を促進する触媒を更に備えることを特徴とする請求項22または23に記載のバイオマス熱分解オイルの製造方法。
【請求項25】
前記触媒が、ニッケルをドープしたペロブスカイト酸化物触媒であることを特徴とする請求項24に記載のバイオマス熱分解オイルの製造方法。
【請求項26】
前記水素透過膜は、水素透過性ゼオライト膜を含んで形成され、更に水素ガスと水蒸気の中の何れか一方のみを透過させる分離手段を備えることを特徴とする請求項23乃至25の何れか1項に記載のバイオマス熱分解オイルの製造方法。
【請求項27】
前記水素透過膜は、、水素透過性金属膜含んで形成され、前記水素透過性金属膜が高周波電磁誘導式加熱装置の発熱体として作用することを特徴とする請求項22又は23に記載のバイオマス熱分解オイルの製造方法。
【請求項28】
前記水素透過性金属膜が、白金と、パラジウムと、バナジウムと、ニオブと、タングステンと、モリブデンと、の中から選ばれる1以上の金属元素を含む金属膜であることを特徴とする請求項27に記載のバイオマス熱分解オイルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−112802(P2013−112802A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262994(P2011−262994)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(507146658)
【Fターム(参考)】